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Lean言語は新世代の純粋関数型言語になれるか?
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井上亜星
June 15, 2025
Programming
1
68
Lean言語は新世代の純粋関数型言語になれるか?
関数型まつり2025で発表したスライドです。
井上亜星
June 15, 2025
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Transcript
Lean言語は 新世代の純粋関数型言語になれるか? Proxima Technology 井上亜星
Lean 言語ってなに? 2013年ごろに当時 Microsoft Research に在籍し ていた Leonardo de Moura
氏により開発が始め られた定理証明支援系。 Rocq(旧Coq) や Agda と同様に、依存型という 強力な型システムのパワーによって命題を表現 し、証明することを可能にしている。 現在、Lean 4 がアクティブに開発中。
他の定理証明支援系とどう違うの? 大きく分けて2つの特徴があります 1.依存型に基づく定理証明支援系であると同時に、 純粋関数型言語でもある (プログラミングと証明を両立するための工夫もある) 2.強力なメタプログラミングフレームワークを備えている
純粋?Haskell みたいな言語ってこと? 確かに Haskell にかなり影響を受けている (モナドや do 構文もある) しかし、Haskell にはなかったおもしろい機能がある:
・notebook なしでもフィードバックが即座に得られる ・do 構文が強力で、for ループや while ループも書ける ・フィールド記法があって、関数適用をフィールドアクセスのように書ける ・効率的に計算ができるようにする Functional but in-place という仕様がある
フィードバックが即座に得られる エディタ上で編集するごとに実行結果を確認できる 画像では Error Lens 拡張機能を使用しています
強力な do 構文 ・for ループと while ループ ・let mut で可変なローカル変数
・continue と break 詳細は ‘do’ unchained という論文を参照
フィールド記法 T が e の型であるときに、関数適用 T.f e を e.f と書くことができる
Functional but in-place 他で参照されていない値を更新するとき、自動で破壊的な更新が行われる (参照カウントに基づく)
他の定理証明支援系とどう違うの? 大きく分けて2つの特徴があります 1.定理証明支援系であると同時に、純粋関数型言語でもある (プログラミングと証明を両立するための工夫もある) 2.強力なメタプログラミングフレームワークを備えている
プログラミングと証明を両立するために 実装と論理モデルを分離することができる ・自然数 Nat は、論理モデルはペアノの公理で与えられているが、 実際の計算は別の高速な方法で行われる ・文字列 String は Char
のリストとして定義されているが、 実際の計算は別の高速な方法で行われる などなど…。 正当性の証明付きで置換することもできるし、証明なしで置換することもできる
他の定理証明支援系とどう違うの? 大きく分けて2つの特徴があります 1.定理証明支援系であると同時に、純粋関数型言語でもある (プログラミングと証明を両立するための工夫もある) 2.強力なメタプログラミングフレームワークを備えている
強力なメタプログラミングフレームワークとは? syntax コマンドと declare_syntax_cat コマンドでパーサを書き換えて新しい構文を定義す ることができるほか、macro_rules コマンドでマクロも自由に書ける
実際にプログラムを書けるのか? 実際に Lean で書かれた(広く使われている)プログラムの例として、 ドキュメント生成ツール doc-gen4 や文書作成ツール verso がある。 実際、Lean
の公式マニュアルは verso を使って書かれている。
まとめ Lean 言語というプログラミング言語があって、 • Rocq (旧 Coq) のように定理証明支援系として使える • Haskell
のように純粋関数型言語としても使える 後発言語らしい工夫もあり • 定理証明とプログラミングを両立する工夫 • 純粋関数型言語のパフォーマンス面・UI面双方の欠点を改善
自己紹介 名前:井上亜星 所属:Proxima Technology GitHub 等ネットでは 北窓(きたまど) という名前でやってます
自己紹介 n 月刊ラムダノートに記事を寄稿したほか、 Lean by Example というオンラインリファレンスを書いてます
おわりに lean-ja という Lean の日本語コミュニティ (Discordサーバ)もあります。 ご興味があればぜひ。
ご清聴ありがとうございました