思ってたんと違う！アジャイル開発伴走支援〜2年間やってみた〜

私は入社以来関わる全てのプロジェクトでアジャイル開発を経験してきました。
その経験を活かし、この2年間いくつかのアジャイル開発チームの伴走支援を主務としてきました。

伴走とは、開発者と一緒にコードを書いて検証活動を行いながら、もっとアジャイルなチームになっていく活動です。
そして、限定された支援期間をもって次のチームに移っていくことで、よりよいアジャイルチームを増やしていくことを目的としています。

しかし、それは思い描いた想定でしかありませんでした！
皆さんはどういった状況を想像するでしょうか？

それぞれの現場で、何をみて、何を感じ、何を伝え、何をやってきたかをお話ししたいと思います。

Transcript

1. 思ってたんと違う！ アジャイル開発伴走支援 〜2年間やってみた〜 小川 慎 (watti) 2024/06/22 Scrum Fest Osaka 2024
2. 小川 慎 (watti/ogawatti) アジャイル開発伴走支援 テックリード 2 2
3. 参考文献 https://speakerdeck.com/chinmo 3 3
4. この発表の文脈 製造業系企業グループ ソフトウェア開発受託子会社 アジャイル専門支援組織 その一人として感じたこと 説明不十分なところもあるかと思いますが この辺りを踏まえてい聞いていただけると幸いです 4 4
5. アジャイル開発伴走支援とは 5 5
6. アジャイル開発伴走支援 開発者と一緒にコードを書いて検証活動を行う 限定された支援期間をもって次のチームに移っていく よりよいアジャイルチームを増やしていく活動 6 6
7. ちいとぽでいうところのEnabling team 7 7
8. ≠アジャイルコーチ ちょっとアジャイル経験の多い開発者 コーチングもするけどチームの一員として前にも出る 同じチームの開発者として一緒に汗をかく 8 8
9. 一緒に汗をかく 一緒にコードを書く どんどんカイゼンする 技術的負債を解消する そのプロダクトのことを本気で考える スクラムマスターではなく、あくまで開発者 9 9
10. たくさん伴走支援して どんどん良いチームを増やしていくぞ！ 1 0 1 0
11. 伴走支援が必要とは 1 1 1 1
12. 伴走支援が必要とされる状況 1 2 1 2
13. 伴走支援が必要とされる状況 1 3 1 3
14. 伴走支援が必要とされる状況 1 4 1 4
15. 伴走支援が必要とされる状況 1 5 1 5
16. 伴走支援が必要とされる状況 アジャイル開発初めて・経験が少ない リードできる人が入る予定だけど今は空いてない 何かうまくいっていない感がある 何か問題が起きて困っている 1 6 1 6
17. この2年間での支援件数 1 7 1 7
18. 3件 ※watti担当分 1 8 1 8
19. 少ない？ 1 9 1 9
20. でも相談も増えないし そんなには 困ってないんだな よかったよかった 2 0 2 0
21. なんてことはない！！ 2 1 2 1
22. 燃えそうなプロジェクトの噂が 2 2 2 2
23. メンバーが毎週社外で会う関係性 だったので話を聞いてみた 2 3 2 3
24. 話を聞いてみた 納期が切られたが間に合いそうにない 一時的に人が抜けていて代理業も大変 バックエンドわからん アジャイル上手にやれてない感がある そもそも開発チームだけアジャイル 2 4 2 4
25. 誰かに相談しなかったの？ 2 5 2 5
26. 上司には相談してた 先方と話をしてくれた 増員の話もある 2 6 2 6
27. 相談したことで 彼(等)は再び戦場へ 2 7 2 7
28. 解決する？ 2 8 2 8
29. 解決する？ 人を増やすのは長期的にはプラス その状況に陥ったのはチームとしても何か問題がありそう ビジネスサイドとの信頼関係が損なわれている？ バックエンドわからんという状況 バックログ作り方が下手な自覚がある 話してくれたチームの課題 2 9 2 9
30. ところなんで僕(ら)に 話してみなかったの？ 毎週顔合わせているのに 3 0 3 0
31. 相談する頭がなかった 上司には相談してたので他にも、とは思わなかった まずはチームで解決しようと思ってた そして目の前の仕事に没頭 3 1 3 1
32. 解決しそう？ じゃないから話を聞いた時に色々出てきている 明確な問題によってチームの状態が白日の元に晒された 例えば納期 ヤバい！となって始めてチームの状態に向き合い始めた 3 2 3 2
33. ここまでその状態に向き合わなかった チームが すぐに変われるだろうか？ 3 3 3 3
34. 支援4件目 (伴走なし) チームの上達を大事にする 人が増えても抱えている問題は変わらない チームの問題を捉えて解決できるようにしていく チームの活性化を仕掛ける 技術的にこうはどう？を提示して揉んでもらう アジャイル開発についての壁打ち (相談相手) いっしょにワイワイする 3 4 3 4
35. チームが変わっていく様子が見える コミュニケーションが活発になった 設計や実装の議論が起きるようになった 相談しやすい雰囲気になってきている 他の人を助けるようなことが起き始めた ベロシティが安定し始めた (昨年度の最大値同等) 3 5 3 5
36. めでたしめでたし 3 6 3 6
37. 当然そんなことはない 3 7 3 7
38. 実はこれ2例目 しかも成功例 3 8 3 8
39. 知ってる人が知らない間に苦しんでいた それも自分にとって一番身近な後輩 3 9 3 9
40. 支援2件目 明確な問題によってチームの状態が白日の元に晒された 明確な問題 例えば品質 ステークホルダーに強めに詰められる メンバーは疲弊、離脱 品質が重要なプロダクト POと合意した上で機能開発を優先 4 0 4 0
41. 支援2件目で見えたこと 十分に複雑なシステムをそこまで複雑と思っていない I/Fが不透明で考慮漏れが起きやすい 変更による影響範囲が読めない 技術的負債や改善のための課題が表現されていない 一見問題を抱えていないように見えた 機能開発優先による品質低下で起こり得るリスク システムの潜在的な問題が散見 4 1 4 1
42. 話を聞いてみた 4 2 4 2
43. 話を聞いてみた 誰かに相談してた？ 上司には相談してた (しんどい旨) 他には相談しなかった チームはどういう状態だった？ チームの問題は特に感じていなかった むしろメンバーとは気軽に話せて悪くないと思っていた 4 3 4 3
44. 相談しても問題は解消しない 4 4 4 4
45. 上司の支援は当然必要 メンタリング 別の開発へ異動を提案 関係者と話をつける これでケアされる部分は大きい 4 5 4 5
46. チームの問題は誰も捉えられていない 問題はチームを 徐々に悪い状態へ導き続けている しんどいのは変わらない 4 6 4 6
47. チームへの支援なしに解消する？ 4 7 4 7
48. チームをより良いアジャイルチームに プロダクト・チームの問題を捉え解決する それがチームでできるように支援する 支援できるように腕を磨く 4 8 4 8
49. でも相談されない 4 9 4 9
50. でも相談されない 相談の場があっても人は来ない 関係性があっても話してはくれない 困っている現場を知ることができない 組織・チームはサイロ化する (リモートが主体なら尚更) 5 0 5 0
51. 自分自身にもしんどい経験があった 5 1 5 1
52. でも何とか耐えられたのは 先輩の支援があったから 5 2 5 2
53. 先輩の支援 仕事終わりに話に付き合ってくれたり 実際に手を動かしてコードを書いてくれたり チームメンバーのサポートをしてくれたり いつでも気軽に話せる関係性を作ってもらっていた 5 3 5 3
54. そういう関係性を作る 5 4 5 4
55. 話しにいく 普段から何でも気軽に話ができる関係性を構築する リモートが当たり前だからこそいっそう気を付ける 雑談ができれば良い訳でもない 相談してくれればよかったのに、にしない 少なくとも自分の周りくらいは そういう場を持っている人は稀かもしれない 5 5 5 5
56. まとめ 5 6 5 6
57. 伴走支援 思ったほど相談来ない 来たら全力でやる 宣伝もする 情報を発信する 5 7 5 7
58. 待ってても 相談されない でも場があることは大事 人が足りないからくる 困り果ててからくる 知らないところで困ってる 5 8 5 8
59. 相談するだけでは問題は解決しない 組織職の支援は大事 本質的な問題を捉えられるかは当人達にかかっている 捉えられなければ問題は潜在したまま 捉えられても解決することは難しい 5 9 5 9
60. 見つけられるようにする 6 0 6 0
61. 助けたい人を助けられるように 気軽に話せる関係性を築いていく 変化に気付く 気付けるための話をする 場を作って待つのではなく、話しにいく 6 1 6 1
62. 話しましょう！ 6 2 6 2