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[AI-DLC v2感想]AI DLC v2の中身をみて、AI駆動開発で重要なエッセンスを抽出...
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飯田嘉一郎
June 01, 2026
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[AI-DLC v2感想]AI DLC v2の中身をみて、AI駆動開発で重要なエッセンスを抽出抽出ぅ!
飯田嘉一郎
June 01, 2026
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Transcript
EPISODE / AI-DLC v2 AIで10倍速くなるチームと 10倍遅くなるチームの差 AWS が 100 社以上で見つけた
"あるもの" ── AI-DLC Workflows 2.0 を読む 週末 1
今日の問い AI を使って開発が 10倍速くなるチーム と、 なぜか 10倍遅くなるチーム がある。 同じツール。同じプロンプト。 ──なのに、結果が真逆。
何が、その差を作っているのか? 2
今日の約束 AI 生産性を分けているのは AI の腕じゃない。 合格条件を機械可読に書けた量 と 暗黙知をプロンプトに育てた量 だ。 これを
自分の言葉で誰かに説明できる ようになって帰る。 そして明日の朝、出社して 5 分でできる行動を 1 つ 持ち帰る。 3
今日の題材 AI-DLC Workflows 2.0 Specification AWS Labs が 2026 年に
v2 ブランチで公開した 7 ページのホワイトペーパー 公式リポジトリ:awslabs/aidlc-workflows (v2 branch) ライセンス:MIT-0 2026 年 4 月時点:pre-release / breaking changes 注意 AI-DLC Workflows 2.0 Specification(AWS Labs / 2026) 4
話の地図(30分の歩き方) 1. かいち体験談 ── レビュー・修正ループに溶ける時間 2. AWS が見たデータ ── 10倍と
"10倍遅い" は同じ実証から 3. v1 の振り返り ── 1年でぶつかった 3 つの壁 4. v2 の核心 ── 3 コンパートメント・モデル 5. 意外な既視感 ── 20年前の XP と、構造がそっくり 6. 明日からの一歩 ── 5 分でできる行動 1 つ 5
体験談:成長したシステムで起きること AI コーディングエージェントにタスクを投げる ↓ 成果物を確認 → レビュー → 「ここ違う」 →
修正指示 ↓ また書く → また見る → また直す ↓ グルグル、グルグル、結局 結構な時間が経つ 新規の小機能 → 速い。 既に成長したシステム(Brownfield) → しんどい。 6
同じ指摘を、来週も、再来週も、別の PR でも 毎回出る指摘の例 「この層から DB を直接触らない」 「この命名はうちの規約じゃない」 「ここはトランザクションで包む」 「ログにユーザー名を出さない」
特徴 毎回 口頭 で渡す どこにも 明文化 されていない でも、知っている人は知っている 新しい AI セッションは、また忘れる "採点" が、人間の頭の中にある。 7
AWS が見たデータ(v1 ベース) 100 社以上の実証で観測された数字 指標 結果 生産性 10〜15 倍
開発速度 40〜60% 改善 欠陥 40〜60% 削減 ROI 300〜500% ※ 同じ実証データに、もうひとつの事実が隠れている → AWS re:Invent 2025 — DVT214 / AWS DevOps Blog 8
もうひとつの事実 ── "遅くなる" チーム 同じ AI コーディングアシスタントを入れて、 むしろ開発が 遅くなった ベテラン開発者の
RCT METR(研究機関)が行ったランダム化比較試験 "AI で速くなる" を、研究レベルで疑った報告 つまり ── AI を入れた瞬間に二極化 する AWS re:Post / METR RCT (要再検証) 9
AI-DLC v1 とは(2025年7月) SDLC 全工程に AI を組み込む方法論 ただし思想は ── 「AI
に任せる」 ではなく 「AI と一緒にプロセスを回す」 AI Powered Execution AI が詳細計画を立て、自分から質問しに 来る Human Oversight 最終決定は人間。重大判断は委ねない AI-DLC v2 Specification / 1. 背景と目的 10
v1 の 3 フェーズ フェーズ 焦点 キーワード Inception ビジネス意図 →
要件 Mob Elaboration Construction アーキ・コード・テスト Mob Construction Operations インフラ・運用 (チーム監督下) Mob とは "チーム全員でワーワー" のこと。AI が出した案を、チーム全員で検証・ 調整する協働モード。 AWS DevOps Blog — AI-DLC 11
v1 が変えた言葉 従来 Sprint 週単位の作業サイクル v1 Bolts 時間〜日単位の濃い作業 従来 Epic
大きな機能の塊 v1 Units of Work AI が一気に駆け抜けられる粒度 12
v1 で何が起きたか ── そして、立ち止まる 1 年間、100 社以上で運用 10〜15 倍の生産性、ROI 300〜500%
の事例 そして AWS は、自分の方法論に対して 3 つの反省 を、自分から公 開した。 これが、めちゃくちゃ正直で、めちゃくちゃ面白い。 13
反省①:ステージの粒度が粗すぎた v1 は Build & Test を 1 つのステージ として扱った
ところが、ほぼ 全ての顧客 がこれを分けていた: Build / Code Review / Functional Test / Security Test / ... "prescriptive stage definitions proved too opinionated" (規定的なステージ定義は、意見が強すぎた) Specification / Lessons from v1 14
反省②:AI が "自分の出力" を採点できなかった v1 のステージは 成果物 を出す。 でも、その成果物を「合格」とする 基準
は、ステージ自身が持っていなかっ た。 標準、チェックリスト、ポリシー── ぜんぶ レビュワーの頭の中か、AI が見ない文書の中にあった。 → 修正指示は 毎回、人間から来た。ルールが書かれていたとしても。 15
反省③:ツール共通化が "最大公倍数" に縮約された v1 は Markdown ルール を全ツール(Kiro / Q
Developer / Cursor / Cline / Claude Code / Copilot / Codex)に配布 共通にしたせいで 各ツール固有の強みが使えなかった: Claude Code の skill-scoped hooks Cursor Composer のマルチファイル編集 Copilot Workspace の PR ネイティブループ Kiro の spec-kit diff 表示 → ポータビリティの代償が、ツールネイティブな優位性 だった 16
v2 のスローガン Humans codify the judgement. AI orchestrates and self-verifies
— deterministically. 人間は判断を 体系化 する。 AI は采配と自己検証を 決定論的に 実行する。 17
v2 を理解するメタファー 「新人エンジニアを 自走させる ための社内マニュアル 整備」 新人さんに、仕事を回してもらうために必要なもの: 1. 依頼業務の 入力と成果物の形
を渡す 2. 「どこまでできたら合格か」の チェックリスト を渡す 3. 「ハマったら聞きに来てね」の ストップ条件 を渡す 4. 先輩が修正したら社内 Wiki に 追記 する v2 は、これと 同じことを AI 相手にやる 方法論。 18
v2 の中心構造:3 コンパートメント・モデル v2 では、すべての作業単位(Skill)が 3 つの "箱" を持つ契約として定義さ れる。
箱 名前 意味 1 What 入力・出力・中間成果物 2 How Do We Know It's Right 後置条件(合格基準) 3 What Did We Learn 実行時の学びの捕捉 Specification / Principle 4 19
Compartment 1:What(入力・出力) 「何が入って、何が出るか」 を 宣言的 に書く 例:コードレビュー Skill inputs: -
pull_request - repository_context outputs: - review_comments - approval_status 命令的な手順 (do X then Y) ではなく、"型" として書く。 中間成果物が必要なら、それも明示的に列挙する。 20
Compartment 2:OK ライン ── v2 の魂 「どうやって正しいと判るか」 後置条件(Post-Conditions)= AI が
自己採点 に使う合格基準 例: 「N+1 クエリを発生させないこと」 「DB アクセスは Data Access Layer 経由であること」 「公開エンドポイントには認証が必須であること」 「本番環境で CloudFormation スタックを消すコードパスは存在しないこと」 これがあるから、AI が "自分でチェック" できる。 21
Compartment 3:実行時の学びを捕まえる 「何を学んだか」 人間の 修正・上書き・例外受容 を、新しい後置条件の候補として自動で拾う "あなた、要件ドキュメントの特定セクションを、3 回連続で書き直してますね。 これ、ルールに追加します?" ──
と、AI が 聞いてくる。 これを Compound Engineering(複利エンジニアリング)と呼ぶ。 使うほどに、人間介入の頻度が 下がっていく。 22
体験談との接続 "これ、来週も再来週も同じ指摘してる" この時間が どこに消えていたか の正体: → Compartment 2 が、無かった。 →
ルールが 人間の頭の中 から出てきていなかった。 → だから AI は 毎回 0 から 採点を待っていた。 "採点" を、機械が読める場所に置けていなかった。 23
OK ラインの 2 種類 ① LLM 判定型 自然言語で書く合格基準 用途: ニュアンス系
コードレビュー品質 可読性 設計の妥当性 ② 決定論的 Executable スクリプト / linter / static analysis 用途: 白黒つけたい セキュリティ no-go zone 命名規約 本番削除禁止ルール Specification / 3. Structure 24
AWS は "自分の AI" を疑っている 同じ LLM が候補を生成し、そのあと自然言語で書かれた後置条件に対して評価 すると、 文字面は満たすが意図は満たさない出力に収束するリスクがある
同じ脳みそが、自分のテストを、自分で採点する。 → 答案用紙の自己採点。 だから ── LLM 判定型 "だけ" の Skill は、自分の判定では止まらない。必ず人間が見 る、という設計。 Specification / Skill Definitions 25
自律化の境界線 AI が自走できるのは、 「AI が改変できないチェッカーで 合格を判定できた範囲」 だけ。 これが、v2 が引いた境界線。 Executable
で OK ラインが書ける範囲 → AI が自走 LLM 判定しかできない範囲 → 人間が最終確認 OK ラインが書けていない範囲 → 全部、人間に来る(v1 の今) 26
仕掛け①:Halting Condition(停止条件) すべての自己修正ループに 最大反復数 または トークン上限 を 義務とし て 書く
「2 時間ハマったら、先輩に聞きに来てね」を、仕様で全 Skill に強制。 AI が halting condition 内で収束できない → 無限ループに入る前に、必ず人間にエスカレート "ループするAIを設計で禁ずる" ── 多くの AI フレームワークが "がんばらせる" 方向 に寄る中で、これは珍しい。 27
仕掛け②:Compound Engineering(再掲) 人間の介入そのものが ルール集を太らせる 例: 同じ修正を 3 回 → AI
が「ルール候補」として提案 同じ設計上書きを繰り返す → ガードレール候補として提案 人間が承認 → アクティブルールに昇格 使うほどに、Compartment 2 が 自動で水分補給 されていく。 28
仕掛け③:4 つのプリミティブ ① Skill ライブラリ 3 コンパートメント契約を持つ作業単位 ② Persona-Agents Skill
を束ねた専門家ロール (アーキ・開発者・セキュリティ等) ③ Orchestrator ツール非依存。 Skill を adaptive に並べる ④ Package Manager 各ツール固有の構造に翻訳 (Kiro / Claude Code / etc) Orchestrator は rigid なパイプラインではない。プランは可変、実行中に適応する。 Specification / 5. Orchestrator 29
9 つの原則 ── 一覧(参考) # 原則 一言で 1 人間の判断は機械に蒸留できる 採点を機械化する
2 意図は曖昧から始まる(でOK) AI は質問する 3 AI は自己修正する解探索器 Halting Condition 必須 4 三コンパートメント・モデル What / OK / 学び 5 全ステージが三コンパートメントに収まる 設計にも、運用にも 6 ステージ分解 > 単一ショット圧縮 1 プロンプトでは無理 7 自律化は安全な漸進で ビッグバンではない 8 拡張性は最初から 追加・置換・新規 9 実践からの学び Compound Engineering Specification / 2. Principles 30
ブレーキ:批判的視点 v2 はまだ Pre-release 動作するのは Kiro IDE / Kiro CLI
のみ "breaking changes 注意" と公式に明記 Q Developer / Cursor / Claude Code は将来計画 外部評価者からの指摘: 学習機構の実装は不透明 理論的基礎が薄く、cookbook 寄り 実証検証はこれから(10〜15 倍は v1 ベース) それでも "採点を機械に渡す" という設計思想 は、AI コーディングの本質を突いてい る。 Peter Tilsen / Data Science Collective 31
ここで、意外な既視感 このホワイトペーパーを読んでて、ずっと既視感があった。 Kent Beck が 20 年前に提唱した エクストリーム・プログラミング (XP) 3
つの価値:シンプルさ / コミュニケーション / フィードバック 「これ、v2 と 同じこと、言ってない?」 Kent Beck『Extreme Programming Explained』(2000, 2nd ed. 2004) 32
v2 と XP の構造的相似 XP のプラクティス v2 のメカニズム 自動テスト 守れた範囲だけ、変化を恐れずに済む
Compartment 2 (Executable) 機械可読な合格条件で AI が自走する ペアプロ 暗黙知をチーム内で共有・浸透 Compound Engineering 人間の修正をプロンプトに昇格させる YAGNI / シンプルさ いま必要なものだけ書く Adaptive Workflow rigid なパイプラインを否定 小さく・速く・継続的に Halting Condition ハマる前に止めて、人間に渡す XP は人間チーム内の分担、v2 は人間と AI の分担。 登場人物は違うが、構造は同じ。 33
AHA Moment AI 生産性を分けていたのは、AI の腕じゃなかった。 合格条件を 機械可読 に書けた量 + 暗黙知を
プロンプト に育てた量 この合計が、AI の自走範囲 を決める。 34
言い換え v2 が言ってるのは、要するに フローを設計するな。 "合格" と "暗黙知" を 設計しろ。 v1
はフローを示した。v2 は "規格" を提供している。 35
明日からの一歩 ① 5 分で終わる課題 1. 直近 1 週間で書いた PR レビューコメント
を 3 つ読み返す 2. その中で "3 回以上、似た指摘をしている" ものを 1 つ選ぶ 3. リポジトリ直下の CLAUDE.md / .cursor/rules / AGENTS.md に 1 行 書き下す それが、あなたの組織にとっての 最初の Compartment 2 ルール。 36
明日からの一歩 ② 1 ヶ月、続けたい習慣 人間が AI 出力を 直した差分 を、メモに残しておく 3
個、5 個、10 個と溜まっていく 同じ修正が複数回出てきたら、Compartment 2 に昇格 あなたの組織が、初めて OK ラインを機械に渡し始める 瞬間 これが Compound Engineering の入り口。 37
自律化はビッグバンではなく、安全な漸進で 原則 7 ── Autonomous Development in Safe Increments "AI
が全部やってくれる世界" も来ないし、 "人間が全部見てる世界" も持続しない。 私たちが言葉にできた範囲だけ、 AI と分担できる。 38
クロージング AI を速くするのは、AI の腕じゃなく、 私たちが言葉にできた範囲 と プロンプトに育てた範囲 です。 ホワイトペーパー、和訳しました。 エピソードの概要欄に置いておきます。
ここまで聴いてくださって、ありがとうございました。 「ひまじんプログラマーの週末エンジニアリングレッスン」 、また次回。 39