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ZHDの企業分析
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べあキャピタル
March 28, 2020
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ZHDの企業分析
1. 企業概要
2. 業績
3. Zホールディングスの戦略
4. 企業分析
5. 財務分析
べあキャピタル
March 28, 2020
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Transcript
Z Holdings Corporation(4689) Takeaki Kumagai
目次 1. 企業概要 2. 業績 3. Zホールディングスの戦略 4. 企業分析 5.
財務分析 6. Appendix @T.Kuma
会社概要と沿革 1. 企業概要 会社名 Zホールディングス(株) 事業内容 ソフトバンク系ポータルサイト最大手。 19年10月にヤフーが持株会社化。LINEと統合予定。 代表者氏名 川邊
健太郎 本社住所 東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町紀尾井タワー 決算期 3 月 従業員数 6,515 人 資本金 8,939百万円 平均年収 7,651,473 円 ▪会社概要 ▪沿革 出典:ZHD、HP・有価証券報告書をもとに作成 @T.Kuma
セグメント別売上と業績推移 2. 業績 ▪セグメント別の累計営業利益(2019年度4-12月) サマリー: ü 売上高は堅調に推移、9,500億円に到達 ü 営業費用・営業外損失がかさみ、営利・純利益は共に減少 ü
コマースとメディア事業が中核 ü FY2019は、ZOZO買収でコマース事業が拡大 (単位:百万円) 出典:ZHD、HP・有価証券報告書をもとに作成 @T.Kuma ▪業績推移
セグメント詳細 ▪メディア事業 ▪コマース事業 サマリー: ü 安定した利益率(営利率は46%) ü 検索連動型とディスプレイ広告が収益の柱 ü スマホを中心に成長
2. 業績 出典:ZHD、HP・有価証券報告書をもとに作成 @T.Kuma サマリー: ü ヤフオクとショッピング事業が核 ü ZOZOの買収によってショッピング事業が拡大 ü ユーザーは40〜50代の男女に多くみられる メディア事業の2019年3Q売上内訳 コマース事業の2019年3Q営業利益内訳
Zホールディングスの戦略転換 @T.Kuma
無借金経営から積極投資へ 安定経営から挑戦的な経営へ。Zホールディングス(旧:Yahoo)は無借金で有名だったが、直近では140億円の有利子負 債を計上しており、デットでの資金調達を行うようになった。加えて、2019年には2000億円の大型投資をしており、安定した 経営からの脱却・企業価値の拡大に向けて戦略転換を図っていることが読み取れる。 出典:ZHD、有価証券報告書より抜粋 3. Zホールディングスの戦略 @T.Kuma ▪有利子負債の動向 ▪ZOZO、LINEを立て続けに買収
事業の選択と集中による投資効率の最大化 ZHDの事業タイプは主に2つで、安定した収益を追求するベース事業(広告)と今後の収益を押し上げる成長事業(Eコマー スなど)からなる。今後、Eコマース事業に投資を拡大していくことが予想される。 出典:ZHD、決算説明会資料より作成 3. Zホールディングスの戦略 @T.Kuma 成長事業 ベース事業
ショッピング事業への注力 @T.Kuma
ショッピング事業を特に強化か 以下はコマース事業における取扱高の実績(2019年3Q決算)です。Eコマースの割合が最も高く、その中でもショッピング事 業がトップの取扱高を誇っています。複数年で順調に成長した結果、ヤフオクを抜きました。 出典:ZHD、決算説明会資料より作成 3. Zホールディングスの戦略 @T.Kuma ▪ショッピング事業の取扱高がヤフオクを抜かす (単位:億円) ü
ショッピング事業は成長率が最も高く、利益率も高い ü ショッピング事業を成長事業の中核に据え、投資を拡大する
ショッピング事業の拡大に向けては20代〜30代顧客が鍵 これまでZHDはミドルクラス(40〜50代)を中心にプレゼンスを獲得してきたが、ショッピング事業の拡大においては20代〜 30代をメインユーザーとすることが必須である。 出典:ZHD媒体資料(左)、野村総研レポート(右)より抜粋 3. Zホールディングスの戦略 @T.Kuma ▪ Yahooの年齢別ユーザー 主婦や経営者などミドルクラスに偏っている。特に40〜50代に
ユーザーが集中していることがわかる 【参考】 Eコマースの年齢別利用者 Eコマースの利用はデジタルネイティブ(15歳〜23歳)、さとり世 代(24歳〜35歳)、ポスト団塊ジュニア世代(36歳〜42歳)に多 く見られる = ユーザーの若返りを図る必要がある
PayPayがもたらすシナジー、20〜30代を顧客基盤に獲得 昨年度何かと話題をさらった決済事業だが、PayPayで顧客基盤の若返りを図れたことは、ZHDの本業にもプラス寄与する と考える。また、ソフトバンクのキャリア事業では一定数の若年層、特に女性を獲得している。 出典:App Ape(左)、MMD研究所(右)調査アンケートより抜粋 3. Zホールディングスの戦略 @T.Kuma ▪ PayPay、ユーザーの多くは20-40代
「これまでとれなかった層」 ▪ ソフトバンクは他社に比べて若い女性に人気(〜30代まで) SB 18% au 16.8% Docomo 14.8%
課題:顧客基盤の活用とサービスの改善 ZHDは、PayPayで2400万人、スマートフォンで2300万人と、圧倒的な顧客基盤を有している。しかし今まで、これらのユー ザーを自社サービスにうまく送客することができなかった。課題は、以下の2つで「送客」と「収益基盤」であると考えた。 出典:ZHD、決算説明会資料より作成 3. Zホールディングスの戦略 @T.Kuma 強み:圧倒的な顧客基盤 ü 2300万人(スマホ)
ü 2400万人(決済) ü 6250万人(検索) 課題① 10〜50代まで バランス良くユーザーを獲得 ミドル層(40〜50代) のユーザーが多い ギャップ 課題② 送客× ▪ 課題 1. 基盤サービスから収益サービスへのブリッジがない 2. 主に若い人にとって魅力度の高い収益サービスがない ▪ 基盤サービス(ベース利益) ▪ 収益サービス(成長事業) ミドル層向けサービス
解決策① LINEを活用した収益サービスへのリンク LINEを買収したことで最も大きかったのは、Yahooのサービスが「日常の一部」となりうる可能性が出てきたことだ。紛れも なくLINEは日常の一部であり、そうしたサービスとの連携によってYahooの露出を増やすことができるだろう。 出典:ZHD、決算説明会資料より作成 3. Zホールディングスの戦略 @T.Kuma 強み:圧倒的な顧客基盤 ▪
課題 1. 基盤サービスから収益サービスへのブリッジがない ▪ 解決策 1. LINEを活用し、Yahooの露出や連携を増やす ▪ 基盤サービス(ベース利益) ▪ 収益サービス(成長事業) 広告による宣伝効果や直接販売 による売上効果が期待できる 広告・販売など
参考資料:どうして日常の一部となることが大事なのか 昨今では様々なアプリ、サービスが登場しているが、消費者はそれらを取捨選択し、使用するサービスを絞る (「日常サービス群」と呼ぶこと にする )。消費者は、一度使うサービスを決めると、スイッチング(違うサービスを使うこと)まで長い時間がかかる。ゆえに、 「日常サービス 群」からシェアを奪取するのは難しい。こうした理由から、特に成長市場では消費者の日常にいち早くとけ込むことが重要であると考える。な お、日常サービス群と提携・連携することでは、大きな効果を期待できる(例:Instagramでのショッピング広告機能など) 3. Zホールディングスの戦略
@T.Kuma ▪ 日常サービス群(例)「最初はここをみよう」 日々のニーズは、個々の消費者によって恣意的に決められた 限定的なサービス群の中で大半が消化される。以下は私の例である。 チャット ショッピング 検索 レストラン予約 映画 化粧品 First Second ü ニーズの出現 「本を買いたい」「服を見たい」「レストランを予約したい」 ⼤半のニーズはここで解決する →⽇常サービス群に⼊り込むことが必要 Zero 消費者行動の流れ ▪ 代替サービス群(例)「上のサービスに行ってみたけど良いモノがなかった、ここで探そう」 上記のサービスと⽐べて 利⽤頻度は極端に低い
解決策② ZOZOなど20代〜30代向けのサービスを整備 ZOZOやPayPayモール、LOHACOなど20〜30代向けのサービスをリリース。これまで若い人向けの受け皿が皆無だったが、 これらのリリースによって基盤サービスから多くのユーザーが流入し、彼らが購買行動を起こすための環境が整った。 出典:ZHD、決算説明会資料より作成 3. Zホールディングスの戦略 @T.Kuma 強み:圧倒的な顧客基盤 ▪
解決策 2. ZOZOを買収、PayPayモールを開設し、サービス強化 特に20〜30代向けのサービスを整備 サイトデザインも若い人向けに設定されている ▪ 課題 2. 主に若い人にとって魅力度の高い収益サービスがない ▪ 基盤サービス(ベース利益) ▪ 収益サービス(成長事業) 10〜50代まで バランス良くユーザーを獲得 ミドル層向けサービス 若い⼈向けのサービス
まとめ・今後の見通し 以下では、経営全体とショッピング事業に関しての所見をまとめた。特に大きな課題としては、送料があげられる。他社と比 較して送料が大きいことは、消費者のスイッチング(Amazon→Yahoo)を阻む大きな要因となる。 4. 企業分析 ▪経営全体、ファイナンス • デットをうまく活用する経営手法に切り替えた、今後は加速度的な成長が見込める • 多くのサービスを持っているため、幅広いニーズに応えやすい
• ずば抜けて良いサービスがなく、どの分野でも競合に押されている • 財務体質は健全で、多くの現金を保有しており、機動力がある • ここ数年の大規模な投資が響き、営業利益・純利益を大きく下げている ▪ ショッピング事業 • LINEとの連携は鍵。広告や直接販売等の機能を追加し、ショッピングサービスの露出を増やせれば◎ • 若い層向けのサービス(PayPayモール・LOHACO等)の拡充は◦。ただ、UIUXの改善等が必要、商品数も少ない。 • 送料の問題、Yahooのショッピングモールは送料が非常に高い。(楽天やAmazonなどは送料無料の商品が多いため、同じ 商品があればAmazon・楽天で注文するだろう) • Yahooにおいても、Amazonのプライム会員のような制度が作れると良い。 @T.Kuma 出典:PayPayモールより Ø 送料715円とEコマースの中では異常に高い
送料を「実質」無料にすると発表も… ZHDは3月24日の会見で、ショッピングサービスの配送料金を実質無料にすると発表。送料に相当する金額をポイントバッ クするとのことだ。期間は6月末から12月までとなる。 4. 企業分析 @T.Kuma ▪ 会社発表(3月24日)抜粋 しかし、これが消費者のYahooでの購買意欲をかき立てるかは疑わしい。競合のAmazonでは多くのユーザーがプ ライム会員に加入し、送料無料が当たり前となっている。楽天でも送料無料の商品は数多い。そうした中でポイント
での送料負担はインパクトが非常に弱いと感じている。 出典:ZHD、プレスリリースより抜粋
財務分析 基本指標 5. 財務分析 売上は堅調。営業利益・純利益は投資の影響で落ち込む。 @T.Kuma 出典:ZHD、HP・有価証券報告書をもとに作成 (単位:百万円)
財務分析 財務安全性・回転率 5. 財務分析 自己資本比率が有利子負債の上昇によって悪化しているが、現金を多く保有しており、財務は健全。 CCCが年々早くなっている、22日。 出典:ZHD、HP・有価証券報告書をもとに作成 @T.Kuma
財務分析 利益構造分析 5. 財務分析 限界利益率は57%程度。損益分岐点売上比率は66%、安定的に利益を獲得できていると言える。 出典:ZHD、HP・有価証券報告書をもとに作成 @T.Kuma