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Masayoshi Mizutani
October 02, 2025
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システム・サービス運用におけるセキュリティ監視の近代的アプローチ /advnet2025-modern-secmon
Masayoshi Mizutani
October 02, 2025
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Transcript
システム・サービス運用における セキュリティ監視の近代的アプローチ 2025 / 10 / 3(金) Ubie株式会社 水谷正慶 ADVNET
2025
2 本日の発表 • ネットワーク・システム管理から見たセキュリティ監視の役割 • セキュリティ監視を構成する要素 • セキュリティ監視のアーキテクチャ • セキュリティ監視のオペレーションと生成AIの活用
3 セキュリティ監視について
4 セキュリティ監視とは • 「組織内で発生するセキュリティ上の問題を、継続的に検知・調査する こと」 と定義します • 大きく分けると「検知」と「調査」 ◦ 検知:収集した情報を分析し、問題が発生しているかどうかを判断する機能。破壊
的な行動を発見するだけでなく、潜在的な問題やリスクを発見することも含まれる ◦ 調査:検知された問題に対して、その原因や影響を調査する機能。問題の深刻さや 影響範囲を把握し、対応策を検討するための情報を提供 ▪ 特にセキュリティの場合、攻撃を検知したとしても、それがどのような影響を及ぼすかと いう情報がないと、インシデントであるかの判断が困難であり、調査はそのための重要な ステップ
5 ネットワーク・システム管理から見たセキュリティ監視の役割 • 横断的なセキュリティ課題・インシデントの検知と対応 ◦ (責任分界点にもよるが)ネットワークやシステム全体への対策の1つ ◦ 監視は利用に関する制限・制約が発生しにくく、ユーザの利便性を阻害しない • 検知・対応するべき事象
◦ システムへの攻撃:パスワード辞書攻撃やインジェクション攻撃など ◦ システム侵入の形跡:Command & Control通信やファイルの不正改ざんなど ◦ ラテラルムーブメント:内部からのスキャンや攻撃、ADへの不正アクセスなど
6 ネットワーク・サーバ運用観点で活用できるログ例 • IoC(Indicator of Compromise)と の通信やインシデント時の追跡 ◦ ネットワークフローログ ◦
DNSクエリログ • 外部からの侵入・攻撃の検知 ◦ ファイアウォールログ ◦ IDS/IPS(侵入検知・防止システム) • 内部ネットワークでの横展開の検知 ◦ 内部ネットワークフローログ ◦ VPNログ • 不正アクセス・権限昇格の検知 ◦ 認証ログ(OS/ディレクトリサービス) ◦ 特権アクセスログ ◦ プロセス実行ログ • サービス・アプリ関連の異常検知 ◦ Webサーバ/アプリケーションサーバログ ◦ データベース監査ログ ◦ 各種SaaS含めたサービスの監査ログ • 設定不備などの検知ログ ◦ 各種サービス・サーバの設定不備の検出
7 セキュリティ監視のアーキテクチャとフロー • セキュリティ監視機能を構築すると原則として上記構成になる • より低レイテンシな検知が必要な場合はストリーム処理の追加などが必要
8 セキュリティ監視システムの構築 • ログ収集は各ホスト、サービス、システムなどで対応 ◦ ネットワーク・サーバはsyslogなどログ収集機能が前提となっているものが多い ◦ ただし監査系ログ、サーバ上のプロセスやファイル監視は別途センサが必要 • ログ変換・取込、検知、対応は内製・既成プロダクト
◦ 既成プロダクト(SIEM, Security Information & Event Manager) ▪ ほぼすべての機能が網羅されている。近年はオンプレ型だけでなくSaaS型も ▪ 多くのプロダクトではログの取込量で課金され、高額になる傾向がある ◦ 内製による監視基盤の構築 ▪ クラウドプロバイダのサービスを活用することで構築自体は現実的な作業工数に ▪ システムコストは安い代わりにメンテナンス等作業コストは必要
9 セキュリティ監視の運用コストは無視できない システムのコストが注目されがちだが運用も大変 • アラートのトリアージ ◦ セキュリティ監視において「アラート」は殆どの場合「侵害の可能性のある事象」 ◦ 実際の侵害の有無や影響範囲を確認する作業が必要 ◦
関連する情報を調査・収集する必要があり、それなりに負担が大きい • 検知ルールのチューニング ◦ 見逃し(false negative)を防ぐため過検知側に寄せて運用することが多い ◦ しかし影響なしとわかっているアラートを受け続けるのはノイズ ◦ そのためルールをチューニングして無害とわかっている条件を除外していく ◦ 既存のルールに影響を与えないように修正する必要があり、ルール全体の理解と確認が必要 • 積極的な分析 ◦ Threat Huntingなど 監視システムを導入したがそのまま放置ということも…
10 “セキュリティ監視エンジニアリング ” “Detection Engineering”, “Detection as Code”, “Autonomic Security
Operation” など • セキュリティ監視の運用効率を改善するための概念 ◦ Detection Engineering: アラート検知に関するプロセスをソフトウェアエンジニアリングの手法で改善する考え方 ◦ Autonomic Security Operations: SOC全体の自律性を高めるための取り組み • セキュリティ監視にソフトウェア開発のアプローチを導入 ◦ コード化 (as Code): 検知ルールや対応手順をコードで管理 ◦ 自動化 (CI/CD、Workflow): ルールのテストから適用、さらに対応の一部を自動化 • 期待される効果 ◦ 品質向上: レビューや履歴管理でルールの質を高める ◦ 迅速化、効率化: 定型作業から解放され脅威への対応やルール改善のサイクルが加速
11 セキュリティ監視における 生成AIの活用
12 (前提)2025年10月の生成AIの概況 • エージェントツールの台頭 ◦ Cursor, Claude Codeなどはデスクトップ用のコーディング支援ツールだが、その他 の業務でも利用可能なほどに進化 ◦
モデルの高度化によってエージェントの自作も広まり、敷居は低くなっている • ツール類の統合による外部リソースへのアクセス ◦ エージェントがファイル、URLなどから自律的に情報を取得するようになった ◦ さらにエージェントとツール間のRPCを制御するMCP (Model Context Protocol) に よってツールの開発が容易になり、アクセスできるリソースが大幅に増加 ◦ コンテキストウィンドウの制約と、外部出力における過剰なhuman-in-the-loopの両 方の問題が大きく緩和される
13 セキュリティ監視における生成 AIの活用状況 2025年10月時点での所感 • 少なくとも現状は困難 ◦ ❌ 大量のログデータからの異常検知 ◦
❌ アラートの深刻度・リスク判定 • 現状でも効果あり ◦ ✅ ログデータの要約・分析・調査の実施・サポート ◦ ✅ ルールのチューニング ◦ ✅ アラートの調査・エンリッチメント ◦ ✅ 外部とのコミュニケーションサポート
14 ✅ ログデータの要約・分析・調査の実施・サポート • 各サービスのトークンサイズ上限が増え たことによりログ分析は一定容易に ◦ トークン上限:Gemini 2.5 flash:
1M, Claude sonnet 4.5: 200K, OpenAI o5: 400K tokens ◦ ログ1件あたり 30〜300トークン ◦ → 数百〜数千件のログは読み込み可能 • 読み込んだ範囲内で応答など可能 ◦ 要約する、インジケーター(IPアドレ ス、ホスト名など)を抽出する、攻撃ら しきログを探すなど ◦ 発生している状況を順序立てて説明させ ることも Claude Sonnet 4 でSSHのログを分析させた結果
15 ✅ ルールのチューニング • コーディングと同じ要領でルールを編集 ◦ ルールの規則などは丁寧に命令する ◦ 誤検知したデータを入力し、それを参考 に既存のルールを編集させることが可能
◦ テストがあれば自動的に実施して修正 • 生成AIエージェントがルール編集できる ことが重要 ◦ 現在は生成AIコーディングエージェント の性能・拡張性ともに優秀でそれを利用 できるのがベスト ◦ テキストベースでルールが管理されてい るシステムは相性が良い Claude Code を利用したルールのチューニング
16 ✅ アラートの調査・エンリッチメント (1/2) • アラートに関連したインジケータ(IPアドレス、ホスト名など)の調査 ◦ 事前知識を与えない構造データからインジケータを抽出するのは容易 ◦ ログデータ、アラートなどからも(ある程度は)文脈を解釈してくれる
◦ MCPやツールの利用で各種脅威インテリジェンスサービスにアクセス可能 • 特にエージェント型AIで効果を発揮する ◦ 複数ツールを設定しておくことで、多段的に問い合わせを実行してくれる ◦ 調査結果をまとめたり、あるいは何らかのシステムに出力させることも可能 ▪ 例えばチケットシステムと連携すればそのチケットにコメントとして追記してくれる ◦ 分析するメンバーはまとめられた結果を見て判断に集中すれば良い
17 ✅ アラートの調査・エンリッチメント (2/2) • ログの検索クエリを自動生成してくれる ◦ アラートそのものやコンテキストを入力 した上でスキーマを示すと調査のための クエリを自動生成してくれる
◦ 目的に合わせたクエリの生成は複雑にな るため急ぎのときは便利 • 精度を高めるためには様々な工夫が必要 ◦ スキーマ情報はなるべくDescription情報 が入っていると望ましい ◦ 各フィールドのサンプル値なども重要 ◦ 参考になるSQLの例を示すのも効果的 社内LLMツールにアラート情報およびBigQueryの スキーマを入力したことでSQLを自動生成
18 ✅ 外部とのコミュニケーションサポート • 監視チーム外からの情報を得る必要 がある際の丁寧な連絡 ◦ 別の部門のメンバー ◦ 関連する外部組織
◦ 利用しているサービスのサポート • 調査や分析の経緯が生成AIへ入力可 能になっていると効果的 ◦ テキストコミュニケーションの文面作成 などをサポート ◦ 社内LLMツールでアラートに関するSlack上の議論から 自動生成したクラウドサポートへの問い合せ
19 まとめ • セキュリティ監視は効果的にセキュリティを向上させるための策の一つ ◦ 防御的対策と組み合わせることで負荷の低いセキュリティを実現する ◦ しかしシステムコストおよび運用コストは一定高く、導入の敷居が高かった • 生成AIによって運用コストは改善の兆しがある
◦ アラートの調査、分析、対応のサポート・効率化において強力なツール ▪ Copilotの利用でインシデント対応時間24%短縮[1]、CrowdStrikeのSOCチームが手作業 を週40時間削減[2]などの報告もあり ◦ ただし責任を持ってリスク判断をする専門家は引き続き必要 ◦ さらなる生成AIモデル・ツールの発展によって小さいチームでの運用が期待される [1] https://japansecuritysummit.org/2024/11/10664/ [2] https://jp.investing.com/news/company-news/article-93CH-1009308