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MCPの基礎とUbieにおける活用事例 /ubie-mcp

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June 19, 2025
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MCPの基礎とUbieにおける活用事例 /ubie-mcp

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Masayoshi Mizutani

June 19, 2025
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  1. 2 本日の発表 • MCP (Model Context Protocol) の基礎について ◦ プロトコル自体の基礎的な話になります

    ◦ 実装の詳細などについては話しません ◦ あまりに変化が早すぎてキャッチアップできていないところもあると 思います • UbieにおけるMCPの活用例の紹介 ◦ 社員の個人利用に関する事例 ◦ プロダクトの話は今回ありません 🙇
  2. 3 自己紹介 • 水谷正慶(Ph.D) ◦ https://x.com/m_mizutani • 職域:セキュリティエンジニア & バックエンドエンジニア

    • 経歴:Ubie (2021~), Cookpad(2017~), IBM(2011~) • 生成AIとの関わり ◦ Ubie社内の開発などで活用 ◦ 生成AI関連のOSSを自作 ▪ Goの生成AIエージェントSDK https://github.com/m-mizutani/gollem ▪ エージェント型セキュリティアラート管理ツール https://github.com/secmon-lab/warren
  3. 4

  4. Ubieの事業:医療技術×テクノロジーから生まれた問診エンジン( AI)とプラットフォーム 5 事業紹介 創業者の思いから 生まれ独自のプラット フォームにより磨かれた 問診エンジン - 50名以上の医師監修のもと、

    国内外5万本の医学論文を元に 作られた問診エンジン - 1800以上の医療機関からの フィードバックにより 問診エンジンの精度を向上 問診エンジンをコア技術に据えたプラットフォーム 問診エンジン 月間1200万人以上の生活者が利用 メガファーマの約9割が活用 15,000件以上の医療機関と連携 生活者向け 医療機関向け 製薬企業向け
  5. © Ubie,Inc. 市場環境の変化と今後の戦略 患者様と適切な医療へのマッチングの実現に向け、医療政策とのアライン 
 Ubie as 医療action agent GP

    OTC オンライン 診療・ 服薬指導 HP シームレスな 接続 PHR 受付・ 予約 情報提供 ・案内 予約・受診 ・処方 高齢者 施設 製薬企業 ・ 健康関連 データ提供 その他 検査/健診/ 食事など ① 日常医療 ②高度医療体験改善 ③ Dataソリューション 生活者様
  6. 8 MCPとは • Model Context Protocol ◦ https://modelcontextprotocol.io ◦ “アプリケーションがLLMにコンテキストを提供する方法を標準化したプロ

    トコル” • 要するに? ◦ LLMからの利用を想定したRPC(Remote Procedure Call)プロトコル ◦ とはいえLLMに特化した機能がメインというわけでもなく、あくまでシン プルなRPCになっている ◦ 主にエージェント型生成AIツールで、様々なデータの入出力に利用される
  7. 9 なぜMCPが必要か? • LLMのトークンサイズの限界 ◦ LLMは入力できるトークンサイズに限度があり、命令に対するすべてのコ ンテキストを事前に与えるのは現実的ではない場合が多い ◦ 人間が情報を取捨選択することもできるが効率が悪い •

    出力の簡略化 ◦ LLMが出した結果や成果物を人間がどこかへ転記する手間を省く • 拡張性 ◦ 多様なデータリポジトリへアクセスできることで、生成AI利用の相乗効果 を生むことができる
  8. 11 主な利用シーケンスのまとめ ユーザ 生成AIツール LLMサービス MCPサーバ(1) MCPサーバ(2) リクエスト 提供できる機能の問い合わせ 提供できる機能の一覧

    次にするべき行動の問合せ 次の行動の指示 (必要に応じて)機能の呼び出し 機能実行の結果 (なにか処理をする) 結果+次にするべき行動の問合せ 次の行動の指示 ここを繰り返す 最終的な結果
  9. 12 生成AIツールとLLM間の通信 • 通信路(transport):JSON-RPCによる通信 ◦ stdio: MCPサーバをforkして標準入出力で通信 ◦ Streamable HTTP:

    元はSSEのみだったが単発リクエストにも対応 • 当初は認証・認可の機能はなかった ◦ “MCP takes some inspiration from the Language Server Protocol” ◦ アーキテクチャ図からも分かる通り、もともとはローカルでMCPサーバを 動かすことが前提だったとみられる ◦ 原則としてMCPサーバが持つ権限をベースに動作
  10. 13 Authorization Framework (version 2025-03-26より) https://modelcontextprotocol.io/specification/2025-06-18/basic/authorization • MCPサーバーから認証の要求が返される ◦ OAuth2.1をベースとした認証フロー

    ◦ HTTP transportの利用時に発生 ◦ WWW-Authenticate ヘッダが返されBearer Token Usage が渡される • Authorization Server側で認証した後にトー クンを取得し、それをMCPサーバーへ渡す ◦ MCPサーバーはそのトークンを利用して必要な 処理を継続する ◦ これによりMCPサーバーの操作がClientの持つ 権限に準拠するようになる
  11. 15 「プロダクト開発に必要なもの全部繋げたら Cursorが最強のプロダクトマネージャーになった」より https://note.com/guchey/n/n773a2efd78cf • 背景・課題 ◦ プロダクト開発に必要な情報が各所に散らばっている:JIRA(スクラム管理)、 Notion(ドキュメント)、GitHub(コード)、Lightdash(分析)等 ◦

    情報を掛け合わせた判断や資料作成に時間がかかる ◦ コンテキストの共有や一貫性の維持が困難 • MCPを活用したCursor統合環境でできたこと ◦ スプリントレビュー資料の自動生成 ◦ OKR・ユーザーストーリー・メトリクスを組み合わせた戦略的判断支援 ◦ PBIリファインメントの品質向上 ◦ プランニング精度の向上とブレの削減
  12. 16 MCP活用のポイント • MCPサーバーの選択 ◦ 利用MCP: JIRA、Notion、Lightdash ◦ コマンド実行を許可: Git/GitHub

    • ワークフローを自然言語で記述 ◦ LLMが解釈して必要なデータ取得、データ 書き込みをMCP経由で実行 • 多様なコンテキストの統合を実現 ◦ MCPで複数箇所のデータを統合して、人間 の認知を超える処理をLLMが代行 ◦ MCPは実装もしやすく拡張が容易
  13. 17 「社内デザインシステムを MCPサーバー化したら UI実装が爆速になった」より https://zenn.dev/ubie_dev/articles/f927aaff02d618 • 背景・課題 ◦ 社内デザインシステム(Ubie Vitals:

    https://vitals.ubie.life )の利用は Cursor RulesやWebサイト参照では限界がある ◦ Props、Token、Icon情報をAIが十分理解できない ◦ デザインシステムの仕様確認やコンポーネントPropsを個別に調査していた • MCPサーバー for Ubie UI の開発 ◦ コンポーネント情報、デザイントークン、アイコン情報を提供するMCPサーバー ◦ ローカルにあるファイルを元にデータを返す ◦ 非デザイナーは自然言語でUI実装が可能に ◦ デザイナーは壁打ちが可能に
  14. 18 MCP活用のポイント • MCPによる情報の統合 ◦ Figma MCP + Ubie UI

    MCP ◦ 結果をもとにCursorでコード変更 • 統合のポイント ◦ LLMによるサービス実行時に不足している 文脈をMCPによって補填する ◦ MCP自体の実装も簡単なので、必要に応じ てすぐにMCPを用意することが可能(Ubie UI MCP も250行程度のTypeScript)
  15. 20 まとめ • MCPは生成AIツールの利用データを拡張し、LLMの認知を広げて活用 の場面を増やす ◦ プロトコル自体はシンプルで実装もSDK利用などで容易 ◦ 企業・組織内の状況に合わせて利活用可能 ◦

    気軽に機能追加できるので個人利用のような場面で使いやすい ◦ まだまだ知られてない活用の発想はありそう • 一方でMCPを利用するうえでの認証・認可は大きな課題 ◦ リモートMCPの利用への期待の高まり ◦ Authorizationの実装も最近普及しつつある