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第22回SIG-FIN 発表資料 "オプションアプローチによる中小企業の現金残高の推測"

Kenji Usui
March 03, 2019

第22回SIG-FIN 発表資料 "オプションアプローチによる中小企業の現金残高の推測"

オプションアプローチによる中小企業の現金残高の推測
Cash Prediction for Small and Medium Enterprises by Option Approach

予稿原稿はこちらへ
http://sigfin.org/022-21/

Kenji Usui

March 03, 2019
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Transcript

  1. 9 オプションアプローチとは? 資産 A T が負債 D T を下回る状態を デフォルトと考える構造型モデルの1つ

    株式をオプションとみなすことで オプション価格決定モデルからPD を算出する time value A T t T PD D T
  2. 11 本研究における置き換え N(−d 2 ) : 満期時に資産が負債を下回る確率 → T 月に現預金が任意の値

    D T を下回る確率 t : 融資開始期 → 計算開始月 T : 負債満期 → 予測したい月 A t : t 期の資産価値 → t 期の現預金残高 D T : t期 の負債総額 → 任意の値 μ A : 資産の期待成長率 → 月次現預金残高の期待成長率 σ A : 資産の標準偏差 → 月次現預金残高の標準偏差 参考: 森平爽一郎: 信用リスクモデリング-測定と管理-, (2009)
  3. • クラウド会計ソフトfreeeを利用する 未上場の企業を対象 • 貸借対照表より月次の現預金残高を取得 クラウド会計ソフトfreee • freee株式会社が提供する中小企業や個人事業主向 けに提供しているクラウド会計ソフト •

    100万事業所に利用されている(2018年3月) • クラウド型なので会計データがシステム上に集約され ている 参考: クラウド会計ソフトfreee https://www.freee.co.jp/ 12 データ
  4. 13 評価方法 法人の月次現預金残高1年分からパラメータ σ A とμ A を算出しオプションアプローチを用いてPDを求める 次期1年のデータで A

    T が D T を下回っている状態を擬 似デフォルトとみなしてAUCを算出する パラメータ計算対象期間 精度検証期間 2016年度会計期間 2017年度会計期間
  5. 15 予測期間 実験 • 推測する期間 T - t を1-12ヶ月で変動させて AUCをそれぞれ算出し比較する

    目的 • 余裕をもって対策をするためになるべく 長期の予測がしたい • 一般的な商習慣から3ヶ月先の予測が重要 time value A T t T T-t
  6. 17 予測金額 実験 • D t を A t の

    n %とおき n を10-90に10刻みで 変動させAUCを算出する 目的 • 支払いのために極端な現預金の減少を予見したい • 現預金残高の安定性を把握する time value A T t T n D t
  7. 22 まとめ 中小企業の現預金残高をオプションアプローチを用いて 予測し精度を検証 ↓ 短期間 or 大きな変動に対する推測精度は高く1期の データで計算が可能である •

    予想期間が短いほど精度が高い • 負債を現在の現預金残高よりも大きく離れた 値にしたほうが精度が高い • パラメータ(標準偏差や期待成長率)の 計算期間は精度に大きな影響を与えない