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SPT61_Presentation_Slide

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January 09, 2026
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 SPT61_Presentation_Slide

第110回EIP・第61回SPT・第111回CSEC合同研究発表会
https://www.ipsj.or.jp/kenkyukai/event/eip110spt61csec111.html
タイトル「行動経済学の視点からデータ利活用における「同意」を考える」の発表スライドです。

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Takahito Sakamoto

January 09, 2026
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Transcript

  1. モチベーション&アプローチ プライバシーポリシー等の内容をわかりやすくして も、すぐに同意ボタン(チェック)を押す人は多い。 見落としている要因があるのではないか? 技術的側面や法的側面の視点だけでなく、 行動経済学の視点から人間の非合理性に着目。 目的 • 真に有効な同意に資するアーキテクチャの考察 •

    効率的な調査研究への貢献 2 研究報告サマリー 考察結果 行動経済学の視点から、既存のガイドライン等で は「単純接触効果」と「現在バイアス(先延ば し)」への対応が不十分な点を示唆。 提言 • 同意機会の見直しや同意以外の方法を優先する 等による「単純接触効果」への対応 • ナッジの公正な利用や、データ利用と同意範囲 分割設計による簡素化、容易な状況把握と再確 認の提供等による「現在バイアス(先延ば し)」への対応
  2. ✓ データ利活用とプライバシー ✓ 行動経済学について ✓ 同意に関する考察 • 何が同意を蔑ろにするか? • 現状の取り組みの効果は?

    • 真に有効か同意を取得するためには? • 制限事項と今後の課題や取り組み ✓ まとめ 3 目次
  3. システム1 ✓ 無意識的、直感的に速い判断 ✓ 知的努力はほぼ不要 ✓ 容易に認知バイアスにかかる ✓ スムーズに進むと心地よさを感じる ✓

    頻度が多いと親しみを感じる 6 行動経済学における二重過程理論 (Dual process theory) システム2 ✓ 意識的、論理的に遅い判断 ✓ 知的努力が必要 ✓ 懐疑的に比較検討する ✓ 負荷が多すぎるとサボる ✓ 仕事量に個人差がある 判断の支援を求める 状況を監視 ウェブ、アプリ操作はこちら側 同意などの判断はこちら側ですべき ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』より
  4. 7 行動経済学における人間の二面性(エコンとヒューマン) エコン (ホモ・エコノミクス /合理的経済 人) ヒューマン (限定された合理性) 技術者はヒューマンをエコンに 近づけるアプローチ(教育等)

    に頼りがちだが、限界がある。 ✓ 情報を完全に把握し注意力・計算力がある ✓ 一貫・安定した選好をする ✓ 完璧に自己制御、先延ばししない ✓ 参照点に依存しない ✓ 学習が常に有効 ✓ 注意力・時間が有限、経験則に頼る ✓ 文脈・フレーミングで選好が変わる ✓ 「今」に弱く、先延ばしする ✓ 損失回避・現状維持バイアスが働く ✓ 学習は不完全、習慣・設計に左右される 実際にはヒューマンの特性に合わせた 設計やナッジを併用する必要がある。 リチャード・セイラー『行動経済学の逆襲』より
  5. 14 ① 同意の高頻度な単純接触を抑制する 真に有効な同意を取得するためには? 同意の回数制限 同意以外の方法の優先 • 同意を拒否後に1年間は再同意を求めない (EDPBの新しい原則案) •

    ブラウザでワンクリックで個人情報の売買・ 共有を停止(カリフォルニア州新法) • 利用者の期待の範囲を超えないコンテキスト の構築 • 例えば「取得の状況からみて利用目的が明ら か」な状況を生み出すUI/UXデザインの実施 利用者の活動の全体を通して単純接触を削減できるか...
  6. 15 真に有効な同意を取得するためには? ② 「とりあえず同意し、見直さずそのまま」という先延ばしを抑制する 分割と簡素化 容易な状況把握 再確認の促し データ利用と同意の範囲を 分割し、段階的にわかりや すく簡便な通知と同意の取

    得をジャストインタイムで 実施できるようサービス全 体設計に組み込む。 データ利用中のその時点の 文脈 (コンテキスト) におい て何が起こっているのかを 通知する (位置情報や録画・ 録音のアイコン等) 。 プライバシーダッシュボー ドや同意領収書 (Consent Receipt) を用意し、定期的 に確認するように促す。
  7. 16 制限事項と今後の課題や取り組み 行動経済学者との対話 既存文献との整合性分析や体系化 法的側面の整理 実現方法の検討 行動経済学の専門家と連携し、解釈の正確性 向上や発展的研究の可能性を検討する。 既存のプライバシーパラドックス論文の主張と 整合性を分析する。また行動経済学の視点から

    既存調査の結果の知識の体系化や洞察を行う。 「プライバシーに関する契約についての考察」 シリーズを参考としているが、本稿では法的効 力に関する議論は行っていない。 同意以外の方法として利用者の期待や認識と データ利活用の乖離をどのように最小化する か、サービスの全体設計の中にどのように段 階的なデータ取得・同意を組み込むか。