2022年7月4日に行われたフィンテックエンジニア養成勉強会#23で日本マイクロソフト 藤井 達人氏が講演した「勃興する “Institutional DeFi”」の発表スライドです。 https://fintech-engineer.connpass.com/event/250480/
勃興する“Institutional DeFi”2022年7月4日
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DeFiにおける主な収益の機会• レンディング• プロトコルに預けられた資産は、プログラム上で利回りを獲得し、ローンの担保として使用できる(つまり、イーサを預け、イーサのポジションに対してUSDCを引き出す)。• 流動性提供• DeFiプロトコルにおいて流動性を提供する資産は手数料によって補償され、それらはDEXにおいて迅速な取引を保証するために使用される• ステーキング• PoSチェーンにおいて、資産を安全なプロトコルに割り当て、ユーザーに追加のステーキング報酬を提供する
DeFi vs TradFi• 資産は自動的に他の投資家の資産と混合してプールされ、資産が混在する• 高度なオンチェーン分析および会計ソフトウェアを使用しない場合、記録の追跡および照合が困難• 自動化されたスマートコントラクトが商品に流動性を与えるために使用するのは、これらのプール• DeFiを使用する場合、ユーザーは識別子としてブロックチェーンアドレスを使用する• 現在、貸し手のリスクまたは信用力を評価するための評価システムがない。また、DeFiによって強制されるデフォルトのKYC / AMLプロセスも存在しない。これは、AMLなどコンプライアンス上の問題を引き起こす可能性がある• これに対して従来の金融システムでは、KYC済の取引先に送金していることを保証するためのシステムが存在する• スマートコントラクトによって資産が管理されるため、ハッキングや資金損失に対する責任の所在が不透明• リスクを回避し、規制を受けていない個人ユーザーにとっては問題になりにくいが、規制を受ける企業にとっては、これらは現実的な問題• 規制面において、何が許可され、どのような税制上の影響があるのかが不明確
Institutional DeFi(金融機関向けのDeFiソリューション)Institutional DeFiは、厳格なコンプライアンスニーズを持つ機関の要件に合わせて作られたブロックチェーンベースの金融商品を指します。これらのニーズは、金融機関が参加する上で必須要件であり、これをクリアしたソリューションは今後、広く普及する可能性はあります。特徴• 資産プールを消費者から分離し、ホワイトリストに登録されたアドレスのみがやり取りできるKYC済のプールを作成• それぞれの取引について、コンプライアンス上の観点をサポートするトラッキングツールを使って、企業が規制された方法で報告することを可能とする• DeFiと同様の仕組みを用いてリターンを提供するDeFiとのハイブリッドな中央集権型商品を提供する金融機関が注目する理由は何か?
プライベートDeFiとの違い• プライベートDeFi(スマートコントラクトによって取引が管理・決済されるという意味でDeFiという言葉を含む)はプライベートブロックチェーン上で稼働する※HyperLedger, Corda, Quorum等• これにより、複数企業からなるコンソーシアムはパブリックチェーンとは完全に分離された独自のブロックチェーン上で金融取引を実行するため、コンプライアンスという観点ではTradFiと遜色ない状態を構築できる※複数企業によるコンソーシアムで管理されるという点で分散化されるとは言えるが、パブリックチェーンのような分散化を目指しているわけではない• この領域のソリューションは、DeFiを真似るのではなく、キャピタルマーケッツを成す金融スタックすべてを実現しようというものとなっている
Instutional DeFi エコシステムを構成する他のプレーヤー• カストディ技術• 暗号資産の秘密鍵を安全に保管• AML / KYC / KYT プロバイダー• ステーキングプロバイダー
Aave Arc + Fireblockshttps://www.fireblocks.com/platforms/permissioned-defi/
大手金融機関 JPモルガンは伝統的な資産クラスをトークン化へhttps://www.coindesk.com/business/2022/06/11/jpmorgan-wants-to-bring-trillions-of-dollars-of-tokenized-assets-to-defi/
ありがとうございました