諸外国と比べて日本は消費者物価指数が上がっておらず、また、過去20年間の賃金増加率は4%と、OECD平均 (33%)を大きく下回っています。これらの課題については2017年の通商白書(経済産業省)や2019年の内閣府の資料でも言及されるなど注目が集まっており、雇用の流動性や労働生産性の向上、イノベーションの促進など様々な観点で議論や取り組みが行われてきました。
一方で、企業が行うプライシング(価格設定)の積極性と、その巧拙にも要因があるのではという視点から調査を行ったのが今回のレポートです。
■サマリー
・日本企業は高騰する原材料費を価格に転嫁せず企業努力(コスト圧縮)で対応する傾向が見られ、価格が上げられず消費も増えない「負のスパイラル」にある
・働き方改革やDXなどの取り組みに注目が集まり、生産性が向上しても、それを相殺するほど「価格決定力」が低下しているのが現実
・消費者の心理は価格重視から価値重視にシフトしつつあり、企業も安さ訴求を改めることのできる機会は存在する
・イノベーションへの投資を継続しつつ、既存製品・サービスのプライシングを見直し、戦略や組織、姿勢を変えることで価格決定力向上を図ることが鍵となる