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AI時代のエンジニア育成課題を『モデリング』と『生成AI』でなんとかする
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おだかとしゆき
July 18, 2025
5
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AI時代のエンジニア育成課題を『モデリング』と『生成AI』でなんとかする
Developers Summit 2025 Summer
おだかとしゆき
July 18, 2025
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Transcript
AI時代のエンジニア育成課題を 『モデリング』と『生成AI』で なんとかする ~ 文脈知識の壁を乗り越えるには ~ 株式会社MonotaRO おだかとしゆき 2025.7.18 Developers
Summit 2025 Summer
自己紹介 おだかとしゆき 株式会社MonotaRO シニアアーキテクト as JGEEM(@EM4326168385309) 事業(J)会社(G)の元(Ex)EM / 53才 現職はアーキテクチャと格闘
定年までできることしたいことを探る日々 定年後もキャリアは続く/ AIIT 科目等履修生 / 貢献てなんだろう 技術書を書いてみたい ← 「技術書同人」というジャンルを知った see also scrapbox,speakerdeck 2
おしながき • 文脈知識、どうやって獲得してますか? • 意味の構造とモデリング • 「ビジネスベース」に昇華する • やってみる •
まとめ と 展望 3
文脈知識 どうやって 獲得してます?
エンジニアの役割は変化しつつある • エンジニアが 本質的な複雑性 に向き合うべき理由 ◦ “DevelopersSummit2025” でモノタロウの状況をご紹介 ◦ 生成AIの進化で、その傾向はより顕著に
• 本質的な複雑性に向き合うには 文脈知識 が不可欠 ◦ 文脈=コンテキスト ◦ その事業、業務が行われる背景も含む知識 ◦ 事業要求だけでなく、その要求の背景まで理解する ことで、より価値ある選択・判断を行えるようになる 5
文脈知識、どうやって獲得してます? • シニアなみなさんはすでに、業務エキスパートとの 対話が進んで、暗黙知や身体知として身に付いてるかも? ▪ 事業なんも分からん → とりあえずOJTで ▪ 分からないまま開発業務に従事
▪ 疑問を持つ→聞く→部分的な答えを得る ▪ 部分的な情報が脳内で結晶化される ▪ 業務エキスパートの対話が答え合わせとなり、 「ギョウム、チョットワカル」状態に至る 6
文脈知識、どうやって獲得してます? • ジュニアなみなさんを初めとした これから参画するメンバも同様にいけそう? ◦ コードを書く機会、減りましたよね ◦ ドキュメントも文字起こしから自動生成しますよね (しかも冗長なんで目が滑りませんか) ◦
生成AIのPR、しっかりレビューできてますか ◦ 生成AI前提時代のオンボーディングとは? 7
めっっっちゃ心配 • どうなっちゃうんでしょうね ◦ 「新人のみなさんは claude.md 読んどいて~」 みたいな感じ? • でもそれって、
コード生成に必要な情報が書かれたモノであって、 何でそうなってんの?っていう 背景情報(=コンテキスト)も書かれてます? 8
AI-Agent開発の現場では • 唐突ですが最近は、AI-Agentの開発案件が多いそうで ◦ ここでいう「AI-Agent」は、 (ルールベースでは解きにくい)定型業務を 生成AIに対応させることを意図したシステムとします • 当然ならがら、生成AIに業務を把握してほしいので、 業務マニュアルを再整備したり、生成AIが読みやすいよう
整形したりと、形式知化が進んでいることでしょう 9
「形式知化が進む」その流れは歓迎 • 全人類はAI-Agentによる業務の代替を促進するためにも、 業務マニュアル等の整備をどんどん進めるべき (一子相伝的な口伝えの現場も多いでしょうし) • でも、、やっぱりそこに 文脈知識(=コンテキスト)は含まれていないのでは? ◦ だって、普通に業務を実施するだけなら、
ビジネスルールが「そのように決められた背景」まで 知る必要ないですよね 10
なにが起きるか • 当初はAI-Agentの判断を人が確認するとして 自動化が進めば、人の目に触れず業務が片付いていく ◦ つまり知識がAI-Agentにカプセル化されていく • AI-Agentが想定しないユースケースには人が対応 ◦ 今はまだ百戦錬磨の業務エキスパートがいる
◦ AI-Agentが対応できるユースケースが拡大し、 業務エキスパートの代替わりが進むと、、? 11
つまり • 業務知識はAI-Agentにカプセル化 • 「業務エキスパート」は絶滅危惧種となり、 最終的には「責任を取る人」だけに • ビジネスルールが決められた背景といった 文脈知識(コンテキスト)は現場から失われ •
開発チームが文脈知識に触れる機会は望めなくなり • 「このルール正しいの?」「古からのしきたりじゃ」 12
意味の構造と モデリング
文脈知識も形式知化しなければ • 【再掲】文脈知識とは 14
文脈知識の壁を乗り越えるには • 知識が継承されているなら残せばいいが、、 • すでに失われた知識、不合理な知識は? ◦ 要求の背景を探求する ▪ その要求のビジネス的な意義は何か ▪
一見矛盾するルールが併存するのはなぜか • 複数の要求や、制約や前提などとの関係を推論して、 その意図 ≒ 意味の構造を探求する 15
意味の構造? • 「意味の構造」という言葉、聞いたことあります? ◦ わたしは、とある ウェビナー で初めて聞きました (出典:イベント | 株式会社レヴィ)
◦ 今も大いに参考にさせていただいてます。ありがとうございます • 言葉は知らずとも ◦ 判断に迷ったら上位概念に照らして考える ◦ 上位目標を詳細化して、自らの目標設定する のように使われている方は多いのでは 16
MVV とか Purpose とか • あるじゃないですか ◦ 意味の構造における上位概念 ◦ 社是とかも(朝礼で唱和しがち?)
普段の業務で役に立ってます? 17
あ、答えなくて大丈夫です • 大丈夫です。それはきっと、 意味の構造において ギャップが大きいから? (つながっていないから?) 18
知ってはいるが、使うに至らない • あるいは、使ってはいるが表出には至らない • ギャップを埋め、あるいは表出させるのに役立つのが 「モデリング」・「生成AI」 • 使わない手はないですよね いい時代ですね 19
ビジネスベースに 昇華する
モデリング? 21 • モデリングワークショップにより、 事業、業務の意味を発見する、あるいは共創する ◦ 業務フローやルールの「なぜ?」を可視化する つまり意味の構造を表出させ、つながりを見出す ◦ どうやって?
← モデリング思考で モデル(図)で表現された 概念と概念の関係性を 考察(分析・総合)する。洞察を得る。推論する。 推論: 既知の事実から新たなルールを発見したり、 新たなケースを既知のルールに照らして結果を導出したり
生成AI? 22 • ワークショップは文脈知識を獲得する機会 ◦ 業務エキスパートやジュニアなエンジニアはもちろん ◦ 生成AIも「参加」させる ▪ 資料、動画、音声、文字起こし、ホワイトボード
の画像など、可能な限りデータを採取して NotebookLMのソースにしたり、 GeminiでGemを作ったり
生成AIが知識の継承を担う • 人が入れ替わっても生成AIは残る • 業務エキスパートも、ジュニアエンジニアも、 「あれ、なんでだっけ?」と思ったら何万回でも聞ける • ビジネスルール間の整合に疑問を持ったら、 納得できるまで議論に付き合ってくれる ◦
生成AIは推論も得意 → 新たな概念を発見する(深い洞察に至る)かも!? 23
単なる便利AIではなく • こうして作られた環境は、 文脈知識=ビジネス知識を蓄え、管理する ビジネス知識マネジメントであり、形式知化された ビジネス知識ベースとして Single Source of Truth
となり ビジネスの整合を保つ可能性を持っている ◦ ビジネスアジリティ・マニフェスト変革の実現のために (ロジャー・バールトン,ロナルド・ロス,ジョン・ザックマン著(訳)植松隆,塩田宏治,清水千博,庄司敏浩1) 24
もちろんAI-Agentの拡張にも • 文脈知識が形式知化されれば、 AI-Agentが対応できるユースケースの拡大も期待できる ◦ 業務マニュアル(業務仕様)にないユースケースにも より上位の概念に照らして是非を判断できるかも 自ら知識を蓄えて自働化を始めたら怖いかも? いや、複数Agentによる合議制ならあるいは、、 25
やってみる
改めて「目的」を確認する • 目的=文脈知識を表出させる ◦ ビジネスとして ▪ なぜその要望が出たのか ▪ どのような状況を達成できればよいのか ◦
システムとして ▪ 何を、どのように実現すべきか ▪ なぜその判断に至ったのか 27
これまで 私がお勧めしてきた手法との違い • これまで: DDDにおける戦略的分析・設計プロセス ◦ ビジネスプロセスから集中すべきプロセスを特定し、 詳細化→分析→構造化 • 今回:
より現場に即した分析・設計プロセス ◦ bizから要望を聞く→要求・背景を引き出す (意味の構造を表出させ、つながり可視化する) ◦ 現状分析→ToBe検討→落としどころ判断→移行計画 28
戦略的設計はやらんでいいのか? • 戦略的な分析・設計は大事 ◦ 会社に儲けさせ、事業を存続させるために不可欠 • でも誰もがその場に居合わせるわけではない • SAチームは、Biz要望の実現が最優先 ◦
要望と戦略、要望と他施策との関係?今やる意義?? ◦ ではソフトウェア設計はどこまで求める? ◦ 獲得した知見をどう遺す? 29
「やってみた」の前に • BPMの定義でモデリングの粒度を揃える ◦ ビジネスプロセス・モデルの 階層(レイヤー)とステップ ( 出典: 公益団法人企業情 報化協会
BPM推進プロジェクト ) • 戦略マップ ◦ 戦略マップとは?令和時代における戦略マップの活用方法 - Miro (出典: Miro | イノベーション ワークスペース ) • イベントストーミング ◦ イベントストーミングから始めるドメイン駆動設計 (JJUG CCC 2025 Spring の登壇資料で触れてます。ご参考ください🙇) 30
やってみた(全体の流れ) • まずは 戦略マップ で意味の構造を表現 • からの ◦ asis分析として ビッグピクチャ
→ コンテキストマップ が鉄板 ◦ ToBe検討では、 プロセスモデル と 概念構成図 も書きます 31
やってみた(意味の構造) • 意味の構造を表出させる (BPMでいうところのFL2:詳細事業機能ぐらい) ◦ 要望と戦略、要望と他施策との関連も考える • 描くモデル ◦ 戦略マップ
32
やってみた(AsIs分析) • 事業を構成する機能、および機能間の関係を分析する (BPMでいうところのFL3~4:業務機能ぐらい) • 描くモデル ◦ ビッグピクチャー ◦ コンテキストマップ
33
やってみた(ToBe検討) • 業務としてどう変えたいか(変えるべきか)を検討する ◦ AsIs分析したモデルをもとに ◦ 現行とのギャップが大きすぎる場合は いきなりToBe検討してもいいかもしれない • 描くモデル
◦ ビッグピクチャー ◦ コンテキストマップ 34
やってみた(ToBeを詳細化) • 設計・実装方針を検討する ◦ まずは「とにかく全部盛り込んでみた」を ▪ 方針を検討できるレベルで、ざっくりと ▪ 時間をかけ過ぎず(数時間レベルで)ざっくりと ▪
意思疎通できる最低限で ざっくりと • 描くモデル ◦ プロセスモデル(BPM(ry)のFL5~6:作業ぐらい) 35
やってみた(落としどころ) • 設計・実装方針を検討する ◦ ビジネスインパクトをどう想定するか ◦ 素早く価値を実現するために必要なことは何か ◦ ToBe検討とのギャップこそ「負債」 ▪
負債を負う意味はあるか、レバレッジできているか ◦ 何に・いつ対応するか ▪ 何が負債で、利子はいくらで、どう返すか ▪ オーバーエンジニアリングは(楽しいが)避ける • この記録こそADR(Architecture Decision 36
やってみた • 「ざっくり」ってどんな粒度?の サンプルとして温かい目で見守ってやってください https://miro.com/app/board/uXjVIhYyi6w=/?share_link_id=883122885223 37
では細かく見ていきましょう と言いたいところですが 今日の主題はモデリング実践の紹介ではない!?ので、 さらっと参ります🙏 個別に説明してくれ、一緒に検討してやる、 わからんけどとりま話そう、などなど 多様なお声がけをお待ちしております🙇 38
39 進め方: とあるアパレルチェーンで
40 要求を 引き出す
41 戦略マップ
42 ビッグピクチャ
43 コンテキストマップ
44 ToBeビッグピクチャ
45 ToBeコンテキストマップ
46 ぜんぶもりもり設計
47 落としどころ1
48 落としどころ2
49 落としどころ3
ギャップが埋まり・表出される • 意味の構造により、戦略と設計が接続される ◦ 「要望と事業戦略」「要望と他施策」の関係が分かる ◦ それをどうやって実現すべきかが分かる • つまり、事業戦略により決まる 「ビジネスルール」や「ビジネスプロセス」が、
実現手段である「現場の設計」として表出される 50
そして、生成AIと共創する • ワークショップの記録を生成AIに共有する ※人の記憶はね、、 ◦ 動画、音声、文字起こし、個人のメモなど ◦ 各種モデル ◦ ADRなど各種文書
※生成AIにまとめてもらってもいいかも ◦ (あれば 統合報告書 や プレスリリース なども) • 生成AIに十分な文脈知識を与えると、 びっくりするような精度でまとめてくれる ◦ 十分な知識が蓄積されれば、 新たな洞察すら得られるかもしれない 51
まとめ と 展望
生成AI活用はどんどん進む • コーディングにおけるスニペット提案 • チャットによる相談 • CodingAgentによる自動化・自律化 • 開発環境から独立→並列実行可能に •
VibeCodingによる高速なアウトプット (まだまだありそうですけど) 53
人類は ますます「記述」しなくなる • ドキュメントを書くのはもともと疎か • コードも書かなくなってきた • 記述しないどころか、 AIに作ってもらったPRsをレビューするのもしんどい 54
システムはさらに自動化 • 事業における業務プロセスが 情報システムに置き換えられている • AgenticCodingによるアウトプット爆増で流れが加速 • ビジネスルールも、ビジネスプロセスも、 すべてのビジネスに関する 知識・構造が
情報システムにカプセル化 されていく 「このルール正しいの?」「古からのしきたりじゃ」 55
人類は「ボタン押し係」 • 人類の役割は ◦ 承認ボタンを押して責任を引き受けること ◦ 自動化しきれない面倒ごとを引き受けること • ビジネスルールやビジネスプロセスの 目的を理解できない人類は、
ビジネスのコントローラビリティを失う?? 56
伝えるべきは モデル と ナラティブ • 要望が持つ目的とその背景(コンテキスト)を 意味の構造としてモデルに表出させる • 戦略(why)の表出である モデル(what)を忠実に
実装する ◦ 目的に対して忠実に ◦ 手段(how)はクリエイティブに 操作を自動化しただけのスクリプトや、言われるがまま追加した区分は創造的? エンジニアは best of the best(理想) と 現実の差(負債) を捉え、戦おう。 そのために、良い構造・良い抽象を探求しよう。価値提供に沿った判断をしよう。 開発チームの コンテキスト ナラティブ を伝えよう 57
ありがとうございました 58
いや待てくれ まだ語り切ってない 時間もちゃんと?余らせた 59
エンジニアの PURPOSE とは • アイディアを持った人が、 自ら生成AIを駆使してモノを生み出せるようになった時代 ◦ エンジニア(が | の
| に) ▪ 付加できる価値 って何ですか? ▪ クリエイティビティ って何ですか? ▪ 仕事を任せたくなる理由 って何ですか? ▪ 後進に伝えるべきは何ですか? 60
フィーチャーファクトリは不要 • 言われたまま機能を作る フィーチャーファクトリでいいならエンジニアはいらない • AI-Agent時代のエンジニアの役割と野性 では 「エンジニアリングの本質は技術ではない。 技術を、価値提供に応用すること」だとお話した •
「価値」とは?エンジニアが付加できる価値とは? ◦ ビジネスの価値なら、ビジネスにより高い解像度を持つ 業務エキスパートが Vibe Coding できたらいいのでは? 61
すべてはトレードオフ • 業務エキスパートが Vibe Coding で開発を始めたら どんなトレードオフスライダーになるだろう MAX <〇----> MIN:スコープ
やりたいことは全部盛る MAX <〇----> MIN:納期 VibeCodingならあっという間! MAX <〇----> MIN:コスト 開発環境は定額制だし、実質無料!? MAX <----〇> MIN:品質 動いてるんだからいいじゃない 62 荒ぶる四天王案件もここに極まれり?
シニアなみなさんは見たことあるはず • 事業の価値の源泉である超重要業務が、 誰が作ったのかも分からんExcelマクロで行われる • 変更要求があるが、どう修正したらいいか分からない • 業務担当者 > じゃあ、あのマクロの出力を入力にして、
ちょっと修正するマクロを作ればよくない?!?!?! • 謎マクロが増殖していく、、みたいな状況を 63
今に始まった議論ではない • End User Computing と Software Engineering の違い という文脈で昔からあった
◦ 拙速につくるか、巧遅につくるか ◦ 色々な事情により事業会社から software engineering的 クリエイティビティが失われた結果、 偶有的複雑性にまみれ、遅くて拙いアプローチしかできない事情も • Agentic Coding の 暴力的な物量により加速され、 急速にスコープを広げ・深刻化するんだと思ってます • ほんの数年で、より大規模に、より深刻に 64
AIの進化が解決してくれそう? • そうかもしれない ◦ コンテキストエンジニアリング的なアプローチで、 マイクロサービス単位で毎回新規作成が現実的になる日が来るかも (出典: Philipp Schmid氏ブログ )
◦ 今日の話も「意味の構造を生成AIに記憶してもらおう」も同じ文脈 • わからない (いや、わかりたくない のかも) 65
エンジニアのクリエイティビティとは • ログラスCEOの布川氏は、そのブログで エンジニアのクリエイティビティに触れていました ◦ 与えられたお題や皆さんが提供した解像度の高い お客様の情報をもとに、創造的に解決 を行うことが、 クリエイティブな職種たる開発の人の仕事 (出典:
AIとセクショナリズム|布川友也 | ログラスCEO ) 66
エンジニアのクリエイティビティとは • Rolling the ladder up behind us では エンジニアのクリエイティビティを
「Finesse(技巧)」と表現し、またそれが 容易に失われうることを事例と共に紹介しました (出典: Xe Iaso氏ブログ) ※この文章はその他の文脈も含むが、ここでは触れない ◦ Rolling the ladder up behind us は 「後ろの梯子を巻き上げる」つまり我々は、後進が登るべき 巨人の肩への梯子を巻き上げようとしているのではないか?と 67
クリエイティビティがもたらす 品質に価値はあるだろうか? • エンジニアのクリエイティビティは保守性に宿る ◦ 熟考された構造(設計)は適時性の高い変更を可能とし、 事業の整合性と、システムの安定稼働の礎になる ◦ 拙速に作られたシステムがどうなっているかは、 保守性に苦しむ事業者が多い昨今の状況を見れば自明だろう
◦ AgenticCodingがこの問題を解決してくれるかもしれない そうじゃないかもしれない ◦ 少なくとも わたしは このように考える。だから、 同じ梯子を登れるように、モデルとナラティブを伝えたい 68
無邪気なのかもしれない 69 出典: Wikipedia(ナレッジマネジメント - Wikipedia) • チームが創出する価値はそれぞれと思います。でも、 やるべきことは、そう変わらないんじゃ? ◦
エンジニアが あなたが(に) ▪ 付加できる価値って何ですか? ▪ クリエイティビティって何ですか? ▪ 仕事を任せたくなる理由 って何ですか? ▪ 後進に伝えるべきは何ですか?
つまり 70 いま、エンジニアに必要なのは、 開発チームの、開発チームによる、 開発チームのための、戦略的設計 開発チームの「価値」と「その源泉」を探り、 後進に伝えていこう
本当に ありがとうございました 71