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AI時代のプロジェクト管理 ― QCDの先にある「先読みマネジメント」

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February 12, 2026
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AI時代のプロジェクト管理 ― QCDの先にある「先読みマネジメント」

コード生成やテスト自動化等、開発現場ではAI活用が進んでいます。
一方で、プロジェクトの失敗や炎上が減っているかというと、必ずしもそうではありません。
JiraやBacklogで進捗や工数は見えている。
それでも、認識のズレやコミュニケーションの歪みといったQCDでは捉えきれないリスクは、見えないところで広がっていきます。

本セミナーでは、こうした“兆し”に早い段階で気づくためのAI時代のプロジェクト管理の考え方を解説します。
その解決策としてのツール「PJ Insight」の活用法やAIを用いた新機能もご紹介します。ぜひお気軽にご参加ください。

主な内容
・なぜ今「AI×プロジェクト管理」なのか
・QCD管理では見えないプロジェクトリスク
・「先読みマネジメント」という考え方
・プロジェクトの健康状態を把握できるツール「PJ Insight」の紹介

こんな方におすすめ
・プロジェクト管理に不安や限界を感じている方
・Jira/Backlogだけでは見えない課題を感じている方
・炎上を未然に防ぎたいPM・管理職の方

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February 12, 2026
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Transcript

  1. 自己紹介 ⚫ 所属 ⚫ NCDC株式会社 ⚫ 経歴 ⚫ アプリケーションエンジニア、プロダクトマネージャー ⚫

    複数サービスのプロダクトマネジメントに従事 ⚫ プロジェクトマネジメント支援ツール: PJ Insight ⚫ AIエージェントサービス: BizAIgent ※ 質問/チャットを気兼ねなく投稿ください。可能な限りご回答いたします 3 プロダクトマネージャー / シニアエンジニア 武方順平
  2. こんな経験はありませんか? ⚫ あるプロジェクト ⚫ ガントチャートの進捗OK ⚫ PMから「順調」との報告 → 数週間後、進捗遅れ ⚫

    もっと早く報告されていたら早く対応ができた → 「急に悪くなった」のではなく「悪くなっている兆しに気がつけていない」 4 見えている管理指標 実際の健全性 →時系列
  3. 前提・用語の整理 ⚫ 前提・スコープ ⚫ プロジェクトマネジメント一般について話す ⚫ 例示はIT開発プロジェクトを利用 ⚫ 用語を次のように定義して使う ⚫

    PM:プロジェクトを前に進める責任を持つ役割 ⚫ PMO:個別PJの正解を出すことよりも、複数PJに共通に効く仕組みを設計す る役割 ⚫ 開発マネージャー、PLなど名称は問わない 5
  4. QCD管理の課題 ⚫ QCDの指標は「問題が起きたときに結果として現れる」 ⚫ 問題が発生→観測→集計 ⚫ 結果指標、遅行指標 ⚫ 悪くなった事実を正確に表す ⚫

    悪くなる予兆を示すものではない ⚫ 既知リスクは先行指標だが、未知の兆しは拾えない 10 見えている管理指標 実際の健全性 兆し 手戻りの発生 QCDが悪化
  5. ⚫ 先行指標を用いることで、判断をシフトレフト(前日に判断) ⚫ 先読みマネジメントができる 前日の兆し(先行) 判断タイミング 結果(遅行) Case 1. 結果指標で判断

    Case 2. 先行指標で判断 先行指標① 例. 屋外イベントの設営を行うか決めたい 12 雨が降った 天気予報が雨 雨雲レーダー 降水確率が90% 雨が降った ※判断後 当日の朝 中止を決定 インプットなし 前日 中止を決定
  6. ⚫ 先行指標があるとQCDが悪化する前に先読みで手が打てる しかし ⚫ 天気予報のような予測モデルが十分に整っていないことが多い ⚫ 先行指標を取り入れたい 期間A 期間B 判断タイミング

    Case 1. 結果指標で判断 QCD悪化後 Case 2. 先行指標で判断 期間A QCD悪化前 先行指標② プロジェクトマネジメントでは? 13 QCD悪化 何らかの先行指標 介入を判断 QCD悪化が防げる 介入を判断 インプットなし
  7. 先行指標③ 予測モデルに頼れないときは?経験則(暗黙知)を用いる 14 • 経験的なサイン • 雲の形・風の匂い・動物の動き • 判断:明日は荒れそう •

    早めに備える 天気 • 経験的なサイン:現場の勘・熟練者の予 兆 • お客さんは危ないかも • ドキュメント品質が怪しい • ここ聞いとかないとトラブル • 判断:このままだと危ない • 事前に介入(確認/調整) プロジェクトマネジメント 経験サインを先行指標の代替入力として判断に使う 先行指標を「判断を前倒しできる観測可能な兆し」として広く捉える どちらも確実とは言えないが、意思決定の助けになる
  8. ⚫ なぜ難しいのか? ⚫ 新しい課題 ⚫ 暗黙知→形式知の変換は、価値が高いが簡単には進まない 感覚でやっていることを 言語化するのは難しい • 料理の火加減

    • この案件は危ない 「暗黙知を形式知にする」が難しい理由 16 説明が難しい 言語化できても、同じように 実行できるとは限らない • 接客の距離の詰め方 • 合意形成の着地 再現が難しい 因果関係を検証するの にコストがかかる • 広告と売上の関係 • 介入が遅延を防いだか 検証が難しい
  9. 解決策:暗黙知のまま運用する ⚫ 暗黙知のままでは扱えないのか→そうではない ⚫ 天気予報がない時代も人は意思決定していた → しかし、そのままでは属人的な運用 ⚫ 暗黙知のまま組織での運用にするための3つのルール 手順マニュアルのレベルでなく

    てよい、存在を知覚する 評価に使わない・目的の明示 で心理的安全性を担保 記録して共有する 裏付けされていないし、しきい 値が明確でない 既存の管理指標や状況とあわ せて用いる 暗黙知を唯一の判断基準にしない 暗黙知の妥当性、リスクの 大きさ 介入の判断を議論する 組織の先行指標 ・運用可能 ・再現性 現場の勘 ・属人的
  10. 実務上での課題 ⚫ 現場の勘や懸念 ⚫ 基準が揃っていない ⚫ 曖昧な情報 ⚫ 表記ぶれもある ⚫

    管理するコストが高い ⚫ たくさん集めて比較するべきだが、集めるほどコストも上がる ⚫ 構造化していない大量のコンテキスト 19
  11. AI時代の提案:一時整理を生成AIに委ねる ⚫ 生成AIが得意なこと ⚫ 大量のコンテキストを扱う ⚫ 構造化されていないデータを扱う ⚫ 不得意なこと ⚫

    厳密な判断 ⚫ 今回の一時整理は生成AIが一番活用できる種類のタスク ⚫ 現場から上がってきたものをAIで一時整理 ⚫ やらせること:分類・パターン検出 ⚫ やらせないこと:判断(ハルシネーションに振り回されない) ⚫ 整理してきたものをインプットとして人が議論して介入を決める ⚫ 副次効果 ⚫ PMOのプロジェクトトリアージの負荷を減らせる ⚫ 暗黙知が資産になる(言語化可能・検証可能な状態に近づく) 20
  12. 先読みマネジメントの型(運用設計) 21 集める AIで分類 定期的な 議論 介入 観察 • プロジェクトメンバーからきになったこと、不安、懸

    念、詰まっていることなどを集める場所を作る • スプレッドシート・Slackでのアンケートなど • 潜在リスク • 根拠、前回との比較 • クラスタリング • 表記ブレ • プロジェクト内の定例・プロ ジェクト報告会議 • 確認すること、支援すること、 変更を加えること • 次週の変化 • 管理指標との連動 • 会議体・体制・優先度 を調整する
  13. プロジェクトでの例 ⚫ 観測 ⚫ その後同じタイプのコメントが減るのか?QCDなどの指標に変化が表れるか? ⚫ QCDに影響が出る前に先手で対応ができている 22 メンバーからの コメント

    AIの一時整理 議論・介入 レビューが返ってこな い。仕様確認が止 まっている 指摘が毎回ひっくり返 る。合意が取れてい ない気がする 急ぎタスクが割り込ん でレビューが後回し 先週と今週で同種 のコメントが増加し ている コミュニケーション・ スケジュールリスク 複数メンバーの断片 的なコメントを横断し、 レビューフロー に課題がある可能性 機能Aの仕様について はPMOがヒアリング レビュープロセスにつ いては 次週まで様子見 スケジュールの 再計画を打診 AIがないと 複数コメントを時系列で比較しながらまと めていく作業×プロジェクト数
  14. まとめ ⚫ プロジェクトが急に悪化したように見える理由 ⚫ 従来型のQCD管理は遅行指標 ⚫ 問題が起きる前の「兆し・先行指標」を判断のインプットに入れていない ⚫ 先行指標として何を扱うべきかを整理できる ⚫

    現場の勘・メンバーの暗黙知を用いる ⚫ 明日から使える先読み運用の考え方を理解する ⚫ 現場から集める ⚫ AIで分類 ⚫ ステークホルダーでの議論 ⚫ 介入を決定 ⚫ PJ Insightを利用すると明日からAIの先読みマネジメントを体感できる 25
  15. 26