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思った以上に良かった!ユーザーと一緒に作るRAGの評価データセット

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August 12, 2026
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 思った以上に良かった!ユーザーと一緒に作るRAGの評価データセット

【Sansan・キャディ・トリビュー】RAG×実サービス運用の最前線での登壇資料
https://connpass.com/event/399676/

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Takemoto Ken

August 12, 2026

Transcript

  1. ⾃⼰紹介 キャディ株式会社 Technology 本部 MLE 竹本 健 (Takemoto Ken) 前職はAIスタートアップで、画像解析や機械学習を用い

    た開発をしていました。 キャディでは図面を解析するモデル開発やRAGを用いた アプリケーションの開発に従事しています。 趣味 • 海外旅行(と機内で名探偵コナンを一気見) • パスタ作ること © CADDi Inc.
  2. 本日の内容 1. キャディの紹介 2. RAGプロダクトの紹介 3. 作る前に抱えていた 3つの思い込みを 1つずつ答え合わせしていく ①

    評価:LLM-as-a-Judge に頼るしかない? ② 作り方:CS・ユーザーに頼っていいのか? ③ 価値:2〜3ヶ月かける意味はある? © CADDi Inc.
  3. キャディが実現したいこと: 製造業をソフトウェア化し、イノベーションの速度を10倍に 現状 製造業は世界最⼤の 市場(2,000兆円) でありながら、 イノベーションが 起きていない。 Manufacturing 1995

    5yrs 11x 2025 5yrs Software 1995 2yrs 100x 2025 7days 両者とも「モノをつくる」と いう本質は同じ。しかし製造 業ならではの難しさがある。 © CADDi Inc. 30年前と⽐較して、モノづくりに かかる時間は変わっていない 30年前と⽐較して、ソフトウェア開発に かかる時間は100倍⾼速に 5
  4. RAGプロダクトの紹介 • テナント分離されたRAGプロダクトを提供 • 技術検討書・品質検査報告書・仕様書などを横断的に参照して質問に回答 ① 質問を入 力 ② 関連文書を検索

    議事録 不具合情報 ④ 回答を出 力 ③ 関連情報を返 す 時間や組織の隔たりを越えた知見の活用で、知見に価値を © CADDi Inc. ✓ ✓ 他部署の情報や過去情報でもすぐに発見 文書データを読み込まなくても、ほしい情報だけを簡単に抽出 試験結果
  5. 数字は出る。でも信じきれなかった 思い込み① LLM-as-a-Judgeに 頼るしかない? 当時は検索結果と回答だけを見て、正解を持たずに定量評価 をしていた 評価軸 何を見るか 検索精度 検索した情報が根拠として確からしいか

    検索結果の多様性 偏りなく複数の情報源を参照しているか 回答の有無 回答を提示できているか(謝罪回答していないか) 質問と回答の関連度 質問と回答が関連しているか • 評価軸が表層的 なため定量と定性の乖離が頻発 (定量で有意差ありでも定性は同等、その逆も) • 正直、数値はお気持ち程度だった © CADDi Inc.
  6. そもそも LLMだけでは務まらない評価 思い込み① LLM-as-a-Judgeに 頼るしかない? 頼るしかない • 製造業のドキュメント(不具合報告書・製品仕様書等)は、専門用語も文書構造もテナント・ 部署ごとに大きく異なる •

    正しく評価するには、製造業のドメイン知識に加えてテナント固有の知識まで必要 • LLM にはどちらもない。評価している自分たちにも十分な知識がなかった • それでも他に手段がなく、LLM-as-a-Judgeに頼らざるを得なかった © CADDi Inc.
  7. まず、対象とするクエリを定めた 思い込み① LLM-as-a-Judgeに 頼るしかない? 頼るしかない • どんなクエリを対象にするかを決めるところから始めた • クエリを2軸で分類して全体像を洗い出し、優先度の高いものから作成した 観点

    分類 タスク観点 Extractive QA / Temporal QA / Multi-hop Reasoning QA / Aggregation・Contrast QA / Long-form QA・Summarization / Conversational QA / Negative QA など 入力形式の観点 © CADDi Inc. 自然文 / キーワードの羅列 / 多言語 など
  8. 思い込み① LLM-as-a-Judgeに 頼るしかない? 何で測り、何を正解とするか 検索と回答の2ステップに対して、それぞれ正解と評価指標を用意 ステップ 正解 評価指標 検索 検索されるべきドキュメント群

    検索の網羅性 回答 キーポイント(回答に含むべき論点・事実) 回答の網羅性 例:「モデルAという洗濯機の耐久試験で報告された不具合は?」に対して • • 検索の正解:不具合報告書 #045、耐久試験報告書 v3 回答の正解:2021年の耐久試験で電気回路の接点不良が1件/接点不良の原因は摩耗 によるもの/対策は、... © CADDi Inc.
  9. 思い込み① LLM-as-a-Judgeに 頼るしかない? 表層的な評価から、客観的な評価へ 正解を基準にできた。それだけで、評価でできることが大きく広がった できること Before:表層的な評価 After:客観的な評価 良し悪しの判断 主観で「良さそう」止まり

    何が取れ・何が欠けたかを 根拠をもって判断 失敗の切り分けと どこで失敗したかも、 検索/回答のどちらで失敗したかを切り 原因究明 なぜ取れないかも追えない 分け、なぜ取れなかったかまで追える 改善効果の測定 ロジックを変えても差が見えない どこが‧どれだけ良くなったかを 定量で測れる © CADDi Inc.
  10. 着手を止めていた、いくつもの壁 • データセットを作るアイデア自体は、何度か出ていた • 立ちはだかっていた壁 思い込み② CS・ユーザーに頼っ ていいのか? ◦ 作れる人がいない

    :製造業のドメイン知識+テナント固有知識、その両方を備えた人が身近に いない ◦ 対象が膨大 :1テナントあたり数万〜数百万規模のドキュメント ◦ 進め方が見えない :どう作るか・誰と作るかが分からない ◦ 心理的ハードル :CS・ユーザーに頼っていいのか © CADDi Inc.
  11. 思い込み② CS・ユーザーに頼っ ていいのか? 声をかけて、巻き込んで、初めて作れた • • CSに相談 ◦ よく利用してくれているテナントの CS

    に声をかけた ◦ CSから「ユーザーにヒアリングして、一緒に作りましょう」 顧客・CS・PdMで作成 ◦ • と提案があった 事前に用意した設計をもとに、ヒアリングしながらアノテーションをした 想像以上に協力的 ◦ CSも顧客も「課題を解決したい」 という想いで積極的に協力してくれた ◦ 相談前の「協力してもらえるだろうか」という 不安は杞憂だった 頼ってよかった。巻き込んだからこそ作れた © CADDi Inc.
  12. 思い込み③ そこまでの価値があ るのか? 検証サイクルが約 5倍速くなった 検証1サイクルにかかる時間 約1週間 → 約1日 正解があると成功・失敗の判断がすぐに付くため、定性評価で悩む場面が激減

    した Before 数十〜数百件の検索・回答結果を一件ずつ目視し、評 価・示唆出し・次の改善策の検討 © CADDi Inc. After 定量評価で全体の傾向を掴み、 深掘りすべきケースだけに絞り込む
  13. 新しい手法を、気楽に試せるようになった 思い込み③ そこまでの価値があ るのか? • RAG は日進月歩。Vanilla / Agentic /

    Graph RAG … 新しい手法が次々に出てくる • 以前は試したところで良くなったかを判断できず、手を出しづらかった 信頼できるデータセットがあれば新手法をすぐに検証・比較でき、 試すことへのハードルが大きく下がった © CADDi Inc.
  14. 想定外の副産物 思い込み③ そこまでの価値があ るのか? 作った成果だけでなく、作る過程そのものからも想定していなかったものが得られた • • 顧客理解 ◦ 過去の会話履歴を網羅的に見てクエリを抽出

    → ユーザーが何を求め、どう入力するかが見えた ◦ ユーザーと一緒に正解を作る過程で、どの文書にたどり着くべきかという 検索の流れまで理解できた 自分たちが提供する価値 ◦ 「何を指標にすべきか」をチームで議論 → プロダクトが本来提供すべき価値が明確になった 評価のために作ったのに、顧客理解まで深まった © CADDi Inc.
  15. まとめ • • 3つの思い込みは全部覆った ◦ LLM に頼るしかない → 正解を基準に、表層的な評価が客観的な評価に ◦

    頼っていいのか → 声をかけて巻き込んだら、作れた ◦ そこまでの価値? → 検証速度が約 5倍/新手法もすぐ試せる/顧客理解まで かつての自分と同じ状況なら ◦ 「作りたい・必要だ」と声に出す ◦ 社内の詳しい人・ユーザーに声をかける 工数はかかる。それでも、得られるものは想像以上だった © CADDi Inc.