(トークを貼る場所がなかったため、ここにあります。読みづらくてごめんなさい。)
1 タイトル
省略
2 自己紹介
自己紹介です。ぐるぐるできるこ と言います。
株式会社 CureApp で、これからご説明するような治療用アプリケーションの開発をしてます。
React Native のアクセシビリティをチェックするプラグインを開発しています。
スターがほしいって言いたかっただけです。
https://github.com/grgr-dkrk/eslint-plugin-rn-a11y
3 DTx とは
はい、ではまず DTx ってなんぞやって話になるかと思います。
DTx はデジタルセラピューティクスの略です。DTx と読んでいいのかわかりませんが、発表では DTx と読むことにします。
DTx はアプリケーションを、病気の治療に使うことを指します。
このアプリケーションはお薬や医療機器と同じでして、治療への効果があるかを証明したり、厚生労働省に承認されないと販売できません。
今回はこの DTx を取り巻くアクセシビリティについてお話します。
4 Dtx はアクセシブル?
DTx なんですが、アプリケーションから治療を受けられるし、薬とか医療機器だと治療が難しくても、アプリなら効果があるかもということで、医療のアクセシビリティを向上させると言われます。
本当なんでしょうか?と言われると少し疑問です。
5 医療機器のアクセシビリティ
医療機器のアクセシビリティ話は色々ありますが、
今回は患者さんの身体的な変化に適応するための対応とリスク分析としてのアクセシビリティ問題に触れようと思います。
6 身体的な変化に適応するための対応
最初はちょっとだけ、身体的な変化について説明します。
インクルーシブデザインの原則では、障害の種類を 4 種類に分けています。その中の「Changing」について触れようと思います。
と言うのも、患者さんが病気の合併症を引き起こして、身体能力が低下してしまうことがあるので、そういうのも考えておきたいという話です。
一つ例を挙げますと、糖尿病の患者さんは、合併症で網膜が傷つき、視力が低下することがあります。
その時治療に必要なアドバイスが、コントラスト比最低で書かれてて読めなくなると困りますよね。
この話はこれで以上です。
7 リスク分析としての対応
今回メインでお話するのが、リスク分析としてのアクセシビリティです。
例えば皆さんの周りで、医療機器が爆発したことはありますか、というと、あったら困ります。
そういうことがないように頑張らないといけません。
8 QMS 省令
日本では医療機器を販売するため QMS 品質マネジメントシステムというのに適合しないといけません。
これは、医療機器の安全性や品質管理体制についての基準です。
まず組織で適切な品質管理ができるよってのを証明しないといけません。
そして、患者さんにとって危険なリスクを洗い出して、その記録をとらないといけません。
9 リスクの分析と対策
リスク対策とはって話なんですが、アプリケーションに置き換えて考えます。
まあ一般的な Web 制作とかアプリ開発の流れを形式的にした感じです。
例えば「治療ボタン」が画面に出てなくて押せない、治療できなくて危険であると判断されました。(これをリスクアセスメントといいます)
これに対して開発者が調査したところ、ボタンが画面からはみ出してたことがわかります。
で、修正可能だったので、直したよ、という流れです。(これをリスクコントロールといいます。リスクアセスメントとまとめて、リスクマネジメントといいます。)
どんな要件でも、この流れが文書化されている必要があります。
10 注意
今の流れ自体は医療機器としてのものですが、DTxではアプリケーションでもあるという罠があります。
例えば医療機器としてのリスク分析が十分だったとしても、アプリケーション特有の対応はカバーできてないかもしれません。
11 考慮されづらいケース
さっきの例ですと、物理的にボタンが押せても、実はボタンが span 要素とかでできてて、キーボードでボタンが押せなかったら、キーボードを操作する人にとっては、リスクであることに変わりないですね。って話です。
12 DTx は本当にアクセシブル?
要するにアプリケーションとしてのアクセシビリティに対する認識が整っていないと、今までの医療機器で考えづらいリスクを放置してしまうかもしれません。
で、DTx 自体ベンチャーが多くて若い業界なので、知見もあまり見ません。
13 どうすればいいのか
じゃあ最初からアクセシブルなアプリを作ればいいだろって話ではありますが、
そもそも医療機器の開発には、先ほど挙げたような品質管理の手順やリスク分析とかの複雑な体制があるわけで、
個人や部署だけでなく、医療的な手続きをする方々にも、特性を理解してもらう必要があります。
14 方法として
方法の 1 つとしては、リスク分析にアクセシビリティを取り入れることです。
実際にやり方としてはガイドラインとかを設けたりにはなると思うんですけれども、品質管理手順のいち文書として組織に組み込まれることが、法律で殴ると言う意味で大事です。
また、初期はどうしても縦割り組織の中でボトムアップ、トップダウンやっていきとなるのですが、医療関係者の方々が我々に QMS を知ってほしいように、我々も医療関係者にアクセシビリティを知ってほしい、という組織横断的な体制にすることが理想であると言えます。
15
(時間があったので)アメリカの医療機器についてです。
ADA という、アメリカの差別禁止法があるんですが、その中でアクセシブルな医療機器のガイドラインがあります。
これは、医療機器を使うための部屋のスペースとか、ドアの角度とか、装置の高さなどにについてアクセスしやすいことの基準が書かれています。
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また、法律としてはアフォーダブルケアアクト(アフォーダブルケア法)があります。オバマ大統領のころにできた法律で、アメリカ人の健康促進のための決まりです。
連邦の支援を受けるサービスは、最新のアクセシビリティ対応をするよう義務付けています。
これは一般的な医療機器だけでなく、Web サービスにも当てはまります。
しかし、サポートされるのが WCAG 2.0 など、最新ではない感じになっています。(今は WCAG2.1)
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最後に、DTx 自体が医療にアクセシブルであるとしても、やはりアプリケーションなので、アプリケーションとしてのプラクティスを確立させないといけません。
その中でも、アクセシビリティの知識をどうやって浸透させるのかと言うのが、品質を向上させるための課題のひとつであると言えます。