Cloud Adoption Framework にみる組織とクラウド導入戦略

Cloud Adoption Framework にみる組織とクラウド導入戦略
Japan Azure User Group 14周年イベント登壇資料
https://jazug.connpass.com/event/327273/

Transcript

1. Cloud Adoption Framework にみる組織とクラウド導入戦略 株式会社SAKURUG プロダクトDiv 草場 友光 Japan Azure User Group14周年イベント
2. 自己紹介 • コミュニティ活動を通じて知識をアッ プデートしています。 • 2022/08-2025 Microsoft MVP (Developer Technologies) • tomo_kusaba
3. 宣伝 【VISION】ひとの可能性を開花させる企業であり続ける VISIONに共感できる仲間募集中。
4. 注意 • 個人の見解・解釈が多分に入っています。 • 見解の相違・事実誤認などありましたらご指摘ください。
5. 今日の目的 • Cloud Adoption Frameworkのなかでも導入部分の重要部 分である組織作りの重要性と導入についてについて紹介します。 • ソフトウェア開発者目線でみたAzure導入に関しての問題点につ いて焦点をあててお話しをしたいと思います。 • Azure CAFをもとに私の個人的な体験を織り交ぜてのお話しを させていただきます。
6. Cloud Adoption Frameworkとは？ • クラウドアーキテクト・ITプロフェッショナル・ビジネスサイドがクラ ウドの導入目標を達成できるようにするフレームワーク • Microsoftやその顧客がクラウド導入で得られたノウハウが詰め 込まれている • 今回はクラウドを導入する・しないという判断の話はしません。ク ラウド導入前提でのお話しにします
7. クラウド以前のお話し • 古くからある伝統的な企業では業務効率化のためにコンピュー ターを導入してきました。 • 大型コンピュータ • PCサーバー • etc...
8. クラウド以前のお話し2 • 古くからある伝統的な企業ではコンピューターの運用に様々なノ ウハウを蓄積してそのための組織作りをしてきました。 • そして、その運用方式はもはや文化です。
9. どんな組織作りをしてきたっけ？ • 多くの企業では・・・縦割りの組織構成を取ってきた • インフラ専門の部門 • 開発専門の部門 • 保守専門の部門 • 運用専門の部門
10. クラウドとそれ以前との違い • 大型コンピュータにしてもPCサーバーにしても買い切り型のハー ドウェアでした。 →初期導入時にスペックを綿密に検討する必要がある • クラウドは基本的にクラウド業者からサービスを借りるもの →あとから自由にスペックを変更することができる
11. どうしてクラウドを導入するの？ • ビジネス上の成果 • クラウド投資を最適化したい • 素早いビジネス展開に対応したい • 顧客の期待を上回るサービスを提供したい • 財務上の考慮事項 • 技術的な考慮事項 • これらを定義することによって技術的選択が正しく行える
12. 目的が決まると？ • クラウド導入方法が決まる • マイグレーション • Azure VMをメインにデータベース、ID、DNSなど一部PaaS化を検討 • モダナイゼーション • App ServiceをメインにPaaS化しDevOps手法を使うなどモダン化 • イノベーション • クラウドに移行するのみならずクラウドならではの機能強化を実装 • 例）PowerBIによるデータの民主化 • 例）AOAIによる新しい機能の実装
13. （理由例1）クラウドならではのサービスを 利用したい • Azure OpenAI Serviceを利用してチャットボット機能を追加 したい！ • Speech To Textを利用して喋った言葉をテキストに起こす機 能を追加したい
14. （理由例2）CI/CDを導入する • ビジネスに適合した速度でしかも品質を担保したサービスを展開 したい
15. （理由3）スケールしやすい • 一時期に集中して使われることが分かっているサービス →オンプレ時代はピークに合わせて性能を設計していたがクラ ウドではピーク時のみスケールアウト • 予期せぬスパイク →自動的にスケールアウト
16. （理由4）データセンターを閉鎖したい • 物理的なサーバーの運用をなくしたい • 物理層の運用がなくなることでここに張り付いている技術者のコ スト削減 • CO2削減 →Azureのような大規模なデータセンターの方が有利 ISO/IEC 27001追補で気候変動の課題に関する考慮を求める
17. 単純にクラウドを導入しただけで効果ある？ • 組織が変わらなければ先に挙げたようなクラウド導入理由による 成果を上げにくい。 • これは従来のオンプレミスシステム・ウォーターフォール型のシス テム開発に特化した組織と体制だから
18. 自組織におけるクラウド導入の動機 • どうしてクラウド導入しなければいけないのか？ • ビジネスの観点から理由付けをして組織内での共通認識としま しょう！
19. アセスメントを利用しよう • Cloud Adoption Strategy Evaluator
20. アセスメントの実施例1
21. アセスメントの実施例2
22. アセスメントの実施例3
23. さまざまなアンチパターン • 組織の観点 • 規則の観点 • 導入ツールの観点
24. （あるある1）関係組織のコミュニケーショ ンコストが高い！ • 通常、1つの部門内のコミュニケーションコスト => 低い • 部門をまたがるコミュニケーションコスト => 高い • 本当は技術的にはインフラ(クラウド)側で解決すべき性質の問題 もアプリケーション側でなんとかしがち
25. （あるある2）重厚すぎる承認フロー • たとえば、CI/CDを活用してリリース頻度をもっと上げたい →重厚すぎる承認フローでできない！？ • 自動テストで品質を担保できるところはないか？ • カナリアリリース • すぐにできる切り戻し
26. （あるある3）似た目的のツールが乱立 • Aプロジェクト：GitHub • Bプロジェクト：Azure DevOps • Cプロジェクト：GitLab • さすがに統一しましょう。。。
27. 組織と組織文化 • 組織を変化させることで組織文化を変化させることができる • しかし、組織文化のみを変化させることは困難
28. 組織変革の一例 • 従来はインフラ・バックエンド・フロントエンドそれぞれ縦割りの職 能型のチーム構成でチームをまたがったコミュニケーションコスト が高かった。 • インフラ・バックエンド・フロントエンド開発を含むプロジェクトチー ムをつくる
29. コンウェイの法則 • システムを生み出す組織はコミュニケーション構造そっくりの設計を生 み出してしまうという原則 • チーム内で完結する変更はコミュニケーションコストが低いのでスムー ズ • チームをまたがる変更はコミュニケーションコストが高いので工数が高 い • 技術的にチームをまたがる変更が妥当としてもチーム内で完結させた ゆがんだ変更になりがち
30. スキル文化 • クラウドの導入により求められる役割が変化します。 • 求められるスキルセットも変化します。 • クラウドは日々変化しています。 • 変化を受け入れ日々キャッチアップできることが求められていま す。
31. これまでの変化 • メインフレームからPCサーバー • オペレーターとしての役割がほぼ消滅 • システム管理者としての役割 • 物理サーバ単体から仮想化へ(Hyper-V/ESXi, vCenter) • 仮想化コンピューティングを扱える技術者のニーズ
32. クラウドで起きる変化 • 一般に複数領域での知識を求められる • 今までは開発者は開発の知識を主に求められてきた • クラウドではどのリソースにデプロイすべきかビジネスに最も適 合したリソースはなにかを考えそれに最適化したアプリケーション を作る必要がある App Serviceを選択するのかFunctionを選択するのかでアプ リケーションの作りが違いますよね。
33. スキル文化を定着させるために • JAZUGに参加する！
34. パートナー戦略 • 特に日本ではオンプレミスシステムのシステム導入においてパート ナー企業に大事な企業のコア部分を依存してきました • ハードウェアの調達の難しさ、システムの複雑さからしてして難し い部分もあります • しかしながらクラウドを導入するにあたり重要な意思決定などコ ントロールを少しでも取り戻していく方向で考えていくことが重 要です
35. 参考文献 • Azure 向けの Microsoft Cloud 導入フレームワーク https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/cloud- adoption-framework/ • Cloud Adoption Framework Boot Camp https://www.youtube.com/playlist?list=PL1RqQ3kddIp Ze9hQozXALLITeTJtMiXHv • 超訳 Azure CAF (前半) https://www.youtube.com/watch?v=eHLpPk6P8hw • 超訳 Azure CAF (後半) https://www.youtube.com/watch?v=RwAtcn75_7A
36. おしまい おしまい