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ハウスミュージックの楽曲構成を決める要因とその法則性の分析
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Kitahara Lab.
February 14, 2024
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ハウスミュージックの楽曲構成を決める要因とその法則性の分析
2023年度卒業研究発表 ウルフ ジャスティン智也
Kitahara Lab.
February 14, 2024
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Transcript
北原研究室 B4 ウルフ ジャスティン智也 ハウスミュージックの楽曲構成を決 める要因とその法則性の分析
ハウスミュージックとは • 1980 年代にアメリカ・シカゴ発の音楽ジャンル • ディスコから派生したと言われている • BPMは120~130 • 4
つ打ち(キックドラムが鳴り続ける) • 反復するメロディー ハウスミュージックの例: はじめに > ハウスミュージックとは theBasement より引用 ↓ ハウス発祥の地と言われているシカゴのクラブ「ウェア・ハウス」の当時の様子
背景・目的 背景 ハウスミュージックの楽曲構成は分かりづらい • J-POPは楽曲構成が分かりやすい ◦ 楽曲進行: イントロ → Aメロ
→ Bメロ → サビ → アウトロ ◦ 楽曲展開: メロディーやコード進行の変化によって楽曲を展開 • ハウスは楽曲構成が分かりづらい ◦ 楽曲進行: イントロ → ??? → アウトロ ◦ 楽曲展開: ??? 目的 ハウスの楽曲構成はどのように成り立っているのか探求する はじめに > 背景
関連研究 • 楽曲構成の可視化・分析手法 ◦ SSM(Self-Similarity Matrix)を用いた2D可視化 ◦ SDM(Self-Distance Matrix)と音楽的知識ラベルによるセグメントのラベル付け ◦
Transformerモデルを用いた楽曲分析システム ◦ HMMを用いた楽曲セグメンテーション ◦ T-Measureを用いた階層的楽曲セグメンテーション ◦ CNNを用いた楽曲のセグメント境界検出 ◦ スペクトルクラスタリングによる楽曲構成分析 ◦ 音楽的に異なるセグメント間の関係を視覚的に把握する Scape Plot ◦ ディープラーニングを用いた階層的楽曲セグメンテーション ◦ MIDIを用いたクラシック楽曲の構造を可視化するシステム → ハウスミュージックに特化した可視化・分析手法は存在しない はじめに > 関連研究
予備実験 はじめに > 予備実験 → ハウスミュージックの楽曲構成との関連性を調査すべき要素として 周波数,音圧,ドラム音(※今回は省略) の3つが見つかった 実験目的
ハウスミュージックと関連性のある要素を調査する
セクションの定義 ハウスの楽曲構成として以下の4つのセクションを定義する • イントロ:曲の序盤 • ドロップ:曲の最も盛り上がる部分 →「サビ」に該当 • ブレイク:曲の休息部分 →「Aメロ・Bメロ」に該当 •
アウトロ:曲の終結 実験内容 > セクションの定義
データセット 著名なハウスミュージックレーベルからリリースされたコンピレーションアルバム(様々な アーティストによる楽曲集)7つから合計195曲を使用 実験内容 > データセット
周波数に関する実験:内容 実験概要 各セクションの周波数特徴量の平均値を可視化する 実験手順 1. Demucsを用いて楽曲を4パート(ドラム,ベース,ボーカル,その他)に音源分離 2. All-In-Oneを用いて楽曲のセクション情報を取得 3. 各楽曲に対してセクションごとの周波数特徴量(Spectral
Centroid)の平均値を計算 4. 全楽曲のデータを基に箱ひげ図で可視化 実験内容 > 周波数に関する実験 > 手法
周波数に関する実験:結果 実験内容 > 周波数に関する実験 > 結果 各セクションの周波数特徴量 (Spectral Centroid)の平均値を箱ひげ図として可視化 結果
• 各セクションごとに周波数に大きな違い は無い
周波数に関する実験:結果 実験内容 > 周波数に関する実験 > 結果 デモ動画
音圧に関する実験:内容 実験概要 各セクションの音圧の平均値を可視化する 実験手順 1. Demucsを用いて楽曲を4パート(ドラム,ベース,ボーカル,その他)に音源分離 2. All-In-Oneを用いて楽曲のセクション情報を取得 3. 各楽曲に対してセクションごとの音圧(RMS)の平均値を計算
4. 全楽曲のデータを基に箱ひげ図で可視化 実験内容 > 音圧に関する実験 > 手法
音圧に関する実験:結果 実験内容 > 音圧に関する実験 > 結果 各セクションの音圧(RMS)の平均値を箱ひげ図として可視化 • 各セクションごとに音圧に違いがある ドロップ>ブレイク>イントロ>アウトロの順に
音圧が高い 結果
総合考察 • 周波数 → セクションの変化と相関がない • 音圧 → セクションの変化と相関がある セクションと相関のない要素:楽曲内の統一感を演出
セクションと相関のある要素:楽曲内の展開を演出 実験内容 > 総合考察
結論 ハウスミュージックでは,セクションによって変化する要素とセクションに問わず変化しな い要素が存在することから, 楽曲の統一感を演出しつつ,展開の起承転結を演出している と考えられる. まとめ > 結論
今後の展望 • 他の要素について調査 • セクション情報や各種アルゴリズムの精度向上 • 異なる音楽ジャンル(テクノ,ディスコ,J-POP など)との比較分析 まとめ >
今後の展望
ありがとうございました
All-In-Oneについて 音源を入力すると,その楽曲に関する様々な情報を提供するライブラリ (テンポ情報,セクション情報,ビートタイム情報など) GitHub:https://github.com/mir-aidj/all-in-one ↓ All-In-Oneで得られるセクション情報の例 補足 > All-In-Oneについて
Demucsについて Demucsは高精度で各パート(ドラム,ベース,ボーカル,ピアノ,ギター,その他)への音源分離を 実現するライブラリ ↓音源分離の例 補足 > Demucsについて
Spectral Centroidについて Spectral Centroidは,その周波数を分岐点に,上下でエネルギーが釣り合う点を表す. Spectral Centroidが低いほど周波数が低く,高いほど周波数も高い傾向にあることを 示す. 補足 > Spectral
Centroidについて 同一楽曲におけるスペクトログラム(上)とSpectral Centroid(下)の比較
RMSについて RMSは,Root Means Square(二乗平均平方根)の略称であり,音の持続的な強さを表 す.例えば,ドラム音のような瞬間的な値は持続性が無いので,RMSは低くなりやす い. 補足 > RMSについて