Upgrade to PRO for Only $50/Year—Limited-Time Offer! 🔥

株式会社森未来 インパクトレポート2025.12

Avatar for Shinmirai Shinmirai
December 14, 2025
210

 株式会社森未来 インパクトレポート2025.12

Avatar for Shinmirai

Shinmirai

December 14, 2025
Tweet

Transcript

  1. 1. イントロダクション 代表メッセージ .................................. p4 2. 会社・事業紹介 ミッション・ビジョン ...................... p6

    目指す未来と取り組み ...................... p7 事業概要 ............................................. p8 3. 目指す未来 森林・林業を取り巻く課題 ............ p10 ビジネスモデル構造 ........................ p11 目指すビジョンと道すじ ................ p12 新たな木材調達基準 ........................ p13 4. インパクトの全体像 インパクト指標(環境的 ・ 経済的 ・ 社会的KPI).... p15 インパクト指標 (人的KPI) .......................... p16 インパクトストーリー ......................... p17~p22 資金調達の実施内容 .................................. p23 ポジティブ ・ インパクト ・ ファイナンス .......... p24 5. 今後の展望 今後の展望 ................................................. p26 編集後記 ................................................................. p27 目次 Index ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 02
  2. イントロダクション 現在地を知る インパクトレポートの発刊にあたり 森未来創業の際、「事業そのものが社会貢献につながる」事業で起業しようという強い想い がありました。 この信念のもと、「Sustainable Forest」というミッションを立て、持続可能な木材流通の 拡大と、生産者へ適正な利益を還元する商流の構築に邁進してまいりました。 しかし、これまでは、私たちの事業がどれほど「Sustainable Forest」の実現に貢献しているの

    か、そのインパクトを具体的に計測し、十分に示せていませんでした。 今回発刊する初のインパクトレポートは、その「計測」への第一歩だと考えています。 私たちの活動が社会と環境に与える影響を客観的に評価し、開示することで、私たちは 自らの現在地を明確に知ることができ、ステークホルダーの皆さまにも、私たちの事業活動が 創出するインパクトを、より正確にお伝えできるようになります。 本レポートでは、何よりも「正確な計測」を重視しました。 その結果、一部の指標は 私たちの理想に対して、まだ低いスタートラインにあるかもしれません。しかし、私たちは この「ありのままの現在地」を公開することにこそ価値があると考えます。 現状を正確に知ることこそが、未来に向けた改善と成長の確かな一歩となるからです。 森未来の挑戦は、このレポートとともにより一層加速してまいります。 私たちの事業活動に、引き続きご注目いただけますと幸いです。 株式会社森未来 代表取締役 浅野純平 ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 04
  3. ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 06 会社・事業紹介 森未来のミッションとビジョン MISSION VISION Sustainable Forest 私たちは、持続可能な森林をつくり、

    次の世代へ繋いでいきます All Wood Platform 森林・林業・木材のあらゆる情報をITの力で 集約し、 未来を変革する木材流通をつくります (All Wood =森林・林業・木材)
  4. ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 07 会社・事業紹介 目指す未来と取り組み ミッション Sustainable Forest 私たちは持続可能な森林をつくり、 次の世代に繋いでいきます

    ビジョン All Wood Platform 森林・林業・木材のあらゆるデータ をITの力で集約し、未来を変革する 木材流通をつくります 事業 データとITによる木材流通により、 Sustainable Woodの市場を形成 ・Sustainable Woodのデューデリジェンス基準の策定 ・データやAIを活用した効率的かつ追跡可能な木材流通 ・マーケティングによるSustainable Wood市場の確立 資源 人材 森林・林業の課題解決を 目指す人材の活躍 森林・林 業・木材 Sustainable Wood、
 その流通者及びユーザー ファイナ ンス 志を共にするファンド・ 金融機関との連携 目指す未来 森未来が目指すのは、 森林と人類が共生する社会です。 その社会では、 適切な収益分配を通じて、 地域ごとに多様な林業が展開されています。 また、 森林は 二酸化炭素の吸収源として機能し、 生物の多様性にも富み、 環境に大きく貢献しています。 そして、 林 業は社会から尊敬を集め、 子どもたちの憧れの職業となる。 ──そんな未来の実現を、 私たちは目 指しています。 日本の森林・林業の課題 日本の国土の約7割を森林が占めるものの、 木材自給率は43%と低迷しています。 補助金に頼る収 益構造は、 林業従事者の減少・高齢化、 イノベーションの遅れによる生産性低下を招き、 産業成長を 妨げています。 また、 国内人工林は伐採と再造林による適切な管理が不可欠ですが、 人手不足や採 算性の問題から不十分な状況です。 これにより、 貴重な森林資源の有効活用が滞り、 環境面の持続 可能性も損なわれています。 アクション 私たちは、 日本の森林・林業の課題をビジネス機会ととらえ、 木材の知識とITの力で課題解決に取り 組みます。 データとITにより木材流通の生産性を向上させ、 評価体系に基づく 「Sustainable Wood」 の市場形 成により、 森林資源の活用に取り組みます。 将来的には、 森林・林業・木材のあらゆるデータを集約し た 「All Wood Platform」 を構築し、 林業の環境価値と経済価値の両立に貢献します。
  5. 会社・事業紹介 事業概要 「Sustainable Forest」 の実現に向けた事業を展開しています。 ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 08 木材流通事業 全国規模の木材データベースを活用し、建

    築や内装設計をはじめとするあらゆるプロ ジェクトで、木材の選定から実現までを支 援します。 木材流通事業 全国規模の木材データベースを活用し、建 築や内装設計をはじめとするあらゆるプロ ジェクトで、木材の選定から実現までを支 援します。 コンサルティング事業 森林・木材業界の企業をはじめ、社有林を 持つ企業、地域資源の有効活用を目指す自 治体など、あらゆるステークホルダーの課題 解決を支援します。 コンサルティング事業 森林・木材業界の企業をはじめ、社有林を 持つ企業、地域資源の有効活用を目指す自 治体など、あらゆるステークホルダーの課題 解決を支援します。 メディア運営 木材情報のプラットフォームメディアです。 木材利用に役立つコンテンツを日々更新して います。 メディア運営 木材情報のプラットフォームメディアです。 木材利用に役立つコンテンツを日々更新して います。
  6. 目指す未来 ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 10 森未来が考える森林・林業を取り巻く課題 持続可能な森林と、その森林資源を持続的に享受できる社会の実現には、解決すべき課題が多くあります。 なかでも、森未来では以下の3つを特に重要な課題として捉えています。 課題1 サプライチェーンの断絶 木は山に立っている状態から、最終製品とし

    て消費者に届けられるまで、多くの工程が必 要になります。現在では、その各工程で分業 化が進んでいますが、森林管理から最終利用 までをつなぐ一貫した情報基盤が整っておら ず、需要と供給のミスマッチ、過剰な中間コ スト、トレーサビリティの欠如が発生してい ます。 課題2 自立した産業として 成長しにくい構造的課題 国内の林業は補助金依存の収益構造にあり、 自立的で発展的な経営に対する意欲が起こり にくい環境にあります。このような環境で は、木材生産そのものの価値向上に対する取 り組みが滞り、川下の木材利用も縮小。結果 として産業全体の競争力を弱め、持続可能な 林業経営が困難になるという負のスパイラル に陥ります。 課題3 森林資源の適切な管理と 更新の遅れ 森林資源は、人間が利用した後に、森林が再 生することで初めて持続可能な資源となりま す。人工林ではこの再生を、人が苗木を植え る「再造林」で行うのが主流です。しかし、 採算性の低さや人手不足から再造林が進んで いないのが現状です。その結果、森林資源の 持続可能な利用が危ぶまれています。
  7. 目指す未来 ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 12 目指すビジョンと道すじ インプット 中期アウトプット(~2030年) 初期アウトカム(3年後) 中期アウトカム(2030年) 長期アウトカム(2050年)

    ヒト Professional & Potential people モノ Sustainable Wood 情報 All Wood Information カネ Impact Investment 木材が使いやすくなる 木材情報のアクセス性の 向上 AIを活用した木材流通の 最適化 Sustainable Woodが 普及し始める 木材を使用する産業でLCAに関 する情報提供やDD基準に従っ た木材調達が自主的に始まる 消費者が選択できる Sustainable Woodの普及 持続可能な 木材流通が標準に LCAやDDが当たり前に 森林の多面的機能への正当な
 対価の支払い 森林が持つ生態系サービスや社会的 な役割に対して、適切な対価が支払 われる仕組みが整っている 誰もが課題解決に貢献できる 林業が憧れの産業となる 森林・林業で新たなビジネスが生ま れ「環境を守りながら、安定した収 入を得られる良い仕事」として若い 世代の進路の選択肢になる 森と林業が「文化」として根づく 森や林業が日常的に語られるテーマ になり、社会全体で課題解決に取り 組んでいる 森林・林業が社会的な ムーブメントとなる 業界に関わりたい、働きたいと いう人の流れができる 森林・林業の価値が
 可視化され、社会的に
 評価される 環境 ・ 経済 的 KPI Sustainable Wood 利 用 促 進 (年間売上に 占める販売金額ベース) : 国 産材 とF SC ® 、 S GE C / P EF C 認証 材 の合計の 割 合65%以 上を維 持 (※1) 木材流通 の 最適化 : DD基準 (※2) の刷 新 及 び 新DD基準 に 基 づく 流通 100%を 目指 す C O₂排出量測 定 ツール開発 AI A g ent の開発 IS M S 認証 取得 社会的 KPI 林 業・木材業界 と連携した 情報 発信
 (2030年度までにイベント参加 人 数が 累計3,000 人 ) 人 的 KPI 女 性 管理職 の 比率40% 農学部出身者 の 雇 用 数5人 林業・木材業界 以外か らの 転職数 を 11人 地域内 の 雇 用 創出 を 5名追加 平均賃上率 、前 年比3%増 を 継 続 事 業 Sustainable F o r estの 実現 ※1:2026年度 の目標。割 合 の 数 値目標は 202 7 年度以 降に見直す予定 ※2: デューデリジェンス基準の略 森林・林業の課題解決が業 界を横断したビジネスとな る スペシャリストや異業種 か らの 転職者 が森林・林業に 携 われる 職 場を森未来が生 み 出 す 株式会社森未来は F SC ® 、 S GE C / P EF C 認証を 取得 し てい ま す。   ・ F SC ®認証 ( ラ イ セ ンス 番号 : F SC ® -C 155022) ・ S GE C 認証 ( S GE C /31 - 31 - 1512) P EF C 認証 ( P EF C /31 - 31 - 1512)
  8. 目指す未来 透明で持続可能な木材調達のための、新たな木材調達基準 ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 13 環境 LCAの計測 再造林率(更新状 況)の確認 生物多様性保全

    への貢献 社会 合法性確認 労働環境 人権尊重 経済 地域経済への貢献 フェアトレード 生産性向上への 取り組み 木材データ 価格・品質・納期(QCD) 木材事業者情報 住所・対応品目・加工能力 SHINMIRAI DataBase データ化済み + 森未来は、「持続可能な森林の実現」に向けた企業としての責 任を果たすため、独自の木材調達基準を策定し、デューデリ ジェンスに基づいた調達活動を推進しています。 今後は、多様な木材情報が蓄積されている当社データベースを 活用し、ILO 中核的労働要求事項の遵守にとどまらず、林業・ 木材産業に従事する方々の権利尊重、生物多様性への配慮な ど、木材に関わる「環境・社会・経済」の三側面からの影響 を評価した木材流通を目指します。 これらの観点から、木材がどの程度のインパクトを持つのか を確認し、当社の基準に照らして適切に評価したうえで、お客 さまへの提供を進めてまいります。 この取り組みを広げることで、木材流通を通じた「持続可能 な森林の実現」に貢献していきます。
  9. インパクトの全体像 ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 15 インパクト指標(環境的・社会的・経済的KPI) Sustainable Wood利用促進
 (年間売上に占める販売金額ベース) 2026年度:国産材とFSC®、 SGEC/PEFC認証材の合計の割合65%以上を維持

    2027年度以降:事業の拡大状況に応じて目標を見直し 83% ※2025年9月時点 木材デューデリジェンス基準の刷新 2026 年度中:新・木材調達基準に基づく木材流通100% 2030 年度中:新・木材調達基準に基づくSustainable Wood取扱目 標設定 (金額ベース) 2025年度中に自社 木材調達基準の刷新 ※環境・社会・経済を評価軸に AI Agentの開発
 (木材マッチングの効率化) 2026年度中に開発 CO₂排出量測定ツール開発 CO 2排出量測定ツール:社外向けユースケースを2025年度 取り組む (不動産開発事業者・ゼネコンと連携) CO2排出量測定ツール:社外向け2026年度リリース 一般的なLCA算出
 ロジックは構築済み ※動的評価に対応するための 原単位の組み換えロジックを検討中 情報セキュリティ強化 2030年度までに ISMS認証を取得 木材データベース
 構築の開発工数削減 現在は 、 エンジニア・アルバイト2名および正社員 1名が関与し、 合計約316時間の作業工数が発生 2025年度を目標に正社員1名が1日4時間稼働す るのみで開発可能な水準まで、 工数を実質的に 削減することを目指す 規格品データ入力を 自動化 実質100%削減 登録作業全体の工数を 60~70%削減 環 境 的 K P I 経済的KPI 株式会社森未来はFSC®、 SGEC/PEFC認証を取得しています。   ・ FSC®認証 (ライセンス番号:FSC®-C155022)  ・ SGEC認証 (SGEC/31-31-1512) PEFC認証 (PEFC/31-31-1512) 社会的KPI 林業・木材業界と
 連携した情報発信 2030 年度 までにイベント参加人数が累計3,000人 581人 ※2025年2月〜10月末の 合計人数
  10. インパクトの全体像 インパクト指標(人的KPI) ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 16 人的資本 ― 「Sustainable Forest」を実現する多様な「ひと」への投資 森未来は、木材流通の枠を超え、IT、デザイン、そして林業の専門知を融合させた事業を展開しています。その成長の源泉は、多様なバックグラウンドを持

    つプロフェッショナルな人材です。 私たちは、性別や年齢、居住地に関わらず、森林・林業の課題解決に情熱を注ぐメンバーが、その能力を最大限に発揮で きる環境づくりを推進しています。リモートワークを含む柔軟な働き方は、従業員一人ひとりの「郷土を愛する気持ち」やライフスタイルを尊重し、仕事と の調和(ワーク・ライフ・ハーモニー)を生み出すための環境として整備しています。 私たちが「森林・林業の課題解決を仕事にする」ことを実践し、その 積み重ねが、ひいては森林・林業分野全体における人材確保や魅力向上へと波及していくことを目指しています。 多様な人材の活躍 労働環境の向上 ウェルビーイング経営 女性管理職比率 2030年度には40%に上昇 33% 地域内の雇用創出 2030年までに追加5人 (地域からフ ルリモートするアルバイト等) 4人 農学部出身者の 雇用数 2030年までに5人追加 9人 林業・木材業界 以外からの転職数 2030年までに10人追加 14人 平均賃上率 2026年度以降:
 前年比3%増を継続 6.8% ※2025年度 (前年比) フレックス 制度の導入 2026年度から
 全社で導入予定 人事評価 制度の構築 2025年度に リリース予定 健康診断受診率 2030年度までに 100%受診 80% DC加入者率 2030年までに50%の社 員が掛け金を設定する 2025年度 制度導入予定 2025年12月から 企業型DCスタート ※数値は2025年12月時点
  11. インパクトの全体像 インパクトストーリー(定性的成果) インパクトを与えたプロジェクトの事例をご紹介します。 CASE1 つくばの間伐材を活用した
 商業施設リニューアル CASE2 伐採木活用の取り組み
 「TREE BATON」

    CASE3 伐採木を活用した資源循環の
 取り組み CASE4 林業家との連携
 「板フェス in 國武林業」 CASE5 資金調達を通じた
 「Sustainable Forest」への挑戦 CASE6 森林・林業業界の持続的価値創出に向けた 「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」 を実施 ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 17
  12. インパクトの全体像 インパクトストーリー ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 18 つくばの間伐材を活用した商業施設リニューアル CASE1 当社は株式会社スペースが企画する「森林ツアー」に協力。本ツアーは、つ くばエクスプレス(TX)八潮駅高架下商業施設「TXアベニュー八潮」のリ ニューアルプロジェクトの一環として、沿線地域とのつながりを象徴するつ くばのスギ材を内装材やベンチ、サインパネルに活用する取り組みの一部と

    して実施されました。 沿線地域とのつながりを象徴するつくばのスギ材を使用して、ルーバーやベ ンチを製作。さらに、取り組みの一環として、つくばね森林組合および鉾田 製材所の協力のもと茨城県石岡市内の山林で間伐体験を実施しました。 今回の森林ツアーの意義は、木材のトレーサビリティを現場で確認し、地域 材の利用を促進することで、持続可能な森林保全や林業振興につなげる点に あります。
 木材の利用や調達において、「その木がどこの森林で伐採され、どこで加工 されたのか」を把握することは、合法性の確認に欠かせない要素です。実際 の現場を訪れ、その流れを自ら確かめることは、利用者として持続可能な木 材を選択する責任を果たすことにもつながります。 コーディネート内容 ・森林ツアー企画協力 ・家具および内装材の丸太の手配~加工・納品 ・CO2の排出を抑える流通ルートのコーディネート ・PRポイントのアドバイス
  13. インパクトの全体像 インパクトストーリー 伐採木活用の取り組み「TREE BATON」 都市部では、景観維持や老朽化対策、開発行為などを背景に、街路樹や敷 地内樹木の伐採が日常的に行われています。しかし、多くの場合は処分さ れ、地域に本来残せるはずの樹木の価値が十分に活かされていません。長 い年月をかけて成長してきた樹木には、コブ、曲がり、空洞など固有の表 情があり、本来は空間づくりにおいて高い価値を持ち得る素材です。それ にもかかわらず、伐採から加工・活用までを一貫して支援する仕組みが存 在しないことが、利活用を妨げる大きな要因となっています。

    こうした背景のもと、当社は伐採木活用サービス「TREE BATON」を立ち 上げました。TREE BATONは、伐採後の木を再利用する取り組みにとどま らず、伐採の段階から関与し、樹木の個性を空間価値へ転換する一貫した プロセスを提供することが特徴です。将来的な活用を前提とした伐採計画 を策定。そのうえで、製材・乾燥・保管・納品までを当社が統括します。 さらに、設計者・デザイナーとの連携を通じて、伐採木が持つ形状やス トーリーを生かした内装材や什器をオーダーメイドで製作。地域の記憶を 継承しながら、唯一無二の空間体験を創出できる点が、本サービスの大き な価値です。TREE BATONは、従来未利用だった伐採木を開発プロジェク トの新たな価値創出につなげる取り組みです。 一つ一つの木に、 物語がある。 コーディネート内容 企画提案・伐採手配・保管・製材・加工など ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 20 CASE2
  14. インパクトの全体像 インパクトストーリー 伐採木を活用した資源循環の取り組み 三井不動産レジデンシャル株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:嘉村 徹、以下「三井不動産レジデンシャル」)は、これまで再利用が困難であった自社 プロダクトの敷地や既存建築物内に存在した樹木や物品をアップサイクルする「土 地の記憶プロジェクト」や分譲済みマンションで伐採が必要となった木を引き取 り、再活用する「既存樹 再循環サービス」等、新たなすまいの付加価値を創出する 取り組みを行っています。伐採された木を家具や備品などに再利用することで、入 居者とともに物件の経年優化を進め、廃棄木材の再資源化によるCO2排出量の抑制

    や資源循環型社会の実現を目指す取り組みです。また、この取り組みにおいて、森 未来では伐採された木の引き取りから製材・加工までを担当。東京ツインパークス (東京都港区)では、2002年の竣工以来入居者に親しまれてきたケヤキとサクラを 2025年1月に伐採。森未来がこれらを製材・加工して、コンシェルジュデスクやゲ ストルームの備品など、共用部で利用できる形に再生しました。 今後も三井不動産レジデンシャルは、同社の住宅事業コンセプト「Life-styling x 経年優化」のもと多様化するニーズに応える商品・サービスを提供することで 持続可能な社会の実現・SDGsの貢献を進めていきます。森未来は、木材利用に 関する知見と技術を活かし、再循環の仕組みを支える立場として、三井不動産レ ジデンシャルが進めるこの取り組みに今後も継続的に協力していきます。 パークホームズ上板橋の共用部(ワークラウンジ) コーディネート内容 製材・加工 ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 21 CASE3
  15. インパクトの全体像 インパクトストーリー 林業家との連携「板フェス in 國武林業」 2025年9月15日・16日の2日間、熊本県上益城郡御船町にて、國武林業(代表:國 武 智仁)と共催で「板フェス in 國武林業」を開催しました。本イベントは、森林 管理の受託や特殊伐採(高木・巨木の伐採)などを行う國武林業と共に実施した

    展示販売イベントです。 熊本県を拠点に森林管理・特殊伐採を行う國武林業は、「森を愛し、森を守るビ ジネスで地域を育む」ことを理念に掲げ、日々森と人の関係を探求しています。 近年、都市部や住宅地では倒木リスクのある高木・巨木が増加し、伐採が避けら れないケースが増えていますが、それらの木々は単なる資源ではなく、人々と共 に時間を刻み、風景と記憶を形づくってきた「生きた存在」です。 そうした木々の「その後」に焦点を当て、伐採後も命をつなぐ新しい循環の形を 体感できるイベントとして本イベントは企画されました。 当日は伐採木を製材・加工した板材や家具の展示販売を中心に、木の個性や物語 を伝えるトークイベント、木工ワークショップなどを実施。また、御船町の自然 を舞台にした森の体験コンテンツも同時開催し、子どもから大人まで多くの参加 者でにぎわいました。 今後も森未来は、國武林業をはじめとする地域の林業家との連携を通じて 「Sustainable Forest」の実現を目指してまいります。 ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 22 CASE4
  16. インパクトの全体像 インパクトストーリー ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 23 資金調達を通じた「Sustainable Forest」への挑戦 「Sustainable Forest」の実現に向け、2025年1月28日付けで第三者割当増資により総額2.6億円の資金調達を実施。JPインベストメント株式会社、アグ リビジネス投資育成株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社の3社より新たに出資をいただきました。 当社は2021年にBtoB向け木材プラットフォーム「eTREE」を立ち上げました。現在では、木材ポータルサイトとしての情報発信に加え、木材データベー

    ス構築を通じ、設計者・施工者・木材事業者等の多様なプレイヤーをつなぐ基盤となることを目指しています。 今回の資金調達により、「eTREE」の機能拡充とデータ整備を一層加速させ、木材の調達から提案・加工・施工までを一気通貫で支援できる「All Wood Platform」への進化を進めています。これにより、設計・建設業界がより効率的に認証材や地域材といった「Sustainable Wood」を選択できる環境を整 え、森林と建築をつなぐ新たな木材流通の仕組みを確立していきます。 調達概要 調達金額:約2.6億円
 調達方法:第三者割当増資
 引受先(敬称略、順不同):JPインベストメント地域・インパクト1号投資事業有限責任組合、アグリビジネス投資育成株式会社、 SMBCベンチャーキャピタル8号投資事業有限責任組合、Open Network Lab・ESG 1号投資事業有限責任組合、奥能登SDGs投資事 業有限責任組合 CASE 5
  17. インパクトの全体像 インパクトストーリー ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 24 森林・林業業界の持続的価値創出に向けた 「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」 を実施 誰もが木材を使いやすい環境をつくり、木材流通の生産性を高め、木材の価値を 最大化し、その利益を森林を育てる人々へ還元する。 この循環を実現することが、私たちの使命です。

    このたび北國銀行とのポジティブ・インパクト・ファイナンス契約を締結し、木 材流通事業の拡大を支える資金基盤を確保しました。 本融資は単なる資金調達ではなく、当社事業が森林・林業や社会に与える影響を 分析・評価・モニタリングし、その社会的インパクトを可視化しながら継続的に 改善していく取り組みです。事業の成果と社会的価値を客観的に測定し、改善を 経営に組み込むことが必要であると考え、本融資契約に至りました。 木材調達基準の刷新・ 木材流通の最適化 2026年度において国産材とFSC®、 SGEC/PEFC認証材の合計の割合 65%以上維持および木材流通の最適 化にかかるAI Agent開発によるマッ チングの実現 木材データベース構築の開発工数に おいて、2025年度までに対現在比 98.7%削減 平均賃上率を2026年度以降、前年比 3%増を継続。フレックス制度につい て対象社員の拡大を今後調整 生産性向上への取り組み 労働環境・健康経営の 取り組み 株式会社森未来はFSC®、 SGEC/PEFC認証を取得しています。 ・ FSC®認証 (ライセンス番号:FSC®-C155022) FSC®は金銭負債についてのいかなる財務的主張にも責任を負わず、 保証もしません。 ・ SGEC認証 (SGEC/31-31-1512) PEFC認証 (PEFC/31-31-1512) インパクト内容 KPI 融資概要 2025年10月31日 融資金額:5,000万円 資金使途:運転資金 CASE6
  18. 今後の展望 挑戦から得た資産を活かし、さらなるステージへ 私たちのデータベースには、数万点に及ぶ木材の 規格、全国の加工所の情報、そしてLCA(ライフ サイクルアセスメント)の算出根拠となる数値な ど、サプライチェーンの様々な情報が蓄積されて います。このデータを学習させたAI Agentは、あ らゆる木材調達の課題を解決します。それは単な る業務効率化にとどまりません。これまで熟練の

    職人が経験で培ってきた知識や感覚をテクノロ ジーで再現し、誰もが理想の木材にアクセスでき る世界を実現するのです。 さらに、私たちが確立するトレーサビリティは、 木材の価値を再定義します。一本の木が、どこの 森で育ち、どう加工され、ここへ届いたのか。そ の物語を可視化することで、LCAの精緻な算定 や、その木材が環境に負荷を与えていないという サステナビリティの証明を可能にします。 これは、環境への貢献度という新たな価値が経済 を動かす、新しい経済圏の創出に他なりません。 しかし、私たちの挑戦は木材流通の革新だけでは 終わりません。その先に見据えるのは、私たちの 原点である「森林」です。ITでサプライチェーン を最適化し、木材の価値を最大化することで生ま れた利益を、森を育む人々へと還元する。この健 全なサイクルを生み出すことこそ、私たちの使命 です。 「林業を、子どもたちの憧れの仕事にする」 それが、森未来が描く未来です。私たちの事業を 通じて、林業の収益性と安全性を高め、創造的で 魅力ある産業へと変革します。森と共に生き、森 を育むことが、豊かさと誇りにつながる社会。 私たちは、その未来を必ず実現します。 ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 26 私たち森未来は、創業以来「Sustainable Forest」をミッションに掲げ、挑戦を続けてまい りました。森林は、人類が暮らす上で決して欠か すことのできない、かけがえのない資源です。そ の森林を枯渇させることなく未来へと繋いでいく ために林業という営みがあり、その林業を持続可 能な産業へと革新していくこと、それが私たちの 目指す「Sustainable Forest」の姿です。 このミッションを実現するため、中核を担ってき たのが木材プラットフォーム「eTREE」です。 eTREEを通じて築き上げた全国の木材事業者さま との信頼のネットワークと、そこから得られる、 どこにも公開されていない膨大な木材の生きた データ。これこそが、私たちの最も重要な資産で す。 今、私たちはこの資産をコアとし、木材流通を新 たなステージへと引き上げます。
  19. ©2025 SHIN-MIRAI,INC. 27 Editor's note 編集後記 本レポートで掲載している情報は、 2025年11月末時点でのものであり、 将来的な事実や状況の変化を反映するもの ではありません。

    また、 本レポートは法的、 税務的、 または会計的なアドバイスを提供するものではありません。 本レポートの著作権は株式会社森未来に帰属します。 無断での複製、 転載、 配布を禁止します。 本レポートの情報は弊社の事業内容を基に作成しておりますが、 正確性や完全性を保証するものではありません。 本レポートに基づいて行われるいかなる行動や決定についても読者の独自の判断と責任のもとで行ってください。 本レポートの内容は一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や組織の状況に応じたアドバイスや推奨を意 味するものではありません。 また、 本レポートに掲載されている写真は、 説明のためのイメージ写真を含む場合があり ます。 本レポートの使用によって生じるいかなる損害についても、 当方は一切の責任を負いません。 免責事項 経営企画 広報 高橋 幸司 森未来として、森林・林業業界、そして社会にどれだけ前向きな変化を生み 出せるのか。その姿勢をどうやって対外的に届けていくのか。 入社以来、何度も議論してきたテーマです。だからこそ今回、インパクトレ ポートという形で、森未来の「本気」を皆さまにお届けできることを、心 から嬉しく思っています。 私たちが今、現場で何を感じ、何に挑み、何を変えようとしているのか。 そして、これからどんな未来に向かって進んでいくのか。ぜひこのレポート で受け取っていただけたら嬉しいです。 プロダクトグループ 亀井 杏果 ご覧いただきありがとうございました。今回作成しましたインパクトレ ポートは、森未来として初の取り組みとなります。私たちの目指す 「Sustainable Forest」の実現には、森林資源の活用を望む方々と、資源を 提供し、届けてくださる方々、双方のご協力が不可欠です。本レポートで ご報告した当社の実績は、皆様の支えがあったからに他なりません。心よ り感謝申し上げます。これからも私たちは、「人」と「資源」に真摯に向 き合い続け、森と社会に新たな価値を運び続けてまいります。