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なぜ「日本は安い」のか 価格決定力向上のための調査レポート/Pricing-Power-Whitepaper2021

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 なぜ「日本は安い」のか 価格決定力向上のための調査レポート/Pricing-Power-Whitepaper2021

諸外国と比べて日本は消費者物価指数が上がっておらず、また、過去20年間の賃金増加率は4%と、OECD平均 (33%)を大きく下回っています。これらの課題については2017年の通商白書(経済産業省)や2019年の内閣府の資料でも言及されるなど注目が集まっており、雇用の流動性や労働生産性の向上、イノベーションの促進など様々な観点で議論や取り組みが行われてきました。

一方で、企業が行うプライシング(価格設定)の積極性と、その巧拙にも要因があるのではという視点から調査を行ったのが今回のレポートです。

■サマリー
・日本企業は高騰する原材料費を価格に転嫁せず企業努力(コスト圧縮)で対応する傾向が見られ、価格が上げられず消費も増えない「負のスパイラル」にある

・働き方改革やDXなどの取り組みに注目が集まり、生産性が向上しても、それを相殺するほど「価格決定力」が低下しているのが現実

・消費者の心理は価格重視から価値重視にシフトしつつあり、企業も安さ訴求を改めることのできる機会は存在する

・イノベーションへの投資を継続しつつ、既存製品・サービスのプライシングを見直し、戦略や組織、姿勢を変えることで価格決定力向上を図ることが鍵となる

ハルモニア株式会社

November 17, 2021
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  1. 価格決定⼒向上のための調査レポート なぜ「⽇本は安い」のか ハルモニア株式会社 Whitepaper 2021.11 1

  2. 2 ⽬次 1. 海外と⽐べた⽇本の物価・賃⾦・経済の状況 2. ⽇本が「安く」、収益⼒が上がらない理由 3. 注⽬すべき消費者・企業の変化 4. 価格決定⼒を上げるために必要なこと

    5. 企業紹介・問い合わせ先
  3. 3 1. 海外と⽐べた⽇本の物価・賃⾦・経済の状況

  4. 4 諸外国と⽐べて⽇本は物価も賃⾦も上がっておらず、「失われたX0年」が継続中 1. CPI = Consumer Price Index 出典: oecd.stat

    (https://stats.oecd.org/) -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 2020 2021 2019 イギリス アメリカ ドイツ 韓国 フランス ⽇本 中国 各国のCPI1)推移 実質賃⾦指数の推移 ⽶国を筆頭に諸外国では物価指数が年平均1.5%で増加の⼀⽅、 ⽇本の物価指数は年平均0.0%で推移。⼀時デフレの場⾯も ⽇本は過去20年間での賃⾦増加率は計4%であり、 OECD平均 (33%) や⽶国 (48%) を⼤きく下回っている 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2015 2010 2020 2005 2000 1995 1990 ドイツ イギリス デンマーク スウェーデン アメリカ OECD平均 ⽇本 フランス 韓国 オーストラリア
  5. 5 外⾷、レジャーなど様々なモノの価格で⽐べても、⽇本は「安い」 出典: statista.com; macdnald.com; starbucks.com; t-china.info; Disney ウェブサイト; ⼀⾵堂ウェブサイト

    注釈: 2021年1⽉時点の価格。113.7円/ドル, 131.3円/ユーロ, 152.7円/ポンド, 17.8円/⼈⺠元で換算。飲⾷物は⾸都圏における店舗の価格 ビッグマック ディズニーランド (1-day チケット) 390 790 418 9,400 1,041 603 1,591 335 12,393 1,706 625 1,680 (ロンドン) 506 (パリ) 11,830 (パリ) 1,379 (ロンドン) 393 748 481 8,882 450 (単位: 円) ⼀⾵堂 ⽩丸元味 スターバックスラテ ⾸都の最低賃⾦ ⽇本の物価は欧⽶に⽐べて如実に低く、中国と同程度になりつつある 特に、飲⾷店でのデフレが進んだ結果、チェーン店の価格は中国よりも安いケースが散⾒される
  6. 6 ⽇本企業のマークアップ率の成⻑は他国に⽐べて鈍く、利益が取れていない 出典: NBER Working Paper; 中⼩企業庁 8カ国平均 ⽇本 (8カ国中順位)

    1980年の MU率 2016年の MU率 ’80-’16年 の成⻑率 1.12 1.64 1.54 1.03 (4位) 1.33 (8位) 1.29 (6位) • マークアップ率とは販売価格 / 製造コスト (限界費⽤) をしたときの値で、1のとき販売価格=コストとなる • 8カ国中⽇本のMU率は最下位であり、付加価値が低い、または価格決定⼒の不⾜が⽰唆される
  7. 7 ⽇本企業は⾼騰する原材料費を価格に転嫁せず、企業努⼒(コスト圧縮)で対応する傾向がある 1. 2017年の値からの増加率(%)。2021年は1~9⽉の平均 出典: ⽇本銀⾏時系列統計データ; 総務省統計局 直近5年間の企業物価指数と消費者物価指数の推移1) 企業は、⼈件費削減や商品仕様の変更で対応 ⼈件費

    削減 1,000ml 商品仕様の 変更 900ml 各種企業の 企業物価指数の 変化率 (%) 企業と消費者の 物価指数の 変化率 (%) -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2021 2020 2019 2018 2017 鉄鋼 ⽯油・⽯炭製品 飲⾷料品 ⾮鉄⾦属 総平均 0 1 2 3 4 5 2021 2020 2018 2017 2019 企業物価指数_総平均 消費者物価指数 近年、企業物価指数 (仕⼊れコスト) は増⼤する ⼀⽅で、消費者向け価格への転嫁は進んでいない • 企業にとって「値上げ」はハードルが⾼いが、それは 消費者⼼理への影響の⼤きさを反映している • コスト削減や仕様変更は限界があり、今後の企業物価指数 が⾼騰には企業努⼒では吸収しきれない可能性が⾼い
  8. イノベーションや⽣産性向上が話題となるも、主要産業の収益⼒は向上してこなかった 8 出典: 経済産業省企業活動基本調査速報 2020年経済産業省企業活動基本調査 (2019年度実績) 主要産業の売上⾼営業利益率と売上⾼経常利益率

  9. 9 価格が上げられず消費も増えない、「負のスパイラル」に⽇本は陥っている ⽇本が直⾯する負のスパイラル • 価格競争から離脱する差別化・優位性不⾜ o 競合製品や同価格帯の対象と⽐較して 「買いたい」と思わせる要素に乏しい • 価格決定⼒不⾜

    o 利益最⼤化のために必要な 価格戦略・制度・組織が不在 価格決定⼒不⾜ コスト圧縮 ⼈件費圧縮 雇⽤悪化・消費減 需要低迷 価格競争の激化 負のスパイラルに陥っている主要因 • 適正価格に対する理解が不⾜ • 旧態依然とした規模の経済への偏重 シェア低下を恐れ、終わりのない値下げ競争 が続いている
  10. 10 2. ⽇本が「安く」、収益⼒が上がらない理由

  11. 11 ⽣産性を向上させるべく、70%以上の⽇本企業がDXに取り組んでいる 出典: 電通デジタル ⽇本企業のDXへの取り組み状況 DXへの取り組みの成果 DX取り組みへの成果は、意識や体制が「整ってきた」に過ぎず、 顧客が感じる価値の向上・創造には未だ⾄っていない

  12. 12 ⽣産性や満⾜度向上のための働き⽅改⾰も、DXと並んで取り組まれてきた 出典: デロイトトーマツコンサルティング「働き⽅改⾰の実態調査2020」 働き⽅改⾰の施策内容 働き⽅改⾰の⽬的 ⻑時間労働の是正 業務プロセス⾒直し、 標準化 在宅勤務など

    オフィス外勤務の推進 組織⾵⼟改⾰/ 意識改⾰ オフィス環境の整備 働き⽅改⾰の主⽬的は、⼈材の確保および競争⼒の強化であり、 業務を効率化しインプット (労働時間) を削減しながらも、アウトプットとモチベーションの維持・拡⼤を志向する
  13. 13 ⽣産性が向上しても、それを相殺するほど価格決定⼒が低下しているのが現実 出典: 経済産業省「イノベーションを⽣み出す新たな産業社会の創造に向けた取り組み」 収益⼒向上には⽣産性だけではなく、 価格決定⼒も向上する必要がある 全産業における価格決定⼒ (付加価値デフレータ) の推移 •

    各国とも労働⽣産性は同程度の⽔準で低下傾向にあるが、 価格決定⼒の差が1⼈あたりの付加価値に顕著に反映されている。 • ⽇本のみ価格決定⼒がマイナスであり、仮に⽣産性は向上したところで 価格決定⼒が上がらなければ収益⼒は上がらない。 収益⼒のドライバー (経済産業省フレームワークより)
  14. 14 企業も価格決定⼒不⾜を実感しているが、効果的な対応ができていない状況 出典: 経済産業省「イノベーションを⽣み出す新たな産業社会の創造に向けた取り組み」 • 他国に⽐べて「価格競争に巻き込まれている」と感じながらも、競争する⼿段 (=価格決定⼒) を有する企業は限定的 • 殆どの企業は売上向上の⼿段

    (=価格決定⼒) がないまま、コストダウンの⼿段 (=⽣産性向上) のみで競争している しかし激しい競争下でコストダウンを実現したところで、⽣産性向上の効果は相殺され、更なる価格競争に巻き込まれてしまう
  15. 15 製品に優位性があったとしても、それを価格に⼗分反映できている企業は半数以下 出典: 東京商⼯リサーチ「中⼩企業の付加価値向上に関するアンケート」; • ⾃社の製品やサービスに優位性を感じている企業は約半数。また、優位性があっても半数は価格に反映できていない • つまり、優位性があり価格に反映できている企業は25%程度

  16. 16 3. 注⽬すべき消費者・企業の変化

  17. 17 消費者の⼼理は価格重視から価値重視にシフトしつつある 出典: 野村総合研究所「⽣活者1万⼈アンケート調査」; 中⼩企業庁 「安ければ良い」 という層は減少傾向 「価値を感じるもので あれば⾼くても良い」 と考える顧客が

    ⼀定数存在 価値重視・選択的消費を志向する顧客への対応や、そうした顧客層の拡⼤が重要
  18. 18 ⼀⽅、消費者の価格感応度は⾼くなっており、市況に合致した価値訴求が必要 1. グローバルは⽇本を含む22の地域を指す 出典: PwC 世界の消費者意識調査2021 (6⽉) 消費者意識の進化: 過去6ヶ⽉間において各項⽬で

    「私はこの傾向が強くなった」と答えた⽐率 項⽬名 ⽇本 グローバル1) 52% 43% 36% 29% 29% 21% 21% 12% 54% 56% 51% 50% 46% 49% 43% 36% 私は価格志向だ 私は節約志向だ 私はデジタル志向だ 私は環境に優しい 私はデータ意識がある 私は健康志向だ 私はローカル志向だ 私は経済に楽観的だ 全項⽬平均 30% 48% 本調査から⽰唆されること • ⽇本、グローバルともに顧客は 価格に敏感になっており、 不要な出費を控える傾向にある o 背景には可処分所得の減少や、不 確定性増⼤への懸念がある • ⽇本とグローバルでは消費者意識の変 化度は異なり、ターゲットとする市場 によって異なる価格戦略が必要 o 感染者・死者数、ロックダウンの 有無による影響の⼤きさが関係 • ⽇本では価値à価格反映の正当性を訴 求した上での価格改定が必要 • ⼀⽅、グローバルで市場では デジタル・環境・健康志向の⾼まりに 対応した価値向上が必要となる
  19. 19 事例1: 価格競争だけではなく価値競争の領域にも乗り出した⽶ウォルマート 出典: WWD Japan • かつてEDLP (Every Day

    Low Price) を 打ち出したウォルマートは、⾼価格帯製品を 取り扱うマーケットプレイスを展開 o GUCCI, COACH, LOUIS VUITTON など • ライバルと⽬する Amazon.com との差別化に向 け、ファッションアイテム等を中⼼に 若年・都市在住・⾼所得顧客の取り込みを図る • 今後も⾼付加価値、⾼価格のポートフォリオを 充実させ、ロングテール戦略を推し進めている • 先述のように、⽶国はデジタル志向、健康志向の 顧客が増加しており、ニーズにマッチしている
  20. 20 事例2: かたや、英国ではスーパーマーケットの価格競争が激化 出典: 週刊エコノミスト online; BBC News • 以前、英スーパーマーケットは⼤⼿

    5社の寡占状態にあったが、ドイツの ⼤⼿スーパー参⼊で価格競争が激化 • 「対象商品が他店よりも⾼ければ差分 を割引」するスキームを導⼊ o ドイツ⼤⼿スーパーのスキームを 英⼤⼿スーパーも導⼊ • 対象商品を拡⼤するなど値下げ傾向 が進み、更なる価格競争の激化が 予想される
  21. 21 事例3: EC最⼤⼿のAmazon.comはダイナミックに価格変動させるアルゴリズムを採⽤ 出典: DIGIDAY • Amazonは、ダイナミック・プライシングの アルゴリズムを採⽤し、ほぼリアルタイムで 価格を変動させている o

    先述のウォルマートのECでも類似する アルゴリズムを⽤いている • 需給、顧客の購⼊意思、競合価格などを 考慮した上で価格を決定 o 利益率の期待値が最⼤になるような⾦額を⾃ 動的に算出していると予想される • しかし、コロナ禍でマスクや消毒液の価格が 急騰したように、利益率を最⼤にすることで、 顧客の信頼や社会的なモラルを逸するケースも 起こりうる
  22. 22 4. 価格決定⼒を上げるために必要なこと

  23. 価格決定⼒を⾼めるにはプロダクトとマーケティングの⾰新が必要 企業もプロダクト・イノベーションの重要性を認識しており、重点 的に取り組んできた 出典: 経済産業省「イノベーションを⽣み出す新たな産業社会の創造に向けた取り組み」 収益⼒・⽣産性・価格決定⼒と イノベーション類型の対応 企業が重視している取り組み 23

  24. • 多くの企業がDXに取り組んでいるが、「何のために何を」が不明確 à ⼿段の⽬的化 • ⾃社の事業を知り、かつDX推進できる⼈材の不在 à デジタル戦略⼈材の不⾜ イノベーションは変わらず重要だが、投資が結果をもたらすまで時間がかかる 出典:

    ⽇本能率協会; 経済産業省「イノベーションを⽣み出す新たな産業社会の創造に向けた取り組み」 取り組みの例)DX推進の課題 研究開発への投資 • ⼈的投資、研究開発費の変遷を⾒ても、 ⽇本は主要国に⽐べて著しい減少傾向 • ⻑期的な視座でイノベーションのタネを 育てなかった結果、競争⼒が低下している 24
  25. 25 既存製品・サービスのプライシングからも、価格決定⼒向上を図ることは可能 前提 • 負のサイクルから脱却するには、製品・サービスの価値向上と価格決定⼒が必要 • 価値向上にはR&D投資 à イノベーションが必要だが、不確定性も⼤きく時間もかかる •

    よって、まず現状提供できる価値を理解し、価格決定のプロセスや体制の整備を優先するべき 消費者が感じる・ 求める価値の理解 価格決定プロセスや 体制の整備 価格改定の実⾏、 選択と集中 収益向上と R&Dへの投資 • 競合ベンチマークや サーベイに基づく、 妥当な価格の推定 • ⾃社の差別化要因特定、 付加価値の定量化 • 顧客、競合、⾃社の 価値に対する理解深化 • 求める価値に応じて 価格を変更するロジック や必要な⼿順を明確化 • 迅速な価格改定のために 現場に権限を移譲 • 価格決定+改定サイクル を効率よく実⾏可能に • 現在価格と価値にギャッ プのあるものの価格改定 • ギャップが⼤きく、改善 の余地が無いものは撤退 や規模縮⼩を検討 • 価格決定⼒、収益⼒の多 寡に応じてポートフォリ オを最適化 • 収益⼒の⼤きいものや、 その価値の源泉となるも のに追加投資 • ユーザーが求める価値の ために新規投資 • 価格競争 à 価値競争 へのシフト
  26. 26 売り⼿⽬線ではなく、消費者の感じる価値を基準にした価格戦略が重要に 1. 原価xの製品・サービスで粗利率αを達成するための価格は x/(1-α) 考え⽅の スキーム コストベース・プライシング バリューベース・プライシング 前提となる

    考え⽅ 価格を 決定する主要因 製品やサービスの原価と利益率から価格を決定 ※売り⼿が「売りたい」価格 原価 (家賃、原材料費、直接⼈件費、輸送費 など) 顧客が感じる価値を基準に、 短〜⻑期的に利益率を最⼤化する価格を決定 ※消費者が「買いたい / 買ってもよい」価格 競合価格、市況、需給バランス、 製品やサービスの (差別化できる) 付加価値 100 125 25 価格 利益 原価 粗利 20% 原価とマークアップ率から価格が決まる1) 競合/類似商品や 消費者サーベイに よる推定 ※変動する場合も 150 200 50 顧客の知覚価値 価格 顧客のお得感 価格<価値 となるよう バランシング 価格の決定・ 販売状況を勘案して 価格を調整
  27. 27 バリューベースプライシングの実現には、顧客が感じるバリューへの深い理解が求められる 1. 製品やサービスの特性に由来する要因 バリュー理解の 必要性 • バリューベースプライシングの実現には、顧客が感じる価値=バリューへの理解が必要 • 顧客が感じる価値は⾃社の製品やサービスの特性だけではなく、市況などで動的に変化する

    • 価値の構成要素を分解し、その時の影響を正確に⾒積もることが、精度の⾼いプライシングに重要 顧客が感じる価値に影響する要素の例 代替可能性 • 製品やサービスの代 替⼿段の有無と⼊⼿ 難易度 • 低いほど価値が ⾼くなる傾向 ⽣活必需性 • 製品やサービスの有 無による ⽣活の質への影響 • ⾼いほど価値が ⾼くなる傾向 価格 • 製品の価格 • ⾼いほど価値がある と感じるシグナル効 果も存在 他者との差別化 • 製品やサービスの保 有・利⽤による他者 との差別化 • ⾼いほど価値が ⾼くなる傾向 市況 (消費者の可処分所得) • コア消費者の関連す る市場の動向 (好景気・不景気) • ⾼いほど価値が 低くなる傾向 需給バランス • 製品やサービスの需 要と供給の差 • 需要 > 供給で差分が ⼤きいほど価値が⼤ きくなる傾向 社会的なインパクト • 製品やサービスの利 ⽤・保有により、社 会に与えるインパク ト • 環境負荷、カーボン フットプリント、フ ェアトレードなど • 正のインパクトが⼤ きいと価値が⼤、負 のインパクトが⼤き いと価値は⼩ リードタイム • 製品やサービスの提 供までの期間 • ⼩さいほど価値が ⼤きくなる傾向 内的な 要因1) 外的な 要因 ボラティリティ • 製品やサービスの⼊ ⼿可能性の変動 • ⼤きいほど価値が ⼤きくなる傾向
  28. 28 プライシングはテクニックだけではなく、戦略・組織・制度も合わせた取り組み ハードの3S 変化の意思やプランが あれば変更可能 ソフトの4S 価値観が絡むため、 短期間ないし 強制的に変更が困難 7S

    Model: 企業変⾰に必要な要素 業務/情報の流れなどの制度 (含むシステム構築) 戦略 Strategy 制度 Systems 組織構造 Structure スキル・能⼒ Skills 共通の 価値観・理念 Shared value 競争優位性を維持するための 事業の⽅向性 技術⼒/マーケティング⼒など 組織に備わっている能⼒ 組織の形態や構造 社⾵や 組織の⽂化 社員で共通認識を持つ 会社の価値観 社員/経営者などの 個々の⼈材の能⼒ 経営スタイル・ 社⾵ Style ⼈材 Staff • ⼀般的に企業変⾰には7つの要素が必要と⾔われており、プライシングも例外ではない • まずは意識的に変えることが出来る「戦略」「制度」「組織」を揃えて変えていく必要がある
  29. プライシングの戦略・組織・制度を変えていくために、まずできる打ち⼿の例 1. CPO=Chief Pricing office; CRO=Chief Revenue Office 戦略 •

    ⾃社ポートフォリオを価格競争的 と価値共創的に分類 • 投資すべき/すべきでない 製品・サービスの選定 • KPIの設定 • バリューベースプライシング • 全社の⾜並みが揃わないと、価格 決定に齟齬が⽣じる • 齟齬があるとカニバリやブランド ⼒低下に繋がる • KPIがなければ、効果検証が出来 ずPDCAを回せない 何ができるか? なぜ必要か? 組織 • CPOやCRO1)、プライシング部⾨ など価格戦略の担当を設置 • 価格決定や改定のレポートライン 作成や、現場レベルへの権限移譲 を推進 • 責任者不在のままでは、 誰もリスクテイクしない • 価格を経営上の⼤きなイシューに 据えての実⾏体制が必要 • 最も価格ダイナミズムを感じられ る現場での知⾒も必要不可⽋ 何ができるか? なぜ必要か? 制度 (含むシステム) • ロジカルで明確な価格決定プロセ スの導⼊・周知 • アルゴリズムでの価格決定 • 電⼦値札など、ダイナミックな 戦略を反映できるインフラ導⼊ • モニタリング -> 意思決定 -> 価格改定を迅速に⾏うためには⾮ 属⼈的なプロセスが必要 • デジタル化が進まないことが、上 記プロセスの律速になる 何ができるか? なぜ必要か? 29
  30. 30 まとめ:負のスパイラルを⽣んでいる要因のひとつは「価格決定⼒」の不⾜だった • 仕⼊コストや⼈件費圧縮には限界があり、 スパイラルからの脱出作にはなり得ない • 価格競争の激化、は価格決定⼒が不⾜した 企業同⼠だからこそ起こっている • 価格決定⼒を向上させ、価値競争へと

    シフトしていくことが、このスパイラル から脱却するための最適な⼿段である 価格決定⼒不⾜ コスト圧縮 ⼈件費圧縮 雇⽤悪化・消費減 需要低迷 価格競争の激化 負のスパイラルからの脱却可能性 価格決定⼒向上により 正のスパイラルへとシフトできれば、 賃⾦や需要の低調も改善され得る (次⾴にて図解) ⽇本が直⾯する負のスパイラル(再掲)
  31. 31 提案:価格決定⼒をあげ、正のスパイラルへの移⾏を⽬指す ⽬指すべき正のスパイラル • 価格から価値競争へ o 価格競争から抜け出す意志を持ち、組織の コンセンサスを図る o 競合に対する優位性や差別化要因を確⽴

    o 新しい価値へのニーズに答える技術や組織 に投資 • コストベースから価値ベースの価格決定へ o 顧客が感じる価値をベースに価格を決定 o 製造原価の変化だけでなく、需給バランス や価値観の変容を捉え、柔軟に価格に転嫁 o 価値に影響を与える要素の変化を把握し、 価格に反映 強い価格決定⼒ 収益⼒と 企業価値向上 R&D投資額や 賃⾦の増加 消費増 需要増と 新価値への期待 価格競争から 価値競争へ
  32. 32 おわりに ここまで、「安い⽇本」の問題点と、その解決策としての価格決定⼒を取り上げました。 しかし、値決めのプロセスには正解がなく、最適解・近似解の探索の連続であり、不安を伴うプロセスです。 ですが、⽇本企業の収益⼒、ひいては企業価値を⾼めるためには価格に対するテコ⼊れが必要だと確信しています。 まずは、問題意識をもって顧客・競合・⾃社を理解し、ロジカルかつ意志のある価格決定の取り組みが必要です。 最初は⼿探りでも、トライ・アンド・エラーを経て⾃信を積み上げることが、価格決定⼒の向上に繋がります。 価格決定⼒の向上は、各企業の収益⼒に直結するだけでなく、⽇本全体としての課題です。 価値ある商品や労働が⾼く評価され、適切な対価が⽀払われ、好循環で持続可能な社会を⽬指して。

  33. 33 5. 企業紹介・問い合わせ先

  34. 会社名 ハルモニア株式会社 設⽴ 2015年4⽉ 所在地 東京都千代⽥区有楽町1-12-1 新有楽町ビル11F 資本⾦ 2.7億円 事業内容

    プライシング変⾰⽀援 プロフェッショナルサービスおよびSaaSの提供 ダイナミック変⾰⽀援 組織開発・新規事業開発コンサルティング 主要株主・パートナー 企業概要 34
  35. ビジネスのすべてをダイナミックにし、 世界のサステナビリティを⾼める。 Building the dynamic economy for sustainability. 「価格」はインセンティブ(お得感)として、ポジティブな形で⼈や企業の⾏動変容を起こ します。私たちは、プライシングのためのテクノロジー

    = PriceTech の普及に取り組み、 経済合理性とサステナビリティの調和した社会を⽬指します。 ミッション 35
  36. ビジネス変⾰コンサルティングと、アジャイルなエンジニアリングの2つの強みを組み合わせ、 パートナー企業のプライシングを戦略策定からシステム化まで⼀気通貫で⽀援。 提供する強み プロジェクトの時間軸 1〜3ヶ⽉ 3〜6ヶ⽉ 3ヶ⽉〜 コンサルティング エンジニアリング 事業⽬標に合わせた

    プライシング戦略策定 仮説検証(PoC)のための プロトタイプ開発・実証 プライシングシステム の実装・継続的な提供 Feedback 仮説の更新 Scale-up 適⽤範囲の拡⼤ プライシング変⾰を⽬指した伴⾛型サービス 36
  37. 分析アウトプット例 価格に特化したコンサルティング&エンジニアリングチームにより幅広い業界で企業を⽀援 37 モビリティ •⾼速バス業界に対するプライシングシステムの提供と運⽤サ ポート •タクシー業界(乗合タクシー)における収益最⼤化を企図し たプライシング戦略策定 •駐⾞場業界(コインパーキング)に対する価格決定モデルの プロトタイピングとPoC実施

    IT・ベンチャー •ソフトウェア業界(SaaS)におけるサブスクリプションモ デルの戦略策定 レジャー •ホテル業界に対するプライシングシステムの提供 •レジャー業界におけるアフターコロナの⽀払意向変化の消費 者調査 •旅⾏代理店業界におけるダイナミックプライシング導⼊に向 けた戦略検討 リテール •EC業界におけるマークアップ率設定モデルの構築検討 •D2C業界におけるプライシングロジックの組み⽴て •⾷品スーパーにおける廃棄ロス低減を⽬指したプライシング サービスの開発 コンサルティング事例・ナレッジ
  38. チーム紹介(⼀部) 松村 ⼤貴 代表取締役 CEO ヤフーでUS企業との事業開発やブランディング、復興⽀ 援に携わった後、ハルモニア株式会社を創業。インターネ ット広告の仕組みから着想を得て「MagicPrice」サービス を⽴ち上げ、企業へのコンサルティング、ビジョンメイキ ングを⾏っている。

    布川 悠介 執⾏役員 CPO 外資系企業の地理データ分析プロダクトのPM、コミュニ ティマネジャーを担当。⾞両管理のスタートアップ SmartDriveにてフロントエンドエンジニア・PMを経験。 ハルモニアに⼊社後は、プロダクトオーナーを担う。2021 年 4 ⽉ よ り CPO ( 最 ⾼ プ ロ ダ ク ト 責 任 者 ) に 就 任 。 「プロ直伝 伝わるデータ・ビジュアル術」を共著で出版。 森脇 和也 リードエンジニア ヤフーにて決済領域のアプリケーションエンジニアとして 設計から保守まで担当した後、決済サービス「PayPay」 に⽴ち上げから参画して活躍。ハルモニアにジョインし、 テックリードエンジニアとして各業界に向けたソリューシ ョン開発全般に携わっている。 ⽥仲 紘典 取締役 CTO ⼤学院在学中にパケットによるDoS攻撃検知システム (IDS)を開発・研究し、卒業後ヤフーに⼊社。主にアド テクのインフラエンジニアとして活躍。その他社内システ ムの開発・保守や新卒研修のメンター、次世代リーダー育 成Yahoo!アカデミア等を経験。ハルモニアの⽴ち上げ期か らエンジニアとして参画し、2016年6⽉取締役に就任。 武⽥ 奈々 UI/UXデザイナー 英Huddersfield⼤学でビジネスマネジメントを修学。 GMOインターネットで「お名前.com」のディレクション やUI/UXデザイン、トラストバンクでふるさと納税サイト 「ふるさとチョイス」のリニューアルなどに取り組む。 ハルモニアへ⼊社し⼀貫してUI/UXデザインをリードして いる。 ⽔野 隼輔 シニアコンサルタント 外資系戦略コンサルティング会社PwC Strategy&にて観 光・製造業・⾦融などの戦略⽴案に従事。中国滞在時にダ イナミックプライシングの可能性を感じたことがきっかけ でハルモニアに⼊社。BizDev担当として観光業界・モビリ ティ業界のクライアント企業に対する価格戦略⽴案〜シス テム運⽤⽀援に取り組んでいる。 ⼀覧 https://www.harmoniainc.jp/team/ 38
  39. ビジネスのすべてをダイナミックにし、地球のサステナビリティを向上させる 私たちはプライシングのダイナミック化を起点に、リアルな世界における"⼈の動き、モノの動き、⾞輌の動き"を変えることにフォーカスし、 時間や資源のムダが最⼩化された「ダイナミックエコノミー™」の実現を⽬指します。 お問い合わせ ハルモニア株式会社 事業開発チーム pricetech@harmoniainc.jp