Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

AI-Agent時代のエンジニアの役割と野性

1.1k

 AI-Agent時代のエンジニアの役割と野性

2025.3.9 きのこカンファレンス2025

おだかとしゆき

March 09, 2025
Tweet

Transcript

  1. 著名な方々による 現状認識と展望がつぎつぎと 2/4 The End of Programming as We Know

    It – O’Reilly 2/5 DeNA南場智子が語る「AI時代の会社経営と成長戦略」全文書き起こし 2/14 Building Products in the LLM Era - Speaker Deck 2/26 CLINEに全部賭けろ 8
  2. そもそも「ソフトウェア」はこれまでも 多くの業界・業務を変革してきた 19 今度はわれわれの番、、ということなのか? • そうは思わない • これまでもソフトウェア開発業務には さまざまな変革があった ◦

    機械語→アセンブラ→構造化言語→オブジェクト指向... ◦ オンプレ→VM→クラウド... • それは「偶有的な複雑性」を抽象化する変革だった ※ 偶有的:偶然に備わっているとみられる性質
  3. 変わらぬ本質・変わる技術 26 ご参考:Building Products in the LLM Era - LayerX

    松本勇気氏 これまで:人が、プログラミングで、コンピュータの 動作を規定 これから:人の要望で、エージェントが、コンピュータを動作させる 価値 本質 技術 より良い手段に パラダイムシフト
  4. How は劇的に変わる、だが Why / What つまり 問題領域を分析し、最適な解を提供するという エンジニアリングの本質は何ら変わらない • 我々エンジニアの役割は、

    価値提供に伴う偶発的な複雑性を隠ぺいすること • その手段(自動処理実装/AI適用)はさまざまであり、 時流に沿った効率のよい手段を継続して学ぶ必要がある 27
  5. ところで 今週のレトロスペクティブでこんな会話がありました • AI-Agentが生成するコードは動けばよい ◦ 手続き的でも読みにくくても構わない ◦ ただしテストで守り動作は保証する • いや、品質を担保する責任は人にあり、内部品質も同様

    ◦ 人が書いたコードと同様にレビューもする ◦ 必要に応じてコメントも書く 33 わたしは ↑ 前者派 ただし、関心の分離とモジュール化が 十分に考慮された小さな部品の単位で AI-Agentに任されており、生成結果の インタフェースが仕様を踏襲しているなら。
  6. 再掲)How は劇的に変わる、だが Why / What つまり 問題領域を分析し、最適な解を提供するという エンジニアリングの本質は何ら変わらない • 我々エンジニアの役割は、

    価値提供に伴う偶発的な複雑性を隠ぺいすること • その手段(自動処理実装/AI適用)はさまざまであり、 時流に沿った効率のよい手段を継続して学ぶ必要がある 34
  7. AIは道具・活かすのは人 • これまでお話してきた通り、 エンジニアリングの本質は「価値提供」です • その本質的な複雑性に向き合うために、これまでは様々な 偶有的な複雑性に向き合う必要がありました • これからは偶有的な複雑性はAIが抽象化してくれる ◦

    CI/CD環境、自動テスト、部品の実装あたりはそろそろ現実的? ◦ 要望→要求→仕様化→機能/非機能要件化→アーキテクチャ設計→モ ジュール設計→コンポーネント設計→クラス設計...どこまで行ける? 37
  8. あれ?やることなくね? 要望→要求までAIがやってくれるなら人(エンジニア)は何を? • 複雑な/混沌とした状況下で 決断・意思決定する こと • OODAループ的にはこの部分 観察する→状況判断する→意思決定する→実行する ◦

    意思決定 とは 仮説を立案するということ ▪ 観察により得られた事実を、文脈知識に照らして洞察を得る → 現状を認識し、適応する仮説を立てる ◦ 実行=仮説を検証する ←AI支援で爆速に(そして新しい仮説へ) 38 エンジニア の役割
  9. 仮説検証なら AI にもできそうだけど 例えばAかBかといった対立項があったとして、 弁証法で より高次の命題を導出できそう • 突然ですが、野中郁次郎氏は 野性 の重要性を説いた

    ◦ 人間が本来持っている 困難な状況にも対応し、生き抜くための力 ◦ 知性=形式知 と 野蛮=身体知という 相反する概念を選ぶでも統合するでもなく、 うまくグラデーションして使いこなす概念と解釈(ちがうかも異論大歓迎) 39 野中郁次郎氏の「野性の経営」における"野生":その定義、効果、そして必要性
  10. 事業・プロダクトに興味を持つ • 事業・プロダクトがお客さまに どんな価値を提供しているか 調べる • その価値が 競合他社よりも魅力的か 比べる •

    その魅力的な価値が、どんな業務プロセス を経て 創出・提供されているか確認する • 魅力的な価値を創出・提供する業務プロセスに 事業リソースが使われているか 点検する 43
  11. どうやるの • プロダクトを自分で使ってみる • SNSでエゴサしてみる • 使ったことのある人にインタビューしてみる (5人で80%?) • 公開資料を

    分析してみる ◦ 統合報告書、決算短信、決算説明会資料、プレスリ リース、採用情報、などなど 44 開発チームリーダー・ビジネスアナリストが独力でできるコア業務分析
  12. • ただし「分析して」だけだとイマイチです • どういう目的で、何を知りたいから、 どういった資料を参照して、どういう観点で分析して。 ぐらいまで言わないと「へぇ」で終わっちゃいます ◦ ちなみに「分析」とは、 全体を 目的に沿って

    分けて 観察し、事実を列挙し、 文脈知識に照らして洞察を得るってことだと思ってます • 結果について壁打ちし(あれこれ聞き)まくりましょう 分析?AI  の出番ですね DeepResearch めちゃ便利・notebookLMおすすめ 45
  13. 対話しまくりましょう どうしたら より魅力的な価値を届けられるだろう • How よりも What を What よりも

    Why を問い続けましょう • そして Why に見合った What / How を熟考しましょう ◦ それは 抽象と具体を行き来する ということでもあるし インパクト、アウトカム、アウトプットを考える こと にも似ています 50 対話のツールとして イベントストーミング とか おすすめです