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ネガティヴ・ケイパビリティから考えるアジャイルチームの在りよう
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Suimo
September 28, 2024
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ネガティヴ・ケイパビリティから考えるアジャイルチームの在りよう
9/28 XP祭り2024
Suimo
September 28, 2024
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Transcript
ネガティヴ・ケイパビリティ から考える アジャイルチームの在りよう 木村 直人 2024/09/28 XP祭り2024
2 話す人 木村 直人 / 株式会社ATOMica VPoE / @O_Suimo #ソフトウェアエンジニア
#XP好き #アジャイルチーム立ち上げ #TDD #『アジャイルリーダーシップ』翻訳 #ふりかえり #コーチング #エンジニア採用 #オーディオ沼 #Perfumeファン歴16年 #スマブラ強め
3 ATOMicaのご紹介
会社概要について ATOMicaとは... 人と人を結びつづける ことで 社会課題を解決する インパクトスタートアップ 01 Copyright © 2023
ATOMica, inc. All rights reserved.
5 圧倒的なローカルコワーキング企画・運営 実績を日本中に展開中。 宮崎、北九州という2つの直営拠点を連続して1年半以 内に黒字化に導いた「場所」「⼈」「プログラム」 「テクノロジー」を組み合わせた独⾃の施設運営ス キーム“ソーシャルコワーキング®”を⽇本各地の施設 オーナーに提供する 「共創」モデルで⽇本中でコワー
キングスペースの企画‧開所‧運営を⽀援していま す。
6 エンジニアコミュニティへの招待
ネガティヴ・ケイパビリティ から考える アジャイルチームの在りよう 木村 直人 2024/09/28
もやもや 8
実装や設計やいろんなところがイケテナイ・・ 9 チームの進捗や雰囲気が良くなくてツライ・・ バリューが発揮できてない感じがシンドイ・・ なんか疲れちゃった・・ 燃え尽き カイゼン疲れ 成長疲れ 季節性のなにか プライベートのいろいろ
コミュニケーション疲れ
もやもやしてしまう 10
消化しきれなさ 11
よし、消化できるように 言語化しよう! 12
もやもやしてしまう 13
もやもや”できる” 14
ネガティヴ・ケイパビリティ 15
ネガティヴ・ケイパビリティ? 16
そのまま訳すと 「消極性受容力」? 「否定能力」? 17
シェイクスピアが桁外れに有していたも の――それがネガティヴ・ケイパビリ ティ、短気に事実や理由を求めることな く、不確かさや、不可解なことや、疑惑あ る状態の中に人が留まることが出来る時に 見出されるものである。 / ジョン・キーツ (詩人) 18
https://en.wikisource.org/wiki/Letter_to_George_and_Thomas_Keats,_December_28,_1817
シェイクスピアが桁外れに有していたも の――それがネガティヴ・ケイパビリ ティ、短気に事実や理由を求めることな く、不確かさや、不可解なことや、疑惑あ る状態の中に人が留まることが出来る時に 見出されるものである。 / ジョン・キーツ (詩人) 19
→作家が持つ能力としてのネガティヴ・ケイパビリティ
砲撃の元で考える力 / ウィルフレッド・ビオン (精神分析家) 20
砲撃の元で考える力 / ウィルフレッド・ビオン (精神分析家) 21 →臨床心理の現場で必要な能力としてのネガティヴ・ケイパビリティ
答えの出ない事態に耐える力 / 帚木蓬生(作家・精神科医) 「消化しきれなさ」「難しさ」「モヤモヤ」を抱えていら れる力。安易な理解に飛びついたり結論づけたりせず、そ こから新しい何かをどこまでも汲み取ろうとする姿勢。 / 谷川嘉浩(哲学者) 22
ソフトウェア開発 23
不確実性や変化を抱擁しながら ソフトウェアの価値を届け続けられる力 24
もやもや”できる” 25
もやもやを”抱えていられる” 26
実装や設計やいろんなところがイケテナイ・・ 27 チームの進捗や雰囲気が良くなくてツライ・・ バリューが発揮できてない感じがシンドイ・・ なんか疲れちゃった・・ 燃え尽き カイゼン疲れ 成長疲れ 季節性のなにか プライベートのいろいろ
コミュニケーション疲れ
よりよくあろうとすることの兆し 28
アジャイル・ジャーニー 29
考え続けよう 30
「考え続けよう」? 31
ネガティヴ・ケイパビリティを 再現性ある能力として 具体的に実践可能なものとする 32
ネガティブ・ケイパビリティというのは(...)実際のところ コミュニティに備わる余白とか器という方が実態に近いの ではないか。曖昧なものは、自己に押し込めるというよ り、人とのつながりの中に置いておくというニュアンス。 / 東畑 開人(臨床心理学者) 33 https://x.com/ktowhata/status/1643940502033825792
「私たち」のあいだで持つ 34
35
質感のある、体験に根ざした言葉を育てる 36
言葉遣いが私たちをつくっている 37
質感のない言葉 38
39 質感のない言葉 - 一問一答的な見方に閉じている対話 - なめらかでよどみない発話(をよしとする状況)から生まれる言葉 - 紋切り型の言葉やある特定の共同体のノリに回収された言葉遣い
実験的な言葉遣い 比喩の豊かさ 安全な空間 40
語り直し 41
聞く 聞いてもらう 42
即レス的な態度から離れる 沈黙を許容する 43
公私のあいだにある踊り場をつくる 44
45 踊り場 - 会議が終わった後の廊下 - 業務が終わって、最寄り駅までの帰り道 - ビルド中にコーヒーをすする時間
踊り場 = 互いの感覚を実験的に言語化できる場面 46
多話言語者になる 47
48 まとめ - ネガティヴ・ケイパビリティは「もやもやを”抱えていられる”力」。 終わりがないアジャイル・ジャーニーの中で、揺れながらも考え、ソフト ウェアの価値を届け続けられる力。 - ネガティヴ・ケイパビリティは個人ではなく、相手とのあいだ、私たちのあ いだで持ち、育てていくもの。 -
「語り直し」「聞く/聞いてもらう」「踊り場」「他話言語者になる」などを通し て、質感のある体験に根ざした言葉を模索しながら使うことが、ネガティ ヴ・ケイパビリティにつながっていく。
49 ご清聴ありがとうございました!