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GRS01-2L

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October 20, 2026
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  1. ① ルール∕メカニクス • ゲームのルールやメカニクスは、対象とする場⾯や状況をモデル化したもの • すなわち、ゲームは世界のシミュレーションになっている • ただし、現実ではない →失敗しても問題ない。現実では試せないことや、豊富な失敗経験ができる。 【参考⽂献】

    • Juul (2003)では、ゲームの特徴のひとつは「結果が現実に及ぼす影響は選べる‧交渉できる」と されている 【ペジテの⾃転⾞では…】 • 隠れた要求、要求と機能の対応、リソース、プロトタイピング など、システム開発の様々な⾯をモデル化 • ペジテ社で失敗しても怒られないけど、現実世界のシステム 開発で失敗したら⼤変な⽬にあう
  2. ②プレイヤーの意思決定‧⾏動 = ロールプレイ • プレイヤーは役になりきって判断する → 他者の視点を体験できる:⽴場が変われば⾒え⽅が変わることを、説明ではなく体験として分かる → 主体性を引き出せる:聞く側ではなく、決める側になる 【参考⽂献】

    • Bachen (2012):シミュレーションゲームを授業に取り⼊れた学⽣は、対照群より他国の⼈々への共感 と学習意欲が⾼い。登場⼈物への同⼀化が強いほど共感も⾼い • Ryan, Rigby & Przybylski (2006):ゲームの⾯⽩さは⾃律性‧有能感‧関係性の充⾜で説明できる (⾃⼰決定理論) 【ペジテの⾃転⾞では…】 • プレイヤーはペジテ社の新製品開発室のメンバーになりきる • 何を設計するのか、どんな⾏動をするのか、どの要求を満たし にいくのか、⾃分(たち)で決める
  3. ③スコア‧順位‧勝利判定 = 意思決定の結果が評価される • ⾃分の判断の結果が返ってくる → よしあしや改善について議論できる: 「なぜ負けたか」「次はどうするか」を共通の⼟台の上で話せる → 勝ち負けは⽬的ではなく、振り返りの材料

    【参考⽂献】 • Crookall (2010) は、学びが⽣まれるのはゲームそのものではなく振り返り(デブリーフィング)だと強 調している 【ペジテの⾃転⾞では…】 • ⾃転⾞が売れて黒字、売れなくて⾚字など、結果が出る • ディブリーフィングで「なぜ成功したか/失敗したか」、次はど うするかを議論できる
  4. ④コミュニケーション • ゲームは、その場にコミュニケーションを⽣み出す: 交渉、協⼒、そしてゲーム外の会話(雑談、感想、教え合い) → 楽しむ∕やる気がでる∕敷居を下げる • みんなで学び、議論することができる →同じ場⾯を全員が体験しているので、話が噛み合う 【参考⽂献】

    • Duke (1974):ゲーミングは参加者が同時に多⽅向で語り合う「マルチローグ」 【ペジテの⾃転⾞では…】 • みんなで相談して設計を進めていく • いつもディブリーフィングが盛り上がる • ビギナーとベテラン、他部署のメンバーなど と交流しながら遊んで振りかえる
  5. ⾔葉‧概念の整理 • 今後のロール活動や研究会のために、「ゲーム」や「ゲームの活⽤」に関する⾔葉を整理しました • 基本的には各種参考資料に基づいて定義しています • このスライドで定義した⾔葉が正しいというわけではなく、ロールとしての定義表をつくってメンテ していくきっかけとしてまとめました ⽤語 定義

    出典 ゲーム ルールに規定された⼈⼯的な対⽴にプレイヤーが取り組み、 定量化可能な結果が⽣じるシステム Salen & Zimmerman 2003 シリアスゲーム 娯楽以外の⽬的(教育、訓練、啓発、検討、問題解決など)を⽬的として 設計されたゲーム Abt (1970)∕Zyda (2005) Michael & Chen (2006) 藤本 (2007) ゲーミフィケーション ゲームではない活動に、ゲームの要素や考え⽅を取り⼊れること Deterding ほか (2011) Huotari & Hamari (2012) 井上 (2012) ゲームベースド ラーニング 学習⽬標に向けて設計されたゲームを⽤いて学習すること Plassほか(2015) ゲーミング シミュレーション 現実のシステムや状況のモデルを舞台に、⼈が役割を担って意思決定することで 動かすシミュレーション(=⼈間が参加するシミュレーション) 新井ほか (1998) Greenblat (1988) Klabbers (2009)
  6. ⾔葉‧概念の整理 ⽤語 定義 出典 ゲームルール プレイヤーが何ができて、ゲームがどう反応するかを決めているもの。 プレイヤーに説明され、プレイヤーが(基本的には)覚えておく必要がある。 Salen & Zimmerman

    (2004) Adams & Dormans (2012) ゲームメカニクス ルールと同じものを指しつつ、より詳細で具体的にしたもの。 プレイヤーに説明されないものも含む。プログラマやレイアウトデザイナがコー ドやカード等に落とせるだけの詳細をもつ。 Adams & Dormans (2012) Sicart (2008) コアメカニクス 多くの側⾯に影響し、他のメカニクスとも相互作⽤する中⼼的なメカニクス。 Adams & Dormans (2012) Sicart (2008) メカニズム 1つのゲーム要素やインタラクションに関するルールのまとまり。 (※『ゲームメカニクス⼤全』では「メカニクス」と同義に扱っている) Adams & Dormans (2012) Engelstein & Shalev (2020) デブリーフィング プレイ後の振り返り活動。 Crookall (2010)
  7. 今回、駆け⾜で紹介する実践例 • 宇宙開発を題材に社会的な意思決定について学ぶ:PERITUS • 林業を題材に⽣態系サービスの受益について学ぶ:The Forest-est • 経済学の⼩難しい理論を再現するゲーム:セールスマンゲーム 中古⾞市場ゲーム •

    ゲームをつくるプロセスを通して社会をモデル化する:GBSP • ゲームデザインのためのシミュレーションモデリング:Machination 【予告】今後のゲーミフィケーション研究会にて、それぞれの実践例を詳しく紹介するつもりです。
  8. 経済学の⼩難しい理論を再現するゲーム:セールスマンゲーム • セールスマンプレイヤーと⼈事評価者プレイヤーに 分かれてプレイする • ⼈事評価者はセールスマンへの「報酬」を設計する 例)成果に依存せず⼀定の報酬を出す(固定給) 例)成果が1位の⼈にだけ特別報酬を出す • セールスマンは訪問販売で契約をとってくる

    その際、頑張ってもいいし、⼒を抜いてサボってもいい (頑張ると契約取得可能性が⾼くなるが、労⼒を消費) • セールスマンのスコアは:報酬 + 残った労⼒ • ⼈事評価者のスコアは :全体の契約数 - 報酬による⽀出 【観察された現象】 • 頑張る理由がないのに「会社のため」と⾔って頑張る⼈ • 最初から1位はあきらめてひたすらサボる⼈
  9. 経済学の⼩難しい理論を再現するゲーム:中古⾞市場ゲーム • 中古⾞ディーラーと中古⾞収集家に分かれてプレイする • 中古⾞ディーラーは市場から中古⾞を適正価格で取得する • 中古⾞ディーラーは⾞に値付けして販売展⽰する 低い価値の⾞に⾼い値段をつけたり、その逆をしてもOK • 中古⾞収集家は予算の範囲でディーラーから⾞を買う

    • ディーラーのスコアは:在庫価値 + 残った資⾦ 収集家のスコアは :⾞の価値(効⽤) + 残った資⾦ 【観察された現象】 • 価値のない⾞を⾼価格で売りさばく悪徳ディーラー • 悪徳ディーラーにだまされた結果、⾞を買わなくなった⼈ • 初⼿で適正価格販売をして市場のレモン化を⾷い⽌めた 聖⼈ディーラー
  10. まとめ • ゲーム化の効⽤ ◦ 現実世界のシミュレーション、失敗してもOK(ルール/メカニクス) ◦ 他者視点の体験、主体性の向上(ロールプレイ) ◦ 良し悪しや改善について議論できる(スコア、順位、勝利判定) ◦

    楽しむ、やる気が出る、みんなで議論できる(コミュニケーション) • ⾔葉‧概念の整理 ◦ シリアスゲーム ◦ ゲーミフィケーション ◦ ゲーミングシミュレーション ◦ ルール、メカニクス、ディブリーフィング • 実践例の紹介 ◦ PERITUS:宇宙で興味関⼼を持たせる、議論の⼟俵に上げる ◦ Forest-est:普段と⽴場を変えることで⾃分をとりまく状況を知る ◦ 経済学ゲーム:意思決定してみると分かる∕(期せずして)ゲーミングシミュレーションにもなった ◦ GBSP:ゲームをつくる ≒ 社会現象をモデル化する ◦ Machination:ダイアグラムモデリングでレベルデザイン
  11. 参考⽂献(ゲーム化の効能) • T. Sitzmann, "A Meta-Analytic Examination of the Instructional

    Effectiveness of Computer-Based Simulation Games," Personnel Psychology, Vol.64, No.2, pp.489-528, 2011, https://doi.org/10.1111/j.1744-6570.2011.01190.x • P. Wouters, C. van Nimwegen, H. van Oostendorp and E. D. van der Spek, "A Meta-Analysis of the Cognitive and Motivational Effects of Serious Games," Journal of Educational Psychology, Vol.105, No.2, pp.249-265, 2013, https://doi.org/10.1037/a0031311 • M. Sailer and L. Homner, "The Gamification of Learning: A Meta-analysis," Educational Psychology Review, Vol.32, pp.77-112, 2020, https://doi.org/10.1007/s10648-019-09498-w • D. Crookall, "Serious Games, Debriefing, and Simulation/Gaming as a Discipline," Simulation & Gaming, Vol.41, No.6, pp.898-920, 2010, https://doi.org/10.1177/1046878110390784 • C. M. Bachen, P. F. Hernández-Ramos and C. Raphael, "Simulating REAL LIVES: Promoting Global Empathy and Interest in Learning Through Simulation Games," Simulation & Gaming, Vol.43, No.4, pp.437-460, 2012, https://doi.org/10.1177/1046878111432108 • R. M. Ryan, C. S. Rigby and A. Przybylski, "The Motivational Pull of Video Games: A Self-Determination Theory Approach," Motivation and Emotion, Vol.30, No.4, pp.344-360, 2006, https://doi.org/10.1007/s11031-006-9051-8
  12. 参考⽂献(⾔葉と概念の整理) • K. Salen and E. Zimmerman, "Rules of Play:

    Game Design Fundamentals," MIT Press, 2004(邦訳:⼭ 本貴光 訳『ルールズ‧オブ‧プレイ』ソフトバンククリエイティブ, 2011)∕ルールの3分類 :pp.119-139 • J. Juul, "The Game, the Player, the World: Looking for a Heart of Gameness," Proceedings of DiGRA 2003 Conference: Level Up, University of Utrecht, 2003, https://doi.org/10.26503/dl.v2003i1.65 • B. Suits, "The Grasshopper: Games, Life and Utopia," University of Toronto Press, 1978(邦訳:川⾕ 茂樹‧⼭⽥貴裕 訳『キリギリスの哲学』ナカニシヤ出版, 2015) • R. D. Duke, "Gaming: The Future's Language," Sage Publications, 1974∕定義は p.18(再録:W. C. Kriz and R. D. Duke (Eds.), "Back to the Future of Gaming," Bertelsmann, https://isaga.com/wp-content/uploads/2023/07/back-to-the-future-of-gaming-DRUCK.pdf) • C. S. Greenblat, "Designing Games and Simulations: An Illustrated Handbook," Sage Publications, 1988(邦訳:新井潔‧兼⽥敏之 訳『ゲーミング‧シミュレーション作法』共⽴出版, 1994) • 新井潔 ほか, 『ゲーミングシミュレーション』⽇科技連出版社, 1998 • J. H. G. Klabbers, "The Magic Circle: Principles of Gaming & Simulation," 3rd and Revised Edition, Sense Publishers, 2009 • D. Crookall, "The Founding of Modern Simulation/Gaming: S&G and ISAGA Four Decades On," Simulation & Gaming, Vol.43, No.1, pp.5-14, 2012, https://doi.org/10.1177/1046878112437916
  13. 参考⽂献(⾔葉と概念の整理) • C. C. Abt, "Serious Games," Viking Press, 1970

    • M. Zyda, "From Visual Simulation to Virtual Reality to Games," Computer, Vol.38, No.9, pp.25-32, 2005, https://doi.org/10.1109/MC.2005.297 • D. R. Michael and S. Chen, "Serious Games: Games That Educate, Train, and Inform," Thomson Course Technology, 2006 • 藤本徹, 『シリアスゲーム:教育‧社会に役⽴つデジタルゲーム』東京電機⼤学出版局, 2007 • S. Deterding, D. Dixon, R. Khaled and L. Nacke, "From Game Design Elements to Gamefulness: Defining 'Gamification'," Proceedings of the 15th International Academic MindTrek Conference, pp.9-15, 2011, https://doi.org/10.1145/2181037.2181040 • K. Huotari and J. Hamari, "Defining Gamification: A Service Marketing Perspective," Proceedings of the 16th International Academic MindTrek Conference, pp.17-22, 2012, https://doi.org/10.1145/2393132.2393137 • 井上明⼈, 『ゲーミフィケーション:〈ゲーム〉がビジネスを変える』NHK出版, 2012 • K. Mitgutsch and N. Alvarado, "Purposeful by Design? A Serious Game Design Assessment Framework," Proceedings of the International Conference on the Foundations of Digital Games (FDG '12), pp.121-128, 2012, https://doi.org/10.1145/2282338.2282364
  14. 参考⽂献(⾔葉と概念の整理) • E. Adams and J. Dormans, "Game Mechanics: Advanced

    Game Design," New Riders, 2012 • Engelstein and I. Shalev, "Building Blocks of Tabletop Game Design: An Encyclopedia of Mechanisms," CRC Press, 2020M. Sicart, "Defining Game Mechanics," Game Studies, Vol.8, No.2, 2008, https://gamestudies.org/0801/articles/sicart • R. Hunicke, M. LeBlanc and R. Zubek, "MDA: A Formal Approach to Game Design and Game Research," Proceedings of the AAAI Workshop on Challenges in Game AI (Technical Report WS-04-04), 2004, https://users.cs.northwestern.edu/~hunicke/MDA.pdf • G. Costikyan, "Uncertainty in Games," MIT Press, 2013 • 渡辺訓章, 『組み⽴て×分解!ゲームデザイン ――ゲームが変わる「ルール」のパワー』技術評論社, 2016, https://gihyo.jp/book/2016/978-4-7741-7944-5 • 伊藤真⼈, 『ゲームフルデザイン 「やりたくなる」を⽣み出すゲーミフィケーションの進化』翔泳社 • M. Prensky, "Digital Game-Based Learning," McGraw-Hill, 2001