Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
サービス開発の現場からOSSを生み出す思考技術 / genbaweb04
Search
Yuichi Goto
October 22, 2018
Programming
3
1.2k
サービス開発の現場からOSSを生み出す思考技術 / genbaweb04
プラットフォームサービスの成長を支える技術〜Web現場Meetup #4(2018/10/22)
Yuichi Goto
October 22, 2018
Tweet
Share
More Decks by Yuichi Goto
See All by Yuichi Goto
[Teaser] Type-Safe Lightweight DDD with Effect Schema
yasaichi
1
66
Google Cloud を用いたソフトウェア開発の内製化組織の早期立ち上げの実現 / Rapid Establishment of In-House Software Development Teams Using Google Cloud
yasaichi
1
560
[EN] Robust and Scalable API Gateway Built on Effect
yasaichi
3
210
Effectで作る堅牢でスケーラブルなAPIゲートウェイ / Robust and Scalable API Gateway Built on Effect
yasaichi
8
1.7k
あるRailsエンジニアがビジネスリーダーに転身するまで
yasaichi
8
2.7k
Active Recordから考える次の10年を見据えた技術選定 / Architecture decision for the next 10 years at PIXTA
yasaichi
50
20k
Active Recordから考える次世代のRuby on Railsの方向性 / Directions for the next generation of Ruby on Rails: From the viewpoint of its Active Record
yasaichi
38
20k
ピクスタのエンジニアリングとCircleCI / Software Engineering with CircleCI at PIXTA
yasaichi
1
370
Ruby on Railsの正体と向き合い方 / What is Ruby on Rails and how to deal with it?
yasaichi
143
89k
Other Decks in Programming
See All in Programming
Mermaid x AST x 生成AI = コードとドキュメントの完全同期への道
shibuyamizuho
0
160
テスト自動化失敗から再挑戦しチームにオーナーシップを委譲した話/STAC2024 macho
ma_cho29
1
1.3k
急成長期の品質とスピードを両立するフロントエンド技術基盤
soarteclab
0
920
今からはじめるAndroidアプリ開発 2024 / DevFest 2024
star_zero
0
1k
MCP with Cloudflare Workers
yusukebe
2
220
良いユニットテストを書こう
mototakatsu
5
1.9k
快速入門可觀測性
blueswen
0
330
103 Early Hints
sugi_0000
1
220
Criando Commits Incríveis no Git
marcelgsantos
2
170
useSyncExternalStoreを使いまくる
ssssota
6
1k
[JAWS-UG横浜 #76] イケてるアップデートを宇宙いち早く紹介するよ!
maroon1st
0
450
Symfony Mapper Component
soyuka
2
730
Featured
See All Featured
Build The Right Thing And Hit Your Dates
maggiecrowley
33
2.4k
Embracing the Ebb and Flow
colly
84
4.5k
Side Projects
sachag
452
42k
Bash Introduction
62gerente
608
210k
Faster Mobile Websites
deanohume
305
30k
The Straight Up "How To Draw Better" Workshop
denniskardys
232
140k
Fireside Chat
paigeccino
34
3.1k
Building a Modern Day E-commerce SEO Strategy
aleyda
38
7k
10 Git Anti Patterns You Should be Aware of
lemiorhan
PRO
656
59k
Scaling GitHub
holman
458
140k
The Art of Delivering Value - GDevCon NA Keynote
reverentgeek
8
1.2k
StorybookのUI Testing Handbookを読んだ
zakiyama
27
5.3k
Transcript
サービス開発の現場から OSSを生み出す思考技術 Yuichi Goto (@_yasaichi) October 22, 2018 @ Web現場Meetup
#4
self.inspect @_yasaichi yasaichi http://web-salad.hateblo.jp ピクスタ株式会社 技術推進チームリーダー !2 一般的には「技術基盤」と 言われるようなチーム
本発表について 話すこと • 私がOSSの開発に至る までの思考パターン • 思考パターンを実際の 問題に適用した例 !3 話さないこと
• 紹介するOSSの詳細 • 原理の理解に必要な RubyやJSの知識 • 具体的な実装
Agenda 背景と目的 OSSを生み出す思考パターン 実際の適用例 まとめ !4
サービス開発の現場はOSSネタの宝庫 • 私(エンジニア歴4年目)の場合 • 今まで作ったOSSは8つ • 作成したOSSのほとんどが現場で直面した問題が きっかけで生まれたもの • 現場に立っているからこそ、開発者の問題を解決する
ソフトウェアを生み出せる !5
個人でOSSを開発・公開するメリット • 自身の能力を外部に示せる形で残せる • 一発当たれば有名(?)になれるかも • 開発する過程で少なからず学びや成長がある • 何かを拡張する場合、作る過程で対象に詳しくなる •
公開する前提で作るので良いプレッシャーがある !6
とはいえ • 経験上、誰もができるわけではなさそう • 技術的なスキルの問題というよりは、単に機会を 見逃していることが多いように見える • 現場の問題に対してどう向き合うか境目では? • 自身の思考パターンを共有することで誰かが良い
OSSを生み出すきっかけになれば嬉しい ☺ !7
Agenda 背景と目的 OSSを生み出す思考パターン 実際の適用例 まとめ !8
全体の流れ !9 解決策を説明する一文を考える ③ メタ認知 解決策が適用できる別の問題を探す ② 特化 問題をなるべく小さくして解く ①
汎化
フェーズ1: 汎化 • やること 目の前の問題をなるべく小さな別の問題にしてから、 それに対する解決策を考える • なぜやるのか 問題を小さくしようと意識すると、結果として汎用的な 解決策が生まれやすいため
!10
フェーズ2: 特化 • やること 得られた解決策が目の前の問題以外のケースにも 適用できないか考える • なぜやるのか 得られた解決策が汎用的かどうか確認するため !11
フェーズ3: メタ認知 • やること 得られた解決策をOSSとして公開したと仮定して、 提供する機能を説明する一文(英語)を考える • なぜやるのか 他者に説明しようと試みることで、得られた解決策の 有用性を客観的に捉えることできるため
!12 READMEを書いても良いが、もう 少しお手軽なこちらがおすすめ
Agenda 背景と目的 OSSを生み出す思考パターン 実際の適用例 まとめ !13
事例1: sass-var ॾࣄʹΑΓඇެ։ !14
事例2: gakubuchi https://github.com/yasaichi/gakubuchi • RailsのAsset Pipelineを利用して静的ページを 管理できるようにするgem • 開発のきっかけ メンテ前に
public/503.html を修正していた際に、 Viewを書くようにエラーページを書きたいと思った !15
思考の流れ: 汎化フェーズ !16 やりたいことを分解すると、テンプレートエンジンの利用、 外部CSS/JSの参照、ヘッダー等の再利用の3点 最後の「部分テンプレートの利用」さえ諦めれば、Asset Pipelineがそのまま使えそう。エラーページだしいいか Rakeにはタスクの前後に任意の処理を差し込むAPIがあ るので、エラーページをpublic以下に移す処理だけ書く
思考の流れ: 特化/メタ認知フェーズ !17 実装を工夫すれば、エラーページに限らず任意の静的 ページ(キャンペーンページ等)で同じ仕組みが使えそう 静的ページ全般で使えるので、一言で説明すると"Static pages management with Asset
Pipeline"かなあ よさそうなのでgemify! $
結果 !18 $ echo "gem 'gakubuchi'" >> Gemfile $ bundle
install &>/dev/null && bin/rails generate gakubuchi:install create config/initializers/gakubuchi.rb create app/assets/templates $ bin/rails assets:precompile &>/dev/null $ cat public/foo.html <link rel="stylesheet" media="all" href="/assets/application- f0d704deea029cf000697e2c0181ec173a1b474645466ed843eb5ee7bb215794.css" /> <%# app/assets/templates/foo.html.erb %> <%= stylesheet_link_tag 'application', media: 'all' %> precompileすると、外部CSSを参照 したHTMLがpublic以下にできる
番外編: grease https://github.com/yasaichi/grease • Tilt(テンプレートエンジンのAPIを統一するラッ パー)をSprockets v4でも動作させるアダプター • 開発のきっかけ(≠現場の問題) 事例2で紹介したgakubuchiで「Sprockets
v4で 動かないんですけど…」というIssueが立った !19 Asset Pipelineの実装に 使われているgem
思考の流れ !20 gakubuchiにSprockets v4対応のコードを足すのではな く、別のgemとして実装してこれを適用する形にする Tiltが対象としているテンプレートエンジンとSprocketsを 統合するgemを開発する場合にも同じように使えそう ニッチだが、"Tilt adapter for
Sprockets 3 or later"と いう一文でわかる人には絶対わかると信じてgemify! $
https://github.com/metaskills/less-rails/pull/137 !21 結果
何が起きた? • 特化フェーズでの読みがそのまま当たった • less-rails(RailsでLessを使うためのgem)での Sprockets v4対応にgreaseが利用された • 結果、35万ダウンロードの私的最大ヒット作に ✌
• "問題を小さくしようと意識すると、結果として汎用的 な解決策が生まれる"ことを身をもって実感した !22
Agenda 背景と目的 OSSを生み出す思考パターン 実際の適用例 まとめ !23
まとめ • サービス開発現場の問題をきっかけにOSSの開発に 至るまでの私の思考パターンを紹介した • 汎化→特化→メタ認知の3フェーズで成り立つ • 各フェーズにおいて考えるべきことがある • この思考パターンを実際の問題に適用した例を3つ
紹介し、その効果を示した !24
ご清聴ありがとうございました !25