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第22回SIG-FIN 発表資料 "オプションアプローチによる中小企業の現金残高の推測"

7e4e1f4a33bb0153a575f09e34058bd7?s=47 Kenji Usui
March 03, 2019

第22回SIG-FIN 発表資料 "オプションアプローチによる中小企業の現金残高の推測"

オプションアプローチによる中小企業の現金残高の推測
Cash Prediction for Small and Medium Enterprises by Option Approach

予稿原稿はこちらへ
http://sigfin.org/022-21/

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Kenji Usui

March 03, 2019
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Transcript

  1. オプションアプローチによる中小企業の現金残高の推測 Cash Prediction for Small and Medium Enterprises by Option

    Approach 2019/03/03 第22回 SIG-FIN 研究会 freee株式会社 薄井研二
  2. 2 1. 研究背景と手法 2. 結果と考察 3. まとめと展望

  3. 3 1. 研究背景と手法 2. 結果と考察 3. まとめと展望

  4. 4 なぜ資金繰りが必要なのか? 資金繰りとは資金の収支を管理して 過不足を調整すること 企業では売買掛取引により 利益と資金の収支が一致しない 売上 入金 仕入 出金

  5. 5 資金不足による黒字倒産 利益と資金の収支は一致しないので 出金予定に合わせて資金を用意する 資金が不足すると利益が出ているが 資金が不足し倒産する黒字倒産が発生 売上 入金 仕入 出金

    資金不足に より倒産
  6. 6 融資による資金の確保 資金不足時は融資を受けて資金を確保する いつ・どれくらい融資を受ける必要があるのか 把握するために資金繰りが必要 売上 入金 仕入 出金 融資を受けて

    資金を確保
  7. 7 中小企業の資金繰り 黒字倒産する企業の93%は20人以下の中小企業 • 中小企業は余剰資金が少ない • 資金繰りに必要な管理を行えていない 参考: 中小企業庁 2017年度版中小企業白書

    http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/h29/index.html
  8. 8 より簡単な資金予測 中小企業では人手不足やスキル不足から 資金繰りを十分に行えていない 簡単に将来の資金不足タイミングや額を把握したい ↓ 過去のデータから将来の資金を予測する 本研究では、 オプションアプローチを用いて現預金残高を推測

  9. 9 オプションアプローチとは? 資産 A T が負債 D T を下回る状態を デフォルトと考える構造型モデルの1つ

    株式をオプションとみなすことで オプション価格決定モデルからPD を算出する time value A T t T PD D T
  10. 株式のデータがあれば計算が可能 • リアルタイムな推測 • 実績デフォルトデータが不要 10 オプションアプローチのメリット time value A

    T t T PD D T
  11. 11 本研究における置き換え N(−d 2 ) : 満期時に資産が負債を下回る確率 → T 月に現預金が任意の値

    D T を下回る確率 t : 融資開始期 → 計算開始月 T : 負債満期 → 予測したい月 A t : t 期の資産価値 → t 期の現預金残高 D T : t期 の負債総額 → 任意の値 μ A : 資産の期待成長率 → 月次現預金残高の期待成長率 σ A : 資産の標準偏差 → 月次現預金残高の標準偏差 参考: 森平爽一郎: 信用リスクモデリング-測定と管理-, (2009)
  12. • クラウド会計ソフトfreeeを利用する 未上場の企業を対象 • 貸借対照表より月次の現預金残高を取得 クラウド会計ソフトfreee • freee株式会社が提供する中小企業や個人事業主向 けに提供しているクラウド会計ソフト •

    100万事業所に利用されている(2018年3月) • クラウド型なので会計データがシステム上に集約され ている 参考: クラウド会計ソフトfreee https://www.freee.co.jp/ 12 データ
  13. 13 評価方法 法人の月次現預金残高1年分からパラメータ σ A とμ A を算出しオプションアプローチを用いてPDを求める 次期1年のデータで A

    T が D T を下回っている状態を擬 似デフォルトとみなしてAUCを算出する パラメータ計算対象期間 精度検証期間 2016年度会計期間 2017年度会計期間
  14. 14 1. 研究背景と手法 2. 結果と考察 3. まとめと展望

  15. 15 予測期間 実験 • 推測する期間 T - t を1-12ヶ月で変動させて AUCをそれぞれ算出し比較する

    目的 • 余裕をもって対策をするためになるべく 長期の予測がしたい • 一般的な商習慣から3ヶ月先の予測が重要 time value A T t T T-t
  16. 16 予測期間 結果 • 期間が短いほどAUCは高くなる • 予測期間が1-3ヶ月のときはAUC=0.79となり 本実験の範囲で最もAUCが高かった Fig. 1

    予測期間[月] に対するAUCの変化
  17. 17 予測金額 実験 • D t を A t の

    n %とおき n を10-90に10刻みで 変動させAUCを算出する 目的 • 支払いのために極端な現預金の減少を予見したい • 現預金残高の安定性を把握する time value A T t T n D t
  18. 18 予測金額 結果 • n が大きくなるにつれてAUCは増大する傾向 • 極端な変動ほど精度よく推測することができる Fig. 2

    現預金残高率[%] に対する AUCの変化
  19. 19 パラメータ計算対象期間 • 実験 オプションアプローチに用いる標準偏差と 期待成長率を計算するときの対象期間を 1-3年で変動させてAUCの変化をみる • 目的 必要なデータが少なければ新興企業などでも

    使用できる time value A T t T パラメータ計算対象期間
  20. 20 パラメータ計算対象期間 結果 • 対象期間を延ばしても精度の変化はかなり小さい Fig. 3 パラメータ計算対象期間 [年] に対するAUCの変化

  21. 21 1. 研究背景と手法 2. 結果と考察 3. まとめと展望

  22. 22 まとめ 中小企業の現預金残高をオプションアプローチを用いて 予測し精度を検証 ↓ 短期間 or 大きな変動に対する推測精度は高く1期の データで計算が可能である •

    予想期間が短いほど精度が高い • 負債を現在の現預金残高よりも大きく離れた 値にしたほうが精度が高い • パラメータ(標準偏差や期待成長率)の 計算期間は精度に大きな影響を与えない
  23. 23 展望 • 時系列解析 • 季節変動やトレンド • 業種や規模による変化 • 商習慣や取引実績の考慮