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エシェロン解析による空間の分割とホットスポットの抽出

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December 15, 2025
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 エシェロン解析による空間の分割とホットスポットの抽出

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December 15, 2025
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  1. 7 ▪ 地図上に可視化すれば一目瞭然? ▪ 分類の境界が恣意的になりやすく、重要なピークを見落とすリスク 可視化による分類の限界 1. 点をそのまま可視化 2. メッシュやHexで集計して可視化

    問題点: 判断や分類の境界が個人の感覚に依存し曖昧。 点がある程度集中すると、大きさがわからなくなる。 問題点: 極端に値が大きい場所に全体が引っ張られ、 中小規模の集積を見逃す。 https://www.kaggle.com/datasets/yasserh/uber-fares-dataset より、2014年の乗車地点に絞って可視化
  2. ▪ 1変数の空間データの値を「標高」と見なして起伏(山と谷)の構造を階層的 に分類し、領域分割やホットスポット抽出を行う手法 ▪ ピークの発見: 極大値を頂点とする「山」を認識。 ▪ 領域の統合: 隣接関係を考慮しながら、頂上から裾野へと領域を広げる ▪

    メリット: 恣意的な閾値設定なしに、データ内在の構造で領域分割が可能 8 エシェロン解析とは? https://www.jstage.jst.go.jp/article/bdajcs/2/1/2_17/_pdf/-char/ja より引用 【用語】 エシェロン:階層のこと ピーク:階層のうち極大値を含むもの ファウンデーション:ピーク以外の階層
  3. 11 エシェロン解析の手順 ▪ エシェロン解析では、次の2ステップで格子データをエシェロン(階層)に分 類する 1. ピークの抽出 2. ファウンデーションの抽出 極大値に隣接する格子との大小関係

    の比較を繰り返し、ピークのエシェ ロンを抽出する ピークのエシェロンを除いた格子の 中で、隣接する格子との大小比較を 繰り返し、ファウンデーションのエ シェロンを抽出する
  4. ▪ まず、最大値を見つける 13 エシェロンを分類する 〜1次元のデータの分類〜 A B C D E

    F G H I J 1 2 3 4 3 4 5 4 3 2 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】
  5. ▪ Gに隣接する格子(F, H)の中で最大値を見つける 15 エシェロンを分類する 〜1次元のデータの分類〜 A B C D

    E F G H I J 1 2 3 4 3 4 5(EN1) 4 3 2 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】
  6. 16 エシェロンを分類する 〜1次元のデータの分類〜 A B C D E F G

    H I J 1 2 3 4 3 4(EN1) 5(EN1) 4(EN1) 3 2 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】 ▪ F, G, Hをひとかたまりとし、それが隣接する格子(E, I)と比較 ▪ F, HはE, Iのどちらよりも大きいので、Gのエシェロンに併合する
  7. 17 エシェロンを分類する 〜1次元のデータの分類〜 ▪ エシェロンに隣接する格子(E, I)の中で最大値を見つける A B C D

    E F G H I J 1 2 3 4 3 4(EN1) 5(EN1) 4(EN1) 3 2 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】
  8. ▪ E, F, G, H, Iをひとかたまりとし、それが隣接する格子(D, J)と比較 ▪ E, IはDより小さいので、Gを中心とするエシェロンに併合できない

    18 エシェロンを分類する 〜1次元のデータの分類〜 A B C D E F G H I J 1 2 3 4 3 4(EN1) 5(EN1) 4(EN1) 3 2 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】
  9. ▪ エシェロン以外の格子の中で最大値を見つける 19 エシェロンを分類する 〜1次元のデータの分類〜 A B C D E

    F G H I J 1 2 3 4 3 4(EN1) 5(EN1) 4(EN1) 3 2 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】
  10. ▪ Dに隣接する格子(C, E)とDを比較 ▪ DはC, Eより大きいので2つ目のエシェロンとする 20 エシェロンを分類する 〜1次元のデータの分類〜 A

    B C D E F G H I J 1 2 3 4(EN2) 3 4(EN1) 5(EN1) 4(EN1) 3 2 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】
  11. ▪ Dに隣接する格子(C, E)の中で最大値を見つける 21 エシェロンを分類する 〜1次元のデータの分類〜 A B C D

    E F G H I J 1 2 3 4(EN2) 3 4(EN1) 5(EN1) 4(EN1) 3 2 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】
  12. ▪ C, Eに隣接する格子(B, F)の値とC, Eを比較 ▪ C, EはFより小さいので、Dを中心とするエシェロンに併合できない 22 エシェロンを分類する

    〜1次元のデータの分類〜 A B C D E F G H I J 1 2 3 4(EN2) 3 4(EN1) 5(EN1) 4(EN1) 3 2 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】
  13. ▪ C, E, Iの階層をその子孫(上に乗っているエシェロン)とまとめて一族を作 る 25 エシェロンを分類する 〜1次元のデータの分類〜 A B

    C D E F G H I J 1 2 3(EN3) 4(EN2) 3(EN3) 4(EN1) 5(EN1) 4(EN1) 3(EN3) 2 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】
  14. ▪ 一族に隣接する格子の中で最大値を取るもの(B, J)を見つける 26 エシェロンを分類する 〜1次元のデータの分類〜 A B C D

    E F G H I J 1 2 3(EN3) 4(EN2) 3(EN3) 4(EN1) 5(EN1) 4(EN1) 3(EN3) 2 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】
  15. ▪ 一族とB, Jをまとめたものに隣接する格子(A)の値と、B, Jを比較 ▪ B, JはAより大きいので、ファウンデーションに併合する 27 エシェロンを分類する 〜1次元のデータの分類〜

    A B C D E F G H I J 1 2(EN3) 3(EN3) 4(EN2) 3(EN3) 4(EN1) 5(EN1) 4(EN1) 3(EN3) 2(EN3) 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】
  16. ▪ 同じ要領で、AもEN3に併合する 28 エシェロンを分類する 〜1次元のデータの分類〜 A B C D E

    F G H I J 1(EN3) 2(EN3) 3(EN3) 4(EN2) 3(EN3) 4(EN1) 5(EN1) 4(EN1) 3(EN3) 2(EN3) 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】
  17. 29 エシェロンから圏を見つける ▪ ピークのエシェロンを核として、それに対してファウンデーションがどの ピークに接しているかを判定することで、圏に分割する A B C D E

    F G H I J 1 2(EN3) 3(EN3) 4(EN2) 3(EN3) 4(EN1) 5(EN1) 4(EN1) 3(EN3) 2(EN3) 【上記の値を縦軸に取った場合の立体】
  18. ▪ 空間的に過密な領域を統計的に検出するための「空間スキャン統計量」を エシェロンを用いて算出する 30 エシェロンスキャン法でホットスポットを検出する ※ 帰無仮説、対立仮説が成り立つ場合の尤度の比 2. ホットスポット候補の抽出 ウインドウごとに対数尤度比※を算

    出し、重複しない領域群について 値が大きい順にホットスポット候 補とする 栗原 考次, 石岡 文生「エシェロン解析 階層化し て視る次空間データ」P.50より引用 ホットスポットの第1候補につい て、モンテカルロ法で最大対数尤 度の分布をシミュレート & 検定 3. 検定 栗原 考次, 石岡 文生「エシェロン解析 階層化し て視る次空間データ」P.50より引用 複数のウインドウ(Z)のパターン を「スキャン」する → エシェロンのピークからスキャ ンする 1. ウインドウをスキャン https://www.jstage.jst.go.jp/article/bdajcs/2 /1/2_17/_pdf/-char/ja より引用
  19. 33 ▪ 栗原 考次, 石岡 文生「エシェロン解析 階層化して視る次空間デー タ」, 共立出版, 2021年8月 ▪

    エシェロン階層構造を利用した森林の分割, データ分析の理論と応用 Vol. 2, No. 1 (2012), 17–31, https://www.jstage.jst.go.jp/article/bdajcs/2/1/2_17/_pdf/-ch ar/ja Reference