非食用化と輸出偏重 水揚げ後の魚の使い途にも、深刻な歪みがある。マイワシの81%(漁獲1位)、サバ類の60%(同3位)が養殖飼料等の非食用に回さ れ、物価高騰下、手頃なタンパク質源が国民の食卓から遠ざかっている。特にサバ類は、資源の再生産を妨げる未成魚漁獲が常 態化しており、非食用利用に加え総漁獲量の28%が安価に輸出されている。一方で大型魚をノルウェー等から高値で輸入する矛 盾も生じており、漁獲構造の抜本的見直しが急務である。さらに、政府の成長戦略の中心軸が輸出に置かれているため、成長指 標が輸出額に偏り、水産業が起点となる国内バリューチェーンの価値は「見えない経済」のまま放置されている。バリュー チェーン上流での輸出は、本来国内で生まれるはずの「付加価値や雇用ごと」流出することに他ならない。[参考資料17-19] • 課題③(消費フェーズ) 消費構造の変化に遅れる政策 — 外食・観光との連携不足 水産白書(令和元年版)も、「水産物消費は、家庭内での調理から調理食品や外食に比重が移ってきている」と指摘している。外 食産業の水産物需要は大きく(市場規模26.2兆円のうち水産物由来約7.3兆円)、訪日外国人の飲食費消費額は2兆688億円、うち寿司 を食べた人は68.3%にのぼる。にもかかわらず、外食・中食・観光分野での消費実態分析は限定的で、水産政策と外食・観光政 策の連携は乏しく、生産と消費をつなぐトレーサビリティの導入も遅れている。日本のキラーコンテンツである魚食=観光資源 の劣化は、インバウンドを軸とする観光立国・地方創生戦略の根幹を揺るがしかねない。 5 課題と問題意識 一般社団法人 Chefs for the Blue こうした中、日本の大切な資産である食文化と、食料安全保障にとって不可欠な水産資源の回復、 そして持続可能な海の確立に向けて、シェフチームChefs for the Blue は次の提言を行います
(2024年確定値/コロナ期の 3年間はグレー表示) 訪日外国人旅行者数の推移 (万人) 訪日外国人旅行消費額と 主要品目別輸出額の比較(2024年) 参考資料7:訪日外国人旅行者数と経済効果の拡大 一般社団法人 Chefs for the Blue 出典:観光庁「インバウンド消費動向調査」、財務省「貿易統計」(いずれ も2024年確定値) 14
インパクトが生じているのかは、これまで明らかにされていませんでした。そこで業界初めての 試みとして、全国の飲食事業者(オーナー+食材調達担当者)を対象にアンケート調査を行い、 社会に共有することで、今後の水産行政に役立てていただくことを目的としています。 ➢ 調査の概要 ・調査名:飲食店による水産物調達の現状調査 ・対象者:全国の飲食店オーナーまたは食材調達担当者 ・調査期間:2025年5月15日〜5月29日(15日間) ・調査主体:一般社団法人Chefs for the Blue ・回答数:1,315サンプル ・有効回答者数:1,301 ・有効回答店舗数:1,267