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新卒社員研修からはじめるアジャイルソフトウェア開発チームのつくり方

 新卒社員研修からはじめるアジャイルソフトウェア開発チームのつくり方

2019年7月2日 Developers Summit 2019 Summerでの登壇資料です。

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shota max nitta

July 02, 2019
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Transcript

  1. 登壇者自己紹介 新田 章太 Shota Max Nitta (まっくすさんと呼ばれています!) 株式会社ギブリー 取締役 trackプロダクトオーナー

    2012年3月に筑波大学理工学群社会工学類経営工 学専攻卒業。学生インターンシップ時代に「エンジニ ア」領域に特化した支援事業を株式会社ギブリーにて 立ち上げ、入社。2014年に取締役に就任。オンライン プログラミング学習・試験プラットフォームtrackの等 自社サービスを立ち上げ、プロダクトオーナーを務め る。また、日本最大規模の学生ハックイベント、 JPHACKSの組織委員会幹事を務めるなど、若い世 代のイノベーターの育成・支援にも取り組んでいる。 3
  2. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 今日お話する内容 新卒社員研修からはじめる アジャイルソフトウェア開発チームのつくり方

    ・取り組みの背景 ・実施したこと、実際の様子 ・やってみた結果 ・まとめ、展望 13
  3. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 対象となる方 ・エンジニアマネジャーの方 ・人事担当の方

    ・どちらかというと老舗・伝統系SI系の方 主に若手エンジニアの”育成”に関われている方 14
  4. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 対象となる方 ・プログラミング研修を効果的にしたい  技術レベルの差にどう対応するか

    ・研修と現場のギャップをどう埋める?  「アジャイル!?現場はそんなに甘くねえぞ!!」 15
  5. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 取り組みの背景 https://www.slideshare.net/decode2017/do17-cto-sier 19

    ※2017年6月当時 現在は、株式会社クレディセゾン 取締役CTO デジタルイノベーション事業部 担当(兼)テクノロジーセンター長
  6. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. バイモーダルIT バイモーダルITとは バイモーダルITとは、IT調査会社のガートナー

    が2015年に提唱した考え方で、コスト削減や 効率化を重視するSystem of Record(SoR)向 けの「モード1」と、柔軟性や俊敏性が求められ るSystem of Engagement (SoE)向けの「モード2」という“2つの流儀”を使 い分ける手法のこと。ウォーターフォール型開 発とアジャイル開発という開発手法の違いに用 いられることもあるほか、モード1の組織とモー ド2の組織を分けるべきか、あえて一つにまと めるのかといった組織論の話などにも用いられ る。 バイモーダルITとは何か? 企業がITの「2つの流儀」を使い分ける方法 小野和俊 「次世代IT企業」への道 ー ビジネス+IT  https://www.sbbit.jp/article/cont1/34971 20
  7. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. バイモーダルIT バイモーダルSIビジネスのすすめ 斎藤昌義

    ネットコマース株式会社 ブログ ー ネットコマース株式会社  https://www.netcommerce.co.jp/blog/2017/02/05/10587 21
  8. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. HRの改革 「終わらない研修」を作りたい by

    コーポレートサービスセンター 副センター長 兼 HRサポート部 部長 小山 和也様 ・モード2人材を新人から形成 ・研修にとどまらずそのまま現場へ  アジャイル文化を新人研修から  全社に広げていく 23 © Saison Information Systems Co., Ltd.
  9. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実現したいこと 年度 内容

    課題 2017年実施 Rasberry Piを活用してサービスを開 発し、ビジネス設計要素も含めて、 サービス提案までを実施するコンテン ツを実施 ビジネス的な視点は良かった が、技術レベルが底上げされな かった 技術役員からの低評価・・ 2018年実施 コード量を書かせることを重点に、 サービス実装を自分たちで実施する ことをゴールにコンテンツを設計した 技術レベルは成長したものの、 ビジネス的な要素が逆に薄れ てしまった ビジネスサイド役員からの低評 価・・ ビジネス要素☓技術要素 のバランスよく設計したい 26
  10. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実現したいこと 技術レベルや思考性がバラバラな状態でも 一人ひとりの成長・効果を最大化させるようにしたい

    四大卒 高専卒 ・スキルテスト平均:28.9点 ・キャリア意識が強い (実力主義を期待、最先端技術に関わ りたい、独立意識が強い) ・スキルテスト平均:39.4点 ・キャリア意識が弱い (多角事業を展開していて経営が安定 している点が魅力的) 27
  11. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実施したカリキュラム 4月 5月

    6月 モード1への理解と基礎から開始して 徐々にモード2へと実践化していく ビ ジ ネ ス 職 開 発 職 スクラム実践 プランニング ストーリーマッピング レビュー XP実践 成 果 発 表 会 ソフトウェアエンジニアリング 基礎 プログラミング基礎 ウォーターフォール基礎 IT業界・自社理解 モード1 モード2 ビジネス 基礎 PL 事業計画 フレームワーク ビジネス実践 Lean Canvas マーケティング 開発準備 DevOps Git/AWS Design Sprint 1週間の実践 31
  12. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実施したカリキュラム 新規事業立案 動くモノ

    ↓ プロダクト 稼げる仕組み ↓ 事業計画 売るアイデア ↓ 顧客と価値定義 「新規事業立案」をゴールに 実際のビジネス企画から開発までをチームで実践する 32
  13. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実施したカリキュラム 「新規事業立案」をゴールに 実際のビジネス企画から開発までをチームで実践する

    DesignThinking ☓ Lean Startup ☓ Agile(スクラム) をベースにカリキュラムを構築 Enterprise Architecture and Technology Innovation Leadership Vision for 2017ー Gartner  https://www.gartner.com/binaries/content/assets/events/keywords/enterprise-architecture/epaeu17/enterprise_archit ecture_and__tech-innovation.pdf 33
  14. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実施したカリキュラム “セルフラーニング”をベースとした オンライン技術学習

    「個人個人」の能力やペースに合わせた 技術力を補うオンラインコンテンツの提供 “プロジェクトベース”での チーム型実践型研修 アウトプットを目的とした「チーム」 での開発を実践するようにする オンライン学習を用いて個々人のペースで学習を 実施できるようにして、習熟度の差をカバー 34 © Saison Information Systems Co., Ltd.
  15. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実施したカリキュラム オンライン学習を用いて個々人のペースで学習を 実施できるようにして、習熟度の差をカバー

    オンラインコンテンツ提供 オンライン学習で 学習進捗を可視化する オンラインメンタリング 個人やチームの状況を 適宜把握できるようにしてサポート 35
  16. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実現したカリキュラム ・バイモーダルで守りから攻めまで  

    ・ビジネス☓技術要素のバランス   ・スキル・指向性の差への対応 36
  17. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実現したカリキュラム ・バイモーダルで守りから攻めまで  →守りから攻めまでを盛り込む

    ・ビジネス☓技術要素のバランス  →Design Thinking ☓ Lean ☓ Agile ・スキル・指向性の差への対応  →オンライン学習の活用 37 -ファンコミュニケーションズ
  18. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 講義を最大限減らして「他人の人に教える」までを 実現させることで全体の習熟度を上げる “アダプティブ☓アクティブ”学習の実践

    平均学習定着率が向上する「ラーニングピラミッド」とは? キャリア教育ラボ by マイナビ MY FUTURE CAMPUS  https://career-ed-lab.mycampus.jp/career-column/707/ 42
  19. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. オンライン技術学習 アダプティブラーニングの実践 オフライン研修

    アクティブ・ラーニングの実践 オンライン学習で個人のペースに合わせて学べ オフラインで受講者が教える・学ぶの空間を作る “アダプティブ☓アクティブ”学習の実践 44 © Saison Information Systems Co., Ltd.
  20. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 早く終わった人が常にまだ終わってない人の ナビゲートに周り教えられるようになることを目指す ←終わった人

    ナビゲータ 学んでる人→ ドライバ “アダプティブ☓アクティブ”学習の実践 47 © Saison Information Systems Co., Ltd.
  21. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 用語や概念をインプットした内容は 定期的なLT会をおこなってそれぞれの言葉で説明する 社員の方も立ち止まって

    耳を傾けてくださるように “アダプティブ☓アクティブ”学習の実践 48 © Saison Information Systems Co., Ltd. © Saison Information Systems Co., Ltd.
  22. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 習熟度別に「教える」「教わる」の立場をクラス内でつくり、経 験者・初学者双方に学びを提供 経験者

    教えてもっと理解! 初学者 教わってもっと理解! “アダプティブ☓アクティブ”学習の実践 49
  23. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. Howではなく WhyとWhat とにかくワークの数がめちゃくちゃ多い。。。

    3ヶ月間の合計で 30以上のワークを実践 https://kigyotv.jp/news/lean-canvas/ 51
  24. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. Howではなく WhyとWhat ただフレームワークだけ実践しても

    内容や目的、共通点などの理解にはつながらない 遊☆戯☆王 第092話 高橋和希 ー 集英社文庫(コミック版) 2007年 52
  25. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. Howではなく WhyとWhat How

    What 「XXをしてみよう」 「XXするとできます」 54
  26. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. Howではなく WhyとWhat How

    What 「XXをしてみよう」 「XXするとできます」 55
  27. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実際のスライド抜粋 Design Sprint 編

    Design Sprintのコアコンセプト ストーリー 中心 デザイン 懸命な 意思決定 実世界での 検証テスト 終わりから 始める 個別の作業 個々人が役割分担し作 業できる時間を設ける 短期間 逃げられない締切の中 で完成まで仕上げる Prototype 役割を超えて同じ部屋 で作業し創りあげる 57
  28. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実際のスライド アジャイル開発編 不確実性とはつまりわからないことによって生まれます。人間にとっ

    て、本質的にわからないことはたった2つしかありません。それは、 未来と他人です。 不確実性って? 58
  29. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実際のスライド抜粋 Git入門編 Mission

    チームの紹介ページを共同作成して改善しよう - ペアになって、新しいリポジトリを作成してください - チーム紹介ページと、各々の自己紹介ページ3ページを作成してください ただし、以下の条件をクリアしてください - チームのリポジトリ内に一人1つはマージ済みのPull Requestがあること - Pull Requestには必ずissueが紐づけられていること - Pull Requestは必ずメンバーからのレビューを受けてからマージしていること - [応用]一つのファイルに複数人のコミットがあること - [応用] .gitignoreファイルを作成して、.gitの対象が管理されていること 59
  30. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実際の様子 スライド資料ではなく 「制限時間」を表示

    時間を意識させる 達成しなければならないミッションを個人・チームで時間 内に全員が終わることを目指す 個人のワークと 周りで相談可能 な時間をつくる 61 © Saison Information Systems Co., Ltd.
  31. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. ファシリテートとメンタリング デイリーでのKPT(振り返り)を導入。 チーム内でも日々行動目標やカイゼンを実施。

    毎日1つ重要度☓緊急性の高いカイゼンを一人一つ実践 66 © Saison Information Systems Co., Ltd. © Saison Information Systems Co., Ltd.
  32. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. プログラミング基礎の様子 69 ©

    Saison Information Systems Co., Ltd. © Saison Information Systems Co., Ltd. © Saison Information Systems Co., Ltd.
  33. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. Design Sprintの様子 70

    © Saison Information Systems Co., Ltd. © Saison Information Systems Co., Ltd. © Saison Information Systems Co., Ltd. © Saison Information Systems Co., Ltd.
  34. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. アジャイル開発実践の様子 71 ©

    Saison Information Systems Co., Ltd. © Saison Information Systems Co., Ltd.
  35. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. やってみてよかったこと ・高いプログラミング習熟度の実現  →スキルの可視化はとても大事

    ・エンゲージ・モチベーションの向上  →講師よりもメンタリングが大事 ・リアリティの体験  →アジャイルが楽しいは嘘 78
  36. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 開発力・経験が少ない中でのスクラムは難しい 結果、Sprintレビューの際に、実装後のプロトタイプで必 要のない機能を指摘。手戻りが発生。

    企画された画面イメージ フリーワード検索機能 ヘルプページへのリンク ログイン・新規会員登録 すべての機能がMVPでは不要 83
  37. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 改善したいこと “開発力・経験の少ないスクラムは難しい” ・「Smart」なプランをたてられない

    ・MVPをつくれない ・手戻りが沢山発生した →現場巻き込み型でレビューを強化したい 84
  38. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. まとめ/展望 ・プログラミングスキルの可視化や、それに応じた  アダプティブな学習設計は全体習熟度アップに効果的

    ・自立自走を促し、メンタリングに注力すれば  組織エンゲージは高められる。 ・アジャイル開発は難しいし、楽しくなんかない。  新人研修でも充分に失敗経験を培うことができる。 86 “新人研修からも本格的にアジャイル開発を導入しよう”
  39. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. まとめ/展望 ・「なんちゃって」にならないように、  プロフェッショナルや現場からのレビューは

     強化することが重要 ・新人だけでの研修に留めずに、現場(メンター)や、  一部の若手も交えることで、組織全体の文化構築に  広げていくえるのではないか 87 “現場のエンジニアの皆さんから積極的な介入を!”
  40. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. まとめ ウォーターフォール 既存ビジネス

    アジャイル・リーン 新規事業 VS 新卒社員研修からはじめる アジャイルソフトウェア開発チームの作り方 89
  41. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. まとめ 新卒社員研修からはじめる アジャイルソフトウェア開発チームの作り方

    モード1 守りのIT 既存ビジネス 対応・理解 モード2 攻めのIT アジャイル リーン バイモーダル型の研修を現場を巻き込み 継続していくことで組織文化を構築していく 90
  42. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. trackとUdemyでのセルフラーニングの教材 タイトル キーワード

    想定時間(h) track プログラミング教養コース データ構造、制御構造、正規表現 5 Webフロントエンド基礎 ウェブ開発(フロントエンド) 12 Java基礎 Java 10 SQL基礎 SQL 5 アルゴリズム演習問題集 アルゴリズム 20 udemy はじめてのSQL・データ分析入門 SQL 7 Web開発入門完全攻略コース ウェブ開発(フロントエンド) 18 フロントエンドエンジニアになりたい人の Webプロ グラミング入門 ウェブ開発(フロントエンド) 10.5 もう怖くないGit!チーム開発で必要なGitを完全マ スター Git 5.5 【Javaサーブレット決定版】ゼロから環境構築~設 計モデルまで、動画で楽々学ぶ Javaサーブレット 5.5 93
  43. Copyright © Givery, Inc. All rights reserved. 実施したアセスメントテスト内容 チャレンジ名 カテゴリ

    内容項目 出題形式 配点 情報知識問題 ITリテラシー クラウドコンピューティング ,仮想通貨,ディープラーニング(深層学習),VR/AR,スーパーコン ピュータ クイズ形式 5 Web、インフラ、ネットワーク、セキュリティ HTTP,TCP/IP,IPアドレス,DNS/ドメイン 仮想サーバ(Docker),RESTful API,WebSocket,SQLインジェクション,XSS(クロスサイトス クリプティング),公開鍵暗号方式 クイズ形式 10 コンピュータサイエンス OS 進数,単位(bit/MB),メモリ,ディレクトリの作成,ディレクトリの移動,ファイルの検索,管理者権限, 所有者の変更,リモートログイン,シェルスクリプト クイズ形式 10 プロダクトマネジメント Scrum,アジャイル開発,Git clone,Git pull/push,ユーザビリティテスト クイズ形式 5 プログラミング基礎 数学(アルゴリズムモデリング) 部分集合,計算量,ソート,ナップザック問題,動的計画法 クイズ形式 10 数理統計機械学習 確率,組み合わせ,統計,自然言語処理,ニューラルネットワーク クイズ形式 10 プログラミング読解(言語比較、プログラミング読 解) 入出力,型(string, int, boolean),四則演算(+,-,*,/,%),条件分岐(if, switch),繰り返し構文(for, while) クイズ形式 10 アルゴリズム実装 アルゴリズムデータ構造 初級から上級まで解けるアルゴリズム問題 実装形式 20 SQLチャレンジ データベース データベースの実装問題 実装形式 20 96