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不確実性下の意思決定理論入門

ymgc
September 07, 2024
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 不確実性下の意思決定理論入門

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September 07, 2024
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  1. Itzhak Gilboa HEC経営大学院の経済学・意思決定科学教授 ▶ David Schmeidlerの指導の下でPh.D.取得。 - 決定理論、ゲーム理論、社会選択理論が主な研究分野。不 確実性下の意思決定に特に注力。 -

    ミクロ経済学、決定理論、ゲーム理論などを学部、大学 院、MBAレベルで教授 - 意思決定理論の第一人者 ▶ 不確実性下での意思決定に関するモデルである「マキシミ ン期待効用理論」や「事例ベース意志決定理論」など - 4
  2. 1. 不確実性下の意思決定とは 意思決定理論: 「よりよい意思決定」を追究する学問領域 ▶ 意思決定の定義:ある状況下で複数の選択肢から1つを選ぶこと ▶ 数学的表現: ▶ 状況

    、選択肢 - 意思決定の結果: - 不確実性下の意思決定:状況が確率的にしか判断できない場合の問題 ▶ 理論的アプローチ:結果 の期待値最大化を考える ▶ 5
  3. 2. 意思決定と情報量 情報量:意思決定の精度向上に重要 ▶ 情報量の定義: 「不確実性の減少量」 ▶ 情報エントロピー(H)を用いた不確実性の数値化: ▶ 具体例:

    ▶ 2つの状況(N=2)で最大不確実性: - 新情報により確率更新(50%→75%) : - 情報量: bit - 情報量がゼロの情報も存在(何も言っていない文章など) ▶ 6
  4. 3. 情報の価値 定義:情報使用/不使用時の結果の期待値の差異 ▶ 情報の価値の3ステップ: ▶ 1.情報による行動の変化 - 2.行動変化による結果の変化 -

    3.変化前後の結果の差異 - 行動変容を引き起こさない情報に価値はない ▶ 「分からない」という情報にも価値がある場合がある ▶ 情報取得のコストを考慮する必要性 ▶ 7
  5. 4. 意思決定の実践 (2/2) KPIツリーの活用: ▶ KGIの設定とKPIツリーへの分解 - 変数間の独立性/従属性の整理 - 従属性の高い変数の統合

    - 不確実性の高いパラメータの優先的選択 ▶ 意思決定プロセスの適切な粒度での分割・委譲 ▶ 例:プロダクトチーム vs. 経営企画チーム - 9
  6. 5. 意思決定とセンスメイキング (1/2) 規範的アプローチ: ▶ 数学的論理に基づく客観的な最適解を追求 - 公理的ルールと数学的論理を使用 - 現実社会の意思決定:

    ▶ 人々は必ずしも数学的に最適な選択をしない(行動経済学の知見) - 合理性は主観的で、人によって異なる - 10
  7. まとめ 不確実性下の意思決定理論:不確かな状況下でのよりよい意思決定のための科学的アプローチ ▶ 情報量:不確実性の減少量を表す指標 ▶ 情報の価値:行動変容と意思決定結果の変化に基づく ▶ 実践的アプローチ: ▶ 意思決定パラメータの削減

    - 変数の独立性・不確実性評価 - 意思決定プロセスの分割・委譲 - 合理性の主観性:個人や集団によって異なる ▶ 集団意思決定におけるセンスメイキングの重要性 ▶ 12
  8. Appendix: 用語辞書 KGI (Key Goal Indicator): 重要目標達成指標。組織の最終的な目標を表す指標。 ▶ KPI (Key

    Performance Indicator): 重要業績評価指標。目標達成のための過程を評価する指標。 ▶ エントロピー: システムの乱雑さや不確実性を表す概念。情報理論では情報量の測定に使用。 ▶ 規範的アプローチ: 理想的な意思決定方法を提示する理論的なアプローチ。 ▶ センスメイキング: 人々が経験を理解し、意味づけを行うプロセス。組織論で重要な概念。 ▶ 13