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Building Kotlin Multiplatform Libraries in 2024

Building Kotlin Multiplatform Libraries in 2024

"2024年に公開するに相応しいKotlin Multiplatformライブラリを構築する" @ KotlinFest '24 (Jun. 22nd, Tokyo)

Atsushi Eno

June 21, 2024
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Transcript

  1. What is this session about? KMP (Kotlin Multiplatform) ライブラリを開発する時に気に留めておくとよいことをいろ いろ話します

    主なトピック: - KMPライブラリプロジェクトとモジュールの作り方 - 後方互換性 - Mavenパッケージの発行 - その他やっておくとよいこと
  2. whoami? Kotlin libs created so far atsushieno/ktmidi also slides at

    Kotlin愛好会#49, Foojay podcast #54 (6/24?) atsushieno/compose-audio-controls atsushieno/missing-dot (equivalents to .NET XML Reader/Writer, XLinq) sporadic contributions to antlr-kotlin, accompanist, nj2k (idea) etc...
  3. なぜMultiplatformでライブラリを作るの? • これまで対象外としていたプラットフォーム向けにアプリを出せる ◦ Google at I/O '24: • ライブラリのユーザー「これに依存したらターゲットが制限されるかも…」

    ◦ XMLを読み書きするライブラリが JVM/JSの実装しかなかった (2021) ◦ ComposeアプリをKMP化しようとしたらUIライブラリがAndroid専用だった (2024) ◦ Compose MPPアプリでwasm対応しようとしたらktor-ioが…(2024)
  4. より良いライブラリを作るために • 可用性 (availability) を高める ◦ 幅広いターゲットをサポートする ◦ 最新バージョンの言語やツールチェインでも使えるようにする ◦

    Mavenパッケージを発行する • 適切な粒度の公開APIがある ◦ 以前のバージョンとの 後方互換性を維持できる • APIドキュメントを公開/配布する even better: ネイティブ プラットフォーム言語でも使える =「実装言語としてのKotlin」
  5. Multiplatformのターゲット 2024: 幅広いtarget • jvm (desktop), androidTarget • js (IR)

    • native (desktop, ios*, android native(!) • wasmJs (alpha) ※最近のトレンド ターゲットを増やすとどうなる ? • common APIの制約に縛られる • ビルド時間が余計にかかる ターゲットを減らすとどうなる ? • 可用性が低くなり使ってもらえなくなる (!) どのターゲットをビルド対象にするかは開発者次第 (build.gradle.ktsで明示的に指定する) android nativeも一部のライブラリでは対応(kotlinx.datetimeなど)
  6. Mavenパッケージとしてローカル発行する Kotlinライブラリは通常はMavenパッケージとして配布/参照する maven-publish Gradleプラグインを使う ./gradlew (build) publishToMavenLocal で mavenLocal リポジトリに発行

    ➡ 他のプロジェクトでも参照できるようになる  (repositories { mavenLocal() } が必要) mavenLocalにあるパッケージの内容は以下のようなパスに格納される : $HOME/.m2/repository/dev/atsushieno/ktmidi-*/0.1.0/
  7. 後方互換性(の問題)の種類 • APIの互換性 - 損なわれるとビルド時エラーになる • ABIの互換性 - 損なわれると実行時エラーになる •

    挙動の互換性 - 損なわれると想定外の挙動になる 挙動の互換性はテストで担保する(しかない) ABIの互換性維持がとにかく重要 ABIを損なわないAPI互換性破壊は(相対的に)大した問題ではない
  8. ABI互換性を維持するには? Q: 何を変更したらABI互換性が損なわれる? A: いろいろある… 例: 「data classを使うな」「関数の引数を増やすな」 Library authors'

    guidelines(前出)が規範的情報源 ABI互換性チェックは ./gradlew check に組み込むと安心 Kotlin/binary-compatibility-validator (metalava-gradleなども使えるが、Kotlin生成コードで偽陽性を検出することもある)
  9. Kotlin 2.0に移行する? [1/3] Q: K2でビルドしたライブラリはK2のプロジェクトでないと使えない? A: 理論上はnoだが、現実にはyesかもしれない 例: kotlinx.serialization: 1.7.0-RCはserialization

    plugin 2.0.0-RC1以降を要求する (Gradleプラグインがエラーとして報告する) 回避?策 : serialization pluginだけkotlin 1.9.xを使う(ビルドは通るが安全性は不明 !)
  10. Kotlin 2.0に移行する? [3/3] Q: ライブラリのサポート範囲を最大化するならKotlin 1.9.xに留まり続けるべき? A: Gradleプラグインが要求してこなければたぶん可能…?  Compose compiler,

    Serialization, KSP... コンパイラとstdlibとコンパイラプラグインのバージョンが統一されないといけないうちは たぶん解決できない問題
  11. 補遺: 依存ライブラリのバージョン選定 [3/3] Q: 古いほうと新しいほう、参照するならどっちが望ましい? A: 一般的には新しいほうでよい(バグフィックス、パフォーマンス向上など)  大抵はsemantic versioningがきちんと機能していると期待できる(!?) •

    場合によっては参照可能なバージョン範囲を指定しないといけないこともある Gradleには実際にはバージョン範囲を指定する方法が( mvnと同様に)存在する ただ、誰も使ってない (!?) • Renovateによる自動化もトレンドだが、 AGPなどIDEAの事情で上げられないものを考慮しない、 Composeの要求バージョンとの相性調整が必要など、運用にはまだ覚悟が必要そう
  12. Mavenパッケージ発行までのワークフロー ./gradlew build publish でリモートリポジトリに発行できる CI経由でビルドの再現性・透明性・安全性を担保したほうが妥当 (CircleCI, Bitrise, GitHub Actions,

    local Jenkins, ...) 2024年: mac/ios nativeターゲットはクロスコンパイルできないので macosビルドが必要… cf. youtrack KT-52666, KT-68323, KT-66944 2024年: Maven Centralへの発行が望ましい • jitpack: 自前ビルドするしpublishすら不要でこの上なく楽だけど、 mac/ios nativeが未サポート… • GitHub PackagesはDLにユーザー認証が必須なのが致命的 • jcenter (bintray)は発行受付停止
  13. Sonatype Nexus [1/3] Maven Centralには承認されたサービス経由で 要件を満たすパッケージのみ発行できる • 開発者の電子署名があること • sourcesJar,

    javadocJarがあること • 十分なパッケージメタデータがあること etc. etc. ➡ Sonatype Nexusが唯一的(?)な選択肢 日本語解説もいくつかある https://aakira.app/blog/2019/03/upload-kotlin-mpp-library/ (bintray時代) https://qiita.com/arashiyama/items/0c997126fb6ee0f9c8e7 Developer invalid package valid package Maven Central Package Publisher Agent
  14. Sonatype Nexus [2/3] ⚠2024年2月以降の新規SonatypeユーザーはPortal Publisher APIの利用が必須 Sonatypeの正式なGradleサポートがまだ無い (!) https://central.sonatype.org/publish/publish-portal-gradle/ 非公式のコミュニティ

    Gradleプラグインで対処するしかない( ↑で列挙あり) ⚠2024: ユーザー認証にSonatypeアカウント名を使わなくなった(移行期間中) 最新の仕組みではMavenユーザー名とパスワードを access tokenのように生成して使う
  15. Sonatype Nexus [3/3] KMP Project WizardのMaven設定は2023年11月の古い設計なので利用できない (!) のでPublisher Portal API対応版のforkを作った

    https://github.com/atsushieno/multiplatform-library-template-nexus-publisher 解説記事: https://zenn.dev/atsushieno/articles/d066e757c9640f
  16. Kotlinエコシステムの「外側」へ 各ターゲット「で」ネイティブ(?)ライブラリとして利用したい • .dll/.lib/.so/.a/.framework/.js/.wasm • npmにしてvscode拡張で参照したい やり方: build.gradle(.kts) の binaries.*

    メソッドを呼ぶ • js, wasm: binaries.executable(), binaries.library() • native: binaries.executable(), binaries.staticLib(), binaries.sharedLib() ◦ mac, ios: binaries.framework { ... }
  17. 補遺: 複数のCIビルドの生成物を整合して発行する • 複数のCIホストからのビルドアーティファクトが必要になる場合がある ◦ mac/ios nativeターゲットはクロスコンパイルできない(macosホストを使えば解決) ◦ nativeターゲットをビルドするとき、cinteropで外部ライブラリもビルドしてリンクしていると、プラットフォームごとにビル ドしなければならなくなる

    • ./gradlew publish では別々のNexusリポジトリがホスト分だけ生成される ➡ パッケージ発行時に競合が生じて失敗する • Sonatype NexusではWeb APIでリポジトリ作成と送信を別々に実行できるが、 2024年のGitHub Actionsではsecret (password) をもとに生成された変数の受け渡しができない 解決策 ➡ ホストごとに publishターゲットを細かく指定して重複しないように調整 … run: ./gradlew iosArm64Binaries packageDmg publishMacosArm64PublicationToOSSRHRepository PublishIosArm64PublicationToOSSRHRepository PublishIosSimulatorArm64PublicationToOSSRHRepository