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MIXIが挑む 自律的組織と自律型 AI エージェントの土台となる透明性

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July 04, 2025
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MIXIが挑む 自律的組織と自律型 AI エージェントの土台となる透明性

- 概要
本資料は、株式会社MIXI「みてね」事業本部副本部長/プロダクト開発部 部長であるKAKKA(平田将久)が、自律的組織・自律型AIエージェントの実現に不可欠な「透明性」について解説した開発生産性カンファレンス2025登壇資料です。

* なぜ今、組織の自律性が重要なのか?
* 透明性を高めるためにMIXIが実践している具体的な取り組み
* DX Criteriaを活用した組織・開発現場の進化
* NotionやAIツールを活用したナレッジ共有・情報の一元管理
* 人とAIの共存、これからのエンジニア組織に必要な条件

など、VUCA時代の変化と不確実性に柔軟に対応するための考え方・実践例を中心に、MIXI「みてね」チームが大切にしている「仮説検証の3本柱(透明性・検査・適応)」や、情報伝達の障害をどう乗り越えるか、T型人材・クロスファンクショナルチームの重要性についても紹介しています。

- 想定読者
* アジャイル開発や自律型組織に興味がある方
* 組織変革・DX推進担当者
* AI・ナレッジマネジメントに関心があるエンジニア/マネージャー

- キーワード
自律的組織 / 透明性 / DX Criteria / Notion / アジャイル / スクラム / AIエージェント / ナレッジベース / チームビルディング / T型人材 / MIXI / みてね

- 参考
* みてねでのDX Criteria実践・Notion活用事例
* 人とAIの共存に向けた組織デザイン
* 現場で使える透明性強化のヒント

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July 04, 2025
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Transcript

  1. 3 ©MIXI KAKKA(平⽥将久) 株式会社MIXI みてね事業本部 副本部⻑ 兼みてねプロダクト開発部 部⻑ バックエンド‧Androidエンジニア、アジャイルコーチ、DX推進 2015年〜

    Certified Scrum Professional® - ScrumMaster 2019年〜 ⽇本CTO協会 DX Criteria WGプロボノ ⾃⼰紹介 2011年に株式会社ミクシィ(現:MIXI)に新卒⼊社し、エンジニアとしてSNSの「mixi」を担当。2013年に転職し複数企業でエン ジニアとしてプロダクト開発、チームのスクラム導⼊、組織変⾰などのマネジメント業務に携わった。⽶国シリコンバレーのスター トアップ企業(Drivemode, Inc.→ Honda)でプロダクト開発や、Director of ConsultingとしてDX変⾰のリードを経て、2022年12 ⽉にMIXIに再⼊社。現在、みてねプロダクト開発部部⻑として「家族アルバム みてね」におけるエンジニアリング組織全体のマネジ メントに従事。Twitter(現X) @KAKKA_Blog ブログ: KAKKA is not 閣下 mixi2: @kakka
  2. 4 ©MIXI • 株式会社MIXIと家族アルバム みてね(以下、みてね)について • MIXI <> Notionの事例紹介 •

    みてねで⼤切にしていること ◦ 2つのDXとDX Criteria ◦ 仮説検証の3本柱、透明性 ◦ 透明性のための取り組み • ⼈とAIの共存 • Notionと歩む未来 ⽬次
  3. ©MIXI 8 1.3兆円超 累計売上⾼ 台湾、⾹港‧マカオにも提供 ⽇本だけではなく、 6,400万⼈突破 世界累計利⽤者数 ※2025年5⽉時点 プロダクト実績

    - モンスターストライク 「モンスターストライク」世界累計利⽤者数6,000万⼈突破のお知らせ | ニュース| 株式会社MIXI ※2023年6⽉時点
  4. ©MIXI 9 プロダクト実績 - みてね 175カ国、7⾔語対応 海外展開 40%超 海外ユーザー⽐率 2,500万⼈突破

    世界累計利⽤者数 ※2025年1⽉末 「家族アルバム みてね」 世界累計利⽤者数が2,500万⼈突破! | ニュース| 株式会社MIXI ※2025年1⽉時点
  5. 14 ©MIXI DX Criteriaとは? • DX Criteria( DX基準 )は、日本CTO協会が監修・編纂している企業のデジタル 化とソフトウェア活用のためのガイドライン。

    • チーム、システム、データ駆動、デザイン思考、コーポレートなどの多角的な視点 から、328の具体的項目に体系化したもの。 ◦ e.g. システムを開発する1チームの構成人数は、 3人以上10人以下か。(ピザ2枚ルール) • オープンな指標であるため、他社との比較も可能。
  6. 15 ©MIXI DX Criteriaの⽬的 • デジタル時代の超高速な仮説検証能力を得るには「2つのDX」が必要不可欠 • 企業のデジタル化(Digital Transformation) •

    開発者体験(Developer eXperience) ◦ 開発者にとっての働きやすい環境と高速な開発を実現するための文化・組織・システムが 実現されているかを意味する 。 • これらの2つは、経営にとってヒト・モノ・カネ・情報が一体であるように、一体で実 現されるものである。 • DX Criteriaの目的は超高速な事業仮説検証能力を得ることとしている。
  7. 16 ©MIXI DX Criteria v2025-06 リリース済み (⽇本CTO協会より) DX Criteriaでも生成AIの重要性は把握していたものの、過渡期であるため、クライテリアに組み込むには時 期尚早であった。

    そこで、「超高速な仮説検証のための生成 AI活用」に焦点を当て、先進的な取り組みを進める企業へのヒア リングを実施した。(左 : DX Criteria v2025-06、右: 生成AI 活用ヒアリングレポート )
  8. 17 ©MIXI 家族アルバム みてねのDeveloper Experience ※ 2023年9⽉にDX Criteriaを利⽤し、独⾃で診断。 ※ 37社平均は2021年の⽇本CTO協会より公表されたレポートより抜粋。

    ※ DXリーダー企業は、DX Criteriaを紹介されていた記事(各企業‧組織の診断結果含む)の中から、スコアの⾼かった5社を平均したもの。 Developer Experience(略してDX)は、ソフトウェア開発者が仕事をする上で感じる「使いやす さ」や「働きやすさ」を指す概念。ミッションの早期‧効率的実現にもつながる。
  9. 19 ©MIXI • バリューストリーム • 部⾨間タスクマネジメント • プロジェクト兼務 • カナリアリリース

    • SLO • アプリケーションセキュリティ • イベントストリーム処理基盤 みてねのDeveloper Experienceにおける課題 • ETL処理⾃動テスト • データリテラシー‧戦略 • アプリ内広告 • バンディットアルゴリズム • ユーザーインタビュー‧定性調査 • ペルソナ • ユーザビリティテスト • シャドウIT 改めてDX Criteriaを診断し直す必要があるが、改善傾向にあるものもが多々あり。 事業フェーズに応じて適切に課題の優先順位をつけて解決に向かっている。
  10. 28 ©MIXI 従来型から⾃律的組織へ、組織構造からのアプローチ チーム チーム チーム チーム 品質管理部 事業部 技術グループ

    チーム チーム チーム デザイングループ チーム チーム チーム 企画グループ 事業部 P O S M フィーチャーチーム P O S M フィーチャーチーム 顧客価値を提供するために必要な⼈‧モノ‧カネ、情報(透明性)が チームにある状態を意識
  11. 40 ©MIXI AIが⾃律的に代替していく業務と⼈間の業務 フロントエンド バックエンド プロダクトデザイン UXリサーチ PdM 具体的 リファクタリ

    ングタスク 抽象的 デザインシステムに従い、フロントエ ンドの開発タスク まだ⼈間がやったほうが良い領域。 異職種とコラボレーションしながら、ゴールを策定し、何を実施するかを決め、 AIをマネジメントする。 エージェントの性能は向上していき、扱える業務幅、 抽象度が上がってくる。⾃ずと⼈がやるべきことは⾒ えてくる。 エージェント エージェント エージェント プロダクトバックログ要件に従い、UIデザイン〜バックエン ド、フロントエンドまで開発するプロジェクト
  12. 42 ©MIXI Notionで実現する未来について Notionの強み Notionでできると良さそうなこと • ⼈‧組織がプロジェクトをこなすため の情報管理機能が極めて優れており、 網羅的であること。オールインワン。 情報をひとまとめにできる。

    • 情報を構造化して保管することがで き、⼈‧組織が直感的に「どこになん の情報があるか」「どこになんの情報 を保管すべきか」が直感的にわかる。 • Notion AIにより、透明性の壁である 「情報を解釈する時間がない」「情報 を解釈する知識がない」という課題が 解決できる。 • Notion AIが様々なサービスとコネク トできる。 • Agentic Workflow等によるワークフ ロー‧AIエージェントの実現や、AIに よる⾃動化ができ、かつそれがNotion 外部からも使えること。 • Notion AIが透明性の上に存在できる ので、Notion AIが⼈間の汎⽤ベスト パートナーAIとなるようにNotion AI がオープンになること(A2A等)
  13. 48 ©MIXI みてねのアジャイル変⾰ • 組織全体のValueとしてBe Agileを定義 • 組織構造がアジャイル⽂化を阻害しないよう 設計 •

    3本柱を⽀える透明性強化で0.1秒で現状を把 握できることを⽬指す プロセス・ フレームワーク 価値・原則 • コア〜表層の習熟度にこだわった16時間研修 により全員に共通⾔語を醸成 • チームコーチとして⽇常的にサポート コア コア〜表層
  14. 49 ©MIXI みてねのアジャイル変⾰ • 組織全体のValueとしてBe Agileを定義 • 組織構造がアジャイル⽂化を阻害しないよう 設計 •

    3本柱を⽀える透明性強化で0.1秒で現状を把 握できることを⽬指す プロセス・ フレームワーク 価値・原則 • コア〜表層の習熟度にこだわった16時間研修 により全員に共通⾔語を醸成 • チームコーチとして⽇常的にサポート コア コア〜表層
  15. 50 ©MIXI アジャイル‧スクラムが講義3時間だけで伝わるか? NO!→16時間!! ラーニングピラミッド ※ 図はhttps://career-ed-lab.mynavi.jp/career-column/707/ より抜粋 学習⽅法と平均学習定着率の関係はラーニングピラ ミッドという図で表すことができる。3時間の講義だけ

    だと5%しか伝わらない。MIXIの内製した16時間研修で は過半数の時間をワークやスクラムシミュレーション に費やし、「⾃ら体験する」ところまでサポートする ことで学習定着率を向上させている。 また、受講者でスクラムマスター志望の⽅等の場合、 次回は研修の講師として参加してもらうことで「他の ⼈に教える」までサポートできる。これは内製だから こそできる取り組みである。
  16. 51 ©MIXI 16時間はあっという間。研修の中⾝⼀覧 • ⽂化とは、⽂化の変⾰リーダーシップ • アジャイルとは、スクラムとは • アジャイルソフトウェア開発者宣⾔ •

    ⾃律的な組織 • クレイグラーマンの法則とスタートアップ、⼤企業 の変⾰事例 • コンポーネント組織とフィーチャー組織 • プロジェクト組織とプロダクト組織 • 個⼈のマルチスタック化とチームのアウトプットの 関係 • フロー効率、リソース効率 • 顧客価値の最⼤化 • 不確実性への対処 • 継続的な学習と改善 • アジャイルリーダーシップ • スクラム概要 • 3本柱と5つの価値観 • 3つのロール • スプリント、スプリント中⽌ • プロダクトゴールとプロダクトバックログ • 受け⼊れ条件 • スプリントプランニング、スプリントバックログ • Doneの定義 • 各セレモニー • 潜在的リリース可能なインクリメント • レゴスクラムシミュレーション • オンラインまちづくりシミュレーション • オンライン家造りシミュレーション ※ この中から適宜ピックアップ
  17. 54 ©MIXI T型⼈材とは? Android iOS バックエンド プロダクトデザイン UXリサーチ QA PdM

    Skill Level MIXI及びみてねで推奨している⼈材。 この場合、単にバックエンド専⾨家で はなく、価値提供するにあたり、必要 な職能を幅広く習得している⼈材。 このような⼈材を増やすことで顧客価 値提供が⾮常に効率良くなる。
  18. 56 ©MIXI 最優先で提供したい顧客価値 「過去の⾏動履歴から学習させたおすすめのレシピをトップページでみたい」 API叩いて表⽰す るだけ! API叩いて表⽰す るだけ! API叩いて表⽰す るだけ!

    ぐぬぬ‧‧‧ バックエンドエンジニアの負荷だけとても⾼く、バックエンドエンジニアが開発完了するまでリリー スできない。つまり価値提供が遅れてしまう。
  19. 58 ©MIXI 最優先で提供したい顧客価値 「過去の⾏動履歴から学習させたおすすめのレシピをトップページでみたい」 バックエンドの タスクをヘルプ API叩いて表⽰ バックエンドの タスクをヘルプ API叩いて表⽰

    バックエンドの タスクをヘルプ API叩いて表⽰ タスク分解して ヘルプ要請 バックエンドエンジニアの負荷が他のT型⼈材に分散され、価値提供スピードが向上する。