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個人情報保護法「いわゆる3年ごと見直し」の重要テーマ

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June 25, 2025
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 個人情報保護法「いわゆる3年ごと見直し」の重要テーマ

2025/6/25に開催した個人情報保護法「いわゆる3年ごと見直し」に関するウェビナーの投影資料です。

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関原秀行

June 25, 2025
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  1. 「いわゆる3年ごと見直し」の直近の検討経過 (令和5年) 9~10月 11月15日 11月下旬 (令和6年) 2月21日 4月上旬~ 6月27日 9月4日

    10月16日 12月17日 12月25日 (令和7年) 1月22日 2月5日 2月19日 3月5日 4月16日 「改正個人情報保護法の施行状況について」公表 「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し規定に基づく検討」公表 関係団体等ヒアリングを順次実施 「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し規定に基づく検討項目」公表 有識者ヒアリングを順次実施 「中間整理」公表(~7月29日までパブコメ実施) 「中間整理」に関する意見募集の結果・今後の検討の進め方 公表 「個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直しの検討の充実に向けた視点」公表 事務局ヒアリング(有識者、経済団体・消費者団体)の状況報告 「個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直しに関する検討会 報告書」公表 「「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討」の今後の進め方について」公表 「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方(案)について(個人データ等の取扱いにおける本人関与に係る規 律の在り方)」公表 「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方(案)について(個人データ等の取扱いの態様の多様化等に伴うリ スクに適切に対応した規律の在り方」公表 「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」公表、意見の概要① 意見の概要②
  2. 「いわゆる3年ごと見直し」の直近の検討経緯 (令和5年) 9~10月 11月15日 11月下旬 (令和6年) 2月21日 4月上旬~ 6月27日 9月4日

    10月16日 12月17日 12月25日 (令和7年) 1月22日 2月5日 2月19日 3月5日 4月16日 「改正個人情報保護法の施行状況について」公表 「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し規定に基づく検討」公表 関係団体等ヒアリングを順次実施 「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し規定に基づく検討項目」公表 有識者ヒアリングを順次実施 「中間整理」公表(~7月29日までパブコメ実施) 「中間整理」に関する意見募集の結果・今後の検討の進め方 公表 「個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直しの検討の充実に向けた視点」公表 事務局ヒアリング(有識者、経済団体・消費者団体)の状況報告 「個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直しに関する検討会 報告書」公表 「「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討」の今後の進め方について」公表 「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方(案)について(個人データ等の取扱いにおける本人関与に係る規 律の在り方)」公表 「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方(案)について(個人データ等の取扱いの態様の多様化等に伴うリ スクに適切に対応した規律の在り方」公表 「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」公表、意見の概要① 意見の概要②
  3. テーマの全体像 個人データ等の取扱いにおける本人関与に係る規律の在り方 ⚫ 同意規制の在り方 ➢ 統計作成等、特定の個人との対応関係が排斥された一般的・汎用的な分析結果の獲 得と利用のみを目的とした取扱いを実施する場合の本人の同意の在り方 ➢ 取得の状況からみて本人の意思に反しない取扱いを実施する場合の本人の同意の在 り方

    ➢ 生命等の保護又は公衆衛生の向上等のために個人情報を取り扱う場合における同意 取得困難性要件の在り方 ➢ 病院等による学術研究目的での個人情報の取扱いに関する規律の在り方 ⚫ 漏えい等発生時の対応(本人通知等)の在り方 ⚫ 子供の個人情報等の取扱い
  4. 第三者提供による個人データの提供 A社データ C社データ (提供元A) (提供先B) 個人データ提供 ML A社・C社用のmodel (提供元C) 個人データ提供

    第三提供により個人データをB社に提供す る場合 法27条1項により、本人の同意を得なけ れば提供できない
  5. 委託に伴う個人データの提供 A社データ C社データ (委託元A) (委託先B) 個人データ提供 ML A社・C社用のmodel (委託元C) 個人データ提供

    (GL通則編3-6-3) 「委託された業務以外」に当該個人データ を取扱うことができない。 Q 委託先が複数社から収集したデータ を利用してモデル開発を行うことを受託 した場合、「委託」の範囲内と解釈でき るか? (GL・QA7-37) 複数の個人情報取扱事業者から個人デー タの取扱いの委託を受けている者が、各 個人情報取扱事業者から提供された個人 データを区別せずに混ぜて取り扱ってい る場合、「委託」の範囲を超える。 Q 委託先が複数社から収集したデータ を混ぜてモデル開発を行った場合、「委 託」の範囲内と解釈できるか?
  6. 要配慮個人情報とは 「要配慮個人情報」とは、以下のセンシティブな情報が含まれる「個人情報」 1. 人種:人種、世系又は民族的若しくは種族的出身を広く意味する。 2. 信条:個人の基本的なものの見方、考え方を意味し、思想と信仰の双方を含む。 3. 社会的な身分:ある個人にその境遇として固着していて、一生の間、自らの力によって容易 に脱し得ないような地位 4.

    病歴:病気に罹患した経歴 5. 犯罪の経歴:前科、すなわち有罪の判決を受けこれが確定した事実 6. 犯罪により害を被った事実:犯罪の被害を受けた事実 7. その他政令で定めるもの:施行令・施行令から委任された施行規則で規定 • 身体障害、知的障害、精神障害その他の規則で定める心身の機能障害があること • 本人に対して医師等により行われた健康診断等の結果 • 健康診断等の結果に基づき、又は疾病、負傷その他の心身の変化を理由として、本人に対して医師等によ り心身の状態改善のための指導又は診療若しくは調剤が行われたこと • 本人を被疑者又は被告人として、逮捕、捜索、差押え、勾留、公訴提起その他の刑事事件に関する手続が 行われたこと • 本人を少年法3条1項に規定する少年又はその疑いのある者として、調査、観護措置、審判、保護処分その 他の少年の保護事件に関する手続が行われたこと
  7. 要配慮個人情報の原則取得禁止 現行法における要配慮個人情報の原則取得禁止 個人情報保護法20条 1 … 2 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意 を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。 … 七

    当該要配慮個人情報が、本人、国の機関、地方公共団体、学術研究機関等、 第五十七条第一項各号に掲げる者その他個人情報保護委員会規則で定める者によ り公開されている場合 …
  8. 本人同意なき統計情報等を作成するための条件 (本人同意なき公開されている要配慮個人情報の取得) 当該要配慮個人情報が統計情報等の作成又は本規律に基づく本人同意なき個人 データ等の第三者提供にのみ利用されることを担保する観点等から以下の条件を 想定 • 公開されている要配慮個人情報の取得者における一定の事項(取得者の氏名・ 名称、行おうとする統計作成等の内容又は本規律に基づく本人同意なき個人 データ等の第三者提供を行う目的である旨等)の公表 •

    取得者における目的外利用及び第三者提供(本規律に基づく本人同意なき個人 データ等の第三者提供を行う目的である場合における当該第三者提供を除 く。)の禁止を義務付け 個人情報保護委員会「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」(令和7年3月5日) https://www.ppc.go.jp/files/pdf/seidotekikadainitaisurukangaekatanitsuite_250305.pdf
  9. (参考)GDPR (GDPR8条) 1. 子どもに対する直接的な情報社会サービスの提供との関係において第 6 条第 1 項(a)が適用される場合、その子どもが16 歳以上であるときは、その子ども の個人データの処理は適法である。その子どもが16

    歳未満の場合、そのよう な処理は、その子どもの親権上の責任のある者によって同意が与えられた場 合、又は、その者によってそれが承認された場合に限り、かつ、その範囲内 に限り、適法である。 加盟国は、その年齢が 13 歳を下回らない限り、法律 によって、それらの目的のためのより低い年齢を定めることができる。 2. 管理者は、利用可能な技術を考慮に入れた上で、その子どもについて親権上 の責任のある者によって同意が与えられたこと、又は、その者によってそれ が承認されたことを確認するための合理的な努力をするものとする。 …
  10. 子供の個人情報等の取扱い • 16歳未満の者が本人である場合における、本人からの同意取得や本人への通知 等に係る規定について、原則として、当該本人の法定代理人からの同意取得や 当該法定代理人への通知等を義務付けることとしてはどうか。その上で、一定 の場合については、例外的に、本人からの同意取得や本人への通知等を認める 必要があるのではないか。 • 16歳未満の者を本人とする保有個人データについて、違法行為の有無等を問う ことなく利用停止等請求を行うことを可能としてはどうか。その場合において、

    一定の例外事由を設ける必要があるのではないか。 • 未成年者の個人情報等を取り扱う事業者は、当該未成年者の年齢及び発達の程 度に応じて、その最善の利益を優先して考慮した上で、未成年者の発達又は権 利利益を害することのないように必要な措置を講ずるよう努めなければならな い旨の責務規定、及び、個人情報の取扱いに係る同意等をするに当たって、法 定代理人は、本人の最善の利益を優先して考慮しなければならない旨の責務規 定を設けてはどうか。 個人情報保護委員会「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」(令和7年3月5日) https://www.ppc.go.jp/files/pdf/seidotekikadainitaisurukangaekatanitsuite_250305.pdf
  11. 顔特徴データ等に関する規律 本人が関知しないうちに容易に取得することが可能であり、一意性・不変性が高い ため、本人の行動を長期にわたり追跡することに利用できる身体的特徴に係るデー タ(顔特徴データ等)に関する規律の在り方 • 顔識別機能付きカメラシステム等のバイオメトリック技術の利用が拡大する中 で、生体データのうち、本人が関知しないうちに容易に(それゆえに大量に) 入手することができ、かつ、一意性及び不変性が高く特定の個人を識別する効 果が半永久的に継続するという性質を有する顔特徴データ等は、その他の生体 データに比べてその取扱いが本人のプライバシー等の侵害に類型的につながり

    やすいという特徴を有することとなっている。 • そこで、上記侵害を防止するとともに、顔特徴データ等の適正な利活用を促す ため、顔特徴データ等の取扱いについて、透明性を確保した上で本人の関与を 強化する規律を導入する必要があるのではないか。 個人情報保護委員会「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」(令和7年3月5日) https://www.ppc.go.jp/files/pdf/seidotekikadainitaisurukangaekatanitsuite_250305.pdf
  12. インシデント関連 • 現行法上、個人情報取扱事業者は、漏えい等報告の義務を負うときは、本人へ の通知が困難な場合を除き、一律に本人への通知義務を負うこととなるが、本 人への通知が行われなくても本人の権利利益の保護に欠けるおそれが少ない場 合について、本人への通知義務を緩和し、代替措置による対応を認めることと してはどうか。 • 委員会規則で定めるところによる、報告対象事態(規則7)が発生した場合の 委員会への報告(法26Ⅰ)について、体制・手順に係る認定個人情報保護団体

    などの第三者の確認を受けること等を前提として、一定の範囲で速報を免除す ることを可能としてはどうか。さらに、漏えいした個人データに係る本人の数 が1名である誤交付・誤送付のようなケースについては、委員会への報告のう ち確報を、一定期間ごとに取りまとめた上で行うことを許容してはどうか。 • 違法な個人データの第三者提供についても報告対象事態にすることとしてはど うか。 個人情報保護委員会「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」(令和7年3月5日) https://www.ppc.go.jp/files/pdf/seidotekikadainitaisurukangaekatanitsuite_250305.pdf
  13. 課徴金 経済的誘因のある違反行為に対する実効的な抑止手段(課徴金制度)の導入の要否 • 課徴金は、行政上の措置として機動的に賦課されるものであり、違反行為の経 済的誘引を小さくすることにより、違反行為を抑止することを目的として導入 されるものである。このような課徴金制度については、事後チェック型を志向 する現代の市場経済社会において重要な法執行上の役割を果たしていると指摘 されている。 • 課徴金制度については、個人情報保護法いわゆる3年ごと見直しに係る検討の

    中間整理を踏まえ、昨年7月から「個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直し に関する検討会」(以下「検討会」という)を開催し、計7回の会合を経て、 昨年12月末に、議論の状況を整理した報告書(以下「報告書」という)を取り まとめた。 • 報告書は、課徴金制度の導入の必要性及び想定される制度設計の在り方や課題 についての議論状況をまとめたものである。同制度の導入の要否及び制度設計 の在り方については、報告書の内容を踏まえ、継続して議論していく必要があ るのではないか。 個人情報保護委員会「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」(令和7年3月5日) https://www.ppc.go.jp/files/pdf/seidotekikadainitaisurukangaekatanitsuite_250305.pdf