グラフィックスチームで開発したレンダリング技術や施策の話【CAGC2024】

10以上のゲーム開発子会社を横断して活動しているSGEコア技術本部のグラフィックスチームの活動についてご紹介します。
現在開発中のスタイライズドレンダリングシステムの紹介、リリースされたゲームに組み込まれた高品質で軽量なポストエフェクト、Nova Shader、AirStickerなどのOSS開発、グラフィックスエンジニア育成のためのリアルタイムCG道場の実施など多岐にわたる活動についてお話しします。

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1. グラフィックスチームで開発した レンダリング技術や施策の話 1 グラフィックスエンジニア / SGEコア技術本部（コアテク） 清原 隆行　Kiyohara Takayuki
2. スタイライズドレンダリングの基盤 2
3. どんな基盤？ 3 • 多機能で様々なスタイライズドな表現ができる基盤 • プロジェクトごとにカスタマイズ可能 • 高品質でありつつ、現在のミドルスペックの端末にも対応
4. 【機能の一部を紹介】ベースシェーディング 4 • シェードマップカラー • ランプマップ • 計算オンリー
5. 5 • 標準的なスペキュラ • 高品質なGGXベースPBRスペキュラ 【機能の一部を紹介】スペキュラ反射
6. 6 • 標準的なリムライト • 深度を利用したリムライト 【機能の一部を紹介】リムライト
7. 7 • 標準的なリムライト 光が遮蔽されている箇所 にもリムライトがあたる 【機能の一部を紹介】リムライト
8. 8 • 深度を利用したリムライト 遮蔽されている箇所の リムライトが弱くなる 【機能の一部を紹介】リムライト
9. 開発中の機能の一部を紹介 9 • URP標準の影生成によるセルフシャドウ • 独自アルゴリズムのセルフシャドウ セルフシャドウ
10. 10 • 広域に影を落とす処理との併用の ため、セルフシャドウを綺麗に 落とすことが難しい URP標準の影生成によるセルフシャドウの欠点 品質が低い 開発中の機能の一部を紹介
11. 11 • シェーディングためにライトを回すとセルフシャドウも影響を 受けてしまう URP標準の影生成によるセルフシャドウの欠点 開発中の機能の一部を紹介
12. 12 シェーディングためにライトを回すとセルフシャドウも影響を受けてしまう シェーディングの ために斜め上から ライトを当てたい 連動して セルフシャドウが 落ちる方向も 変わってしまう 開発中の機能の一部を紹介
13. 13 独自アルゴリズムのセルフシャドウ • メインライトの影響を受けない • 同程度のシャドウマップの 解像度でも品質が高い 品質が高く、 メインライトの回転の 影響も受けていない 開発中の機能の一部を紹介
14. 軽量で高品質なポストエフェクト 14
15. Bloom 15 • URPのBloomは処理用バッファサイズが解像度に依存する ◦ ぼかしの効果は解像度によって変わってしまう
16. 16 • そこで、URPのBloomの欠点を解消し、かつ品質の高いBloomを開発 ◦ バッファのサイズを固定化し、解像度依存の問題を改善した Bloom
17. 17 • ぼかしのフィルターも改良 ◦ URP’s ▪ DualFiltering + Gaussian • Gaussianの質がいいが、テクスチャのキャッシュヒット効率が落 ちる ◦ BiRP’s ▪ DualFiltering + Tent（LowQuality設定時: Box） • キャッシュヒット効率の良い範囲でテクスチャにアクセスできる Bloom
18. Anime Post Process 18 • スクリーンスペースでのライティング ライティングに空気感を持たすことができる
19. 19 • ポイントライトを例に見てみる 光源なし Anime Post Process
20. • ポイントライトを例に見てみる 20 画面外に ポイントライトを 設置 Anime Post Process
21. 21 Anime Post Processをオン Anime Post Process • ポイントライトを例に見てみる
22. OSS開発 22
23. 23 • Universal Render Pipeline (URP)に対応した、 　　 Particle Systemのための多機能シェーダ • SGE内でも多数採用されているOSSで、積極的に更新が行われている • 直近ではUnity 2023への対応や頂点変形機能の実装などが行われた
24. 24 • 多彩な表現が可能
25. 25 • 今年追加された頂点変形機能 この機能はコアテクのグラフィックス チームで開発したものではなく、 Nova Shaderを利用していた子会社の エンジニアが実装したものです。 このように、コアテク内外で積極的に 機能拡張が行われています。
26. 26 26 • URPデカールのデメリットを補完し、非常に軽量に動作する メッシュデカール処理 • 2023年の5月にリリース • 直近ではTerrainへのメッシュデカール貼り付けに対応
27. 27 • アニメーションしているモデルへのメッシュデカール
28. 28 • Terrainへのメッシュデカール
29. 29 Terrainへのメッシュデカール • Terrainにはメッシュデータがないため、バージョン1.0.0では 未対応だった ◦ 外部の方からのGitHub Issueの要望に答える形でバージョン 1.1.0で対応 ▪ 具体的にはTerrainDataの情報（ハイトマップなど）を元 に内部的にメッシュデータを作ることで実現
30. リアルタイムCG講座 30
31. 31 リアルタイムCG講座 • 目的 ◦ リアルタイムCGの基礎知識の全体的なレベルアップ ◦ グラフィックスエンジニア育成の再現性向上 • 内容 ◦ 3時間 × 4日間の短期集中でソフトウェアレンダリングを 実装する
32. 32 研修のために準備したもの • １０万文字弱のテキスト ◦ 薄い技術本１冊分くらいのボリューム • 1９個の演習プログラム ◦ MacとWindowsの両方を準備
33. 33 外部にも公開 • リアルタイムＣＧ道場という名前で一般公開 ◦ 募集後すぐに応募定員に達し２回増員するほどの反響を頂いた
34. 34 AAA Quality Award受賞 事業部内で毎月実施されている 社内表彰（6月度）も 受賞させていただきました。
35. 35 まとめ • スタイライズドレンダリングシステムの開発 • 軽量なポストプロセスの開発 • OSSの開発 • グラフィックス研修の実施 社内だけではなく、 外部に向けても活動しており、活動内容も 基盤の開発～研修の実施など幅広く 活動しています。