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あの日ハッカーに憧れた自分が、「ハッカーの呪縛」から解き放たれるまで

ar_tama
March 19, 2023
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 あの日ハッカーに憧れた自分が、「ハッカーの呪縛」から解き放たれるまで

YAPC::Kyoto 2023で発表した内容です。
https://yapcjapan.org/2023kyoto/
動画📹 https://www.youtube.com/watch?v=zZkcwOQKmSw

ar_tama

March 19, 2023
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Transcript

  1. あの日ハッカーに憧れた自分が
    「ハッカーの呪縛」から解き放たれるまで
    Makoto Arata @ Cake.jp
    @YAPC::Kyoto 2023/03/19

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  2. おしながき
    - ハッカーへの憧れ、そして呪縛
    - 自分は何を見て、何を見ていなかったのか
    - エンジニアの評価軸:事業・技術・組織
    - 求められる三角の形は環境によって変わる
    - 果たしてハッカーとは何であり、何でないのか

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  3. 自己紹介
    新多真琴/あらたま/@ar_tama
    - 株式会社ディー・エヌ・エー
    - 株式会社セオ商事
    - 株式会社ロコガイド
    - 株式会社Cake.jp(2021/06~)
    - 執行役員CTO
    󰩵 サウナ旅が趣味
    🍡 日本もちもち協会 代表

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  4. 駆け出しエンジニア、ハッカーたちと邂逅する
    YAPC::Asia 2011 Keynote
    “Managing A Band Of Hackers”

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  5. 駆け出しエンジニア、ハッカーたちと邂逅する
    - 就活を目前にして、漠然と「エンジニアとして強くなりたい」という思いだけがあった
    - 「よく分からないけどここに行ったら強くなれそう🥳」
    - →就職🏃💨

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  6. 駆け出しエンジニア、「ハッカー」とのギャップにもがく
    - 「郷に入ったからには、ハッカーらしい振る舞いと実力をつけねばならぬ」
    - なおゴールイメージはない
    - 「ハッカー」の定義も曖昧なまま
    - 少なくともこれを奨励されているわけではなさそう↓
    - CPAN Author? YAPC登壇?

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  7. 何を見て、何を見ていなかったのか
    - 得意分野を活かしたアサインメントが増え、それなりの自信は持てるように
    - 抽象度の高い要求を理解し、具体化できること
    - 連携における綻びを見つけられる・修復できること
    - ただし正攻法の成長ルートではない(と感じていた)
    - =「ハッカー」になれない不安と焦り
    - 今思うとしっかり「正攻法の成長ルート」にも乗っていたし、評価もされていた
    - 周りが強すぎて見えていなかった…

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  8. 「ベクトルが自分に向いているうちは何してもだめ」
    とは南場さん(DeNAファウンダー)の言
    - やるべきだったのは…
    - 事業の向かう先を理解して
    - 組織が求める自分の役割を理解して
    - そこに自らの「ありたい姿」を重ねること
    - 翻って自分が理解できていたのはせいぜい…
    - 大規模PJくらいの目的・向かう先
    - PJにおける自分の果たすべき役割(周囲のフォローを含む)
    - 自分の掲げた目標のゴールイメージすら掴めていなかった

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  9. エンジニアの評価軸:事業・技術
    - 「正しく設計し、正しくコーディングする」
    - 「正しさ」は、視点や状況によって簡単に変わりうる
    - 変わらない市場も存在しないし、変わらない業務フローも存在しない
    - 技術的確からしさだけでは技術選択の決定打にはなりえない
    - エンジニアに必要なのは突き抜けた技術だけ……ではなかった!

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  10. 「システムは現実の写像たれ」
    とは前田さん(現くふうカンパニーCPO)の言
    =業務フローやカスタマージャーニーを理解して、忠実にコードへと落とし込む
    - whatを出すケーパビリティがなくても、whyからwhatまでを正しく理解し、howに責
    任を持てるエンジニアにならなければいけないと悟った
    - 技術に明るいだけではなく、ドメイン≒事業にも明るくないと
    事業価値の高い=寿命長く価値を生み出し続けるコードは書けない

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  11. 事業・技術、2つの軸を同時に極めることは難しい
    - ただし大抵の会社は「どちらの軸もそれなりに育った人」を求めていることが多い
    - =必ずしも突出はしていなくてもいい(!)
    - 以下が合致していることが「良い環境に身を置けていること」と言えそう
    - 会社が自分に求めるバランス
    - 自分が目指したいバランス

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  12. 第3の軸:組織
    - 会社に人が寄り集まる理由は、1+1=2ではなく10や100にしたいから
    - 10や100にするために自分や周りができることを考える
    - メンバーレイヤでも持てる視点の例:
    - マネージャーに「うまくマネージされる」ために、自分に何ができるか
    - チームの生産性を上げるために、自分や周りに何ができるか

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  13. 求められる三角の形は環境によって変わる
    - 事業・技術・組織、どの軸をどう伸ばしていくか
    - 自分自身のwill/canと、環境からの期待とで決まる
    - 軸の最大値も評価指標も相対的

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  14. 期待と実感、指標の定義をきちんと周囲とすり合わせることが大事
    青:自分への期待/黄:自分のwillやcan

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  15. 参考:Cake.jpでの定義はこんな感じ

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  16. 参考:フェーズ別CTOの例
    「(スタートアップで)CTOをやる」と一口に言っても、
    求められる領域はフェーズや周囲のケーパビリティに大きく左右される

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  17. 果たしてハッカーとは何であり、何でないのか
    - きっと、こう
    - 三大美徳(怠惰・短期・傲慢)とHRTが実装されている
    - 目的の達成に対しての労力を惜しまない
    - 正しい手段として技術を用い、かつそれで何かを成そうとしている
    - きっと、こうではない
    - 朝が遅く、夜も遅い
    - コミュニケーション・コラボレーションを拒否する
    - 単一視点からの正論パンチマシーン
    - 「ハッカーになる」のではなく、我々の中にハッカーの性質が元からある

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  18. 「ハッカー」であり続けるために
    - 自らのwill=「こうありたい・あり続けたい」をシャープに捉え続けること
    - どんな技術に興味があるのか
    - 相手にどんな価値を届けることに興味があるのか
    - どんなチームを作ることに興味があるのか
    - 事業の向かう先と、果たすべき自分の役割を理解し、willを重ね合わせられれば、
    きっと納得の行くキャリアが歩めるはず
    - 名前は後からついてくる

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