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バックログはなぜ一つであるべきか?スクラムチームの適応力を因果ループで読み解く

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August 31, 2025
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 バックログはなぜ一つであるべきか?スクラムチームの適応力を因果ループで読み解く

バックログはひとつであるというスクラムの前提について探求します。

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August 31, 2025
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  1. 自己紹介 • 名前:本多裕之 • 所属:BIPROGY inc. アジャイル推進室 ◦ 発音は、びぷろじー ◦

    旧社名:日本ユニシス株式会社 • 業務: ◦ AXLabというサービスを提供。主に社内向けのアジャイルコーチ。 ▪ https://www.biprogy.com/solution/service/axlab.html ◦ 他には、社内勉強会主催 • メタファシリテーション1級 • NLPプラクティショナー受講中
  2. Agenda • バックログがひとつとは? • バックログの数がふえると? ◦ Agileとは? ◦ Orgtoporogyとは? •

    バックログ数と適応力との関係を因果ループで見てみよう • まとめ
  3. Agileという言葉はマーケティングのためにつくられた • LeSSを考案者のひとりであるCraig Larman。 • Craig Larman曰く、Agileというキーワードを作ったのはマーケティ ングのため であった。 •

    Agileのほか、AdaptiveやFlexibleなどが候補に挙がった。 • AdaptiveはJim Highsmithがすでに使っていた。 • そして、Agileという言葉が選ばれた。
  4. Orgtoporogyとは?(https://www.orgtopologies.com/) • Org Topologies(OT) は、組織のかたちを「仕事の範囲」と「スキルの範囲」とい う二つの軸で整理します。 ◦ 仕事の範囲(Scope of Work

    Mandate) ▪ どのくらいの範囲の仕事を任されているか。 ▪ (小さなタスクだけ/一部の仕事/製品全体 など) ◦ スキルの範囲(Scope of Skills Mandate) ▪ どのくらいスキル幅を持っているか。 ▪ (専門だけ/複数スキル/一連の価値提供を全部できる など) • この2軸を組み合わせて、組織を16種類のタイプに分類。 • 自分たちのチームや会社をマップに置くことで、「今どんな形なのか」を分かりや すく表せるのが特徴です。
  5. 横軸の説明:スキルの範囲(Scope of Skills Mandate) • 左の Functional(機能特化) は単一の専門スキルに限られ、他チームへの依 存が大きい状態です。 •

    そこから Multi-skill(多能工)、End-to-End(端から端まで) と進むにつれてスキ ルの幅が広がり、依存を減らして自己完結できるようになります。 • さらに Expanding、Unbounded では、新しい領域を柔軟に取り込み、スキルの 制約に縛られないチームとなります。 • つまり横軸は、他チーム・組織への依存度が高い専門チームから、クロスファ ンクショナルで自己完結できるチームへ進化する流れを表しています。
  6. 縦軸の説明:仕事の範囲(Scope of Work Mandate) • 縦軸は、チームがどれだけ広い範囲の仕事を任されているか を示しています。 • 下の Tasks(タスク単位)

    は小さな作業をこなすだけの状態です。 • そこから Capabilities(能力単位)、Partial Business(一部事業) と範囲が広が り、やがて Whole Business(全事業) を扱えるようになります。 • 最上位の Unbounded(無制限) では、事業や組織の枠を超えた範囲を担うこと も可能です。 • つまり縦軸は、個別作業に閉じた状態から、事業全体を任される状態へと広 がっていく流れ を表しています。
  7. 【参考】モデリング諸注意 • 「All models are wrong, but some are useful.」

    すべてのモデルは間違っているが、役に立つものもある。 • あるチームで作成したモデルを、別のチームに見せても理解される 可能性は低い。 • モデルを作る過程(対話、思考)での気づき、発見、共通理解、学習 が大事。
  8. Step2 チームが 熟知している PBIの 割合 • 例えば、PBLが4個で40個PBIがあったとき に、チームが熟知しているPBIは10個なら割合 は25% •

    バックログが複数増えていくとどうなります か? • バックログが10個になったら?バックログが1 個になったら?
  9. 大規模フレームごとのバックログの扱いは違います • LeSS ◦ バックログはひとつ ◦ LeSS HugeはAreaごとにバックログが分かれる • Nexus

    ◦ バックログはひとつ • Scrum@Scale ◦ 協調するスクラムチームごとにバックログをもつ • SAFe ◦ バックログは複数種類ある 各フレームには特性がある。バックログの取り扱いは特性の1要素すぎない。組織がど のような体制を目指して、どのように達成しようとしているのか を踏まえて選定すること が重要。 https://www.amazon.co.jp/dp/4297136619 https://framework.scaledagile.com/ https://www.amazon.co.jp/dp/4802079117
  10. 今日お伝えしたこと • 複数バックログのケース • バックログが分かれる弊害 • Agileの成り立ち • Org Topologies(OT)での整理

    • 横軸:スキルの範囲(Functional → Multi-skill → End-to-End → Expanding) • 縦軸:仕事の範囲(Tasks → Capabilities → Partial Business → Whole Business) • 因果ループでの分析