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190824法務小僧.pdf
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有柚まさき
August 24, 2019
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有柚まさき
August 24, 2019
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Transcript
デザイナー法務小僧セミナー 【著作権を学ぼう!】重要ポイントを一日でマスターする講座 2019/08/24 デザイナー法務小僧
ご挨拶 田島 佑規 宇根 駿人 有柚 まさき 弁護士 弁護士 デザイナー/イラストレーター 大阪弁護士会(弁護士法人淀屋橋・
山上合同所属) 大阪弁護士会 (共栄法律事務所所属) 法務小僧クリエイティブ担当
デザイナー法務小僧セミナーとは? クリエイティブ業界を対象としたリーガルサポートを提供します 大阪弁護士会所属の2人の弁護士×現役デザイナによる、法務視点でのクリエイター向けセミナーです! 活動テーマは「クリエイターに法務をもっと身近に感じてもらいたい!」です。
セミナーについて 開催中、メモがわりにツイッター実況をぜひ! ブログ枠の方はコンパスの「資料」へブログURLをアップしてください! 記事を楽しみにしています! #d̲kozo
本日の流れ 13:40~ 16:00~ 13:30~ 15:40~ 14:40~ 17:00 14:50~ 会場について ・飲食OKです
・お手洗いは当階廊下にございます ・途中退室OKです ※会場内写真撮影をさせていただきます。お顔は写らないように配慮します。ご了承くださいませ セミナー(基礎編) ご挨拶と会場案内 質疑応答 懇親会(自由参加) 休憩 終了 セミナー(実践編)
【著作権を学ぼう!】 重要ポイントを一日でマスターする講座
著作権とは「何に発生する」権利? Q
著作権とは「情報」に発生する権利 物に対する権利 (所有権) A 情報に対する権利 (著作権)
著作権は「すべての情報」に生じる? Q
認められる情報(作品)と、 認められない情報(作品)の 2つに分かれる。 A
音楽、歌詞、 セリフ デザイン 漫画、 イラスト 映画、動画 写真 小説、文章 全てに著作権が発生するわけではない
著作権が認められない情報(作品)というのは、 作者の許可がなくとも、自由に利用することが可能 そのものが著作物かどうかを考えるところから始まる
「著作物」ってなに? Q
A 正式な定義は長いので… 著作物とは、 「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」 「創作的表現が著作物」と、覚える
作者の何らかの個性が発揮されているもので、 高度な独創性や芸術性は不要 「創作的」とは? 子どもの描いた絵でも著作物 わたし3歳 どういうこっちゃ? 著作権法はこの創作的表現について、 次ページのような例示をしている
著作物(創作的表現)の例 ① 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物 ② 音楽の著作物 ③ 舞踊又は無言劇の著作物 ④ 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物 ⑤ 建築の著作物 ⑥ 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物 ⑦ 映画の著作物 ⑧ 写真の著作物
⑨ プログラムの著作物
A 「創作的表現(著作物)とはいえない例」 を知っておくと、非常に便利 これは創作的表現?
「著作物ではないもの」ってなに? Q
① ありふれた、よくある表現・デザイン ② 事実、データ ③ アイデア、着想 ④ 短いフレーズ、シンプルなデザイン 著作物でない例としては、大きく以下の4つ
誰がやってもほぼ同じような表現・デザインになるであろうという場合 (ありふれた表現)には、作者の個性が表れていないとして、創作性が否定されます。 「 ありふれた、よくある表現・デザイン」とは?
「事実やデータ、それをそのまま図にしただけのグラフなど」は、 思想や感情の表現ではなく、作者の個性が発揮されている表現とはいえないので、 著作物ではない。 「 事実、データ」とは? 苦労してデータを集めました!
著作物は「創作的な表現」のこと。 表現に至ってない「アイデア」や「着想」には、著作権は認められません。 「アイデア、着想」とは? 頭の中では 表現されてるぜ! 遠近法考えた!
代表的には作品のタイトルや名前など 例「マリーゴールド」「ONE PIECE」「コナン」 「短いフレーズ、シンプルなデザイン」とは? 「マリーゴールド イラスト」 で検索した結果
著作者が「持つ権利」はなに? Q
A 著作物の作者=「著作者」 著作権 著作者人格権
作品の財産的価値の部分 をコントロールする権 譲渡可能 作品に対する「人格的価 値の部分」をコントロー ルする権利 譲渡不可 著作権 著作者人格権
著作権は「譲渡」できるの? Q
A 合意があれば「譲渡できる」 ありがとう 権利ごとあげるよ
お金を払って製作依頼をしたからといって、 著作権は譲渡されない。 デザインの公募に注意!
著作権には「期限」があるの? Q
A 著作者が創作をした時点から 著作者の「死後70年」 保護期間が経過した作品は、 著作権フリー
他人の「著作権侵害」をしたらどうなるの? Q
A 訴えられるかも ・民事上の責任→差止め、損害賠償 ・刑事上の責任→懲役or罰金または両方
「著作権」ってどんな権利? Q
A 著作権は多くの権利の束
複製権 著作物をコピーする権利 … 上演・演奏権 公に著作物を上演・演奏する権利 … 上映権 公に著作物を上映する権利 … 公衆送信権
公に著作物をテレビやネットで放送・配信する権利 … 口述権 公に小説などを朗読などで伝える権利 … 展示権 公に美術・未発行の写真の著作物を原作品により展示する権利 … 頒布権 映画の著作物を頒布(譲渡・貸与)する権利 …
譲渡権 映画以外の著作物を公衆へ譲渡する権利 … 貸与権 映画以外の著作物を公衆へ貸与する権利 … 翻訳・翻案権 著作物を翻訳、編曲、変形、翻案等する権利 (二次的著作物を制作する権利) …
二次的著作物の利用権 自分の著作物から作られた(二次的)著作物に対し、 二次的著作物の著作者と同等の権利を 持つことができる権利(翻訳・翻案権とリンクする) …
「著作者人格権」ってなに? Q
A 「公表権」「氏名表示権」 「同一性保持権」 勝手に絵を改変するなよ わたしの名前で公表するやで
例外的に 「著作権侵害にならない」ものとは? Q
A 「私的複製」 「付随対象著作物の利用」「引用」 「営利を目的としない上演等」
ディレクターなど 受注側の目線 発注側の目線 デザイナーなど
実践編
事例①
「この素材を使用 (参考に) して製作してくれ」 クライアントから と言われた
その素材が著作物かどうか 著作物をそのまま自己の作品に利用すると、著作権侵害となる ↓ まず確認することは?
ありふれた表現部分を借りてくるのは問題ない
受注側が著作権について理解しているかわからない 他人の著作物といえるような素材を 受注者側に提供しない 発注側の目線 ↓ 危ないもんは ちゃんというたらな
人の素材を使うときは、その素材が著作物かどうか、 また借りてくる部分が著作物かどうか確認する 発注側が著作権をきちんと理解していない 可能性があるから注意 受注側の目線 ↓ 確認やで
派生事例:ミッフィー対キャッシー事件 考えてみましょう
事例②
弊社納品イラスト (A) と 酷似したイラスト (B) を 別会社に対し納品した 仕事を発注したイラストレーターが
イラストAの著作権が どちらにあるか まず確認することは?
元の発注者 その後の発注者 著作権が発注側 イラストレーター 発注 発注 納品 納品 あれ?似てない? ©
元の発注者 その後の発注者 著作権が発注側 イラストレーター 発注 (著作権侵害) 著作権侵害や! 発注 納品 納品
似すぎやんけ。おこ! ©
元の発注者 © その後の発注者 著作権が受注側 イラストレーター 発注 発注 納品 納品 あれ?似てない?
元の発注者 © その後の発注者 著作権が受注側 イラストレーター 発注 発注 納品 納品 著作権持ってないからなんも
言えない・・・
具体例:「ちいたん」と「しんじょうくん」事件 考えてみましょう
発注側の目線 発注側の対策 ①著作権譲渡をうける ②酷似したデザインを以後作成しないように 契約 や覚書をとりかわす 勝手にしやんといてな
受注側の目線 我が子やねんもん、そら似るわ 受注側の対策 ①著作権の譲渡をしない ②「酷似したデザインを以後作成しない」 などの約束をしない
事例③
「デザインの生データを 渡してほしい」 納品時にクライアントから と言われた
「生データを渡す」と契約、 約束をしていたか? まず確認することは?
発注側の目線 くださいませ 発注したからといって生データをもらえるではない 生データを欲しい場合は、著作権とは別に合意をしておく必要がある。 著作権譲渡をうける。発注側で少し改変するために、生データを受け取 るという場合には、製作者の合意をもらわないと著作権侵害や、著作者 人格権侵害になるおそれがある。
受注側の目線 わたしの技術がつまっとんねん 生データは基本渡さなくて良い 渡す場合は、生データの利用目的を聞いた上で、利用目的以外での使用 NGや、他の者への開示や譲渡の禁止といった利用条件をきちんと定め た上で渡すのが望ましい。
FBに法務小僧ページができました!