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自己位置推定精度向上のためのセンサ情報補正

aks3g
September 03, 2024
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 自己位置推定精度向上のためのセンサ情報補正

FSS2024で発表したスライドを少し修正したものです。

aks3g

September 03, 2024
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  1. 背景・目的 • ミニ四駆AI • ミニ四駆と制御装置を組み合わせてタイム・速度を競う競技 • 本来ミニ四駆には動的な制御は存在しない • オフライン型ミニ四駆AIの位置推精度が課題 •

    センサから得られる情報が真値と乖離しがち • 特に軸回転を見るタコメータによる移動距離センサ • タイヤは常に滑っている • スリップ率を計測し距離センサへの補正に利用 2024/9/4 FSS2024 2
  2. コーナーセクションでのYaw角速度との相関性 • Yaw軸角速度に対して負の相関 • 急旋回の方がタイヤが滑っていると言える 2024/9/4 FSS2024 12 y =

    -4E-07x2 + 0.0002x + 1.0005 0.8 0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 250 300 350 400 450 500 550 600 650 700 750 Slip Ratio Yaw軸角速度[dps] 2次関数で近似した 方が良いかも?
  3. レーンの誤検出 • 回転半径を基にした位置推定の場合スリップによってレーンを誤検出しがち • 中央周走行時のデータ 2024/9/4 FSS2024 14 500 520

    540 560 580 600 620 640 660 11 13 15 17 19 21 23 25 27 回転半径[mm] 速度[km/h] 664mm 549mm 435mm JCJCのコーナーセクション回転半径
  4. FSS2024での実績 2024/9/4 FSS2024 15 0 50 100 150 200 250

    300 350 400 450 500 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 グリッド番号 経過時間[sec] • グリッド上の位置推定の結果を比較 • グリッド0からスタート • 理想的にはグリッド番号が順に進む • 下のグラフのような結果が得られる 対象コース グリッド
  5. FSS2024での実績(スリップレート補正なし) 2024/9/4 FSS2024 16 0 50 100 150 200 250

    300 350 400 450 500 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 グリッド番号 経過時間[sec] 対象コース グリッド
  6. FSS2024での実績(スリップレート補正あり) 2024/9/4 FSS2024 17 0 50 100 150 200 250

    300 350 400 450 500 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 グリッド番号 経過時間[sec] 対象コース グリッド 推定精度は向上している
  7. スリップ率に影響するパラメータは多い • 摩擦に関連するパラメータ • 重量 • タイヤ素材 • ノーマル,ソフト,ハード,スーパーハード,ローフリクション,中空タイヤ,スポンジ •

    構造に関連するパラメータ • タイヤ直径 • トレット幅 • ホイルベース • 重心位置 2024/9/4 FSS2024 19 トレット幅 ホイルベース パラメトリックに補正できる? 全パタン試験するのがかなり大変
  8. 走行データからスリップ率を推定する(1/3) • 前提条件 • 走行した内容が既知 • 幾つかの速度域で走行 • 総移動距離をサンプリング毎に得られた移動距離の和で表現 •

    パラメータA,B,C,D,Eを求める問題 • 実験で得られたモデルに対するパラメータ推定 • このままだと解くことが出来ない 2024/9/4 FSS2024 20 𝑑 = ෍ 𝑖=0 𝑁 𝑑𝑖 + ෍ 𝑗=0 𝑀 𝑑𝑗 𝑑𝑖 = (𝐴 ƴ 𝑟𝑖 + 𝐵) ሖ 𝑑𝑖 ストレートセクション走行時の移動距離 𝑑𝑗 = (𝐶 ƴ 𝑎𝑗 2 + 𝐷 ƴ 𝑎𝑗 + 𝐸) ሖ 𝑑𝑗 コーナーセクション走行時の移動距離 ƴ 𝑎𝑗 Yaw軸角速度 ƴ 𝑟𝑖 タイヤ回転数[rpm]
  9. 走行データからスリップ率を推定する(2/3) • Yaw軸角速度の情報から,コーナーを走行しているかストレートを走行しているか判 別し式を分離 • この条件でもまだ解くことが出来ない • 走行内容(コース)が既知であることを利用 2024/9/4 FSS2024

    21 𝑑𝑠𝑡𝑟𝑎𝑖𝑔ℎ𝑡 = ෍ 𝑖=0 𝑁 𝑑𝑖 = ෍ 𝑖=0 𝑁 (𝐴 ƴ 𝑟𝑖 + 𝐵) ሖ 𝑑𝑖 𝑑𝑐𝑜𝑢𝑛𝑒𝑟 = ෍ 𝑗=0 𝑀 𝑑𝑗 = ෍ 𝑗=0 𝑀 (𝐶 ƴ 𝑎𝑗 2 + 𝐷 ƴ 𝑎𝑗 + 𝐸) ሖ 𝑑𝑗
  10. 走行データからスリップ率を推定する(3/3) • 連続するストレートセクションと連続するコーナーセクション毎に式を建てる • 十分な走行履歴があれば連立方程式が解ける • 最小二乗法でそれらしいパラメータを推定 2024/9/4 FSS2024 22

    𝑑𝑠𝑡𝑟𝑎𝑖𝑔ℎ𝑡 = ෍ 𝑠=0 𝑂 𝑥𝑠 = ෍ 𝑖=0 𝑂 (𝐴 ƴ 𝑟𝑖 + 𝐵) ƴ 𝑥𝑠 𝑑𝑐𝑜𝑢𝑛𝑒𝑟 = ෍ 𝑐=0 𝑃 𝑥𝑐 = ෍ 𝑗=0 𝑃 (𝐶 ƴ 𝑎𝑗 2 + 𝐷 ƴ 𝑎𝑗 + 𝐸) ƴ 𝑥𝑐 𝑥𝑠 ∈ 𝑋𝑠𝑡𝑟𝑎𝑖𝑔ℎ𝑡 ストレートセクションを走行している区間の集合 𝑥𝑐 ∈ 𝑋𝑐𝑜𝑢𝑛𝑒𝑟 コーナーセクションを走行している区間の集合
  11. 推定結果 • レーンチェンジなしのオーバルコース(右図)を内周,中央周,外周を走行 • ストレートセクションの長さは以下のように設定 • 外周 590mm • 中央周

    570mm • 内周 550mm • コーナーセクションの半径は以下のように設定 • 外周 664mm • 中央周 549mm • 内周 435mm 2024/9/4 FSS2024 23 0.9 0.92 0.94 0.96 0.98 1 1.02 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500 Slip ratio 回転数[rpm] 0.8 0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 250 350 450 550 650 750 850 Slip Ratio Yaw軸角速度[dps]
  12. まとめ • 画像計測による走行距離の実測方法を示した • ミニ四駆のスリップがストレートとコーナーで異なる振る舞いをすることを示した • ストレートは線形近似,コーナーは2次多項式近似で補正をした • モデルがこれで正しいのかは別途調査が必要 •

    上記モデルを基に実走行データのみを用いて補正のパラメータを得られることを示した • 事例数が足りていないので追試が必要 • 実ストレート長さについての検討が必要 2024/9/4 FSS2024 24
  13. 使用機材 2024/9/4 FSS2024 26 • カメラ sony XCU-CG160C • グローバルシャッタ―

    • フレームレート 100fps • 解像度 1456x1088 • レンズ
  14. 位置推定 -地図ベースの位置推定 • 入力 • コースの地図 • ミニ四駆の場合コースは1次元で表現可能 • コースを100㎜のグリッドに分割

    • 各グリッドの回転半径で分類 • ミニ四駆の状態 • 6軸IMUから得られる姿勢情報 • タコメータから得られる速度情報 • 出力 • グリッド上での存在確率 Index 0 Pitch軸 回転半径<800mm 600mm≦Yaw軸回転半径<800mm 490mm≦Yaw軸回転半径<600mm 300mm≦Yaw軸回転半径<490mm 600mm≦ - Yaw軸回転半径<800mm 490mm≦ - Yaw軸回転半径<600mm 300mm≦ - Yaw軸回転半径<490mm 800mm≦ |Yaw軸回転半径| 2024/9/4 FSS2024 28
  15. 位置推定 – グリッド上での存在確率 • 瞬時的な存在確率と更新された既存存在確率の重み付き和 • センサ1サンプル毎にこの計算を繰り返す • 最も存在確率が高い箇所を自己位置として解釈 •

    メリット • 比較的計算コストが低い • 1ループで実装可能 • デメリット • 位置ロックまでにある程度の距離が必要 2024/9/4 FSS2024 32