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ボストンコンサルティング(第4次産業革命時代におけるグローバル経済の動向とリスクマネー)

 ボストンコンサルティング(第4次産業革命時代におけるグローバル経済の動向とリスクマネー)

べあキャピタル

March 08, 2020
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  1. 2 1. 検討のまとめ 政府系ファンドの必要性 そもそもわが国において リスクマネー供給は 不足しているか? 政策手段としての、 政府系ファンドの 特徴は何か?

    政府系ファンドならでは の強みは何か? 米中に対して、グロース投資が圧倒的に不足 (資料1、2) リスクマネーを活用した事業創出活性化に向けては、前提としての リスクマネー供給強化が不可欠 (資料3、4) 特にガバナンス強化を考えると政府系ファンド活用が最も有効 (資料5) • さらに、リターンの大きさ、スピードなどの観点でも有効 諸外国においても広く活用 (資料6) 資金規模・投資の柔軟性・政府との関係性を活かし、政府系ファンド ならではの強みを構築 (資料7、8) 1 2 3 検討結果 主な論点 1 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  2. 3 米国・中国はグロース投資の規模において日本を圧倒 資料1: リスクマネー不足 絶対規模比較 GDPに対する相対規模比較 8 10 6 4

    2 0 0.1 7.5 2013 0.2 4.9 2012 0.1 4.4 2011 0.1 4.8 2010 0.1 3.4 2009 0.1 2.9 2008 0.1 4.0 2007 0.2 3.9 0.5 0.3 0.6 1.3 0.8 0.4 1.7 2.1 2.2 7.5 (兆円) 2015 0.7 0.1 8.6 2014 (年) 2016 0.2 中国 日本 米国 0.44 0.40 0.25 0.29 0.25 0.25 0.18 0.18 0.16 0.17 0.05 0.09 0.09 0.04 0.04 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 2006 2008 2010 2012 2014 2016 0.09 0.09 0.07 0.37 0.02 0.27 0.18 0.03 (%) 0.03 0.02 0.02 0.03 0.02 0.21 0.02 中国 日本 米国 米 国 : 約 50 倍 中 国 : 約 15 倍 米 国 : 約 10 倍 中 国 : 約 5 倍 Note: 日本のみ年度ベース (4月~翌年3月); なおVCによる投資のみが集計対象で、事業会社によるベンチャー投資は含まず 2004年~2016年の円換算レートは2016年の平均レートを適用(米国 1ドル=108.8円、中国 1人民元 =16.4円 Source: Venture Enterprise Center「ベンチャー白書2017」 1
  3. 4 国内VCの現状を見ると、エクスパンションを支える資金供給が不足している可能性 資料2: リスクマネー不足: ベンチャーのステージ別 主に対応するステージ 独立系 シード アーリー エクスパ

    ンション レイター ファンドへの間接投資 ベンチャー CVC 大企業 CVC 金融系 大学/ 政府系 特徴 • 主にアーリー中心に投資も戦略・投資先は スターキャピタリストの知見や人脈に依存 • 純投資中心とシナジー追及に大別 • オープンイノベーションを背景に通信、金融、製造業等 幅広い業種でCVC設立がブーム化 • 老舗が多い金融系はIPOに近いレイターが中心 • 事業会社としての側面活かしCVC的な投資も実施 • 大学系は大学発のシード技術の事業化を中心に支援 • 政府系では中小機構中心にVCへの投資も活発 シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資 シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資 シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資 シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資 1 Source:エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ分析
  4. 5 リスクマネーを活用した事業創出の要素が現在の日本では不足している可能性 資料3: リスクマネー不足: グロース投資増加の好循環に必要な要素と日本の現状 供給・需要の両方へのアプローチが必要だが まずは供給だけでも十分に存在する状況を作り出す 資金の供給増 資金の需要増 (起業件数増)

    リスクマネーを活用した 事業創出の好循環 (模式図) A B 資金の 需要 B 資金の 供給 日本 (参考) アメリカ 現状 A 起業活動は活発ではない • 起業活動率・ユニコーン 企業社数等の指標で 他国より劣後 • 内的 (国民性 等) ・外的 (規制 等) の複数要因が 存在 GDP規模と比べグロース 投資額の規模は限定的 • 1,500億円/年 • 対GDP比0.03% (2016年) 起業活動が活発 • 起業活動率は先進国 トップレベル • ユニコーン企業も多数 輩出 世界トップレベルの グロース投資規模を誇る • 75,000億円/年 • 対GDP比0.37% (2016年) 1 Source: Venture Enterprise Center「ベンチャー白書2016」, IMFWorld Economic Outlookよりボストン コンサルティング グループ作成
  5. 6 リスクマネーを活用した事業創出における課題の整理 資料4: リスクマネー不足: グロース投資増加の好循環に必要な要素と日本の現状 凡例 資金 需要 資金 供給

    機関投資家のPE/VC投資が少ない • 国内年金基金のPE/VC投資少ない • 海外投資家の国内PE/VCへの投資 が少ない リスクマネー供給が不足 • リスクマネー投資を担う人材が不足 • 特にVCの機能に改善の余地あり – 目利き力が不足し、同じ投資先に 群がる傾向 – 長期・大規模投資やリターン創出 力に改善余地 出口戦略が見えづらい • CVC投資やメガベンチャー少ない M&Aによる産業再編 (新陳代謝) • しがらみや終身雇用制など背景に 企業再編やカーブアウトが少ない • プロ経営者マーケット未成熟 起業家/従業員が質量とも不足 • 労働市場の流動性低く挑戦が困難 • 支援の仕組弱い (弁護士、規制 等) 質量ともに案件の魅力に乏しく、 投資家からのマネー流入を喚起出来ず 個人資産が直接金融に回っていない • 金融資産が高齢者層に集中 • 運用は銀行預金が中心 リスク マネー フロー上 の課題 課題 個人の貯金選好 (運用軽視) 根強く、 年金等機関投資家 も未だ未成熟 スタート アップ 大企業 機関投資家 直接金融 間接金融 個人投資家 資金 拠出 金融 仲介 事業 創出 間接金融中心の 時代長く、"リスク マネー人材" は 恒常的に不足 背景にある 経緯・文化 大企業・終身雇用 への信仰根強く、 M&Aへの抵抗感 も未だあり 1 2 3 1 2 3 4 5 6 4 5 6 1 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  6. 7 政府系ファンドは的確なスコープにガバナンスの効いた政策手段 資料5: 政策手段としての政府系ファンドの特徴 評価軸 産業政策の支援手段 規制緩和 税優遇 範囲狭い (企業レベル)

    リターン • 直接的・社会的 リターンは大きいか • 費用対効果は確保 されているか スピード • 実行までの所要時間 (法案通過等、事前準備 が必要か) 柔軟性 • 環境変化に合わせ柔軟 に打ち手を変更できるか スコープ • 意図した産業/企業に 対象を絞り込めるか (それにより効果を 最大化できるか) • 対象範囲は広いか 直接リターン 社会的リターン 範囲広い (産業レベル) 支援実行まで 早い 支援実行まで 遅い 高い 低い ガバナンス • 資金供与先への コントロールができるか 強い 弱い 補助金 政府系ファンド 政府 (関連機関) 投融資 民間/ 外国の 批判 • 民業圧迫の批判が 大きいか • WTO等貿易上の問題に なる可能性はないか 可能性あり 可能性なし … 2 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  7. 8 諸外国もSWFや政府系ファンドを政策実現に活用している 資料6: 諸外国の取組み: SWF/政府系ファンドによる政策実現の取組み例 2 国家戦略の実現を目的とするSWF その他政府系ファンド • 中東とアジアを中心に、国家戦略の実現を目的と

    するSWFが見られる • アジアでは100%政府出資によるVCが存在 • 中東では官民ファンドでリスクマネーを供給 • その他西欧諸国でも中小起業育成のための政府 系ファンドを運用 国内及び海外企業投資による 収益最大化を目的 • 当初、戦略資産である政府系企業 の管理の為設立 • 近年では民間PEの人材・仕組み を導入し、収益最大化を図る 石油に頼らない自国経済の 多様化を企図 • リターンに加え、自国の 国家戦略・産業開発を重視 国有企業改革と海外投資による 自国経済の発展が目的 • 設立初期は、国内企業の救済が 中心 • 近年は、国家の将来成長のシーズ 投資に軸足 中小を中心とした国内企業向け 公的金融機関 • FoF中心の投資/融資 政府傘下の投資機関 • レーターステージへの投資 • Bio/IT等に集中投資 政府傘下のVC • R&Dを中心とするテック ベンチャへの投資・育成 政府・民間出資の官民ファンド群 • 自国のベンチャーに投資 中小企業育成向け政府系ファンド • FoF中心の投資/融資 事例1 (アジア) 事例2 (中東) 事例3 (アジア) 事例4 (アジア) 事例5 (アジア) 事例6 (中東) 事例7 (西欧) 事例8 (西欧) Source:各社HP、エキスパートインタビュー等よりボストン コンサルティング グループ作成
  8. 9 資金規模・投資の柔軟性・政府との関係性を活かし、政府系ならではの強みを構築 資料7: 政府系ならではの強み 強みの源泉 政府資産を背景とした 資金規模 投資の柔軟性 • リスク/リターン

    • 投資期間 政府との関係性 景気低迷時にもカウンターシクリカルな資金供給 新産業へペイシェントキャピタルの提供 政府関連ファンドとしての信頼性提供 (Co-investorに対する安心感) 本来の政府系ファンドの活かし方 民間では手が出ない超大型案件に投資 リターンだけでは正当化できない案件への投資 • 雇用・税収や、付随するトータルの経済効果を考慮 ハイリスク案件への投資 諸外国政府 (機関) との関係性を活用した海外政府やSWFとの連携 3 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  9. 10 政府系ファンドは民間ファンドが投資しづらい領域をカバーする存在 資料8: 民間との住み分け 想定のIRRは どの程度か? 重要な技術の 防衛のために 必要か? 民間が投資

    しやすい 景気環境か? 投資規模は どの程度か? 投資期間は どの程度か? 投 資 判 断 の 要 素 無 政府系 投 資 実 行 者 民間 High Mid~Low No Yes Yes No 超大型 大型 以下 短~中期 長期 3 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  10. 11 1. 検討のまとめ 政府系ファンドのあるべき姿(1/2) 2 本組織には、 どのような機能を 持たせるか? 特に「案件発掘・獲得」と「経営支援/事業運営機能」を強化する (資料12)

    • 上記2つの機能の強化が最優先 "次世代産業育成" と "既存産業再編の競争力強化"の2つを目的とする (資料10) • 投資意思決定の独立性の観点から、事前の目的明確化が不可欠 • 現在の国内産業課題を踏まえ、上記2つを投資目的として設定 • 但し、上記目的は国家戦略見直しに合わせ定期的に妥当性を確認/見直し 本組織の目的は どうすべきか? 目的に沿った投資戦略、投資領域、投資目標を明確に規定する (資料11) • 個別案件でのファンドの裁量は維持しつつ、事前に詳細まで規定すべき • 投資方針は目的別に毎年レビューし、必要に応じて修正 どのような ポートフォリオ (投資方針) を 持たせるか? 検討結果 主な論点 前述の機能を 提供するために、 どのような 組織体制整備/ 人材確保を 行うべきか? ファンド組織は目的別に最適化し、HDに共通機能を極力集約する (資料13) • 専門化と共通化の最適点となる全体組織 設計により、双方メリットを最大限活用 ファンドトップは民間トップ人材を配置すべく、人事・報酬も民間並に引き上げ (資料14、15、16) • CEO/MDレベルの強化がカギ • そのためには、民間並みの条件を整えなければ人材獲得は困難 4 6 5 7 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  11. 12 1. 検討のまとめ 政府系ファンドのあるべき姿(2/2) どのようなガバナンスの 仕組みを構築すべきか? 投資業務はファンドで完結、HDはファンドの目的/方針策定・評価や、政府との 調整を担い、責任と権限を明確に分離 (資料17、18、19、20) •

    ガバナンス強化には個別案件の投資プロセスにHDが関与しない組織・制度 設計が必要 • KPIは組織の目的に合わせ設定した上で、HDレベルで事後評価する 一般向けの情報開示を最適化し、外部の目を通したガバナンスも強化する (資料21、22) • 政府系ファンドには適度な情報開示による投資活動の透明性担保が 求められる 2 検討結果 主な論点 8 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  12. 13 新組織が担うべき目的は "次世代産業育成" と "既存産業の競争力強化" の2つ 資料10: 国内の産業課題と新組織が担うべき目的 新組織が担うべき目的 産業振興の取組み

    産業再編 新産業 (ベンチャー) 育成 規制緩和 コーポレートガバナンス強化 産業の新陳代謝促進 M&A、ベンチャー関連法/税規制 産業競争力強化法、INCJ コーポレートガバナンスコード INCJ 3 インフラ輸出 クールジャパン 中小企業の海外進出 対内FDI促進 戦略的国際連携 インバウンド促進 国際展開 TPP、EPA トップ外交、資金支援 新輸出大国コンソーシアム CJ機構、情報発信 日本型IR、国際博覧会誘致 研究開発、事業化支援 5 ビックデータ/AI ロボット/ドローン ヘルスケア 自動走行 イノベーション 再生医療、健康・医療情報基盤整備 産業データ集約・流通支援、情報銀行 ドローン実証実験 (福島) 自動走行システム実証実験 (新東名) 宇宙 衛星データオープン化、ロケット開発 1 スマートホーム推進、電子タグ普及 IoT 3D地図 自動走行実現のための標準地図 デファクトスタンダード化 2 中小企業育成 中小企業育成 (中堅企業化) 地域中核企業、事業承継支援事業 6 地域経済活性化 地域経済活性化 観光、スポーツ、文化事業支援 7 再生可能エネルギー開発・普及 環境・エネルギー 少エネ補助金、次世代自動車補助金 8 被災地復興支援 被災地復興 廃炉・汚染水対策、被災者支援事業 9 国の安全に係る技術 サイバーセキュリティ強化 災害対応 産業安全保障 インフラのサイバー攻撃脆弱性評価 製造業重要技術認証制度 製造業BCP支援、製油所耐震力強化 4 働き方改革 働き方や人材 働き方改革、第四次産革人材育成 10 区分 テーマ 具体例 次世代産業 育成 既存産業の 競争力 強化 地方経済活性化のための「育成すべき産業」を選定 し、集中的に投資 地方創生 軸の異なる目的のため、REVIC等の別機構で対応 「目的」に関する運用の原則 • 定期見直し: 課題認識に合わせ、5年毎に定期レビュー/見直し • 緊急見直し: 目的の範疇で対応できない案件発生時、取締役会/ 外部有識者会等を開いて議論→目的を曲げて解釈しない Ⅰ Ⅱ 設備・投資過剰の産業に対し、統合・再編を主導し、 産業競争力を向上 (全体最適化推進) • 民間で集約困難 (「しがらみ」) な産業が主対象 重点分野における重複投資の回避 (協調領域) • 例:ダイナミックマップ 今後核心産業になり得る事業の「種」を育成 • 「回収期間が長い」または「リスク高い」分野に 集中的に投資する → 民間との競合を回避 • 業種は第四次産業革命関連、ステージは シード/アーリーが中心 次世代 事業育成 効率化 促進 新たな プラット フォーム の創造 技術保護 「国家競争力に関わる技術」を保護 • 民間・海外資本の短期リターン志向による ポテンシャル喪失を牽制する • 当該産業は高い付加価値を持ち、経済指標に 大きく貢献するもの (雇用・所得・GDP貢献 等) 成長産業・企業へグロースマネーを供給しプラット フォームの確立を支援 • プラットフォーム性有する企業のエクスパンショ ンを中心に支援、新たな社会インフラを構築 4 Source: 首相官邸HP「未来投資戦略2017-Society 5.0の実現に向けた改革」( http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/ )、 内閣府HP「経済財政運営と改革の基本方針2017」 ( http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2017/decision0609.html )、経済産業省HP「平成26-30年度経済産業政策の重点( http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2018/index.html )」、 「産業構造審議会 新産業構造ビジョン」( http://www.meti.go.jp/press/2017/05/20170530007/20170530007.html )よりボストン コンサルティング グループ作成
  13. 14 投資方針は組織毎の目的に沿って明確に規定する 資料11: 新組織の投資方針 基本的な 考え方 ファンドの目的に合わせ、投資方針を具体的に定義する • 投資戦略、投資テーマ・領域、投資目標を明確に規定 •

    投資方針は目的別に毎年レビューし、必要の応じて修正 個別投資先選択の自由度は原則組織トップへ委譲するも、組織の目的によっては議論が必要 ファンドの投資方針 ファンドの目的 • 将来国内産業の中核となりうる技術のある産業に対して投資 – ハイリスク/長期回収となる技術案件に限定 – 投資対象は方針で規定 – 特にシード段階にあるベンチャーへ投資 次世代 事業育成 次世代産業 育成 • 未来社会のインフラになりうる成長産業・企業へグロース マネーを供給しプラットフォームの確立を支援 – 規模拡大で標準化の加速可能な技術を持つ企業中心 – 国内外へのエクスパンションにグロースマネー供給 • 国内産業の維持に不可欠な中核技術を持ちながら、外資企業との 競争等の中で存続の危機に瀕した企業に対して投資 • 日本経済/安全保障の基盤を成すインフラ技術を持つ企業に 対して投資 技術保護 • 自動車、半導体、航空 等 (裾野の広い産業中心) • 抜本的な産業構造の転換が必要と見込まれる産業において、 構造転換を促進する案件に対して投資 – 民間資本による再編が進まない案件に集中 • 重点分野における、既存企業による重複投資の回避 (協調 領域) 例: ダイナミックマップ 効率化促進 • 製紙、石油、電気、地銀 等 • 自動運転、IoT 等 第四次産業革命関連 • ヘルスケア、バイオ、宇宙、ロボット/ド ローン、ビッグデータ、AI 等 既存産業の 競争力強化 新たなプラット フォームの創造 投資分野 Ⅱ Ⅰ 5 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  14. 15 目的に合わせ必要な機能を整理、特に発掘・獲得と経営支援/事業運営機能を強化する 資料12: 高いケイパビリティが要求される機能 (新組織が保持・強化すべき機能) 6 Source: ボストン コンサルティング グループ分析

    ファンドの目的 コーポレート機能: M&A実務、IR/広報、コンプライアンス、財務経理、総務、IT、人事 投資目的設定 投資方針策定 案件 発掘・獲得 案件審査 スクリーニング 経営支援 事業運営 エグジット 事後評価 投資実行 既存産業の 競争力強化 次世代 産業育成 社内外のリソースを活用しながら ディールをクローズ • 投資チームがディール全般を推進 • 案件審査 (Due Diligence) フェーズでは、外部コンサルタント、 法律・会計事務所などを活用 • 投資判断フェーズでは、主体と なる投資委員会が最も強化 すべき機能 • ディール実行フェーズではIBや 法律事務所などを活用 全レベルでの関与 • 取締役派遣に よるガバナンス や経営支援 • CxO人材と バリュークリ エーション チーム投入に よる戦略策定 ~実行 (含む オペレーション 改善) 案件発掘・獲得 • 関連産業への ネット ワークを駆使 • 強い目利き力 が必要 テクノロジー/ スタートアップ 動向に関する 調査分析 タイミング/ エグジット先の 見極め • 定期レビュー にてエグジット の可否検討 • 投資委員会の 決裁にて実施 既存産業に 関する調査分析 投資実績の評価 • 業績評価規定 と政策貢献度 を評価 • 業績は定量 指標にて公正 評価 • 外部有識者会 議が政策貢 献度を目的別 に評価 → 報酬や待遇 へ適切に 反映 ハイレベルな 関与 • 取締役派遣に よるガバナン スや経営支援 • 地域展開など 戦略にアド バイス : 最優先で強化 : 強化 投資委員会 投資 評価 委員会 投資チーム PFチーム ディール サポートチーム 投資チーム 取締 役会 CEO/ 共通 部門 取締 役会 投資 委員会 関わる 組織 (会議体) : HD組織 : ファンド組織 Ⅱ Ⅰ
  15. 16 ファンドレベルでは目的に合わせた専門性高い組織設計も、共通機能は本部へ集約 資料13: 新組織の組織設計 フ ァ ン ド レ ベ

    ル CEO/共通部門 外部有識者会 投資委員会/ 共通部門 投資チーム ディールサポート チーム PFチーム 取締役会 H D レ ベ ル 階層 HD CEO 取締役会 産業競争力強化 委員会(仮) 財務 経理 広報/IR システム リスク・ 内部監査 人事 企画 ディールサポートチーム ディールサポートチーム CEO MD D/VPプール (業種別) MD 投資委員会 次世代産業育成 As/ANプール (次世代産業) CEO MD D/VP (業種別) D/VP (業種別) MD D/VP (業種別) D/VP (業種別) 投資委員会 既存産業の競争力強化 As/Anプール (既存産業の競争力強化) D/VPプール (業種別) Ⅰ Ⅱ PFチーム PFチーム 7 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  16. 17 民間PE/VC並の報酬/人事制度で一流人材を確保・定着 • 給与水準の向上 – ファンド/組織成績に連動したボーナス支給 – 厳しい業績・パフォーマンス評価制度の導入 投資人材育成のため、IB等からポテンシャル人材を採用 ランクごとに求められるスキル水準を明確化

    • ランクはアナリスト⇒アソシエイト⇒VP⇒ディレクター⇒MDの5段階 • 一段階2~3年で要求スキル水準に達すれば昇進 • VP以降は昇進基準に占めるファンド成績割合増加 業界トップクラスのシニアによるOJTで若手人材を育成 所属組織及びランクによって以下要素に濃淡つけて評価 • スキル評価: 主に昇進に反映 • ファンド・組織成績評価: 主にキャリー/ボーナスに反映 • 政策合致性評価: 主にキャリー/ボーナスに反映 プロフェッショナルファーム同様Up or Outの仕組を導入 ファンド・組織成績に連動したキャリー/ボーナスの比率を民間並みに引上げ 採用 育成/キャリアパス 評価 報酬 (まとめ) 検討の方向性 人事制度 民間並の人事・報酬で一流人材を獲得 資料14: 新組織の人事・報酬制度 7 Source:起業経験者/VC関係者等へのインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成
  17. 18 ポジションごとに評価基準を明確化し、必要な度合いを重み付け 資料15:評価基準 7 : 高い水準で必須 : 一定水準は必要 評価基準 項目

    内容 政府系ファンドトップに相応しい経歴か? 人間性は確かか? 業界内での評判はよいか? 組織のマネジメントとして十分な実績あるか? 十分なディールの実績あるか? 業界で十分なコネクションあるか? • 産業界、PE/VC、テクノロジー業界 • 着実にディール遂行できるか (経験) ? • アドバイザー (IB 等) を使いこなせるか? • 事業運営 (コンサル) 経験あるか? • アドバイザーを使いこなせるか? • 十分な英語力はあるか? • 海外での事業/マネジメント経験あるか? • 銀行・証券出身か? 十分な実績あるか? • 政府・官庁との調整力はあるか? その他 スキル・経験 経歴・実績 人格 リーダーシップ トラックレコード ソーシング力 エグゼキューション マネジメント バリューアップマネジメント 英語力/海外経験 金融機関との関係構築 政府との関係構築 マネジメント ファンド運営 ポジション毎に必要な度合い ファンドCEO (PE) HD CEO ファンドMD (PE) Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  18. 19 個々人の評価に加え、HD/ファンド両マネジメントチームの組合せにも留意が必要 資料16: 各ポジションの関係性 ファンド CEO HD CEO ファンド MD

    互いの役割を理解・尊重し合える上下関係 を築けるか? • 政府意向やファンド運営方針に対する 考え方や理解度に乖離はないか? • マネジメントスタイル、思想、性格に Fitがあるか? • 互いの責任範囲は尊重し、良好な 上下関係を築けるか? 実務には 介入せず • ファンド運営 と投資実務 の摺合せ • 徒弟制に よるMD育成 会 社 経 営 ( 政 策 支 援 ) フ ァ ン ド 運 営 各マネジメントの役割、連携イメージと選定時の論点 考え方 • 上下の役職は連携を 密にする必要あり – 政府・会社レベルと ファンドレベルの 意思統一/利害 調整が重要 • 従って人材選定時には、 各ポジションでの最適 化ではなく、チームと しての最適化を検討 することが重要 徒弟制度的な上下関係を築けるか? • ファンド運営手法や投資スタイルに 大きな齟齬はないか? • CEOにMDを指導できる十分な技量・ 経験があるか? 連携イメージ 選定時の論点 政府とファンド の意向調整の ため密に連携 7 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  19. 20 政府/HDは原則投資実行以外の部分を担うことでファンドをガバナンス 資料17: 主要な意思決定事項とガバナンス: 責任と権限 8 実現したい国家戦略に沿った 目的・方針を策定 • 政府:国家戦略の反映

    • HD:リアリティチェック (リソース面 等) と政府へ のフィードバック 目的達成の観点からHDが リソース配分を決定 • ファンド規模 (資金) • 人材 (人数・スペック) 決定 • 運用会社の設立・廃止 客観的な評価に基づく信賞 必罰の報酬システムでガバナ ンスの実効性担保 • 外部有識者が各ファンド/ 投資を主に政策合致性の 観点から評価 • HDは総合的なパフォーマ ンスを評価し、信賞必罰で 報酬水準を決定 投資規模別の決裁基準で、 投資意思決定のスピードと クオリティのバランス • 意思決定はファンド内 完結 • (巨額投資は、HDもファン ドサイズを通して、一部コ ントロールすることも可能) 設計の意図 ファンド組成 目的・方針策定 投資実行 評価・報酬 レイヤー 政府戦略の観点からの 目的・方針を議論/指示 ファンド規模・目的を 議論、申請組成を承認 ポートフォリオ 運用の責任と 権限はファンドに 委譲 取締役会で 総合的なKPI 達成状況評価 • 政策KPIは 評価委員会 報酬決定 支払承認 • 四半期に1回ファンドの運営状況を報告 • 5年に1回定例で政策目的に合わせファンド目的見直し (臨時もあり) 収益性・実行性の観点 から政府と議論 政治・経済状況などに 合わせて指示 目的・方針 を議論 政治経済 状況の変化 年1回 政府 ファンド 貴省 投資委員会 取締役会 投資委員会 評価委員会 (外部有識者) CEO HD 協議のもとファンドの 目的を設定 目的・方針 を議論 ファンド組成を承認 ファンド増減額・廃止も 政府承認必要 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  20. 21 個別案件は原則ファンドレベルで完結、HD以上は基準外/技術保護案件のみ関与 資料18: 投資案件におけるガバナンス: 案件決裁フローと投資委員会の構成 8 投資案件における決裁フローと投資委員会の構成 • 事前に設定した投資基準内の 案件は「ファンド投資委員会」で

    投資実行まで完結 • 投資基準は投資金額、 リターン目標、投資分野で 規定 • ファンドの裁量を強化し投資 の機動性を確保 • 基準外の案件はHDを含めた 「拡大投資委員会」で判断 • 過半数の賛成で可決 • 各出席者の役割は以下 – HD CEO 全社戦略との合致性担保 – 貴省ご担当 政策合致性の担保 • オブザーバーは投票権は 持たない • 技術保護を目的とした案件は 拡大投資委員会で政策合致性を 確認 1 2 3 次世代事業育成 新たなプラット フォームの創造 効率化促進 技術保護 次世代産業育成 既存産業の競争力強化 Ⅰ Ⅱ 投資 金額 10億円以下 50億円以下 100億円以下 - 投資 分野 第四次産業革命関連 • ヘルスケア、バイオ、宇宙、ロボット/ ドローン、ビッグデータ、AI 等 • 製紙、石油、 電気、地銀 等 • 自動運転、IoT • 自動車、半導体、 航空 等 リターン 目標 IRR15%以上 - MOC2倍以上 基本的な考え方 基 準 外 ファンド投資委員会 ファンド MD ファンド CEO 可決の閾値:過半数の賛成 投 資 基 準 内 個 別 案 件 の 投 資 基 準 決 裁 権 限 と 会 議 体 拡大投資委員会 年1~2件 程度 2 可決の閾値: 過半数の賛成 オブザーバー (社外取締役、専門家等) + HD CEO 貴省 ご担当 ファンド MD ファンド CEO ~ 1 3 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  21. 22 リターン/政策KPIの達成度合い事後評価し、ファンドの予算・ボーナスプールに反映 資料19: 新組織のKPIの考え方① 8 個人評価・報酬 ランクに応じ変動し、成績での 変動なし 個人評価は原則ランクの 昇降格通じベース給与に反映

    個人 報酬 • 案件/ファンド成績に応じ変動 • リターンへのインセンティブ 強化に適宜ファントムファンド など仕組も活用 ボーナス/ キャリー ベース 個人評価 組織の予算・ ボーナスプール へ反映 組織評価 リターン KPI評価 政策 KPI評価 HD 最終調整 • 事前に設定 した項目に 従って定量・ 定性で政策 合致性を評価 • 第三者委員会 による評価に 応じ、リターン KPIから± 1ランクの調整 • 評価項目 (案) は次頁 リターンKPIと 政策KPI評価 を基にHDで 最終調整 KPIの達成度 合に応じて、 Poor - Excellentまで 5段階で評価 1 2 3 ファンドトップが予算・ボーナスプール基に個人 評価・報酬分配を決定 ファンド内での評価・分配 4 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  22. 23 ファンドの目的別にリターン及び政策目標を綿密に設定 資料20: 新組織のKPIの考え方② 8 リターンKPI 政策KPI 既存産業の 競争力強化 Ⅱ

    次世代 産業育成 次世代事業育成 新たな プラットフォーム の創造 効率化促進 技術保護 評価項目 運用期間 評価単位 Ⅰ ファンド/ 案件単位 MOC2-4倍 IRR 10-20% 5-8年 8-10年 • 産業再編におけるEXIT金額 • 協調領域における投資の件数 • 第四次産業革命関連業種の件数 • シードステージでの投資件数 • プラットフォーム構築関連業種の件数 • エクスパンションステージでの投資件数 • 基幹技術の保護に資する投資の件数 5-8年 KPI達成状況は組織評価 (予算) とマネジメント評価 (報酬) に紐付き、 ディスクロージャーでも開示する Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  23. 24 一般向け情報公開に対する方針・方法の見直しと開示内容の充実に違い 資料21: ディスクロージャーによるガバナンス: 主なSWFの情報開示に対する評価の比較 Source: 各社HP、エキスパートインタビュー等よりボストン コンサルティング グループ作成 8

    限定的 記載あり 充実 凡例 具体的な方法 一般向け 情報開示に 対する方針 目的 投資方針 組織 人材 ガバナンス/ 政府との関係 ポートフォリオ 財務 調達 個別投資先 リターン 事例3 (アジア) 実績評価に詳細記載も、 一般向けの情報発信は限定的 運営会社の財務情報開示あり 開示なし (実績評価に詳細) 政府との関係性やガバナンスに係る 記載はごく僅か 事業報告とHPのみ • 組織・会議体の概要記載あり • 取締役のみHPに記載 目的・投資方針記載はあるも限定的 事例2 (中東) 目的・投資方針記載はあるも限定的 • 金額・リターン情報限定的 • 投資地域・業種情報のみ 開示なし 組織の情報は比較的充実 政府との関係性やガバナンスは 表面的な記載に留まる 開 示 内 容 アニュアルレポート HP 表面的には行動規範で求められる 情報あるも、情報量は限定的 開示なし 事例1 (アジア) アニュアルレポート HP 運営会社の財務情報開示あり 調達先まで詳細表示 運用開始時から金額・リターン情報 開示あり 個社 (出資比率) 情報開示 組織・会議体の詳細記載あり MDクラス略歴、報酬方針も記載 民業圧迫や政府との関係性批判への 対応から積極的に開示する方針 目的・投資方針記載充実 投資戦略、リスク管理方針も記載 政府関与ないことを明記 投資意思決定の独立性強調 個別投資先情報あり 主な投資先のリターン情報あり 個別投資先情報あり 個別リターンの記載はなし
  24. 25 一般向け情報公開に対する方針・方法の見直しと開示内容の充実に違い 資料22: ディスクロージャーによるガバナンス: アジア/国内政府系ファンドの開示方針と内容の比較 Source: 各社HP、エキスパートインタビュー等よりボストン コンサルティング グループ作成 事例1(アジア)

    事例2(アジア) • 一般向け意識したVisual中心のアニュアル レポート • 財務中心の事業報告や実績評価 一般向け 情報開示に対 する姿勢と方法 ポートフォリオ/ 個別投資先 組織人材/ ガバナンスと 政府との関係 • ファンドのリターン推移や調達先等詳細ま で明記 • 主要投資先の業績から個別リターンまで 記載 • 取締役は勿論MDクラスまで略歴HP上に 記載 • AR10頁以上割きガバナンス、設立経緯や 政府との関係を詳説 (政府からの独立性 を明記) • ファンドのリターン等詳細情報は限定的 • 投資先/案件概要は記載あるも個別リター ンは非開示 • 取締役のみHPに記載 (過半は氏名のみ) • ガバナンスや政府との関係性に係る記載は ごく僅か 8
  25. 27 目次 1. 検討のまとめ 政府系ファンドの必要性 政府系ファンドのあるべき姿 2. 検討資料詳細 政府系ファンドの意義 日本における官民ファンドの現状

    海外SFWの動向 PE/VCファンドの現状 我が国が抱える産業課題の現状 政府系ファンド活用の方向性検討 (あるべき姿の策定) 3.その他ご参考資料 1 6 5 2 3 4 1 2
  26. 28 下記3つの視点から考えて、日本国において政府系ファンドを保有する意義は高い 政府系ファンドの意義: サマリ 政策手段として の政府系ファンド の特徴 政府系ファンドは的確なスコープにガバナンスの効いた政策手段 • 税優遇や補助金など他の政策手段に比べ、特定企業に対しスピーディーに

    ガバナンスを効かせられる有効な政策手段 • 但し、運用の方向性によっては民業圧迫の懸念や投資失敗のリスクを背負う 諸外国の取組み 諸外国において、SWFや政府系ファンドを活用した政策実現 (産業育成) 事例がある • 諸外国では政府系ファンド/官民ファンドを活用した産業育成の成功事例が見られる リスクマネー不足 「グロース投資」におけるリスクマネーの供給が不足している可能性 • 「グロース投資」の規模不足の原因は起業家 (投資先)・資金供給の両方に起因 – 起業が定着せず、スタートアップの数が足りない – 投資規模は、主要国 (米・中・EU) に比べ、絶対/相対的に小さい • 一方、現状の資金ニーズにも対応し切れているとも言い難い Ⅰ Ⅱ Ⅲ 政府系ファンドの意義 1 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  27. 29 政府系ファンドは的確なスコープにガバナンスの効いた政策手段 政策手段としての政府系ファンドの特徴 Ⅰ 政府系ファンドの意義 1 評価軸 産業政策の支援手段 規制緩和 税優遇

    範囲狭い (企業レベル) リターン • 直接的・社会的 リターンは大きいか • 費用対効果は確保 されているか スピード • 実行までの所要時間 (法案通過等、事前準備 が必要か) 柔軟性 • 環境変化に合わせ柔軟 に打ち手を変更できるか スコープ • 意図した産業/企業に 対象を絞り込めるか (それにより効果を 最大化できるか) • 対象範囲は広いか 直接リターン 社会的リターン 範囲広い (産業レベル) 支援実行まで 早い 支援実行まで 遅い 高い 低い ガバナンス • 資金供与先への コントロールができるか 強い 弱い 補助金 政府系ファンド 政府 (関連機関) 投融資 民間/ 外国の 批判 • 民業圧迫の批判が 大きいか • WTO等貿易上の問題に なる可能性はないか 可能性あり 可能性なし … Source: 起業経験者/VC関係者へのインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成
  28. 30 グロース投資の好循環が巡るための要素が現在の日本では不足している可能性 リスクマネー不足: グロース投資増加の好循環に必要な要素と日本の現状 政府系ファンドの意義 1 Ⅱ 供給・需要の両方へのアプローチが必要だが まずは供給だけでも十分に存在する状況を作り出す 資金の供給増

    資金の需要増 (起業件数増) A B 資金の 需要 B 資金の 供給 日本 (参考) アメリカ 現状 A 起業活動は活発ではない • 起業活動率・ユニコーン 企業社数等の指標で 他国より劣後 • 内的 (国民性 等) ・外的 (規制 等) の複数要因が 存在 GDP規模と比べグロース 投資額の規模は限定的 • 1,500億円/年 • 対GDP比0.03% (2016年) 起業活動が活発 • 起業活動率は先進国 トップレベル • ユニコーン企業も多数 輩出 世界トップレベルの グロース投資規模を誇る • 75,000億円/年 • 対GDP比0.37% (2016年) リスクマネーを活用した 事業創出の好循環 (模式図) Source: Venture Enterprise Center「ベンチャー白書2016」, IMFWorld Economic Outlookよりボストン コンサルティング グループ作成
  29. 31 リスクマネーを活用した事業創出における課題の整理 リスクマネー不足: グロース投資増加の好循環に必要な要素と日本の現状 凡例 資金 需要 資金 供給 政府系ファンドの意義

    1 Ⅱ 機関投資家のPE/VC投資が少ない • 国内年金基金のPE/VC投資少ない • 海外投資家の国内PE/VCへの投資 が少ない リスクマネー供給が不足 • リスクマネー投資を担う人材が不足 • 特にVCの機能に改善の余地あり – 目利き力が不足し、同じ投資先に 群がる傾向 – 長期・大規模投資やリターン創出 力に改善余地 出口戦略が見えづらい • CVC投資やメガベンチャー少ない M&Aによる産業再編 (新陳代謝) • しがらみや終身雇用制など背景に 企業再編やカーブアウトが少ない • プロ経営者マーケット未成熟 起業家/従業員が質量とも不足 • 労働市場の流動性低く挑戦が困難 • 支援の仕組弱い (弁護士、規制 等) 質量ともに案件の魅力に乏しく、 投資家からのマネー流入を喚起出来ず 個人資産が直接金融に回っていない • 金融資産が高齢者層に集中 • 運用は銀行預金が中心 リスク マネー フロー上 の課題 課題 個人の貯金選好 (運用軽視) 根強く、 年金等機関投資家 も未だ未成熟 スタート アップ 大企業 機関投資家 直接金融 間接金融 個人投資家 資金 拠出 金融 仲介 事業 創出 間接金融中心の 時代長く、"リスク マネー人材" は 恒常的に不足 背景にある 経緯・文化 大企業・終身雇用 への信仰根強く、 M&Aへの抵抗感 も未だあり 1 2 3 1 2 3 4 5 6 4 5 6 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  30. 32 ベンチャー向けリスクマネー供給は、規模で米中が日本を圧倒 リスクマネー不足: 日米欧中の絶対規模比較 (ベンチャー投資実行額) 75,192 86,235 74,920 48,764 44,205

    48,198 33,924 28,810 40,430 38,678 31,639 25,601 23,577 7,266 7,062 21,526 21,211 17,028 6,571 7,551 13,457 5,849 3,025 4,716 3,890 2,276 1,552 1,529 875 1,968 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 1,818 2015年 1,302 1,026 4,138 2,790 2005年 5,353 (億円) 2009年 4,656 2008年 2006年 2011年 1,240 5,269 2013年 4,716 2010年 1,132 4,547 2007年 1,933 2,345 (年) 2016年 1,366 4,271 2012年 1,171 4,391 2004年 2014年 米国 日本 中国 欧州 資金の供給 A 米 国 : 約 50 倍 中 国 : 約 15 倍 Note: 欧州: 欧州内の投資家 [VCを含むPE会社] による投資 (欧州外への投資を含む); 日本のみ年度ベース (4月~翌年3月); なおVCによる投資のみが集計対象で、事業会社によるベンチャー投資は含まず 2004年~2016年の円換算レートは2016年の平均レートを適用(米国 1ドル=108.8円、欧州 1ユーロ=120.3円、中国 1人民元 =16.4円 Source: Venture Enterprise Center「ベンチャー白書2017」 政府系ファンドの意義 1 Ⅱ
  31. 33 Note: 欧州: 欧州内の投資家 [VCを含むPE会社] による投資 (欧州外への投資を含む); 日本のみ年度ベース (4月~翌年3月); なおVCによる投資のみが集計対象で、事業会社によるベンチャー投資は含まず

    2004年~2016年の円換算レートは2016年の平均レートを適用(米国 1ドル=108.8円、欧州 1ユーロ=120.3円、中国 1人民元 =16.4円 Source: Venture Enterprise Center「ベンチャー白書2017」,IMFWorld Economic Outlookよりボストン コンサルティング グループ作成 国の規模を勘案しても、米国は日本の約10倍・中国は約5倍以上の投資規模 リスクマネー不足: 日米欧中の相対規模比較 (ベンチャー投資実行額÷GDP) 0.37 0.44 0.40 0.25 0.29 0.25 0.25 0.21 0.18 0.18 0.03 0.03 0.03 0.03 0.03 0.03 0.05 0.05 0.18 0.18 0.16 0.17 0.05 0.09 0.09 0.06 0.05 0.03 0.02 0.04 0.05 0.04 0.04 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.02 0.02 0.04 0.07 0.03 0.27 0.02 0.09 2009年 2006年 2007年 2008年 2010年 (%) 2005年 2004年 0.03 0.09 0.21 0.02 0.03 0.18 0.03 2016年 2013年 2014年 2015年 2012年 2011年 日本 中国 欧州 米国 資金の供給 A 政府系ファンドの意義 1 Ⅱ
  32. 34 国内VCの現状を見ると、エクスパンションを支える資金供給が不足している可能性 リスクマネー不足: ベンチャーのステージ別 Source: エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ分析 主に対応するステージ 独立系

    シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資 ベンチャー CVC 大企業 CVC 金融系 大学/ 政府系 特徴 • 主にアーリー中心に投資も戦略・投資先は スターキャピタリストの知見や人脈に依存 • 純投資中心とシナジー追及に大別 • オープンイノベーションを背景に通信、金融、製造業等 幅広い業種でCVC設立がブーム化 • 老舗が多い金融系はIPOに近いレイターが中心 • 事業会社としての側面活かしCVC的な投資も実施 • 大学系は大学発のシード技術の事業化を中心に支援 • 政府系では中小機構中心にVCへの投資も活発 シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資 シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資 シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資 シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資 資金の供給 A 政府系ファンドの意義 1 Ⅱ
  33. 35 起業文化の醸成やユニコーン起業社数においても米中対比日本は劣後 リスクマネー不足: 起業活動率とユニコーン企業数の国別比較 ユニコーン企業の所在国比較 起業活動率の国別比較 (2015) 0 5 10

    15 20 25 30 14.0 13.1 エ ス ト ニ ア 米 国 12.7 リ ト ア ニ ア 12.4 イ ラ ン 12.3 グ ア テ マ ラ 12.3 カ ナ ダ 12.2 リ ビ ア 11.2 シ ン ガ ポ ー ル 10.7 南 ア フ リ カ 10.6 ボ ス ニ ア ・ヘ ル ツ ェ コ ビ ナ 10.3 ル ー マ ニ ア 10.1 イ ス ラ エ ル 10.0 イ ン ド 9.9 ハ ン ガ リ ー 9.7 ス ロ バ キ ア 9.5 (%) イ ン ド ネ シ ア 25.5 チ リ 24.3 コ ロ ン ビ ア 23.7 ペ ル ー 23.4 ボ ツ ワ ナ 20.9 パ ナ マ 20.6 フ ィ リ ピ ン 18.5 タ イ 17.7 ブ ラ ジ ル 17.3 ア ル ゼ ン チ ン 15.9 ベ ト ナ ム 15.4 メ キ シ コ 14.8 ウ ル グ ア イ 14.1 中 国 ポ ー ラ ン ド 9.3 オ ラ ン ダ 9.3 ア イ ル ラ ン ド 9.2 ル ク セ ン ブ ル ク 8.7 プ エ ル ト リ コ 8.3 ク ロ ア チ ア 8.3 ス ウ ェ ー デ ン 8.2 ポ ル ト ガ ル 8.2 ス イ ス 8.2 台 湾 8.2 チ ェ コ 7.3 イ ギ リ ス 7.1 韓 国 6.9 マ ケ ド ニ ア 6.6 マ レ ー シ ア 6.6 ス ロ ヴ ェ ニ ア 6.5 ノ ル ウ ェ ー 6.3 ロ シ ア 5.8 ギ リ シ ャ 5.5 フ ィ ン ラ ン ド 5.3 ス ペ イ ン 5.2 ス リ ナ ム 5.1 ド イ ツ 5.0 ベ ル ギ ー 4.9 ア ル ジ ェ リ ア 4.9 フ ラ ン ス 4.6 日 本 3.7 イ タ リ ア 3.4 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 4 10 12 56 109 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 (件) Malta Canada United Arab Emirates Nigeria United States France Sweden Switzerland Israel Indonesia Germany India United Kingdom China Colombia Singapore Luxembourg Czech Republic Japan Netherlands South Korea South Africa Note: (左図) 起業活動率 (TEA (Total early-stage Entrepreneurial Activity) は労働人口に対する、起業準備+起業3.5年未満の企業を経営している人の割合) (右図) 時価総額US10億ドル以上の非上場スタートアップ企業 Source: (左図) Global Entrepreneurship Monitorレポート (GEM); (右図) CB Insights HP "The UnicornClub" よりボストン コンサルティング グループ作成 資金の需要 B 政府系ファンドの意義 1 Ⅱ
  34. 36 諸外国もSWFや政府系ファンドを政策実現に活用している 諸外国の取組み: SWF/政府系ファンドによる政策実現の取組み例 国家戦略の実現を目的とするSWF その他政府系ファンド • 中東とアジアを中心に、国家戦略の実現を目的と するSWFが見られる •

    アジアでは100%政府出資によるVCが存在 • 中東では官民ファンドでリスクマネーを供給 • その他西欧諸国でも中小起業育成のための政府 系ファンドを運用 国内及び海外企業投資による 収益最大化を目的 • 当初、戦略資産であった政府系企業 の管理の為設立 • 近年では民間PEの人材・仕組み を導入し、収益最大化を図る 石油に頼らない自国経済の 多様化を企図 • リターンに加え、自国の 国家戦略・産業開発を重視 国有企業改革と海外投資による 自国経済の発展が目的 • 設立初期は、国内企業の救済が 中心 • 近年は、国家の将来成長のシーズ 投資に軸足 中小を中心とした国内企業向け 公的金融機関 • FoF中心の投資/融資 政府傘下の投資機関 • レーターステージへの投資 • Bio/IT等に集中投資 政府傘下のVC • R&Dを中心とするテック ベンチャへの投資・育成 政府・民間出資の官民ファンド群 • 自国のベンチャーに投資 中小企業育成向け政府系ファンド • FoF中心の投資/融資 事例1 (アジア) 事例2 (中東) 事例3 (アジア) 事例4 (アジア) 事例5 (アジア) 事例6 (中東) 事例7 (西欧) 事例8 (西欧) 政府系ファンドの意義 1 Ⅲ Source:各社HP、エキスパートインタビュー等よりボストン コンサルティング グループ作成
  35. 37 Source: Sovereign Investment Lab report 2017よりボストン コンサルティング グループ作成 90年代以降、中東・アジアを中心にSWF数・規模が共に拡大

    諸外国の取組み: (参考) Sovereign Wealth Fundの全体像 (地域✕組成年度) 政府系ファンドの意義 1 Ⅲ Africa Former CIS Asia-Pacific Middle East Europe 0 200 400 600 800 1,000 1965 1960 1955 1950 2015 2010 2005 2000 1995 1990 1985 1980 1975 1970 規模 ($B) 組成年度 Kazakhstan National Fund Temasek Holdings Public Investment Fund Investment Corporation of Dubai National Social Security Fund Qatar Investment Authority Government of Singapore Investment Corporation Kuwait Investment Authority China Investment Corporation Abu Dhabi Investment Authority Government Pension Fund Global Australian Future Fund Abu Dhabi Investment Council National Wealth Fund and Reserve Fund Mubadala Development Company PJSC Korea Investment Corporation 250
  36. 38 SWFの目的は長期リターン追求が主だが、政策実現を目的とするファンドも存在 諸外国の取組み: (参考) SWFの目的別分類 Budget Equalizer Future Generations Saver

    Asset Optimizer Socio-economic developer 財政の安定性確保 • 資源価格の急激 な変動をオフセット 目的 目的 目的 目的 次世代への貯蓄 • 長期投資リターン の最大化 国の戦略産業の保有・ 防衛・再編 • 例:通信・交通 等 新産業の育成 • 基幹産業の育成 • ベンチャー投資 等 ファンド例 ファンド例 ファンド例 ファンド例 リターン重視型 戦略重視型 事例1(東欧) 事例2(アジア) 事例3(中東) 事例5(中東) 事例4(アジア) 事例7(アジア) 事例6(北欧) 事例9(アジア) 事例8(中東) 事例7(アジア) 事例11(中東) 事例10(中東) 事例12(オセアニア) 事例2(アジア) 政府系ファンドの意義 1 Ⅲ Source:各社HP、エキスパートインタビュー等よりボストン コンサルティング グループ作成
  37. 39 目次 1. 検討のまとめ 政府系ファンドの必要性 政府系ファンドのあるべき姿 2. 検討資料詳細 政府系ファンドの意義 日本における官民ファンドの現状

    海外SFWの動向 PE/VCファンドの現状 我が国が抱える産業課題の現状 政府系ファンド活用の方向性検討 (あるべき姿の策定) 3.その他ご参考資料 1 6 5 2 3 4 1 2
  38. 40 2013年の日本再興戦略策定を受けて各省庁が続々と官民ファンドを設立 ファンド設立の目的と背景 日本政策投資銀行 競争力強化ファンド 特定投資業務 背景 主な目的 企業の競争力強化 経営難の企業の支援・救済

    バブル経済崩壊による金融機関の 与信能力低下や過大債務企業発生 経営難の企業の支援・救済 企業の競争力強化 リーマンショックに端を発する 景気低迷とリスクマネーの減少 中小企業基盤整備機構 総務省 財務省 国土交通省、 環境省 環境省 2003-2008 2009-2012 2013- 経済産業省と 他省庁 設 立 フ ァ ン ド 経済産業省 内閣府 農林水産省 文部科学省 民間資金等活用事業推進機構 海外通信・放送・郵便事業支援機構 官民イノベーションプログラム 科学技術振興機構 海外交通・都市開発事業支援機構 地域低炭素投資促進ファンド事業 農林漁業成長産業化支援機構 産業再生機構 (2007年に清算) 産業革新機構 企業再生機構 環境不動産普及促進事業 設立なし 日本再興戦略実現における官民 ファンド活用方針の策定 海外需要開拓支援機構 (クールジャパン機構) 地域経済活性化支援機構 2 1 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 2013年に改組 日本における官民ファンドの現状 2 Source: 「官民ファンドの運営に係るガイドラインによる検証報告」(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kanmin_fund/)をもとにボストン コンサルティング グループ作成
  39. 41 その中で、重複した目的の官民ファンドが多数存在する 各官民ファンドの目的 Source: 「官民ファンドの運営に係るガイドラインによる検証報告」(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kanmin_fund/)をもとにボストン コンサルティング グループ作成 経済産業省と他省庁 内閣府 総務省

    財務省 経済産業省 国土交通省、 環境省 環境省 農林水産省 文部科学省 新産業の育成 既存産業の強化 地方創生 日本政策投資銀行 競争力強化ファンド 官民イノベーションプログラム 産業革新機構 農林漁業成長産業化支援機構 民間資金等活用事業推進機構 海外通信・放送・郵便事業支援機構 科学技術振興機構 地域低炭素投資促進ファンド事業 農林漁業成長産業化支援機構 中小企業基盤整備機構 海外需要開拓支援機構 (クールジャパン機構) 地域経済活性化支援機構 1 5 6 9 環境不動産普及促進機構 11 海外交通・都市開発事業支援機構 12 13 14 3 4 日本政策投資銀行 特定投資業務 8 10 14 7 2 日本における官民ファンドの現状 2
  40. 42 2014年から存在する3ファンドが政府系ファンドをリード ファンド規模の推移 5,403 6,224 6,475 8,159 1,560 1,860 2,152

    2,534 1,186 1,264 1,279 855 0 5,000 10,000 15,000 支援決定額 (累積) (億円) 2015 9,678 2014 7,828 +29% +18% +24% 2017 14,702 2016 11,376 産業革新機構、中小企業基盤整備機構、競争力強化ファンドの 3ファンドで全体の8割を占める 産業革新機構 中小企業基盤整備機構 競争力強化ファンド 0 1,000 2,000 3,000 2017 2,730 支援決定額 (累積) (億円) 81% 海外通信・放送・郵便事業支援機構 地域低炭素投資促進ファンド 官民イノベーションプログラム 農林漁業成長産業化支援機構 耐震・環境不動産形成促進事業 海外交通・都市開発事業支援機構 特定投資業務 海外需要開拓支援機構 民間資金等活用事業推進機構 地域経済活性化支援機構 科学技術振興機構 日本における官民ファンドの現状 2 Source: 「官民ファンドの運営に係るガイドラインによる検証報告」(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kanmin_fund/)をもとにボストン コンサルティング グループ作成
  41. 43 全般的に資金を活用しきれていないが一定の呼び水効果は出している 各ファンドの目的達成に対する評価 (資金活用度/呼び水効果) 20 24 28 36 80 76

    72 64 100 80 60 40 20 0 実投融資 非活用 2017 40,904 2016 41,138 2015 39,940 2014 38,491 (%) 投融資額と呼び水3)効果 資金活用度1) 7,828 9,678 11,376 14,702 11,134 16,347 25,802 32,898 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 (億円) 投融資額 呼び水効果 2017 47,600 2016 37,178 2015 26,026 2014 18,962 1. 実投融資額÷(政府出資等+民間出資等+政府保証); 2. 政府出資等+民間出資等+政府保障を合わせた最大投融資可能枠; 3.呼び水の官民ファンドの投資に誘導された民間投融資額 Source: 「官民ファンドの運営に係るガイドラインによる検証報告」(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kanmin_fund/)をもとにボストン コンサルティング グループ作成 投融資可能額2)、億円 日本における官民ファンドの現状 2
  42. 44 (参考) 各ファンドの目的達成度 日本における官民ファンドの現状 2 日本の官民ファンド 支援実績(2016年度末時点) 指標 実投融資額 (b)

    支援決定 件数 呼び水 効果(c) (件) (億円) (億円) 出融資+ 政府保証 (a) (億円) 資金活用度 (b) / (a) 呼び水効果 (c) / (b) (%) (倍) 8 71 574 248 2,534 6,358 151 272 1,028 114 8,159 5,249 20 311 1,339 12 1,279 5,612 33 1,453 7,963 51 66 365 21 299 2,746 2 13 113 12 9 72 6 109 261 27 39 1,137 4 88 81 300 157 10,261 21,000 1,043 1,290 2,300 555 1,388 531 25 959 145 1,000 24 1,614 3 39 30 99 63 12 22 2 36 11 27 9 2.2 3.8 0.9 0.6 4.3 5.5 5.5 2.5 9.2 8.7 8.0 2.4 29.1 8.1 直 接 & 間 接 間 接 の み 直 接 の み 財務省 農林水産省 経済産業省 総務省 文部科学省 内閣府 環境省 国土交通省 国土交通省、 環境省 経済産業省 経済産業省、 他4省庁 文部科学省 耐震・環境不動産普及促進事業 中小企業基盤整備機構 地域経済活性化支援機構 日本政策投資銀行 競争力強化ファンド1) 日本政策投資銀行 特定投資業務 海外需要開拓支援機構 (クールジャパン機構) 産業革新機構 農林漁業成長産業化支援機構 民間資金等活用事業推進機構 海外通信・放送・郵便事業支援機構 科学技術振興機構 海外交通・都市開発事業支援機構 地域低炭素投資促進ファンド事業 官民イノベーションプログラム 1. 競争力強化ファンドは2015年に新規投融資停止、特定投資業務が後継 Source: 「官民ファンドの運営に係るガイドラインによる検証報告」(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kanmin_fund/)をもとにボストン コンサルティング グループ作成
  43. 45 各ファンドのパフォーマンス: 投資リターン Source: 「官民ファンドの運営に係るガイドラインによる検証報告」(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kanmin_fund/)をもとにボストン コンサルティング グループ作成 収益性KPI達成状況 KPI 数値

    達成 日本政策投資銀行 競争力強化ファンド 日本政策投資銀行 特定投資業務 環境不動産普及促進機構 海外需要開拓支援機構 (クールジャパン機構) 産業革新機構 中小企業基盤整備機構 地域経済活性化支援機構 民間資金等活用事業推進機構 海外通信・放送・郵便事業支援機構 科学技術振興機構 海外交通・都市開発事業支援機構 グリーンファイナンス推進機構 農林漁業成長産業化支援機構 官民イノベーションプログラム 1.0倍超 1.0倍超 プラス 1.0倍超 1.0倍超 1.0倍超 1.0倍超 1.0倍超 1.0倍超 プラス 1.0倍超 1.0倍超 1.0倍超 1.0倍超 1.6倍 0.93倍 プラス 1.01倍 1.25倍 -- -- -- -- プラス -- -- -- -- ◎ NA ◎ ◎ ◎ NA NA NA NA ◎ NA NA NA NA 日本における官民ファンドの現状 2
  44. 46 目次 1. 検討のまとめ 政府系ファンドの必要性 政府系ファンドのあるべき姿 2. 検討資料詳細 政府系ファンドの意義 日本における官民ファンドの現状

    海外SFWの動向 PE/VCファンドの現状 我が国が抱える産業課題の現状 政府系ファンド活用の方向性検討 (あるべき姿の策定) 3.その他ご参考資料 1 6 5 2 3 4 1 2
  45. 47 SWFは、その目的から大きく4つのタイプに分かれる SWFの分類: 目的別 Budget Equalizer Future Generations Saver Asset

    Optimizer Socio-economic developer 財政の安定性確保 • 資源価格の急激 な変動をオフセット 目的 A B C D 目的 目的 目的 次世代への貯蓄 • 長期投資リターン の最大化 国の戦略産業の保有・ 防衛・再編 • 例:通信・交通 等 新産業の育成 • 基幹産業の育成 • ベンチャー投資 等 ファンド例 ファンド例 ファンド例 ファンド例 凡例 深掘り対象 海外SWFの動向 3 リターン重視型 戦略重視型 事例1(東欧) 事例2(アジア) 事例3(中東) 事例5(中東) 事例4(アジア) 事例7(アジア) 事例6(北欧) 事例9(アジア) 事例8(中東) 事例7(アジア) 事例11(中東) 事例10(中東) 事例12(オセアニア) 事例2(アジア) Source:各社HP、エキスパートインタビュー等よりボストン コンサルティング グループ作成
  46. 48 サマリー: 主要政府系ファンドは目的実現に必要な機能・組織/人材体制を構築 政府は投資方針には関与も、個別案件への関与を防ぐガバナンスが存在 民間とのコンフリクトを回避する取り組みを実施 • アジアの某SWFは民業圧迫の批判からマイノリティ出資へ方針をシフト 政府との関係性・ 民間との住み分け 政府系ならではの

    強み 組織/人材 目標IRRと政府独自のKPI (雇用や技術等) を天秤にかけ投資決定 • アジアの某SWFはリターン最大化の目的に沿ってIRRを重視 • アジアの某SWFや中東の某SWFは経済・産業育成の目的に沿って政府独自のKPIを重視 機能の実現に必要な専門性の高い組織構築とトップ人材を獲得 • アジアの某SWFは業種・地域軸チーム体制で専門性 • 中東の某SWFは民間PEファンド並みの待遇でグローバルトップ人材を確保 4 5 ファンドの目的 ポートフォリオ (投資方針) 海外SWFの取組み 目的を狭義且つ明確に定義し、国家戦略と乖離した場合のみ見直し • アジアの某SWFは戦略重視からリターン最大化に軸足シフト • アジアの某SWFは国有企業救済から国家産業育成にシフト 目的に沿った投資方針を設定し着実に実行 • アジアの某SWFは、リターン最大化の為に海外投資を強化 • アジアの某SWFは、国家の将来成長の為シーズ投資を強化 1 2 担っている機能 目的・投資方針の実現に必要な機能を保有 • アジアの某SWFはリターン追及のためメガトレンドに基づく目利き力を保有 • 中東の某SWFは産業育成のため、政府と連携し投資・提携先発掘の仕組を保有 3a 3b 海外SWFの動向 3 Source:各社HP、エキスパートインタビュー等よりボストン コンサルティング グループ作成
  47. 49 主な活動 国内外の幅広い産業に 投資 • 保有していた政府系 企業を民営化し、海外投資を 拡大 • 金融依存から脱却し、ライフ

    サイエンス・消費財・不動産への 投資を拡大 国家競争力向上のため 将来のシーズに投資 • 海外企業投資し、産業や知見、 技術を自国に移転 • 投資先の過半を握り、自国に 製造設備、R&D拠点を設立 国家戦略及び産業開発に重点を 置いた投資 • エネルギーバリューチェーンの 開発 (石油化学、金属等) • 新産業の開発 (半導体、航空 産業、自動車パーツ等) 事例1(アジア) 事例2(アジア) 事例3(中東) 海外SWFは、目的を狭義且つ明確に定義している ファンドの目的 海外SWFの動向 3 1 Source:各社HP、エキスパートインタビュー等よりボストン コンサルティング グループ作成
  48. 50 SWFごとに異なる投資プロセスで強みを保有 担っている機能 事例1 (アジア) 事例3 (中東) 事例2 (アジア) 強み

    の例 経営支援 事業運営・管理 事業運営エキス パートや専門部隊 派遣機能 案件審査 スクリーニング 高品質/迅速な案 件審査(DD)機能 投資実行 優れたM&A部隊 (または外部エキ スパートの管理・ 活用機能) 投資目的設定 投資方針策定 投資目的・領域設 定のための調査 分析機能 エグジット 潜在的な買い手と のネットワーク(と 斡旋)機能 SWF 事後評価 ファンド評価に連 動した成果ベース の報酬制度 案件 発掘・獲得 投資先発掘に資す るネットワーク・目 利き機能 グローバルメガトレンド分析に基づく 投資先に対する目利き 投資銀行OB活用した金融機関経由で の案件発掘・獲得 産業軸/地域軸の高度に専門化された 投資部隊による案件実行 投資先間での 売買斡旋 一流の人材には 高い報酬を払う 文化 経営人材の派遣 を通じたガバナ ンスを重視 事業に深く関与 するため経営 人材プール 投資先パフォー マンスを管理 する仕組 リサーチ専担 チームによる 調査分析 柔軟なExit方針 評価を重視した 報酬体系 ソーシング専門 人材活用した 案件発掘・獲得 産業軸/地域軸の高度に専門化された 投資部隊による案件実行 事業ごとの 調査分析 M&A/戦略(DD)専門部隊による案件 実行サポート 国家PJなど超長 期の案件への 対応 評価に応じた up or out制度 政府や王族との ネットワークを 活用した案件 発掘・獲得 投資先企業と海 外企業のアライ アンスを支援 支援に際し政府・ 王族とのネット ワークを活用 特に強い機能 強い機能 凡例 海外SWFの動向 3 3a Source:各社HP、エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成
  49. 51 SWFには、政府関与や民業圧迫懸念払拭を企図した国際的行動規範が存在 ディスクロージャーによるガバナンス: サンチアゴ原則 Source: IWG: International Working Group on

    Sovereign WealthFund " Soveringh wealth Fund - Generally Accepted Principles and Practices" よりボストン コンサルティング グループ作成 海外SWFの動向 3 3b サンチアゴ原則の概要 一般向け情報開示に関わる項目(要約抜粋) Soveringh wealth Fund - Generally Accepted Principles and Practices (通称"サンチアゴ原則") 策定元 IWG: International Working Group on Sovereign Wealth Fund (IMF関連団体) 加盟国 IMF加盟国のうちSWFを有する26カ国 正式名称 概要 • A:法的枠組み、目的、経済政策との 関係、B:組織とガバナンス、C:投資・ リスク管理の枠組の3章で構成し其々に 情報公開に係る規定が存在 経緯 • SWFが政治的な思惑に基づいて投資 しているとの国際的な懸念払拭のため 2008年10月に制定 • IWGにて加盟SWFに対し定期的な自己 チェックを依頼、発表し順守状況を モニタリングしている 法的基盤、形態、SWFと政府機関との関係は 一般に公開されなければならない GAPP1.2 SWFの政策的目標は明確に規定され一般に 公開されなければならない GAPP2 SWFの資金調達・引出し・利用に関する方針等 は規定され一般に公開されなければならない GAPP4 SWFの運営及びパフォーマンスに関する年次・ 財務報告書は国内・国際会計基準に則り一貫 した手法で適時に作成、監査されなければなら ない GAPP11 GAPP12 SWFの統治の枠組み及び目的は、保有者から の独立性の在り方とともに一般に公開されなけ ればならない GAPP16 SWFの財務情報は一般に公開されなければ ならない GAPP17 SWFの投資方針とそれに基づく投資判断は 明確で、一般に公開されなければならない GAPP 18-19 SWFの上場企業に対する議決権行使の考え 方を一般に公開されなければならない GAPP21 SWFのリスク管理に関する考え方は一般に 公開されなければならない GAPP22
  50. 52 但し実際のディスクロージャーの充実度は各国SWFにより大きくばらつきあり ディスクロージャーによるガバナンス: SWFのディスクロージャー充実度に関する民間調査 Source: Peterson Institute for international Economics,

    "Progress on Sovereign Wealth Fund Transparency and Accountability"、 SWFI "Linaburg-Maduell Transparency Index (2017 2Q)"よりボストン コンサルティング グループ作成 Truman Scoreboard(2013) Linaburg-Maduell Transparency Index (2017 2Q) 評価項目 • 設立趣旨、経緯、 政府保有形態 • 監査済年次報告書 • オーナーシップ • ポートフォリオ金額、 リターンと役員報酬 • 投資目的、方針と戦略 ...等 海外SWFの動向 3 3b
  51. 53 一般向け情報開示に対する方針は区々 ディスクロージャーによるガバナンス: 主なSWFの情報開示に対する評価 海外SWFの動向 3 3b Source: 各社HPよりボストン コンサルティング

    グループ作成 限定的 記載あり 充実 凡例 事例2 事例1 具体的な方法 一般向け 情報開示に 対する方針 目的 投資方針 組織 人材 ガバナンス/ 政府との関係 ポートフォリオ 財務 調達 個別投資先 リターン 目的・投資方針記載はあるも限定的 • 金額・リターン情報限定的 • 投資地域・業種情報のみ 開示なし 組織の情報は比較的充実 政府との関係性やガバナンスは 表面的な記載に留まる 開 示 内 容 アニュアルレポート HP 表面的には行動規範で求められる 情報あるも、情報量は限定的 開示なし アニュアルレポート HP 運営会社の財務情報開示あり 調達先まで詳細表示 運用開始時から金額・リターン情報開示あり 個社 (出資比率) 情報開示 組織・会議体の詳細記載あり MDクラス略歴、報酬方針も記載 民業圧迫や政府との関係性批判への対応から積極的に 開示する方針 目的・投資方針記載充実 投資戦略、リスク管理方針も記載 政府関与ないことを明記 投資意思決定の独立性強調 個別投資先情報あり 主な投資先のリターン情報あり
  52. 54 一般向け情報公開に対する方針・方法の見直しと開示内容の充実に改善余地 ディスクロージャーによるガバナンス: アジア/国内政府系ファンドの開示方針と内容の比較 海外SWFの動向 3 3b Source: 各社HP、エキスパートインタビュー等よりボストン コンサルティング

    グループ作成 事例1(アジア) 事例2(アジア) • 一般向け意識したVisual中心のアニュアル レポート • 財務中心の事業報告や実績評価 一般向け 情報開示に対 する姿勢と方法 ポートフォリオ/ 個別投資先 組織人材/ ガバナンスと 政府との関係 • ファンドのリターン推移や調達先等詳細ま で明記 • 主要投資先の業績から個別リターンまで 記載 • 取締役は勿論MDクラスまで略歴HP上に 記載 • AR10頁以上割きガバナンス、設立経緯や 政府との関係を詳説 (政府からの独立性 を明記) • ファンドのリターン等詳細情報は限定的 • 投資先/案件概要は記載あるも個別リター ンは非開示 • 取締役のみHPに記載 (過半は氏名のみ) • ガバナンスや政府との関係性に係る記載は ごく僅か
  53. 55 最適な組織・人材体制を、魅力的な待遇・雇用制度で実現 SWF(アジア)における組織/人材: 組織 組織と人材 人材獲得のための工夫 非金銭 報酬 報酬 雇用制度

    キャリアアップの機会や充実した福利厚生 制度がインセンティブ • SWFでの経験はCVにプラス – 退職者の約半数が国内PEファンド、 残りが海外有望企業に就職 • 充実した福利厚生制度を完備 – 医療補助や住宅補助などを提供 安定雇用による内部人材の育成を重視 • 外資系のような厳しいUp or Outはない • パフォーマンスの差は報酬やインセンティブ に反映 民間PEファンド並みの報酬を用意 必要な人材はCEOの倍の給与でも採用 • ソーシング強化目的にCEOの倍の給与で 欧米金融機関の元幹部を採用 待 遇 投資部門は12の産業チームと 10の地域チームで高度に専門分化 • 近年の投資業種や地域の拡大に伴い 投資部門は高度に専門分化 上記に加え投資支援専門部隊を設置 • バリューアップ支援チーム: 40人 • 投資先調査支援チーム: 30人 組織 人材 ソーシング強化のため投資銀行シニア 人材を積極的に採用 • 欧米金融機関のHK/SPRの元幹部 採用 バリューアップ専門チームはインダスト リーリーダーやコンサルタントを採用し 強化 海外SWFの動向 3 3b Source: 各社HP、エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成
  54. 56 政府系ファンドの強みの源泉は、投資期間とリターンの柔軟性 政府系ならではの強み 短~超長期 (5~20年以上) • 政府財源のため短期でのリターン追及 は必ずしも求められていない 投資リターンの最大化 国家産業戦略の実現

    短~中期(5-8年) 投資リターンの最大化 IRR30%程度が必要 IRR目標は10%程度 国家戦略への貢献を評価 • 産業育成によるGDP増・雇用創出等 あればIRR自体は低採算も検討 投資期間 投資目的 民間ファンド 投資リターン 政府系ファンド 投 資 基 準 国家戦略への貢献あれば超長期・低IRR投資にも対応可能 戦略産業への思い切った集中投資が可能 政 府 系 フ ァ ン ド の 強 み SWF(アジア)は低収益・超長期の テーマパークへ投資 リーマンショックの局面での投資額減少は 民間ファンドが中心 SWF(アジア)のポートフォリオは投資額 上位10位までで44%を占め、金融とTMTで 過半 景気後退局面でも投資が可能 (アンチシクリカルな資金供給) 事例 具体的な強み 海外SWFの動向 3 4 Source: 各社HP、エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成
  55. 57 リターンと国家戦略のどちらを重視するかは、目的によって異なる 政府ならではの強み: 深掘先SWFの特徴 政府 独自の KPI 政府 独自の KPI

    政府 独自の KPI IRR IRR IRR IRR重視型 政府独自の KPI重視型 政府独自の KPI重視型 10-15% 10-15% 雇用やGDP、技術など 15-20% 雇用や技術など 雇用や技術など Ex) 国内橋梁建設案件 • 長期PJでIRRは未達 • 但し、地域雇用創出や 産業発展、技術養成を 見込み投資実行 政府・王族との関係性を有効 活用し、高いリターンと産業 育成を両立 SWF(アジア) SWF(アジア) SWF(中東) 1 2 3 IRR目標 政府独自の KPI 海外SWFの動向 3 4 Source: 各社HP、エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成
  56. 58 SWF 投資目的 設定 投資方針 策定 ④エグジット ①投資先 ソーシング ②投資決定

    ③投資先 事業運営 投資意思決定プロセス 業績評価 株主還元 事例1 (アジア) 事例2 (アジア) 事例3 (中東) 投資先選定、投資後のガバナンスにおいてはファンドの意思 決定の独立性が十分保持されている • 法律で政府の個別案件への関与を禁止 • 強固なガバナンスにより政府関与を排除 SWF自身も投資先事業の意思決定やオペレーションに関与し ない • 政府は事業目的設定 や経営陣選任は行うが、 投資戦略や個々の案 件へ関与しない • 但しグループCEOは政 府関係者で政府意向 が反映される可能性 政府傘下の ため収益配 分には政府 意向反映 自国経済の発展の為に設立された経緯あり、 投資方針には政府意向反映される模様 • "戦略は政府意向で、国有企業救済、保有 企業Value-up、国家の競争力向上と変化" • "海外拠点開設には外交理由も存在" 石油依存脱却を背景とした国内産業発展が設 立経緯で、投資方針には政府意向反映される 模様 厳格な投資決定プロセス(最大7段階)を構 築し意思決定の独立性を担保 ディスクロージャー徹底政府関与ない模様 個別案件への政府関与は原則ない模様 政府や王族のネットワークをバリューアップ で利活用(ex.投資先の海外販売先開拓な ど)することはあり 海外SWFは、投資に係る政府の関与の度合いが少ない傾向 政府との関係性 海外SWFの動向 3 5 Source: 各社HP、エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成
  57. 59 国内及び海外企業投資に よる収益最大化 • 政府系企業の集中的管 理の為設立 – 当時は産業振興の 為に政府系企業を 次々に設立

    • 近年では海外投資に軸 足を移している 海外政府系ファンド事例: アジア① サマリ ファンド概要 目的 ポートフォリオ (投資方針) 国 運用額 国内外の企業を中心として 幅広い産業に投資 • 近年は北米・欧州及び 消費財・ライフサイエン ス系に重点 • 大企業に加えて、ベン チャーへの投資も実施 運用実績 アジア Net portfolio value • 約23兆円 出資元 政府 従業員数 500名超 国内企業への投資 • 通信 • 銀行 等 海外企業への投資 • 銀行 • IT 等 1 2 政府との 関係性 民間との 住み分け • 政府の影響下も政府関与 最小化する仕組みが存在 • 過去民業圧迫批判あり、株主 としての投資先関与に限定 • また当初引き継いだ政府系企 業の過半も民営化・清算済 政府系 ならでは の強み • 政府系企業株式を背景とした 豊富な資金力 – 配当や売却益を活用し外 部調達に頼らず • 投資の高い自由度 (投資規模、 投資先..etc) 主に投資前に力点置き、投資後は株主としての関与 のみ • 深い産業知見に基づく投資戦略を重視 • 元バンカーの人脈をソーシングに活用 • 投資後は原則ガバナンス機能提供に留まる 機能 組織/ 人材 産業軸 (在国内) と地域軸 (在国外、外国人) でチーム 組成し高度に専門的な体制を構築 組織 人材 一線級の人材獲得を成功の要諦ととらえ、民間を はるかに上回る水準の報酬を用意 • 政府組織でも一流の人材には高報酬を払う文化 3b 担っている機能・組織/人材 3a 3 4 5 海外SWFの動向 3 Source: HP、エキスパートインタビュー等よりボストン コンサルティング グループ作成 SWF (アジア①)
  58. 60 設立背景 経 済 環 境 政 策 課 題

    産業振興を急ぐため、資本集約型 産業を担う政府系企業を次々に設立 • 民間部門では資本力や専門技術の不足 する産業を促進 • 特に精密機器メーカー等、航空分野・ エレクトロニクス企業を新設・再編 1980年台半ばには、政府系企業への民業 圧迫批判が起こった • 規制を担う政府と、利潤追求を担う政府 系企業との分離の必要性が浮上 目的 もともとは政府系企業の集中的管理の為、財務省の傘下に 設立 • 規制を担う政府と、利潤追求を担う政府系企業との 分離を企図 • SWFの当初の役割は、移管された政府系企業郡の モニタリングと財務省及び内閣への報告 近年は、株主収益の最大化のため、政府系企業を活用 しながらも、徐々にグローバルへと投資先を拡大 • 近年は政府系企業の民営化を進め、PEのように、 グローバルに投資活動を行うことに軸足を移している 設立当初は政府系企業の管理が目的も、近年は豊富な政府資産を背景に、 国内外への投資により株主 (=政府) 収益を最大化させることへ目的がシフト 目的 海外SWFの動向 3 1 SWF (アジア①) Source:ボストン コンサルティング グループ分析; 野村総合研究所「シンガポールにおける政府系ファンドと政府系企業の「協奏」」
  59. 61 セクター・地域別ポートフォリオ 35 36 31 31 30 28 23 25

    23 22 24 24 23 24 25 23 24 23 21 20 20 17 18 17 11 11 12 12 14 18 21 21 3 6 6 3 2 10 50 0 100 7 2013 7 2012 5 2015 5 8 2014 2016 6 Financial Services Telecommunications, Media & Technology (%) Transportation & Industrials Life Sciences, Consumer & Real Estate Energy & Resources Others 2017 3 11 6 2011 5 2010 32 32 30 30 31 28 29 29 46 45 42 41 41 42 40 39 11 12 14 17 18 20 12 12 14 13 10 4 4 3 3 2 100 50 0 2016 2013 9 4 2014 Australia & New Zealand Others 2017 2012 9 4 2011 8 2010 8 (%) 2015 8 4 Singapore Asia ex-Singapore North America and Europe セクター 地域 ポートフォリオシフトの背景 北米への投資割合が増加 (欧州への投資分は少ない) 金融への投資割合が減少する一方、ライフサイエンス・ 消費財・不動産への投資が拡大 2007年の金融危機以降、 セクター・地域的な分散を指向 • 2007年の金融危機では、 欧米金融機関への投資で損失 を経験 • 金融セクターから及びアジア 以外への投資分散を指向 • 特に、近年は米国のテクノロジー 企業への投資を盛んに実施 – シリコンバレーの テクノロジー企業への投資 を強める 近年は、北米及び消費財・ライフサイエンス等への投資を拡大 ポートフォリオ (投資方針) : 2010年以降のセクター・地域別の投資ポートフォリオ推移 海外SWFの動向 3 2 SWF (アジア①) Source: Annual report
  60. 62 投資先へは 主に株主 として関与 投資 実行後 メガトレンドの 深い知見と ソーシング 投資先に対して担っている機能

    深い産業知見を重視 (グローバルメガトレンド) 元バンカーを多数採用、人脈をソーシング (銀行経由) に活用 投資先会社へは株主として関与し、日々の事業の意思決定への関与は行わ ない • "ガバナンスを最も重視し、十分なcapabilityが経営陣にあるかを確認する" • "日々の意思決定へと関与していくには人が足りない" 経営陣を送り込む場合にも、ほとんどの場合外部の人材を選定 • "そもそも経営がうまくいくことが重要であり、そのために誰が一番良いかと いう視点で考える。SWFからの人を送るのはポイントではない" 投資 実行前 主に投資前に力点を置き、投資後は株主としての関与 (ガバナンス) のみが原則 担っている機能 海外SWFの動向 3 3a SWF (アジア①) Source: Expert; ボストン コンサルティング グループ分析
  61. 63 政府系企業株式を背景とした豊富な資金力と投資の自由度 政府系ならではの強み 28 23 25 24 25 23 17

    18 17 31 34 35 1 2 3 Series1 Series2 Series3 Series4 投資先からの配当 ファンド/投資先間での再投資 債券、CP、銀行ローン、 政府調達...他 投資先の売却・再投資 主 要 ソ ー ス そ の 他 政府系企業から安定的に資金を調達 資金調達ソース 投資先セクター (%) 目的に則っていれば思い切った投資が可能 投資先セクターと個別投資先 個別投資先 (%) Series1, 44 Series2, 56 1 海外SWFの動向 3 4 SWF (アジア①) Source: Annual report
  62. 64 政府から SWF SWF から 投資先企業 "二重の壁" と "方針転換" でSWF/投資先ともに意思決定の独立性は高い

    政府との関係性/民間との住み分け 二重の壁:政府の事業への関与を防ぐ仕組み SWFの方針転換 SWF設立趣旨及び民業圧迫批判への対応 • 規制(政府)と利潤追求 (政府系企業) の分離が そもそもSWFの設立趣旨 • 然しながら、民業圧迫批判受け、1990年以降政府系企業の 民営化を推進。 • また現持ち株会社トップ 就任後、政府系企業の国際推進 も背景に、投資先のグローバル化が更に加速 • 結果、現在のSWFは産業振興より国富増大 (リターン 追及) が主な目的となっている 政府側もSWFを活用する必要がない • 防衛等基幹産業には外資規制が存在しており外資参入 困難 • 産業振興のための基金は他にも存在しており、SWFを 活用する理由がない 投資先企業 SWF SWFは投資先事業の意思決定や オペレーションに対する 指示はしない • SWFは株主としての権利を 行使することにより、経営陣の指名 や戦略に関与 • 日々の事業上の意思決定は 経営陣に一任 政府 政府はSWFの事業目的 設定や経営陣選任は行うが、 投資戦略設定や個々の投資案件へ 関与しない • 政府は行政のみ担い、 産業振興は民間の力を最大限 活用することが政府の 伝統的な行政方針 • 政府は個別案件へ関与せず 個別案件をbottom-upで検討 海外SWFの動向 3 5 SWF (アジア①) Source: Annual report;ボストン コンサルティング グループ分析
  63. 65 ポートフォリオ (投資方針) 政府系ファンド事例サマリー: アジア② 2 政府との 関係性/ 民間との 住み分け

    政府は投資方針には関与も個別案件 への関与を防ぐ仕組が存在 • 厳格な投資プロセス • 徹底したディスクロージャー 民業圧迫は特に批判されず • 民間への影響を分析し投資 • 民間企業との協業機会も存在 各産業と地域ごとに専門チームを組成 • 産業軸と地域軸が案件に応じて協業 組織 人材 PEファンド並みの待遇と安定雇用でプロ人材を採用 • PEファンド並みの待遇だが、up or out制度なし • 必要な人材はCEOの倍の給与でも採用 政府系 ならでは の強み 投資期間とリターンへの柔軟性が 強み • 政府財源のため、長期投資が 可能 • 雇用創出やGDP増があれば、 低リターンも許容 5 担っている機能・組織/人材 ファンド概要 運用額 運用実績 国 アジア Asset under management value • 約4兆円 出資元 政府 従業員数 約500名 (2017/6時点) 国内企業への投資 • エネルギー • 保険 海外投資 • Eコマース • エネルギー 自国経済発展を目的に、 国内外の幅広い産業に投資 • 2011年以降に、投資先 業種や地域を拡大 3 国有企業改革と海外投資に よる自国経済の発展 • 設立初期は、国内企業の 救済が中心 – 金融危機時には国内 企業救済のための ビークルに • 近年は、国家の将来成長 のシーズ投資に軸足 目的 1 機能 主に投資後に力点を置き、投資先の経営に オペレーションレベルまで関与しValue-up • 戦略の策定や経営人材の派遣に加え、戦略実行の オペレーション段階まで関与 • 必要に応じて、外部の力も活用 (例:コンサル会社) 組織/ 人材 3b 3a 4 海外SWFの動向 3 2 Source: HP、エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成
  64. 66 設立背景 経 済 環 境 目的 設立時は国有企業救済が目的、近年は国家成長のシーズ投資に軸足をシフト 目的 国有企業改革と海外投資による自国経済の発展

    • 設立初期は、国有企業の救済が中心 – 金融危機時には国内企業救済のための ビークルに 国家の将来成長のシーズ投資に軸足 • 海外産業や知見、技術の自国移転 • 投資先の過半数を獲得し、自国でのフット プリント (製造設備、R&D) 拡大に注力 国有企業の救済とValue upが政府の課題 • 民営化による経営効率化や財政赤字 解消を推進 • 1990年前半には、企業グループ育成に 軸足 自国の経済地位向上のため、政府が 英国系や華人系優良企業を買収も、経営不振 や倒産が相次いだ • 1980年代を通じて45-50%程度の政府系 企業が赤字、その半分程度が債務超過 目的 政 策 課 題 海外SWFの動向 3 1 SWF (アジア②) Source: エキスパートインタビュー, RIETI Discussion Paper Series 17-J-055
  65. 67 戦略転換のために、陣容・組織・方針を大きく変化させてきた SWFの投資戦略の変遷 Source: エキスパートインタビュー, ボストン コンサルティング グループ分析 戦略 従業員数

    取り組み 人材/ 組織 投資 方針 Phase 1: 1990-2005 Phase 2: 2006-2010 Phase 3: 2011- 子会社化による 国有企業の救済 経営改善による 保有企業のValue-up 新市場や新地域の開拓による 国家の競争力向上 数十人 150人 450人 2005年: USD 15.3B オペレーション改善の専門チームを 組成 • 各業界のスペシャリストを養成 • オペレーション改善のケイパ ビリティを蓄積 新規事業獲得の専門家を招聘 • 欧米金融機関の元幹部採用 業界軸×地域軸で専門性を強化 • 産業毎の専門チームを本社に設置 • SF、トルコ、ロシア、ロンドンに オフィスを設置し、地域専門家を配置 • 業界軸×地域軸が案件別に協業 保有企業への関与度を強化 • Board Memberに人材を派遣 • 必要に応じて外部の力も活用 – 例: リサーチ会社、 コンサルティング会社 等 国家の将来成長のシーズ投資に軸足 • 海外産業や知見、技術の自国移転 • 投資先の過半数を獲得し、自国で のフットプリント (製造設備、R&D) 拡大に注力 ホールディングスとしての最小限の 人材・組織のみ整備 - AUM 2010年: USD 27.0B 2016年: USD 34.9B 30%増 200%増 海外SWFの動向 3 1 SWF (アジア②)
  66. 68 主に投資後に力点を置き、投資先のValue-upに強み 担っている機能 Source: Annual report, エキスパートインタビュー 基本的な考え方 取締役や経営層を通じて、質の高い戦略の策定と実行を支援 主要なシステムやコントロールを導入し、ガバナンスや管理業務

    を支援 投資先間のシナジーを活かし、最適な競争環境と規制構造の 実現に貢献 投資先企業の継続的なモニタリングとパフォーマンス管理を提供 取締役会や経営層チームに対し、有力な経営人材の 獲得を支援 投資先に対して担っている機能 投資先経営への積極関与と内部管理の徹底 で、投資先のValue-upに強み • 経営にオペレーションレベルまで関与 – "投資先にはBoardメンバーを派遣する ケースが多い" – "自社が策定した戦略は実行段階にまで 関与する" – "投資先の日々のオペレーションにも 関与する" • 必要に応じて、外部の力も活用 – "業種知見が求められる場合は、 コンサルティング会社を活用することも ある" • 投資先のパフォーマンスを毎月検証 – Investment Divisionの人員が、2-3社 ずつ投資先を管理 – 投資先のパフォーマンスは月次で経営層 に報告され、問題があれば対応方針を 協議 海外SWFの動向 3 3a SWF (アジア②)
  67. 69 投資チームが定めたExit基準を基に、外部有識者も含め意思決定を行う 担っている機能: Exitの流れ メンバー プロセス 取締役会 投資 委員会 Investment

    Division 取締役と、 外部の有識者 投資チームのシニア • 但し、該当ディール に関わった者の 参加は禁止 投資担当及び投資先 管理担当 事前設計 Exit検討開始 Exit決定 投資担当メンバーが、 Exit基準/戦略を投資 実行時に案件毎に設計 • Exit時の目標IRR • 保有年数 • 売却先候補 (事業会社が主) 等 定めた基準に達したら、 投資先管理の担当 メンバーと協働で Recommendation作成 • IRRやTWRRを チェック 案件の状況次第で、 損切りのオーダーを 下すこと場合もあり Recommendationに 基づきExitの承認可否を 決定 Recommendationに 基づきExitの承認可否を 決定 海外SWFの動向 3 3a SWF (アジア②) Source: HP、エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成
  68. 70 SWFの強みは、投資案件に対する柔軟性である 政府系ならではの強み Source: エキスパートインタビュー 海外SWFの動向 3 4 民間ファンド 投資期間

    IRR目標 30%程度 10-15%程度 • 国家貢献があれば基準未満でも 検討 5-8年 10年以上の投資も可能 • 政府財源のため、短期リターンの 追及は必要ない SWF 政府独自のKPI 該当無し 雇用やGDP、技術など Ex) 橋梁建設(有料道路)事業 • 長期間にわたるPJで十分な投資採算見込めずIRR基準は未達 • 但し、地域雇用創出、産業発展や橋梁技術への高い貢献を見込み、基準外許容案件と して実行 SWF (アジア②)
  69. 71 投資決定プロセスとディスクロージャーで個別案件への政府関与を防いでいる模様 政府との関係性 投資方針への関与 個別案件への関与を 防ぐ仕組 政府は投資戦略/方針にのみ関与し個別案件への介入無し • SWFは自国経済の発展の為に設立されており、投資方針には政府意 向が反映されている模様

    厳格な投資決定プロセスと徹底したディスクロージャー制度が存在 • 厳格な投資決定プロセスを構築 – 最大7段階に亘る投資プロセスを構築 – 投資決定には、他チームのAVPクラスも参加し、独立性を担保 – 各チーム毎に設定されたIRRの達成が必要 • 徹底したディスクロージャーで透明性を担保 – 環境・社会・ガバナンスの3つの分野に配慮した投資と情報公開を 求める国連の責任投資原則に署名 政府意向と投資先への影響 Source: エキスパートインタビュー, Annual report 海外SWFの動向 3 5 SWF (アジア②)
  70. 73 海外政府系ファンド事例: 中東SWFサマリー ファンド概要 運用実績 国 中東 運用額 約14兆円 出資元

    政府 従業員数 約700名 (2011年) 国内企業への投資 • 石油 • 空調機器 等 海外投資 • 空港 • 半導体 等 政府系 ならでは の強み 政府・王族の力を積極的に利用 • ソーシングやバリューアップで 政府を積極的に活用 • 政府から無理な投資依頼 されることはない 膨大な財源と長期目線での投資 4 政府との 関係性 民間との 住み分け 王族や政府関係者が取締役で 一定程度の影響力ある模様 民間との住み分けはできている • 民間投資会社は自国にない • 海外投資も民業圧迫配慮 5 目的 ポートフォリオ (投資方針) 石油に頼らない経済の多 様化を企図 • 経済収益のみではな く、自国の国家戦略・産 業開発を重視 国における産業育成を目的 とした投資を実施 • 半導体、ヘルスケア等 の新産業及び石油を 中心としたエネルギー バリューチェンの拡大 (石油化学・金属 等) 1 2 担っている機能・組織/人材 3 原則マイナー出資で経営陣派遣通じたガバナンス 提供のみ • 投資チームメンバーが取締役として経営支援 自国経済の成長の為、海外優良企業との パートナーシップ活用したJVや事業開発を実施 機能 組織/ 人材 民間PEに近い待遇を提供、国内人材登用・活用も 重視 • 高報酬の一方パフォーマンス次第で解雇も規定 • 現地人材育成やキャリアパス多様化にコミット 3b 3a セクター別の投資体制によりエキスパートを適切に 配置 • 約10セクター30ヶ国を管理 組織 人材 海外SWFの動向 3 Source: 各社HP、エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成
  71. 74 目次 1. 検討のまとめ 政府系ファンドの必要性 政府系ファンドのあるべき姿 2. 検討資料詳細 政府系ファンドの意義 日本における官民ファンドの現状

    海外SFWの動向 PE/VCファンドの現状 我が国が抱える産業課題の現状 政府系ファンド活用の方向性検討 (あるべき姿の策定) 3.その他ご参考資料 1 6 5 2 3 4 1 2
  72. 75 検討の論点 (参考) PEファンドとVCファンドはどう違うか? 国内のPE (VC) ファンドの現状はどうなっているか? • 前提としてのグローバルPE (VC)

    ファンド市場はどうなっているか? – どの程度の規模か? – どの領域に投資されているか?累積/トレンドはどうか? – 代表的なプレイヤーは誰か? • 国内のPE (VC) ファンド市場はどうなっているか? • 国内のPE (VC) ファンド市場とグローバルのPE (VC) ファンド市場の違いはどの辺りか? 国内のPE (VC) ファンドの代表プレイヤーはどのように強みを築き上げているか? • どのような戦い方 (強み) があるか? • どのような投資方針を策定しているか? • 投資方針に合わせどのような機能を有しているか?どのようにそれを強化しているか? • 機能提供に必要な組織体系や人材をどのように整備しているか? PE/VCファンドの現状 4 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  73. 76 (参考) 一般論としてのPE/VCの違い PE/VCファンドの現状 4 Private Equity (PE) Venture Capital

    (VC) 要素 成熟期以降の企業 創業・成長期の企業 投資対象企業 全業界対象 大幅成長が期待できる業界 (IT、バイオ、ハイテクなど) 投資対象業界 マジョリティ投資が主 マイノリティ投資が主 投資比率 20億円~数千億円 1億円~20億円 (ステージによる) 投資金額(典型例) ハンズオンでのバリューアップ中心 ハンズオフでのメンタリング中心 投資先への関与方針 Source:エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成
  74. 77 各ファンドのフォーカスによって、ファンドの個性が現れる プレイヤー分析からの示唆: PEの戦い方 PE/VCファンドの現状 4 プレイヤー 分類軸 (代表例) 投資先規模

    投資の切り口 (グローバル オペレーション のレバレッジ) 経営への関与スタンス (自社リソースの 投入度合い) バリューアップ アプローチ Large Cap Small Cap グローバル 日本のみ ハンズオン ハンズオフ 付加価値追加アプローチ • 成長戦略実行 • ポートフォリオ間 シナジー • (+ベースアプローチ) ベースアプローチ • オペレーション効率化 • 財務再構築 • マルチプル Middle Cap 事例5 事例2 事例4 事例1 事例3 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  75. 78 戦い方は異なるも、案件獲得~エグジットに至るまで強みを有する プレイヤー分析からの示唆: PEの戦い方 PE/VCファンドの現状 4 プレイヤー 投資目的設定 投資方針策定 案件

    発掘・獲得 案件審査 スクリーニング 経営支援 事業運営 エグジット 事後評価 投資実行 勝ちパターン 投資フロー :強みが活きる部分 MDクラス人材の 人脈・魅力で 案件ソーシング 国内での知名度・幅 広いポートフォリオで 案件を持ち掛けやす い 豊富なバリューアップ 仮説でバリュー エージェントを積める バリューアップに 海外のポートフォリオとの シナジーを追求 グローバルで 蓄積した知見や オペレーションで 案件を持ち掛け やすい エグジット先を海外 プレイヤーへ広げやすい • グローバルでの高い レピュテーション • 投資先の海外展開 状況が改善済み 事例1 (外資系) 事例2 (国内系) バリューアップに 親会社のポートフォリオと のシナジーを追求 • 親会社との調整ができ る人材が必要 国内のエグジット先に強み • 親会社のネットワーク/ ブランド力 Source: 各社HP、エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成
  76. 79 良い人材を集めるために、MDクラスの優秀人材採用が起点になっている プレイヤー分析からの示唆: 人材獲得のための要件 PE/VCファンドの現状 4 プレイヤー Source: 各社HP、エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング

    グループ作成 PE志願者が考慮する条件 ファンドの人材獲得のための取組み 良い人材の獲得 良い案件の獲得 • Sourcing • 目利き • クロージング 投資の成功 • バリューアップ • エグジットの成功 結果、一連の良い経験の提供 ファンドレイズの成功 良いComp. package /ポジションの用意 MDクラス人材の 強化が起点 若手に対する モチベーション テニュア MD ディレクター ~VP アソシエイト ~アナリスト 重視する条件 ① 給与 • 給与水準に最も敏感 ② 人脈 (≒経験) • MDの人望に影響 • キャリア形成に繋がる経験を 与えられるMDの勧誘で転職 ① 経験 • 今後のキャリア形成のため、 「一連の良質な経験」を追求 • 案件の種類・評判が噂として 業界に流れる ② 給与 • 競争力のある給与水準 ① チーミング • チームとしてバリューを最 大化できるケイパビリティ • 個人の持つケイパの組合 (補間関係) ② ポジションと権限 ③ 報酬体系 (適正な配分)
  77. 80 Note: 欧州: 件数ではなく、投資先「社数」を統計数字として使用。欧州: 欧州内の投資家 [VCを含むPE会社] による投資 (欧州外への投資を含む)。 日本のみ年度ベース (4月~翌年3月)

    米国の数値は、THOMSON REUTERSの調査数値 なおVCによる投資のみが集計対象で、事業会社によるベンチャー投資は含まず Source: Venture Enterprise Center「ベンチャー白書2016」 ベンチャー向けリスクマネー供給は、規模・伸びともに米中が日本・欧州を圧倒 グローバルVC市場の全体像: 投資実行額 2015年のベンチャー投資実行額の国際比較 (米国・欧州・中国・日本) 71,475 61,516 36,663 33,469 36,191 25,084 20,137 7,779 8,924 15,927 1,302 1,171 1,818 1,026 1,240 0 20,000 40,000 60,000 80,000 (億円) (年) 2015 5,359 2014 4,848 2013 4,606 2012 4,553 2011 5,305 日本 中国 欧州 米国 4,380 4,442 4,295 3,991 4,050 3,006 3,408 3,206 3,132 3,186 3,445 1,148 1,071 1,505 1,162 969 1,000 824 1,017 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 (件/社) 1,917 中国 日本 米国 欧州 市場概観 PE/VCファンドの現状 4
  78. 81 (再掲) 起業文化の醸成やユニコーン起業社数においても米中対比日本は劣後 グローバルVC市場の全体像: 起業活動率とユニコーン企業数の国別比較 ユニコーン企業の所在国比較 起業活動率の国別比較 (2015) 0 5

    10 15 20 25 30 14.0 13.1 エ ス ト ニ ア 米 国 12.7 リ ト ア ニ ア 12.4 イ ラ ン 12.3 グ ア テ マ ラ 12.3 カ ナ ダ 12.2 リ ビ ア 11.2 シ ン ガ ポ ー ル 10.7 南 ア フ リ カ 10.6 ボ ス ニ ア ・ヘ ル ツ ェ コ ビ ナ 10.3 ル ー マ ニ ア 10.1 イ ス ラ エ ル 10.0 イ ン ド 9.9 ハ ン ガ リ ー 9.7 ス ロ バ キ ア 9.5 (%) イ ン ド ネ シ ア 25.5 チ リ 24.3 コ ロ ン ビ ア 23.7 ペ ル ー 23.4 ボ ツ ワ ナ 20.9 パ ナ マ 20.6 フ ィ リ ピ ン 18.5 タ イ 17.7 ブ ラ ジ ル 17.3 ア ル ゼ ン チ ン 15.9 ベ ト ナ ム 15.4 メ キ シ コ 14.8 ウ ル グ ア イ 14.1 中 国 ポ ー ラ ン ド 9.3 オ ラ ン ダ 9.3 ア イ ル ラ ン ド 9.2 ル ク セ ン ブ ル ク 8.7 プ エ ル ト リ コ 8.3 ク ロ ア チ ア 8.3 ス ウ ェ ー デ ン 8.2 ポ ル ト ガ ル 8.2 ス イ ス 8.2 台 湾 8.2 チ ェ コ 7.3 イ ギ リ ス 7.1 韓 国 6.9 マ ケ ド ニ ア 6.6 マ レ ー シ ア 6.6 ス ロ ヴ ェ ニ ア 6.5 ノ ル ウ ェ ー 6.3 ロ シ ア 5.8 ギ リ シ ャ 5.5 フ ィ ン ラ ン ド 5.3 ス ペ イ ン 5.2 ス リ ナ ム 5.1 ド イ ツ 5.0 ベ ル ギ ー 4.9 ア ル ジ ェ リ ア 4.9 フ ラ ン ス 4.6 日 本 3.7 イ タ リ ア 3.4 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 4 10 12 56 109 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 (件) Malta Canada United Arab Emirates Nigeria United States France Sweden Switzerland Israel Indonesia Germany India United Kingdom China Colombia Singapore Luxembourg Czech Republic Japan Netherlands South Korea South Africa Note: (左図) 起業活動率 (TEA (Total early-stage Entrepreneurial Activity) は労働人口に対する、起業準備+起業3.5年未満の企業を経営している人の割合) (右図) 時価総額US10億ドル以上の非上場スタートアップ企業 Source: (左図) Global Entrepreneurship Monitorレポート (GEM); (右図) CB Insights HP "The UnicornClub" よりボストン コンサルティング グループ作成 市場概観 PE/VCファンドの現状 4
  79. 82 国内VCファンド組成はリーマン後の停滞から回復し、成長基調に 国内VC市場の全体像: ファンドの組成状況 2,763 2,362 1,675 2,155 376 660

    351 185 838 0 1,000 2,000 3,000 (億円) (年) 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 ファンド組成金額推移 ファンド組成件数推移 Source: entrepedia「2016年設立 国内投資対象ベンチャーファンド集計結果」 市場概観 PE/VCファンドの現状 4 55 58 47 34 18 26 18 10 28 0 20 40 60 (件) (年) 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008
  80. 83 但し、CVCを含んだ市場は成長基調に戻っている 国内VC市場の全体像: 投資額推移 2,014 1,861 1,500 1,100 845 794

    614 1,074 997 1,360 0 1,000 2,000 3,000 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 (件) (億円) (年度) '15 1,006 '14 '13 '12 '11 '10 '09 '08 '07 '06 '16 投資実行額 投資先件数 Note: 投資実行額には事業会社によるベンチャーへの出資・買収も含む Source: Japan Venture Research「 2016年 未公開ベンチャー企業資金調達の状況」 市場概観 PE/VCファンドの現状 4
  81. 84 CVCや大学系VCファンドも資金の一角を占めるようになり、出し手が多様化 国内VC市場の全体像: ファンド組成金額のVC種類別構成比推移 Source: entrepedia「2016年設立 国内投資対象ベンチャーファンド集計結果」 市場概観 PE/VCファンドの現状 4

    47 12 45 65 10 31 9 53 13 11 28 16 12 37 41 31 8 54 22 43 32 10 36 22 48 26 20 17 7 12 17 6 11 39 7 80 100 0 40 20 60 (%) (年) 2016 2,763 2015 2,352 2014 1,675 2013 2,155 2012 2010 351 2009 185 2008 838 2011 660 376 独立系 金融機関系 CVC 大学・政府系
  82. 85 市場の過熱感高まる中、アーリー・イノベーション分野の投資が増加傾向 国内VC市場の全体像: 投資対象 市場概観 PE/VCファンドの現状 4 100 80 60

    40 20 0 17.7 30.8 2012 17.4 42.0 28.8 11.8 2011 15.1 32.6 28.1 24.1 件数比率 (%) 48.1 25.2 11.9 2013 18.4 33.2 (年度) シード アーリー エクスパンション レーター 2015 18.6 48.7 24.3 8.4 2014 14.8 500 400 300 200 100 0 (億円) +81% +146% +226% +55% +60% IoT AI ロボット フィンテック ヘルスケ アテック 2016 2015 ステージ別VC投資件数の推移 国内VC投資注力分野に対する投資金額推移 Source: Venture Enterprise Center「ベンチャー白書2016」, entrepedia 「2016年 未公開紅ベンチャー企業資金調達の状況」
  83. 86 業界における重要な課題は ① 起業家不足、②人材不足、③ エグジット先不足 ベンチャー/VCにおける投資ステージ別の課題 市場概観 • 製品・サービスは 企画段階

    • プロトタイプの開発 アーリー (シリーズA) シード エクスパンション (シリーズB) レイター (シリーズC) • プロダクトをリリース • アーリーアダプタを 獲得 • 持続的な収益創出 に成功 • 一定の顧客を獲得 • 収益化に向けた 成長戦略が必要 • M&Aでエグジット or • 上場での資金調達 で更なる事業拡大 • 起業に関する 知見・人脈 等 • (エンジェル、イン キュベーター、アク セラレーター、大学 系が中心) • ユーザー獲得や 組織作りに資する 知見・人脈や 製品・サービス 開発資金 等 • (独立系VC/CVC 等が中心) • エグジット準備に向 けた社内体制整備 に資する知見 • 証券会社や監査法 人との折衝 等 • (金融系VC等が 中心) • 成長戦略へのアド バイス • 既存サービスの収 益化及び成長戦略 実行に必要は知識・ 人脈や資金 等 • エグジット先の紹介 • 証券会社との折衝 等 起業家不足 • 質量ともに起業家 が不足 人材不足 • 事業・商品戦略等を描けるCxO人材が質量ともに不足 • スタッフレベル層の厚みも不十分 エグジット先不足 • エグジットの 選択肢が不足 – FAANG規模の メガベンチャーの 不在 – 既存大手も買収 に消極的 投資家の "目利き力" が不足 • 同じ投資先に群がる傾向が強い • 投資先に成長戦略 /Death Valley乗越 のアドバイスができる 人材が不足 1 2 3 Source: エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成 ス テ ー タ ス ベンチャー VC 課 題 VCに求めら れる役割 1 2 3 事業 エグジット 組織 体制 • 創業メンバー 数人のみ組織 • フロント中心に 基礎的な組織体制 を構築 • 上場に向け、外部機 関(監査等)を含めた 組織体系を構築 • ミドルバック含めた 企業組織体制を 構築 • (上場の場合)IR等、 上場後に必要な 組織を構築 : 業界の構造的課題 PE/VCファンドの現状 4
  84. 87 政府系ファンドは、新たなベンチャー/VCのモデルケースを創出に貢献できる可能性 ベンチャー/VCにおける投資ステージ別の課題 Source: ボストン コンサルティング グループ分析 市場概観 課題の根本原因 政府系ファンド貢献の可能性

    (初期仮説) 改善が必要なポイント • 元起業家等の再就職支援・採用 起業家不足 エグジット先不足 VC側 ベンチャー側 人 材 不 足 一般水準よりも低い給与 ストックオプションの付与が不十分 洗練されたVCが不足しており一流 人材の職場になっていない 報酬水準がPEやその他優良企業に 比し低い マザーズ等ベンチャーのIPO先とな る株式市場への流入資金不足 メガベンチャー (FAANG)の不在 失敗コストの緩和 学生を対象とした意識改善 大学での起業促進/教育 大学での起業促進/教育不足 高すぎる "失敗コスト" 大企業中心の文化 (Risk Averse) グローバル水準とかけ離れた 業界の報酬水準 • 海外起業家/VCの誘致 • 先進事例の情報発信 • 一流キャピタリストを採用・育成 • 高い報酬水準提供 ベンチャーの進化に追い付いて いない前時代的なVC業務・人材 1 2 3 ベンチャー買収に消極的な大企業 ベンチャー買収の活用方向性に 関する認識不足 リスクに見合うリターンを見込む ためのインセンティブ PE/VCファンドの現状 4
  85. 88 ベンチャーの本格的な事業拡大を支援できるVC (キャピタリスト) は少ない VCの種類別得意分野 Source: 起業経験者/VC関係者へのインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成 プレイヤー

    PE/VCファンドの現状 4 主に対応するステージ 独立系 シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資 ベンチャー CVC 大企業 CVC 金融系 大学/ 政府系 特徴 • 主にアーリー中心に投資も戦略・投資先は スターキャピタリストの知見や人脈に依存 • 純投資中心とシナジー追及に大別 • オープンイノベーションを背景に通信、金融、製造業等 幅広い業種でCVC設立がブーム化 • 老舗が多い金融系はIPOに近いレイターが中心 • 事業会社としての側面活かしCVC的な投資も実施 • 大学系は大学発のシード技術の事業化を中心に支援 • 政府系では中小機構中心にVCへの投資も活発 シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資 シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資 シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資 シード アーリー エクスパ ンション レイター ファンドへの間接投資
  86. 89 ランク 投資会社 投資総額 (百万円) 投資社数1) (含金額不明) 独立系 ベンチャー CVC2)

    大企業 CVC2) 金融系 大学/政府系 1 株式会社ジャフコ 13,567 27 (27) ✔ 2 株式会社産業革新機構 11,194 14 (14) ✔ 3 SBIインベストメント株式会社 9,683 29 (29) ✔ 4 WiL LLC. 5,562 9 (9) ✔ 5 SMBCベンチャーキャピタル株式会社 4,149 39 (41) ✔ 6 三井住友トラスト・インベストメント 4,100 4 (5) ✔ 7 グロービス・キャピタル・パートナースズ 3,329 10 (10) ✔ 8 大和企業投資株式会社 3,273 38 (38) ✔ 9 Eight Roads Ventures Japan 3,247 8 (8) ✔ 10 Doll Capital Management, Inc. 2,925 4 (4) ✔ 11 株式会社東京大学エッジキャピタル 2,497 15 (15) ✔ 12 三菱UFJキャピタル株式会社 2,355 35 (51) ✔ 13 ユーグレナSMBC日興リバネスキャピタル 2,062 13 (15) ✔ 14 みずほキャピタル株式会社 2,062 41 (44)1) ✔ 15 ニッセイ・キャピタル株式会社 2,045 23 (23) ✔ 16 グローバル・ブレイン株式会社 1,934 19 (19) ✔ 17 日本ベンチャーキャピタル株式会社 1,900 31 (31) ✔ 18 YJキャピタル株式会社 1,891 9 (11) ✔ 19 三井住友海上キャピタル株式会社 1,454 14 (16) ✔ 20 Ventech China 1,400 1 (1) ✔ 21 株式会社電通イノベーションパートナーズ 1,270 9 (9) ✔ 22 Salesforce Ventures 1,050 7 (7) ✔ 23 株式会社環境エネルギー投資 909 8 (8) ✔ 24 モバイル・インターネットキャピタル株式会社 844 7 (12) ✔ 25 Draper Nexus Venture Partners 810 10 (11) ✔ 26 京都大学イノベーションキャピタル株式会社 795 7 (7) ✔ 26 大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社 790 7 (7) ✔ 28 Beyond Next Ventures株式会社 750 1 (5) ✔ 29 DBJキャピタル株式会社 746 10 (10) ✔ 30 日本アジア投資株式会社 732 14 (14) ✔ (参考) 2016年ベンチャーキャピタル投資金額ランキング 1. 投資社数は、同年に複数回投資を行ったが一部の金額のみ判明している投資先がある場合; 2. CVC(Corporate Venture Capital)は企業が事業シナジーや収益拡大を狙いとして組成したVCファンド Source: Japan Venture Research プレイヤー PE/VCファンドの現状 4
  87. 90 目次 1. 検討のまとめ 政府系ファンドの必要性 政府系ファンドのあるべき姿 2. 検討資料詳細 政府系ファンドの意義 日本における官民ファンドの現状

    海外SFWの動向 PE/VCファンドの現状 我が国が抱える産業課題の現状 政府系ファンド活用の方向性検討 (あるべき姿の策定) 3.その他ご参考資料 1 6 5 2 3 4 1 2
  88. 91 政府・民間の課題意識から課題マップを作成し、官民ファンドの必要性を評価 産業課題の把握・抽出アプローチ 民間の認識 政府の認識 アベノミクス以降、政府 発行の文献を中心に調査 (取組みから課題を逆算) • 官邸

    • 経産省 • その他関連省庁 シンクタンクの報告書及び 経済誌の主要定期刊行物 を中心に調査 統合課題マップの作成 政府および民間の共通項 を整理し、グループ化 官民ファンドの役割 各グループに対し、官民 ファンドの要否を4つの クライテリアで評価 • リターン • スコープ • スピード • 柔軟性 我が国が抱える産業課題の現状 5 Source:エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成
  89. 92 各種情報ソースから、産業振興の取組みを10つのグループ・25テーマに整理 産業振興の取組み 我が国が抱える産業課題の現状 5 Source: 首相官邸HP「未来投資戦略2017-Society 5.0の実現に向けた改革」( http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/ )、

    内閣府HP「経済財政運営と改革の基本方針2017」 ( http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2017/decision0609.html )、経済産業省HP「平成26-30年度経済産業政策の重点( http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2018/index.html )」、 「産業構造審議会 新産業構造ビジョン」( http://www.meti.go.jp/press/2017/05/20170530007/20170530007.html )よりボストン コンサルティング グループ作成 政府の認識 民間の認識 区分 テーマ 具体例 産業再編 新産業 (ベンチャー) 育成 規制緩和 コーポレートガバナンス強化 産業の新陳代謝促進 M&A、ベンチャー関連法/税規制 産業競争力強化法、INCJ コーポレートガバナンスコード INCJ 3 インフラ輸出 クールジャパン 中小企業の海外進出 対内FDI促進 戦略的国際連携 インバウンド促進 国際展開 TPP、EPA トップ外交、資金支援 新輸出大国コンソーシアム CJ機構、情報発信 日本型IR、国際博覧会誘致 研究開発、事業化支援 5 ビックデータ/AI ロボット/ドローン ヘルスケア 自動走行 イノベーション 再生医療、健康・医療情報基盤整備 産業データ集約・流通支援、情報銀行 ドローン実証実験 (福島) 自動走行システム実証実験 (新東名) 宇宙 衛星データオープン化、ロケット開発 1 スマートホーム推進、電子タグ普及 IoT 3D地図 自動走行実現のための標準地図 デファクトスタンダード化 2 中小企業育成 中小企業育成 (中堅企業化) 地域中核企業、事業承継支援事業 6 地域経済活性化 地域経済活性化 観光、スポーツ、文化事業支援 7 再生可能エネルギー開発・普及 環境・エネルギー 少エネ補助金、次世代自動車補助金 8 被災地復興支援 被災地復興 廃炉・汚染水対策、被災者支援事業 9 国の安全に係る技術 サイバーセキュリティ強化 災害対応 産業安全保障 インフラのサイバー攻撃脆弱性評価 製造業重要技術認証制度 製造業BCP支援、製油所耐震力強化 4 働き方改革 働き方や人材 働き方改革、第四次産革人材育成 10 産業振興の取組み
  90. 93 産業振興の取組みから、有効な政策手段をマッチする 産業振興の取組みと関連する政策手段 我が国が抱える産業課題の現状 5 中小企業育成(中堅企業化) 地域経済活性化 環境・エネルギー 被災地復興 働き方や人材

    産業の新陳代謝 促進 国際展開 イノベーション デファクト スタンダード化 産業安全保障 3 5 1 2 6 7 8 9 4 10 政府系 ファンド 補助金 規制緩和/税優遇 政府 (関連機関) 投融資 取組みテーマ 産業再編 規制緩和 コーポレートガバナンス強化 新産業 (ベンチャー) 育成 インフラ輸出 中小企業の海外進出 クールジャパン 戦略的国際連携 インバウンド促進 ビックデータ/AI ロボット/ドローン ヘルスケア 自動走行 宇宙 IoT 3D地図 国の安全に係る技術 サイバーセキュリティ強化 災害対応 対内FDI促進 中小企業育成 地域経済活性化 再生可能エネルギー開発・普及 被災地復興支援 働き方改革 Source: 首相官邸HP「未来投資戦略2017-Society 5.0の実現に向けた改革」( http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/ )、 内閣府HP「経済財政運営と改革の基本方針2017」 ( http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2017/decision0609.html )、経済産業省HP「平成26-30年度経済産業政策の重点( http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2018/index.html )」、 「産業構造審議会 新産業構造ビジョン」( http://www.meti.go.jp/press/2017/05/20170530007/20170530007.html )よりボストン コンサルティング グループ作成
  91. 94 6つの課題に対応する、政府系ファンドの4つの目的を考える 政府系ファンドの目的設定 我が国が抱える産業課題の現状 5 政府系ファンドに求める「目的」 取組みテーマ 政府系 ファンド 補助金

    規制緩和/ 税優遇 政府 投融資 必要な強み 対応する政策手段 優位 有効 イノベーション 1 直接リターン • 「事業成立」のための 一定リターン追求 高い柔軟性 • トレンド先導の必要 リターン スピード 柔軟性 スコープ 地域創生 既存産業の 競争力強化 Ⅱ 効率化 促進 技術保護 次世代産業 育成 新たなプラッ トフォームの 創造 次世代産業 育成 Ⅰ 産業の新陳代謝 促進 3 広範囲なスコープ • 産業単位での新陳代謝 促進が必要 リターン スピード 柔軟性 スコープ しがらみが 働く案件を ピンポイント で攻略 中小企業育成 6 広範囲なスコープ • 企業規模での分類で、 対象が広い リターン スピード 柔軟性 スコープ デファクト スタンダード化 2 的確なスコープ • 特定技術への集中投資 早いスピード • 非効率排除のための 素早いロールアップ リターン スピード 柔軟性 スコープ 地域経済活性化 7 的確なスコープ • 特定地域への集中投資 • 地域に根付ける産業に 対する目利き リターン スピード 柔軟性 スコープ 産業安全保障 4 的確なスコープ • 保護すべき企業をピン ポイントに救済 早いスピード • 資金ニーズは緊急を要す リターン スピード 柔軟性 スコープ Source: 首相官邸HP「未来投資戦略2017-Society 5.0の実現に向けた改革」( http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/ )、 内閣府HP「経済財政運営と改革の基本方針2017」 ( http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2017/decision0609.html )、経済産業省HP「平成26-30年度経済産業政策の重点( http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2018/index.html )」、 「産業構造審議会 新産業構造ビジョン」( http://www.meti.go.jp/press/2017/05/20170530007/20170530007.html )よりボストン コンサルティング グループ作成
  92. 95 目次 1. 検討のまとめ 政府系ファンドの必要性 政府系ファンドのあるべき姿 2. 検討資料詳細 政府系ファンドの意義 日本における官民ファンドの現状

    海外SFWの動向 PE/VCファンドの現状 我が国が抱える産業課題の現状 政府系ファンド活用の方向性検討 (あるべき姿の策定) 3.その他ご参考資料 1 6 5 2 3 4 1 2
  93. 96 明確な目的から、一貫した方針、機能、組織・人材など、ファンドの詳細方向を設定 政府系ファンド活用の方向性検討: 調査結果からの示唆とそれに基づく我が国政府系ファンドの方向性 国内ファンドの現状と 海外SWF事例からの示唆 政府系ファンドの方向性 "次世代産業育成" と "既存産業再編"

    の2つの目的 を設定 目的別に必要な機能を強化 • 特に案件ソーシングと経営支援機能を強化 投資方針は目的毎に明確・詳細に規定 • 目的別の投資原則はなるべく詳細化 • 但し、投資原則とファンドの自律性のバランスが必要 強みを有効に活用 • "投資の柔軟性"を活かし民間投資を補完する リスクマネーを提供 • 個別案件への介入は遮断しつつ、必要に応じ政府 との関係性を活用 • HDにおけるディスクロージャー機能を強化 専門性の高い組織体制を構築 • 経営・サポート機能は本社に集約 • 投資に係る機能は各目的別組織に委譲 • 人材獲得のため、競争力ある人事報酬制度を設計 案件レベルでのファンドの独立性を担保 • 政府との調整・政策合致評価は原則HDで対応 個別ファンドの目的を明確に定義すべき • 目的は国家戦略の変化に合わせ定期的に見直し かつ目的の重複はリソース面で非効率 目的や戦略に応じて保持・強化すべき機能を 明確化すべき 規模・柔軟性・政府との関係性の3つの源泉からなる 政府系の強みをフルに活かすべき • 例:ペイシェントキャピタルの提供 専門性が蓄積される組織 (産業/地域) が必要 機能実現に重要なポジションには民間以上の 待遇でグローバルトップ人材を獲得すべき 目的に沿った投資方針を定義すべき 定義された方針内ではファンドの自由度を担保 • 個別案件への政府介入可能性は排除 ガバナンスやディスクロージャーの徹底により、 投資プロセスを透明化すべき • 特に個別案件における介入可能性を遮断 ポートフォリオ (投資方針) 担っている機能 ファンドの目的 政府との関係性・ 民間との住み分け ガバナンス 組織/人材 政府系ならではの 強み 1 3a 3b 2 5 4 政府系ファンド活用の方向性検討 6 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  94. 97 新組織が担うべき目的は "次世代産業育成" と "既存産業の競争力強化" の2つ 国内の産業課題と新組織が担うべき目的 政府系ファンド活用の方向性検討 6 1

    新組織が担うべき目的 産業振興の取組み 軸の異なる目的のため、REVIC等の別機構で対応 「目的」に関する運用の原則 • 定期見直し: 課題認識に合わせ、5年毎に定期レビュー/見直し • 緊急見直し: 目的の範疇で対応できない案件発生時、取締役会/ 外部有識者会等を開いて議論→目的を曲げて解釈しない 産業再編 新産業 (ベンチャー) 育成 規制緩和 コーポレートガバナンス強化 産業の新陳代謝促進 M&A、ベンチャー関連法/税規制 産業競争力強化法、INCJ コーポレートガバナンスコード INCJ 3 インフラ輸出 クールジャパン 中小企業の海外進出 対内FDI促進 戦略的国際連携 インバウンド促進 国際展開 TPP、EPA トップ外交、資金支援 新輸出大国コンソーシアム CJ機構、情報発信 日本型IR、国際博覧会誘致 研究開発、事業化支援 5 ビックデータ/AI ロボット/ドローン ヘルスケア 自動走行 イノベーション 再生医療、健康・医療情報基盤整備 産業データ集約・流通支援、情報銀行 ドローン実証実験 (福島) 自動走行システム実証実験 (新東名) 宇宙 衛星データオープン化、ロケット開発 1 スマートホーム推進、電子タグ普及 IoT 3D地図 自動走行実現のための標準地図 デファクトスタンダード化 2 中小企業育成 中小企業育成 (中堅企業化) 地域中核企業、事業承継支援事業 6 地域経済活性化 地域経済活性化 観光、スポーツ、文化事業支援 7 再生可能エネルギー開発・普及 環境・エネルギー 少エネ補助金、次世代自動車補助金 8 被災地復興支援 被災地復興 廃炉・汚染水対策、被災者支援事業 9 国の安全に係る技術 サイバーセキュリティ強化 災害対応 産業安全保障 インフラのサイバー攻撃脆弱性評価 製造業重要技術認証制度 製造業BCP支援、製油所耐震力強化 4 働き方改革 働き方や人材 働き方改革、第四次産革人材育成 10 区分 テーマ 具体例 次世代産業 育成 既存産業の 競争力 強化 地方経済活性化のための「育成すべき産業」を選定 し、集中的に投資 地方創生 Ⅰ Ⅱ 設備・投資過剰の産業に対し、統合・再編を主導し、 産業競争力を向上 (全体最適化推進) • 民間で集約困難 (「しがらみ」) な産業が主対象 重点分野における重複投資の回避 (協調領域) • 例:ダイナミックマップ 今後核心産業になり得る事業の「種」を育成 • 「回収期間が長い」または「リスク高い」分野に 集中的に投資する → 民間との競合を回避 • 業種は第四次産業革命関連、ステージは シード/アーリーが中心 次世代 事業育成 効率化 促進 新たな プラット フォーム の創造 技術保護 「国家競争力に関わる技術」を保護 • 民間・海外資本の短期リターン志向による ポテンシャル喪失を牽制する • 当該産業は高い付加価値を持ち、経済指標に 大きく貢献するもの (雇用・所得・GDP貢献 等) 成長産業・企業へグロースマネーを供給しプラット フォームの確立を支援 • プラットフォーム性有する企業のエクスパンショ ンを中心に支援、新たな社会インフラを構築 Source: Source: 首相官邸HP「未来投資戦略2017-Society 5.0の実現に向けた改革」( http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/ )、 内閣府HP「経済財政運営と改革の基本方針2017」 ( http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2017/decision0609.html )、経済産業省HP「平成26-30年度経済産業政策の重点( http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2018/index.html )」、 「産業構造審議会 新産業構造ビジョン」( http://www.meti.go.jp/press/2017/05/20170530007/20170530007.html )よりボストン コンサルティング グループ作成
  95. 98 投資方針は組織毎の目的に沿って明確に規定する 新組織の投資方針 政府系ファンド活用の方向性検討 6 2 基本的な 考え方 ファンドの目的に合わせ、投資方針を具体的に定義する •

    投資戦略、投資テーマ・領域、投資目標を明確に規定 • 投資方針は目的別に毎年レビューし、必要の応じて修正 個別投資先選択の自由度は原則組織トップへ委譲するも、組織の目的によっては議論が必要 ファンドの投資方針 ファンドの目的 • 将来国内産業の中核となりうる技術のある産業に対して投資 – ハイリスク/長期回収となる技術案件に限定 – 投資対象は方針で規定 – 特にシード段階にあるベンチャーへ投資 次世代 事業育成 次世代産業 育成 • 未来社会のインフラになりうる成長産業・企業へグロース マネーを供給しプラットフォームの確立を支援 – 規模拡大で標準化の加速可能な技術を持つ企業中心 – 国内外へのエクスパンションにグロースマネー供給 • 国内産業の維持に不可欠な中核技術を持ちながら、外資企業との 競争等の中で存続の危機に瀕した企業に対して投資 • 日本経済/安全保障の基盤を成すインフラ技術を持つ企業に 対して投資 技術保護 • 自動車、半導体、航空 等 (裾野の広い産業中心) • 抜本的な産業構造の転換が必要と見込まれる産業において、 構造転換を促進する案件に対して投資 – 民間資本による再編が進まない案件に集中 • 重点分野における、既存企業による重複投資の回避 (協調 領域) 例: ダイナミックマップ 効率化促進 • 製紙、石油、電気、地銀 等 • 自動運転、IoT 等 第四次産業革命関連 • ヘルスケア、バイオ、宇宙、ロボット/ ドローン、ビッグデータ、AI 等 既存産業の 競争力強化 新たなプラット フォームの創造 投資分野 Ⅱ Ⅰ Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  96. 99 目的に合わせ必要な機能を整理、特に発掘・獲得と経営支援/事業運営機能を強化する 高いケイパビリティが要求される機能 (新組織が保持・強化すべき機能) 政府系ファンド活用の方向性検討 6 3a ファンドの目的 投資目的設定 投資方針策定

    案件 発掘・獲得 案件審査 スクリーニング 経営支援 事業運営 エグジット 事後評価 投資実行 コーポレート機能: M&A実務、IR/広報、コンプライアンス、財務経理、総務、IT、人事 : 最優先で強化 : 強化 投資委員会 投資 評価 委員会 投資チーム PFチーム ディール サポートチーム 投資チーム 取締 役会 CEO/ 共通 部門 取締 役会 投資 委員会 関わる 組織 (会議体) : HD組織 : ファンド組織 既存産業の 競争力強化 次世代 産業育成 社内外のリソースを活用しながら ディールをクローズ • 投資チームがディール全般を推進 • 案件審査 (Due Diligence) フェーズでは、外部コンサルタント、 法律・会計事務所などを活用 • 投資判断フェーズでは、主体と なる投資委員会が最も強化 すべき機能 • ディール実行フェーズではIBや 法律事務所などを活用 全レベルでの関与 • 取締役派遣に よるガバナンス や経営支援 • CxO人材と バリュークリ エーション チーム投入に よる戦略策定 ~実行 (含む オペレーション 改善) 案件発掘・獲得 • 関連産業への ネット ワークを駆使 • 強い目利き力 が必要 テクノロジー/ スタートアップ 動向に関する 調査分析 タイミング/ エグジット先の 見極め • 定期レビュー にてエグジット の可否検討 • 投資委員会の 決裁にて実施 既存産業に 関する調査分析 投資実績の評価 • 業績評価規定 と政策貢献度 を評価 • 業績は定量 指標にて公正 評価 • 外部有識者会 議が政策貢 献度を目的別 に評価 → 報酬や待遇 へ適切に 反映 ハイレベルな 関与 • 取締役派遣に よるガバナン スや経営支援 • 地域展開など 戦略にアド バイス Ⅱ Ⅰ Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  97. 100 政府/HDは原則投資実行以外の部分を担うことでファンドをガバナンス 資料14: 主要な意思決定事項とガバナンス: 責任と権限 政府系ファンド活用の方向性検討 6 3b 実現したい国家戦略に沿った 目的・方針を策定

    • 政府:国家戦略の反映 • HD:リアリティチェック (リソース面 等) と政府へ のフィードバック 目的達成の観点からHDが リソース配分を決定 • ファンド規模 (資金) • 人材 (人数・スペック) 決定 • 運用会社の設立・廃止 客観的な評価に基づく信賞 必罰の報酬システムでガバナ ンスの実効性担保 • 外部有識者が各ファンド/ 投資を主に政策合致性の 観点から評価 • HDは総合的なパフォーマ ンスを評価し、信賞必罰で 報酬水準を決定 投資規模別の決裁基準で、 投資意思決定のスピードと クオリティのバランス • 意思決定はファンド内 完結 • (巨額投資は、HDもファン ドサイズを通して、一部コ ントロールすることも可能) 設計の意図 ファンド組成 目的・方針策定 投資実行 評価・報酬 レイヤー 政府戦略の観点からの 目的・方針を議論/指示 ファンド規模・目的を 議論、申請組成を承認 ポートフォリオ 運用の責任と 権限はファンドに 委譲 取締役会で 総合的なKPI 達成状況評価 • 政策KPIは 評価委員会 報酬決定 支払承認 • 四半期に1回ファンドの運営状況を報告 • 5年に1回定例で政策目的に合わせファンド目的見直し (臨時もあり) 収益性・実行性の観点 から政府と議論 政治・経済状況などに 合わせて指示 目的・方針 を議論 政治経済 状況の変化 年1回 政府 ファンド 貴省 投資委員会 取締役会 投資委員会 評価委員会 (外部有識者) CEO HD 協議のもとファンドの 目的を設定 目的・方針 を議論 ファンド組成を承認 ファンド増減額・廃止も 政府承認必要 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  98. 101 個別案件は原則ファンドレベルで完結、HD以上は基準外/技術保護案件のみ関与 投資案件におけるガバナンス: 案件決裁フローと投資委員会の構成 政府系ファンド活用の方向性検討 6 3b 投資案件における決裁フローと投資委員会の構成 • 事前に設定した投資基準内の

    案件は「ファンド投資委員会」で 投資実行まで完結 • 投資基準は投資金額、 リターン目標、投資分野で 規定 • ファンドの裁量を強化し投資 の機動性を確保 • 基準外の案件はHDを含めた 「拡大投資委員会」で判断 • 過半数の賛成で可決 • 各出席者の役割は以下 – HD CEO 全社戦略との合致性担保 – 貴省ご担当 政策合致性の担保 • オブザーバーは投票権は 持たない • 技術保護を目的とした案件は 拡大投資委員会で政策合致性を 確認 1 2 3 基本的な考え方 次世代事業育成 新たなプラット フォームの創造 効率化促進 技術保護 次世代産業育成 既存産業の競争力強化 Ⅰ Ⅱ 投資 金額 10億円以下 50億円以下 100億円以下 - 投資 分野 第四次産業革命関連 • ヘルスケア、バイオ、宇宙、ロボット/ ドローン、ビッグデータ、AI 等 • 製紙、石油、 電気、地銀 等 • 自動運転、IoT • 自動車、半導体、 航空 等 リターン 目標 IRR15%以上 - MOC2倍以上 基 準 外 ファンド投資委員会 ファンド MD ファンド CEO 可決の閾値:過半数の賛成 投 資 基 準 内 個 別 案 件 の 投 資 基 準 決 裁 権 限 と 会 議 体 拡大投資委員会 年1~2件 程度 2 可決の閾値: 過半数の賛成 オブザーバー (社外取締役、専門家等) + HD CEO 貴省 ご担当 ファンド MD ファンド CEO ~ 1 3 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  99. 102 リターン/政策KPIの達成度合い事後評価し、ファンドの予算・ボーナスプールに反映 投資案件におけるガバナンス: 新組織のKPIの考え方 政府系ファンド活用の方向性検討 6 3b 個人評価・報酬 ランクに応じ変動し、成績での 変動なし

    個人評価は原則ランクの 昇降格通じベース給与に反映 個人 報酬 • 案件/ファンド成績に応じ変動 • リターンへのインセンティブ 強化に適宜ファントムファンド など仕組も活用 ボーナス/ キャリー ベース 個人評価 組織の予算・ ボーナスプール へ反映 組織評価 リターン KPI評価 政策 KPI評価 HD 最終調整 • 事前に設定 した項目に 従って定量・ 定性で政策 合致性を評価 • 第三者委員会 による評価に 応じ、リターン KPIから± 1ランクの調整 • 評価項目 (案) は次頁 リターンKPIと 政策KPI評価 を基にHDで 最終調整 KPIの達成度 合に応じて、 Poor - Excellentまで 5段階で評価 1 2 3 ファンドトップが予算・ボーナスプール基に個人 評価・報酬分配を決定 ファンド内での評価・分配 4 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  100. 103 ファンドの目的別にリターン及び政策目標を綿密に設定 投資案件におけるガバナンス: 新組織のKPIの考え方 政府系ファンド活用の方向性検討 6 3b リターンKPI 政策KPI 既存産業の

    競争力強化 Ⅱ 次世代 産業育成 次世代事業育成 新たな プラットフォーム の創造 効率化促進 技術保護 評価項目 運用期間 評価単位 Ⅰ ファンド/ 案件単位 MOC2-4倍 IRR 10-20% 5-8年 8-10年 • 産業再編におけるEXIT金額 • 協調領域における投資の件数 • 第四次産業革命関連業種の件数 • シードステージでの投資件数 • プラットフォーム構築関連業種の件数 • エクスパンションステージでの投資件数 • 基幹技術の保護に資する投資の件数 5-8年 KPI達成状況は組織評価 (予算) とマネジメント評価 (報酬) に紐付き、 ディスクロージャーでも開示する Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  101. 104 ファンドレベルでは目的に合わせた専門性高い組織設計も、共通機能は本部へ集約 新組織の組織設計 政府系ファンド活用の方向性検討 6 3b フ ァ ン ド

    レ ベ ル CEO/共通部門 外部有識者会 投資委員会/ 共通部門 投資チーム ディールサポート チーム PFチーム 取締役会 H D レ ベ ル 階層 HD CEO 取締役会 産業競争力強化 委員会(仮) 財務 経理 広報/IR システム リスク・ 内部監査 人事 企画 ディールサポートチーム ディールサポートチーム CEO MD D/VPプール (業種別) MD 投資委員会 次世代産業育成 As/ANプール (次世代産業) CEO MD D/VP (業種別) D/VP (業種別) MD D/VP (業種別) D/VP (業種別) 投資委員会 既存産業の競争力強化 As/Anプール (既存産業の競争力強化) D/VPプール (業種別) Ⅰ Ⅱ PFチーム PFチーム Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  102. 105 ポジションごとに評価基準を明確化し、必要な度合いを重み付け 政府系ファンド活用の方向性検討 6 3b : 高い水準で必須 : 一定水準は必要 評価基準

    項目 内容 政府系ファンドトップに相応しい経歴か? 人間性は確かか? 業界内での評判はよいか? 組織のマネジメントとして十分な実績あるか? 十分なディールの実績あるか? 業界で十分なコネクションあるか? • 産業界、PE/VC、テクノロジー業界 • 着実にディール遂行できるか (経験) ? • アドバイザー (IB 等) を使いこなせるか? • 事業運営 (コンサル) 経験があるか? • アドバイザーを使いこなせるか? • 十分な英語力はあるか? • 海外での事業/マネジメント経験あるか? • 銀行・証券出身か? 十分な実績あるか? • 政府・官庁との調整力はあるか? その他 スキル・経験 経歴・実績 人格 リーダーシップ トラックレコード ソーシング力 エグゼキューション マネジメント バリューアップマネジメント 英語力/海外経験 金融機関との関係構築 政府との関係構築 マネジメント ファンド運営 ポジション毎に必要な度合い ファンドCEO (PE) HD CEO ファンドMD (PE) Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  103. 106 個々人の評価に加え、HD/ファンド両マネジメントチームの組合せにも留意が必要 各ポジションの関係性 政府系ファンド活用の方向性検討 6 3b ファンド CEO HD CEO

    ファンド MD 互いの役割を理解・尊重し合える上下関係 を築けるか? • 政府意向やファンド運営方針に対する 考え方や理解度に乖離はないか? • マネジメントスタイル、思想、性格に Fitがあるか? • 互いの責任範囲は尊重し、良好な 上下関係を築けるか? 実務には 介入せず • ファンド運営 と投資実務 の摺合せ • 徒弟制に よるMD育成 会 社 経 営 ( 政 策 支 援 ) フ ァ ン ド 運 営 各マネジメントの役割、連携イメージと選定時の論点 考え方 • 上下の役職は連携を 密にする必要あり – 政府・会社レベルと ファンドレベルの 意思統一/利害 調整が重要 • 従って人材選定時には、 各ポジションでの最適 化ではなく、チームと しての最適化を検討 することが重要 徒弟制度的な上下関係を築けるか? • ファンド運営手法や投資スタイルに 大きな齟齬はないか? • CEOにMDを指導できる十分な技量・ 経験があるか? 連携イメージ 選定時の論点 政府とファンド の意向調整の ため密に連携 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  104. 107 本来の政府系ファンドの活かし方を強みとして認識し、民間と住み分けを図る 政府系ならではの強み/ 民間との住み分け 4 5 政府系ファンド活用の方向性検討 6 政府資産背景とした資金規模 政府との関係性

    強みの源泉 本来の政府系ファンドの活かし方 (打ち出し方) 景気低迷時にもカウンターシクリカルな資金供給 新産業へペイシェントキャピタルの提供 政府関連ファンドとしての信頼性提供 (Co-investorに対する安心感) 投資の柔軟性 • リスク/リターン • 投資期間 民間では手が出ない超大型案件に投資 リターンだけでは正当化できない案件への投資(雇用・税収等での回収) ハイリスク案件への投資 諸外国政府(機関)との関係性を活用した海外政府やSWFとの連携 : 特に活かすポイント Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  105. 108 政府の強みを活用しつつ、投資意思決定プロセスの独立性は確保 政府との関係性 政府との関係性をソーシングやエグジット面で活かしつつ、 個別案件への政府関与を排除する仕組は構築 政府系ファンド活用の方向性検討 6 5 日本政府の 役割

    新組織 の 役割 政府ネット ワークを 活用し案件 発掘 金額別の決裁基準を設定し、 透明性の高い意思決定を実施 政府ネットワー クを活用し売 却先発掘 投資目的・投資方針 策定 ④エグジット ①投資先 ソーシング ②投資決定 ③投資先 事業運営 投資意思決定プロセス 政府のネット ワークを活用し、 国内外の産業 界からの相談 案件を紹介 解決すべき国の課題に 沿って目的・投資 方針を設定 • 尚、政府は組織/ 人材の体制には 関与しない 事後評価 政府のネット ワークを活用し、 国内外の産業 界からの相談 案件を紹介 政府は個別案件に関与しない 投資目的・投資方針実現 に必要な組織・人材体制 を整備 投資意思決定プロセスに 関与しないため、目的の 達成状況は半期に一度実 績を評価する • 投資収益率の状況 • 政府KPIの達成状況 投資実績を管理・報告 • 政府に対する実績 報告 Source: ボストン コンサルティング グループ分析
  106. 111 ポートフォリオ (投資方針) 外貨準備運用先の多様化 と投資リターンの最大化 • 自国通貨安定化のため の為替介入で増加した 外貨の運用が設立の 背景

    • 株主の投資リターン 最大化が目標 政府系ファンド事例サマリー:事例1(アジア) 概要 目的 政府系ならでは の強み 1 3 民間との 住み分け パッシブ運用型であり、民業圧迫 は特に批判されず 政府との 関係性 政府関与を防ぐ仕組を構築 • 投資案件は、関係各部の 全会一致で決定 6 担っている機能・組織/人材 4 海外投資が対象だが、業種は問わない • 米国を中心とした先進国へ投資し安定追及と為替ヘッジ ファンド概要 運用額 Asset under management value • 約80兆円 出資元 政府 従業員数 約 650名 5 投資期間やリターンへの 柔軟性、投資規模が強み • 政府財源のため長期 投資が可能 • 雇用やGDP増加に 繋がれば低リターンも 許容 • 大規模投資が可能 投資会社の経営への関与は限定的 • パッシブ運用型で経営関与を前提としない – 出資はマイナー出資が多い – 運用手法も外部委託が多い 機能 組織/ 人材 組織 人材 4b 4a 海外組織での勤務経験がある自国人を採用 • 給与水準は西欧に比べ低く海外人材採用は困難 • 自国人には非金銭的なインセンティブも存在 国内と海外(直接・間接投資)投資で組織を分割 1 Source: HP、エキスパートインタビューよりボストン コンサルティング グループ作成 2
  107. 112 政府財源の強みを活かし、外貨準備のリターン最大化を図る 目的/強み:事例1(アジア) 目的 増加する外貨準備の運用先 多様化と株主利益の最大化が目的 • 米国・自国の金融セクターを 中心に運用を開始 近年では、ポートフォリオの多様化

    が進行 • 運用商品では、株式投資や オルタナティブ投資の割合が 増加 • 投資先業種では、金融以外にも、 ITや一般消費財など幅広い 業種に投資 強み 投資期間やリターンへの柔軟性、 投資規模が強み • 政府財源のため、10年を 超える長期投資が可能 • 低リターン案件でも、自国の雇 用やGDP増加に繋がれば投資 可能 • 外貨準備を財源とする約90兆 円の運用額で、民間企業には 難しい大規模投資が可能 設立背景 経 済 環 境 自国通貨の価値が日々 上昇し、外貨準備高の 邦貨換算価値が下落 一方、コモディティや 実物資産はインフレが続き、 政府としては低金利の 米国債の保有は機会損と 判断 Source: ボストン コンサルティング グループ分析 1 2 1
  108. 113 0 100 20 40 80 60 2011-2014 海外 90

    国内 15 国内 13 2015-2017 海外 85 海外 88 合計 案件数 (%) 海外 85 国内 10 2007-2010 国内 15 投資先の約9割が海外で、国際分散投資が基本戦略 地域別投資比率の推移 (案件数ベース):事例1(アジア) 3 23 48 31 31 19 20 22 15 10 15 13 8 30 11 15 19 25 20 10 8 40 20 100 60 80 0 31 2 2 64 2011-2014 0 2015-2017 3 2007-2010 EU China 20 Oceania 案件数 (%) Africa North America South America 合計 13 Other Asia 国内外投資比率 地域別投資比率 Source: HP, エキスパートインタビュー 1
  109. 114 FoFの割合相応にあり、且つ直接投資も経営への関与度は低い 機能:事例1(アジア) 投資先経営への関与は限定的 • ハンズオフ型で経営関与を前提としない – 出資はマイナー出資が多い – 運用手法は間接投資が多い

    ハンズオン型移行には人材がボトルネック • ハンズオン型移行には異なる専門性が必要 – "VC投資には海外でのネットワーキングなど 相当なリソースが必要 (人・金) " • ハンズオン型に必要となる人材の採用は困難 – "現在の給与水準では専門家の採用は難しい" 間接投資 (FoF) 比率の推移 直接投資において担う機能 68 67 66 32 33 34 100 0 20 40 60 80 % 2014 2015 2016 直接投資 間接投資 近年は一部経営関与案件にも投資を試みるが、 実務レベルでの人材確保に課題があり不順な模様 Source: エキスパートインタビュー, Annual report, ボストン コンサルティング グループ分析 1 4
  110. 115 リターン追求を基本とし、その中で可能な範囲で一部政府方針を反映 政府との関係性:事例1(アジア) 投資方針 基本思想は「リターン追求型」である 一方で、政府から重点領域のガイダンスはあり、 投資方針にある程度反映される • 国家戦略上重要であり、高い/安定したリターン が期待される領域

    • 過去にガイダンスのあった領域の例は下記 – 食糧確保 – エネルギー – 物流/ロジスティクス (空港/港湾等) 1 5 見立て 特定産業に戦略的投資を行う政府系ファンドは 別で存在 • 政府系の資金のみで運営 • 現在は、「半導体産業」をコア産業と位置づけ、 同産業のバリューチェーン上の 重要技術等を重点的に獲得 Source: エキスパートインタビュー, ボストン コンサルティング グループ分析
  111. 116 海外政府系ファンド事例 ディスクロージャー 開示イメージ Source: HP 一般向け 情報開示に 対する姿勢と 方法

    人材 ガバナンス 投資先情報 • ビジュアルで見やすいアニュアルレポートのほか、 HPにおける情報開示も充実 • 投資先ファンドは一覧表示 • 投資先セグメントごとに投資金額、投資件数など表記 • 取締役だけでなく、主要チームも略歴とともにHPに記載 • ARで複数項にわたりガバナンスについて記載 一般向け 情報開示に対する 方針 国民の資金を運用する政府機関 として、高い水準の透明性を方針 に掲げている 具体的な 方法 目的 投資方針 組織 人材 ガバナンス/ 政府との関係 ポートフォリオ 個別投資先 アニュアルレポート HP • 運営会社の財務情報の開示 • 投資セグメント別の財務情報の開示 • 運用開始時から金額・リターン情報 開示 • セグメント別の投資数・残高開示 • 組織・会議体の詳細も記載 • MDクラス略歴、報酬方針も記載 • 目的・投資方針記載充実 • 投資戦略、リスク管理方針も記載 • 政府から独立して運営していること を明記 • 個別投資先(ファンド)情報の開示 • 一部は、ケーススタディとして詳細が 記載 開 示 内 容 財務 開示方針・状況 2
  112. 117 ファンドのソーシング手段は主に "アドバイザールート" と "独自ルート" に大別 主なソーシング手段の整理 Source: エキスパートインタビュー等よりボストン コンサルティング

    グループ作成 KSF VC/PE ソーシングの手段 業界 コネクション コールド コール アドバイザー ルート 投資銀行 証券会社 商業銀行 その他 • PEでは産業界に顔の利くMDの人脈によるソーシングも武器 • VCではキャピタリストの (ベンチャー業界での) 人脈力がKSF • 政府関係者などによる持込み案件 • PEでもMBO案件など中心にオーナーへのコールドコールは 主要なソーシング手段の一つ • 特に規模大きい金融系VCなどでは若手の飛込み営業による 人海戦術がKSF 説明 独自 ルート 3 持込み (政府関係者) アドバイザー との関係の 強さ • 業界経験 豊富なOB の活用 • リレーション シップ 投資対象 業界での 人脈力 (MD/VC) 営業力 (若手) 政府との 関係性の強さ • 大企業案件 (カーブアウトなど) は投資銀行、中堅中小企業案 件 (事業承継など) は商業銀行や独立系M&Aアドバイザーで 棲み分け • 豊富なディールフローを持つアドバイザーとの関係の強さが KSFであり、SWFでも有名投資銀行出身者を担当に据える ケース多い PE VC
  113. 118 バリューアップ手段は打ち手の幅と支援度合の深さともにバリエーションが存在 主なバリューアップ手段の整理 Source: エキスパートインタビュー 経営 戦略 ガバナンス (取締役派遣) CxO派遣

    (外部調達) 経営者へのコーチング 戦略策定支援・実行サポート 財務戦略・資本戦略支援 IR戦略策定・実行サポート 資金調達支援 (金融機関紹介・交渉) 上場支援 (証券・監査法人等紹介・交渉) Exit (M&A) 先紹介・交渉 アドバイザー紹介 事業提携支援 オペレーション改善 採用支援・人材斡旋 事業 バリューアップの打ち手 利益増加 財務改善 マルチプル向上 × × ハ ン ズ オ ン の 深 度 3
  114. 119 PEは集中投資且つマジョリティ出資であり必要に応じ踏込んだサポートを実施 主なバリューアップ手段の整理 (国内PEの例) Source: エキスパートインタビュー 経営 戦略 ガバナンス (取締役派遣)

    CxO派遣 (外部調達) 経営者へのコーチング 戦略策定支援・実行サポート 財務戦略・資本戦略支援 IR戦略策定・実行サポート 資金調達支援 (金融機関紹介・交渉) 上場支援 (証券・監査法人等紹介・交渉) Exit (M&A) 先紹介・交渉 アドバイザー紹介 事業提携支援 オペレーション改善 採用支援・人材斡旋 事業 バリューアップの打ち手 利益増加 財務改善 マルチプル向上 × × ハ ン ズ オ ン の 深 度 3
  115. 120 VCは分散投資且つマイナー出資で原則取締役派遣やコーチング提供等に留まる 主なバリューアップ手段の整理 (国内VCの例) Source: エキスパートインタビュー 経営 戦略 ガバナンス (取締役派遣)

    CxO派遣 (外部調達) 経営者へのコーチング 戦略策定支援・実行サポート 財務戦略・資本戦略支援 IR戦略策定・実行サポート 資金調達支援 (金融機関紹介・交渉) 上場支援 (証券・監査法人等紹介・交渉) Exit (M&A) 先紹介・交渉 アドバイザー紹介 事業提携支援 オペレーション改善 採用支援・人材斡旋 事業 バリューアップの打ち手 利益増加 財務改善 マルチプル向上 × × ハ ン ズ オ ン の 深 度 3
  116. 121 投資先支援は原則取締役/外部CxO派遣に留まる 主なバリューアップ手段の整理 (SWFの例) Source: エキスパートインタビュー 経営 戦略 ガバナンス (取締役派遣)

    CxO派遣 (外部調達) 経営者へのコーチング 戦略策定支援・実行サポート 財務戦略・資本戦略支援 IR戦略策定・実行サポート 資金調達支援 (金融機関紹介・交渉) 上場支援 (証券・監査法人等紹介・交渉) Exit (M&A) 先紹介・交渉 アドバイザー紹介 事業提携支援 オペレーション改善 採用支援・人材斡旋 事業 バリューアップの打ち手 利益増加 財務改善 マルチプル向上 × × ハ ン ズ オ ン の 深 度 3
  117. 122 業種・地域で細分化されたチームが連携し企業に合せフルサポート 主なバリューアップ手段の整理 (SWFの例) Source: エキスパートインタビュー 経営 戦略 ガバナンス (取締役派遣)

    CxO派遣 (外部調達) 経営者へのコーチング 戦略策定支援・実行サポート 財務戦略・資本戦略支援 IR戦略策定・実行サポート 資金調達支援 (金融機関紹介・交渉) 上場支援 (証券・監査法人等紹介・交渉) Exit (M&A) 先紹介・交渉 アドバイザー紹介 事業提携支援 オペレーション改善 採用支援・人材斡旋 事業 バリューアップの打ち手 利益増加 財務改善 マルチプル向上 × × ハ ン ズ オ ン の 深 度 3
  118. 123 各官民ファンドの資金供給関連のKPI 民間PEの育成に関するKPI 評価項目 官民ファンド KPI 成果目標 実績 (29年度上期) 協調出融資

    (呼び水効果) INCJ 民間からの協調出資がなされた件数の比率 機構全体:95%以上 (健康医療分野:100%) 99% 海外需要開拓支援機構 民間企業からの協調出資等の事業総額に対する割合 10年後目処に50%超 72% 耐震・環境不動産形成促進事業 喚起された民間投資額 平成34年度3月末時点で1,000億円 (平成29年9月末時点で550億円以上) 806億円 競争力強化ファンド 民間金融機関、民間事業会社等の資金が、当初予定通り 投入された案件等の割合 100% 100% 特定投資業務 メザニン・ファイナンスやエクイティ等の創造に資するよう、 民間金融機関・事業者・投資家等と協働した成長資金供給案件 等の割合 75%以上 76.30% 科学技術振興機構 民間出融資に対する呼び水効果 (機構出資額+機構出資以降の民間出融資額)÷(機構出資額) 平均で2.0倍超 8.4倍 民間資金等活用事業推進機構 (機構及び金融機関等からの出融資額)÷(機構の出融資額) の 平均値 3.0倍以上 14.7倍 地域経済活性化支援機構 (民間からの出資総額)÷(機構がLP出資したファンドのファンド出資 総額) 60%以上 64% 地域低炭素投資促進ファンド事業 出資額に対する民間資金の比率 3.0倍以上 10.3倍 海外通信・放送・郵便事業支援機構 機構からの出資額に対する機構及び日本企業からの総出資額 の比率 2.0倍以上 2.0倍 官民イノベーションプログラム 各案件のフェーズに応じた適切な民間資金の投入 各大学 (3点満点) の出資額割合に 応じた総合点が2点以上1) 2.5点 ファンド組成数 中小企業基盤整備機構 第3期中期計画期間 (平成26年度~30年度) の組成ファンド数 50ファンド (年平均10ファンド) 以上 (平成29年3月末時点で35ファンド) 47ファンド 4 1. (各案件のフェーズに応じて民間資金投入が) 0点:されていない、1点:不十分である、2点:一定の程度進捗している、3点:顕著である Source: 「官民ファンドの運営に係るガイドラインによる検証報告」(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kanmin_fund/)をもとにボストン コンサルティング グループ作成
  119. 124 評価項目 官民ファンド KPI 成果目標 実績 (29年度上期) 人材育成 中小企業基盤整備機構 第3期中期計画期間

    (平成26年度~30年度) の新規のファンド運営者 への出資ファンド数 25ファンド(年平均5ファンド)以上 (平成29年3月末時点で17.5ファンド) 30ファンド 農林漁業成長産業化支援機構 各サブファンド又は投資先6次産業化事業体への助言の実施状況 全てのサブファンド又は投資先6次産業 化事業体へ毎月1回以上助言 100% 設立後半年以上経過したサブファンドのうち出資案件1件以上の サブファンドの割合 8割 94% 設立後1年以上経過したサブファンドのうち出資案件2件以上の サブファンドの割合 5割 58% 耐震・環境不動産形成促進事業 選定したファンドマネージャーを三大都市圏以外の地域の事業者や バートナー協定提携金融機関等へ紹介 2件以上実施 (半期) 2件 人材輩出 科学技術振興機構 出資業務等従事者の他事業・他社への転出数及び出資先企業の 経営責任者の数 出資事業開始後5年間で延べ20名以上 (平成30年3月末で16名以上) 24名 海外通信・放送・郵便事業支援機構 機構で投資案件に携わりその経験を機構外で活かす者 40人以上 (平成47年度末の解散まで) - 各官民ファンドの人材輩出関連のKPI 民間PEの育成に関するKPI 4 Source: 「官民ファンドの運営に係るガイドラインによる検証報告」(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kanmin_fund/)をもとにボストン コンサルティング グループ作成