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【Developers Summit 2021】3つのNew(New Normal・New Tool・New Team)で大規模スクラムLeSSを始めたら大変でした

【Developers Summit 2021】3つのNew(New Normal・New Tool・New Team)で大規模スクラムLeSSを始めたら大変でした

Developers Summit 2021で大規模スクラム「LeSS」を新しいチームで全員在宅ワークで挑戦した事例を紹介した資料です。
複数チームだからこそ重要な開発メンバー間のコミュニケーションですが、コロナ禍の中で新しいチームでは様々な意識改革と、リモートワークに適したツールの有効活用が必要でした。
このセッションでは私たちが遭遇した数々の問題と、それを改善してきた工夫をスクラムマスターがアジャイルコーチ(私)と共にご紹介しました。
New Normalで複数チームのスクラムに挑戦する方、特にLeSSに興味のある方にはぜひご覧いただき、今後の開発のお役に立てれば幸いです。

大内 孝明 Takaaki Ouchi

February 19, 2021
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Transcript

  1. 1 © NEC Corporation 2021 3つのNew(New Normal・New Tool・ New Team)で大規模スクラムLeSS

    を始めたら大変でした #devsumi 19-C-6 02/19 14:45 ~ 15:25 日本電気株式会社 OMCS事業部 河野 友生子 ソフトウェアエンジニアリング本部 大内 孝明
  2. 3 © NEC Corporation 2021 このセッションでは 大規模スクラム 「LeSS (Large-Scale Scrum)」を新しいチームで全員在宅ワーク

    で挑戦した事例を紹介します。 複数チームだからこそ重要な開発メンバー間のコミュニケーションですが、コロナ 禍の中で新しいチームでは様々な工夫と意識改革が必要でした。 このセッションでは私たちが遭遇した数々の問題と、それを乗り越えた軌跡をスク ラムマスターがアジャイルコーチと共にご紹介します。 New Normalで複数チームのスクラムに挑戦する方、特にLeSSに興味のある方には 持ち帰ってもらえるものが多くあると思います。ぜひご覧ください。
  3. 6 © NEC Corporation 2021 大内 孝明(アジャイルコーチ) 日本電気株式会社 ソフトウェアエンジニアリング本部 ▪担当業務

    NECグループ全体のアジャイル推進 (アジャイルコーチ、セミナー講師、アセット整備 等) ▪連絡先 : [email protected] ▪その他の活動 PMI日本支部 アジャイル研究会 副代表
  4. 9 © NEC Corporation 2021 スクラムチーム 体制(経験者と未経験者の混成チーム)ジェクト体制 スクラム マスター 開発チームA(既存チーム、スクラム経験あ

    り) プロダクト オーナー 開発チームB(新規チーム、スクラム経験なし) トラベラー LeSSのトラベラーをヒントに既存チー ムの1人を新規チームに編入。 既存チームのやり方の共有、プロダクト オーナーや開発チーム間の円滑な連携に 貢献。 アジャイル コーチ
  5. 12 © NEC Corporation 2021 イベントスケジュール(タイムボックス) (時) 8 9 10

    11 12 13 14 15 16 月 火 水 木 金 ★プランニング ① ★リファイン メント ★リファインメ ント レトロスペク ティブ ★スプリントレビュー スクラム 改善活動 (Aチーム) ★レト ロ共有 スクラム 改善活動 (Bチーム) プランニング② ★は、チーム合同 ★雑談 タイム デイリースクラム
  6. 14 © NEC Corporation 2021 予想以上に大変でした できると思って始めたLeSSでしたが、全員在宅で新体制では想像していな かった様々な問題が発生! チームの工夫と意識改革で乗り越えました! チームへのちょっとした確認がとれて

    いない 他の開発チームの問題を他人事にする 開発チーム間で優越感と劣等感が発生 ステークホルダーが価値を感じづらい 共有したい情報を掲示しておけない お互いのチームの状況が見えない 他の開発チームに助けてもらえること が分からない 開発チーム間、ロール間でぎくしゃく 見えないチームができてしまう 工夫で乗り越えた問題 意識改革で乗り越えた問題
  7. 16 © NEC Corporation 2021 miroで情報共有 1/4 フロアの壁や掲示版に貼りだしていたチームルールやタスクボード。 リモートワークではオンラインホワイトボードツール「miro」で共有。 共有したい情報を掲示しておけない

    ボードは、チーム別のボードと、 合同で使用するボードに分けたこ とで、チーム間で共有する情報が はっきりとわかるようにしました 合同のボード 開発チームAのボード 開発チームBのボード
  8. 17 © NEC Corporation 2021 miroで情報共有 2/4 共有したい情報を掲示しておけない プロダクトに関する 情報・ノウハウは合同ボードに

    マインド マップ レトロスペ クティブ ドラッカー風 エクササイズ アジャイルマニフェスト 12の原則 勉強会 インセプション デッキ 環境 スケジュール デモシナリオ
  9. 19 © NEC Corporation 2021 miroで情報共有 4/4 共有したい情報を掲示しておけない 付箋の色分けや大きさ、フレー ムの機能を使い、どこにどんな

    情報が記載されているか瞬時に 見つけやすくしています Framesを選択し、 瞬時にその情報に飛べるように miroはリモートワークでもフロアの壁のように色々貼り出して開発チーム間で共 有できるので便利です。自発的に使い方を工夫できて素晴らしいと感じています。
  10. 20 © NEC Corporation 2021 合同イベントで状況やノウハウを共有 デイリースクラムの共有や、チーム合同のミーティングの開催、チーム間 のチャットによるコミュニケーションにより、常に互いの状況を把握。 お互いのチームの状況が見えない 他チームのデイリースクラムに参加を行ったり、

    チームで発生した障害をチャットでチーム外に発信 することで、ノウハウの共有や、障害の早期解決に 繋げています チーム共通で障害が発生していたり、 2チームで開発する上で必要な取り 決めがある場合は、各チーム代表者 が集い、臨時の合同ミーティングを 実施しています よりよいコミュニケーションがとれるように必要に応じてミーティングを追加し、 ツールや参加者の組み合わせを工夫すると良いです。
  11. 21 © NEC Corporation 2021 スキルマップを共有 スキルマップでお互いの開発チームメンバーのスキルセットを共有。助け をお願いできることを見える化。 他の開発チームに助けてもらえることが分からない 凡例:

    ☆⇒教えられるレベル ◎⇒得意 ◦⇒一人でできる △⇒助けがあればできる •⇒勉強しようと思っている 空欄⇒できないし、やらない チーム間でスキルを共有するこ とで、障害が発生した際に、他 チームに相談すべきか、相談し ても解決しづらい問題なのかを 判断できるようになった スキルマップで自チームに足りないスキル、他の開発チームの力を借りるスキル を見える化することで、開発チーム間の協力が生まれやすくなります。 スクラムチーム全体で足りないスキルについては、外部への支援依頼や教育受講 を計画的に行うことも大切です。
  12. 22 © NEC Corporation 2021 スクラム体験ワークショップを実施 開発チームやロールを混ぜてスクラム体験ゲームを実施。コミュニケー ションの重要性を共通認識し、声の掛け合いを活発に。 開発チーム間、ロール間でぎくしゃく miro画面

    ステークホルダーから情報 を引き出すのが大事だとい うことに気づき、レビュー 時に意識するようになった Dev以外との情報共有の重 要性がわかった。特にPO との連携頻度を多くするこ とを意識するようになった チーム混合、いつもと異なるロールでゲーム形式のワークショップをすることで、 お互いのロールの理解やコミュニケーションの改善点が見えてきます。
  13. 23 © NEC Corporation 2021 各開発チームにスクラムマスターを配置 開発チーム毎にzoom会議でスクラムイベントを行うため、スクラムマス ター1人では物理的に1チームしか見られない。開発チーム毎にスクラム マスターを配置し対応。 見えないチームができてしまう

    スクラムマスター同士で 情報交換 開発チーム専属スクラムマスター が会議に参加 無理をしないでスクラムマスターをチーム毎に 置きチームのフォローに集中。スクラムマス ター同士で相談もできるようになった。 スクラムマスターを複数名持つことが困難な場合は、別のスクラムチームのスクラムマスターに部分的に入ってもら う方法もあります。その他、複数のzoomアカウントと端末で同時に参加したり、スクラムイベントの前半と後半で 見る開発チームを変えたり、開発チーム毎に開催時間をずらしたりする対応も考えられます。 同じフロアでは複数の開発チームの様子を同時に観察できますがリモートでは難 しくなります。LeSSでは開発チームの代表が集まることがありますが、その際に 他のメンバーの様子を観察することもスクラムマスター1人では困難になります。 可能であれば複数名のスクラムマスターで対応したいところです。
  14. 25 © NEC Corporation 2021 積極的に声掛けする リモートワークではメンバー間のコミュニケーションが取りづらいことを 意識。積極的に話しかける。 チームへのちょっとした確認がとれていない 問題になる前にTeamsチャット

    で確認しよう。チャットならあ まり迷惑にならないだろう。 ちょっと確認したいことがあるけれ ど、忙しいかもしれないし仕事を止 めたら悪いな。多分こういうことだ ろう…(自信ないけど)。 同じフロアでの作業と違い、リモートでは様子の見えない相手を気づかい声掛け を控えてしまいがちです。そこをチーム全員で共通認識するとコミュニケーショ ンを取りやすくなります。
  15. 26 © NEC Corporation 2021 他の開発チームの問題も自分達事に 他の開発チームで発生した問題に対し、自分の開発チームは大丈夫と考え てそこで思考を止めてしまわない。自分事にしてOne Teamで対処。 他の開発チームの問題を他人事にする

    その問題なんだけど、私たちの チームでも解決案を考えたよ。 こうしてはどうかな? なるほどね。確 かにそうかも。 向こうのチームは大変だな。 私たちのチームは大丈夫そ うで良かった。 開発チームを分けたのは開発チームで壁を作るためではなく、スクラムチーム全 体で効率的なコミュニケーションにより素早く問題を解決するためであることを 意識することが大切です。
  16. 27 © NEC Corporation 2021 開発チームよりスクラムチーム 開発チーム間の開発力の差で劣等感や優越感を感じるのではなく、スクラ ムチームとしてのパフォーマンスの最大化を目指す。 開発チーム間で優越感と劣等感が発生 隣の開発チームは仕事が

    遅いなぁ。早く成長して くれないかなぁ。 足を引っ張っていて すみません。静かに してます。 各々でスキルを身に着けて何でも共 有しよう。スクラムチーム全体の能 力を上げよう。 アイデアや気づきは私 たちにもある。積極的 に共有しよう。 開発チーム間の比較や競争はネガティブな影響を及ぼすことがあります。スクラ ムチーム全体で最大のパフォーマンスを発揮するための協力が必須です。比較は 見学会や外部イベントに参加し優秀なチームから学ぶことをお勧めします。 プロダクトオーナーが開発チームに優劣をつけた接し方をしてしまい、それを開発チームが感じ取り互いの優劣を 意識してしまうこともあります。プロダクトオーナーにもスクラムチーム全体でのパフォーマンスの最大化に着目 してもらうことが大切です。
  17. 28 © NEC Corporation 2021 スプリントレビューはステークホルダー視点で スプリントレビューでは各チームが順番にステークホルダーにスプリント で実施したタスクの結果を報告するのではなく、スプリントで生み出した 価値を説明。 ステークホルダーが価値を感じづらい

    私たちのチームは こんなタスクを行 いました。 どんな価値が生まれたのか分から ない。どのチームが行った作業か は重要ではないんだけど…。 このスプリントでこんなこ とができるようになり、こ んなシーンで役立ちます。 なるほど、それならこんな こともできると更に良くな るね。 スプリントを通してスクラムチーム全体で何を可能にしたのか、その価値は何か をステークホルダーの視点と言葉で説明するようにします。
  18. 30 © NEC Corporation 2021 いかがでしたでしょうか? 一つでも皆さんの新しい気づきになるものがあれば嬉しいです。 チームへのちょっとした確認がとれて いない ⇒積極的に声掛けする

    他の開発チームの問題を他人事にする ⇒他の開発チームの問題も自分達事に 開発チーム間で優越感と劣等感が発生 ⇒開発チームよりスクラムチーム ステークホルダーが価値を感じづらい ⇒スプリントレビューはステークホル ダーの視点で 共有したい情報を掲示しておけない ⇒miroで情報共有 お互いのチームの状況が見えない ⇒合同イベントで情報やノウハウを共有 他の開発チームに助けてもらえることが分 からない ⇒スキルマップを共有 開発チーム間、ロール間でぎくしゃく ⇒スクラム体験ワークショップを実施 見えないチームができてしまう ⇒各開発チームにスクラムマスターを配置 工夫で乗り越えた問題 意識改革で乗り越えた問題
  19. 31 © NEC Corporation 2021 LeSSに挑戦した4か月をふりかえって リモートワークということもあり多くの問題に遭遇していま したが、徐々にチームで考えて乗り越えていく姿勢が身につ き、成長を感じたやりがいのある4か月でした。 スクラムマスター

    アジャイルコーチ 複数チームになることで、よりコミュニケーションの重要さ が身に沁みました。今回は、LeSS初挑戦かつ、リモート、ま た新規チーム立ち上げもあり苦戦することも多かったですが、 非常に良い経験となりました。
  20. 32 © NEC Corporation 2021 これからLeSSに挑戦する人へのメッセージ 今回私たちが乗り越えたことは、New NormalでLeSSを導入 する他のチームでも十分に起こりうることだと思います。私た ちの工夫や意識改革が少しでも皆さんの参考になれば嬉しいで

    す。 私たちはこれからも中大規模のアジャイルを実践し、このよう な社外イベントで情報発信をしていくつもりです。また、皆さ んからの情報発信も楽しみにしています。 New Normalも皆でアジャイルにいきましょう!!