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スタートアップにおけるプロダクト志向なエンジニア組織作り (前編)

madox
August 24, 2024

スタートアップにおけるプロダクト志向なエンジニア組織作り (前編)

madox

August 24, 2024
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  1. © GO Inc. 2 プロフィール写真 自己紹介 GO株式会社 バックオフィス基盤1グループ グループマネージャー 菅原

    円 (すがはら まどか) 2023年2月 入社以来、主に決済基盤の開発に従事 2024年4月 決済基盤・ポイント基盤のEMに就任 @madoxten
  2. © GO Inc. 6 ※   は当社の登録商標です。 6 タクシーアプリ『GO』の事業成長 2022年9月 1000万ダウンロード突破!

    2000万ダウンロード突破! 全国45都道府県に拡大 2021年11月 法人向けタクシー配車管理 『GO BUSINESS』リリース 2021年10月 500万ダウンロード突破! 2022年8月 全国33都道府県に拡大 2020年4月 Mobility Technologies誕生! 2023年4月 「GO株式会社」に商号変更 コロナ禍で一時的に影響を受けたものの、過去最高を更新 『GO』四半期別タクシー実車数 『GO』累積ダウンロード数 2020年9月 タクシーアプリ『 GO』 全国11エリアでスタート ※1 Sensor Tower by data.ai調べ - タクシー配車関連アプリにおける、日本国内ダウンロード数(App Store/Google Play合算値) - 調査期間:2020年10月1日~2024年6月30日 ※2 アプリ注文、乗り込み決済、無線配車連携などGOを利用した乗車回数合算値 2024年8月 2300万ダウンロード突破 ※1 2024年7月 実車数 月間1000万回達成 ※2 全国45都道府県で展開
  3. © GO Inc. 9 タクシーアプリ『GO』の開発 タクシー会社向け 管理画面 乗務員向けアプリ 後部座席アプリ 乗務員向け

    ポータル画面 乗客向けアプリ 決済系サーバ群 支払請求系サーバ群 社内向け 管理画面 ジオ・AI系サーバ群 配車系サーバ群 法人向け 分析系 ※ 参考: 「タクシーアプリ『GO』におけるプラットフォームエンジニアリングの実践」水戸 祐介     https://speakerdeck.com/mot_techtalk/takusiapuri-go-niokerupuratutohuomuenziniaringunoshi-jian
  4. © GO Inc. 10 タクシーアプリ『GO』の開発 タクシー会社向け 管理画面 乗務員向けアプリ 後部座席アプリ 乗務員向け

    ポータル画面 乗客向けアプリ 決済系サーバ群 支払請求系サーバ群 社内向け 管理画面 ジオ・AI系サーバ群 配車系サーバ群 法人向け 分析系 • 10以上の開発チーム • 100人以上の開発者 • 100以上のマイクロサービス ※ 参考: 「タクシーアプリ『GO』におけるプラットフォームエンジニアリングの実践」水戸 祐介     https://speakerdeck.com/mot_techtalk/takusiapuri-go-niokerupuratutohuomuenziniaringunoshi-jian
  5. © GO Inc. 11 タクシーアプリ『GO』の開発 平均すると毎週 20のサービスが合計45回 本番環境にデプロイ ※ 参考:

    「タクシーアプリ『GO』におけるプラットフォームエンジニアリングの実践」水戸 祐介     https://speakerdeck.com/mot_techtalk/takusiapuri-go-niokerupuratutohuomuenziniaringunoshi-jian
  6. © GO Inc. 18 開発を牽引したエンジニアの特徴 今日掘り下るところ ✔ ✔ 仮説思考:高解像度のドメイン知識で、課題と対策の仮説を立案 オーナーシップ:「ユーザーの現場」の体験で培った当事者意識

    リーダーシップ:越境しステークホルダーを巻き込む推進力 要求定義力:技術面の実現性を踏まえ、要求定義の意思決定に関与 設計力:組織とシステムを俯瞰し、変化を見越して設計
  7. © GO Inc. 19 開発を牽引したエンジニアの特徴 今日掘り下るところ ✔ ✔ ✔ 仮説思考:高解像度のドメイン知識で、課題と対策の仮説を立案

    オーナーシップ:「ユーザーの現場」の体験で培った当事者意識 リーダーシップ:越境しステークホルダーを巻き込む推進力 要求定義力:技術面の実現性を踏まえ、要求定義の意思決定に関与 設計力:組織とシステムを俯瞰し、変化を見越して設計
  8. © GO Inc. 21 仮説とは何か 今持っている情報から導き出した 仮の答え ※ 参考: 「仮説思考入門

    スタートアップの仮説思考 (1)」 馬田隆明 https://speakerdeck.com/tumada/jia-shuo-si-kao-ru-men-sutatoatupufalsejia-shuo-si-kao-1
  9. © GO Inc. 22 仮説とは何か 事実 ✖ 推論 = 仮説

    ※ 参考: 「仮説思考入門 スタートアップの仮説思考 (1)」 馬田隆明 https://speakerdeck.com/tumada/jia-shuo-si-kao-ru-men-sutatoatupufalsejia-shuo-si-kao-1
  10. © GO Inc. 23 仮説とは何か 事実 ✖ 推論 = 仮説

    雲   雨 傘 傘が必要になる (はず) ゲリラ豪雨に なりそう 急に曇ってきた ※ 参考: 「仮説思考入門 スタートアップの仮説思考 (1)」 馬田隆明 https://speakerdeck.com/tumada/jia-shuo-si-kao-ru-men-sutatoatupufalsejia-shuo-si-kao-1
  11. © GO Inc. 24 仮説思考の利点 仮説を立てて 当たりをつけて進むので ※ 参考: 「仮説思考入門

    スタートアップの仮説思考 (1)」 馬田隆明 https://speakerdeck.com/tumada/jia-shuo-si-kao-ru-men-sutatoatupufalsejia-shuo-si-kao-1
  12. © GO Inc. 25 仮説思考の利点 スピード  闇雲に調べるより素早く  意思決定や行動に移せる 全体像との整合性  全体のストーリーラインと

     整合性を取りながら進められる ※ 参考: 「仮説思考入門 スタートアップの仮説思考 (1)」 馬田隆明 https://speakerdeck.com/tumada/jia-shuo-si-kao-ru-men-sutatoatupufalsejia-shuo-si-kao-1
  13. © GO Inc. 27 仮説思考の問い 製品は課題を 解決できる? 機能は課題を 解決できる? 優先すべきは

    どの機能? どんな 体験が最適? 期日内に 実現できる? コスト内で 実現できる? 競争優位性を どう作る? 人材を 確保できる? 顧客にとって どれくらい 緊急 / 重要 / 価値がある? 製品 実現性 戦略 顧客 市場
  14. © GO Inc. 仮説① 28 仮説が「間違っている可能性」は 常に存在する 仮説思考の特徴 仮説② 仮説③

    仮説④ ※ 参考: 「仮説思考入門 スタートアップの仮説思考 (1)」 馬田隆明 https://speakerdeck.com/tumada/jia-shuo-si-kao-ru-men-sutatoatupufalsejia-shuo-si-kao-1
  15. © GO Inc. 仮説① 29 仮説思考の特徴 仮説② 仮説③ 仮説④ もろい部分

    ※ 参考: 「仮説思考入門 スタートアップの仮説思考 (1)」 馬田隆明 https://speakerdeck.com/tumada/jia-shuo-si-kao-ru-men-sutatoatupufalsejia-shuo-si-kao-1 仮説は「ジェンガ」のような積み重ね 土台の「確からしさ」が低いと崩れやすい
  16. © GO Inc. 仮説① 仮説② 仮説③ 仮説④ 30 仮説思考の特徴 崩れるタイミングが遅くなるほど

    ヒト・カネ・時間の無駄が大きくなる 仮説⑤ 仮説⑥ 仮説⑦ ※ 参考: 「仮説思考入門 スタートアップの仮説思考 (1)」 馬田隆明 https://speakerdeck.com/tumada/jia-shuo-si-kao-ru-men-sutatoatupufalsejia-shuo-si-kao-1
  17. © GO Inc. 仮説⑥ 仮説⑤ 仮説① 31 間違いに気づいたら早めに軌道修正 必要であれば自ら崩そう! 仮説思考の特徴

    仮説④ 仮 説 ② 仮 説 ③ ※ 参考: 「仮説思考入門 スタートアップの仮説思考 (1)」 馬田隆明 https://speakerdeck.com/tumada/jia-shuo-si-kao-ru-men-sutatoatupufalsejia-shuo-si-kao-1
  18. © GO Inc. 34 仮説思考の土台作り 「ドメイン知識学習会」 • スキルマップ (星取表) でチームの弱点を特定

    • 初心者が調べて発表、有識者が補足 • 簡潔なマインドマップや図表 (体裁より内容重視) • 動画や資料を蓄積し共有 事業領域に関わる知識を学びあう場
  19. © GO Inc. 35 仮説思考の土台作り スキルマップ (星取表) でチームの弱点を特定 スキルマップとは •

    1人1人のスキルを見える化するテクニック 効果: スキルの見える化 • 誰が何を知っているか、何をできるか 効果: リスクの見える化 • 属人化した単一障害点のあぶり出し 「◯◯さんしか知らない、できない」 注意: 人事評価にからめないこと • 過大報告につながり 効果が薄れる可能性も ※ 参考: 「スキルマップ作成のすすめ」 吉羽 龍太郎 https://www.ryuzee.com/contents/blog/7065
  20. © GO Inc. 38 仮説思考の土台作り 初心者が調べて発表、有識者が補足 学習中なので 誤りや補足があれば コメントください こういう経緯

    だったらしいよ このケースは どうなるんだっけ? 先入観のない フラットな 気づき みんなが学習やすくなるパターン 活発な発言で情報が集まりブラッシュアップ
  21. © GO Inc. 39 仮説思考の土台作り 現時点の成果 ドメイン知識の解像度UPで スキルマップ上の弱点が 1つずつ解消 他チームやPdMが

    動画や資料を活用 (オンボーディングやPRD etc) 要求定義などの場で 仮説思考を活用 他チームにも この取り組みが拡大
  22. © GO Inc. 45 「ユーザーの現場」を体験 連携先チームのペイン(痛み)を把握 決済基盤 支払請求 基盤 ✖

    ✖ ✖ ✖ 連携先 チーム 決済結果の連携部分が チーム間のエアポケット お金の集計が責務 決済の管理が責務 決済結果のデータ不備で エラー発生してるから 90万件再送してー 締め日までに バッチ作成とデータ修正を して再送しなきゃ! 自チーム 決済以外の責務が にじんできちゃうな 締め日の判定 そっちにも入れられる?
  23. © GO Inc. 46 「ユーザーの現場」を体験 連携先チームのペイン(痛み)を把握 仮想チームを結成して協業 仮想チーム 決済基盤 支払請求

    基盤 ✖ ✖ ✖ ✖ 連携先 チーム お金の集計が責務 決済の管理が責務 自チーム 公的な組織ではないため 結成は比較的 簡単! 一緒に責務を整理して サービスをまたいだ リファクタを実施 決済結果の連携部分が チーム間のエアポケット
  24. © GO Inc. 47 「ユーザーの現場」を体験 連携先チームのペイン(痛み)を把握 仮想チームでの合宿も実現 決済基盤 支払請求 基盤

    ✔ ✔ ✔ ✔ 連携先 チーム お金の集計が責務 決済の管理が責務 自チーム 仮想チーム 合宿のランチは 美味しい焼肉弁当で ワイワイ! 決済結果の連携部分が チーム間のエアポケット
  25. © GO Inc. 49 リーダーシップの種類 Traditional Leadership 伝統的なリーダーシップ • ピラミッド型 •

    リーダー中心 • 指揮系統が明確 • リーダーに情報・判断・権限が集中 • ビジネス・サイクルの短縮化・複雑化で 対応が困難になる場合も • 指示・指導のスキル ※ 参考: 「リーダーシップ論のパラダイムシフト─リーダー中心からフォロワー中心へ」池田 浩 https://psych.or.jp/publication/world105/pw03/ ※ 参考: 「シェアドリーダーシップ」でメンバーの主体性を高め、変化に対応できる組織をつくる方法」 https://www.corner-inc.co.jp/media/c0223/
  26. © GO Inc. 50 リーダーシップの種類 Servant Leadership サーバント・リーダーシップ • 逆ピラミッド型 •

    フォロワー中心 • メンバーの能力を最大化するために リーダーが支援、チームの障害物を除去 • 傾聴やフィードバックのスキル ※ 参考: 「リーダーシップ論のパラダイムシフト─リーダー中心からフォロワー中心へ」池田 浩 https://psych.or.jp/publication/world105/pw03/ ※ 参考: 「シェアドリーダーシップ」でメンバーの主体性を高め、変化に対応できる組織をつくる方法」 https://www.corner-inc.co.jp/media/c0223/
  27. © GO Inc. 51 リーダーシップの種類 Shared Leadership シェアード・リーダーシップ  • 自律協業型 •

    リーダーシップの機能をメンバーと共有 • 各自の強み領域でリーダーシップを発揮 • 権限の委譲、心理的安全性、情報の透明 性が大事 • ファシリテーションのスキル ※ 参考: 「リーダーシップ論のパラダイムシフト─リーダー中心からフォロワー中心へ」池田 浩 https://psych.or.jp/publication/world105/pw03/ ※ 参考: 「シェアドリーダーシップ」でメンバーの主体性を高め、変化に対応できる組織をつくる方法」 https://www.corner-inc.co.jp/media/c0223/
  28. © GO Inc. リーダーシップの比較 Traditional Leadership 伝統的リーダーシップ Servant Leadership サーバント・リーダーシップ

    Shared Leadership シェアード・リーダーシップ 「個人」として発揮する リーダーシップ 「組織」として発揮する リーダーシップ 52 ※ 参考: 「リーダーシップ論のパラダイムシフト─リーダー中心からフォロワー中心へ」池田 浩 https://psych.or.jp/publication/world105/pw03/ ※ 参考: 「シェアドリーダーシップ」でメンバーの主体性を高め、変化に対応できる組織をつくる方法」 https://www.corner-inc.co.jp/media/c0223/
  29. © GO Inc. リーダーシップの比較 Traditional Leadership 伝統的リーダーシップ Servant Leadership サーバント・リーダーシップ

    Shared Leadership シェアード・リーダーシップ 「個人」へ属人化 「組織」で最大化 53
  30. © GO Inc. リーダーシップの比較 Traditional Leadership 伝統的リーダーシップ Servant Leadership サーバント・リーダーシップ

    Shared Leadership シェアード・リーダーシップ 「個人」へ属人化 「組織」で最大化 54 採用
  31. © GO Inc. How を明らかにする Why を明らかにする 58 われわれは なぜここに

    いるのか エレベータ ピッチ パッケージ デザイン やること やらないこと リスト 技術的な 解決策 トレードオフ スライダー 期間を 見極める なにが どれだけ 必要か プロジェクトコミュニティ 夜も眠れない問題 ✔ ✔ ✔ EMの役割 ① 方向性のファシリテーション 「インセプションデッキ」でチームの方向性を統一 SMが動きやすい 場作り
  32. © GO Inc. 59 EMの役割 ②マネジメント領域ごとの権限委譲 Project People Product Tech 改善前

    チーム付の PO/PdM 不在 手戻り発生 EMが兼務のため不在がち レビューが集中し ボトルネック化 SM TL L L L TL TL TL SM M EM : エンジニアリングマネージャー  TL : チームリーダー   L : リーダー  SM : スクラムマスター   M : メンバー マイクロマネジメント寄りの進捗管理 M M M M M M M M 少数の人に属人化し負荷が集中
  33. © GO Inc. 60 Project People Product Tech 改善後 ドメイン知識を強化

    PdM領域に関与 専任のEMを配置 各L分担 SREレビューで補完 L&M L 全員 EM : エンジニアリングマネージャー  TL : チームリーダー   L : リーダー  SM : スクラムマスター   M : メンバー 各Lに分担 SM EM L L L M M M M M M M M M SM EM SMの改善提案で 会議体なども改善 複数の人に役割を分散し負荷を平準化 EMの役割 ②マネジメント領域ごとの権限委譲
  34. © GO Inc. 62 開発を牽引したエンジニアの特徴 今日掘り下げたところ ✔ ✔ ✔ 仮説思考:高解像度のドメイン知識で、課題と対策の仮説を立案

    オーナーシップ:「ユーザーの現場」の体験で培った当事者意識 リーダーシップ:越境しステークホルダーを巻き込む推進力 要求定義力:技術面の実現性を踏まえ、要求定義の意思決定に関与 設計力:組織とシステムを俯瞰し、変化を見越して設計
  35. © GO Inc. 63 開発を牽引したエンジニアの特徴 今日掘り下げたところ ✔ ✔ ✔ 仮説思考:ドメイン知識学習会で仮説の土台作り

    オーナーシップ:「ユーザーの現場」の体験で培った当事者意識 リーダーシップ:越境しステークホルダーを巻き込む推進力 要求定義力:技術面の実現性を踏まえ、要求定義の意思決定に関与 設計力:組織とシステムを俯瞰し、変化を見越して設計
  36. © GO Inc. 64 開発を牽引したエンジニアの特徴 今日掘り下げたところ ✔ ✔ ✔ 仮説思考:ドメイン知識学習会で仮説の土台作り

    オーナーシップ:現場体験やチーム越境でペインを自分ゴト化 リーダーシップ:越境しステークホルダーを巻き込む推進力 要求定義力:技術面の実現性を踏まえ、要求定義の意思決定に関与 設計力:組織とシステムを俯瞰し、変化を見越して設計
  37. © GO Inc. 65 開発を牽引したエンジニアの特徴 今日掘り下げたところ ✔ ✔ ✔ 仮説思考:ドメイン知識学習会で仮説の土台作り

    オーナーシップ:現場体験やチーム越境でペインを自分ゴト化 リーダーシップ:シェアード・リーダーシップで総和を最大化 要求定義力:技術面の実現性を踏まえ、要求定義の意思決定に関与 設計力:組織とシステムを俯瞰し、変化を見越して設計
  38. © GO Inc. ▪ フォロワーシップの醸成 ▪ 権限委譲の明確化 (デリゲーションポーカー) ▪ 情報の透明性

    (共通言語、検索性/紐付、ストック型/フロー型) ▪ 要求定義での意思決定 ▪ 変化を受け入れる設計 (ドメイン駆動設計) ▪ 組織のリファクタ (逆コンウェイの法則) ▪ 提供価値の計測 66 次のステップ 今後掘り下げるところ