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平穏で幸福なGMライフ

riena
May 15, 2016
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 平穏で幸福なGMライフ

TRPGのGM活動をストレスなくすごすためのノウハウ集

riena

May 15, 2016
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  1. おまえ誰よ • コールサイン:りえな( @riena_u_a ) • 年齢:20歳くらい(という設定) • TRPG暦:たぶん10年くらい •

    よく遊ぶシステム: • 『ソード・ワールド2.0』、『アリアンロッド2E』、『ダブルクロス3rd』、『グランクレストRPG』 • 稀に遊ぶシステム: • 『ガーデンオーダー』、『ネクロニカ』、『神我狩』、『メタリックガーディアンRPG』、『アマデウス』、 『アルシャード』、『艦これRPG』、『でたとこサーガ』ほか • 実は遊んだことがないシステム: • 『クトゥルフ』、『D&D』、『N◎VA』、『ナイトウィザード』、『S=F』、『ログホラRPG』、 『ドラクルージュ』、『ガラコ』ほか • プレイング傾向:だいたいGM • シナリオは自作することが多い党の人間
  2. はじめに ~ 平穏と幸福をおびやかす不安要素 ~  GMはたいへん  ひとり vs. たくさん

     シナリオを書く、マスタリングをする、“両方”やらなくっちゃあいけないってのが――  セッション中の事故(が起きるとセッションがぐだぐだになる)  プレイヤーが満足してくれたかどうかは定かではない こういった“不安要素”から解放された、平穏で幸福なGMライフを実現しましょう。
  3. GMはたいへん ~ ひとり vs. たくさん • 別に対戦も対立もしているわけではありませんが、「ひとり対たくさ ん」の構図にはなります。 • GMは特殊な立場であり、(原則として)同じ立場の人間がいないから

    です。 • ついでに言うなら、“ひとり”であるにもかかわらず、操るべきキャラクタ ーの数は多数にのぼります 以下、これらの問題を少しずつクリアにしていきましょう。
  4. プレイヤーへの協力の求め方 • シナリオやシーンの主旨を理解してもらう(ようにお願いする) • → 主旨を説明しましょう • シナリオの想定どおりに動いてもらう(ようにお願いする) • →

    想定からズレそうな時に、想定を説明しましょう • GMの仕事を部分的に担ってもらう(ようにお願いする) • 事務作業(たとえばコマやメモの管理など) • 他プレイヤーのサポート(特に初心者に対して) • (比較的どうでもいいような)NPCの演出 ※プレイヤーの自発的な協力に任せるのは不安定です。 本来はGMが仕切るべき仕事との見方もありますので、「お願い」しましょう。 それによって、同時に、「違う、そうじゃない」という軌道修正をする権利が確保できます。
  5. GMと同じ立場の人間はいない(=孤独) • 対策案1:それは認めた上で手伝ってもらう(前頁に書いたように) • 対策案2:サブGMを立てて仲間を増やす • GM経験があって手を貸してくれる知り合いがいるのなら、これは非常に強力です • 対策案3:(「案1」と「案2」の折衷として、)プレイヤーサイドに「GMの間接 的サポート」をしてくれる人材を手配する

    • これはかなりテクニカルな人材配置に聞こえます • ――が、要するに「サブGM的なサポートを積極的に担当してもらうプレイヤー」をひ とり確保して、お願いしておくだけです • 「プレイヤー側」という逆サイドからの手助けは、かなり効果的です。(サブGMの存在に匹敵し得ます)
  6. 魔法の言葉「ぶっちゃけると」 • ミスリードの予防やミスリードからの復帰のための魔法の言葉がありま す • 「ぶっちゃけると」 • 用例①「ぶっちゃけると、あの黒ローブの人物は次回のための伏線であって、今回のシナリオにはこれ以上は 関与しません」 •

    用例②「ぶっちゃけると、シナリオボスはNPCエックス側陣営です。どう立ち回ってもその戦闘は回避でき ません」 • 誤解はさっさと「ぶっちゃけ」でブレイクしましょう • 極端な話――GMは「面白いセッションができるように」シナリオを作ったはずですか ら――GMの想定外の考えをすべて破壊したとしても、セッションの面白さは保たれま す
  7. 奇抜な提案に対して:① 処す • 「何言ってんだコイツ」と思ったら処しましょう(=却下しましょう) • 「言ってることはわからなくもないけど、どうしたらよいか困る」と思 っても処しましょう(=お断りしましょう) • 「対応はできるけど、時間やゲームバランスの面で都合が悪い」と思っ てもやはり処しましょう(=ご遠慮ねがいましょう)

    多くのゲームシステムで「ゴールデンルール」などとして規定されているように、セッションの場の最終決定 権はGM(=あなた)にあります。 とにかく、扱いきれない提案はすべて処してしまって問題ありません。 案外、プレイヤー側からすると「刹那的思いつき」「ダメ元」「ゴネ得」で提案していることもあります。 とりあえず処してから反応を見るくらいでも十分です。
  8. 奇抜な提案に対して: ② 丁度いいよ! アイツに聞いてみようよ! • アイツその1:「当人」に、提案の「意図」「目的」を訊いてみましょ う • アイツその2:「他のプレイヤー」に「妥当かどうか」や「同意の有 無」を訊いてみましょう

    • その上で、「意図」「目的」が「妥当」であり、他のプレイヤーも「同 意」しているようであり、そしてGMとして「実現したほうが面白そ う」だと思ったら、はじめて実現のために動きましょう • 何か思いつけばそれを実施すればよいですし、そうでなければプレイヤー陣にアイディ アを募りましょう(「ひとりで戦わない」) • ここでも魔法のことば「ぶっちゃけると」を使って、シナリオの想定を伝えると、折衷 的な代案を誰かが提示してくれる可能性が増えます。
  9. 事故3「乱数要素の異常な偏り」 ダイス目に(できるかぎり) 屈しないための方法 • 乱数要素(たいていはダイス目)が異常に偏ると、セッションが想定外 の展開や結果に転がることも少なくありません。たとえば: • 雑魚が瞬殺されてリソースをあまり削れない • ボスが惨殺されて張り合いがない

    • PCの攻撃がまるで当たらず、やがてPCが全滅する(戦闘系システム全般) • クリティカルが走りまくってあっさりと死者が出る(特に『ソード・ワールド』系列) • [侵蝕率]の類が上がりすぎてジャーム化などに陥る(『ダブルクロス』など)
  10. ダイス目に屈しないために ① ダイスを振らない、振らせない • そもそもダイスが振られなければ、ダイス目による事故など発生しようがありません • 『ソード・ワールド2.0』の固定値の魔物ルール、『ダブルクロス3rd』や『メタリックガー ディアンRPG』の《イベイジョン》などは、これを合法的に実現できるルール/データです • 特にエネミー側のリアクション(回避や防御など)の「自動成功」「クリティカル」の発生は、

    できるかぎり抑止したほうが無難です • それ以外にも、ダイスで「10D6ダメージ」と書くより期待値で「35ダメージ」と書く ――など、「わざわざダイスを振ってもそれほど盛り上がらなさそう」なところでは、「期待 値に置き換えてしまう」というテクニックもあります • この場合、「タイミング:ダイスロールの直前/直後」などが失われることには注意が必要です
  11. ダイス目に屈しないために ② ダイスをできるだけ振らない、振らせない • 前頁で「ダイスが振られる機会」を減らす話をしました • 次は「振られる」自体はやむを得ないとしても、その中での出目の振り幅を抑えることを意識 します • たとえば「10D6+10」と書くより「2D6+38」と書くほうが、ダイス事故は減りま

    す(期待値は同じ) • また、「クリティカル」「自動成功」という事故を減らすためにも、ダイス個数を減らすアプ ローチは有力です • 特に『アリアンロッド』のような、やたらと自動成功の発生しやすいシステムでは、エネミーのリアクションのダイス数は少 なめにしておいたほうが無難です • 変形として、「クリティカル値」を「クリティカルしづらい」値に設定することも有力です • これは『ソード・ワールド』や『ダブルクロス』、『メタリックガーディアンRPG』で有力な手段です • 特に『ダブルクロス』のエネミー側のリアクションのクリティカル値は、10より下げないことを強く推奨します
  12. ダイス目に屈しないために ③ ダイス目が偏ってもとんでもない結果にならないようにしておく • 「まあ成功しないだろ」と思って「やたらと高い目標値を設定して提示する」のは、明確に事故の元です • むろん、逆に、「まあ失敗しないでしょ」という目標値のものが、たとえば出目による自動失敗で成功しない こともあります • マーフィーの法則に「失敗する可能性のあるものは、いずれ必ず失敗する」と言うように、「成功する可能性

    のある限りは、ともすれば成功してしまう」ものです • 「成功されて困るものはそもそも判定させない」、「失敗されて困るものもそもそも判定させない」というこ とを強く意識しましょう。これで判定の事故がかなり減らせます • 判定とは、「成功するかどうかわからないもの」、言い換えれば「成功しても失敗しても(ゲーム的には)問 題のないもの」に対して行なわせるものです • 余談ですが、『グランクレストRPG』は「“クリティカル”が(自動成功ではなく)達成値+10」かつ「出目による自動失 敗」が(原則的に)存在しないルールとなっており、判定事故に対してかなり堅牢な造りになっています。他のシステムでも、 GMは特定の判定について、このような特殊ルールを導入してもよいでしょう • また、『ガーデンオーダー』のような「失敗しても成果は得られる(がペナルティがある)」ルーリングもよいでしょう
  13. ダイス目に屈しないために ④ ダイス目の偏りを後から調整できるようにしておく • とはいえ乱数がある程度まで偏るのは、まあやはりどうしようもないので、対抗の手を講じておくことも重要 です • これは短期的に言えば、「達成値補正」や「振り直し」や「出目操作」の用意が該当します。特に『SW2. 0』の[剣の加護/運命変転]のような、「わるい結果をよい結果に反転する」性質の効果は、その最たるも のです。また、同ゲームの「幻視系占瞳」もこのカテゴリの対抗手段です

    • やや長い目で見ると、「コストやペナルティを条件とした再挑戦の可能性」を提示するという手もあります。 『SW2.0』は、これを標準のルールとして組み込んでいます。他のシステムであれば、たとえば「再挑戦 1回につきHP/MPを◦◦点消費」などが考えられるでしょう(特に情報収集の判定などにおいて) • 『ダブルクロス』の「侵蝕率」であれば、低すぎる場合には[ジェネシフト]の機会の提示、高すぎる場合に は「登場しなくてもよいシーンを用意しておく」などが考えられます • また、例として、『ネクロニカ』の攻撃判定は成功率が「ふつうにやると50%でしかない」、かなり極端な システムです。これを鑑みれば、「支援n」(=後だしのダイス目対策)がいかに重要かがよくわかるはずで す
  14. 事故3「乱数の偏り」対策のまとめ • そもそも乱数要素を排除する • 乱数要素が占める割合を減らす(たとえば固定値の割合を増やす) • 自動失敗・自動成功・無限再帰系クリティカルの確率を低めにする • 「成功(失敗)されると困る」ものは判定させない •

    乱数の偏りに後だしで調整できる要素を用意しておく これらは「戦闘」もさることながら、 シナリオを進めるための「情報収集」において特に注意しておくべき事柄です。 (油断するとシナリオが進行不能に陥ります)
  15. プレイヤーは満足してくれるのか? • プレイヤーの満足度について、GMはしばしば不安になります • セッション前の不安 • セッション中の不安 • セッション後の不安 •

    「ホスト」としての立場上、プレイヤーの満足度が気になるのは当然で す • それ自体は肯定して、その感情(=期待と不安)とどのように付き合う かが重要です
  16. プレイヤーの満足度を窺う ② セッション中 • 「満足度を窺う」ということにおいて、セッション中という時間帯は、最も簡単でもあり、最も忙しくもある 状況です • ほとんどの人間は、マイナスの感情がある時は(よほど意識して制御しない限り)、態度――発言数や内容、 口調、声のトーン、振る舞い――にそれが現れます。まして勤務中などであればまだしも、セッションという 娯楽の場においてはことさらそれが顕著です。よって、そういった気配が感じられないのであれば、概ね不満

    は持っていないという見立てで問題ないはずです • ただし、GMは「ひとり」であるのに対して、プレイヤーは「複数人」いるのが通常です。同時に複数人に気 を配る必要があり、やや忙しいことにだけは注意が必要となります • コツとしては、「いまその場で最も主役になっている(たとえば発言している)プレイヤー」と「逆に最も動きのないプレイ ヤー」の2名を合わせて観察しておくようにすれば、比較的少ない労力で全体を見通せるでしょう
  17. プレイヤーの満足度を窺う ③ セッション後 • セッション終了後に、「プレイヤーがそのセッションに満足してくれたかどうか」を窺うことは、今後のセッ ション運営(シナリオ作成、マスタリング、そしてプレイヤーとしての参加)を改善する上で、非常に有益で す • とはいえ、直接的に「面白かったか?」と問うても、肯定の場合はまだしも――否定の場合には、多くのプレ イヤーは正直には言いづらいものです

    • それでも敢えて“聞き出す”コツがあるとすれば、「よかった点(たとえばシーンや要素)を具体的に(できれ ば複数)挙げてもらう」、あるいは「よかった点と改善できそうな点を合わせて挙げてもらう」ような問いか け方をすることでしょうか • 前者の場合は、「誰からもプラスの評価を受けなかった部分は相対的にあまりよくない」という推測が可能になります • 後者の場合は、「よかった点」を挙げることで「改善できそうな(=よくない)点」を挙げる罪悪感を緩和しつつ、「求めら れていることに答えるだけ」という意識も形成できることが狙えます
  18. Step3のまとめ:「プレイヤーの満足度を知る」こと • セッション前:この段階では気にしてもしょうがない • セッション中:態度を窺う • 「シーンの主役となるプレイヤー」を観察 • 「その対極のプレイヤー」もセットで観察 •

    セッション後:聞き出す • 「よかったシーンや要素、演出などを挙げてもらう」問い方 • 「よかった点と改善できそうな点をセットで挙げてもらう」問い方
  19. 全体のまとめ • 「ひとりで戦わない」 • GMとプレイヤーは敵対しているわけではない • 困ったらプレイヤーに「おねがい」する • 「セッション中の事故への心構え」 •

    ミスリードはすぐに処す • 奇抜な提案も処す • 困ったらプレイヤーに助けを求める • 「プレイヤーの満足度を知る」 • 観察する • 直接ヒアリングする(言葉巧みに)