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JAEP2019 Discussion: Evidence synthesis

Ken
September 15, 2019
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JAEP2019 Discussion: Evidence synthesis

Ken

September 15, 2019
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  1. 要旨  知見の統合の意義は大きい。環境も整ってきた。  実証研究の蓄積,統計分析法の発展  ただし参加者数・研究数の多さは,必ずしも「より確 かな知見」を意味しない  因果効果を評価できる研究デザイン・分析法が肝要

     実験(ランダム化比較試験)  統計的因果推論  異質性の検討  感度分析  オープンサイエンスは知見の統合にも貢献する  個票データを統合すれば,異質性の検討や共変量 調整,メカニズムに踏み込んだ検討が可能に  事前登録は出版バイアスの問題を解消 2 https://tinyurl.com/20190915okada
  2. 3 独立変数 x 例:受講 従属変数 y 例:就労 共変量 z 例:性格

    独立変数 x 例:受講 従属変数 y 例:就労 共変量 z 例:性格 ランダム割り当てにより 要因から除外できる 独立変数へ介入することの 効果は(基本)わからない 効果量は因果効果の大きさ を意味しない 実験 (ランダム化 比較試験RCT) 調査・観察 独立変数の因果効果を 調べることができる
  3. RCTのメタ分析  実験≈ランダム化比較試験(RCT)のメタ分析は, 最高位のエビデンスと位置づけられる  同様の位置づけはGRADEなどでも(国里, 2017)  因果効果は対象集団に依存する概念であり,集団平均 であること,異質性の検討は依然重要なことに注意

    4 Schonhofer et al. (2008). Clinical practice guideline: Non-invasive mechanical ventilation as treatment of acute respiratory failure. Deutsches Ärzteblatt International, 105, 424-433. 国里愛彦 (2017). 介入効果のメタ分析. 日本心理学会第79回大会 シンポジウム 現場に役立つ心理学(5)
  4. 5 独立変数 x 例:受講 従属変数 y 例:就労 共変量 z 例:性格

    調査・観察  実験が困難なリサーチ クエスチョンもある  因果効果を推論するた めには統計的因果推論 の枠組みを利用できる  共変量モデリング マッチング,層 別・階層モデル 傾向スコア解析  異質性の検討や,感度 分析(仮定やモデルを 変えたときにどの程度 果が変わるのかの検 討)が一層重要 星野崇宏・岡田謙介 (2006). 傾向スコアを用いた共変量調整による因果効果の推定と臨床医学・疫学・薬学・公衆衛生分 野での応用について. 保健医療科学, 55, 230-243.
  5. オープンサイエンスの普及 8 例:本研究室の OSFプロジェクト 三浦麻子(2018). 心理学におけるオープンサイエンス 心理学評論, 61, 3-12. 三浦麻子(2019).

    あなたもできるオープンサイエンス 日本心理学会第83回大会 心研小委員会企画シンポジウム 星野崇宏・岡田謙介 (2019). いかに研究結果を有意に見せるか? 教育心理学年報, 58, 291-296
  6. 研究の事前登録(pre-registration)  仮説  方法  デザイン(独立変数・従属変数・共変量)  サンプル・除外基準 

    分析計画  用いる変数  統計分析法  OSFでは本日朝現 在29万5千件の 事前登録が記録 されている 11 OSF Registries van't Veer & Giner-Sorolla (2016). Pre-registration in social psychology—A discussion andsuggested template. Journal of Experimental Social Psychology, 67, 2-12. 加藤司 (2018) 『パーソナリティ研究』の新たな挑戦―追試研究と事前登録研究の掲載について パーソナリティ研究, 27, 99-124. 事前登録された知見の統合は, より高いエビデンスと言えるだろう
  7. まとめ  知見の統合の意義は大きい。環境も整ってきた。  実証研究の蓄積,統計分析法の発展  ただし参加者数・研究数の多さは,必ずしも「より確 かな知見」を意味しない  因果効果を評価できる研究デザイン・分析法が肝要

     実験(ランダム化比較試験)  統計的因果推論  異質性の検討  感度分析  オープンサイエンスは知見の統合にも貢献する  個票データを統合すれば,異質性の検討や共変量 調整,メカニズムに踏み込んだ検討が可能に  事前登録は出版バイアスの問題を解消 12 https://tinyurl.com/20190915okada