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広島県呉市における高密度な人流データの利活用を目的とした データ分析手法に関する一考察

KaneaMATSUI
November 23, 2023
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広島県呉市における高密度な人流データの利活用を目的とした データ分析手法に関する一考察

情報処理学会MBL研究会109回のWIPトラックの発表資料です。
発表タイトル
「広島県呉市における高密度な 人流データの利活用を目的とした データ分析手法に関する一考察」
発表者:東京電機大学 片桐悠馬

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KaneaMATSUI

November 23, 2023
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Transcript

  1. はじめに パーソントリップ調査データ • これまで人流データの分析・解析に主に 利用されてきたデータ • 詳細な移動情報を提供 • データの更新頻度が5~10年に1度 →急速に変わる都市環境に適応するのは

    難しい GPSデータを使用した人流データの 分析・解析 • パーソントリップデータに比べよりリアル タイムな分析・解析が可能 • GPSデータの活用方法については統一的な 認識が広がっておらず、その可能性が十分 に活用されていない現状 研究目的 • 広島県呉市の公開人流データを使用 • コロナ禍前、コロナ禍中といったイベントごとにグ ラフを作成し、分析 →GPSデータを活用した人流データ分析手法の明確化 広島県呉市の場所
  2. 関連研究 パーソントリップデータを活用し た対人犯罪の地域別・時間帯別被 害リスクの推定 • 雨宮ら[1]はパーソントリップ調査を基に 人の地理的分布の時間変化を推定 • それをもとに潜在的被害対象の数を推定 することで、これまで算出が難しかった

    対人犯罪のリスクを推定 • この論文は2013年に発表され、論文内 で使用しているパーソントリップデータ は2008年のもの GPSデータから生成された人流デー タの利活用方法 • 広島県では、県内の3つの都市公園につい て、既存ストックの機能向上のためGPS データとアンケート結果から利用ユーザの 構造を分析し、利用傾向を調査[2] • 協議会内では、GPSデータを活用し、性 別・年代別ごとの利用者数の可視化、分析 • 季節性やコロナ、平日・休日といったイベ ントごとのデータの可視化・分析や利用者 属性ごとの時間帯別利用者数推移の分析は 行っていない [1]雨宮護,“パーソントリップデータを活用した対人犯罪の地域別・時間帯別被害リスクの推定.”, 地理情報システム学会講演論文集 CD-ROM 22 (2013). [2]広島県,“公園活性化協議会について – 広島県”,URL: https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/262/toshikouen.html(2023/10/23閲覧).
  3. 提案内容 ① 想定される対象者 • 政府機関、都市開発者、交通プランナーなどまちづくりのステークホルダー • 利用者によってデータの利用方法は異なる データセットについて • 「データプラットフォームくれ」[3]を使用

    • 使用データ:通行人口、滞在人口 • データセット範囲:2018年1月~2022年12月 • 地点コード、年月、平日か休日かを指定しAPIを呼び出す • 通行人口、滞在人口の月合計が性別、年代別(20代~70代以上)に1時間刻みで返却 • 返却値を指定した月の平日数または休日数で割ることで1日の通行人口および滞在人口を算出 [3]広島県呉市,“データプラットフォームくれ APIドキュメント”,URL: https://api.expolis.cloud/docs/opendata/t/kure/(2023/10/23閲覧).
  4. 提案内容 ② 2023/11/24 高密度な人流データを活用したまちの賑わい指数に関する研究 P 5 人流データの分析を行った地点について • 市街地や駅エリア、商店街など18か所 •

    地点名や分析場所は図と表のとおり 地点番号 地点名 1 中心市街地 ① (中央・西中央4丁目) 2 中心市街地 ② (中央・西中央3丁目) 3 中心市街地 ③ (中央・西中央2丁目) 4 呉駅エリア (中央・西中央1丁目・宝町) 5 駅南エリア (宝町) 6 中央公園エリア (堺川沿い) 7 中央地区商店街 ① (中通・本通4丁目) 8 中央地区商店街 ② (中通・本通5丁目) 9 中央地区商店街 ③ (中通・本通2丁目) 10 中央地区商店街 ④(中通・本通1丁目) 11 広商店街 ① (広本町1丁目) 12 広商店街 ② (広本町2丁目) 13 広商店街 ③ (広本町2・3丁目) 14 JR 広駅(都市拠点から半径800m圏内) 15 JR 新広駅(都市拠点から半径800m圏内) 16 JR 阿賀駅(都市拠点から半径800m圏内) 17 吉浦市民センター(都市拠点から半径800m圏内) 18 昭和市民センター(都市拠点から半径800m圏内)
  5. 評価 評価項目 パーソン トリップ データ[3] GPSベースの 人流データ (呉市) 年齢分布 ◯

    △ データ網羅性 ◯ × データの解像度 ◯ × 移動方向の把握 ◯ × 時間間隔の短さ × ◯ データ利用の容 易さ × ◯ 季節性分析の容 易さ × ◯ パーソントリップデータ データの細かさが優れる GPSベースの人流データ 「時間間隔の短さ」、「データ利用の容易さ」、 「季節性分析の容易さ」において時間粒度が細 かいため対応可能 [3]総務省統計局,“e-stat”,URL:https://www.e-stat.go.jp/ (2023/10/23閲覧). パーソントリップデータで基礎データを構築、 人流データのように日々の変化がわかりすい データを基礎データにプロット →その都市、地域の時間帯別の特徴等を抽出 できる可能性が高い
  6. 考察 • パーソントリップデータはきめ細かなデータであるため利用可能性が高く、 質の高いデータであることを改めて認識 • 「時間間隔の短さ」、「データ利用の容易さ」、「季節性分析の容易さ」 のように都市、地域の活動における弾力性はGPSベースの人流データから 抽出できる特徴が多い • GPS

    ベ ー ス の 人 流 デ ー タ に つ い て は 、 パ ー ソ ン ト リ ッ プ デ ー タ か ら わからない時系列の粒度の細かさを埋めることができる点を理解し、 効果的に利用 →ステークホルダーが求めるデータ利用を実現できると想定
  7. おわりに まとめ • 人流データの分析と解析は、まちづくりにおいて重要な位置を占める • これまで主に利用されてきたパーソントリップ調査データは、更新頻度は5~10年ごとと 限定的であり、急速に変わる都市環境に適応するのは難しい • パーソントリップデータの持つデータのきめ細かさとGPSベースの人流データの特徴を理 解し、ステークホルダーが求めるデータ利用方法に当てはめていくことで更なる活用が期

    待できる 今後の展望 • 人流データの分析結果や分析手法をまとめ、まちづくりのステークホルダーに本 データを閲覧してもらい、実社会での実用性について検討することで、提案内容 の確からしさについて評価 • また、今回分析した結果を実際に呉市に住まうステークホルダーの方々へ配布し、 利用してもらうことで、データ利活用の点からも評価を行うことを目指す