竣工前ビルのエンジニアリングに学ぶ、ローカル制約からの脱却【SORACOM Discovery 2025】

建物を快適に利用するためには竣工前の自動制御システムの最終調整であるエンジニアリングという工程が極めて重要です。現地でしかできなかったこの作業を、SORACOMを活用したセルラー通信で遠隔操作可能とし、現地作業の負荷を低減、現場の働き方改革を実現した取り組みを紹介します。

アズビル株式会社 ビルシステムカンパニー 開発本部 開発企画部/グループクラウド開発部 課長 岡山 義孝
株式会社ソラコム ソリューションアーキテクト 横田 峻

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1. 株式会社ソラコム ソリューションアーキテクト 横田 峻 アズビル株式会社 ビルシステムカンパニー開発本部 開発企画部 兼 グループクラウド開発 岡山 義孝 竣工前ビルのエンジニアリングに学ぶ！ ローカル制約からの脱却
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3. アズビル株式会社 ビルシステムカンパニー開発本部 開発企画部 兼 グループクラウド開発 岡山 義孝
4. © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 竣工前ビルのエンジニアリングに学ぶ！ ローカル制約からの脱却 アズビル株式会社 ビルシステムカンパニー開発本部 開発企画部 / 兼グループクラウド開発部 岡山義孝
5. 2 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. リモートワークが一般化した今… ビルのシステム構築もリモートでやってみたら 現場作業の負荷低減、働き方改革を実現できた
6. 3 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 目次 1. 会社紹介 2. エンジニアリングとは 3. 課題と目的 4. リモートエンジニアリング実現に向けて 5. 現場試行と効果 6. 今後の展開
7. 4 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 1. 会社紹介 ～ azbilグループ概要 ～ 「人を中心としたオートメーション」の理念のもと、計測と制御の技術で 人や社会の安心、快適、達成感の実現や地球環境への貢献を目指しています。  本社所在地 アズビル株式会社 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル  創業 1906年12月1日（明治39年）  設立 1949年8月22日（昭和24年）  資本金 105億2,271万6,817円  従業員数 5,052人（連結：8,917人） *2025年3月31日現在 ビルディング オートメーション 事業 1,487億円 アドバンス オートメーション事業 1,068億円 ライフ オートメーション 事業 466億円 2024 年度 15.4％ 35.4％ 49.2 ％ セグメント別売上高 業績推移 2024年度売上高 3,003億円 2024年度営業利益 414億円 0 150 300 450 0 1,000 2,000 3,000 2020 2021 2022 2023 2024 売上高 営業利益 （年度） （億円） （億円）
8. 5 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 1. 会社紹介 ～ azbilグループ沿革 ～ 1906 1949 1953 1966 1998 2002 2005 2006 2006 2008 2012 2016 2022 創業者の山口武彦が山武商会を創立、欧米工作機械類を輸入・販売 企業再建整備法により山武計器株式会社（現アズビル株式会社）を設立 ハネウェル・インコーポレイテッド（米国）と資本提携（出資比率：50%） 山武ハネウエル株式会社に社名変更 ハネウェル社との資本提携関係を変更、社名を株式会社 山武に変更 ハネウェル社から自己株式を取得して資本関係を解消 株式会社金門製作所（現アズビル金門株式会社）をグループ会社化、協業開始 新しい理念、理念のシンボルマーク「azbil」を制定 12月1日、創業100周年を迎える グループ名称をazbilグループに変更 株式会社 山武はアズビル株式会社に社名を変更 一般財団法人 アズビル山武財団を設立 指名委員会等設置会社に移行 創業者 山口武彦
9. 6 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. グローバルに広がる拠点間の密接な連携で、 世界中のお客さまのニーズに対応します。 国内 8社 海外 15か国 22社 azbilグループのマザー工場 アズビル株式会社 藤沢テクノセンター （上） / 湘南工場 1. 会社紹介 ～ azbilグループ拠点 ～
10. 7 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 1. 会社紹介 ～ azbilグループの主な事業フィールド ～ 「計測と制御」の技術のもと、建物市場でビルディングオートメーション事業を、工場やプラント市場で アドバンスオートメーション事業を、ライフラインや健康などの生活に密着した市場において、ライフオー トメーション事業を展開しています。 ・石油化学/化学 ・石油精製 ・電力/ガス・鉄鋼 ・ごみ処理/上下水道 ・紙パルプ・船舶 ・食品 ・薬品 ・自動車 ・電気/電子 ・半導体 等 アドバンス オートメーション事業 ・オフィスビル ・ホテル ・ショッピングセンター ・病院 ・学校 ・研究所 ・工場 ・データセンター ・官公庁建物 ・空港 等 ビルディング オートメーション事業 ・ガス （都市ガス、 LPガス） ・水道 ・住宅メーカー 等 ライフ オートメーション事業
11. 8 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 1. 会社紹介 ～ビルディングオートメーション事業～ あらゆる建物に求められる快適性や機能性、 省エネルギーを独自の環境制御技術で実現。建物のライフサイク ルに応じたサービスの提供により、快適で効率のよい執務・生産空間の創造と環境負荷低減に貢献するとと もに、健康で生産性の高い働き方や快適な暮らしをサポートします。 データ集積 現場の知見を建物のライフ サイクルに応じた新たな 製品・サービスの開発へ ビルディングオートメーションと IoTなどの新しい技術を融合し、 ライフサイクルに応じた サービスを提供 Cloud ユーザーズ オペレーション 機器 バルブ/操作器 センサ/ 計測機器 調節器 コントローラ ・エネルギーマネジメント ・広域建物群の管理や保全 ・建物の最適運用の提案 ・メンテナンス ・建物リニューアルの提案 ビルディング オートメーション システム セキュリティ システム 建物の中央管理システムや自動制御機器、建物の 管理を支援するアプリケーションの開発・生産
12. 9 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 2. エンジニアリングとは 制御動作 機器単体 中央監視 総合試運転 竣工前ビルでは、全てのデバイスに対してアドレスやパラメータを設定し 『現場（ローカル）』で動作確認・試運転等の作業をしている
13. 10 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 3. 課題と目的 竣工前ビルのエンジニアリングでは、現場の人員不足が大きな課題である 建設業界での働き方改革で労働時間が制限される中で、生産性向上が求められている 課題解決のために『リモートから現場にアクセス』しエンジニアリングを可能とする • 働き方の制約がある社員がリモートで現場作業をサポート • 負荷が集中している拠点の現場作業を地方や海外から行う（負荷の平準化） 現場 オフィス 自宅 リモートエンジニアリング
14. 11 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 4. リモートエンジニアリングの実現に向けて VPNサーバ まずは自分でイチから挑戦してみた！ • AWS ※ 上に、VPNサーバを構築 • Raspberry Pi ※ にSIMカードを挿して、VPNゲートウェイを作成 ※ AWSはAmazon.com, Inc.またはその関連会社の米国およびその他の国における登録商標です ※ Raspberry Pi は Raspberry Pi財団 の登録商標です VPNゲートウェイ ビルシステムネットワーク 4G LAN 試行錯誤の結果、VPN経由でビルシステムネットワークに接続できた！！ （最初はVPNなしでグローバルIPのSIMで試したら…） 4G
15. 12 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 4-1. リモートエンジニアリングの実現に向けて 試作ではリモート接続環境の構築はできたが 複数の実現場で運用できるレベルで提供することは難しい 自社でサービスを開発し管理・運用すべきなのか？ 他社のリモートアクセス関連サービスを検討 SORACOMメンバーと何度も相談させて頂き リモートエンジニアリング環境の構築ができる事が分かった
16. 13 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. LTEルータ 現場 ①閉域網でのアクセス 閉域網 ドコモ/KDDI/Softbank ②VPN経由でのアクセス 4-2. システム構成 SORACOM Arc 現場にSORACOMのSIMを挿したLTEルータを設置する事で ローカルとリモート間をSIM間の閉域網通信で実現した オフィス等でインターネット環境がある場合には、SORACOM Arc経由でもアクセス可能
17. 14 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 4-3. SORACOMを採用したポイント  専用のハードウェアが不要 汎用品のLTEルータを使用するだけなので、海外でも同じ仕組みで展開できる  現場毎の閉域網ネットワークが数分で構築 コンソール画面の操作性が良く、簡単にネットワーク構築ができる 全ての操作がAPI経由でもできるため自動化も可能  SIMベースルーティングがすごく便利 複雑なポートフォワーディングの設定等をする必要がなくセットアップが簡単 SIM_A SIM_B 192.168.100.x 192.168.200.x 192.168.100.10 SIM_A SIM_B
18. 15 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 5. 現場試行と効果 SORACOMのプラットフォームを用いて構築した仕組みを使用し • 効果の検証 • 実運用に向けた課題を抽出 を目的として 2ヶ所の新築現場でリモートエンジニアリングの試行を実施した 現場事務所 LTEルータ 現場 移動時間：15〜30分 リモートエンジニアリング
19. 16 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 5-1. 現場試行の定量的効果 月 削減時間 [h] 9 11.0 10 54.0 11 20.0 計 85.0 月 削減時間[h] 8 20.5 9 112.3 10 126.3 11 40.8 計 299.9 ※今回の移動時間は15～30分程度 移動時間長ければ削減効果大きくなる  現場A  現場B 移動時間※ と回数から、以下の時間が削減できた 作業着、ヘルメットを着用し その他必要な荷物を持ち、工事中 の現場を移動する必要がある
20. 17 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 5-2. 現場試行の定性的効果 リモートエンジニアリングは生産性向上だけではなく 現場エンジニアの働き方改革・Well-beingとなる 現場担当者から以下のコメントあり • 机と椅子のあるところでPC操作ができるのでうれしい （腰痛予防） • 現場の機械室内の環境が悪い（連日40℃）ため、空調が入っている 現場事務所で作業ができ、熱中症のリスク低減ができた • すぐに現場の状態をリモートで確認できるのは安心に繋がる
21. 18 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 5-3. 実運用に向けた課題  電波が入りづらい現場がある 竣工前のビルの場合、モバイルデータ通信の電波が入りづらいケースがある キャリアを切り替える、窓側等の電波が良いところにLTEルータを移動する事で回避 できる場合もある。前提として、全ての現場で導入ができる訳ではない  通信速度 ビルシステムネットワークの通信は有線LANでローカル接続を前提としていたため 一部作業では大量のデータ通信を行う事があり通信速度が足らず性能面の課題がある 現場の運用で回避する（ローカルとリモートのハイブリッド）  通信の安定性 場所や時間帯によっては、混雑具合により通信が安定しないことがある アクセスできない場合に備えて代替手段は準備しておく必要がある
22. 19 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 6. 今後の展開 竣工前のビルのエンジニアリングにて『ローカル制約から脱却』ができた！ 他の分野においても参考になれば幸いです。興味ある方はお声掛けください！ 現場 オフィス 自宅 リモートエンジニアリング 今年度から現場数を徐々に拡大していき、全国・海外の現場へ展開していきたい そして、様々な雇用形態の社員の起用や、社内での負荷の平準化にも取り組み さらなる、現場の働き方改革・Well-beingに貢献していきたい
23. 20 © 2025 Azbil Corporation. All Rights Reserved. 最後に ～SORACOMへのお願い～ SIMベースルーティングで、SORACOM Arc（バーチャルSIM）も使えるようにしてほしい 電波が入りづらい場合は有線（光回線）を使うことで、さらなる拡大を目指す SIM_A バーチャル SIM ご検討をお願いします！
25. IoTの「つなぐ」を簡単に Making Things Happen for a world that works together