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10分交替のモブプロがコンテクストと集中を高める
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Yatakeke
June 14, 2025
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10分交替のモブプロがコンテクストと集中を高める
Yatakeke
June 14, 2025
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Transcript
10分交替のモブプロが コンテクストと集中を 高める クリエーションライン株式会社 矢田 進之介 久末 瑠紅
今日のゴールとアジェンダ ターゲット ・モブプロで集中力が続かない人やスキル差がありながらモブプロをやっているチーム アウトカム ・交替時間を見直すきっかけをもらい、モブプロメンバー全員の集中力が上がる アジェンダ ・以前のモブプロをふりかえる ・10分交替モブプロを始めた経緯 ・矢田(ベテラン)/久末(若手)視点でみる10分モブプロの効果 2
ベテラン視点 若手視点 右上に表示します
自己紹介: アジャイルザムライ矢田 { 名前: {Yata Shinnosuke, X: @yatakeke”}, 住所: [“三河”,
“札幌”, “溝の口”, “学芸大学”, “三河”, ”流山”], 会社: “クリエーションライン株式会社”, 職業: [“データサイエンティスト”, “アプリケーションエンジニア”], 興味: [“ペア・モブプロ”, “リファクタリング”, “劇団CL”], 肩書: [“アジャイルザムライ”, “スクフェス三河2代目実行委員長”] } 3
自己紹介: 久末 瑠紅 (Ryuku-Hisa) • 2021年からCLにアルバイトとして入社 ◦ 組織開発分野のお仕事してました • 2024年から正社員切り替え
◦ 最近は開発したりいろいろしてます • 学生時代にPBL (Project Based Learning) の中で アジャイル開発に出会う ◦ それきっかけでCLとの関わりが深まった! • 趣味は移動する系が多め ◦ スノボ/ツーリング/セーリング/ドライブ 4
クリエーション ラインの 開発チーム 某製造業の会社 私たちのチームについて 某製造業様向け「注文データ可視化プロジェクト」で内製化支援を行っている • リモートでデータ基盤とアプリケーションをアジャイル開発で構築 • 顧客側の開発者も交えながら、モブプロをベースに進めている
PO 内製化支援について知りたい方はこちらへ 5 開発者 + インフラ SM
以前のモブプロをふりかえる 6
チームのモブプロについて • 立ち上げ当初のメンバーは1年以上モブプロを継続していた • スキル差/ドメイン不足を補うように誰かがリードするような モブプロのスタイルが確立されていた 7 立ち上げ初期 約1年後 約半年後
10分モブを始めた当初 開発者 開発者 開発者 SM
矢田視点でみるチームのモブプロの良いところ ・各自のペア/モブプロ経験が長く、当時のやりかた以上に改善の余地がないと思っていた → ナビゲーターは意図が伝わらければすぐ具体的な指示に切り替えられる → ドライバーはナビからの指示をコードに落とすスキルが高い ・メンバーにスキル差がありながらも、教育とスピードのバランスを取りながら進めていた 8 ベテラン視点 出典:
スキル差があるペア・モブプロで効果的な、ドライバーナビゲーター以外のロールの分け方 from speakerdeck
久末視点でみるチームのモブプロの悪いところ • 知識の差が大きいときに置いていかれがち ◦ 自分以外のメンバーは、1年以上モブプロしていて多くの 知識を持っていたり、技術的に強いメンバーばかり ◦ 技術力もドメイン知識も少ないと宇宙猫になる • 置いていかれると、ドライバー以外の時に参加しにくい
◦ わからないことだらけでそもそもナビゲートができない ◦ リモートだし周りがたくさん発話するので質問しにくい ◦ 正直イライラすることもありましたし、モチベーション が結構下がってました 9 若手視点
10分モブプロを 取り入れた経緯と結果 10
RSGT2025のOSTでのモブプロセッション モブプロの生みの親であるクリスさんの話のなかで、 「チームで5分交替モブを実践していて短い方が効果が高い」と話していた 11 彼のチームは5分交代。 短い方が効果が高い Samurai 全員が集中力を保てる ような工夫が必要
モブプログラミングにルールはない by Woody モブプログラミングやソフトウェアチーミングにルールはない、ということです。 ~(中略)~ 私が持っているモブプログラミングの唯一のルールは、うまく一緒に仕事 をすること、です。 12 出典: https://www.publickey1.jp/blog/24/51pc.html
そもそもドライバー・ナビゲーターはあくまでも最も有名なパターンの一つで
交替時間はなんとなく🍅25分で進めていた ロールの分け方や会話の仕方について工夫した経験はあったが、 時間についてなんとなく25分くらいしかでしかやったことがなかったので 短くすることで得られる効果を調べてみたかった 13 出典: スキル差があるペア・モブプロで効果的な、ドライバーナビゲーター以外のロールの分け方 from speakerdeck チームに適したモブプロのパターンを模索してきたが
ただし、5分ではなく10分から始める フルリモートチームかつ開発環境などを加味した交替の手間から 10分交替モブプロを始めてみることに決めた 14 お客さん 側の 開発者
3週間経過後のふりかえりで好評だった ・チームとして1週間のアウトプット量は ほとんど減らなかった ・2,3,4人で10分を試してみたがどの組み 合わせでもテンポよく進められた 15 開発者A 開発者B 開発者C
矢田が感じた 10分モブプロの効果 16 ベテラン視点
10分間でモブプロチームができること 10分モブプロを試してみると、 ・10分1セッションでチームとして出せるアウトプットは おおよそ1コミット+αくらいであることがわかった ・実装中にチームとして立ち止まってしまった時でも、 10分の情報共有や議論でその後の会話の質が上がることがわかった 17 ・次にやることの会話だけに集中するようになった ・「ちょっとわからなくなったんですけど…」が 言いやすくなった
ベテラン視点
10分が「交替時間」から「イテレーション」へ 18 モブでコードを書く or コードリーディング or 議論 ・直前の状態を 再現する ・次やることを
決める ・文字に残す※ ・ふりかえる 1-2分 1-2分 6-7分 およそ1コミットごとの交替と割り切ることで、自然と10分のセッションが 「1人のドライバー時間」から1つのアクションをこなす時間へ変化した ※その10分で試したことと結果をissueコメントに残したり、コミットメッセージに書いたりしています ベテラン視点
最初の1-2分で決めるアクションの例 ・とりあえず〇〇のケースでユニットテストを書くか〜 ・10分だけ〇〇な実装を試してみてもいいですか? ・この10分はコードリーディングと情報共有に使おう ・このあたりのコードが微妙だから10分だけリファクタリングしてみよう 19 ・事前のブレイクダウンや洗い出しはしない ・ムーンショットな10分は決めない ・現状から次のアクションの合意だけを取る ポイント
ベテラン視点
最後の1-2分で行う軽いふりかえりの例 6-7分以内でやりたいことがうまくできたとき → テスト失敗までいけた!データの準備ができた!やりたいこと明確になった! → コミットや記録を残して次にやりたいことを少し話す 時間内で終わらなかったとき(そこそこあるけど気にしない) → 一旦10分までのことを書いておく、またはWIPでコミット →
さくっと終わると思っていたけど実装/議論のアプローチ変えた方が良さそう! → ちょっと時間が足らなかったけど次は確実にできるね! 20 3分くらいで終わってしまったら、次のアクションを進めてみたり、次のセッションのためのお試しコード変更したりしています ベテラン視点
10分モブプロがもたらした効果(矢田視点) ・現状から次の小さなアクションを決めることで、つぎに やることの認識が合わせやすく集中できるようになった ・最低10分に1回は全員で同期するために立ち止まって、 向き直る癖がついて、全員が納得感を持って進められる ようになった 21 ベテラン視点
久末が感じた 10分モブプロの効果 22 若手視点
コードを書く「頻度」が増えて理解も深まる 23 休憩 ドライバー ナビゲーター モブ ドライバー ドラ ナビ モブ
モブプロタイムライン [30分モブプロ] [10分モブプロ] 休憩 ドラ ナビ モブ ドラ ナビ モブ ドラ ナビ モブ 「1時間以上」の連続でコードを書かない時間 連続でコードを書かない時間を30分まで短縮 • 交替時間が短くなることでコードを書く頻度が上がる → 手を動かして作業することで理解が進みやすくなる → こまめに計画とふりかえりができるので集中力が続きやすい 若手視点
質問やふりかえりをできる「間」が生まれる ジュニアなメンバーはわからないところがたくさんある → その中で、周りが爆速で進めてしまうと完全に置いていかれる 24 結果、集中力を保ちやすくなり、経験からの学びを得られやすくなる! 10分モブプロをすると... 交替のタイミングとか、自分がドライバーやっているタイミングは、 ナビゲーターやモブに比べて質問がしやすい →
つまり、質問できる「間」が増えてわからないことが減る! 若手視点
まとめ 25
10分交替のモブプロがコンテクストと集中を高めた ・10分毎で1アクションを決めてふりかえるサイクルを繰り返す → 現状やアイデアの同期が常に行われ、ひとつのアクションに集中して 取り組みやすくなった ・30分に1回はドライバーが回ってくる → 理解が追いつきやすくなり、理解を置いて行かれなくなるため集中力
が保ちやすい 26 若手視点 ベテラン視点
さいごに ・自分たちの4人チームでは、10分交替が適していた ・スキル差だけでなくチーム状況や人数に合わせて、交替時間を模索 してみると新しい発見があります! → 3,4人でリモートのモブだから10分交代にしよう!(モブは20-30分) → 5,6人でオンサイトのモブだから5分交代にしよう!(モブは20-25分) 27