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Cargo Workspaces のススメ

nawa
July 16, 2024

Cargo Workspaces のススメ

https://uniquevision.connpass.com/event/323686/ の発表スライドです。

nawa

July 16, 2024
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Transcript

  1. Cargo Workspaces のススメ UV Study : Rust LT会 2024-07-17 Fairy

    Devices株式会社 nawa ※ https://speakerdeck.com/mnawa/cargo-workspaces-nosusume
  2. Cargo Workspaces 使ってますか? Cargo Workspaces ってなんや?って話があります。 詳しくは https://doc.rust-jp.rs/book-ja/ch14-03-cargo-workspaces.html に書いてるの でツラーっと読んでいきますと。

    「ワークスペースの作り方」はあるけど、なにができるのか、なにがうれしい のか、がない!?!? 3 ※ "The Cargo Book" にも Workspaces のページがありますが、似たように設定項目の説明です : https://doc.rust-lang.org/cargo/reference/workspaces.html
  3. 「まとめ」を先出し (多い) • Cargo Workspaces を使うとモノレポ的に複数クレートを管理できます • 責務をクレートで分けるとわかりやすいです • 複数クレートあるあるの

    Orphan Rule の回避法は book に載ってます • レイヤードアーキテクチャーとかいろんな種類のツールとか作りやすいです • プライベートなクレートに依存するときに、依存の依存を減らせます • Cargo.toml の値を共通で指定できます • サブクレートを 1 つのディレクトリーに入れると指定しやすいです • クレート名に共通の接頭辞をつけると、Docker レイヤーキャッシュを効かせやすい です 4
  4. book の概説を使った Cargo Workspaces の説明 (1/4) add/ ├── Cargo.lock ├──

    Cargo.toml ├── add-one/ │ ├── Cargo.toml │ └── src/ │ └── lib.rs ├── adder/ │ ├── Cargo.toml │ └── src/ │ └── main.rs └── target/ 要は「外側のクレート」の中に「内側のクレート (サブクレート)」を分けること ができる機能です。 5 ※ `add` 自体は src/ を持たない ([package] を持たない) から virtual workspace というやつ (src/ を持つこともできる): https://doc.rust-lang.org/cargo/reference/workspaces.html#virtual-workspace
  5. book の概説を使った Cargo Workspaces の説明 (2/4) add/ ├── Cargo.lock ├──

    Cargo.toml ├── add-one/ │ ├── Cargo.toml │ └── src/ │ └── lib.rs ├── adder/ │ ├── Cargo.toml │ └── src/ │ └── main.rs └── target/ 要は「外側のクレート」の中に「内側のクレート (サブクレート)」を分けること ができる機能です。 `add` の中で、`add_one` と `adder` という複数の異なるクレートを管理で きます。つまりモノレポです。 6 ※ `add` 自体は src/ を持たない ([package] を持たない) から virtual workspace というやつ (src/ を持つこともできる): https://doc.rust-lang.org/cargo/reference/workspaces.html#virtual-workspace
  6. book の概説を使った Cargo Workspaces の説明 (3/4) add/ ├── Cargo.lock ├──

    Cargo.toml ├── add-one/ │ ├── Cargo.toml │ └── src/ │ └── lib.rs ├── adder/ │ ├── Cargo.toml │ └── src/ │ └── main.rs └── target/ 要は「外側のクレート」の中に「内側のクレート (サブクレート)」を分けること ができる機能です。 `add` の中で、`add_one` と `adder` という複数の異なるクレートを管理で きます。つまりモノレポです。 `add_one` と `adder` それぞれに Cargo.toml があって、クレートごとに依 存を管理できます。 7 ※ `add` 自体は src/ を持たない ([package] を持たない) から virtual workspace というやつ (src/ を持つこともできる): https://doc.rust-lang.org/cargo/reference/workspaces.html#virtual-workspace
  7. book の概説を使った Cargo Workspaces の説明 (4/4) add/ ├── Cargo.lock ├──

    Cargo.toml ├── add-one/ │ ├── Cargo.toml │ └── src/ │ └── lib.rs ├── adder/ │ ├── Cargo.toml │ └── src/ │ └── main.rs └── target/ 要は「外側のクレート」の中に「内側のクレート (サブクレート)」を分けること ができる機能です。 `add` の中で、`add_one` と `adder` という複数の異なるクレートを管理で きます。つまりモノレポです。 `add_one` と `adder` それぞれに Cargo.toml があって、クレートごとに依 存を管理できます。 クレートは複数ありますが、中間生成物とか実行可能バイナリーは単一の `target/` ディレクトリーに入ります。 8 ※ `add` 自体は src/ を持たない ([package] を持たない) から virtual workspace というやつ (src/ を持つこともできる): https://doc.rust-lang.org/cargo/reference/workspaces.html#virtual-workspace
  8. クレートが分かれると Orphan Rule がつらい 11 Orphan Rule: 外部のクレートの型に impl できないやつ

    → newtype idiom で回避できます impl foo_core::TypeX { fn some_method(&self) -> i32 { todo!() } } ※1 book の Orphan Rule の説明: https://doc.rust-jp.rs/book-ja/ch10-02-traits.html?highlight=orphan#...... ※2 解消方法: https://doc.rust-jp.rs/book-ja/ch19-03-advanced-traits.html#........ struct TypeX(foo_core::TypeX); impl TypeX { fn some_method(&self) -> i32 { todo!() } } できないやつ newtype idiom で自分のクレートの型にする
  9. そうは言っても、core から分けたサブクレートへ依存したい状況もある 17 すべての SDK が crate.io にあるわけではないので (e.g. Auth0、社内の別システム

    )、自分である程度の実装 が必要なものは lib 層、DIP 層とかに分ける必要がある。 (types クレートを用意していた場合でも、 types と lib の依存が必要。) foo-core foo-server foo-auth0-lib foo-auth0-dip データ型だけ依存したい 特化処理だけ依存したい core が要求する処理 (trait) を impl する DIP 層 システムに特化した処理を実装 する lib 層 ※ 社内の別システムも Rust で書かれているなら、そのシステムのサブクレートとしてクライアントライブラリーがあると便利そう
  10. 余談: Workspaces に git 依存する 19 社内のクレートなどに git で依存するときは、個々のクレートに依存できます。 サーバーアプリケーションだと、クライアントライブラリーを

    Workspaces でクレートとして用意して、別のシステ ムから依存するのがやりやすいです。 (単一のクレートになっていると、こういうときに依存ライブラリーが爆発的 に増えます。) [dependencies] foo-types = { git = "[email protected]/FairyDevices/foo.git" } foo-client = { git = "[email protected]/FairyDevices/foo.git" } Cargo.toml ※ https://doc.rust-lang.org/cargo/reference/specifying-dependencies.html#specifying-dependencies-from-git-repositories ※※ path 依存するときは個々のクレートへのパスを指定します。
  11. 共通の Cargo.toml の設定ができる: 例1: 依存クレート 21 例えば serde のような、いろんなクレートから依存するクレートのバージョンや features

    を 1 箇所で管理できる [workspace.dependencies] my-crate = { path = "my-crate/" } serde = { version = "1.0.203", features = ["derive"] } [dependencies] serde.workspace = true ./Cargo.toml 各クレートの Cargo.toml ※ https://doc.rust-lang.org/cargo/reference/workspaces.html の各項目が便利だよくらいの話が続きます。
  12. 共通の Cargo.toml の設定ができる: 例2: [packages] 22 crate.io に publish するクレートでより便利ではありますが、以下みたいな使い方もあります。

    - version を個々に書かなくて良くなる - rust-version (Rust 処理系の最小バージョン ) が一箇所になる [workspace.packages] version = "0.1.0" rust-version = "1.79.0" [packages] version.workspace = true rust-version.workspace = true ./Cargo.toml 各クレートの Cargo.toml
  13. サブクレートを一つのディレクトリーに入れよう 24 [workspace.members] では `*` が使えるので、サブクレートをすべて同じディレクトリーにおいておくと記述が楽 になります。 [workspace] members =

    [ "./crates/*/", ] ./Cargo.toml my-crate/ ├── Cargo.lock ├── Cargo.toml ├── crates/ │ ├── sub_crate_a/ │ │ ├── Cargo.toml │ │ └── src/ │ │ └── lib.rs │ └── sub_crate_b/ │ ├── Cargo.toml │ └── src/ │ └── main.rs └── target ディレクトリー構造
  14. クレート名に同一の接頭辞を付けよう 25 Docker Image をビルドするときに、依存クレートだけレイヤーにするとかがやりやすくなります。 FROM rust:1-bookworm AS builder COPY

    Cargo.toml ./ COPY crates/my-crates-foo/Cargo.toml ./crates/my-crates-foo/ RUN mkdir ./crates/my-crate-foo/src/ \ && touch ./crates/my-crate-foo/src/lib.rs \ && cargo build --release \ && rm -r ./crates/my-crate-foo/src/ \ ./target/release/deps/my_crate* \ ./target/release/deps/libmy_crate_*.rlib COPY ./crates/my-crate-foo/src ./crate/my-crate-foo/src RUN cargo build --release Dockerfile 中間生成物の削除が楽
  15. まとめ • Cargo Workspaces を使うとモノレポ的に複数クレートを管理できます • 責務をクレートで分けるとわかりやすいです • 複数クレートあるあるの Orphan

    Rule の回避法は book に載ってます • レイヤードアーキテクチャーとかいろんな種類のツールとか作りやすいです • プライベートなクレートに依存するときに、依存の依存を減らせます • Cargo.toml の値を共通で指定できます • サブクレートを 1 つのディレクトリーに入れると指定しやすいです • クレート名に共通の接頭辞をつけると、Docker レイヤーキャッシュを効かせやすい です 26