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Scala 3 にコントリビュートしよう

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February 27, 2024
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Scala 3 にコントリビュートしよう

Scala 3 はプログラミング言語 Scala のコンパイラである. この Deck では Scala 3 のコンパイラ https://github.com/lampepfl/dotty.git にコントリビュートする際の Tips や最低限必要な知識を紹介する.
このトークは [Lightning Talk@2024/02/27 Scalaわいわい勉強会](https://scala-tokyo.connpass.com/event/307069/) で発表された.

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February 27, 2024
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Transcript

  1. WHOAMI GitHub: i10416 X(Twitter): @by110416 Scala & Rust developer 最近の

    Scala OSS コントリビューション https://github.com/lampepfl/dotty/pulls?q=+is%3Apr+author%3Ai10416+ 前回の登壇資料 Lightning Talk@2023/10/13 Scalaわいわい勉強会: Scala をインタラクティブにデバッ グする方法あれこれ
  2. なぜコンパイラに...? Prefer to push fixes upstream instead of working around

    problems downstream https://www.haskellforall.com/2020/07/the-golden-rule-of-software-quality.html アップストリームが修正・改善されることでより多くの開発者が恩恵を受けることがで きる 改善の余地が無限にある(Issue 1.3K+) コンパイラ、ドキュメンテーション、Dev Tools、JVM など広く深い学びがある JSON・Protobuf 詰め替えやクラウドピタゴラスイッチにはない複雑さ
  3. PR を送るまでのステップ 1. Issue を探す 2. tests/{pos|neg|warn|run}/{issue number}.scala ファイルにテストを書く 3.

    あたりをつけて dotty/compiler/src/dotty/tools/dotc 以下を修正する 4. sbt testCompilation {issue number} で特定のテストケースだけ実行する 5. テストが通ったら終わり. テストがコケたら 3 に戻る 6. testCompilation で他のテストがコケないかチェックする 7. コミットを整理 & 丁寧な PR のコメントを書く
  4. Issue の探し方: 初心者~中級者向け 以下のタグで検索すると初心者~中心者向けのタスクが見つかる. spree: spree 向けのタスク候補 good first issue:

    Subject Says It All! exp:intermediate: 中級者向けだがそこまで実装がこみいっていないものが多い. ※ Spree は Scala Center がオープンソースへのコントリビューションを奨励するイベント.
  5. あたりのつけ方: Issue や PR Issue には area:{area} というラベルがついていることがある. area:typer であれば

    compiler/src/dotty/tools/dotc/typer のコードをいじると修正ができそう、とあたりがつけら れる. また、Issue には関連する Issue や PR が紐づけられていることがある. これらを参考にすると 問題箇所をシュッと特定できたりする(e.g. バックポート・フォワードポート)
  6. あたりのつけ方: ログ・トレース・Print デバッグ・Grep scalac に -Xprint:{PHASE}{,PHASE}* を渡せば指定したコンパイラフェーズの後の AST を確認できる. また、

    -Ylog:{PHASE}{,PHASE}* を渡せば指定したフェーズのログを有効化できる....がこ れはあまりいい感じのログを出してくれないのでダメそうなら素直に print デバッグを仕 込もう import dotty.tools.dotc.core.Decorators.* でちょっとリッチな string interpolation が使える. ちなみに scalac をグローバルにインストールしていなくても大丈夫. dotty のコードベースの sbt シェルから scalac を直接呼び出すことができる エラーメッセージで dotty のソースを grep するのも手.
  7. テストコードの書き方 コンパイルが通るべきものが通っていない問題の時は tests/pos/{issue number}.scala にファイルを追加 コンパイルエラーになるべきものがならない、あるいは"間違った"エラーが出ている場 合は tests/neg/{issue number}.scala にコードを追加

    警告の内容を検査したい場合は tests/warn/{issue number}.scala にコードを追加 コンパイルだけでなく実行時の結果も検査したい場合は tests/run/{issue number}.scala にコードを追加
  8. テストコードの書き方: コンパイルエラー・警告のマーク エラーになるべきところに // error コメントを追加する type Foo[A] = A

    match { case Int => String } type B = Foo[Boolean] // error https://github.com/lampepfl/dotty/blob/8b8caa98d2f40c026e1022339942e3bbcf6c65 78/tests/neg/10747.scala#L5
  9. テストコードの書き方: コンパイルエラー・警告のマーク 警告を出すべきところに // warn コメントを追加する package +.* { //

    warn // warn class Bar } https://github.com/lampepfl/dotty/blob/8b8caa98d2f40c026e1022339942e3bbcf6c65 78/tests/warn/symbolic-packages.scala#L7 複数のエラーや警告を期待する場合は // warn // warn // warn // ... と、期待する個 数分コメントを書く
  10. コンパイル時オプションの指定 Scala CLI と同様に using directives でコンパイラオプションを指定できる. //> using options

    -Wnonunit-statement -Wvalue-discard -source:3.3 https://github.com/lampepfl/dotty/blob/26642043cded4bf3daba90b9e9f16013cb627e e9/tests/warn/nonunit-statement.scala#L4
  11. コンパイラの出力のチェック 1. 空の tests/{pos|neg|warn|run}/{issue number}.check ファイルを作成する 2. testCompilation {issue number}

    --update-checkfiles を実行する 3. 生成された tests/{pos|neg|warn|run}/{issue number}.check を期待する出力に なるように調整する 4. コードを修正する 5. テストを実行しエラーがなくなるまで 4, 5 を繰り返す. https://dotty.epfl.ch/docs/contributing/testing.html#checking-compilation-errors-1
  12. そのほか注意事項 Java のコードを含むテストケースを作る場合、 tests/run で Scala.js のテストが通らないので // scalajs: --skip

    でスキップする必 要があること pickling が壊れるので compiler/test/dotc/pos-test-pickling.blacklist や compiler/test/dotc/run-test-pickling.blacklist 除外する必要があること に注意しよう.