Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

最大マッチングに着目した警備ロボットの複数の巡回経路の設計 / Design of multiple patrol paths for security robots focusing on maximum matching

konakalab
August 19, 2022

最大マッチングに着目した警備ロボットの複数の巡回経路の設計 / Design of multiple patrol paths for security robots focusing on maximum matching

警備ロボットの経路計画問題について,直前に選んだ警備経路と異なるが警備効率を維持できる新しい経路を設計できる手法を提案しました.経路設計時に必要な最大マッチングに着目することで実現しています.

電子情報通信学会第35回回路とシステムワークショップ(https://www.ieice.org/~kws/) で発表しました.

konakalab

August 19, 2022
Tweet

More Decks by konakalab

Other Decks in Science

Transcript

  1. 最大マッチングに着目した 警備ロボットの複数の 巡回経路の設計 名城大学大学院 理工学研究科 情報工学専攻 坂倉健太* 小中英嗣

  2. はじめに • 研究背景:警備ロボット ➢ 警備の自動化➡警備の質向上 • 巡回警備の目的 ➢ 事故の早期発見・拡大防止 https://www.knightscope.com/k5/

    • 巡回警備の考慮すべき点 ➢ 訪問間隔が極端に長い地点がある➡侵入が容易となる ➢ 巡回経路が単一の経路➡経路が予測される
  3. はじめに • 研究背景:警備ロボット ➢ 警備の自動化➡警備の質向上 • 巡回警備の目的 ➢ 事故の早期発見・拡大防止 https://www.knightscope.com/k5/

    • 巡回警備の考慮すべき点 ➢ 訪問間隔が極端に長い地点がある➡侵入が容易となる ➢ 巡回経路が単一の経路➡経路が予測される • 本研究の目的 警備ロボットの各地点の訪問間隔を 可能な限り短く均等にする複数の巡回経路の生成手法の提案
  4. 中国人郵便配達問題 • 巡回警備の条件 ➢ 地図上での全ての通路を少なくとも一回は通る ➢ 経路の始点と終点が同じ 地図が無向グラフ➡中国人郵便配達問題に帰着

  5. 中国人郵便配達問題 • 巡回警備の条件 ➢ 地図上での全ての通路を少なくとも一回は通る ➢ 経路の始点と終点が同じ • 中国人郵便配達問題 無向グラフの全ての道を少なくとも一度通り、出発点に戻る経路

    のうち総経路長が最小のものを求めるグラフ問題 地図が無向グラフ➡中国人郵便配達問題に帰着
  6. 中国人郵便配達問題の解法 1. 地図を無向グラフに変換 2. オイラーグラフかの判別 3. 最小重み最大マッチングを用いた多重グラフの生成 4. 多重グラフに対してオイラー回路を求める

  7. 与えられた元の地図 無向グラフ 地図上の通路を辺、通路同士の交差点を頂点、頂点間の距離を辺の重み 障害物 通路 頂点 辺 1.0 1.0 1.0

    1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 2.0 1. 地図を無向グラフに変換
  8. ⒉ オイラーグラフかの判別 • オイラーグラフ ある頂点から全ての辺を一回のみ通ってもとの頂点に戻ってくる 閉路をもつグラフ

  9. ⒉ オイラーグラフかの判別 頂点の次数(接続した辺の数) が奇数のものが存在 • オイラーグラフ ある頂点から全ての辺を一回のみ通ってもとの頂点に戻ってくる 閉路をもつグラフ

  10. ⒉ オイラーグラフかの判別 頂点の次数(接続した辺の数) が奇数のものが存在 オイラーグラフではない • オイラーグラフ ある頂点から全ての辺を一回のみ通ってもとの頂点に戻ってくる 閉路をもつグラフ

  11. ⒉ オイラーグラフかの判別 頂点の次数(接続した辺の数) が奇数のものが存在 オイラーグラフではない • オイラーグラフ ある頂点から全ての辺を一回のみ通ってもとの頂点に戻ってくる 閉路をもつグラフ 頂点の次数が全て偶数となる

    多重グラフを生成する
  12. 3.最小重み最大マッチングを用いた多重 グラフの生成 1.0 1.0 2.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

    1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 • 次数が奇数の頂点間のみで最小重み最大マッチングを求める • マッチング 次数が奇数の頂点6個を2個ずつ の三組に分ける
  13. 3.最小重み最大マッチングを用いた多重 グラフの生成 1.0 1.0 2.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

    1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 • 次数が奇数の頂点間のみで最小重み最大マッチングを求める • マッチング 次数が奇数の頂点6個を2個ずつ の三組に分ける マッチングは15通り存在
  14. 3.最小重み最大マッチングを用いた多重 グラフの生成 1.0 1.0 2.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

    1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 • 結果 ➢ マッチング:(1,2) (4,9) (6,7) ➢ マッチングの重みの総和:4.0
  15. 3.最小重み最大マッチングを用いた多重 グラフの生成 1.0 1.0 2.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

    1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 • 結果 ➢ マッチング:(1,2) (4,9) (6,7) ➢ マッチングの重みの総和:4.0 15通りの中で最小のもの
  16. 3.最小重み最大マッチングを用いた多重 グラフの生成 1.0 1.0 2.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

    1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 • 結果 ➢ マッチング:(1,2) (4,9) (6,7) ➢ マッチングの重みの総和:4.0 15通りの中で最小のもの • 最小重み最大マッチング 重みの総和が最小となるマッチング
  17. 3.最小重み最大マッチングを用いた多重 グラフの生成 • 元のグラフにマッチングを 追加し多重グラフを生成 • 多重グラフ

  18. 3.最小重み最大マッチングを用いた多重 グラフの生成 • 元のグラフにマッチングを 追加し多重グラフを生成 • 多重グラフ 全ての頂点の次数が偶数

  19. 4. 多重グラフに対してオイラー回路を求 める • オイラー回路を求め巡回経路を生成 ➢ 地図上での全ての通路を少なくとも一回は通る、最短の経路 • 問題点 ➢

    単一の経路➡巡回経路を予測される
  20. 4. 多重グラフに対してオイラー回路を求 める • オイラー回路を求め巡回経路を生成 ➢ 地図上での全ての通路を少なくとも一回は通る、最短の経路 • 問題点 ➢

    単一の経路➡巡回経路を予測される • 提案手法 最小重み最大マッチングに着目し、 前の周と異なる複数の巡回経路を生成
  21. 提案手法の概要 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

    1.0 1.0 1.0 2.0 16.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 2.0 マッチングをランダムで一つ選択
  22. 提案手法の概要 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

    1.0 1.0 1.0 2.0 16.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 2.0 重みを非常に大きな値に変更
  23. 提案手法の概要 1.0 1.0 2.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

    1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 16.0 • 結果 ➢ マッチング:(1,7) (2,6) (4,9) ➢ マッチングの重みの総和:6.0 • 次数が奇数の頂点間のみで最小重み最大マッチングを求める
  24. 提案手法の概要 1.0 1.0 2.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

    1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 16.0 • 結果 ➢ マッチング:(1,7) (2,6) (4,9) ➢ マッチングの重みの総和:6.0 • 次数が奇数の頂点間のみで最小重み最大マッチングを求める ➡(6,7)を選ばないマッチング
  25. 提案手法の概要 • 多重グラフの生成

  26. 提案手法の概要 • 多重グラフの生成 重みを元に戻す 1.0 16.0

  27. 巡回経路の比較 • 新しく生成された巡回経路 ⓪→④→⑤→⑨→⑩→ ⑦→⑥→②→⑥→⑤→ ⑨→⑧→④→⑤→①→ ②→③→⑦→③→②→ ①→⓪ 総距離 22.0

    マッチングの重みの総和 6.0 • 前の周の巡回経路 ⓪→④→⑤→⑨→⑩→ ⑦→⑥→⑦→③→②→ ⑥→⑤→⑨→⑧→④→ ⑤→①→②→①→⓪ 総距離 20.0 マッチングの重みの総和 4.0
  28. 巡回経路の比較 • 新しく生成された巡回経路 ⓪→④→⑤→⑨→⑩→ ⑦→⑥→②→⑥→⑤→ ⑨→⑧→④→⑤→①→ ②→③→⑦→③→②→ ①→⓪ 総距離 22.0

    マッチングの重みの総和 6.0 • 前の周の巡回経路 ⓪→④→⑤→⑨→⑩→ ⑦→⑥→⑦→③→②→ ⑥→⑤→⑨→⑧→④→ ⑤→①→②→①→⓪ 総距離 20.0 マッチングの重みの総和 4.0
  29. 巡回経路の比較 • 新しく生成された巡回経路 ⓪→④→⑤→⑨→⑩→ ⑦→⑥→②→⑥→⑤→ ⑨→⑧→④→⑤→①→ ②→③→⑦→③→②→ ①→⓪ 総距離 22.0

    マッチングの重みの総和 6.0 • 前の周の巡回経路 ⓪→④→⑤→⑨→⑩→ ⑦→⑥→⑦→③→②→ ⑥→⑤→⑨→⑧→④→ ⑤→①→②→①→⓪ 総距離 20.0 マッチングの重みの総和 4.0 ここから経路が異なる
  30. 提案手法の利点・欠点 • 利点 ➢ 最小重み最大マッチングを利用➡巡回経路の総距離は長くなりにくい ➢ 適用可能な無向グラフの場合➡一周毎に巡回経路が確実に異なる • 欠点 無向グラフがオイラーグラフ・または次数が奇数の頂点が二つの場合、

    巡回経路を増やすことができない
  31. 提案手法の利点・欠点 • 利点 ➢ 最小重み最大マッチングを利用➡巡回経路の総距離は長くなりにくい ➢ 適用可能な無向グラフの場合➡一周毎に巡回経路が確実に異なる • 欠点 無向グラフがオイラーグラフ・または次数が奇数の頂点が二つの場合、

    巡回経路を増やすことができない 提案手法の有効性は地図に依存する
  32. 数値実験 実験で使用する無向グラフ 𝐽1 :各地点の訪問間隔に関する評価指標 各地点の訪問間隔が短く均等であるほど値が 𝐽2 :巡回経路の不規則性に関する評価指標 巡回経路が不規則であるほど値が小さい 小さい 二つの評価指標の値は小さい方が望ましい

  33. 数値実験 𝐽1 :各地点の訪問間隔に関する評価指標 𝐽1 𝑅 = ෍ 𝑘=0 |𝑉| ෍

    𝑙=1 𝑚 (∆𝑡 (𝑘, 𝑙))2 𝑉:頂点集合 𝑘:頂点番号 𝑙:𝑘に対しての訪問回数 𝑚:𝑘に対しての最大の訪問回数 ∆𝑡 :訪問間隔時間 例1:頂点1に2回の訪問 1回目の訪問:巡回を始めてから1秒後 2回目の訪問:巡回を始めてから10秒後 訪問間隔:[1,9] ∆𝑡 (1,1)=1、∆𝑡 (1,2)=9 頂点1での評価値 12 + 92 = 82
  34. 数値実験 𝐽1 :各地点の訪問間隔に関する評価指標 𝐽1 𝑅 = ෍ 𝑘=0 |𝑉| ෍

    𝑙=1 𝑚 (∆𝑡 (𝑘, 𝑙))2 𝑉:頂点集合 𝑘:頂点番号 𝑙:𝑘に対しての訪問回数 𝑚:𝑘に対しての最大の訪問回数 ∆𝑡 :訪問間隔時間 例2:頂点1に2回の訪問 1回目の訪問:巡回を始めてから5秒後 2回目の訪問:巡回を始めてから10秒後 訪問間隔:[5,5] ∆𝑡 (1,1)=5、∆𝑡 (1,2)=5 頂点1での評価値 52 + 52 = 50
  35. 数値実験 𝐽2 :巡回経路の不規則性に関する評価指標 • 自己相関係数 ➢ 「元のデータ」と「元 のデータからずらしたデータ」との相関係数 ➢ 相関係数の絶対値が1に近い→データの相関が強い

    ➢ 相関係数の絶対値が0に近い→データの相関が弱い
  36. 数値実験 𝐽2 :巡回経路の不規則性に関する評価指標 • 自己相関係数 ➢ 「元のデータ」と「元 のデータからずらしたデータ」との相関係数 ➢ 相関係数の絶対値が1に近い→データの相関が強い

    ➢ 相関係数の絶対値が0に近い→データの相関が弱い 生成された巡回経路の データの相関が弱い 不規則性がある
  37. 数値実験 𝐽2 :巡回経路の不規則性に関する評価指標 𝑉:頂点集合 𝑘:頂点番号 𝑟𝑘 :𝑘に対しての絶対値が2番目に大きい自己相関係数 𝐽2 𝑅 =

    σ 𝑘=0 |𝑉| 𝑟𝑘 2 𝑛 + 1
  38. 数値実験 • 評価する巡回経路 ➢ 巡回経路A:中国人郵便配達問題の解法で生成する単一の巡回経路 ➢ 巡回経路B:本研究の提案手法で生成する巡回経路 ➢ 巡回経路C:先行研究[1]の複数回通るべき辺をランダムにグラフに追加する 手法で生成する巡回経路

    [1] 梶田和輝, 小中英嗣. 侵入者から予測されにくい屋内警備ロボットの巡回経路の生成. 第 31 回 回路とシステムワークショップ講演論文集, pp.158-163, 2017. • それぞれ100周分の巡回経路を生成 • 乱数を利用する巡回経路B、巡回経路Cは評価値を100回算出
  39. 数値実験 𝑱𝟏 :各地点の訪問間隔に関する評価指標 𝑱𝟐 :不規則性に関する評価指標

  40. 数値実験 良い 悪い 𝑱𝟏 :各地点の訪問間隔に関する評価指標 𝑱𝟐 :不規則性に関する評価指標 良い 悪い

  41. 数値実験 良い 悪い 𝑱𝟏 :各地点の訪問間隔に関する評価指標 𝑱𝟐 :不規則性に関する評価指標 良い 悪い 二つの評価指標は

    トレードオフの関係
  42. 数値実験 良い 悪い 𝑱𝟏 :各地点の訪問間隔に関する評価指標 𝑱𝟐 :不規則性に関する評価指標 良い 悪い ➢

    単一の経路➡警備に不向き
  43. 数値実験 良い 悪い 𝑱𝟏 :各地点の訪問間隔に関する評価指標 𝑱𝟐 :不規則性に関する評価指標 良い 悪い •

    巡回経路BとCの比較 ➢ 𝐽1 の評価はBが良い ➢ 𝐽2 の評価はCが良い
  44. 数値実験 良い 悪い 𝑱𝟏 :各地点の訪問間隔に関する評価指標 𝑱𝟐 :不規則性に関する評価指標 良い 悪い •

    巡回経路BとCの比較 ➢ 𝐽1 の評価はBが良い ➢ 𝐽2 の評価はCが良い 二つの生成手法 は使い分け可能
  45. まとめ・今後 • まとめ ➢ 本研究では最小重み最大マッチングに着目して複数の巡回経路を生 成することを検討した ➢ 各地点の訪問間隔を短く均等にすることに、本研究の提案手法は効 果的である •

    今後 ➢ 本研究の提案手法の欠点の改善 ➢ 二つの評価指標に対してより理想的な巡回経路の生成