Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Sign up for free
Menu
Search
Features
All features
Private URLs
Password Protection
Custom URLS
Scheduled publishing
Remove Branding
Restrict embedding
Deck Collections
Notes
Features
All features
Private URLs
Password Protection
Custom URLS
Scheduled publishing
Remove Branding
Restrict embedding
Deck Collections
Notes
Explore
Featured decks
Featured speakers
Programming
Technology
Storyboards
Explore
Featured decks
Featured speakers
Programming
Technology
Storyboards
Pricing
Search
Sign in
Sign up for free
そのTry、なぜ続かない? 行動ではなく「制約」を設計するレトロスペクティブ
Search
shimokawa keisuke
September 05, 2026
17
0
Share
Embed
Copy iframe code
Copy JS code
Copy link
Start on current slide
そのTry、なぜ続かない? 行動ではなく「制約」を設計するレトロスペクティブ
XP祭り2026の登壇資料です。
https://fortee.jp/xpfest-2026/proposal/a7de6257-a682-4960-817d-0ac88a0eef35
shimokawa keisuke
September 05, 2026
More Decks by shimokawa keisuke
See All by shimokawa keisuke
0から始めるMetric Learning
keisukeshimokawa
0
1.3k
Kaggle Drivenな顧客予測への挑戦
keisukeshimokawa
0
86
Featured
See All Featured
A better future with KSS
kneath
240
18k
For a Future-Friendly Web
brad_frost
183
10k
The Illustrated Children's Guide to Kubernetes
chrisshort
51
53k
Mind Mapping
helmedeiros
1
360
Discover your Explorer Soul
emna__ayadi
2
1.3k
実際に使うSQLの書き方 徹底解説 / pgcon21j-tutorial
soudai
PRO
203
76k
Building the Perfect Custom Keyboard
takai
2
870
Why Our Code Smells
bkeepers
PRO
340
58k
svc-hook: hooking system calls on ARM64 by binary rewriting
retrage
2
580
Practical Orchestrator
shlominoach
192
12k
HTML-Aware ERB: The Path to Reactive Rendering @ RubyCon 2026, Rimini, Italy
marcoroth
5
660
Unsuck your backbone
ammeep
672
58k
Transcript
1 XP祭り 2026 そのTry、なぜ続かない? 行動ではなく「制約」を設計するレトロスペクティブ 日鉄ソリューションズ株式会社 下川 啓介 © 2026
NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
2 自己紹介 下川 啓介 所属 日鉄ソリューションズ株式会社 システム研究開発センター サービスデザイン部 ALAB 最近はスマートグラスの
Even G2 のアプリ開発にハマっています © 2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
3 こんな状況に心当たりはありませんか ふりかえりでTryを決め、次のスプリントで実践する 実行した後は「Tryを実践したかどうか」で話が終わってしまう 次のふりかえりがきて、新しいTryが積まれていく そして少し経つと、同じ課題が形を変えてまた出てくる © 2026 NS Solutions
Corporation All Rights Reserved.
4 Tryは、仮説検証のアクション Tryは、ふりかえりで共有した課題を改善するための仮説検証のアクション 実践してみると当初の想定とは違うものが見えてくる 実践してみると別の課題が現れる 当初の課題とは別の根本原因が見つかる Tryを実践してみたけど何かしっくりこない © 2026 NS
Solutions Corporation All Rights Reserved.
5 続けたいのは、Tryだけではなく日常的な改善 続けていきたいこと ふりかえりで出たTryを実践するだけではなく、 特定の目的達成の壁となる課題を解決する改善アクションを考え、実行 し続けること ふりかえりだけではなく、日常にどう落とし込んでいけるのか事例を紹介 リファインメントの改善 スプリントゴールに関わるPBIへの取り組み改善 ©
2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
6 リファインメントの改善 © 2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
7 そもそもリファインメントとは何か プロダクトバックログに取り組めるようにきれいにしていく活動 プロダクトバックログ 「創発的かつ順番に並べられた、プロダクトの改善に必要なものの一覧」 出典:Ken Schwaber, Jeff Sutherland『スクラムガイド』2020年11月版, p.13(日本語訳:角征典・荒本実・和田圭介)CC
BY-SA 4.0 https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf リファインメントでは、なぜそれが必要なのか、タスクのサイズが適切なの か、優先順位が適切なのか、などを共通認識を作っていく場 © 2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
8 スクラムの時間制約を、リファインメントにも適用 スクラムイベントには、全てタイムボックスが設定されている デイリースクラムは15分 プランニングはスプリントの期間に応じて、最大で8時間 など タイムボックスは遵守するためだけのものではない そのイベントの改善を回すためのアンカー タイムボックスを起点に何に焦点を当てるべきか会話が促される リファインメントにも同じ考え方で時間制約を置いた
© 2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
9 毎日のリファインメントと、大きなPBIの問題 デイリースクラムの後に全体30分、1PBIあたり15分で実施していた しかし、大きなPBIで認識合わせに時間がかかる傾向があった 15分の制約を守った上で、どう解決していけばいいのかを考えていった © 2026 NS Solutions Corporation
All Rights Reserved.
10 15分を超えないために、何を変えるか リファインメントとは何か、に焦点を当て直した 何が共通認識になれば着手できるか、を揃え直した Howは着手する人の余白として、深掘り対象から外した 目的に応じて会話する内容も調整した 最初の頃は、そのPBIで何を実施するのかを話す割合が多かった 今はまず目的と、その目的を達成したことをどう検証するかを話す比重 が増えた ©
2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
11 制約と目的があると、改善はふりかえりを待たなくなった 制約と目的があることで、日常の改善が駆動されていった PBIのテンプレートを活用して、会話内容を構造化する 話す順序や進め方を変えてみる 改善の工夫が、リファインメント以外の場にも波及し出した 時間制約を満たすために、PBIを起票する段階でWhyを明確に記載する 前提条件や参考資料なども起票段階で記載する その場での同期的なふりかえりや、timesやふりかえり用のボードを活用し た非同期なコミュニケーションも活発になっていった
© 2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
12 スプリントゴールに関わるPBIへの取り組み改善 © 2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
13 そもそもスプリントゴールとは何か 「スプリントゴールはスプリントの唯⼀の⽬的」 「⼀貫性と集中を⽣み出し、スクラムチームに⼀致団結した作業を促す」 出典:Ken Schwaber, Jeff Sutherland『スクラムガイド』2020年11月版, p.12(日本語訳:角征典・荒本実・和田圭介)CC BY-SA
4.0 https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf 意図的にどのように実現するのかは記載されていない プランニングで話した内容に固執せず、 自分たちで試行錯誤しながらゴールの達成に向けて動いていく © 2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
14 スプリントゴールを達成できない スプリントゴールに関わるPBIは、最短で終わらせたい 日常的にはそのための活動を実践していた 担当しているメンバーに積極的に声をかける 水曜日の時点で完了していなければヘルプをアサインする それでもゴールが未達に終わるスプリントがあった © 2026 NS
Solutions Corporation All Rights Reserved.
15 制約:スプリントゴールのPBIには最初から3人アサイン スプリントゴールの達成という目的は明確に定まっていた しかしながら実践のための制約が曖昧な状態だった 楽観的に見積もりがちで、デイリーでも問題ないと言ってしまう 「間に合う」「ヘルプを出す」の基準が人によって違う そこで判断を待たないための人数制約を導入した モブを前提に最初から3人をアサインし、複数の角度から進め方を検査 ペアで十分と分かれば1人外す。3人は上限ではなく初期値 ©
2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
16 制約の外側にも、改善が広がっていった 人数制約の影響で、スプリントゴールの達成タイミングが早まった ゴールの達成を早めるための進め方も改善していった モブ内同期レビュー + 生成AIによるレビューが終わればマージ可能 このルールは、3人を置いていないPBIにも広がった ADRなどの意思決定に関わるものは作業を止めて最優先でレビュー 制約に従ったまま、目的達成のためのフロー効率向上の工夫に取り組んだ
© 2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
17 ただし副作用も発生する 人数制約でフロー効率を高めると副作用も生じる ゴールに関わるPBIで行われた意思決定が、外に伝わりづらい 実装の細かいコンテキストも他のメンバーに伝播しづらい 制約による影響も観測し、制約そのものも検査と適応の対象にしなければ ならない 今はコンテキスト共有に対しての取り組みを実践中 © 2026
NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
18 2つの事例に共通すること、違うこと 共通すること 行動を決めずに、満たしてほしい条件だけを置いた 条件を満たすための工夫が生まれ、制約を置いた場の外側にも広がった 違うこと 事例①:曖昧だったリファインメントの目的を揃えることを促した 事例②:目的達成のための判断を人に委ねる構造の改善を促した 制約は、目的を問う道具にも、進め方を変える道具にもなる ©
2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
19 行動を決めるTryと、条件だけを決めるTry 今回のTryを整理すると、誘導的なTryと探索的なTryがあるのではないか 誘導的なTry:行動を決めるTry ふりかえりでTryを決め、次のスプリントで実践する、いつものTry 書いたことは確実に起きるが、返ってくるのは「実践したかどうか」 探索的なTry:条件だけをきめるTry 「1PBIあたり15分」「最初から3人」 返ってくるのは「条件を満たせたかどうか」 チームの成熟度やぶつかっている壁の応じて使い分ける
© 2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
20 制約を置いただけでは、回らない 制約が返すのは判断のための材料だけなので、調理するのはチーム 私たちのチームも材料を得てから会話するための場をいくつか設けている 自由帳:メンバーの想いやモヤモヤしたことも書ける自由欄 times:実践したことや観測したことから考察を深めるための場所 同期的な会話:その場で感じたことを言語化するための対話 自分たちでアクションを改善するための材料や感想を提供し、そこから日常 での改善の工夫が生まれ、改善できた実感をベースにコミュニケーションの 場をさらに活用する、というループが回る
© 2026 NS Solutions Corporation All Rights Reserved.
21 さいごに 続けていきたいのは、Tryの消化ではなく改善のループ 行動を決めてしまう代わりに、満たすべき条件を決め、日常で工夫する 制約だけでは良い工夫に繋がらない 良い工夫を探索するための日常的な議論の場が土台となる 本文中の会社名および製品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。 © 2026 NS
Solutions Corporation All Rights Reserved.