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ビジネスを駆動するアーキテクチャへ ~AI-Agentという新しいアクター
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November 20, 2025
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740
ビジネスを駆動するアーキテクチャへ ~AI-Agentという新しいアクター
2025.11.21 アーキテクチャConference 2025
MonotaRO
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November 20, 2025
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Transcript
AI-Agentという新しいアクター ビジネスを駆動するアーキテクチャへ © 2024 MonotaRO Co., Ltd. アーキテクチャConference 2025 株式会社MonotaRO
尾髙敏之
2 本日お話しすること • MonotaROと基幹システム • これまでの軌跡 • 何を変えたいのか • AI-Agentという新しいアクター
• 組織とアーキテクチャの再編成 • 混沌とチャレンジ • これからのモノタロウ
3 2023年11月 モノタロウ入社。 IT職歴の大半を事業会社のIT部門で過ごし、biz/sysの関係構築や要件定義などの 超上流工程に取り組んできたが、質とスピード という言葉に出会ってからは 品質←保守性に目を開く。 関心事の分離とカプセル化をあらゆる粒度に適用すべく、 ビジネスアナリシスにおける概念モデルの活用DOJOを開催したり、 AI-Agentと業務システムの関係性に頭を悩ませたりしています。
尾髙 敏之 株式会社MonotaRO シニアアーキテクト (10月からEM業も再開しました)
MonotaROと基幹システム © 2024 MonotaRO Co., Ltd.
5 モノタロウとは https://speakerdeck.com/monotaro/monotaro-cai-yong-shao-jie-zi-liao-for-engineers?slide=4
6 モノタロウとは https://speakerdeck.com/monotaro/monotaro-cai-yong-shao-jie-zi-liao-for-engineers?slide=7
7 モノタロウが提供する価値 https://speakerdeck.com/monotaro/monotaro-cai-yong-shao-jie-zi-liao-for-engineers?slide=17
8 モノタロウが提供する価値 https://speakerdeck.com/monotaro/monotaro-cai-yong-shao-jie-zi-liao-for-engineers?slide=18
9 モノタロウが提供する価値 https://speakerdeck.com/monotaro/monotaro-cai-yong-shao-jie-zi-liao-for-engineers?slide=19
10 モノタロウにおける基幹システムの役割 https://speakerdeck.com/monotaro/monotaro-cai-yong-shao-jie-zi-liao-for-engineers?slide=3
11 モノタロウにおける基幹システムの役割 https://www.monotaro.com/topic/fulfillment/
12 変革の必然性 https://speakerdeck.com/monotaro/monotaro-cai-yong-shao-jie-zi-liao-for-engineers?slide=8
13 変革の必然性 https://speakerdeck.com/monotaro/monotaro-cai-yong-shao-jie-zi-liao-for-engineers?slide=27
これまでの軌跡 © 2024 MonotaRO Co., Ltd.
15 これまでの取り組み① ドメイン仮説と新たな発見 https://speakerdeck.com/monotaro/bizinesunogou-zao-woakitekutiyaniluo-tosiip-misohutoueanike-bian-xing-wozhu-ru-suru?slide=15
16 これまでの取り組み① ドメイン仮説と新たな発見 https://speakerdeck.com/monotaro/bizinesunogou-zao-woakitekutiyaniluo-tosiip-misohutoueanike-bian-xing-wozhu-ru-suru?slide=16
17 これまでの取り組み① ドメイン仮説と新たな発見 https://speakerdeck.com/monotaro/bizinesunogou-zao-woakitekutiyaniluo-tosiip-misohutoueanike-bian-xing-wozhu-ru-suru?slide=24
18 これまでの取り組み② 業務理解の深化と実践 https://speakerdeck.com/monotaro/ye-wu-li-jie-noshen-hua-toshi-jian-domeinmoderingudeji-gan-sisutemuwozhuo-eru?slide=18
19 これまでの取り組み② 業務理解の深化と実践 https://speakerdeck.com/monotaro/ye-wu-li-jie-noshen-hua-toshi-jian-domeinmoderingudeji-gan-sisutemuwozhuo-eru?slide=27
20 これまでの取り組み② 業務理解の深化と実践 https://speakerdeck.com/monotaro/ye-wu-li-jie-noshen-hua-toshi-jian-domeinmoderingudeji-gan-sisutemuwozhuo-eru?slide=33
21 ここまでの成果 • 逆コンウェイ戦略に則った組織変更 • 新たなドメイン仮説: 在庫ドメイン • EDA+ES+CQRS の
PoC → 本番投入 • 在庫状況管理の中核テーブル更新をイベント化 • 基幹システム全体のToBeモデルを描く • ドメイン分割の仮説を刷新
22 ここまでの成果 でも、足りない。 まだまだ 足りない。
何を変えたいのか © 2024 MonotaRO Co., Ltd.
24 モノタロウが変えたい3つのこと • 組織とアーキテクチャ • 文化 • 開発手法
25 モノタロウが変えたい3つのこと 3つの要素は独立したものではなく、絡み合いながら進化する • ビジネスを駆動するアーキテクチャ ◦ アーキテクチャと表裏一体の 組織 ◦ 変わることが当たり前な文化
(人) ◦ アーキテクチャを具体的に変えていく開発手法 (技術)
26 モノタロウが変えたい3つのこと : 開発手法 (技術) オンプレ + 全部盛り巨大DB + テーブル駆動設計
+ スクリプト的実装 クラウドシフト + ドメイン別DB + スキーマ駆動開発 + 業務に則したデータ型 変えていきたい 重要なのは概念設計 あらゆる粒度で 関心事の分離・カプセル化 DOJO エンジニア育成プログラム 実践を通じた学び MDI*エコシステム MonotaROの開発者がプラット フォームの機能にアクセスする際 のインターフェース * MonotaRO Developer Interface
27 モノタロウが変えたい3つのこと : 文化 (人)
アプローチ: ひとりひとりにスポットを当てる (「変わりたい」気持ちを「変わる」行動へ) 28 モノタロウが変えたい3つのこと : 文化 (人)
29 モノタロウが変えたい3つのこと : 組織とアーキテクチャ 表裏一体の構造変革 • データとテクノロジーを徹底的に活用する構造を獲得する ➡ その前にまず...
AI-Agentという新しいアクター © 2024 MonotaRO Co., Ltd.
31 Tech Vision: データとテクノロジーを徹底活用 https://speakerdeck.com/monotaro/monotaro-cai-yong-shao-jie-zi-liao-for-engineers?slide=33
32 Tech Vision: データとテクノロジーを徹底活用 https://speakerdeck.com/monotaro/monotaro-ai-conference-autumn-2025
33 カスタマサポート向けAI-Agentの開発 • 今年の早い段階から着手 → 10月に部分的に本番導入
34 ヒトとAI-Agentの協業モデルを模索する
35 「とりあえずMVP」の結果、思うこと 学び: ドキュメントが陳腐化するのはどこも一緒 • ルールベースな業務 = マニュアルが整備されているはず ◦ 業務マニュアルをもとに業務フローを分析
◦ 業務判断が可能なAI-Agentを開発 ◦ テストデータによる評価で精度を確保 ◦ さあ本番で試用だ! ... 暗黙知が爆発 🤯
36 「とりあえずMVP」の結果、思うこと 目指すべきは、利用部門による利用部門のための自働化 • AI-Agent開発、フィードバック反映、評価、配置まで利用部門で完結 • それって Agentic Autonomous Platform
的なもの? • (非常に野心的だが) モノタロウはこの世界線を目指したい ◦ となると、やはりマニュアルは重要 過剰品質なんじゃ? • 「なんでも解ける汎用Agent」は非現実的だろう。 • 業務ごとにAgentを開発する必要。 • 業務あたりの改善効果はそう大きくない。 • 業務ごとにエンジニアを投入してはROIが... ➡ プラットフォーム化が必要
そもそも 「業務」は 無数の アレコレ で構成されている • 業務例 「〇〇という商品の在庫配置を、東西で70:30にする」 ◦ 倉庫の場所を確保
◦ 輸送を手配 ◦ サプライヤに相談 ◦ 自動発注設定を見直し … 37 「とりあえずMVP」の結果、思うこと
38 「とりあえずMVP」の結果、思うこと マニュアルに書かれているのはこの「アレコレ」 • アレコレ is 何 ◦ 目的を達成するための手順、システムの使い方、連絡方法... ◦
システムの使い方ではなく、スプシでのアレコレかも? ◦ さらには「誰々に聞く」とか、念のため、とか... e.g. 倉庫の場所を確保 : ① A画面で〇〇の数量を確認する ② B画面で直近の出荷状況を確認する ③ AからBを減じた値をC画面の△△に登録する ④ 登録結果をC画面で確認したら、××部門の担当者にメンションする
39 「とりあえずMVP」の結果、思うこと このアレコレはヒトのための手順 これをもとに AI-Agentの振る舞いを決めるのは辛い まずはその手続き的なマニュアルを 抽象化して宣言的に書き換え そのための情報や操作を明示したい
40 「とりあえずMVP」の結果、思うこと このアレコレはヒトのための手順 これをもとに AI-Agentの振る舞いを決めるのは辛い まずはその手続き的なマニュアルを 抽象化して宣言的に書き換え そのための情報や操作を明示したい
41 必要なのは IT化 だった 業務の複雑性をシステムに隠ぺい → それはスペシャリストの仕事 • エンジニアが知識を蓄え、トレーニングにより得たケイパビリティ ◦
要するにビジネスアナリシス ◦ つまりIT化のスペシャリストの仕事 • 利用部門の方々は、業務のスペシャリストであっても、 IT化のスペシャリストではない
42 必要なのは IT化 だった IT化のマニュアルが必要ということ? • 手順を抽象化し「宣言的に業務を行う」を言い換えると ◦ 業務の目的を達成するための手順を再構築 するということ
(煩雑なアレコレ → シュッとさせる) ▪ これまではIT化のスペシャリストがやってきた これからはAI-Agentがやる...のか? ◦ マニュアルとして必要なのは、 与えられた目的を構成する要素(状態)に分解し、その状態に至る 必要な情報, 操作, パラメータを決める手順? (少なくとも画面の操作方法やスプシの値コピペ手順ではなさそう)
43 必要なのは IT化 だった ヒトは意思決定する • 実現したいこととパラメータを決め、その理由を探求する ◦ 在庫の東西配置を変えたい。変更後の東西比率を示す。 ◦
理由は、関東で需要が高まっており、配送費を抑えるため。 Agentは実現する • 目的を状態(場所確保、輸送手配...)に分解し、操作とパラメータを決定 • ツールを組み合わせて状態を実現し、総合する能力が必要 どうすればこの世界線に到達できるのか
組織とアーキテクチャの再編成 © 2024 MonotaRO Co., Ltd.
45 基幹システムとして必要なこと AI-Agent開発から見えた必要なこと • 既存システムを 目的 で分ける ◦ これまでモノタロウでは「基幹システム」が指す対象を はっきりと意識できていなかった
▪ 所定の業務ルールに従って自動的にI/P/Oするシステム ▪ 上記システムの振る舞いを監視・変更するシステム
46 基幹システムとして必要なこと 所定の業務ルールに従って自動的にI/P/Oするシステム • 基幹システム: Systems of Activities (SoA) ◦
プロセスに沿って粛々と I/P/O する ◦ 情報(R)と操作(CUD)、およびその仕様を適切に公開 ◦ (権限のある)誰もが容易に使える状況に https://gihyo.jp/book/2024/978-4-297-14010-6
47 基幹システムとして必要なこと SoA の振る舞いを監視・変更するシステム • 業務システム: Systems of Controls (SoC)
◦ SoAへの指示・介入を目的とする ▪ パラメータを変更したり、新たなルールを設定する ◦ SoAが公開する情報と操作の仕様に精通して、 プロセス(=業務)を構築する
48 基幹システムとして必要なこと Systems of Record を細分化 (基幹システム)
49 基幹システムとして必要なこと 受注No.xxxx は キャンセル 受注No.xxxx の 出荷状況 は? 優先倉庫の
パラ メータ変える 当日出荷締め切 り前倒し 新しい プロセスを 定義 業務プロセスA 業務プロセスB 業務プロセスC 業務機能群 (ドメイン群)
50 基幹システムとして必要なこと AI-Agentによる業務の代行・自働化を実現するには • 十分にプリミティブな機能(インタフェース)が公開されている(SoA) • SoAの機能を組み合わせて ワークフロー を定義できる(SoC) •
業務目的を構成する状態 に適したワークフローを選定する(Agent) いずれは AI-Agent が、未定義の業務目的に対して 自らワークフローを定義することも期待する。(きっと当社DS部門が)
受注No.xxxx は キャンセル 受注No.xxxx の 出荷状況 は? 当日出荷締め切 り前倒し 新しい
プロセスを 定義 業務プロセスA 業務プロセスB 業務プロセスC 業務機能群 (ドメイン群) 51 基幹システムとAI-Agentの関係 優先倉庫の パラ メータ変える
52 最新のドメイン理解 左図は受注~調達~出荷に 至るまでのコンテキスト マップ。 これまでの「受発注配送」 というドメイン境界の仮説 に比べ、さらに細分化する 道が見えてきた。 このドメイン理解に基づい
て、SoA/SoCを区別してい きたい。
53 SoC/SoAモデル(案) 🤖
混沌とチャレンジ © 2024 MonotaRO Co., Ltd.
55 モダナイゼーションのこれから 本番はこれから • 組織変更と本格的なリアーキテクチャの推進はこれから ◦ 現状はこれまでご紹介した通り、一部の試験的な導入による学びで 進む先が見通せるようになってきた程度 ◦ ダニングクルーガー効果おそるべし
• 取り組みによる定量的なビジネスインパクトもまだ測れていない
56 モダナイゼーションのこれから 見えてきたもの: 技術 ← p.26 • 開発手法は部分的に刷新された ◦ DOJO,
MDIなどの取り組みにより変わりつつある • DDD+EDA+ES+CQRSの本番投入 ◦ 後に続く案件もある ◦ ドメイングループごとの取り組みも始まった
57 モダナイゼーションのこれから 見えてきたもの: 人 ← p.27-28 • 個人の行動変容を支援する仕組み ◦ DOJOコンテンツによる学びをフォローアップする場
◦ 部門ごとチームごとの勉強会をつなぐHUBとして期待 • 文化醸成のアプローチが見えてきた...? ◦ 正直わからん ◦ 地道に続けることでしか成し得ないと思ってる
58 モダナイゼーションのこれから 見えてきたもの: アーキテクチャと組織 • AI-Agentという新しいアクターへの対応 ◦ 突き詰めれば使われる側である既存アプリケーションの整備が重要 ◦ RPAやBrowser-useで画面に依存するのは急場しのぎか
• 目指すべきアーキテクチャの姿が明確に ◦ 目的に沿ったレイヤリング (SoA,SoC + Agent) ◦ きっと開発メンバのケイパビリティも異なるはず • 組織の姿も ◦ 必要なケイパビリティをチームに凝集し、適度な結合度を目指す
これからのモノタロウ © 2024 MonotaRO Co., Ltd.
60 これからのモノタロウ これから我々が目指すパラダイム ただシステムを小さく分割するだけではない
61 これからのモノタロウ 業務プロセスを蒸留・洗練する 不要な複雑性を システムに閉じ込めることで、 より大きなビジネスインパクトを生み出せる状況 それはつまり、 より「データとテクノロジーを徹底的に活用」できる状況
62 これからのモノタロウ AI時代の再挑戦 モノタロウは、インターネット時代に データとテクノロジーで 資材調達ネットワークを変革してきた 来るべきAI時代においても変わらず成長を続ける MonotaROは、常に事業者に選ばれる 世界で唯一の顧客価値を提供するため、 データとテクノロジーを徹底的に活用する
https://speakerdeck.com/monotaro/monotaro-cai-yong-shao-jie-zi-liao-for-engineers?slide=33
63 https://mid-career.monotaro.com/ we're hiring
© 2024 MonotaRO Co., Ltd.