Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

ADL(データ駆動型社会に係る基盤整備 、「根本治療の実現」に向けた適切な支援のあり方の調査)

ADL(データ駆動型社会に係る基盤整備 、「根本治療の実現」に向けた適切な支援のあり方の調査)

べあキャピタル

March 08, 2020
Tweet

More Decks by べあキャピタル

Transcript

  1. 1 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 「根本治療の実現」に向けた適切な支援のあり方の調査 経済産業省
  2. 2 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 1-1 論点・検討ステップ 1-2 根本治療技術が捉える範囲 2 国内外の開発動向 3 疾患別の市場・競争環境 4 実用化シナリオと投資配分方向性 5 実用化に向けて対応すべき課題
  3. 3 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 基本方針 検討論点 根本治療領域の市場環境の客観的俯瞰と、各医療技術の競争環境・リスク分析を踏 まえ、市場獲得シナリオと支援に向けた具体策の検討を実施した。 大論点 根 本 治 療 領 域 の 中 長 期 的 な 展 望 を 見 据 え た 上 で 、 ど ん な 研 究 開 発 支 援 を す べ き か 検討ステップ 検討論点 根本治療の対象となる 疾患の市場環境は どうなっているか? 各医療技術の実用化 に向けたシナリオや棲み分 けはどうなっていきそうか? 我が国の産業特性等を 踏まえた市場獲得 シナリオは? 根本治療領域における国内外の技術開発動向と 根本治療が期待されている疾患は何か? 根本治療が期待されている疾患の 市場環境(患者数・既存治療・ニーズ等)はどうなっているか? 各医療技術の実用化に向けたリスクと その解決見通しはどうなっていきそうか? 各疾患領域の市場性を踏まえた際に、根本治療技術の 棲み分けや勝ち筋はどうなっていきそうか? 各医療技術の周辺VC構築状況や 見通しはどうなっていきそうか? 諸外国の産業構造、資金規模等の違いを考慮に入れた際に、 根本治療領域における我が国の市場獲得シナリオは? A B C (1) (2) (3) (4) (5) (6) 国内外の 開発動向整理 対象疾患の 市場環境分析 実用化に向けた 競争環境分析 市場獲得 シナリオの検討 Step1 Step2 Step3 Step4
  4. 4 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 検討の全体像 各検討ステップの連関は以下の通り。 実用化に向けた競争環境分析 Technology Market 対象疾患の 市場環境分析 根本治療領域の 国内外の 開発動向整理 重点検討 領域の抽出 (疾患) 重点検討疾患の 市場性深掘り (既存治療・コスト・ アンメットニーズ) 重点検討疾患の 開発動向深掘り (含・投資動向) (各疾患/臓器毎の) 市場獲得 シナリオ化 Step1 Step2 Step4 Step3 対象疾患を同定 根本治療領域の検討全体像
  5. 5 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 事業実施方法 全体像 国内外のADL知見・ネットワークを最大限活用したアプローチで検討を実施。 検討ステップ 検討項目/アプローチ 想定アウトプット 主な情報ソース • 根本治療が捉える技術の可能 性空間 • 国内外の開発動向の俯瞰的整 理 • 弊社の過去知見や公開情報を ベースとした整理 • 根本治療領域の定義 • 各疾患・臓器での市場性整理 • 疾患毎のニーズ・打ち手ツリー による戦況マップ • 勝ち筋/棲み分けの把握とその 要件 • 弊社の過去知見や公開情報・ 特許等をベースとした整理 • 弊社の過去知見や公開情報を ベースとした整理 • KOLや対象となる開発者への ヒアリング調査 • 弊社の過去知見や公開情報を ベースとした整理 • 上記一連の検討ステップの結 果をもとにした貴省とのディス カッション • 各根本治療のVCマップ • 根本治療における我が国の市 場獲得シナリオ • 根本治療領域が捉える可能性空間の定義 • 国内外の開発動向をステージ毎(基礎研究~上市)に整理 • 周辺産業や技術(例:治療後のリハビリ)の俯瞰 • 製薬企業の投資動向調査 • 治療のメカニズム(Regeneration / パラクライン等)を含めた整理 国内外の 開発動向整理 • 各医療技術のVC構築状況や今後の見通し • 諸外国の産業構造や資金規模の比較 • 治療法の適応拡大、自由診療の拡大等の産業化に向けた動向 • シナリオ化に向けた重要な変動因子の同定 • 根本治療領域における市場獲得シナリオ(複数)の策定 市場獲得 シナリオの検討 Step1 Step4 • 根本治療の対象となる疾患・臓器の抽出 • 各疾患、臓器の市場性(患者数・アンメットニーズ)を把握 • 希少疾患に対する治療法やアンメットニーズの整理 • 各疾患、臓器の現状の治療技術や治療コストの整理 • 各疾患、臓器の特徴の整理 • Loss / Gain of Functionの視点等の特性の考慮 • 根本治療領域の中で競合・補完するアプローチを抽出 • 実用化に向けたリスクとその解決見通し • 疾患毎に「ニーズ-打ち手」の戦況マップの作製 • 原因不明疾患については現状の仮説を整理 • 疾患共通的な技術領域・プラットフォームの検討 • 上記を踏まえ、実用化に向けた棲み分け・勝ち筋の把握 対象疾患の 市場環境分析 実用化に向けた 競争環境分析 Step2 Step3
  6. 6 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 検討ステップと本資料の章立ては以下の通り。 検討ステップと本資料の章立て 検討ステップ 章立て 章立て詳細 国内外の 開発動向整理 市場獲得 シナリオの検討 Step1 Step4 対象疾患の 市場環境分析 実用化に向けた 競争環境分析 Step2 Step3 検討全体像 国内外の開発動向 疾患別の市場・競争環境 実用化シナリオと 投資配分方向性 1-1. 論点と検討ステップ 1-2. 根本治療技術が捉える範囲 2-1. 再生・細胞治療 2-2. 遺伝子治療 2-3. 各治療法の技術課題整理 3-1. 検討対象疾患の選定 3-2. 疾患毎の市場環境分析 3-3. 疾患毎の勝ち筋 3-4. 有望疾患ポートフォリオ 4-1. 実用化シナリオ 4-2. 製薬企業の投資配分動向 4-3. 各国政府の投資配分ポートフォリオ 4-4. 我が国の投資配分に対する示唆 実用化に向けて 対応すべき課題 5-1. 産業化に向けた課題の整理 5-2. 産業化に向けた諸外国の取り組み状況 5-3. 医療経済性評価の枠組み 1 2 3 4 5
  7. 7 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 1-1 論点・検討ステップ 1-2 根本治療技術が捉える範囲 2 国内外の開発動向 3 疾患別の市場・競争環境 4 実用化シナリオと投資配分方向性 5 実用化に向けて対応すべき課題
  8. 8 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 根本治療が捉える範囲を以下のように設定し、検討を実施。 根本治療技術の可能性空間 遺伝子治療 臓器・ 細胞移植 スキャフォー ルド治療 再 生 ・細 胞 治 療 臓器移植 人工臓器 そ の 他 再 生 機 能 保 有 製 品 医薬品 医療機器 • 生体組織に直接接触する人工材料(コラーゲン、ポリ乳酸、セ ルロースなど)を組織再生のスキャフォールドとする製品 • 培養表皮、培養軟骨、培養心筋シートのように、細胞などを構 造化あるいは積層化した製品 • 細胞そのものを投与して治療効果が発揮される医薬品 • 遺伝子を改変・導入した細胞の投与(Ex vivo) • 目的遺伝子を搭載した遺伝子治療薬や遺伝子組み換えウイ ルスの投与(In vivo) • 再生機能を有する因子・成分の直接投与 • 外部刺激等により、組織や神経等を刺激し、再生・再建をサポ ートする医療機器 • 臓器の一部機能の代替を目的とし、人体にインプラント・接続さ れる医療機器 • 人の健康な臓器を移植し、機能を回復させる医療行為 • 外科手術による患部への埋め 込み • 注射による投与(例:細胞カプセ ル) • 外科手術による患部への埋め 込み • 注射やレーザー等を活用した患 部への投与 • 注射やレーザー等を活用した患 部への投与 • リハビリによる治療 • 外科手術による治療 • 外科手術による患部への埋め 込み • 外科手術による患部への埋め 込み 検 討 の 中 心 上 記 の 「競 合 ・補 完 」と い う 視 点 で 開 発 動 向 を 俯 瞰 根本治療の範囲 概要 想定される治療法
  9. 9 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 本資料での用語の定義は以下の通り。 出所:各種公開情報からアーサー・ディ・リトル分析 *ウイルス治療のうち、遺伝子を導入しないものは再生医療等製品には含まれないことに留意が必要 用語の定義 再生医療 遺伝子治療 細胞治療 組織移植 スキャフォールド 治療 in vivo遺伝子 発現・編集 ウイルス治療 (腫瘍溶解ウイルス) 細胞移植 1 2 3 4 5 Ex vivo遺伝 子治療 2’ 再生医療等製品*
  10. 10 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 2-1 再生・細胞治療 2-2 遺伝子治療 2-3 各治療法の技術課題 3 疾患別の市場・競争環境 4 実用化シナリオと投資配分方向性 5 実用化に向けて対応すべき課題
  11. 11 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 再生・細胞治療は、人工臓器・組織移植(①)、細胞移植(②)、スキャフォールド治療 (③)に分けられる。 出所:各種公開情報からアーサー・ディ・リトル分析 2-1 国内外の開発動向 再生・細胞治療 再生・細胞治療市場動向 項目 概要 想定される治療法 人工臓器・ 組織移植 細胞移植 スキャフォールド 治療  細胞そのものを投与して治療効果が発揮さ れる医薬品  培養表皮、培養軟骨、培養心筋シートのよう に、細胞などを構造化あるいは積層化した製 品  生体組織に直接接触する人工材料(コラー ゲン、ポリ乳酸、セルロースなど)を組織再生 のスキャフォールドとする製品  注射による単回もしくは繰り返しの 投与  細胞を内包したカプセルを手術に より移植する場合もあり  外科手術による患部への埋め込 み  外科手術による患部への埋め込 み 1 2 3
  12. 12 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 再生・細胞医薬市場、不確実性の高い市場であるが、2020年に、世界で5,000億円程 度、2030年に5~10兆円程度に成長すると見られている。 *バーグラフにて複数ソースによる推計市場規模の平均値を記載し、エラーバーで標準誤差の値を記載 出所:複数市場レポートよりアーサー・ディ・リトル作成 2-1 国内外の開発動向 再生・細胞治療 再生・細胞治療市場動向 [千億円] 再生・細胞治療の市場規模予測(日本・世界)* 50 0 100 2030 2025 2020 2015 5 13 38 82
  13. 13 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 再生・細胞治療の上市品は、自家細胞を用いた製品が約80%を占める。但し、血液疾 患では、臍帯血が豊富に入手できるため、他家細胞が過半を占める。 *1:同じ疾患領域内で複数の対象疾患がある場合は1製品とカウント。疾患領域が複数ある場合は、夫々の疾患領域で1製品とカウント。又、疾患分類が不明な製品はカウントしない 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-1 国内外の開発動向 再生・細胞治療 再生・細胞治療製品の上市品 –疾患分類・自家/他家別 疾患分類・自家/他家別の再生・細胞治療上市品製品数(ex vivo遺伝子治療を含む) *1 3 8 5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 14 0 20 4 12 0 0 放射線 障害 0 0 肺 0 0 0 1 0 1 眼 血液 0 1 2 免疫・ 炎症 6 0 歯 0 泌尿生 殖器 2 1 0 耳 消化器 リンパ 1 老人病 0 0 中枢神 経系 感染症 1 心血管 外科手術 1 5 1 癌 1 22 筋骨格 1 23 内分泌・ 代謝 1 1 13 1 皮膚 (件)  他家細胞による再生・細胞治療は原料の調達に課題がある  他家細胞使用製品は胎児包皮由来6製品、骨髄由来4製品、臍帯血由来3製品 、胎盤・骨由来各1製品、由来不明4製品に分類される  割礼の慣習がある欧米では、胎児包皮を豊富に入手可能なものと推定  血液疾患治療に使用される造血幹細胞は、臍帯血(通常、廃棄される)から豊富 に入手可能 合計:自家細胞 58件 他家細胞 20件 疾患分類によって、自家/他家細胞の選択されやすさが異なる 他家細胞 自家細胞 2017年8月時点
  14. 14 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 再生・細胞医薬品の上市品数は欧州・韓国・米国の順で多く、開発が活発化。 *1:許可区分(承認地域・対象疾患)、開発企業が異なる場合は、全て分けてカウント。同じ疾患領域内で複数の対象疾患がある場合は1製品とみなす *2:製品名・販売会社が同一のものは複数地域で承認を得てい る場合も1製品とカウント 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-1 国内外の開発動向 再生・細胞治療 再生・細胞治療製品の上市品 –承認エリア別 日本:4件 地域別の再生・細胞治療上市品製品数(ex vivo遺伝子治療を含む) *1 欧州:37件 凡例: 合計:77件*2 ブラジル:1件 癌 自:1 イスラエル:1件 皮膚 他:1 カナダ:3件 免疫・炎症 他:1 皮膚 他:2 サウジアラビア:1件 皮膚 他:1 イラン:1件 筋骨格 自:1 ニュージーランド:1件 血液 他:1 米国:20件 癌 自:5 皮膚 自:3 他:4 血液 他:2 筋骨格 自:3 他:2 歯 他:1 ロシア:1件 皮膚 他:1 シンガポール:2件 筋骨格 自:2 インド:3件 心血管 自:1 眼 自:1 他:1 オーストラリア:2件 筋骨格 自:1 皮膚 自:1 韓国:19件 筋骨格 自:1 皮膚 自:1 心血管 自:1 血液 他:1 中国:2件 皮膚 自:1 他:1 皮膚 自:5 他:3 心血管 自:2 他:1不明:1 泌尿 生殖器 自:2 筋骨格 自:16 血 自:1 他:1 眼 自:1 疾患分類 自家細胞使用製品数 他家細胞使用製品数 2013年からEMAによる中央承認 制度へ変更。2012年までは各国 承認だった為、承認基準が異なる ことに留意が必要 条件付き承認が多く、承認が取り下げら れている製品も含まれている可能性有り EMA認証の再生・細胞治療製品は、ChondroCelect(自・筋 骨格)、Co.don Chondrotransphere(自・筋骨格)、Holoclar( 自・眼)、MACI(自・筋骨格)、Mukocell(自・泌尿生殖器)、 Novocart 3D(自・筋骨格)、Stempeucel(他・血液)、t2c001( 自・心血管)、Zalmoxis(他・癌) 皮膚 自:6 他:1 筋骨格 自:3 他:1 癌 自:4 心血管 自:1 消化器 自:1 中枢神経 自:1 内分泌 代謝 自:1 癌 自:3 他:1 2017年8月時点
  15. 15 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 再生・細胞治療の開発品は、癌領域が最も多数を占める(247品中79品)。癌以外の疾 患領域では、他家細胞を用いた開発品が半数以上を占める。 *1:製品数(開発品名称及び開発主体が一致する開発品は同じと判断)でカウント。同じ疾患領域内の複数の疾患に対して開発が進められている場合は、1品とカウント。複数の疾患領域で開発が進められている場合 は、領域毎に1品とカウント。 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-1 国内外の開発動向 再生・細胞治療 再生・細胞治療製品の開発品 –疾患分類・自家/他家別 疾患分類・自家/他家別の再生・細胞治療開発品の製品数(ex vivo遺伝子治療を含む) *1 22 14 16 17 13 12 15 5 5 5 1 8 2 2 1 2 0 12 6 14 54 1 1 0 10 20 30 40 50 60 70 80 老人病 耳 リンパ 泌尿生 殖器 呼吸器 2 歯 消化器 放射線 障害 その他 外科 手術 筋骨格 中枢 神経 2 4 癌 免疫・ 炎症 心血管 2 0 内分泌・ 代謝 感染症 3 血液 眼 4 皮膚 2 (品) 合計:両細胞 5品 自家細胞 107品 他家細胞 135品 他家細胞 両細胞 自家細胞 他家細胞による開発品が半数を占める 合計: 79 28 22 29 10 5 17 0 15 18 7 3 7 0 0 0 0 0 0 7 2017年8月時点
  16. 16 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 臨床研究のPre/基礎研究の件数を比較すると、自家細胞よりも他家細胞を使用した 開発が多い。研究対象が他家細胞に推移していると考えられる。 *1:研究段階が不明なもの、使用細胞の自家/他家が不明なものを除き、製品数を集計 *2:同じ疾患領域内の複数の疾患に対して開発が進められている場合は、そのうちの最も研究段階が進んでいる開発品1製品のみカウント。複数の疾患領域で開発が進められている場合は、疾患領域別に1製品とカ ウント。 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-1 国内外の開発動向 再生・細胞治療 再生・細胞治療製品の開発品 –臨床研究段階別・自家/他家別 自家/他家別の臨床研究段階の製品数(ex vivo遺伝子治療を含む) *1 自家細胞を使用*2 他家細胞を使用*2 自家、他家細胞を使用 45件 49件 36件 91件 1 14 3 27 12 14 23 承 認 申 請 中 PhaseⅢ PhaseⅡ/Ⅲ PhaseⅡ PhaseⅠ/Ⅱ PhaseⅠ 基 礎 研 究 / 前 臨 床 3 11 3 19 15 15 61 承 認 申 請 中 PhaseⅢ PhaseⅠ 基 礎 研 究 / 前 臨 床 PhaseⅡ PhaseⅡ/Ⅲ PhaseⅠ/Ⅱ 1 0 1 1 1 1 基 礎 研 究 / 前 臨 床 PhaseⅢ PhaseⅡ/Ⅲ 承 認 申 請 中 PhaseⅡ PhaseⅠ/Ⅱ PhaseⅠ 2017年8月時点
  17. 17 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. シンガポール:3件 タイ:1件 再生・細胞医薬品の開発品数は米国・欧州・日本の順で多く、開発が活発化している。 *1:製品数でカウント。同じ疾患領域内の複数の疾患に対して開発が進められている場合は、1製品のみカウント。複数の疾患領域、複数の地域で開発が進められている場合は、疾患領域・地域別に1製品とカウント *2:含、台湾 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-1 国内外の開発動向 再生・細胞治療 再生・細胞治療製品の開発品 –開発エリア別 地域別の再生・細胞治療品開発品数(ex vivo遺伝子治療を含む) *1 米国:178件 カナダ:18件 日本:65件 韓国:6件 中国*2:11件 オーストラリア:7件 欧州:83件 イスラエル:4件 合計:377件 癌 自:4 不明:1 心血管 自:2 中枢 神経 自:1 不明:1 他:1 呼吸器 自:1 皮膚 自:1 感染症 自:1 内分泌 代謝 他:1 血液 他:1 癌 心 血管 他:7 不明:1 自:6 筋 骨格 中枢 神経 感染 症 血液 眼 皮膚 その他 他:2 消化器 他:1 皮膚 不明:1 エジプト:1件 癌 不明:1 筋骨格 他:2 癌 自:1 呼吸器 他:1 その他 他:1 癌 他:2不明:19 自:11 心 血管 他:3 不明:4 自:7 感染症 自:1 他:3 眼 他:2 不明:1 中枢 神経 他:2 消化器 自:1 他:2 癌 自:1 不明:2 心血管 自:1 筋骨格 自:1 その他 他: 1 眼 不明:1 呼吸器 他:1 癌 自:8 他:3 内分泌 代謝 他:2不明:4 その他 分類なし 他:1 泌尿 生殖器 不明:2 消化器 不明:1 血液 不明:1 使用細胞 分類 自家細胞使用製品数 他家細胞使用製品数 細胞ソース不明な製品数 自他両細胞使用製品数 他:13 両方:3 自:34 不明:35 両方:1 心血管 他:1 皮膚 不明:1 血液 他:2 内分泌 代謝 他:2 呼吸器 他:2 血液 他:1 消化器 他:1 他:10不明:1 自:3 他:8 不明:2 自:3 両方:1不明:1 他:5 他:1 不明:5 自:3 内分泌 代謝 他:6 自:2 泌尿 生殖器 自:1 他:1 消化器 他:1 神経 自:1 心血管 他:1 筋 骨格 眼 他:3 不明:2 自:6 他:4 不明:1 自:2 心 血管 中枢 神経 他:5 不明:1 自:4 他:7 不明:1 自:1 筋骨格 他:1 中枢 神経 他:1 中枢 神経 他:3 自:1 筋 骨格 不明:1 他:2 自:1 皮膚 不明:1 自:1 呼吸器 自:2 他:1 他:5 不明:3 自:1 他:6 不明:3 自:1 自:1 自:1 他:6 両方:1 自:1 不明:4 泌尿 生殖器 他:1 不明 不明:1 眼 他:1 他:1 癌 不明:1 心血管 自:1 不明:1 心血管 他:1 自:1 不明:1 自:1 他:1 自:1 2017年8月時点
  18. 18 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. フェーズ前半の開発品数は、米国・欧州・日本の順で多い。開発品の中では、癌を対 象としたものが最も多い。 *1:製品数でカウント。同じ疾患領域内の複数の疾患に対して開発が進められている場合は、そのうちの最も研究段階が進んでいる開発品1製品のみカウント。複数の疾患領域、複数の地域で開発が進められている 場合は、疾患領域・地域別に1製品とカウント。国によってPreclinical製品の定義が異なることに留意が必要 *2:含、台湾 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-1 国内外の開発動向 再生・細胞治療 再生・細胞治療製品の開発品 –開発エリア別 (Preclinical (基礎研究含む) ・フェーズI・ I/II) 地域別の再生・細胞治療品開発製品数(ex vivo遺伝子治療を含む) *1 欧州:41品 合計:196品 中国:6品*2 日本:43品 Preclinical/基礎研究 PhaseⅠ PhaseⅠ/Ⅱ 呼吸器 Pre: 2 心血管 血液 Pre: 2 Ⅰ/Ⅱ: 2 内分泌・代謝 Pre: 3 癌 Pre: 19 Ⅰ: 28 Ⅰ/Ⅱ: 11 感染症 Pre: 2 Ⅰ/Ⅱ: 1 眼 Pre: 2 Ⅰ/Ⅱ: 1 筋骨格 Pre: 3 Ⅰ: 2 中枢神経 Pre: 4 皮膚 呼吸器 Ⅰ: 1 心血管 Ⅰ: 2 Ⅰ/Ⅱ: 3 血液 Pre: 4 癌 Pre: 5 Ⅰ: 7 呼吸器 Pre: 1 心血管 Pre: 6 皮膚 Pre: 1 内分泌・代謝 Pre: 5 癌 Pre: 6 眼 Pre: 4 Ⅰ/Ⅱ: 1 筋骨格 Pre: 3 中枢神経 Pre: 6 韓国:1品 神経 Ⅰ/Ⅱ: 1 中枢神経 Ⅰ/Ⅱ: 6 オーストラリア:3品 筋骨格 呼吸器 米国:99品 カナダ:2品 Ⅰ: 1 Ⅰ: 1 Ⅰ/Ⅱ: 2 Pre: 1 Ⅰ/Ⅱ: 2 Ⅰ: 1 Ⅰ: 2 Ⅰ: 1 Ⅰ: 1 Ⅰ/Ⅱ: 1 泌尿器 その他 Pre: 3 その他 Ⅰ: 1 Ⅰ/Ⅱ: 1 Ⅰ: 1 Ⅰ/Ⅱ: 1 分類なし Pre: 1 感染症 Pre: 2 Ⅰ/Ⅱ: 2 眼 Ⅰ: 1 Ⅰ/Ⅱ: 1 筋骨格 Ⅰ/Ⅱ: 2 Ⅰ: 1 Ⅰ/Ⅱ: 4 Pre: 1 血液 Pre: 1 Ⅰ/Ⅱ: 3 内分泌・代謝 Pre: 1 Pre: 1 泌尿器 Pre: 1 癌 Ⅰ/Ⅱ: 1 Ⅰ: 1 Ⅰ: 1 Ⅰ/Ⅱ: 1 癌 Ⅰ/Ⅱ: 1 Ⅰ: 1 その他 Pre: 1 Ⅰ/Ⅱ: 2 Ⅰ: 1 Ⅰ: 1 その他 Pre: 1 タイ:1品 血液 Ⅰ/Ⅱ: 1 2017年8月時点
  19. 19 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. フェーズ後半の開発品数は、欧州・米国・日本/韓国の順で多く、欧州の開発が進んで いる印象。開発品の中では、癌や心血管を対象としたものが多い。 *1:製品数でカウント。同じ疾患領域内の複数の疾患に対して開発が進められている場合は、そのうちの最も研究段階が進んでいる開発品1製品のみカウント。複数の疾患領域、複数の地域で開発が進められている 場合は、疾患領域・地域別に1製品とカウント。 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-1 国内外の開発動向 再生・細胞治療 再生・細胞治療の開発品 –開発エリア別 (フェーズII・フェーズII/III・フェーズIII・承認申請中) 合計:155品 オーストラリア:4品 中国:2品 韓国:4品 日本:8品 PhaseⅡ PhaseⅡ/Ⅲ PhaseⅢ 承認申請中 心血管 Ⅱ: 6 Ⅲ: 4 血液 Ⅱ: 2 内分泌・代謝 Ⅱ : 2 癌 Ⅱ : 12 Ⅲ: 12 感染症 Ⅱ : 3 Ⅲ: 1 眼 Ⅱ : 3 筋骨格 Ⅱ : 3 中枢神経 Ⅱ : 5 Ⅲ: 1 消化器 Ⅱ : 1 Ⅲ 1 心血管 Ⅱ : 2 Ⅲ: 6 血液 内分泌・代謝 Ⅱ : 2 癌 Ⅱ : 11 Ⅱ/Ⅲ: 1 Ⅲ: 4 眼 Ⅱ : 1 筋骨格 Ⅱ : 1 中枢神経 Ⅱ : 1 Ⅲ: 1 皮膚 Ⅲ: 2 消化器 Ⅲ: 1 皮膚 心血管 Ⅱ: 2 Ⅲ : 1 内分泌・代謝 承: 1 癌 Ⅲ : 5 感染症 Ⅱ : 1 血液 中枢神経 Ⅱ : 2 Ⅲ : 1 心血管 Ⅱ : 1 泌尿器 Ⅲ: 1 筋骨格 中枢神経 Ⅱ : 2 心血管 Ⅱ : 2 呼吸器 Ⅱ : 1 眼 Ⅱ : 1 癌 Ⅱ: 1 心血管 Ⅲ: 1 筋骨格 Ⅲ: 1 心血管 Ⅱ : 1 筋骨格 Ⅱ : 1 中枢神経 Ⅱ: 1 皮膚 Ⅲ: 1 消化器 Ⅲ: 1 シンガポール:2品 癌 Ⅲ : 1 心血管 Ⅱ : 1 Ⅲ: 1 地域別の再生・細胞治療品開発数(ex vivo遺伝子治療を含む) *1 欧州:41品 米国:73品 カナダ:16品 イスラエル:4品 エジプト:1品 Ⅱ: 1 Ⅲ : 1 Ⅱ/Ⅲ: 1 Ⅱ/Ⅲ: 1 皮膚 Ⅱ : 3 Ⅲ: 4 泌尿生殖器 Ⅱ : 1 心血管 Ⅱ: 1 Ⅲ: 1 Ⅱ/Ⅲ: 1 Ⅲ: 2 Ⅱ/Ⅲ: 1 Ⅲ: 1 Ⅱ : 2 承: 1 Ⅲ: 2 承: 1 Ⅲ 1 Ⅱ/Ⅲ: 1 承: 2 Ⅱ/Ⅲ: 1 承: 1 Ⅲ: 1 呼吸器 Ⅱ : 1 眼 Ⅱ: 1 2017年8月時点
  20. 20 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 2-1 再生・細胞治療 2-2 遺伝子治療 2-3 各治療法の技術課題 3 疾患別の市場・競争環境 4 実用化シナリオと投資配分方向性 5 実用化に向けて対応すべき課題
  21. 21 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 遺伝子治療は、In vivo遺伝子治療(④、⑤)とEx vivo遺伝子治療(②’ )に分けられる。 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 遺伝子治療の定義 *1 ベクター:遺伝子を細胞内に運ぶ役割をするもの, *2染色体以外の環状などの形状をとったDNA分子の総称 出所:国立医薬品食品衛生研究所「遺伝子治療製品の過去・現在・未来」よりアーサー・ディ・リトル作成 目的遺伝子を搭載した 遺伝子治療薬の投与 (in vivo) 遺伝子を導入した細胞の投与 (ex vivo) 1) 標的細胞の取得 2) 遺伝子導入 3) 遺伝子導入細胞の投与 1)目的遺伝子を搭載した遺伝子治療薬を 直接投与 ウイルスベクター*1 非ウイルスベクター プラスミド*2 技術概要 遺伝子組換えウイルスの投与 (in vivo)によるウイルス療法 2’ 4 5
  22. 22 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 一般に、in vivo遺伝子治療製品は、導入された遺伝子が体内で転写、翻訳され、タン パク質が発現されることで治療効果を発揮する*。 *導入された遺伝子から転写されたRNAが効果を発揮するなど、異なる作用機序が狙われている場合もある 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトルまとめ 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療の適応疾患拡大の可能性 遺伝子治療の作用機序 遺伝子治療の作用機序(AAVを用いたin vivo遺伝子治療の場合) 治療効果を 発揮する分子 体内の細胞 転写 翻訳 ウイルスベクター ウイルスベクター DNA RNA タンパク質
  23. 23 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 遺伝子治療は、従来型モダリティの医薬品では標的にできなかった生体内現象を長 期に渡り制御することが可能。 *タンパク質相互作用を制御する作用機序の核酸医薬品も存在する(アプタマー) 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療の適応疾患拡大の可能性 既存モダリティと遺伝子治療の比較 遺伝子治療と既存モダリティの比較 標的にできる生体内現象 効果の持続性 遺伝子治療/ 遺伝子編集  タンパク質の発現プロセスに介入するため、分子の局在に関わらずタンパク 質の発現量/機能に介入ができる  一部の治療法を除き、半永続的な効果が期待できる – 例えば、AAVを用いた場合には細胞内に導入した遺 伝子が10年以上の長期間にわたり維持される – 例えば、遺伝子編集の場合には、対象細胞が生存し ている限り効果が維持される 低分子医薬品  分子サイズが小さいため、タンパク質の機能の一部しか制御できない – 例えば、低分子医薬品によるタンパク質間相互作用の制御は困難  細胞内に入り込むことができるため細胞内の標的を狙うことができる  体内で代謝を受けるため、機能の持続は限定的 たんぱく質 医薬品  タンパク質そのものの機能を代替できる  細胞内に入り込むことができないため、細胞内タンパク質、細胞膜タンパク質 の機能は代替できない  体内で代謝を受けるため、機能の持続は限定的 抗体医薬品  分子サイズが大きいため、タンパク質間相互作用を制御することができる  細胞内に入り込むことができないため、細胞内タンパク質の機能の制御はで きない  体内で代謝を受けるため、機能の持続は限定的 ペプチド医薬品  分子サイズが大きいため、タンパク質間相互作用を制御することができる  細胞内に入り込むことができるため細胞内の標的を狙うことができる  体内で代謝を受けるため、機能の持続は限定的 核酸医薬品  タンパク質の発現プロセスに介入する*ため、分子の局在に関わらずタンパク 質の発現量/機能に介入ができる  体内で代謝を受けるため、機能の持続は限定的 凡例:メリット/デメリット
  24. 24 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 遺伝子治療により、多因子性疾患の病態を引き起こしている生体内現象の上流に長 期に渡り介入することで、より根本治療に近い治療となることが期待される。 出所:Circ Res. 2013 Aug 30;113(6):792-809 ”Heart failure gene therapy: the path to clinical practice”, JAMA Cardiol. 2016 May 1;1(2):163-71. “Intracoronary Gene Transfer of Adenylyl Cyclase 6 in Patients With Heart Failure: A Randomized Clinical Trial”, Hum Gene Ther. 2017 May;28(5):378-384. “Randomized Clinical Trial of Gene Transfer for Heart Failure with Reduced Ejection Fraction.”よりアーサー・ディ・リトル作成 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療の適応疾患拡大の可能性 遺伝子治療による心不全治療 開発品事例 遺伝子治療による心不全治療 開発品事例  心不全患者におけるAC6の発現量/活性の減少が報告されており 、心不全の病態を引き起こす上流の機構となっている可能性があ る  従来モダリティを用いた治療法による効果的なAC6への介入は困 難と想定される – 低分子薬は、分子サイズが小さく、特にタンパク質間相互 作用を介するタンパク質の機能を効果的に模倣することが できない – タンパク質医薬/抗体医薬は細胞内に入り込むことができ ないため、細胞内の生体内現象への介入は困難 – 核酸医薬/ペプチド医薬による介入は可能と想定されるが 、心臓への特異的な送達や効果持続時間が課題になると 想定される  AC6を発現させる遺伝子治療法の心不全患者を対象としたヒト試 験で有望な結果が報告されている – Van San Diego Healthcare SystemのH.Kirk Hammond 氏による心不全患者を対象としたAC6遺伝子治療の Phase2試験にて、有望な結果が報告された 事例
  25. 25 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. In vivo遺伝子治療製品は、欧米・中国を中心に6品目承認されている。 *1: 1ユーロ=120円として換算、*2: 1ドル=115円として換算、Seeking Alpha、PMLiVE 出所:国立医薬品食品衛生研究所「遺伝子治療製品の過去・現在・未来」、Genes (Basel). 2017 Feb 17;8(2) “Early Insights from Commercialization of Gene Therapies in Europe”、日経バイオテクよりアーサー・ ディ・リトル作成 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 遺伝子治療の上市品(in vivo) 世界の上市製品 (in vivoのみ) 製品名 開発企業 キャリア 対象疾患 対象 部位 承認年 承認国 薬価 備考 Gendicine Shenzhen SiBiono Genetech アデノウイルス 頭頚部 扁平上皮癌 頭頚部 2003 中国 - Oncoline Shanghai Sunway Biotech アデノウイルス 頭頚部癌 頭頚部 2006 中国 - Neovaculgen Human Stem Cell Institute プラスミド 重症虚血肢下肢 虚血を含む末梢 動脈疾患 血管 2011 2013 ロシア ウクライナ - Glybera uniQure アデノ随伴 ウイルス LPL 欠損症 脂肪組 織 2012 欧州 82万ユーロ/人 (9,840万円*1)  1回の投与で最大60回注射、5年 程度の効果  2017年10月に販売終了 (需要不足の為) IMLYGIC (T-VEC) Amgen 腫瘍溶解性ヘル ペスウイルス1型 メラノーマ 皮膚 2015 米国 欧州 65,000ドル/人 (750万円*2)  腫瘍溶解性へルぺスウイルス  日本では2017年3月に治験開始  肉腫、乳がん、膵がん等、適応拡 大に向けた治験を実施 Luxturna Spark Therapeutics アデノ随伴 ウイルス レーバー先天 性黒内障 目 2017 米国 42万5,000ドル/ 片目 (4,888万円*2)
  26. 26 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Ex vivo遺伝子治療製品は、欧米で4品目承認されている。 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 遺伝子治療の上市品(ex vivo) 世界の上市製品 (ex vivoのみ) 製品名 開発企業 細胞種 ベクター種 対象疾患 承認年 承認国 薬価 Strimvelis GSK 自家骨髄細胞 レトロウイルス アデノシンデアミ ナーゼ(ADA)欠 損症 2016 英国 59万4,000ポンド/人 (8,910万円*1) Zalmoxis MolMed 他家免疫細胞 単純ヘルペスウイ ルス 高リスク造血器 悪性腫瘍 (GVHD重症化 防止) 2016 イタリア 14万9,000ユーロ/回(最高 4回まで投与可能) (1,788万円*2) Kymriah Novartis 自家T細胞 レンチウイルス 急性リンパ芽球 性白血病(ALL) (小児、若年成 人) 2017 米国 47万5,000ドル/回 (5,462万円*3) Yescarta Kite Pharma 自家T細胞 レトロウイルス びまん性大細胞 型B細胞性リン パ腫 2017 米国 37万3,000ドル/回 (4,290万円*3) *1 : 1ポンド=150円として換算、 *2 : 1ユーロ=120円として換算、 *3: 1ドル=115円として換算 出所:日経バイオテク、各種公開記事よりアーサー・ディ・リトル作成
  27. 27 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 遺伝子治療においてはがん領域の後期開発品目数が多く、開発の中心となっている。 直近では、承認申請中の筋骨格・眼疾患の領域で上市が期待される。 *1:製品数でカウント。同じ疾患領域内の複数の疾患に対して開発が進められている場合は、そのうちの最も研究段階が進んでいる開発品1製品のみカウント。複数の疾患領域で開発が進められている場合は、疾患 領域に1製品とカウント。 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 遺伝子治療製品の開発動向 – 疾患分類別の臨床フェーズ 17 19 43 7 12 12 11 2 38 1 1 1 14 12 1 1 7 9 6 25 0 6 3 1 2 2 6 2 1 その他 神経 2 31 心血管 2 3 0 5 1 皮膚 8 1 5 34 11 感染症 44 2 2 1 呼吸器 内分泌/ 代謝 筋骨格 3 26 2 消化器 血液 1 45 眼 3 1 泌尿器 1 10 がん 133 4 3 5 PhaseⅠ 承認申請中 PhaseⅠ/Ⅱ PhaseⅡ PhaseⅡ/Ⅲ PhaseⅢ Preclinical・基礎研究 疾患分類別の各臨床段階における開発製品数*1(in vivo & ex vivo) 全開発品の約32%を占め、 開発の中心となっている。 2017年8月時点
  28. 28 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 米国・欧州・他地域では、血友病の開発が多数進められているものの、日本では血友 病の開発品は存在しない。 *1: PhaseⅠ/Ⅱを含む *2:同じ製品で複数の疾患を対象疾患として臨床開発を進めている場合も1製品とカウント *3:同じ製品で複数の疾患・地域を対象として開発を進めている場合は全て別の開発とみなし、件数をカウント。地域が不明な場合はカウントしない *4:同一製品を用いて、複数の地域で開発を進めている例が存在する為、各臨床段階の血液疾患治療製品数と数字が一致しない 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 遺伝子治療製品の開発動向 – 血液系疾患の遺伝子治療に向けた各国の動向 3 2 21 26 血液系疾患 PhaseⅢ PhaseⅡ PhaseⅠ・Preclinical *1 各臨床段階の血液 疾患治療製品数*2 各臨床段階における各国の開発品件数*3 1 1 1 1 1 12 8 1 1 PhaseⅡ PhaseⅠ/ Preclinical 22*4 3 PhaseⅢ 2 ・原発性リンパ浮腫 ・血友病A/B(8件) ・ヘモグロビン異常症(3件) ・移植後合併症 ・移植後合併症(4件) ・ヘモグロビン異常症(2件) ・血友病A/B(2件) ・ヘモグロビン異常症 ・ヘモグロビン異常症 ・移植後合併症 ・血友病A/B ・原発性免疫不全症候群 ・血友病A/B その他 日本 欧州 米国 2017年8月時点
  29. 29 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. アデノ随伴ウイルス(AAV)やアデノウイルス(AdV)を用いた臨床試験数が目立つ他、 ウイルスを用いないプラスミドや脂質ナノ粒子を用いた開発も実施されている。 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 遺伝子治療製品の開発動向 – 遺伝子送達キャリア別の臨床フェーズ 16 24 12 4 15 14 9 9 7 8 12 5 2 5 10 27 6 1 1 1 3 脂質ナノ粒子 3 その他・不明 ヒトパピロー マウイルス 4 1 1 2 ヘルペス ウイルス 7 2 ワクシニア ウイルス 7 3 1 1 10 1 1 プラスミド 50 レトロウイルス アデノウ イルス 3 42 19 1 レンチウ イルス 3 77 アデノ随伴ウ イルス(AAV) 1 1 2 遺伝子送達キャリア別の開発段階 アデノ随伴ウイルスベクター (AAV)を用いた開発が進んでいる Preclinical PhaseⅠ/Ⅱ PhaseⅠ 基礎研究 PhaseⅡ/Ⅲ PhaseⅢ 承認申請中 PhaseⅡ 2017年8月時点
  30. 30 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 遺伝子治療の上市品数は欧州・中国・米国の順で多く、開発が活発化。 *1:許可区分(承認地域・対象疾患)、開発企業が異なる場合は、全て分けてカウント。同じ疾患領域内で複数の対象疾患がある場合は1製品とみなす *2:製品名・販売会社が同一のものは複数地域で承認を得てい る場合も1製品とカウント 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 遺伝子治療製品の上市品 –承認エリア別 地域別の遺伝子治療上市品製品数(in vivo, ex vivoともに含む) *1 欧州:5件 合計:7件*2 米国:1件 癌:1 中国:2件 癌:1 内分泌:1 心血管:1 血:2 癌:1 2017年8月時点
  31. 31 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 遺伝子治療の開発品数は米国・欧州・日本の順で多く、開発が活発化している。 *1:製品数でカウント。同じ疾患領域内の複数の疾患に対して開発が進められている場合は、1製品のみカウント。複数の疾患領域、複数の地域で開発が進められている場合は、疾患領域・地域別に1製品とカウント *2:含、台湾 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 遺伝子治療製品の開発品 –開発エリア別 地域別の遺伝子治療品開発品数(in vivo, ex vivoともに含む) *1 イスラエル:1件 癌:1 シンガポール:1件 米国:205件 カナダ:9件 日本:14件 韓国:10件 中国*2:5件 欧州:68件 合計:325件 癌:2 癌:85 中枢神経:13 タイ:1件 血液:1 癌:20 感染症:5 眼:13 癌:3 内分泌代謝:1 癌:9 内分泌代謝:1 その他:1 呼吸器:1 血液:10 内分泌代謝:23 心血管:1 感染症:1 癌:4 筋骨格:2 癌:1 皮膚:1 感染症:1 筋骨格:1 心血管:2 中枢神経:2 内分泌代謝:13 泌尿生殖器:1 不明:1 感染症:3 内分泌代謝:2 血液:1 消化器:2 泌尿生殖器:2 心血管:6 筋骨格:7 感染症:23 血液:12 眼:24 皮膚:4 消化器:1 その他:4 分類なし:1 南アフリカ:1件 感染症:1 オーストラリア:5件 内分泌代謝:1 眼:1 血液:1 感染症:1 心血管:1 血液:1 中枢神経:1 心血管:1 ケニア:2件 感染症:2 ルワンダ:1件 感染症:1 2017年8月時点
  32. 32 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. フェーズ前半の開発品数は、米国・欧州・日本の順で多い。開発品の中では、癌を対 象としたものが最も多い。 *1:製品数でカウント。同じ疾患領域内の複数の疾患に対して開発が進められている場合は、そのうちの最も研究段階が進んでいる開発品1製品のみカウント。複数の疾患領域、複数の地域で開発が進められている 場合は、疾患領域・地域別に1製品とカウント。開発フェーズが不明なものはカウントしておらず、前頁の合計値と若干の齟齬があることに留意。国によってPreclinical製品の定義が異なることに留意*2:含、台湾 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 遺伝子治療製品の開発品 –開発エリア別 (Preclinical (基礎研究含む) ・フェーズI・ I/II) 地域別の遺伝子治療品開発製品数(in vivo, ex vivoともに含む) *1 欧州:41品 合計:197品 中国:2品*2 日本:8品 Preclinical/基礎研究 PhaseⅠ PhaseⅠ/Ⅱ 内分泌・代謝 Pre: 5 癌 Pre: 14 Ⅰ: 31 Ⅰ/Ⅱ: 11 感染症 Pre: 3 眼 Pre: 1 Ⅰ/Ⅱ: 9 筋骨格 Pre: 2 Ⅰ: 2 中枢神経 Pre: 5 皮膚 呼吸器 中枢神経 Ⅰ/Ⅱ: 1 血液 Pre: 2 癌 Pre: 7 Ⅰ: 2 韓国:2品 オーストラリア:2品 心血管 内分泌・代謝 米国:132品 カナダ:6品 Ⅰ: 4 Ⅰ/Ⅱ: 1 Ⅰ/Ⅱ: 3 Ⅰ: 3 Ⅰ/Ⅱ: 1 消化器 泌尿生殖器 感染症 眼 Ⅰ/Ⅱ: 8 筋骨格 Ⅰ/Ⅱ: 6 Ⅰ/Ⅱ: 6 内分泌・代謝 Pre: 4 Pre: 1 泌尿器 Pre: 1 心血管 血液 Pre: 1 Ⅰ/Ⅱ: 7 Ⅰ: 2 Pre: 1 Ⅰ: 1 Ⅰ: 14 Ⅰ/Ⅱ: 1 癌 Ⅰ/Ⅱ: 1 Ⅰ: 1 内分泌・代謝 癌 Pre: 1 血液 Ⅰ/Ⅱ: 1 Ⅰ/Ⅱ: 3 Ⅰ: 2 Ⅰ: 1 タイ:1品 血液 Ⅰ/Ⅱ: 1 ルワンダ:1品 血液 Ⅰ: 1 感染症 内分泌・代謝 Ⅰ/Ⅱ: 1 Ⅰ: 1 Pre: 1 Ⅰ: 2 癌 Ⅰ/Ⅱ: 1 Ⅰ: 5 その他 Pre: 1 Ⅰ: 1 Ⅰ/Ⅱ: 2 Ⅰ: 1 Ⅰ/Ⅱ: 1 Ⅰ/Ⅱ: 1 感染症 癌 Ⅰ/Ⅱ: 1 Ⅰ: 1 Ⅰ: 1 Pre: 1 Pre: 1 Ⅰ: 1 Ⅰ: 4 Ⅰ: 2 Ⅰ/Ⅱ: 4 ケニア:2品 血液 Ⅰ: 1 Ⅰ/Ⅱ: 1 2017年8月時点
  33. 33 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. フェーズ後半の開発品数は、米国・欧州・韓国の順で多く、米国の開発が進んでいる 印象。開発品の中では、癌や眼を対象としたものが多い。 *1:製品数でカウント。同じ疾患領域内の複数の疾患に対して開発が進められている場合は、そのうちの最も研究段階が進んでいる開発品1製品のみカウント。複数の疾患領域、複数の地域で開発が進められている 場合は、疾患領域・地域別に1製品とカウント。開発フェーズが不明なものはカウントしておらず、前頁の合計値と若干の齟齬があることに留意 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 遺伝子治療の開発品 –開発エリア別 (フェーズII・フェーズII/III・フェーズIII・承認申請中) 合計:101品 オーストラリア:3品 中国:1品 韓国:7品 日本:3品 PhaseⅡ PhaseⅡ/Ⅲ PhaseⅢ 承認申請中 心血管 Ⅱ: 2 Ⅲ: 2 血液 内分泌・代謝 Ⅱ : 6 癌 Ⅱ : 18 Ⅲ: 5 感染症 Ⅱ : 4 Ⅲ: 1 眼 Ⅱ : 6 筋骨格 中枢神経 Ⅱ : 1 Ⅲ: 2 眼 Ⅱ : 3 Ⅲ 1 感染症 Ⅲ: 1 血液 内分泌・代謝 Ⅱ : 3 癌 Ⅱ : 3 癌 Ⅲ : 1 心血管 Ⅱ : 2 中枢神経 Ⅱ : 1 眼 Ⅱ : 1 心血管 癌 Ⅲ: 1 地域別の遺伝子治療品開発数(in vivo, ex vivoともに含む) *1 欧州:15品 米国:66品 カナダ:2品 イスラエル:1品 血液 Ⅱ: 1 皮膚 Ⅱ : 1 Ⅲ: 2 泌尿生殖器 Ⅱ : 1 感染症 その他 Ⅲ: 1 Ⅲ: 1 心血管 Ⅲ: 1 Ⅱ : 1 承: 1 Ⅲ: 1 承: 1 Ⅲ 1 Ⅱ/Ⅲ: 2 承: 2 Ⅱ/Ⅲ: 1 承: 1 Ⅲ: 1 分類なし Ⅱ : 1 眼 Ⅱ: 1 感染症 Ⅲ: 1 血液 Ⅱ: 1 Ⅲ 1 皮膚 Ⅱ : 1 癌 Ⅱ : 2 Ⅲ: 1 Ⅲ: 5 感染症 南アフリカ:1品 Ⅱ : 1 2017年8月時点
  34. 34 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 分化後の細胞に遺伝子導入可能、長期発現が期待できる、免疫原生が比較的弱い 等の特徴から、AAVベクターを用いた研究開発が多く行われている。 出所:NTS社出版「応用が拡がるDDS」、その他各種公開情報、有識者インタビュー、アーサー・ディ・リトル分析 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 In vivo遺伝子治療 ウィルスベクターの種類 比較項目 レトロウイルス レンチウイルス アデノウイルス アデノ随伴ウイルス ヘルペスウイルス センダイウイルス 有効性 遺伝子導入 分裂細胞にしか遺伝子導入が できない・長期の遺伝子発現 が可能 非分裂細胞にも遺伝子導入可 能・ 長期の遺伝子発現が可能 既存のベクターでは最も遺伝 子導入効率が良い 一過性の遺伝子発現 分裂、非分列細胞を問わず遺 伝子導入可能 長期発現を期待できる 高い遺伝子導入効率が得られ る 長期発現可能 分裂細胞、非分裂細胞ともに 遺伝子導入可能 免疫原性 免疫原性は比較的低い 免疫原性は比較的低い 免疫原性高い 免疫原性は比較的低い 免疫原性高い 免疫原性高い 安全性 遺伝毒性 遺伝毒性あり (宿主染色体にランダム導入 遺伝子が挿入される) 遺伝毒性あり (宿主染色体にランダム導入 遺伝子が挿入される) 遺伝毒性なし (導入遺伝子が宿主染色体へ の組み込み活性を持たない) 遺伝毒性あり (導入遺伝子はランダムに宿 主染色体に組みこまれるある いは染色体外で存在) 遺伝毒性なし (導入遺伝子は宿主染色体に 組み込まれない) 遺伝毒性なし (導入遺伝子は細胞質中に局 在し、染色体に組み込まれな い) 細胞毒性 細胞毒性は比較的低い 細胞毒性は比較的低い 細胞毒性が高い 細胞毒性はほとんどない 細胞毒性が比較的高い 細胞毒性が比較的高い 製造 物理化学的不安定性と細胞外 に放出される性質から大量製 造が比較的困難 レトロウイルスと同様の理由で 大量製造が困難だが、産生細 胞が確立しているためレトロウ イルスよりは製造は容易 (他のベクターと比較すると) ウイルスの大量製造が 比較的容易 (他のベクターと比較すると) ウイルスの大量製造が 比較的容易 物理化学的不安定性と細胞外 に放出される性質から大量製 造が比較的困難 物理化学的不安定性と細胞外 に放出される性質から大量製 造が比較的困難 治療応 用 治療応用 実績 先天性アデノシンデアミナーゼ 欠損症・血液細胞や造血幹細 胞に対する遺伝子治療として 用いられている 血液細胞や造血幹細胞を標的 とした遺伝子治療で用いられ 始めている 中国において、Gendicine (p53発現ベクター)などがすで に実用化されている 血友病、パーキンソン病、 Leber先天性黒内障への遺伝 子治療で用いられている 米国でヘルペスウイルスを用 いた薬剤t-vecが悪性黒色腫 を適用として承認された 悪性黒色腫、中皮腫を標的と した臨床治験で用いられてい る 投与経路 (体内投与はあまり行われな い) 大量精製が困難・体内動態の 制御が難しいため、局所投与 が主 体内動態の制御が難しいため、 局所投与が主 大量精製が容易・体内動態の 制御技術の開発が進んでおり、 全身投与が試みられている 大量精製が困難・体内動態の 制御が難しいため、局所投与 が主 大量精製が困難・体内動態の 制御が難しいため、局所投与 が主 当面はAAVが主流となると考えている - 遺伝子治療有識者インタビューより ウイルスベクターごとの特徴
  35. 35 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 長期的な発現を期待するin vivo遺伝子治療への応用を前提とした場合、SeVと比較 してAAVの優位性は高い。一点、発現効率の高さにおいては、SeVがAAVを上回る。 出所:MBLライフサイエンス社ウェブサイト、ウイルス 第57巻 第1号, p.29-36, 2007 「2.センダイウイルスベクター:ベクター開発と医療・バイオ分野への応用」よりアーサー・ディ・リトル分析 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 In vivo遺伝子治療 アデノ随伴ウイルスとセンダイウイルスの比較 in vivo遺伝子治療への応用を前提としたAAV(アデノ随伴ウイルス)/SeV(センダイウイルス)の比較 AAV(アデノ随伴ウイルス) SeV(センダイウイルス) 有 効 性 / 対 象 疾 患 の 幅 広 さ 安 全 性 製 造 臨床経験 製造可能な スケール 発現量/ 発現効率 発現期間 動態制御 発現可能な 細胞種 遺伝毒性 細胞毒性 免疫原性 搭載可能な 遺伝子サイズ  2008年前後から多くの投与実績があり、長期安全性が 認められてきている  ウイルスの大量製造が比較的容易  発現効率が低く、発現量の低さが臨床上の課題となっ ている  非分裂細胞では遺伝子発現が長時間持続する – 動物を用いた研究では10年間の発現持続が確認され ている  体内動態の制御技術の開発が進んでおり、全身投与 が試みられている  分裂細胞、非分裂細胞ともに遺伝子導入可能  発現メカニズム上、遺伝毒性の可能性があるが、臨床 研究において遺伝毒性が報告されておらず、問題ない と想定される  細胞毒性はほとんどない  免疫原性は比較的低いものの、中和抗体による無効化 が課題となっている  ~4.5kb程度の遺伝子挿入が可能  投与実績が限定的であり、長期安全性のエビデンスが 不十分  物理化学的不安定性と細胞外に放出される性質からウ イルスの大量製造が比較的困難。但し、近年可能にな ったとの報告あり  発現効率が高い  発現期間が短い – ベクター投与2-4日目に発現量が最大となり、数週間程 度持続する  体内動態の制御が難しいため、局所投与が主  分裂細胞、非分裂細胞ともに遺伝子導入可能  発現メカニズム上、遺伝毒性の可能性はない  細胞毒性が比較的高い  免疫原性は高い  ~5kb程度の遺伝子挿入が可能 ワクチンに適してい る可能性あり 遺伝子編集に適し ている可能性あり
  36. 36 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. ex vivo治療の中でも、特に免疫細胞(T細胞)に遺伝子編集技術を応用する治療法 が開発されており、特にCAR-T療法にて血液癌への治療効果が認められつつある。 出所:日経バイオテク、京都大学再生医科学研究所再生免疫学分野ホームページ、各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル作成 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 Ex vivo遺伝子治療 T細胞遺伝子改変療法の概要 CAR-T TCR TIL 遺伝子導入による がん化リスク 自己反応性 T細胞発生リスク あり なし あり あり なし なし 治療時の特徴 遺伝子導入によるがん化リスクがあり、対象抗原 が限定的だが、血液癌に対して極めて高い治療効 果が認められつつある 遺伝子導入によるがん化リスク/自己反応性T細胞 発生リスクがある 侵襲的前処理が必要であり、患者への負担が大 きい 50%程度 30%程度 20%程度 開発品内訳 T細胞遺伝子改変療法比較
  37. 37 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. CAR-T療法は、血液癌治療において既存療法よりも高い治療効果が見込めるとされ ているが、承認後想定される事業課題は多く、市場拡大の不確実性も存在。  一部CAR-T治療のパイプラインが、FDAにより優先審査対象に指定されている事 もあり、今後CAR-T療法のパイプラインの上市スピードが加速していくと推察 – 優先審査指定は、重篤な疾患の治療、予防、診断において、有効性あるいは 安全性に顕著な改善をもたらす可能性のある薬剤の新薬承認審査を迅速に 進める制度 – 近年、臨床試験で血液癌に対して、CAR-T療法の高い治療効果が認められ つつある  既存の療法と比較すると治療効果が高いとされており、上市されれば一部の治療を 置き換える可能性有 – 血液癌治療において、既存治療と比較して治療効果は高いとされている – 血液癌治療において、既存治療法(外科手術、化学療法、放射線治療) と比較して、完全寛解率が高いとされている – ただし、固形癌への適用可能性は未知数 – 一方、課題も多く、医療機関の受容性は不確か – 合併症としてサイトカイン放出症を誘導し得る – 血液癌では問題ではないとされているものの、CAR-Tに対する耐性癌 細胞発生の可能性も指摘されている  各国規制動向が不透明であり、複数ヵ国での承認が遅れる可能性有 – グローバル各国で承認が得られるか不明確  現状はCAR-T療法の適用が非常に高コストであり、医療費・保健負担等の議論が 起こる可能性有 – 1回のCART療法の価格は、病院での治療費も含めて患者1人当たり5,000万 円程度になると予想されている – 原理的に製造の難易度が高く、また、時間がかかるため、製造コスト削減が困 難 − 現在のパイプラインは大部分が自家細胞の利用を前提としており、患者 の細胞を回収してから細胞製剤を調整するため、時間がかかる − 自家細胞回収できるT細胞が少なすぎた場合や、遺伝子導入効率が悪 かった場合は、製造に失敗する可能性がある 市場の成長ドライバー 事業上のリスク・課題 2-2 国内外の開発動向 遺伝子治療 Ex vivo遺伝子治療 CAR-T療法の成長ドライバー/CAR-T療法が抱える課題・リスク 出所:各種二次情報を基にアーサー・ディ・リトル作成 2017年7月時点
  38. 38 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 2-1 再生・細胞治療 2-2 遺伝子治療 2-3 各治療法の技術課題 3 疾患別の市場・競争環境 4 実用化シナリオと投資配分方向性 5 実用化に向けて対応すべき課題
  39. 39 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 再生細胞治療、in vivo遺伝子治療においては日本のプレゼンスを確立できる可能性 は高い。iPS細胞においては諸外国に対して既に優位性を保有している。 出所:各種公開情報、インタビューを基にアーサー・ディ・リトル分析 2-3 各治療法の技術課題 サマリ 技術領域 解決の見通し 日本の立ち位置 技術課題 遺 伝 子 治 療 再 生 細 胞 医 療 パラクライン 生 着 最終分化細胞・体 性幹細胞 iPS細胞 ES細胞 ex vivo遺伝子治療 (T細胞療法) in vivo 遺 伝 子 治 療 腫瘍溶解性 ウイルス AAV/LV  基礎研究レベルでは可能性が見出され ているが臨床未実装  ―  ある程度有望とされる技術が見出されて いるが未だ基礎研究段階  ある程度有望とされる技術が見出されて いるが未だ基礎研究段階  血液腫瘍に対しては実用化済/固形が んへの適応拡大に対してはある程度有 望とされる技術が見出されているが未だ 基礎研究段階  有効性の課題を解決する技術課題の見 込みが立っていない  解決の見込みが立っていない技術課題 が散見される  ―  ―  日本の重点投資領域であり、優位性あり  ES細胞の要素技術開発への国内での 取り組みは僅少であり競争力は限定的  日本で投資が行われてこなかった一方、 米国を中心に積極的な投資が行われて おり、日本の競争力は限定的  国内で投資が行われておらず、日本の 競争力は限定的  自動培養法が未確立  技術的な課題は限定的  拒絶反応/造腫瘍性の制御法、大量培 養法が未確立  有効性に関する技術課題は疾患領域に 大きく依存  拒絶反応/造腫瘍性の制御法、大量培 養法が未確立  有効性に関する技術課題は疾患領域に 大きく依存  血液腫瘍には承認製品有り  固形腫瘍への適応拡大、他家細胞の活 用における課題を有する  市場の立ち上がりには有効性の向上が 必須  AAVは十分な発現量の確保が困難  LVは安全性の課題を有する 臨床段階の有望な技 術有 有望とされている技術 があるが基礎研究段 階 有望技術が不在 諸外国が優勢 中間 日本が優勢  国内にいくつかの開発品が存在し、競争 力の有無について要検証
  40. 40 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 再生細胞医療(パラクライン)は既に実用化が進んでおり、有効性・安全性面の技術課 題は限定的。自動培養法の確立による低コスト化が望まれている。 出所:有識者インタビューを基にアーサー・ディ・リトル作成 2-3 各治療法の技術課題 再生細胞医療(パラクライン) 技術課題 技術課題 解決の見通し/取り組み状況 (凡例) ✔✔:市場が立ち上がるために解決が不可欠 ✔:更なる市場拡大のために解決が望まれる 国内プレーヤの立ち位置 有効性 安全性 製造 x x 自動培養法 の確立 x x ✔  x  x  基礎研究レベルでは自動培養の可能性が見いだされてきてい るものの、臨床実装は未だ達成されていない  TBD  TBD  各国力を入れて取り組んでおり、 日本の明確な優位性確保はでき ていない 有効性・安全性上の課題は限定的 (臨床試験における有効性・安全性の検証の結果が待たれる) “製造プロセスについては培養の自動化の技術 的ハードルが未だ高く、製造コストを押し上げる 原因となっている。”(業界有識者) “SCBが細胞製造法開発の全体像をロードマップを 描いて全体像を明確にした上で取り組みを進めてい る一方、日本では散発的な取り組みに留まっており 全体のデザインを見据えた開発ができていない” (業界有識者)
  41. 41 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 最終分化細胞/体性幹細胞を用いた再生細胞(生着)は既に実用化が進んでおり、技 術的な課題は限定的。 出所:有識者インタビューを基にアーサー・ディ・リトル作成 2-3 各治療法の技術課題 再生細胞医療(生着) 最終分化細胞/体性幹細胞 技術課題 (凡例) ✔✔:市場が立ち上がるために解決が不可欠 ✔:更なる市場拡大のために解決が望まれる 国内プレーヤの立ち位置 技術課題 解決の見通し/取り組み状況 有効性 安全性 製造 x x 自動培養法 の確立 x x ✔  x  x  TBD  TBD  TBD  TBD 技術的な課題は限定的
  42. 42 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. iPS細胞は日本の重点投資領域となっており、拒絶反応、造腫瘍性、大量培養法の確 立に関して諸外国に対して競争力を有している可能性がある。 出所:研究開発の俯瞰報告書 ライフサイエンス・臨床医学分野(2017年)、日経バイオテク、有識者インタビューを基にアーサー・ディ・リトル作成 2-3 各治療法の技術課題 再生細胞医療(生着) iPS細胞 技術課題 技術課題 解決の見通し/取り組み状況 (凡例) ✔✔:市場が立ち上がるために解決が不可欠 ✔:更なる市場拡大のために解決が望まれる 国内プレーヤの立ち位置 有効性 安全性 製造 拒絶反応 (他家移植の場合) 造腫瘍性 大量製造法 ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔  造腫瘍性のリスクを低下させるための各種技術の開発が進め られている  実用化が進むためには臨床試験/実験の積み重ねによる安全 性の立証が必要  大量培養法は未だ確立されていない – 特に分化後のスケールアップの難易度が高く、「スケー ルアウト」の容認が必要となる可能性が指摘されている  iPS細胞ストック構築に世界に先 駆けて取り組んでおり、日本人を 対象とした場合に拒絶反応の低い 細胞株を樹立しつつある  日本の明確な優位性確保はでき ていない  iPS細胞ストックにより各人に拒絶反応の低いiPS細胞の供給 体制の構築が目指されている  HLA未発現による拒絶反応抑制技術が開発されている – ユニバーサルセル社のUniversal Donner Cell技術  造腫瘍性の評価法に関しては、日 本が世界をリードしている 疾患領域に大きく依存 “造腫瘍性の評価法に関しては 日本が世界をリードしている” (業界有識者)
  43. 43 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. ES細胞の要素技術開発への国内での取り組みは僅少であり競争力は限定的である が、iPS細胞と重複する技術に関しては横展開ができる可能性がある。 出所:研究開発の俯瞰報告書 ライフサイエンス・臨床医学分野(2017年)、日経バイオテクよりアーサー・ディ・リトル作成 2-3 各治療法の技術課題 再生細胞医療(生着) ES細胞 技術課題 技術課題 解決の見通し/取り組み状況 (凡例) ✔✔:市場が立ち上がるために解決が不可欠 ✔:更なる市場拡大のために解決が望まれる 国内プレーヤの立ち位置 有効性 安全性 製造 拒絶反応 造腫瘍性 大量製造法 ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔  HLA未発現による拒絶反応抑制技術が開発されている – ユニバーサルセル社のUniversal Donner Cell技術  造腫瘍性のリスクを低下させるための各種技術の開発が進め られている  実用化が進むためには臨床試験/実験の積み重ねによる安全 性の立証が必要  大量培養法は未だ確立されていない  ES細胞の要素技術開発への国内 での取り組みは僅少であり競争力 は限定的  iPS細胞と重複する技術に関して は横展開ができる可能性がある – 但し、日本が優位性を持 つ技術はiPS細胞独自の 技術に限られている可能 性があり、要精査 疾患領域に大きく依存 “日本が優位性を保っているのはiPS細胞独自の 技術(iPS細胞作製技術など)に限られている可能 性があり、ES細胞への横展開の可能性に関して は精査が必要”(業界有識者)
  44. 44 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 解決の見込みが立っていない技術課題が散見され参入余地が見込まれる一方、AAV の長期の安全性が検証されつつある。 出所:有識者ヒアリング、日経バイオテクよりアーサー・ディ・リトル作成 2-3 各治療法の技術課題 in vivo遺伝子治療(腫瘍溶解性ウイルスを除く) 技術課題 (凡例) ✔✔:市場が立ち上がるためには解決が不可欠 ✔:更なる市場拡大のために解決が望まれる AAV LV 技術課題 国内プレーヤの立ち位置 解決の見通し/取り組み状況 有効性 十分な発現量/発 現効率の確保 ✔✔ (全身投与 の場合) ✔ 安全性 製造 搭載可能な 遺伝子サイズ 免疫原性 (中和抗体による 無効化) その他 長期の副作用 大量製造法 ✔ ✔ (全身投与 の場合) ✔ ✔✔ ✔ ✔✔ ✔✔ がん原性 ✔✔  徐々に発現量が向上しており、一部の疾患では実用化が見込まれ るようになっている  免疫原性の抑制技術の開発が進められているものの、根本的な解 決の道筋は見出されておらず、未だ基礎研究段階  長期のヒト試験での安全性の検証が必要  AAVは比較的長期(10年程度)の臨床での安全性のエビデンスが 存在  大量製造法は未だ確立されていない  LVの長期的な安全性の臨床での検証が必要  AAVの搭載可能な遺伝子サイズを拡大する研究が行われているも のの、未だ基礎研究段階  AAV以外のベクターの活用による解決が図られている  要素技術開発への国内での取 り組みは僅少であり現状の競争 力は限定的  但し、解決の見込みが立ってい ない技術課題が技術課題が散 見され、参入余地あり  AAVの長期の安全性が確認さ れつつあり、新規ベクターの参 入障壁は高い可能性がある “日本は遺伝子治療に関する研究にお ける競争力があり、市場は進展が期待 される為、投資すべき”(製薬企業)
  45. 45 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 市場の立ち上がりには有効性向上が必須と想定されるが、解決の見込みは立ってお らず参入余地有り。国内に複数の開発品が存在し、競争力の有無について要検証。 出所: NTS「次世代がん治療 発症・転移メカニズムからがん免疫療法・ウイルス療法、診断法まで」、Cancer Sci. 2016 Sep 9 “Oncolytic virus therapy: A new era of cancer treatment at dawn” 、Biomedicines. 2016 Aug 2; 4(3) “From Benchtop to Bedside: A Review of Oncolytic Virotherapy”よりアーサー・ディ・リトル作成 2-3 各治療法の技術課題 in vivo遺伝子治療 腫瘍溶解性ウイルス 技術課題 技術課題 解決の見通し/取り組み状況 (凡例) ✔✔:市場が立ち上がるために解決が不可欠 ✔:更なる市場拡大のために解決が望まれる 国内プレーヤの立ち位置  市場の立ち上がりのためには、 有効性の向上が必須と想定され るが、解決の見込みは立ってい ない  国内にもいくつかの開発品が存 在し、競争力の有無については 要検証 有効性 安全性 製造 免疫原性 (中和抗体による 無効化) 腫瘍選択性 その他の 副作用リスク 大量製造法 抗腫瘍活性 ✔✔ ✔ ✔ ✔ ✔✔ 腫瘍への浸透力 ✔✔  細胞外マトリクス分解活性分子の発現等による改善が図られて いる  免疫原性の抑制技術の開発が進められているものの、根本的 な解決の道筋は見出されておらず、未だ基礎研究段階  動態の制御技術(アダプター分子の使用やシュードタイピング 化、受容体分子の発現)、ウイルスの複製活性の制御技術の開 発により徐々による改善が図られている  長期のヒト試験での安全性の検証が必要  ウイルスの大量製造法は未だ十分には確立されていない  サイトカイン、免疫反応増強物質、自殺遺伝子、血管新生抑制 作用を持つ遺伝子の発現等による改善が図られている  免疫チェックポイント阻害薬等の他治療法との併用が試みられ ている
  46. 46 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 高い市場性が見込まれるため米国を中心に積極的な技術開発が行われており、参入 余地は要検証。 出所:LABIOTECH.eu、技術開発の俯瞰報告書 ライフサイエンス・臨床医学分野(2017年)、NTS「次世代がん治療 発症・転移メカニズムからがん免疫療法・ウイルス療法、 診断法まで」、日経バイオテク等の2次情報を基にアーサー・ディ・リトル作成 2-3 各治療法の技術課題 ex vivo遺伝子治療 T細胞療法(CART/TCR) 技術課題 技術課題 解決の見通し/取り組み状況 (凡例) ✔✔:市場が立ち上がるために解決が不可欠 ✔:更なる市場拡大のために解決が望まれる 国内プレーヤの立ち位置 有効性 固形腫瘍に対す る抗腫瘍活性 ✔ 抗原喪失による 再発 ✔  C19以外を標的とする技術や複数抗原標的化技術の開発が進 められている  Adaptimmune社等が、サイトカインによるCARTの修飾や固形 がんに適応するための技術開発を実施  大きな市場が見込まれるため、 米国では大手ファーマを含め積 極的に技術開発への投資を実 施しており、日本プレーヤの参 入余地は少ない可能性がある – 但し、CART領域は萌芽 期にあり、新たなプレー ヤの参入チャンスは未 だ多く存在するとの見方 も有り  国内ではノイルイミューン社が CARTを固形がんに適応するた めの技術開発を進めている 固形腫瘍への適応拡大に必要 安全性 製造 サイトカイン 分泌亢進 腫瘍選択性 大量培養法 ✔ ✔ ✔  副作用を抑制する効果のある治療薬が用いられている  有害事象発生時の制御のための自殺遺伝子導入や、低分子 等による活性制御法の開発が行われている  複数抗原認識、CARTの感度の制御等により腫瘍選択性を高 める技術の開発が進められている  大量培養法は未だ確立されていない 拒絶反応、 GVHDの制御 ✔  内在性TCR遺伝子をゲノム編集技術を応用して破壊する技術 の開発が行われている 他家細胞の活用に必要 他家細胞の活用に必要 固形腫瘍における開発難度が高い要因としては、腫瘍細胞が不均一であること、腫瘍特異的な標的抗原が見出し にくいこと、腫瘍塊内部に送達しにくいこと、がん微小環境が免疫抑制状態であることが挙げられる “既に他国が開発を進めており、日本が遅れ ている領域”(業界有識者) “CARTに関しては海外 の研究の方が進んでい る”(製薬企業) “CART領域は始まった ばかりの技術領域であ り、新たなプレーヤーに とって参入チャンスが多 く存在”( 製薬企業)
  47. 47 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 3 疾患別の市場・競争環境 3-1 検討対象疾患の選定 3-2 疾患毎の市場環境分析 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 3-4 疾患のポートフォリオ 4 実用化シナリオと投資配分方向性 5 実用化に向けて対応すべき課題
  48. 48 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 開発動向とアンメットニーズの観点から検討疾患を選定した。稀少難病は優先的に検 討疾患とした。 出所:アーサー・ディ・リトル分析 *希少難病:本資料では国内の患者数が5万人以下で、かつアンメットニーズが高い疾患希少難病とした 3-1 検討対象疾患の選定 検討疾患リスト 選定プロセス 検討疾患の選定プロセス 根本治療の開発が 行われている全疾患 (118疾患) 一定数以上の根本 治療の開発が行わ れている疾患 (55疾患) 稀少難病* (18疾患) 重点検討疾患 (Step3以降の検討対象疾患) (稀少難病以外の) 通常の疾患 (37疾患) アンメットニーズが 大きい疾患 (30疾患) 重点検討疾患 (Step3以降の検討対象疾患) 開発動向で選定(Step1)  開発が僅少な疾患を除外 – 開発品が1品目以下の疾患、または – 臨床以降の開発品が0品目の疾患 稀少難病を優先化(Step2)  稀少難病とそうでない疾 患を区分け Step2の検討対象疾患 Step1で抽出された疾患 アンメットニーズで選定(Step2)  アンメットニーズが小さいと見 込まれる疾患を除外 有識者インタビュー 結果を受けて2疾患追加
  49. 49 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 根治療法(再生・細胞治療、遺伝子治療)が開発されている全疾患のうち、開発品が 僅少な疾患を除き、3-2.の検討対象疾患とした。 *同じ製品で同じ疾患に対して複数の開発が行われている場合には1製品とカウント、ex vivo遺伝子治療は「遺伝子治療」としてカウント 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 3-1 検討対象疾患の選定 疾患ベース/開発フェーズ別(1/3) がん 心血管 神経(中枢/末梢) 筋骨格 血液がん 62 114 固形がん 遺伝子(臨床) 遺伝子(前臨床/基礎) 遺伝子(上市) 再生(上市) 再生(前臨床/基礎) 再生(臨床) 肺動脈性肺高血圧 心筋症 1 小児先天性心疾患 1 3 11 1 不整脈 高血圧 遺伝性血管浮腫 虚血性心疾患 (狭心症/ 心筋梗塞/動脈硬化) 末梢動脈疾患 14 1 心不全 20 1 大脳皮質基底核変性症 副腎白質ジストロフィー 1 前頭側頭葉変性症 1 カナバン病 1 アンジェルマン症候群 1 1 脊髄性筋萎縮症 アルツハイマー病 4 7 7 5 末梢神経障害/神経因性疼痛 脊髄小脳変性症 筋萎縮性側索硬化症 9 5 脳梗塞 2 多発性硬化症 10 2 7 パーキンソン病 脊髄損傷 11 外傷性脳損傷 ハンチントン病 腱損傷 筋ジストロフィー 4 1 1 1 1 1 4 椎間板変性 炎症性筋疾患 全身性エリスマトーデス 脊髄症 1 1 再発性多発軟骨炎 脊椎骨幹端異形成 2 先天性ミオパチー 椎間板ヘルニア 口唇口蓋裂 1 4 13 骨欠損/骨折 関節症 軟骨損傷 17 5 関節リウマチ 凡例 検討対象外 検討対象外 ✔:稀少難病 [品目*] [品目*] [品目*] [品目*] ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ 検討対象外 ✔
  50. 50 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 検討対象外 検討対象外 検討対象外 根治療法(再生・細胞治療、遺伝子治療)が開発されている全疾患のうち、開発品が 僅少な疾患を除き、3-2.の検討対象疾患とした。 *同じ製品で同じ疾患に対して複数の開発が行われている場合には1製品とカウント、ex vivo遺伝子治療は「遺伝子治療」としてカウント 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 3-1 検討対象疾患の選定 疾患ベース/開発フェーズ別(2/3) 内分泌・代謝 皮膚 眼 ジカウイルス マラリア 1 2 1 RSV インフルエンザ 3 HPV 1 1 MERS 1 HBV 1 結核 1 アデノウイルス HSV 2 サイトメガロウイルス 3 エボラ出血熱 5 19 4 HIV 非感染性ぶどう膜炎 感染症 1 1 スダウイルス 性器ヘルペス 1 1 ラッサ熱 マールブルグウイルス 1 1 ベネズエラ馬脳炎ウイルス アトピー性皮膚炎 表皮水疱症 22 脱毛症 1 帯状疱疹 強皮症 ベーチェット病 1 先天性巨大色素母斑 2 5 1 類天疱瘡 1 1 2 皮膚潰瘍/ 創傷/熱傷 皮下脂肪欠損 1 B型肝炎 1 肝硬変/肝不全 糖尿病 10 8 先天性代謝障害 30 遺伝子(上市) 遺伝子(臨床) 遺伝子(前臨床/基礎) 再生(臨床) 再生(前臨床/基礎) 再生(上市) 変性悪性近視 角膜内皮変性症 角膜上皮幹細胞疲弊症 1 1 1 1 アッシャー症候群 1 3 色覚障害 X連鎖性網膜症 4 1 黄斑ジストロフィー 黄斑部毛細血管拡張症 2 1 網膜毛細血管拡張症 糖尿病性網膜症 眼球損傷 18 網膜色素変性 4 20 加齢黄斑変性 凡例 検討対象外 ✔:稀少難病 [品目*] [品目*] [品目*] [品目*] ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ 感染症 ✔
  51. 51 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 根治療法(再生・細胞治療、遺伝子治療)が開発されている全疾患のうち、開発品が 僅少な疾患を除き、3-2.の検討対象疾患とした。 *同じ製品で同じ疾患に対して複数の開発が行われている場合には1製品とカウント、ex vivo遺伝子治療は「遺伝子治療」としてカウント 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 3-1 検討対象疾患の選定 疾患ベース/開発フェーズ別(3/3) 血液 呼吸器 泌尿生殖器 消化器 2 0 原発性免疫不全症候群 3 血小板減少症 原発性リンパ浮腫 1 好中球減少症 1 ヘモグロビン異常症 敗血症 ファンコニ貧血 1 血友病A/B 移植片対宿主病 7 12 12 1 食道狭窄 膵嚢胞性線維症 1 1 クローン病 5 食道上皮創傷 3 1 尿道狭窄症 1 1 腹圧性尿失禁 腎症候群出血熱 2 慢性腎臓病 膀胱尿管逆流 3 慢性肺疾患 急性呼吸不全 喘息 3 1 急性放射線症候群 2 1 スギ花粉症 1 胸水 1 難聴 1 粘膜歯肉疾患 1 1 重症子癇前症 歯周病 1 口腔乾燥症 1 限局性疾患における コラーゲンⅢの過剰生産 遺伝子(前臨床/基礎) 再生(上市) 再生(臨床) 再生(前臨床/基礎) 遺伝子(上市) 遺伝子(臨床) その他 凡例 検討対象外 検討対象外 検討対象外 検討対象外 ✔:稀少難病 [品目] [品目*] [品目*] [品目*] ✔ ✔ ✔ 検討対象外 ✔
  52. 52 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 米国では大部分の疾患に対して開発が行われている一方、欧州・韓国では一部の疾 患で集中的に開発が行われているように見受けられる。 *同じ製品で同じ疾患・同じ地域に対して複数の開発が行われている場合には1製品とカウント/Ph.1以降の製品のみを対象としてカウント 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 3-1 検討対象疾患の選定 疾患ベース/国別(1/3) がん 心血管 神経(中枢/末梢) 筋骨格 42 血液がん 91 固形がん 韓国 他 米国 欧州 日本 凡例 ✔:稀少難病 [品目*] [品目*] [品目*] [品目*] ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ 17 末梢動脈疾患 虚血性心疾患 (狭心症/心筋梗塞 /動脈硬化) 14 19 高血圧 心筋症 肺動脈性肺高血圧 5 心不全 1 1 1 小児先天性心疾患 4 脊髄小脳変性症 2 4 ハンチントン病 1 外傷性脳損傷 脊髄性筋萎縮症 アルツハイマー病 1 2 多発性硬化症 2 パーキンソン病 1 1 2 末梢神経障害/神経因性疼痛 副腎白質ジストロフィー 筋萎縮性側索硬化症 脊髄損傷 5 9 脳梗塞 腱損傷 1 1 1 椎間板変性 炎症性筋疾患 脊髄症 口唇口蓋裂 1 1 先天性ミオパチー 関節リウマチ 軟骨損傷 21 骨欠損/骨折 関節症 13 2 3 筋ジストロフィー 3 3 椎間板ヘルニア 3 ✔ 米/欧 欧/米 米/日 欧/米/韓 開発品目数の 多い地域 ✔
  53. 53 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 米国では大部分の疾患に対して開発が行われている一方、欧州・韓国では一部の疾 患で集中的に開発が行われているように見受けられる。 *同じ製品で同じ疾患・同じ地域に対して複数の開発が行われている場合には1製品とカウント/Ph.1以降の製品のみを対象としてカウント 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 3-1 検討対象疾患の選定 疾患ベース/国別(2/3) 内分泌/代謝 皮膚 眼 凡例 ✔:稀少難病 [品目*] [品目*] [品目*] [品目*] ✔ ✔ ✔ ✔ 感染症 4 高脂血症 先天性代謝障害 1 肝硬変/肝不全 皮下脂肪欠損 2 B型肝炎 1 糖尿病 20 5 他 欧州 日本 韓国 米国 強皮症 表皮水疱症 5 1 脱毛症 1 皮膚潰瘍/ 創傷/熱傷 27 1 アトピー性皮膚炎 2 先天性巨大色素母斑 1 性器ヘルペス 1 インフルエンザ ジカウイルス アデノウイルス 1 MERS HBV 1 1 結核 マラリア 1 1 ベネズエラ馬脳炎ウイルス 1 エボラ出血熱 2 HIV サイトメガロウイルス 18 2 7 黄斑ジストロフィー 5 アッシャー症候群 色覚障害 角膜内皮変性症 3 1 1 黄斑部毛細血管拡張症 3 変性悪性近視 2 角膜上皮幹細胞疲弊症 2 1 網膜毛細血管拡張症 1 眼球損傷 加齢黄斑変性 13 8 網膜色素変性 先天性巨大色素母斑 1 ✔ ✔ ✔ 開発品目数の 多い地域 米/欧 米/欧/韓 米 米/欧
  54. 54 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 米国では大部分の疾患に対して開発が行われている一方、欧州・韓国では一部の疾 患で集中的に開発が行われているように見受けられる。 *同じ製品で同じ疾患・同じ地域に対して複数の開発が行われている場合には1製品とカウント/Ph.1以降の製品のみを対象としてカウント 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース 3-1 検討対象疾患の選定 疾患ベース/国別(3/3) 血液 呼吸器 泌尿生殖器 消化器 その他 凡例 ✔:稀少難病 [品目] [品目*] [品目*] [品目*] ✔ ✔ ✔ ✔ 10 血友病A/B 2 1 好中球減少症 ヘモグロビン異常症 4 11 2 敗血症 原発性免疫不全症候群 移植片対宿主病 韓国 米国 欧州 他 日本 急性呼吸不全 1 喘息 2 膀胱尿管逆流 2 腹圧性尿失禁 慢性腎臓病 1 2 尿道狭窄症 1 腎症候群出血熱 1 6 1 クローン病 膵嚢胞性線維症 1 難聴 1 口腔乾燥症 スギ花粉症 胸水 粘膜歯肉疾患 1 1 1 ✔ 開発品目数の 多い地域 米/欧 米 米 欧 欧/米
  55. 55 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 3 疾患別の市場・競争環境 3-1 検討対象疾患の選定 3-2 疾患毎の市場環境分析 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 3-4 疾患のポートフォリオ 4 実用化シナリオと投資配分方向性 5 実用化に向けて対応すべき課題
  56. 56 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 既存の治療法が不十分であり、根本治療法へのニーズが大きい疾患を重要検討疾患 とした。 出所:各種学会、大学のウェブサイトよりアーサー・ディ・リトル作成 3-2 疾患毎の市場環境分析 市場環境 通常の疾患(稀少難病を除く)(1/4) 各疾患の市場環境(既存治療法/アンメットニーズ) 疾患領域 疾患 既存治療法 アンメットニーズ 根本治療法 その他 根本治療法 がない 既存根本治療法が 有効な症例が限定的 その他 がん 固形がん 外科手術 (早期がんのみ) 内視鏡的切除、外科手術、化学療法、 放射線療法、がん免疫療法 ― ✔ ― 血液がん 造血幹細胞移植 化学療法、放射線療法 ― ✔ ― 心血管 虚血性心疾患 ― 薬物療法、外科手術(冠動脈形成術、 冠動脈バイパス術) ✔ ― 確度の高い診断法がない 心不全 心臓移植、人工心臓 薬物療法(ACE阻害、ARB等)、ペー スメーカー、外科手術(開胸術) ― ✔ ― 末梢動脈疾患 血行再建術(カテーテ ル治療、バイパス手 術) 運動療法、薬物療法(抗血小板薬、 血管拡張薬) ― ✔ ― 神経系 脳梗塞 ― 薬物療法、外科手術、リハビリ ✔ ― ― 末梢神経障害/ 神経因性疼痛 自己/同種神経移植術 薬物療法(痛みの抑制)、原因となっ ている既往疾患の治療 ― ― 有効な診断法がない 決定的な鎮痛剤がない 脊髄損傷 ― リハビリ ✔ ― ― パーキンソン病 ― 薬物療法、外科手術(脳深部刺激 術) ✔ ― ― アルツハイマー病 ― 薬物療法 ✔ ― ― 外傷性脳損傷 ― 外科的手術、リハビリ ✔ ― ― 凡例 深堀検討除外疾患 重要検討疾患
  57. 57 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 既存の治療法が不十分であり、根本治療法へのニーズが大きい疾患を重要検討疾患 とした。 出所:各種学会、大学のウェブサイトよりアーサー・ディ・リトル作成 3-2 疾患毎の市場環境分析 市場環境 通常の疾患(稀少難病を除く) (2/4) 各疾患の市場環境(既存治療法/アンメットニーズ) 疾患領 域 疾患 既存の主な治療法 アンメットニーズ 根本治療法 その他 根本治療 法がない 既存根本治療法の 適応症例が限定的 その他 筋骨格 軟骨損傷 軟骨修復術 人工関節置換術 ― ✔ ― 関節症 - 運動療法、薬物療法、外科手術 ✔ ― ― 骨欠損/骨折 整復、固定 ― ― ✔ ― 椎間板ヘルニア/椎 間板変性 ― 保存療法 ― ― ― 関節リウマチ ― 基礎療法(運動、食事、リハビリ)、薬物療法、 人工関節置換術など ✔ ― 初期症状での確定診断が困難 経済的負担が大きい 感染症 CMV感染症 ― 抗ウイルス薬 ― ― 抗ウイルス薬の治療プロトコル が定まっていない HIV感染症 ― 抗ウイルス薬 ✔ ― ― エボラ出血熱 ― 点滴、抗菌薬、抗凝固薬、鎮痛剤、栄養治療 食、ビタミン剤など ✔ ― ― HPV感染症 ― ― ― ― 多くの場合自然にHPVを排除 凡例 深堀検討除外疾患 重要検討疾患 国内発症例がないた め対象外とする
  58. 58 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 疾患領 域 疾患 既存の主な治療法 アンメットニーズ 根本治療法 その他 根本治療 法がない 既存根本治療法の 適応症例が限定的 その他 感染症 インフルエンザ 薬物療法(ノイラミニ ダーゼ阻害薬) ― ― ― ― マラリア 薬物療法(三日熱・卵 型マラリアの場合) 薬物療法(メフロキン、キニーネ等) ✔ ✔ 国内では症例が少ないため限 られた医療機関でしか診断・治 療できない(海外からの持ち込 みにより50人程度の患者存在) 結核 化学療法(抗結核薬 等)、外科手術 ― ― ― ― 皮膚 皮膚潰瘍/創傷/熱傷 皮膚移植 保存的治療(軟膏治療、陰圧吸引閉鎖 療法) ― ✔ ― アトピー性皮膚炎 ― 薬物療法(ステロイド、免疫抑制剤、抗 ヒスタミン薬、抗アレルギー薬) ― ― 副作用のない薬剤やより効果 の高い保湿剤が望まれる 脱毛症 ― 薬物療法 ✔ 生死に直接の影響を及ばさな い 内分 泌・代 謝 肝不全/肝硬変 ✔ ― ― 糖尿病 膵臓移植 食事療法、運動療法、薬物療法 ― ✔ ― 既存の治療法が不十分であり、根本治療法へのニーズが大きい疾患を重要検討疾患 とした。 出所:各種学会、大学のウェブサイト、平成27年度国内基盤技術調査報告書「60疾患の医療ニーズ調査と新たな医療ニーズII」よりアーサー・ディ・リトル作成 3-2 疾患毎の市場環境分析 市場環境 通常の疾患(稀少難病を除く) (3/4) 各疾患の市場環境(既存治療法/アンメットニーズ) 凡例 深堀検討除外疾患 重要検討疾患 国内発症例がない ため対象外とする
  59. 59 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 既存の治療法が不十分であり、根本治療法へのニーズが大きい疾患を重要検討疾患 とした。 出所:各種学会、大学のウェブサイトよりアーサー・ディ・リトル作成 *萎縮型加齢黄斑変性に対する根本治療が存在しない 3-2 疾患毎の市場環境分析 市場環境 通常の疾患(稀少難病を除く) (4/4) 各疾患の市場環境(既存治療法/アンメットニーズ) 疾患領域 疾患 既存の主な治療法 アンメットニーズ 根本治療法 その他 根本治療法 がない 既存根本治療法の 適応症例が限定的 その他 眼 色覚障害 - - ― ― 生命やQOLに大きな影響はもた らさない 呼吸器 喘息 ― 薬物療法(吸入ステロイド、長時間作用型 抗コリン薬) ― ― 既に治療満足度が高い 慢性肺疾患 ― 薬物療法、呼吸リハビリテーション、酸素療 法、外科・内視鏡手術 ✔ ― ― 泌尿生 殖器 慢性腎臓病 ― 食事療法、薬物療法 ✔ ― 予後が悪く、透析導入率が高い /タンパク尿抑制、腎症進行抑 制の有効な治療法がない 腎症候出血熱 ― 低血圧性ショックおよび急性腎不全への対 症療法、人工透析 ✔ ― ― その他 移植後合併症 ― 薬物療法 ✔ ― 凡例 深堀検討除外疾患 重要検討疾患 国内発症例がない ため対象外とする
  60. 60 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 疾患領域 疾患 患者数 (単位:千人) 既存の主な治療法 アンメットニーズ 根本治療法 その他 根本治療法 がない 既存根本治療法の 適応症例が限定的 その他 心血管 心筋症 40 心臓移植、人工心臓 薬物療法、外科手術、ペースメー カー ― ✔ ― 神経系 多発性硬化症 8 ― ステロイド、血液浄化療法、再発 防止薬、リハビリ ✔ ― ― 筋萎縮性側索硬化症 9 ― 薬物療法、リハビリ ✔ ― ― 脊髄小脳変性症 30 ― リハビリ、薬物療法 ✔ ― ― 脊髄性筋萎縮症 0.7 ― 対症療法のみ ✔ 筋骨格 筋ジストロフィー 25 ― 薬物療法、リハビリ、外科手術 ✔ ― ― 先天性ミオパチー 1 ― リハビリ、各種補助器具、手術療 法、栄養管理 ✔ ― ― 皮膚 表皮水疱症 1 ― 軟膏療法、栄養補給 ✔ ― ― 内分泌・ 代謝 先天性代謝異常症 4 ― 食事療法(特定物質の摂取制限)、 酵素補充療法 ✔ ― ― 眼 網膜色素変性 27 ― 対症療法や各種補助器具 ✔ ― ― アッシャー症候群 8 ― 各種補助器具 ✔ ― ― 稀少難病については、患者数が少ないが、いずれも既存治療法が不十分であり、新し い治療法へのニーズが大きい。 出所:各種学会、大学のウェブサイトよりアーサー・ディ・リトル作成 3-2 疾患毎の市場環境分析 市場環境 稀少難病 (1/2) 各疾患の市場環境(患者数/既存治療法/アンメットニーズ)
  61. 61 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 疾患領域 疾患 患者数 (単位:千人) 既存の主な治療法 アンメットニーズ 根本治療法 その他 根本治療法 がない 既存根本治療法の 適応症例が限定的 その他 眼 黄斑ジストロフィー 1 ― ― ✔ ― ― 角膜上皮疲弊症 0.5 上皮移植、角膜移植 保存的治療 ― ✔ ― 血液 ヘモグロビン異常症 n/a 骨髄移植 摘脾、輸血、鉄キレート療法、 免疫抑制剤 ― ✔ ― 血友病B 1 ― 凝固因子製剤 ― ― 凝固因子製剤への中 和抗体が形成された 場合に治療効果が減 弱する 血友病A 4 ― 凝固因子製剤 ― ― 原発性免疫不全症 候群 1 同種造血幹細胞移 植 抗菌薬、ヒト免疫グロブリン 製剤補充 ― ✔ ― 消化 器 クローン病 19 ― 薬物療法、血球成分除去療 法、栄養療法、外科療法 ✔ ― ― 稀少難病については、患者数が少ないが、いずれも既存治療法が不十分であり、新し い治療法へのニーズが大きい。 出所:各種学会、大学のウェブサイトよりアーサー・ディ・リトル作成 3-2 疾患毎の市場環境分析 市場環境 稀少難病 (2/2) 各疾患の市場環境(患者数/既存治療法/アンメットニーズ)
  62. 62 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 下記の検討疾患について、市場性/開発動向の深堀検討、勝ち筋の検討を実施。 出所:アーサー・ディ・リトル分析 *稀少難病:本資料では国内の患者数が5万人以下で、かつアンメットニーズが高い疾患を希少難病とした 3-2 疾患毎の市場環境分析 検討疾患リスト 検討疾患リスト 疾患領域 疾患名 稀少難病* がん 固形がん 血液がん 心血管 虚血性心疾患 心不全 末梢動脈疾患 心筋症 ✔ 人工血管を用いる疾患 神経系 脳梗塞 末梢神経障害/神経因性疼痛 脊髄損傷 パーキンソン病 アルツハイマー病 外傷性脳損傷 多発性硬化症 ✔ 筋萎縮性側索硬化症 ✔ 脊髄小脳変性症 ✔ 脊髄性筋萎縮症 ✔ 筋骨格 軟骨損傷 関節症 骨欠損/骨折 関節リウマチ 先天性ミオパチー ✔ 筋ジストロフィー ✔ 感染症 HIV感染症 結核 疾患領域 疾患名 稀少難病* 皮膚 皮膚潰瘍/創傷/熱傷 表皮水疱症 ✔ 内分泌・代謝 肝不全/肝硬変 糖尿病 先天性代謝異常症 ✔ 眼 加齢黄斑変性 黄斑ジストロフィー ✔ 網膜色素変性 ✔ アッシャー症候群 ✔ 角膜上皮疲弊症 ✔ 血液 ヘモグロビン異常症 ✔ 血友病B ✔ 血友病A ✔ 原発性免疫不全症候群 ✔ 移植後合併症 泌尿生殖器 慢性腎臓病 消化器 クローン病 ✔ その他 歯 “歯科治療のMSCは市場が大きく、 かつ比較的安全性が高いと考えら れるので有望”(業界有識者) “人工透析患者等を対象とした人 工血管は実用化が可能かもしれ ない”(業界有識者)
  63. 63 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 医療経済性が見込まれる(≒現状の医療費が高い)疾患や患者数が多い疾患を中心 に根治療法の開発が行われている。 *エボラ出血熱、腎症候出血熱、マラリアに関しては国内発症が報告されていないため、脱毛症に関しては保険診療が認められていないため、対象外としている**末期腎不全の データを記載/ 出所:厚生労働省平成26年患者調査をもとにアーサー・ディ・リトル作成 (ご参考) 疾患毎の市場環境分析 市場環境 通常の疾患(稀少難病を除く) 患者数/医療費 各疾患の市場環境(患者数/医療費)* 40 15 0 20,000 1,500 5 1,000 500 20 0 10 軟骨損傷 骨欠損/骨折 喘息 固形がん 外傷性脳損傷 1人当たり年間医療費[十万円] サイトメガロウイルス 椎間板ヘルニア 関節リウマチ 患者数[千人] 血液がん HIV 関節症 虚血性心疾患(狭心症/心筋梗塞/動脈硬化) 慢性肺疾患(気管支肺異形成症、慢性閉塞性肺疾患など) アルツハイマー病 末梢動脈疾患 心不全 結核 血小板減少症 インフルエンザ HPV 移植後合併症 色覚障害 慢性腎臓病** 肝不全/肝硬変 加齢黄斑変性 糖尿病 神経因性疼痛 パーキンソン病 皮膚潰瘍/創傷/熱傷 アトピー性皮膚炎 脊髄損傷 脳梗塞 開発品多(10品目以上) 開発品少(10品目未満) 凡例 深堀検討除外疾患 CMV感染症 椎間板変性
  64. 64 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 3 疾患別の市場・競争環境 3-1 検討対象疾患の選定 3-2 疾患毎の市場環境分析 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 3-4 疾患のポートフォリオ 4 実用化シナリオと投資配分方向性 5 実用化に向けて対応すべき課題
  65. 65 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 根本治療技術を以下のように分類し、棲み分け・勝ち筋の検討を実施した。 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療技術の分類(1/2) 技術分類 遺伝子治療 再生・細胞治療 臓器移植 人工臓器 その他再生 機能保有製品 Ex vivo遺伝子治療 in vivo遺伝子治療 ヒト臓器移植 異種臓器移植 スキャフォールド治療 臓器・細胞移植 医薬品 医療機器 ― 治療法の概要/作用機序 次頁で別途分類/整理  人工材料を組織再生のスキャフォールドとして移植し、再生を促進する治療法 – スキャフォールド上で細胞を培養した上で移植する治療法はこちらには含めないこととする  遺伝子を改変・導入した細胞を投与する治療法  目的遺伝子を搭載した遺伝子治療薬や遺伝子組み換えウイルスを投与する治療法  ヒト由来の臓器を移植する治療法  異種動物由来の臓器を移植する治療法 – ヒト由来細胞を異種動物体内で臓器に分化・形成させ、移植する治療法はこちらには含めない こととする  臓器の一部機能の代替を目的とし、人体にインプラント・接続される医療機器  再生機能を有する因子・成分を投与する治療法  外部刺激等により、組織や神経等を刺激し、再生・再建をサポートする医療機器 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析
  66. 66 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 再生・細胞治療については、以下のように分類し、棲み分け・勝ち筋の検討を実施した。 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療技術の分類(2/2) 再生・細胞治療の分類 再生・細胞治療(臓器・細胞移植)の技術分類 由来の細胞 最終分化細胞 体性幹細胞/ 前駆細胞 ES細胞 iPS細胞 形状 細胞(液状) 個々の細胞の状態で 投与するもの 細胞シート 細胞をシート状に培養し、 移植するもの 臓器原器/3D形状 細胞を細胞塊の状態や臓器原器 にまで分化させて投与するもの 臓器全体 細胞で臓器全体を構成し、 移植するもの カプセル化細胞 生体適合性のカプセル内に細胞 を充填し、移植するもの × × 作用機序 パラクライン 投与した細胞からの分泌物が 近隣の細胞に作用することで 再生作用を発揮するもの 生着 投与した細胞自体が体内に生 着することで治療効果を発揮 するもの ワクチン 特定の抗原に対して反応性を 持たせた細胞の免疫反応を介 して治療効果を発揮するもの 活性化リンパ球 活性化・増殖させた免疫細胞 が免疫反応を介して治療効果 を発揮するもの 再 生 促 進 に よ り 治 療 効 果 を 発 揮 す る も の 免 疫 反 応 に よ り 治 療 効 果 を 発 揮 す る も の 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 免疫細胞
  67. 67 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. iPS細胞とES細胞は類似した性質を保有し、想定される有望疾患領域は共通。ES細 胞の開発が先行している一方、いくつかの側面でiPS細胞の優位性が想定される。 出所:国立成育医療センター公表資料、日経バイオテク、有識者ヒアリングよりアーサー・ディ・リトル作成 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 (ご参考)iPS細胞とES細胞の比較 iPS細胞とES細胞の比較 拒絶反応 造腫瘍性 臨床実績 分化能 倫理面 増殖能 適応疾 患 安全性 製造面 その他 細胞株の 多様性 比較的倫理面の 懸念は少ない 倫理面に起因する規制が課 題となっていたが、近年緩和 傾向 iPS細胞 ES細胞 拒絶反応への対処が必要 (HLAホモの作成により ある程度回避可能?) 造腫瘍性を有する 拒絶反応への対処が必要 造腫瘍性を有する 臨床実績は数例のみ 比較的臨床実績が多い (眼領域、脊髄損傷、心不全など) 多能性を有する 多能性を有する 無限増殖能を有する 無限増殖能を有する 多様な株を作成可能 細胞株の数が限られる 意味合い  拒絶反応の回避の観点で、HLAホモが作成可能な iPS細胞は優位である可能性がある  一方、ES細胞は臨床実績を有しており、安全性の エビデンスの蓄積が進んでいる  両者とも多能性を有しており、最終分化細胞・体性 幹細胞が適用できない組織・臓器に分化させ、適用 することが可能  ES細胞の倫理面での規制が緩和されると、ES細 胞のiPS細胞に対する  製造面では大きな難易度の違いは指摘されていな い  再生細胞治療においては、有効性・安全性ともに高 い細胞株の囲い込みが重要であることを踏まえると 、iPS細胞は多様な株を作成可能である点で優位 有効性/ 安全性 比較の観点 “各疾患領域において有効性・安全性の高い原料細胞を いかに早く見つけて囲いこむのかがポイント。ES細胞は株 の数が限られる一方、iPS細胞は多様な株を作成可能で あるため有利となる”(研究機関) “iPS/ESの使い分けを考えるうえでは、臓器により拒絶反応 の強さが異なることを考慮する必要。拒絶反応が強い循環器 疾患ではHLAホモの作成が可能なiPS細胞が優位ではない か”(再生医療等製品製造者)
  68. 68 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 疾患×技術といった視点で開発動向を整理すると、各疾患における勝ち筋となる技術 仮説が見えてくる。 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発品データベース、各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 各疾患における根本治療法の戦況(勝ち筋仮説) がん 単一遺伝 子疾患 免疫・炎 症性疾患 感染症 その他 臓器移植が 困難な疾患 臓器移植が可能な疾患 機能発揮に 立体構造が必要ない 機能発揮に 立体構造が必要(単純) 機能発揮に 立体構造が必要(複雑) 末梢毛細 血管 神経 (広範囲) 軟骨・骨・ 皮膚 膵臓 心臓 眼 神経 (局所) 腎臓 肝臓 再生・細胞 治療 パラクライン ✔ ✔✔ ✔✔ ✔✔ ✔ ✔ ✔✔ ✔ ✔ ✔ ✔ 生 着 最終分化細胞・ 体性幹細胞 ✔ ✔ ✔✔ ✔ (筋芽細胞) ✔✔ (角膜上皮) ✔ ✔ ES/iPS細胞 ✔ ✔ ✔ ✔✔ (カプセル化) ✔✔ ✔✔ (網膜色素上皮) ✔✔ ✔✔ ✔✔ ワクチン ✔ ✔✔ ✔✔ 活性化リンパ球 ✔ ✔✔ スキャフォールド治 療(細胞不使用) ✔✔ ✔ 遺伝子治療 (遺伝子編集を 含む) ex vivo ✔✔ (CART/TCR) ✔✔ ✔✔ ✔✔ ✔ ✔ ✔ in vivo ✔✔ (腫瘍溶解性ウ イルス) ✔✔ ✔✔ ✔✔ (DNAワクチン) ✔✔ ✔ ✔ ✔✔ ✔ 臓器移植 - ✔✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔✔ ✔ ✔✔ 人工臓器 - ✔ ✔ ✔ ✔ ✔✔ ✔✔ 外科手術/血 管内治療 - ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ その他 医薬品 ✔✔ ✔ ✔✔ ✔✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ 医療機器 ✔ ✔ ✔✔ 実用化時期 短期 短中期 短中期 短期 短中期 短中期 短期 中長期 中長期 中期 中長期 長期 長期 疾患ごとの根本治療法の戦況(勝ち筋仮説) 凡例 ✔✔ :勝ち筋 ✔:開発品有 B A C D E F G H ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 (再生医療・遺伝子治療のみ) ★ 従来モダリティの進 化に留意が必要な 領域 遺伝子治療が有望 な領域 細胞治療(パラクラ イン)が有望な領域 iPS/ES細胞による 再生・細胞治療(生 着)が有望な領域 人工臓器・臓器移植に対 し優位性が見出せるかに 留意が必要な領域 スキャフォールド治 療が有望な領域 免疫系の作用を持つ細胞 治療が有望な領域 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 体性幹細胞・最終分化 細胞による再生・細胞 治療が有望な領域 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  69. 69 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 軟骨、皮膚、骨 眼(角膜上皮) 短期的に根本治療が見込まれる疾患に対しては勝ち筋がある程度見えている一方、 中長期で実用化する疾患領域に関しては複数の実用化シナリオを見据えておく必要 がある。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法×疾患ごとの市場の立ち上がり時期 まとめ 再 生 ・細 胞 治 療 遺 伝 子 治 療 パラクライン 最終分化 細胞・体性 幹細胞 iPS/ES 細胞 生 着 ex vivo 遺伝子治療 in vivo 遺伝子治療 短期(~5年) 中期(~10年) 長期(~15年) ~現在 主要な根本治療法の実用化時期 神経、心血管 眼 神経・心臓・膵臓 肝臓・腎臓 血液がん(CART) 単一遺伝子疾患 固形がん(CART) より一般的な疾患 (免疫・炎症性疾患等) 固形がん (腫瘍溶解性ウイルス) 単一遺伝子疾患 感染症 より一般的な疾患 (免疫・炎症性疾患等) 複数の実用化シナリオを 見据えておく必要がある領域(詳細は4-1章)
  70. 70 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 本検討では、公開文献および疾患別パイプライン分析を踏まえて、技術領域の戦況把 握を通し、勝ち筋仮説を導出した。 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 (参考)戦況(勝ち筋仮説)の分析手法 分析の目的・単位 分析手法 情報ソース 「技術領域」 の戦況把握 (勝ち筋仮説の導出) 1. 各疾患の市場ニーズに対する打ち手 技術領域の整理 2. 打ち手技術領域の開発動向整理 ‒ 開発ステージやパイプライン数 ‒ 実用化に向けた主要課題 ‒ 実用化見通し時期 等 3. 各技術領域のメリット・デメリット・実用 化時期を比較した上で、「戦況」を分析 公開文献/ 疾患別パイプライン (前臨床含む) 本検討での手法
  71. 71 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 遺伝子治療(CART/TCR/腫瘍溶解性ウイルス)、抗体医薬などの免疫療法による根 本治療が期待される。血液がんでは造血幹細胞移植も根本治療法となりうる。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 がん 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 がん がん 固形がん(進行がん) 血液がん 再生・細胞治 療* パラクライン - 生着 最終分化細胞/体性 幹細胞/前駆細胞 ES細胞 iPS細胞 ワクチン 実用化(十分な有効性は認められていない) 短期(固形がんでは実用化しているものの、十分な有効性は認められてい ない) 活性化リンパ球 実用化(十分な有効性は認められていない) 実用化(十分な有効性は認められていない) スキャフォールド治療(細胞不使用) 遺伝子治療 ex vivo (CART/ TCR) 短期(血液がんでは寛解例が報告されているものの、固形がんでの有効 性は示されていない) 実用化(一部ではあるが寛解例が存在) ex vivo (造血幹細胞移植の補助療 法) 実用化(造血幹細胞移植の治療成績を向上できる可能性がある) in vivo (腫瘍溶解性ウイルス) 実用化(一部ではあるが寛解例が存在) 短期(固形がんでは寛解例が認められているものの、固形がんでの有効 性は示されていない) 臓器移植 ヒト 実用化(造血幹細胞移植/根本治療であるが、重篤な合併症のリスクが 存在) 異種 人工臓器 - 外科手術/血 管内治療 - その他 医薬品 実用化(抗体医薬により一部ではあるが寛解例が存在) 医療機器 Preliminary A ★ ★ ★ ★ 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  72. 72 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 単一遺伝子疾患においては根本治療となりうる遺伝子治療(in vivo/ex vivo)が有望。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 単一遺伝子疾患(1/3) 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 単一遺伝子疾患 内分泌/代謝 神経 先天性代謝障害 筋萎縮性側索硬化症 (遺伝性のみ) 脊髄小脳変性症 (遺伝性のみ) 脊髄性筋萎縮症 再生・細胞治 療* パラクライ ン - 短期(根本原因にはアプローチしてお らず、症状の抑制に留まる可能性有) 短期(根本原因にはアプローチしてお らず、症状の抑制に留まる可能性有) 生着 最終分化細胞/ 体性幹細胞/前 駆細胞 短期(長期の生着の課題が大きい/中 枢には介入できない可能性が高い) ES細胞 長期(長期の生着の課題が大きい/中 枢には介入できない可能性が高い) iPS細胞 ワクチン 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞 不使用) 遺伝子治療 ex vivo 短期(in vivo遺伝子治療より高い安全 性が見込まれるものの、複数回の投与 が必要となりそう) in vivo 短期(頻回投与が不必要となる一方、 安全性に懸念あり) 中期(根本治療になると想定される) 中期(根本治療になると想定される) 中期(頻回投与が不必要となる一方、 安全性に懸念あり) 臓器移植 ヒト 実用化(肝移植・骨髄移植。肝移植の 場合、ドナー不足が課題) 異種 人工臓器 - 外科手術/血 管内治療 - その他 医薬品 実用化(現在の標準治療。頻回投与が 必要で医療費が高額) 実用化(根本治療になりうる核酸医薬 が近年上市。頻回投与が必要で医療 費が高額) 医療機器 短期的には安全性の高い ex vivo、長期的にはより 根治に近いin vivoが優勢 となるか Preliminary B ★ 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  73. 73 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 単一遺伝子疾患においては根本治療となりうる遺伝子治療(in vivo/ex vivo)が有望。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 単一遺伝子疾患(2/3) 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 単一遺伝子疾患 血液 ヘモグロビン異常症 原発性免疫不全症候群 血友病A/B 再生・細胞治療* パラクライン - 生着 最終分化細胞/体性 幹細胞/前駆細胞 短期(合併症のリスクが高く造血幹細胞が行え ない症例に適応可能) ES細胞 iPS細胞 ワクチン 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞不使 用) 遺伝子治療 ex vivo 短期(合併症のリスクが高く造血幹細胞が行え ない症例に適応可能) 短期(合併症のリスクが高く造血幹細胞が行え ない症例に適応可能) in vivo 短期(根本治療となりうる/頻回投与が必要で ない/一定の安全性の懸念あり) 臓器移植 ヒト 実用化(合併症など一定の危険性がある) 実用化(合併症など一定の危険性がある) 異種 人工臓器 - 外科手術/血管内治 療 - その他 医薬品 実用化(既に実用化している凝固因子製剤に加 え、根本治療となりうる抗体医薬、核酸医薬の 開発が進められている) 医療機器 Preliminary B 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  74. 74 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 単一遺伝子疾患においては根本治療となりうる遺伝子治療(in vivo/ex vivo)が有望。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 単一遺伝子疾患(3/3) 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 単一遺伝子疾患 筋骨格 皮膚 眼 先天性ミオパチー 筋ジストロフィー 表皮水疱症 各種遺伝性眼疾患 (網膜色素変性、アッシャー症候 群、黄斑ジストロフィー) 再生・細胞治療* パラクライン - 短期(根本原因にはアプローチして おらず、症状の抑制に留まる可能性 有) 生着 最終分化細胞/体性 幹細胞/前駆細胞 中期(症状の抑制に留まる可能性が ある) 中期(復帰変異モザイクを応用した 場合、根本治療となりうる) ES細胞 iPS細胞 中期(症状の抑制に留まる可能性が ある) 長期(復帰変異モザイクを応用した 場合、根本治療となりうる) ワクチン 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞不使 用) 遺伝子治療 ex vivo 中期(in vivo遺伝子治療より高い安 全性が見込まれる) 短期(神経栄養因子を補うアプロー チであり、症状の抑制に留まる可能 性が高い) in vivo 中期(根本治療となりうる/特定の 遺伝子異常を持つ症例にのみ適応 可能) 中期(根本治療となりうる/特定の 遺伝子異常を持つ症例にのみ適応 可能) 中期(安全性に懸念あり) 短期(根本治療となりうる) 臓器移植 ヒト 異種 人工臓器 - 外科手術/血管 内治療 - その他 医薬品 実用化(低分子、核酸医薬で根本原 因にアプローチする治療法が存在/ 頻回投与が必要であり、高額) 医療機器 実用化(リハビリ支援ロボット) Preliminary B ★ ★ ★ ★ ★ 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  75. 75 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 抗炎症作用を持つ各種細胞治療・遺伝子治療が根本治療となることが期待される一 方、有望な既存モダリティ薬に優位性を示せない可能性に留意が必要。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 免疫・炎症性疾患 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 免疫・炎症性疾患 神経 筋骨格 消化器 血液 多発性硬化症 関節リウマチ クローン病 移植片対宿主病 再生・細胞治療* パラクラ イン - 中期(新たな作用機序での免疫反応 の抑制による治療成績改善が期待さ れる) 短期(新たな作用機序での免疫反応 の抑制による治療成績改善が期待さ れる) 実用化(新たな作用機序での免疫反 応の抑制による治療成績改善が期待 される) 実用化(新たな作用機序での免疫反 応の抑制による治療成績改善が期待 される) 生着 最終分化細胞/ 体性幹細胞/前 駆細胞 ES細胞 iPS細胞 ワクチン 短期(新たな作用機序での免疫反応 の抑制による治療成績改善が期待さ れる) 短期(新たな作用機序での免疫反応 の抑制による治療成績改善が期待さ れる) 活性化リンパ球 長期(新たな作用機序での免疫反応 の抑制による治療成績改善が期待さ れる) スキャフォールド治療(細胞 不使用) 遺伝子治療 ex vivo 中期(CAR-Treg/新たな作用機序で の免疫反応の抑制による治療成績改 善が期待される) 中期(CAR-Tregなど/新たな作用機 序での免疫反応の抑制による治療成 績改善が期待される) in vivo 中期(免疫を抑制する遺伝子を導入/ 新たな作用機序での免疫反応の抑制 による治療成績改善が期待される) 中期(免疫を抑制する遺伝子を導入/ 新たな作用機序での免疫反応の抑制 による治療成績改善が期待される) 臓器移植 ヒト 短期(造血幹細胞移植) 実用化(造血幹細胞移植/GVHDの リスクを下げる改良版が開発されてい る) 異種 人工臓器 - 実用化(人工関節/ 外科手術/血管 内治療 - その他 医薬品 実用化(インターフェロン、ステロイドな ど) 実用化(抗体医薬など) 実用化(抗体医薬など) 実用化(近年有望な抗体医薬が上市 されている) 医療機器 実用化(リハビリ補助ロボット) 再生細胞治療・遺伝子治 療が既存モダリティに優 位性を示せない可能性に 留意が必要 Preliminary C ★ ★ 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  76. 76 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 既存の治療薬でUMNが残る感染症について、特異的な免疫反応を亢進させる細胞 治療・遺伝子治療が根本治療法となることが期待される。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 感染症 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 感染症 感染症 HIV感染症 結核 再生・細胞治 療* パラクライン - 生着 最終分化細胞/体性 幹細胞/前駆細胞 ES細胞 iPS細胞 ワクチン 短期(残存するHIV感染細胞を攻撃することで根本治療となることが期待さ れる) 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞不使用) 遺伝子治療 ex vivo 短期(HIVに耐性のある細胞を増やすことで根本治療となることが期待され る) in vivo 短期(残存するHIV感染細胞を攻撃することで根本治療となることが期待さ れる 短期(耐性菌が出現しないことが期待される) 臓器移植 ヒト 異種 人工臓器 - 外科手術/血 管内治療 - その他 医薬品 実用化(抗ウイルス薬/HIV感染細胞の残存や耐性株の存在が問題とな る) 実用化(抗結核薬/耐性株の存在が問題となる) 医療機器 Preliminary D 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  77. 77 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 臓器移植の有効性が認められていない末梢動脈疾患においては、細胞治療(パラク ライン)、in vivo遺伝子治療の生命予後改善効果が期待される。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 臓器移植ができない疾患(1/3) 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 末梢血管 心血管 末梢動脈疾患 再生・細胞治 療* パラクライン - 一部実用化(生命予後の改善が期待される) 生着 最終分化細胞/体性 幹細胞/前駆細胞 ES細胞 iPS細胞 ワクチン 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞不使用) 遺伝子治療 ex vivo in vivo 一部実用化(生命予後の改善が期待される) 臓器移植 ヒト 異種 人工臓器 - 外科手術/血 管内治療 - 実用化(生命予後が悪い) その他 医薬品 医療機器 Preliminary E ★ 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  78. 78 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 神経移植の有効性が認められていない神経疾患では、再生医療(生着)の技術ハード ルが高いため、細胞治療(パラクライン)とリハビリの組み合わせが有望。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 臓器移植ができない疾患(2/3) 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 神経(広範) 神経 脳梗塞 外傷性脳損傷 アルツハイマー病 再生・細胞 治療* パラクライン - 短期(神経再生による機能改善が期待される) 短期(神経再生による機能改善が期待される) 中期(神経再生による機能改善が期待される) 生着 最終分化細胞/ 体性幹細胞/前 駆細胞 超長期(パラクラインよりも再生能力が高いことが期 待されるが技術ハードルが高く、不確実性が高い) ES細胞 iPS細胞 超長期(パラクラインよりも再生能力が高いことが期 待されるが技術ハードルが高く、不確実性が高い) ワクチン 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞不 使用) 遺伝子治 療 ex vivo in vivo 長期(神経再生による機能改善が期待される) 臓器移植 ヒト 異種 人工臓器 - 外科手術/ 血管内治 療 - 実用化(急性期・慢性期の再発予防の目的で実施さ れている。神経の再生にはつながらない) 実用化(急性期の救命に寄与するが、神経の再生に はつながらない) その他 医薬品 実用化(現時点では、対症療法であり、根本治療に はつながらない) 長期(予防的に用いることで根本治療につながりうる 医薬品が開発されている) 医療機器 実用化(リハビリ支援ロボット/再生・細胞治療の効 果増強に有効である可能性がある) 実用化(リハビリ支援ロボット/再生・細胞治療の効 果増強に有効である可能性がある) 既存モダリティによる予防 的介入により、根本治療が 可能になる可能性がある Preliminary E ★ ★ ★ ★ 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  79. 79 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 神経移植の有効性が認められていない神経疾患では、再生医療(生着)の技術ハード ルが高いため、細胞治療(パラクライン)とリハビリの組み合わせが有望。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 臓器移植ができない疾患(3/3) 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 神経(広範) 神経 脊髄損傷 筋委縮性側索硬化症(遺伝性を除く) 脊髄小脳変遷症(遺伝性除く) 再生・細 胞治療* パラクライ ン - 短期(神経再生による機能改善が期待される) 短期(神経再生による機能改善が期待される) 短期(神経再生による機能改善が期待される) 生着 最終分化細胞/ 体性幹細胞/前 駆細胞 中期(パラクラインよりも再生能力が高いことが期待さ れる) ES細胞 iPS細胞 中期(パラクラインよりも再生能力が高いことが期待さ れる) ワクチン 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞 不使用) 遺伝子治 療 ex vivo in vivo 長期(神経保護作用を持つ遺伝子の導入/神経再生 による機能改善が期待される) 短期(神経保護作用を持つ遺伝子の導入/神経再生 による機能改善が期待される) 臓器移植 ヒト 異種 人工臓器 - 長期(人工神経接続) 外科手術/ 血管内治 療 - その他 医薬品 実用化(顕著な有効性は認められていない) 医療機器 実用化(リハビリ支援ロボット/再生・細胞治療の効果 増強に有効である可能性がある) 実用化(リハビリ支援ロボット/再生・細胞治療の効果 増強に有効である可能性がある) 脊髄損傷に対しては、再生 医療(生着)の実現性は比 較的高いと想定される Preliminary E ★ ★ 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 ★ 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  80. 80 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 軟骨/骨/皮膚では最終分化細胞・体性幹細胞を用いた再生医療製品が実用化。再生 能力の高い骨/皮膚では、細胞を用いないスキャフォールド治療が競合品となっている。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 臓器移植代替/立体構造が必要でない臓器(1/2) 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 軟骨・骨・皮膚 筋骨格 皮膚 軟骨損傷 変形性関節症 骨欠損/骨折 皮膚潰瘍/創傷/熱傷 再生・細胞治療* パラクライン - 実用化(進行抑制に寄与することが 期待される) 実用化(重症例に対しては再生能が 十分でない可能性がある 生着 最終分化細胞/体性 幹細胞/前駆細胞 実用化(体の成長に合わせて形状 が変化する、耐用年数がなく再手術 が不要などのメリットがある) 中期(軟骨の再生により根本治療に なることが期待される) 実用化(スキャフォールド治療と比 較して再生能が高い) 実用化(スキャフォールドと比較して 使用性・価格・効果の面で劣ってい る) ES細胞 iPS細胞 ワクチン 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞不使用) 実用化(細胞治療と比較して再生能 が低い) 実用化(再生細胞治療と比較して使 用性・価格・効果の面で優れている) 遺伝子治療 ex vivo 短期(進行抑制に寄与することが期 待される) 中期(従来の再生細胞治療と比較し てより再生能が高い可能性有) in vivo 臓器移植 ヒト 実用化(自家骨の場合は移植できる 骨のサイズが限定的、他家骨の場 合は日本ではドナーが限定的) 実用化(受傷部位が広範囲にわた る場合、適応できない) 異種 人工臓器 - 実用化(損傷部位が大きい場合に は人工関節をつける必要があるが 耐用年数が限定的、感染リスクなど のデメリットあり) 実用化(損傷部位が大きい場合に は人工関節をつける必要があるが 耐用年数が限定的、感染リスクなど のデメリットあり) 外科手術/血管 内治療 - その他 医薬品 短期(進行抑制に寄与することが期 待される) 実用化(重症例に対しては再生能が 十分でない) 医療機器 Preliminary F ★ ★ ★ 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  81. 81 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 膵機能低下予防においては費用対効果が認められるハードルが高いと想定。膵機能 不全治療においては膵臓の主機能がホルモン分泌であるためカプセル化細胞が有望。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 臓器移植代替/立体構造が必要でない臓器(2/2) 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 糖尿病(膵臓) 内分泌/代謝 糖尿病 膵機能の低下を抑制する 膵臓機能不全を治療する 再生・細胞治 療* パラクライン - 短期(重症化を抑制できる可能性があるが、費用対効果が認められ るハードルが高いと想定される) 生着 最終分化細胞/体性 幹細胞/前駆細胞 ES細胞 短期(カプセル化細胞/拒絶反応やがん 化リスクを考慮する必要がない) iPS細胞 長期(臓器原器や臓器全体の再生 /がん化リスク・拒絶反応) ワクチン 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞不使用) 遺伝子治療 ex vivo 中期(重症化を抑制できる可能性があるが、費用対効果が認められ るハードルが高いと想定される) in vivo 臓器移植 ヒト 実用化(ドナー不足、拒絶反応) 異種 中期(カプセル化細胞/拒絶反応を考慮する必要がない) 人工臓器 - 実用化(人工膵臓/重症化の抑制は可能であるが、薬物療法でコン トロールが困難症例には適応できない) 外科手術/血 管内治療 - その他 医薬品 実用化(薬物療法でコントロールが困難な症例が存在) 医療機器 膵臓の主機能であるホル モン分泌はカプセル化細 胞によって代替可能 Preliminary F ★ 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  82. 82 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 心臓疾患は重症心不全以降前も医療費が高く、重症化予防においても費用対効果が 見込まれる。重症心不全の治療においては、心臓が再生治療(生着)が有望。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 臓器移植代替/必要な立体構造が単純な臓器(1/3) 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 心臓 心血管 虚血性心疾患/心筋症/心不全 重症心不全への移行抑制 重症心不全の治療 再生・細胞治 療* パラクライン - 実用化(心機能の再生が期待される) 生着 最終分化細胞/体性 幹細胞/前駆細胞 短期(細胞治療/パラクライン作用の細胞治療よりも再生能が高いことが 期待される) 実用化(予後改善が期待される) ES細胞 iPS細胞 中期(細胞治療/パラクライン作用の細胞治療よりも再生能が高いことが 期待される) 中期(予後改善が期待される) ワクチン 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞不使用) 遺伝子治療 ex vivo in vivo 短期(心機能改善が期待される) 臓器移植 ヒト 実用化(ドナー不足、拒絶反応のコントロールが必要) 異種 中期(倫理面、拒絶反応のコントロールが困難) 人工臓器 - 実用化(予後が不良) 外科手術/血 管内治療 - 実用化(長期での治療成績が悪く、再入院の割合が高い) その他再生機 能保有製品 医薬品 短期(心機能改善が期待される) 医療機器 筋芽細胞よりも心臓幹細胞 を用いた再生能の方が治 療効果が高い可能性有 Preliminary G ★ 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  83. 83 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 眼疾患においては、再生医療(生着)が有望。失明例に対しては、in vivo遺伝子治療、 人工網膜の開発が進められている。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 臓器移植代替/必要な立体構造が単純な臓器(2/3) 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 眼 眼 加齢黄斑変性 網膜色素変性(遺伝性を除く) 角膜上皮幹細胞疲弊症 (失明後の視力回復) 再生・細胞治 療* パラクライン - 短期(視力回復が期待される) 短期(視力回復が期待される) 生着 最終分化細胞/体性 幹細胞/前駆細胞 実用化(拒絶反応のコントロールが 容易) ES細胞 中期(パラクラインよりも視力回復効 果が高いと想定される) 中期(パラクラインよりも視力回復効 果が高いと想定される) 中期(拒絶反応のコントロールが容 易) iPS細胞 中期(パラクラインよりも視力回復効 果が高いと想定される) 中期(パラクラインよりも視力回復効 果が高いと想定される) 中期(拒絶反応のコントロールが容 易) ワクチン 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞不使用) 遺伝子治療 ex vivo 短期(視力回復が期待される) in vivo 短期(作用機序は薬物療法と同じで あり、視力改善効果は限定的と想定 される) 中期(チャネルロドプシン発現など) 臓器移植 ヒト 実用化(唯一の根本治療であるが、 拒絶反応のため術後成績は不良) 異種 人工臓器 - 中期(人工網膜) 外科手術/血 管内治療 - 実用化(悪化の抑制に留まり、視力 回復は期待できない) その他再生機 能保有製品 医薬品 実用化(視力改善効果は限定的) 医療機器 Preliminary G ★ ★ ★ 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  84. 84 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 局所の神経障害においては、再生医療(生着)が有望。但し末梢神経障害はドナー臓 器の確保が比較的容易であるため、再生医療による置き換えのハードルが高い。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 臓器移植代替/必要な立体構造が単純な臓器(3/3) 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 神経(局所) 神経 末梢神経障害/神経因性疼痛 パーキンソン病 再生・細胞治 療* パラクライン - 短期(神経移植と比較して再生能が低いと想定される) 中期(薬物療法が有効でない症例にも有効であると期待される/神経移植 と比較して再生能が低いと想定される) 生着 最終分化細胞/体性 幹細胞/前駆細胞 中期(細胞由来の神経誘導管/スキャフォールドと比較して再生能が高い ことが期待される) ES細胞 長期(神経移植の代替となりうる) iPS細胞 長期(神経移植の代替となりうる) 長期(神経移植の代替となりうる) ワクチン 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞不使用) 実用化(神経誘導管/神経移植術に対して有効性が劣る) 遺伝子治療 ex vivo in vivo 中期(神経移植と比較して再生能が低いと想定される) 中期(薬物療法が有効でない症例にも有効であると期待される/神経移植 と比較して再生能が低いと想定される) 臓器移植 ヒト 実用化(自己神経移植は自己の健常な細胞を犠牲にする必要がある/同 種神経移植はドナー不足) 実用化(胎児からの黒質細胞移植/倫理面・ドナー不足) 異種 人工臓器 - 外科手術/血 管内治療 - 実用化(根本治療ができない) その他再生機 能保有製品 医薬品 実用化(根本治療ができず、薬物療法不応例が存在) 医療機器 Preliminary G ★ 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  85. 85 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 腎機能低下予防は費用対効果が認められるハードルが高いと想定。腎不全において は再生医療の技術難易度が高く、かつ人工臓器優位性が高いため、再生医療の普及 のハードルが高い。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 臓器移植代替/必要な立体構造が複雑な臓器(1/2) 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 腎臓 泌尿器疾患 慢性腎臓病 末期腎不全への 移行抑制 末期腎不全の治療 再生・細胞治 療* パラクライン - 中期(重症化を抑制できる可能性があるが、費用対効果が認められる ハードルが高いと想定される) - 生着 最終分化細胞/体性 幹細胞/前駆細胞 長期(重症化を抑制できる可能性があるが、費用対効果が認められる ハードルが高いと想定される) 長期(高額な人工透析の置き換えが期待される) ES細胞 iPS細胞 ワクチン 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞不使用) 遺伝子治療 ex vivo in vivo 臓器移植 ヒト 実用化(ドナー不足) 異種 中期(倫理面、拒絶反応のコントロールが困難) 人工臓器 - 実用化(高額であるが、予後が良好) 外科手術/血 管内治療 - その他再生機 能保有製品 医薬品 実用化(現時点では腎機能抑制効果が十分でない) 医療機器 Preliminary H 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  86. 86 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 肝機能低下予防は費用対効果が認められるハードルが高いと想定。肝不全において は再生医療の技術難易度が高く、かつ臓器移植の優位性が高いため、再生医療の普 及のハードルが高い。 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 *再生・細胞治療はiPS細胞への誘導以外の遺伝子導入ないし編集を含まないものとした 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 臓器移植代替/必要な立体構造が複雑な臓器(2/2) 根本治療法の疾患ごとの勝ち筋 肝臓 内分泌/代謝 肝硬変/肝不全 肝機能低下の抑制 肝不全の治療 再生・細胞治 療* パラクライン - 短期(重症化を抑制できる可能性があるが、費用対効果が認められるハー ドルが高いと想定される) 生着 最終分化細胞/体性 幹細胞/前駆細胞 長期(重症化を抑制できる可能性があるが、費用対効果が認められるハー ドルが高いと想定される) 長期(肝移植と同様高い効果が期待できる) ES細胞 iPS細胞 ワクチン 活性化リンパ球 スキャフォールド治療(細胞不使用) 遺伝子治療 ex vivo in vivo 臓器移植 ヒト 実用化(生体肝移植が可能であり、他臓器と比較してドナー不足は深刻で ないと想定される) 異種 人工臓器 - 外科手術/血 管内治療 - その他再生機 能保有製品 医薬品 実用化(C型肝炎の根治が可能/現時点では他疾患の場合肝機能の改 善はできない) 医療機器 Preliminary H ★ 凡例 劣位 優位 中間 実用化 開発中 ★ :国内プレーヤが Ph.1以降の開発品を保有 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要
  87. 87 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 3 疾患別の市場・競争環境 3-1 検討対象疾患の選定 3-2 疾患毎の市場環境分析 3-3 疾患毎の技術の勝ち筋 3-4 疾患のポートフォリオ 4 実用化シナリオと投資配分方向性 5 実用化に向けて対応すべき課題
  88. 88 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 血液がんにはCARTの有効性が示 されているものの、高コストが課題 実用化時期毎に、勝ち筋となりうる技術を前提して、各々の魅力度・実現度でポート フォリオを組みながら、投資配分を選定する方法も考えられる。 3-4 疾患のポートフォリオ 魅力度×実現度評価 実用化が近い疾患 疾患毎の魅力度×実現度 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 実現度 魅力度 先天性代謝障害 歯周病 脳梗塞 角膜上皮幹細胞疲弊症 皮膚潰瘍/創傷/熱傷 虫歯 軟骨損傷 HIV感染症 移植片宿主病 クローン病 末梢神経障害/神経因性疼痛 骨欠損/骨折 心疾患(重症心不全への移行抑制) 筋萎縮性側索硬化症(遺伝性を除く) 網膜色素変性(遺伝性のみ) 末梢動脈疾患 血友病A/B 原発性免疫不全症候群 ヘモグロビン異常症 固形がん 血液がん 再生細胞治療(パラクライン) 遺伝子治療/再生細胞治療 遺伝子治療 再生細胞治療 (生着_体細胞/体性幹細胞) 再生(生着_体細胞/体性幹細胞)は既に 広く実用化が進んでいる領域 固形がんには腫瘍溶解性ウイルスの有効 性が示されているものの、既存治療法へ の優位性の確保が課題 再生細胞治療(パラクライン)の実用 化が期待されるものの、既存治療法 への優位性の確保が課題 単一遺伝子疾患においてIn vivo遺 伝子治療の開発が進んでいるもの の、高コストが課題 実用化が近い疾患領域 (開発後期以降に開発品がある疾患領域) 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析
  89. 89 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 実用化時期毎に、勝ち筋となりうる技術を前提して、各々の魅力度・実現度でポート フォリオを組みながら、投資配分を選定する方法も考えられる。 3-4 疾患のポートフォリオ 魅力度×実現度評価 実用化が遠い疾患 疾患毎の魅力度×実現度(再生・遺伝子治療) 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 心疾患(重症心不全の治療) 筋萎縮性側索硬化症(遺伝性のみ) 脊髄小脳変性症 脊髄性筋萎縮症 人工血管 パーキンソン病 結核 関節リウマチ 慢性腎疾患(末期腎不全への進行抑制) 黄斑ジストロフィー アッシャー症候群 表皮水疱症 脊髄損傷 筋ジストロフィー 先天性ミオパチー 慢性腎疾患(末期腎不全の治療) 加齢黄斑変性 糖尿病(膵機能不全の治療) 糖尿病(膵機能低下の抑制) アルツハイマー病(認知機能の改善) 肝硬変/肝不全(肝不全の治療) 末梢神経障害/神経因性疼痛 網膜色素変性(遺伝性を除く) 外傷性脳損傷 多発性硬化症 失明後の視力回復 関節症 肝硬変/肝不全(肝機能低下の抑制) 実現度 魅力度 再生細胞治療(生着_iPS/ES) 遺伝子治療/再生細胞治療 再生細胞治療(パラクライン) 遺伝子治療 iPS/ES細胞が勝ち筋となると想定される 疾患領域は多岐に渡るものの、魅力度が 低い疾患も多い In vivo遺伝子治療による単一遺伝子疾 患治療は技術課題は残るものの、コスト 面・革新性の高さから実現度は高い 再生細胞治療(パラクライン)が中長 期的にも勝ち筋となりそうな疾患領 域は存在するものの、魅力度は相 対的に低い 魅力度の高い疾患の多くは、勝ち 筋となる技術が未だ不明瞭 実用化に長期間かかることが想定される疾患に関しては、 技術開発の状況により勝ち筋が大きく変わる可能性があることに留意が必要 実用化が遠い疾患領域 (開発後期以降に開発品がある疾患領域) 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析
  90. 90 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 疾患領域につき、勝ち筋となる技術を想定しながら、以下の指標で魅力度×実現度を 評価。 *経済性の観点は除く 3-4 疾患のポートフォリオ 疾患の魅力度×実現度評価 評価方法(1/2) 評価方法 項目 説明 基準 1点 3点 5点 対象となる患者数はどの程度か? UMNの大きさはどの程度か? 魅力度 患者数 UMN* 治療コス ト 現在どの程度の医療費がかかってい るか?現在治療法がない場合、どの 程度の治療費が許容されうるか? 1万人以下 1万人~100万人 200万人~ 生命予後、QOLともに良好であり、 UMNは小さい (中間) 生命予後が悪いor 著しくQOLが低 く、UMNが大きい 現在の医療費が低い (年間50万円未満) 現在の医療費が中程度 (年間100万円程度) 現在の医療費が高い(年間200万 円~)、若しくは稀少難病であり高 い治療費が許容されると想定される 実現度 不確実性 根本治療法の実用化の不確実性はど の程度か? 革新性の 高さ 既存治療法と比較して優位性が見込 まれるか? 未だ基礎研究段階であり 実用化の不確実性は高い (中間) 多くの上市品が存在しており、 不確実性は低い 既存治療法に対して優位性を見出 せる可能性は低い 既存治療法に対してある程度の優 位性のある治療法となりうる 既存治療法に対して明らかに優位 性のある治療法となる 製造コス ト どの程度の製造コストが見込まれるか ? 高い製造コストが見込まれる (中間) 低い製造コストが見込まれる 逸失利益 医療費以外に想定されるコストはどの 程度か? 高齢者を中心に発症し、 介護負担は僅か (中間) 若年層で発症し、かつ介護負担が 大きい 出所:各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析
  91. 91 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 各疾患において勝ち筋となると見込まれる治療技術の分類から簡易的に製造コストを 評価。 *1USD=120円として換算。CTL019は1治療あたりの薬価。Sterimvelisは1投与あたりの薬価。T-vecは1治療あたりの薬価。Dcvaxは1年間あたりの薬価。Provengeは1治療あ たりの薬価。 出所:中医協、xconomy、FirstWord Pharama、日経バイオテク、Stem Cell Assays、MIT Technology Review、AnswersNewsよりアーサー・ディ・リトル分析 3-4 疾患のポートフォリオ 疾患の魅力度×実現度評価 評価方法(2/2) 製造コストの評価方法 再生・ 細胞医 療 遺伝子 治療 他モダリティ 最終分化細 胞・体性幹 細胞 iPS/ES 細胞 Ex vivo In vivo 1点 (高い製造コストが見込まれる) 3点 (見込まれる製造コストは中程度) 5点 (低い製造コストが見込まれる) 技 術 分 類 評価 ✔ ✔(細胞数が多い場合) ✔ (細胞数が少ない場合) ✔ (細胞数が多い場合) ✔ (細胞数が少ない場合) ✔(全身投与) ✔(局所投与) ✔ CTL019: 5,225万円 Strimvelis:7,980万円 T-vec: 780万円 Dcvax: 440万円 Provenge:1,110万円
  92. 92 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 3 疾患別の市場・競争環境 4 実用化シナリオと投資配分方向性 4-1 実用化シナリオ 4-2 製薬企業の投資動向 4-3 各国政府の投資配分ポートフォリオ 4-4 我が国の投資配分に対する示唆 5 実用化に向けて対応すべき課題
  93. 93 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 中長期以降では複数の産業化シナリオの可能性が考えられる。これらを見据えたうえ で重点投資領域を検討する必要が有る。 *拒絶反応の課題が解決されれば他家/されなければ自家が主流になると想定される、**in vivo遺伝子治療/ex vivo遺伝子治療の双方を想定 4-1 実用化シナリオ 根本治療法×疾患ごとの市場の立ち上がり時期 中長期でのシナリオ  拒絶反応抑制/造腫瘍性のコントロールにつ いて日本を中心に投資が行われており、ある程 度の実現可能性は見込まれる  比較的技術ハードルが低く、少なくとも中期的 には、細胞治療(パラクライン)を中心とした市 場形成が見込まれる – 但し軟骨/骨/皮膚疾患やがん、単一遺伝子疾患を 除く  活発な投資が見受けられず、不確実性は高い  但し歯、骨、皮膚、眼、歯科、美容等限られた領 域で市場拡大が進む可能性はある  未だ基礎研究段階のものが多く、不確実性は 高い  但し近年有望な企業・開発品がでてきており、 留意が必要  技術課題は多いものの、外資大手ファーマを中 心に活発に投資がなされており、ある程度の実 現可能性は見込まれる 起こりうる可能性 不確実性 主要な前提要件 (≒解決が必要な課題) 時間軸  細胞治療(パラクライン)では治療できない領域が残存  技術革新により免疫抑制フリーでの拒絶反応の抑制に成功  iPS細胞 / ES細胞の造腫瘍性の懸念が払拭 中期~ 長期  他家細胞を用いた再生医療(生着)の免疫抑制剤フリーでの拒絶 反応コントロールの解決糸口が見出されない  体細胞/体性幹細胞の培養能力の向上が起こらない 中期  細胞治療(パラクライン)では治療できない領域が残存  体細胞/体性幹細胞の培養能力向上により適用可能な疾患領域 が拡大 中期~ 長期  技術革新により細胞が保有する再生能力の従来モダリティ(低分 子、ペプチド、核酸、たんぱく質等)での再現が可能に 長期~ 超長期  単一遺伝子疾患を中心として遺伝子治療が実用化し、十分に長 期の安全性が検証される  発現効率、免疫原性等の技術課題が解決し、幅広い疾患領域へ の適応が可能に シナリオ 幅広い疾患領域でiPS/ES細胞に よる治療が実現 シナリオ3 細胞治療(パラクライン)が中心と なり再生細胞治療市場を形成 シナリオ1 幅広い疾患で体細胞/体性幹細胞 による治療が実現* シナリオ2 再生能力を持つ医薬品が実用化し、 再生細胞治療製品を置き換え シナリオ5 遺伝子治療/編集**による早期介入 が普及し、再生細胞治療の対象市 場が縮小 シナリオ4 長期 2017年、Wnt阻害剤(低分 子)による再生医療の開発を 目指す米Samumed社が資金 $300mnを獲得 出所:有識者インタビュー、各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析
  94. 94 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 中長期のシナリオに関しては幅広い可能性を見ておくべきとのコメント多数。 4-1 実用化シナリオ 実用化シナリオに関する有識者コメント 実用化シナリオに関する有識者コメント (製薬企業)  iPS細胞による再生医療への一点集中はリスク が高いと想定される  再生医療と比較して遺伝子治療はスタンダード な治療法になりうると考えている – 遺伝子治療は有効性が出る為、スタン ダード治療になる領域がある  一般的な疾患の遺伝子治療開発は、15年もか からず実現するのではないか  完治は困難でも、大抵のUMNは遺伝子治療で 対応出来ると考えている (製薬企業)  各技術×疾患の市場立ち上がり時期は、概ね 資料の記載の通りであると思うが、要素技術 開発の進展により開発状況が大きく変わる可 能性があり注視が必要  他家細胞よりも、拒絶反応のない自家細胞の ほうが優位である可能性がある – 自家細胞は製造コストが高いことが 課題とされてきたが、近年加工技術 の進展・低コスト化が進んでいる (ライフサイエンス企業)  体細胞や芽細胞を用いたtissue engineering の対象疾患は現時点では軟骨・骨・皮膚・眼など 一部分に限られているが、培養能力の向上によ り対象疾患が拡大する可能性がある (業界有識者)  体性幹細胞・体細胞の製品の市場拡大の不確 実性は低い  iPS/ES細胞はまだまだ技術ハードルが高く、不 確実性は高い  細胞培養上清を用いる治療法は注目したほうが 良い領域。安全性にも問題がなく、コストも低い ため、有効性が示されれば、再生細胞治療を置 き換えるディスラプティブな技術となりうる (業界有識者)  長期的には、低分子による再生医療が有望。 再生細胞治療を置き換えるディスラプティブな 技術になりうる  海外ではメガファーマが低分子再生医療に取 り組んでいるが、日本での研究はいまだ限定 的
  95. 95 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 神経、心血管疾患等を対象として米国、欧州を中心に開発が進められている。上市 品・開発品ともに数多くの製品が存在し、短期的な市場立ち上がりが見込まれる。 *開発実施国を集計 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発データベース 4-1 実用化シナリオ 再生細胞医療(パラクライン) 概要 国ごとの開発状況*  投与した細胞からの分泌物が近隣の細胞に作用す ることで再生作用等の治療効果を発揮するもの 主な有望疾患領域  神経疾患  心血管疾患(虚血性心疾患、末梢動脈疾患)  免疫・炎症疾患 開発フェーズ 0 50 19 韓国 他 日本 米国 31 5 7 29 欧州 不明 [件] 5 1 0 50 7 PhaseⅡ [件] PhaseⅡ/Ⅲ 上 市 26 PhaseⅢ PhaseⅠ/Ⅱ 11 PhaseⅠ 14 12  米国、欧州を中心に開発が進められている  上市品、開発後期段階の製品ともに数多く存在 筋骨格 他 心血管 神経 韓国:3品目(関節症、虚血性心疾 患、クローン病) 日本:1品目(GVHD) カナダ:1品目(GVHD) インド:1品目(虚血性心疾患)、他 米国:3品目 欧州:3品目 オーストラリア:1品目 カナダ:1品目、他
  96. 96 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 最終分化細胞/体性幹細胞を用いた再生細胞(生着)は多くの製品が既に上市に至っ ており、新たに開発されている製品は限定的。 *開発実施国を集計 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発データベース 4-1 実用化シナリオ 再生細胞医療(生着) 最終分化細胞/体性幹細胞 概要 国ごとの開発状況*  投与した細胞自体が体内に生着することで治療効果を 発揮するもののうち、最終分化細胞や体性幹細胞を用 いる治療法のこと 主な有望疾患領域  筋骨格疾患(軟骨、骨)  皮膚疾患  眼疾患(角膜上皮) 開発フェーズ 0 50 8 日本 米国 6 23 他 欧州 不明 20 韓国 10 [件] 1 0 50 承 認 申 請 中 5 [件] PhaseⅢ 上 市 40 4 PhaseⅡ 3 PhaseⅠ/Ⅱ 4 PhaseⅠ  欧州を中心に開発が行われている(多くが上市済)  多くの製品が上市に至っており、開発中の製品は僅少 皮膚 筋骨格 その他 眼 欧州:19品目 米国:10品目 韓国:5品目 日本:3品目、他 日本:2品目(ツー セル、富士ソフト) 米国:1品目、他 カナダ: 1品目
  97. 97 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 幅広い有望疾患領域が想定される。臨床実績が限定的であり、実用化・市場立ち上 がりには時間を要すると想定される。 *開発実施国を集計 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発データベース 4-1 実用化シナリオ 再生細胞医療(生着) iPS細胞 概要 国ごとの開発状況*  投与した細胞自体が体内に生着することで治療効果を 発揮するもののうち、iPS細胞由来の細胞を用いる治 療法のこと 主な有望疾患領域 開発フェーズ 1 欧州 日本 米国 韓国 他 不明  臨床試験段階の開発品は1品目のみ。(日本では臨床 研究の実施例有)  臨床試験段階の開発品は1品目のみ。実用化・市場立 ち上がりには長期間を要する 1 PhaseⅡ PhaseⅡ/Ⅲ 承 認 申 請 中 PhaseⅢ 上 市 PhaseⅠ/Ⅱ PhaseⅠ  糖尿病  心血管疾患(重症心不全)  眼疾患  神経疾患  腎疾患  肝疾患 “iPS/ES細胞を用いた治療の技術 ハードルは高く、実用化まで20年 程度かかるのではないか”(米国 VC) Cynata社が2017年より 移植片対宿主病を対象 に臨床試験を開始
  98. 98 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 幅広い有望疾患領域が想定される。複数の臨床試験が実施されているものの、いず れも開発前期段階に留まっており、市場立ち上がりには時間を要すると想定される。 *開発実施国を集計 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発データベース 4-1 実用化シナリオ 再生細胞医療(生着) ES細胞 概要 国ごとの開発状況*  投与した細胞自体が体内に生着することで治療効果を 発揮するもののうち、ES細胞由来の細胞を用いる治療 法のこと 主な有望疾患領域  糖尿病  心血管疾患(重症心不全)  眼疾患  神経疾患  腎疾患  肝疾患 開発フェーズ 1 1 0 5 [件] 日本 米国 欧州 不明 3 他 韓国 2 0 5 上 市 PhaseⅡ/Ⅲ [件] PhaseⅡ 承 認 申 請 中 PhaseⅢ PhaseⅠ/Ⅱ 5 PhaseⅠ 2  米国、欧米などで僅かに開発が実施されている  全ての開発品目は開発前期段階に留まっている 神経 眼 内分泌/代謝(糖尿病) 心血管
  99. 99 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. In vivo遺伝子治療の主流になると想定されるAAVの開発後期段階の製品は限定的 で市場立ち上がりには時間を要する。一般的な疾患への横展開の有望性については 不透明。 *開発実施国を集計 出所:名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学ウェブサイト、国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子医薬部 内田恵理子氏「遺伝子治療用製品の開発における国内と海 外の規制動向 -5年間の進展-よりアーサー・ディ・リトル作成 4-1 実用化シナリオ in vivo遺伝子治療(腫瘍溶解性ウイルスを除く) 概要 国ごとの開発状況*  疾病の治療や予防に寄与する遺伝子を搭載したベクタ ーを直接投与する治療法のこと 主な有望疾患領域  単一遺伝子疾患(先天性代謝異常症など)  感染症  一般的な疾患への横展開の有望性については要検証 開発フェーズ 0 50 100 70 米国 27 欧州 3 11 韓国 5 日本 不明 11 [件] 他 1 0 50 PhaseⅡ 2 承 認 申 請 中 18 PhaseⅢ PhaseⅠ/Ⅱ 31 PhaseⅡ/Ⅲ 47 [件] 上 市 10 PhaseⅠ  米国、欧州を中心に開発が進められている  主流になると想定されるAAVの開発後期段階の製品 は限定的 その他 内分泌/代謝(単一遺伝子疾患) 感染症 眼疾患(単一遺伝子疾患) 欧州:1品目 (Uniqure社の Glybera) ロシア:1品目 米国:8品目 欧州:1品目 日本:1品目 (うちAAVは3品目のみ) “In vivo遺伝子治療(腫瘍溶解性ウイルス以外)につい ては、先ずは単一遺伝子疾患を対象に実用化したの ち、より複雑な疾患への適応拡大が進むと考えられる” (業界有識者)
  100. 100 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 腫瘍溶解性ウイルスの有望疾患は固形がん。米国を中心に開発が進められており、 短期的な市場立ち上がりが見込まれる。 *開発実施国を集計 出所:名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学ウェブサイト、NTS「次世代がん治療 発症・転移メカニズムからがん免疫療法・ウイルス療法、診断法まで」より アーサー・ディ・リトル作成 4-1 実用化シナリオ in vivo遺伝子治療 腫瘍溶解性ウイルス 概要 国ごとの開発状況*  腫瘍溶解性ウイルスとは、がん細胞内で自己増殖をし 、周囲のがん細胞に自己感染し、殺細胞効果等を示す ことで抗腫瘍活性を発揮する治療法のこと 主な有望疾患領域  固形がん  血液がんに適応拡大が進む可能性がある 開発フェーズ 8 8 2 3 7 35 0 50 不明 [件] 日本 韓国 欧州 米国 他 3 0 5 1 16 6 20 0 50 PhaseⅠ/Ⅱ PhaseⅠ PhaseⅡ/Ⅲ PhaseⅡ PhaseⅢ 承 認 申 請 中 上 市 [件]  米国を中心に開発が進められている  上市品、開発後期の製品が複数存在 がん 欧州:1品目 (Amgen社のImlygic) 中国:2品目 米国:5品目
  101. 101 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. CART/TCRの有望疾患は血液がん。米国中心に開発を実施、上市品/開発後期段階 の製品は限定的であるものの、市場性の高さから積極的な投資が進められている。 *開発実施国を集計 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発データベース 4-1 実用化シナリオ ex vivo遺伝子治療 T細胞療法(CART/TCR) 概要 国ごとの開発状況*  遺伝子組み換えにより、腫瘍の殺傷能力を付与したT 細胞を投与する治療法のこと 主な有望疾患領域  血液がん  固形がんに適応拡大が進む可能性がある 開発フェーズ 2 3 0 3 6 33 0 50 不明 韓国 日本 欧州 他 米国 [件] 1 1 0 1 3 12 22 0 50 PhaseⅡ/Ⅲ PhaseⅡ PhaseⅠ PhaseⅢ 上 市 PhaseⅠ/Ⅱ 承 認 申 請 中 [件]  米国を中心に開発が進められている  上市品、開発後期の製品は少数。但し市場性が見込 まれることから開発が迅速に進められる可能性有 がん 米国:1品目 (Novartis社の CTL019) 米国:1品目 (Kite Pharma社の KTE-C19)
  102. 102 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 3 疾患別の市場・競争環境 4 実用化シナリオと投資配分方向性 4-1 実用化シナリオ 4-2 製薬企業の投資動向 4-3 各国政府の投資配分ポートフォリオ 4-4 我が国の投資配分に対する示唆 5 実用化に向けて対応すべき課題
  103. 103 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 国内大手ファーマは、遺伝子治療よりも再生医療に注力しており、上位2社(武田、ア ステラス)に加えて、大日本住友製薬の取り組みが目立つ。 4-2 製薬企業の投資動向 製薬企業の投資動向 国内大手ファーマ 再生医療 遺伝子治療(含・遺伝子細胞治療) 売上高上位 製薬会社 対象疾患 投資・買収額 概要 対象疾患 投資・買収額 概要 武田薬品 工業 臓器(特に 肝臓) 200億円 投資 2015年、T-CiRAと提携 (10年間) 癌 自己免疫疾患 最大1億ドル 支払 新規T細胞を用いた治療薬・基盤技術の開発に関して戦略 的提携契約を締結、英GammaDelta社に対し支払 癌 2017年、ノイルイミューン・バイオテック社と提携し、次世代 型CART療法の研究開発を加速させるための共同研究を実 施する アステラス 製薬 加齢黄斑 変性 467億円 買収 2015年ES細胞をもつ米Ocata社を買収 網膜色素変性 症 2016年、東北発のクリノ社と提携し、全世界での開発・販売 のライセンス契約を締結 第一三共 虚血性 心不全 20億円(一時金) 支払 インセンティブ 2016年、英Cell Therapy社から細胞医薬の国内における 独占的な開発・販売権を導入 癌 58億円(一時金) 支払 インセンティブ 2017年、米Kite Pharma社からCART療法の国内での開 発、製造、販売の独占的実施権を取得 大塚HD 脳梗塞 アルツハイマー 3億円 投資 2017年、再生医療等製品の開発を手掛けるツーセルに投 資 膵臓癌 メラノーマ 30億円 支払 インセンティブ 2016年、タカラバイオが開発中の腫瘍溶解性ウイルス HF10の日本国内における開発・販売に関する独占的ライセ ンス契約を締結 エーザイ 中枢神経 疾患 2017年、「歯髄細胞」を保管しているセルテクノロジーと提携 し供給を独占 アルツハイ マー 2006年、ディナベック社と遺伝子治療薬の開発に向け、提 携 中外製薬 虚血性 脳梗塞 1,000万ドル 支払(一時金) インセンティブ 2015年、アサーシス社から細胞医薬の国内における独占的 な開発・販売権を導入 2015年10月に契約解消 膝軟骨再生 2016年、再生医療VBツーセルと、他家滑膜由来の幹細胞 を用いた「gMSC1」のライセンス契約を締結 田辺三菱 製薬 変性膝関 節症 25億円 支払(一時金) インセンティブ 2016年、韓国Kolon Life Science社からの他家細胞医薬 「Invossa」を導入 肝疾患 2015年、アンジェスMGと肝細胞増殖因子(HGF)を発現す る遺伝子治療薬に関する契約を締結 大日本 住友製薬 加齢黄斑 変性 2013年、ヘリオスと提携し、iPS細胞由来再生医療の共同 研究開発を実施 慢性期 脳梗塞 2014年、米SanBio社と治療薬に関するライセンス契約を締 結 (VC構築) 36億円 投資 2017年、新たな細胞培養加工施設を建設 パーキンソ ン病 京大iPS研の高橋淳教授と連携し、他家iPS由来を用いた 治療研究を開始 協和発酵 キリン 癌 2015年、iPS細胞を利用する癌免疫療法に関してCiRAと共 同研究を開始(2年間) 塩野義製薬 出所:企業HP、各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 現状は取り組みなし 現状は取り組みなし 現状は取り組みなし 2017年8月時点
  104. 104 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 国内大手ファーマの中は、自社研究所での取り組みは僅かであり、子会社・関連会社 での取り組みや開発品導入により、リスクを分散させている。 4-2 製薬企業の投資動向 製薬企業の投資動向 開発体制 国内大手ファーマ 研究領域として独立 疾患領域の傘下 子会社・関連会社で活動 数人 or 開発品導入のみ 武田薬品工業 • 「再生医療」を重点領域として、湘南研 究所で数十~100名体制で実施 • 「遺伝子治療」について複数の外部企 業と戦略的提携を進める アステラス • 「再生医療研究所」として独立した機関 で実施中 第一三共 • 癌領域以外の細胞療法研究を手掛け る細胞治療ラボラトリーを設立 • 子会社アスビオファーマにてiPS研究 に取り組み(2018年に本社へ移管予 定) 大塚HD • 注力疾患(中枢神経、がん)に関する ベンチャー等への投資 • 理研と共同研究を実施 エーザイ • 2014年に子会社のカン研究所に再生 医療部を立ち上げ 中外製薬 • 再生医療製品について複数の外部企 業から開発・販売権を導入(Roche等) 田辺三菱製薬 • 再生医療研究を行う子会社Clioを保有 • 社内に再生医療研究室を立ち上げ 大日本住友製薬 (再生・細胞医薬事業推進室立ち上げ) • ヘリオスと共に再生医療製品を製造・ 販売する子会社サイレジェンを設立 • 複数のアカデミアと共同研究を実施 協和発酵キリン • 血小板の増殖や抗がん剤治療、白血 球の増加を促進するため、高崎工場に 約27億円の設備投資を実施 • 2015年、T細胞移入療法でCiRAと共 同研究 塩野義製薬 本社 R&D 子 会 社 ・関 連 会 社 の R&D ユ ニ ッ ト モダリティ軸 疾患軸 が ん 中 枢 神 経 ・・・ 抗 体 核 酸 ・・・ 低 分 子 再生・遺伝子 モダリティ軸 疾患軸 低 分 子 抗 体 核 酸 ・・・ 本社 R&D が ん 中 枢 神 経 ・・・ 子 会 社 ・関 連 会 社 の R&D ユ ニ ッ ト モダリティ軸 疾患軸 本社 R&D 低 分 子 抗 体 核 酸 ・・・ が ん 中 枢 神 経 ・・・ 子 会 社 ・関 連 会 社 の R&D ユ ニ ッ ト 遺 伝 子 再 生 モダリティ軸 疾患軸 再 生 / 遺 伝 子 抗 体 核 酸 ・・・ 本社 R&D が ん 中 枢 神 経 ・・・ 子 会 社 ・関 連 会 社 の R&D ユ ニ ッ ト 注力 非注力 出所:企業HP、各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 2017年8月時点 現状は取り組みなし
  105. 105 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. グローバル大手は、再生医療よりも遺伝子治療を利用した癌疾患に注力。投資額は 数~数十億ドル程度と国内よりも比較的大きくなっている。 4-2 製薬企業の投資動向 製薬企業の投資動向 グローバル大手ファーマ 再生医療 遺伝子治療(含・遺伝子細胞治療) 対象疾患 投資・買収額 概要 対象疾患 投資・買収額 概要 Pfizer 滲出型加齢黄 斑変性(AMD) 幹細胞を用いた治療の臨床研究に参加 血友病A 7,000万ドル(前払 金)最大4億7500 万ドル インセンティブ 2017年、遺伝子治療プログラムの開発と商業化に向 け、独占的かつ国際的な提携及びライセンス契約を米 Sangamo Therapeutics社と締結。 神経筋疾患 中枢神経疾患 1億5,000万ドル 買収 2016年、遺伝子治療に精通する米Bamboo社を買収 血友病B アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)に変異型血液凝固 第IX因子の遺伝子を組み込んだ遺伝子治療を米 Spark Therapeutics社と共同開発中 Novartis 血液癌 白血病 リンパ腫 1,500万ドル (2015年) 3,500万ドル (2014年) 幹細胞増殖技術と幹細胞ベースの治療用製品 の領域で世界有数の企業であるイスラエル Gamida Cell社に投資 びまん性大細 胞型B細胞リン パ腫 20億ドル 投資 2011年、CART療法の研究関連でUPennに投資 癌 2015年、ゲノム編集技術であるCRISPRに関して、米 国のバイオベンチャーIntellia Therapeuticsと提携 -(新薬開発) 2015年、ゲノム編集技術であるCRISPRに関して、米 国のバイオベンチャーCaribou Biosciencesと提携 Roche - 2011年、UCLAの幹細胞研究者に最新機器や 技術を提供 癌 5億ドル(前払金) 支払 インセンティブ 2015年、患者自身の免疫細胞を刺激して抗癌作用を 持たせる細胞治療技術の開発を目指し、米SQZ Biotech社と共同研究を実施 Sanofi 関節軟骨欠損 熱傷 650万ドル 売却 2014年、Cell Therapy and Regenerative Medicine(CTRM)事業を米Aastrom Biosciences社に売却 中枢神経疾患 1億ドル 初期投資 2015年、米Voyager Therapeutics社と遺伝子治療 の開発に関して提携 GSK - 総額4,800万ユーロ 支払 2015年、ex vivo遺伝子導入技術受託サービスに対し、 MolMed社に支払 (5年間で4800万ユーロ) 2016年3月、CAR-T療法の自動化製造技術の共同開 発契約を締結 - 9,500万ドル 2015年、遺伝子制御技術等の開発に対してAltius社 に投資(10年間) 癌 2014年、癌に対する細胞治療の開発に関して、英 Adaptimmune社と提携 TCRに投資 AbbVie Merck&co 出所:企業HP、各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 現状は取り組みなし 現状は取り組みなし 2017年8月時点
  106. 106 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. グローバル大手は、研究領域としてではなく、疾患別に開発領域を選定し、事業性を 強く意識しながら開発に取り組んでいるように見受けられる。 4-2 製薬企業の投資動向 製薬企業の投資動向 開発体制 グローバル大手ファーマ 研究領域として独立 疾患領域の傘下 子会社・関連会社で活動 数人 or 開発品導入のみ Pfizer • 2014年にはRare Disease Research UnitであるGenetic Medicines Institute (GMI)を英国ロンドンに設立 Novartis • 400人の遺伝子細胞治療ユニットで CARTを中心に開発(2016年に解散) • 遺伝子治療ユニットをOncology部門 の傘下に配置 Roche • 外部組織との共同研究を実施 Sanofi • 細胞治療と再生医療の領域で20年を 超える経験を有するCTRM事業を 2014年に売却 GSK • 希少疾患ユニットにて遺伝子治療研究 を進める。プラットフォームを構築し、 他疾患領域に応用する可能性有り • Adaptimmune社との細胞治療におけ る提携を実施 AbbVie • アカデミアから再生医療シーズを募集し、 条件が合致すれば共同研究を実施 • 遺伝子治療に関するベンチャーへ投 資 Merck&co 本社 R&D 子 会 社 ・関 連 会 社 の R&D ユ ニ ッ ト モダリティ軸 疾患軸 が ん 中 枢 神 経 ・・・ 抗 体 核 酸 ・・・ 低 分 子 再生・遺伝子 モダリティ軸 疾患軸 低 分 子 抗 体 核 酸 ・・・ 本社 R&D が ん 中 枢 神 経 ・・・ 子 会 社 ・関 連 会 社 の R&D ユ ニ ッ ト モダリティ軸 疾患軸 本社 R&D 低 分 子 抗 体 核 酸 ・・・ が ん 中 枢 神 経 ・・・ 子 会 社 ・関 連 会 社 の R&D ユ ニ ッ ト 遺 伝 子 再 生 モダリティ軸 疾患軸 再 生 / 遺 伝 子 抗 体 核 酸 ・・・ 本社 R&D が ん 中 枢 神 経 ・・・ 子 会 社 ・関 連 会 社 の R&D ユ ニ ッ ト 注力 非注力 体内にて再生を促す治 療分子の研究を行う 創薬技術の一つとして社 内でもiPS細胞を研究 出所:企業HP、各種公開情報よりアーサー・ディ・リトル分析 現状は取り組みなし 2017年8月時点
  107. 107 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 欧米の製薬企業・VCは遺伝子治療への投資を増加させている一方、再生医療への 投資は限定的。 4-2 製薬企業の投資動向 米国の民間企業による投資動向 欧米の民間企業による投資動向に関する有識者コメント (海外有識者)  VC/製薬企業による投資は遺伝子治療に集中している。特にCART/ 遺伝子編集の領域で投資が加速 – ただし遺伝子編集の領域は、知財関連の抗争があったため、 当面様子見の状態になる可能性はある  幹細胞を用いた再生医療に対する民間セクターからの投資はほぼゼロ – 2年程度前にJ&JがViacyte社に投資したのが最後のディール ではないか (海外有識者)  製薬企業、VCからの遺伝子治療への投資は近年飛躍的に伸びている – ここ数年で製薬企業からの遺伝子治療への投資金額は CAGR80-100%くらいで伸びており、今後も伸びる見通し – 特にCART領域への投資が急増  投資金額が増えている理由は様々な遺伝子治療技術アプローチの有 用性が近年示されつつあるため – Amgen のt-vecやNovartisのCARTなど (製薬企業)  再生・遺伝子治療領域への製薬企業・VCからの投資額は大きく、特に CARTの領域で増加している – 近年の有効性を示すデータが製薬企業の興味をひいている (海外有識者)  遺伝子治療(CART、in vivo遺伝子治療、遺伝子編集)や再生医療 (MSCなどの体性幹細胞)の領域において、VC企業による投資が増え ている (海外有識者)  近年欧州のVCは遺伝子治療(特にCART/遺伝子編集)への興味を高 めている 古い情報である可能 性あり
  108. 108 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 再生・細胞治療産業の担い手は大手製薬に加えて、医療関連事業機能を持つ周辺産 業のプレーヤも重要となってくる。 4-2 製薬企業の投資動向 再生・細胞治療産業の捉え方 再生・細胞 医療産業 ライフサイエンス 製薬×化学 化学×バイオ 製薬 医療機器 化学・素材 医療機器×バイオ 医療機器×医薬 再生・細胞治療産業の担い手 コンビネーション型 単一製品/効能型 顧客ソリューション型 VC/プロセス構築型 出所:アーサー・ディ・リトル分析
  109. 109 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 米国、日本共に再生・細胞治療製品の開発は9割以上がベンチャー企業もしくは小規 模ファーマ*2によって進められている。 *1:開発企業、フェーズが判明した開発品のみカウント、遺伝子編集を行う再生・細胞治療(CART等)は除く *2:グローバル市場売上トップ30もしくは、日本市場売上トップ10に入らない企業 4-2 製薬企業の投資動向 製薬企業の投資動向 再生・細胞治療のパイプライン分析 6 18 27 40 35 42 4 4 4 2 2 0 1 基礎研究 1 42 0 臨床研究 Preclinical PhaseⅠ 39 PhaseⅡ PhaseⅢ 22 2 PhaseⅡ/Ⅲ 0 6 29 承認申 請中 44 PhaseⅠ/Ⅱ 28 9 3 3 4 2 0 0 0 0 0 0 1 10 基礎研究 28 2 PhaseⅢ 臨床研究 PhaseⅠ 2 0 PhaseⅠ/Ⅱ 3 Preclinical PhaseⅡ 3 1 0 0 承認申 請中 4 1 PhaseⅡ/Ⅲ 凡例: 大手ファーマ*2 ベンチャー、小規模ファーマ ノバルティス、テバ、アステラス 、セルジーンが開発を進める 米国 日本 開発企業別の開発品件数*1 合計:187件 14件 173件 合計:53件 1件 52件 大日本住友製薬が資金を出資し 、共同研究を行う開発品が1件 出所:アーサー・ディ・リトル作成開発データベース
  110. 110 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 海外ではサプライヤ間の買収・提携・統合が進み、多様な製品ラインナップ・サービス 形態を持つ大手サプライヤによる寡占化が進む。 出所:アーサー・ディ・リトル分析 4-2 製薬企業の投資動向 (ご参考)海外の再生医療周辺企業動向 培地 足場 容器 細胞培養 加工受託 サプリメン ト 自動培養 装置* 今後の戦略・方針 Lonza Sigma-Aldrich Stem cell technologies Becton Dickinson △ △ △ △ (△) (△) ◦ △ ◦ ◦ △ ◦ ◦ ◦ △ △ △ △ GEhealthcare ◦ △ △ △ △  バイオプロセス開発(3D培養)を実施  Life technologiesの技術を生かして2D細胞培養 容器の開発を実施  多層化容器などを開発しており、2Dの拡大培養に 注力  他社と共同で2D培養での拡大培養を目指す  (細胞培養容器はCorningに売却済み)  細胞培養に関する様々なノウハウを取りそろえて おり、産業化に向けた取り組みに注力  市場の大きな研究用途・創薬用途に注力  3D培養にてスケールアップおよびプロセスコント ロールの課題解決に注力 ◦:iPS/ES細胞用途含む △:その他の細胞用途 Thermo Fisher Life technologies ◦ ◦ ◦ ◦ △ 買収 Merck Millipore ◦ △ △ △ ◦ (Merckが) 買収 Corning △ ◦ ◦ △ 容器事業 買収 海外再生医療周辺企業 消耗品企業動向
  111. 111 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 3 疾患別の市場・競争環境 4 実用化シナリオと投資配分方向性 4-1 実用化シナリオ 4-2 製薬企業の投資動向 4-3 各国政府の投資配分ポートフォリオ 4-4 我が国の投資配分に対する示唆 5 実用化に向けて対応すべき課題
  112. 112 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. バイオ研究への投資は主にNIHを通して実行。NIHの下に疾患別の研究所があり、米 国はモダリティ軸ではなく疾患軸で投資先を決定する傾向が強い。 出所:NIHを中心にみる米国のライフサイエンス・臨床医学研究開発動向(CRDS)よりアーサー・ディ・リトル分析 4-3 各国政府の投資動向 各国投資動向 米国のバイオ研究開発のリソース 公的研究所 (国立がん研究所、国立眼研究 所、他18研究所) 保健福祉省 (HHS) 国立衛生研究所 (NIH) 大統領府 遺伝子治療 297 1,339 再生医療 州政府 癌 13,130 認知症 2,813 ARMへの資金流入は確認できず カリフォルニア州やニュージャージー州等、再 生医療研究の予算を設定。ニュージャージー 州では研究施設を建設($150mn) ・・・ ・・・ 予算配分の流れ 予算額(百万円) 投資対象
  113. 113 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 米国政府の再生医療、遺伝子治療への投資金額は下記の通り。 *1:$=120円として計算 *2:「再生医療」若しくは「遺伝子治療」のNIH Spending Categoriesが紐づく研究課題に限り集計 *3:開発研究に分類した採択課題の内、「臨床研究」のNIH Spending Categoriesが紐づく研究課題に限り集計。臨床試験に入る前の段階の研究も含む 出所:NIHウェブサイト、AMED採択課題データよりアーサー・ディ・リトル作成 4-3 各国政府の投資動向 (ご参考)米国の投資動向(再生医療/遺伝子治療) 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 [百万円] 脊 髄 性 筋 萎 縮 症 ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 心 筋 症 ハ ン チ ン ト ン 病 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 ク ロ ー ン 病 筋 ジ ス ト ロ フ ィ ー 脊 髄 損 傷 多 発 性 硬 化 症 ヘ モ グ ロ ビ ン 異 常 症 慢 性 腎 臓 病 ア ッ シ ャ ー 症 候 群 末 梢 性 神 経 障 害 虚 血 性 心 疾 患 心 不 全 ア ル ツ ハ イ マ ー 病 結 核 外 傷 性 脳 損 傷 糖 尿 病 黄 斑 変 性 固 形 が ん HIV 肝 不 全 肝 硬 変 慢 性 肺 疾 患 関 節 症 血 液 が ん 脳 梗 塞 パ ー キ ン ソ ン 病 先 天 性 代 謝 障 害 米国の投資動向 多能性幹細胞 他細胞 遺伝子治療
  114. 114 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 前頁の投資動向データは、下記のように抽出。臓器や細胞に再生に係る基礎研究が 母集団に含まれていることに留意頂きたく。 出所:NIHウェブサイトよりアーサー・ディ・リトル作成 4-3 各国政府の投資動向 (ご参考)米国投資動向に使ったデータの前提 抽出範囲  再生医療 − 臓器や細胞の再生に係る基礎研究を含む  遺伝子治療 − ex-vivoの遺伝子治療を含める 抽出手法  NIHの採択プロジェクトDB(RePORTER)より、NIH Spending Categoryに基づき、ADLにてピックアップ し、集計  集計分類とNIH Spending Categoryの紐づけは以下 − 再生医療:Regenerative Medicine − 遺伝子治療:Gene Therapy
  115. 115 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 英国では、英国研究会議協議会が主に基礎~応用研究、Innovate UKが産業化を 見据えた研究開発費の配分を担う。 *「2012年より5年間で£25mn投資」との情報を基に概算 出所:独立行政法人化学技術振興機構 研究開発戦略センター「科学技術・イノベーション動向報告~英国編~ 」、 Innovate UK Delivery Plan: Delivery plan 2016 to 2017、 Horizon 2020 Work Programme 2016-2017、Medical Research Council Annual report and accounts 2016/17 4-3 各国政府の投資動向 各国投資動向 バイオ研究開発のリソース(英国) 主な予算配分の流れ 予算額(’16) 投資対象 英国政府 ビジネス・イノベ ーション・技能省 (BIS) Innovate UK 欧州連合 Horizon 2020 英国研究会議協議会 (RCUK) 医学研究会議(MRC) 工学・物理化学 研究会議(EPSRC) バイオテクノロジー・生物 科学研究会議(BBSRC) CGT Catapult UK Regenerative Medicine Platform ・・・ 一部が再生・遺伝子治療に 投資されていると思われる が内訳は不明 一部が再生・遺伝子治療 に投資されていると思わ れるが内訳は不明 英国のEU離脱により、英国機関へ の給付は英国政府が引き継ぎ。 その後の対応方針は不透明 主に産業界への 支援を実施 再生医療 (基礎~応用研究) 細胞遺伝子 治療(前臨床~臨床) 分子生物医学 (基礎~応用研究中心) 感染症/免疫 (基礎~応用研究中心) 神経/精神 (基礎~応用研究中心) ・・・ < £ 13.5 mn 再生医療 (臨床) 細胞・遺伝子治療 (中小企業助成) €30 mn €35 mn 慢性疾患 (臨床) 希少性疾患 (臨床) €60 mn €65 mn £756 mn (MRC全体) £ 5 mn* 細胞遺伝子 治療(製造施設等) < £ 40 mn
  116. 116 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 日本はiPS細胞に投資を集中。米国は、魅力度の高い疾患領域を中心に、根本治療 となりうる幅広い技術領域に投資を実施。 出所:アーサー・ディ・リトル分析 4-3 各国政府の投資動向 日米の投資領域比較まとめ 日本の投資動向 米国の投資動向 疾患軸  短期的な実用化が見込まれる疾患領域に対する投資 が手薄  中長期の実用化が見込まれる疾患領域に関しては、 iPS/ES細胞が勝ち筋になる可能性がある疾患領域に 投資を集中させている  短期の実用化が見込まれる疾患領域に対して、遺伝子 治療を中心に投資を行っている – がん、単一遺伝子疾患、HIV感染症  中長期の実用化が見込まれる疾患領域に関しては、魅 力度が高い疾患領域を中心に、様々な疾患領域に投 資を行っている – パーキンソン病、脊髄損傷、心疾患、脳梗塞、ア ルツハイマー病、多発性硬化症等 技術軸  大部分の投資をiPS細胞に集中させている  iPS細胞以外の根治療法の実用化が進んでいる疾患 領域に対しても、iPS細胞への投資が行われており、妥 当性について要検証  遺伝子治療への投資が目立つ他、iPS/ES細胞や体性 幹細胞治療に投資を実施  実用化が遠い疾患領域を中心に、幅広い実用化シナリ オに対応して投資を分散させているように見受けられる – 心臓: iPS細胞に加え、遺伝子治療、体性幹細 胞に投資 – 肝臓:iPS細胞に加え遺伝子治療に投資、等
  117. 117 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 3 疾患別の市場・競争環境 4 実用化シナリオと投資配分方向性 4-1 実用化シナリオ 4-2 製薬企業の投資動向 4-3 各国政府の投資配分ポートフォリオ 4-4 我が国の投資配分に対する示唆 5 実用化に向けて対応すべき課題 6 我が国が取るべき施策 7 補遺
  118. 118 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 根本治療技術の複数の実用化シナリオに対応し、いくつかの研究開発費配分シナリ オが想定される。 出所:アーサー・ディ・リトル分析 4-4 投資配分に対する示唆まとめ 研究開発費配分シナリオ 概要・メリット・デメリット 根本治療技術 実用化シナリオ 幅広い疾患領域で iPS/ES細胞による治療 が実現 シナリオ3 細胞治療(パラクライン) が中心となり再生細胞治 療市場を形成 シナリオ1 幅広い疾患で体細胞/体 性幹細胞による治療が 実現* シナリオ2 再生能力を持つ医薬品 が実用化し、再生細胞治 療製品を置き換え シナリオ5 遺伝子治療/編集**によ る早期介入が普及し、再 生細胞治療の対象市場 が縮小 シナリオ4 研究開発費配分 シナリオ iPS細胞への 集中投資 (現状維持) iPS細胞に加え、 ES細胞への 投資を加速 再生細胞医療の 幅広い実用化を 目指す 遺伝子治療/他モダリ ティによる根本治療 への投資分散 1 2 3 4 配分方針概要 メリット デメリット  iPS細胞による根治が見込まれる 魅力度の高い疾患を対象として、 iPS細胞に対して集中的に投資  ES細胞への投資・横展開を促進さ せ、iPS/ES細胞治療の社会基盤 構築の加速化を目指す  iPS/ES細胞に加え、体細胞、体性 幹細胞など、幅広い細胞種に投資  疾患の根治を目指した幅広い技術 領域に投資を分散させる  iPS細胞における日本の優 位性を堅持することができ 、産業化の暁には大きな利 益を享受できる  (iPS細胞一点集中と比較 して)早期のiPS/ES細胞治 療の社会基盤構築が期待 できる  早期の再生細胞治療の社 会基盤構築が期待できる  幅広い実用化シナリオに対 応可能  幅広い実用化シナリオに対 応可能  競合技術による根治実現に より獲得できる市場が縮小 するリスクが大きい  産業化までに必要な投資が 長期にわたるため、リスクが 高い  競合技術による根治実現に より獲得できる市場が縮小 するリスクが大きい  産業化までに必要な投資が 長期にわたるため、リスクが 高い  競合技術による根治実現に より獲得できる市場が縮小 するリスクがある  投資が分散することで、日本 の優位性確保が困難となる 可能性がある
  119. 119 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. それぞれの研究開発費配分シナリオでの想定アクションの例は以下の通り。 出所:アーサー・ディ・リトル分析 4-4 投資配分に対する示唆まとめ 研究開発費配分シナリオ 想定アクション 根本治療技術 実用化シナリオ 幅広い疾患領域で iPS/ES細胞による治療 が実現 シナリオ3 細胞治療(パラクライン) が中心となり再生細胞治 療市場を形成 シナリオ1 幅広い疾患で体細胞/体 性幹細胞による治療が 実現* シナリオ2 再生能力を持つ医薬品 が実用化し、再生細胞治 療製品を置き換え シナリオ5 遺伝子治療/編集**によ る早期介入が普及し、再 生細胞治療の対象市場 が縮小 シナリオ4 研究開発費配分 シナリオ iPS細胞への 集中投資 (現状維持) iPS細胞に加え、 ES細胞への 投資を加速 再生細胞医療の 幅広い実用化を 目指す 疾患領域毎の 勝ち筋技術 への戦略投資 1 2 3 4  現状維持  実用化が近いと想定される眼・神経等の疾患領域において、ES細胞を用いた開発研究へ の配分を増やす  基盤構築系の研究に投資について、 ES細胞への技術の横展開への配分を増やす  実用化が近いと想定される眼、神経、美容、歯科等の領域について、他細胞種を対象として TR支援、技術基盤整備に投資を行い、再生細胞医療の社会基盤構築を加速化  長期的に体性幹細胞・体細胞も勝ち筋となる可能性が想定される疾患(心臓、神経、肝臓等 )で、iPS細胞への一点投資から、他細胞種への投資分散を目指す  日本にとっての魅力度が高いと想定される疾患領域(神経疾患、自己免疫疾患など)を選定 し、技術モダリティに関わらず根治を目指した研究開発に投資を実施する  今後市場の立ち上がりが見込まれる遺伝子治療も、一定の投資を実施する – 現在、世界で盛んに投資が行われている一方で、国内での投資が乏しい。 – 優位性確保を目的とした技術基盤の構築(例:AAVの新規要素技術、次世代AAV、 ゲノム編集関連技術など)への投資が望まれる 想定アクション(例)
  120. 120 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 基礎研究段階においては幅広/長期的な投資、橋渡し研究段階においては実用化 が近いシーズへのある程度の戦略的な集中投資が必要となるか。 出所:アーサー・ディ・リトル分析 4-4 投資配分に対する示唆まとめ 研究開発費配分シナリオ 投資領域を選定する上で考慮すべき基準/考え方 投資領域を選定する上で考慮すべき基準/考え方 基礎研究 (但し、出口を見据えていない純粋な基礎研究は除く) 橋渡し研究 (前臨床~開発前期) 実用化支援 (開発後期) 選 定 基 準 / 領 域 例 戦略領域は持ちつつも、根本治療 となる可能性のある疾患×技術 に中長期に投資 ある程度実用化が近いシーズへ の戦略的な集中投資を通じて、産 業化のための社会基盤構築促進 企業とのコンソーシアムを視野に 入れた投資スキームの構築 考 え 方 魅力度が高く、 実現度が低い疾患 (社会的負担の大きい疾 患/再生・遺伝子治療で しか治らない疾患) 国内のプレーヤのプ レゼンスが高い技術 (共通的な技術基盤の整 備を見据えた投資?)  神経疾患(末梢神経 障害、AD)  自己免疫疾患(関節 リウマチ、多発性硬 化症)  関節症、等  iPS細胞+ES細胞へ の横展開  遺伝子治療/編集の 日本発技術  Tissue engineering 投資規模が莫大で、 一企業では開発でき ないような疾患  循環器・ロコモー ティブ・代謝系疾 患の予防領域 実用化が近いものの 企業による開発インセ ンティブが低い疾患  眼  美容領域/歯科 領域  神経系(脊髄損傷 など) 国内のプレーヤのプ レゼンスが高い疾患 ×技術  神経系(脳梗塞な ど)
  121. 121 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 実用化の近さ/(日本社会として)治療の必要性の高い疾患という視点での優先順位 付けと、細胞種も含めた投資の分散を求めるコメントが多数。 出所:有識者ヒアリングよりアーサー・ディ・リトル作成 投資配分に対する示唆まとめ 投資配分方針に関する有識者コメント 投資配分方針に関する有識者コメント (ライフサイエンス企業)  目指す社会の姿に合わせて、疾患別の研究予 算配分、薬価の重みづけを決定するべき  超高齢化社会の日本は、社会的負荷が大きい 疾患の再生医療研究を優先して実施すべき  循環器・ロコモーティブに関係する疾患の早期 治療研究は、1企業が出来るレベルではない為、 国にしかできないプロジェクトとして考えても良 いのではないか – 基本的に、早期介入した方が全体の 治療費は安く済む – 早期段階の治験は、コホート研究にな る為、1企業では実施不可。国のプロ ジェクトとしてであれば実施可能 (業界有識者)  国として投資対象先は絞るべき – 全部に投資できるほど日本は体力な い (ライフサイエンス企業)  再生医療の領域は未だ未成熟であり、集中投 資が適していない段階。iPS細胞以外にも投資 していくことが必要  臓器移植代替/tissue engineeringという領 域は、米国が力を入れて取り組んでおらず、日 本が優位性を発揮できる可能性がある  美容医療などで自由診療の範疇で市場が拡 大し、その後、自由診療のデータをもとで保険 診療として承認することが可能になるかもしれ ない (製薬企業)  日本は再生医療に力を入れ過ぎている為、世 界で行われている遺伝子治療と再生医療の案 件の比率で予算配分しては? – イメージとしては、細胞治療:遺伝子治 療=3:7  再生であれば歯科、整形の領域が有望では? – 市場の成長率が高く、かつアジア諸国 に市場を広げられる (製薬企業)  単一遺伝子疾患に対する遺伝子治療のように、 再生・細胞治療でしか治らない疾患や、再生細 胞治療によりクリティカルポイントを超えられる ような疾患を狙うべき – 脊髄損傷の場合、全身麻痺の患者様 が指先が動かせるようになるだけでも 意味があり、再生医療によりクリティカ ルポイントを超えることができる可能性 がある疾患の好例 (業界有識者)  経済産業省としては、実現性低・魅力度高の疾 患群中で共通する、開発プロセス上の課題技 術の支援をするイメージがある (業界有識者)  産業化を見据えると、実用化が近い領域にも 投資していくべきではないか – 美容・歯科領域など
  122. 122 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 3 疾患別の市場・競争環境 4 実用化シナリオと投資配分方向性 5 実用化に向けて対応すべき課題 5-1 事業上の課題の整理 5-2 諸外国の取り組み状況 5-3 医療経済性評価の枠組み
  123. 123 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 国内外プレーヤにとって魅力的な事業環境の整備や国内プレーヤのプレゼンスの確 立を目指す上で、各VC上に課題が散見される。 出所:各種2次情報、有識者ヒアリングを元にアーサー・ディ・リトル作成 5-1 根本治療産業化の事業上の課題 全体像 事業上の課題 課題仮説 目指す姿 (国内外プレーヤ にとって) 魅力的な事業環境 の整備 重点投資領域とする技術×疾患の開発段階に合わせた支援が必要となる 開発/承認 販売  条件付き承認制度 – 承認の基準に対する行政の スタンスが見えない – 開発者の市販後調査の負 担が大きい  開発期間/コスト – 開発に必要なコスト面、期 間面で他国に劣っている  薬価 – イノベーティブな技術の薬 価評価制度が整っておらず 、開発費を回収可能な薬価 がつくかどうかが不透明  医療機関の整備 – 治療が可能な医療機関が 限られており、患者の裾野 が広がらない  営業・販売体制 – 営業・販売体制が整ってい ない  輸送インフラ・ロジスティクス – 輸送インフラ、ロジスティク スが整っていない 国内プレーヤの プレゼンスの確立 研究  基礎研究資金 – 基礎研究のための 資金が不足/配分 の機能不全 製造  原料供給体制 – 細胞ソース:ES細胞、同種細胞を使用 するための法整備が進んでいない/ 細胞バンクの未整備 – 周辺試薬:安定供給体制が整っていな い  製造体制 – 国内での製造受託体制が整っていな い  原料基準、品質評価 – 原料が満たすべき基準が定められて いない – 生物由来原料基準の運用の柔軟性が ない – 品質評価法が未確立、かつ標準化の 議論に日本が参加できていない – 国間で基準が異なり、輸出入のハード ルが高い  トランスレーショナルリサーチ – アカデミアが製造におけるノウハウを保 有していない  トランスレーショナルリ サーチ – アカデミアが開発におけ るノウハウを保有してい ない/ 開発資金不足 – 臨床研究から治験への 移行のハードルが高い – PMDA, FIRM, 再生医療 学会のコンサルティング 業務の機能不全 知財  アカデミア発のシーズの 知財獲得が進んでいない  知財確保のための資金不 足  TLOの機能不全  医療特許 – 医療特許が取得でき ず、強い知財を確保し にくい 本PRJの検討課題
  124. 124 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 基礎研究資金の確保、効率的な資金配分の仕組みが必要。 出所:研究開発の俯瞰報告書 ライフサイエンス・臨床医学分野(2017年)、有識者インタビューを元にアーサー・ディ・リトル作成 5-1 根本治療産業化の事業上の課題(1/8) 研究 知財 製造 開発 販売 項目 日本の状況 諸外国の状況 基礎研究 資金  他国と比較して政府から提供される基礎研究資 金が低い水準に留まっている  寄付による研究開発資金確保の仕組みが機能 していない – 寄付に対する税制が整っていない  効率的な研究資金配分ができていない – 複数省庁による資金提供体制 – 学会の乱立  欧米では民間や個人からの寄付による研究資金 獲得の仕組みが機能している – 寄付に対する税制が整っている – 疾患単位ごとに患者団体が存在し、寄付を集 めて大学に投資している  米国は、遺伝子・再生医療領域における基礎研 究資金配分の明確な戦略はない模様 – 但し米国大学では、ある程度産業化を見据え た研究領域の選択がなされているため、産業 化に効率よく結びついている “再生医療製品の開発に対してお金が入る仕組みは出来てきている一方で、投資 先のシーズが不足している状況。これまでの20年間で大分規制が整ってきたので、 今後は研究資金を豊富にし、シーズを増やしていく段階”(ライフサイエンス企業) “寄付に対する税制が整っておらず、基礎研究資金が集まりにくい状況。更に複数 省庁による資金提供体制、学会の乱立が原因となり、サイエンスベースの研究資 金配分ができていない”(ライフサイエンス企業) “米国でも研究開発費不足が問題視されており、富裕層などからの寄 付に頼っている状況” (海外機関) “疾患単位ごとに、患者やその家族で形成されるグループが存在し、寄 付を集めて大学に投資している”(業界有識者)
  125. 125 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 医療特許の取り扱い方針が事業上のリスクとなっている可能性がある。アカデミアの 知財確保体制が不十分である可能性がある。 出所:日経バイオテクを元にアーサー・ディ・リトル作成 5-1 根本治療産業化の事業上の課題(2/8) 研究 知財 製造 開発 販売 項目 日本の状況 諸外国の状況 医療特許  国内では医療特許の取得が認められていない ため、諸外国と比較して強固な知財確保が困難  米国:医療特許が認められ、再生医療製品の強 固な知財確保が可能  米国:アカデミアが積極的に知財を獲得し、それ らをベースとした産業化が進んでいる アカデミアの 知財確保  アカデミアの特許出願・維持費用の欠乏やノウ ハウが欠如  TLOの機能不全 “大学内に弁護士や特許取得の専門家がおり、事業 性を鑑みて大学全体で知財ポートフォリオ管理を実 施” (海外機関) “研究の競争力はあるにも関わらず、資金・ 人材不足により強い知財を確保できていな い”(業界有識者)
  126. 126 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 原料供給体制、製造受託体制の構築が不十分。 出所:有識者ヒアリング、日経バイオテクを元にアーサー・ディ・リトル作成 5-1 根本治療産業化の事業上の課題(3/8) 研究 知財 製造 開発 販売 項目 日本の状況 諸外国の状況 原料供 給体制  欧米:細胞ストックの実績を積んでいるプレーヤ が既に存在  米国:NIH-LonzaがiPSストック事業への取り組 みを開始。Lonza社がGMPレベルのヒトiPS細 胞の供給に着手 細胞  ES細胞、同種細胞を使用するための法整備が 進んでいない  高品質の細胞を安定的に供給できる機関が国 内にない  欧米:サプライヤ間の買収・提携・統合が進み、 多様な製品ラインナップ・サービス形態を持つ大 手プレーヤが存在 周辺試 薬  安全・低価格・安定供給の可能な周辺試薬の供 給体制ができていない  多数のプレーヤが混在し、個別製品毎にサプラ イヤがフラグメント化  欧米:複数の大手CMOプレーヤが存在。GE Healthcare等の海外大手プレーヤが大量培養 手法確立に積極的に取り組み  英国:政府の資金で製造受託設備を建設(Cell and Gene Therapy Catapult) 製造 受託体制  受託製造体制が十分に整っておらず国内での 開発のボトルネックとなりうる  小規模の製造の請負やアカデミアへの製造コン サルティング支援を実施するCMO、CROが不 在 “日本ではES細胞や同種細胞を使用するため の法整備が進んでいないことが課題”(業界 有識者) “日本は(ADL追記:ロンザが受託しないような)もっと細 かな段階から細胞培養委託に対応し、シーズを育ててい く必要がある” (業界有識者) “遺伝子治療においても、製造受託 設備がないことがボトルネックとなっ ている”(製薬企業)
  127. 127 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 原料基準/品質評価への取り組みが不十分であり、臨床試験の実施を妨げる要因と なっている。 出所:有識者ヒアリング、日経バイオテクを元にアーサー・ディ・リトル作成 5-1 根本治療産業化の事業上の課題(4/8) 研究 知財 製造 開発 販売 項目 日本の状況 諸外国の状況 原料基準/品質評 価  原料基準に関して、FIRMが中心となりISO TC 276 WG4の整備に取組中  佐藤陽治氏を筆頭に、iPS細胞の造腫瘍性のガ イダンスの策定、海外展開を狙う  生物由来原料基準の運用の柔軟性がない  米国:NISTとFDAが「インターナショナルな組織 」としてSCBを結成し、標準化に取り組んでいる  原料基準/品質評価が定まっていない段階でリ スクをとって臨床試験を実施するプレーヤが不 在  米国:基準の確定を待たず臨床試験に積極的に 取り組むプレーヤが存在 “SCBは「インターナショナルな組織」とされて いるものの、日本は参加できていない。但しい まだ予算は取り切れていない状況であり今後 の動向の注視が必要” (業界有識者) “日本はiPS細胞の品質基準の策定において 世界をリードしようとしているが、他国はあまり iPS細胞には興味を持っておらず、CARTや MSCをベースにガイダンスを策定する流れ” (製薬企業) “現時点では明確なガイダンス作成は困難であり、開発を進め るためにはリスクをとってヒトでの有効性・安全性を検証するプ レーヤが現れる必要があるが、リスクをとるプレーヤが現れな いことが日本の課題” (製薬企業) “米国と比較して製品の品質について厳しい ことが、日本で開発が進みにくい要因となって いる(業界有識者)
  128. 128 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 原材料作製作業の計画の記録の保存や由来動物の飼育管理や原産地、使用部位等 の確認が困難であることが指摘されている。 出所:第14回 日本再生医療学会総会 ランチョンセミナーLS-16 国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞治療製品部 佐藤陽治氏 「再生医療等製品の製造における生物 由来原料の品質」 (ご参考)生物由来原料基準 研究 知財 製造 開発 販売
  129. 129 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 早期承認制度自体は魅力的であるものの、市場魅力度が低いこと、運用実績が少な いことから、海外プレーヤが日本での開発を進めるまでには至っていない。 5-1 根本治療産業化の事業上の課題(5/8) 出所:有識者ヒアリング、日経バイオテクを元にアーサー・ディ・リトル作成 研究 知財 製造 開発 販売 項目 日本の状況 諸外国の状況 条件付き 承認制度  条件付き承認制度の運用実績が 未だ少なく、行政のスタンスが見 えないことが日本での開発意欲を そいでいる  米国:一部の再生医療等製品に ついて迅速承認が可能に。ただし 迅速承認に必要なデータセットは 不明瞭 – 2015年、 21st Century Cures ActにRMAT制度を策定し、一 部の再生医療等製品について 、BT指定を適応可能に – BT指定を受けた場合、FDAの 全面的な協力が得られる  欧州:Adaptive pathways制度を 開始。但し運用法については検討 中  条件付き承認後の企業の負担が 大きい – 市販後調査など  欧米:条件付き承認制度は保有し ていない – 米国のRMAT制度では迅速承 認を受けた製品の再申請は不 要 “再生医療等製品の承認基準に対する 行政のスタンスが見えないことが課題” (研究機関) “ハートシートの他の製品が同様に承 認を受けることができるのかという点は 疑問” (製薬企業) “承認後の条件付きの期間の企業の負担が大 きいことが企業の開発意欲を下げている” (製薬企業) “再生医療においては、全般に日本よりも米国のほ うが規制は厳しい。FDAは日本のほうが進んでい ると考えている。米国の臨床試験は多いかもしれな いが、内訳としてきちんとした技術、試験は少ない のでは”(海外機関) “日本の限定付承認は魅力的ではあるものの、依 然市場の魅力度が大きい米国で開発する企業が 多い”(米国有識者) “FDAは暫定版ガイダンスの作成とワークショップの 開催により、多様な立場の専門家の意見を取り入 れた適切な規制作りに努めている”(米国有識者)
  130. 130 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. BT制度は、指定する上で臨床上のエビデンスを要求する、代替エンドポイントによる 迅速承認を容認するという点で先駆け審査指定制度と異なっている。 *追加でいくつかの条件を満たす場合に適応される 出所:FDA, PMDAウェブサイト等よりアーサー・ディ・リトル作成 (参考)先駆け審査指定とBreakthrough Therapy Designationの違い 先駆け審査指定とBreakthrough Therapy Designationの違い 指定条件 優 先 さ れ る 事 項 規制当局による 優先的なサポート 頻回の相談・助言を受けられる 優先審査(Priority Review) 優先的に審査を受けることができ、 総審査期間が短縮される 逐次審査(Rolling Review) 申請の審査用資料について、完成 したセクションから順次提出し、審査 を受けられる 迅速承認 (Accelerated Approval) 代替エンドポイントに基づく承認を受 けることができる 先駆け審査指定 Breakthrough Therapy Designation ✔  アンメットニーズが大きい疾患であること  (他国での)臨床試験において既存治療法に対す る優位性が示唆されていること ✔ ✔* ✔*  新規作用機序であること、アンメットニーズが大きい 疾患であること、既存治療法に対する優位性が示 唆されていること  世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思が あること ✔ ✔ ✔* ✔ 代替エンドポイントによる承認は 認められていない “RMAD制度は米国国外に て取得した臨床データがあ れば、早期のデータ取得の 段階をスキップすることが可 能”(海外機関)
  131. 131 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. アカデミアのノウハウや資金不足により効率的なトランスレーショナルリサーチが行わ れていない。 5-1 根本治療産業化の事業上の課題(6/8) *GENETHON:フランス筋疾患協会がTelethonの寄付で1990年に設立し、世界最大のGMP準拠ウイルス製造プラントで年間30億円の予算で臨床用ベクターを製造。**TIGET: 寄付によって設立されたイタリアの遺伝子治療の研究所 出所:有識者ヒアリング、日経バイオテク、研究開発の俯瞰報告書 ライフサイエンス・臨床医学分野(2017年)、岡山大学名のバイオ標的医療イノベーションセンターセンター長 「遺伝子治療の現状と今後の期待」を元にアーサー・ディ・リトル作成 研究 知財 製造 開発 販売 項目 日本の状況 諸外国の状況 トランスレーショナル リサーチ  アカデミアプレーヤに製造、臨床研究/臨床試 験の実施ノウハウが不足 − FIRM、再生医療学会、PMDAが実施するコ ンサルティング業務の機能不全  臨床試験の実施ハードルが高く、臨床研究に閉 じてしまう場合が多い  米国:アカデミアと企業の臨床試験がINDで一 本化されており、開発のブリッジが容易。更に医 師が臨床試験をすることがビジネス化しており、 臨床試験のノウハウを保有  アカデミア・小規模ベンチャーへの投資環境が 整っておらず、開発資金が不足  米国:VCや政府による投資環境が整っている  仏国・イタリア:慈善基金により開発が加速され る仕組みが存在する(フランスのGENETHON* 、イタリアのTIGET**など) “FIRMや再生医療学会、PMDAなど、足並 みを揃えられておらず役割が重複してし まっている” (業界有識者) “米国は基準がINDに一本化されており、アカデミアでも ベンチャーでもデータのクオリティが担保されており、開 発に進めやすい素地が整っている”(国内VC) “国内でもINDの一本化を見据えて臨床研究を臨床試験 に寄せる取り組みが行われている”(業界有識者) “アカデミア、ベンチャーは、臨床に入っていく ときのノウハウ、資金等、色々要素が足りて いない” (製薬企業) “日本は医師が裁量を持っており、制度上臨床研 究や自由診療を実施しやすいことが強み”(ライフ サイエンス企業) “再生医療に対する投資機運の高まりに従い、上 場利益のみを目的とした怪しい会社が増えてきて おり、国には再生医療研究の質の向上に取り組 んでほしい”(ライフサインス企業) “米国では、医師が臨床試験をすることがビジネス化して おり、臨床試験のノウハウを持っている。NIHから容易に ファンドを受けられる”(業界有識者)
  132. 132 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 薬事申請のためには治験を実施する必要がある。治験のみに薬機法とGCPの規制 が適応され、他臨床試験は倫理指針等が適応される。 出所: 平成18年度厚生労働科学研究費補助金「医薬品・医療機器開発に対する理解増進に関する研究」研究班 web掲載資料 (参考)臨床試験と治験(/臨床試験)の違い 治験(/臨床試験) 臨床研究 概要 実施に際する ルール  ヒトを対象とした介入試験  医薬品等の承認申請の際の資料として利用できる  薬機法、GCPに則って実施  非臨床試験の一部(安全性薬理試験、毒性試験)に 関してはGLP、治験薬に関してはGMP順守の上実施 する必要がある  ヒトおよびヒト試料を用いた研究  臨床研究で収集された資料は、医薬品等の承認申請 用の資料として利用することはできない  倫理指針に則って実施 – 臨床研究倫理指針など
  133. 133 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 日本では、諸外国と比較して求められる試験規模は小さい一方、被験者のリクルート に高いコストを要する傾向がある。 5-1 根本治療産業化の事業上の課題(7/8) 出所:有識者ヒアリング、日経バイオテクを元にアーサー・ディ・リトル作成 研究 知財 製造 開発 販売 項目 日本の状況 諸外国の状況 開発期間/ コスト  求められる試験規模(期間、被験者数)は、諸外 国と比較して小規模  一方、被験者のリクルートにコスト・時間がかか る傾向にある – 国民皆保険制度であり、高い質の医療を誰も が受けられる – 病院ごとの専門性が低い  更に、遺伝子治療の場合には、カルタヘナ法へ の対応に時間を要する可能性がある – 但しカルタヘナ法の運用に関しては近年簡易 化が進められている  欧米は、日本と比較して、求められる試験規模( 期間、被験者数)が大規模  一方、特に米国においては、被験者のリクルート が日本と比較して容易である傾向がある – 貧困層を被験者としてリクルートしやすい – 病院ごとの専門性が高い “米国は、貧困層を被験者としてリクルートしやすいこと、病 院ごとの専門性が高いことなどから、被験者のリクルートが 容易であり、臨床試験を実施しやすい。”(ライフサイエンス 企業)
  134. 134 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 日米欧各国、環境影響評価/排出試験の実施を規定。日本では、カルタヘナ法への 対応のために臨床試験開始のために必要とされる煩雑な手続きが遺伝子治療製品 の迅速な開発を妨げている可能性がある。 出所:「遺伝子治療用製品の開発における国内と海外の規制動向-5年間の進展-」国立医薬品衛生研究所遺伝子医薬部 内田恵理子氏(2016/6/16)よりアーサー・ディ・リトル作成 (ご参考)環境影響評価と排出試験の規制の各国比較 有識者コメント  “日本では、カルタヘナ法による 規制が他国よりも厳格であり、海 外製品を日本で商業化するハー ドルは高い”(業界有識者)
  135. 135 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 上市後の営業・販売、輸送、治療におけるインフラ面での整備が必要。 出所:有識者ヒアリング、日経バイオテクを元にアーサー・ディ・リトル作成 5-1 根本治療産業化の事業上の課題(8/8) 項目 日本の状況 諸外国の状況 営業・ 販売体制  既存の営業・販売ルートに乗せることが困難  米国:販売受託体制が整っており、小規模な企 業でも販売体制を築きやすい 輸送インフラ  温度管理、振動、混載管理など特殊な運搬が必 要な分野であるが、未だ流通システムの整備が 進んでいない  日本と同様、ロジスティクスの整備が課題となっ ている 医療機関  再生医療等製品を扱える医療機関が限られてお り、患者の裾野が広がらない  特に米国においては、専門性が高い病院が多く 、患者を集めやすい 研究 知財 製造 開発 販売
  136. 136 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 3 疾患別の市場・競争環境 4 実用化シナリオと投資配分方向性 5 実用化に向けて対応すべき課題 5-1 事業上の課題の整理 5-2 諸外国の取り組み状況 5-3 医療経済性評価の枠組み
  137. 137 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 米国では再生医療製品の上市に向け、複数省庁が特別な取り組みを実施。 出所:各種公開情報、有識者インタビューを基にアーサー・ディ・リトル作成 *1:21st century cures act 及びFDA-NIH Joint Leadership Councilによる取り組み *2:Standards Coordinating Body *3:Regenerative Medicine Advanced Therapy *4:Breakthrough Therapy 5-2 諸外国の取組状況 米国 課題仮説 研究 知財 製造 開発 承認 販売 事業上の課題に対する米国政府の取り組み 医療進展に向けた通常業務 中心省庁 概要 近年の動向*1 中心省庁 概要  研究の為の資金援助  公的研究所の運営  規格の作成 – 安全基準の設定 – 測定手法の開発  知財権の管理、承認  新規医薬品、医療機 器の承認  革新的医療をBT*4指 定し、承認をサポート  開発の為の資金援助  公的研究所の運営 NIH USPTO NIST NIH FDA  再生医療研究の為の 予算を確保 – 21st century cures actにて、同分野へ の3,000万$が投資 が決定  再生医療製品の規格 作成 – SCB*2と協力の為の 覚書を取り交わした  再生医療製品の早期 承認に向けたサポー ト体制を整備 – 但し、条件を満たす 場合のみ – RMAT*3指定される とBT*4指定を受けら れる  治験薬の上市に向け 課題解決に取り組む – FAD-NIHリーダー シップ評議会が推 進し、臨床試験プロ トコルテンプレートを 作成 NIH NIST FDA FDA 他国と比較し承 認が遅い? 事務手続きが 複雑? 安全基準が不 明瞭? 研究資金が不 十分? “取り扱いテーマとしては、市民、 科学者、企業、ロビー活動者等 からの声を受けて、アンメット ニーズが高いと思われる技術領 域を選定。会議開催は不定期で あり、原則FDA/NIH内の人間が 参加。”(海外機関)
  138. 138 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. CCRMは産業化を見据えた活動を行っている模様。FIRMは産業の枠組みを決めるこ とに注力。 出所:各団体ウェブサイトよりアーサー・ディ・リトル作成 5-2 諸外国の取組状況 諸外国の産業化モデル 業界団体比較 # 1 2 3 名称 FIRM CCRM ARM 地域 日本 カナダ 米国 目的 再生医療研究の成果を安全かつ安定的に提供できる社 会体制をタイムリーに構築し、多くの患者の根治と国益 の確保、国際貢献を実現する。 細胞および遺伝子治療、再生医療における世界的な協 力を通じて、持続可能な健康および経済的利益を生み 出す メンバーの専門知識を活用することで、立法、規制、償還 、投資その他の取り組みを通じ、再生医療技術の開発を 加速させる 活動概要 ①国際的視点に立った再生医療の産業化戦略及び課題に関する提言 ②国内外の再生医療に関わる関係者との交流並びに提携 ③再生医療に関する調査及び統計の実施と公表 ④再生医療に関する研究会、公開講座等の開催、運営 ⑤前各号に掲げる事業に附帯又は関連する事業 ①知財権・技術評価及びコンサルティングを通じ、ビジネス開発を行う ②再生医療の基礎技術の開発、提供、指導 ③再生医療の産業化に向けた技術の開発、サービス提供 ④再生医療の産業化に向けた製造施設の運営 ①世界的な再生医療コミュニティとして、情報を発信 ②多様なステークホルダーを統合し、再生医療製品の普及を支援 ③再生医療技術発展の為の政策を提唱 ④投資家へのサービス提供を通じ、研究機関の成長を支援 再生医療業界団体比較 4 CGT Catapult イギリス 世界中の細胞および遺伝子治療に関するシーズを商業 的かつ実行可能な段階迄発展させることで、業界の成長 を促進する 英国が細胞と遺伝子治療の開発、供給、および商業化 の世界的リーダーになる ①更なる投資の為に、低リスクで製品の臨床開発を支援 ②製品を低コスト且つGMP準拠で製造する為の技術の専門家、インフ ラを提供 ③研究、商業化の為に規制、ビジネスの専門家を提供 ④世界的にコラボレーションの機会を提供
  139. 139 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. CCRMは再生医療業界の啓もう活動だけでなく、自団体で再生医療技術の開発に従 事。開発した技術を外部組織に提供することで再生医療業界の発展を狙う。 出所:CCRMウェブサイト、annual reportよりアーサー・ディ・リトル作成 5-2 諸外国の取組状況 諸外国の産業化モデル 再生医療業界団体ベンチマーク(CCRM) –概要 CCRM:概要 メンバー ビジネスユニット BUILD ADVANCE BridGE DELIVER 知的財産権・技術の評価。ビジネスプランニングや レギュラトリーコンサルティングサービスを提供 細胞のリプログラミング技術や評価技術、細胞分 化プロトコルを提供。 コストとリスクの観点から産業化へのGAPを埋める 解決法(スケールアップや自動化等)を探索 臨床試験で使用可能な細胞を提供する為にGMP 準拠の施設を建設し、運用予定 名称 内容 所在 設立 カナダ オリエント州 トロント 2011年 名前 CCRM (Centre for Commercialization of Regenerative Medicine) 主要関連組織 OIRM MbD CCRMとOSCI(幹細胞研究所)がパートナーシップ より設立された再生医療研究所。心臓病や糖尿病 、視力喪失などの慢性疾患に対する治療法の研究 に注力 CCRMのCSOが主導する再生医療センター。変性 疾患治療法開発を目的に、分子・細胞・組織を設計 ・製造する リソース 職員: 100人 85 iPSセルライン: 資金: $200mn 他に資金提供する団体(政 府・病院等)が9存在
  140. 140 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. CCRMは連邦政府、オンタリオ州政府、民間より研究資金を調達。 出所:CCRMウェブサイト、annual reportよりアーサー・ディ・リトル作成 5-2 諸外国の取組状況 諸外国の産業化モデル 再生医療業界団体ベンチマーク(CCRM) –資金調達状況 # 時期 投資額($mn) 5 2015 114 2 2014 3 4 2015 25 6 2016 20 7 2016 20 1 2011 15 3 2014 15 概要 Canada First Research Excellence FundはMbDに、変性疾患治療の新規治療法探索の為の資金 を提供 オンタリオ州はOIRMに、変性疾患治療の開発研究を引き続き行う為の資金を提供 オンタリオ州はOIRMに、変性疾患治療の研究を引き続き行う為の資金を提供 オンタリオ州はCCRMに、再生医療用の細胞製造技術の促進と調整を加速させる為の施設(CATCT) を建設する費用を提供 GEヘルスケアはCCRMに、再生医療用の細胞製造技術の促進と調整を加速させる為の施設 (CATCT)を建設する費用を援助 Networks of Centres of Excellence(資金提供を通じ、カナダの技術発展を促進する機関)はCCRM に、設立時の資金を提供 連邦政府はCCRMをCentre of Excellence for Commercialization and Researchとして表彰する CCRM:資金調達状況
  141. 141 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. FIRMは、基準の作成やセミナー開催等、産業の枠組み作りが主。産業化促進に向け て、ベンチャー創設支援若しくはアカデミアと企業のパートナリングを促進。 出所:FIRMウェブサイト、annual reportよりアーサー・ディ・リトル作成 5-2 諸外国の取組状況 諸外国の産業化モデル 再生医療業界団体ベンチマーク(FIRM) -近年の活動 情宣活動 パートナリング リソース提供 実行 シーズ探索 POC (特許取得) 承認申請 臨床試験 製造 製造 輸送 販売/マーケ 輸送時の留意点 に関するガイド作 成 シーズ開発の為の、アカデミアと企業のパートナリングイ ベントの開催 消耗品(容器)選定ガイドの発表 ベンチャー創設支援セミナーの開催 海外の研究動向を紹介するセミナーを 開催 フォーラム・学会(再生医療JAPAN)の開 催 自動培養加工装 置の基準策定 広告及び情報提 供物等に係る自 主基準策定 再生医療研究の周辺技術紹介セミナー の開催 コ ミ ッ ト 大 小 R&D FIRM:近年の活動
  142. 142 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. FIRMは主に会員からの年会費・入会金で運営。 出所:FIRM決算報告よりアーサー・ディ・リトル分析 5-2 諸外国の取組状況 諸外国の産業化モデル 再生医療業界団体ベンチマーク(FIRM) –資金調達源 資金調達状況 金額 年度 8,644万円 2016 会員からの会費,入会金収入 1,971万円 経済産業省からの受託事業。経済産業省が株式会社三菱総合研究所(MRI)に委託し、FIRM が MRI から受託 2016 概要 - 事業運営による収益や国からの投資はない -
  143. 143 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. CCRMは、情宣活動から実行迄、シーズの産業化を目的とした活動が主。産業自体 のルール策定等は行っていない。 出所:CCRMウェブサイト、annual reportよりアーサー・ディ・リトル作成 5-2 諸外国の取組状況 諸外国の産業化モデル 再生医療業界団体ベンチマーク(CCRM) -近年の活動 R&D POC (特許取得) 臨床試験 シーズ探索 承認申請 製造 製造 輸送 販売/マーケ スケールアップ目 的のGMP準拠の 施設を建造 特許戦略部隊が 存在 iPSCのライン開 発を行う ベンチャー経験者による起業ノウハウに 関する勉強会を開催 CCRM発ベンチャ ー(Ex cell thera)が 臨床試験を開始 大量生産プロセス 確立の為のセンタ ーを建設 一般向けシンポ ジウムの開催 血液幹細胞の大 量製造を研究 研究知見共有の為のセミナー、フォーラ ム等を開催 細胞のリプログラミン グ手法をレクチャー 情宣活動 パートナリング リソース提供 実行 コ ミ ッ ト 大 小 CCRM:近年の活動
  144. 144 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. ARMは189社のメンバーを要しており、世界でも最大規模の産業団体。メンバーの多 さを生かし、企業間若しくは企業-投資家間の関係性構築を主に行っている。 *1:companyに分類されたメンバーのみ 出所:ARMウェブサイト、annual reportよりアーサー・ディ・リトル分析 5-2 諸外国の取組状況 諸外国の産業化モデル 再生医療業界団体ベンチマーク(ARM) –概要 ARM:概要 メンバー 主な活動 所在 設立 米国 ワシントンD.C. 2009年 名前 ARM (Alliance for Regenerative Medicine) 計189社*1 (参考:CCRMは56社) レポートの発行 ステークホルダー向 けイベントの開催 公的機関への働きかけ  毎四半期、主要ニュース、開発品動向や 世界の投資額等を纏めたレポートを発行  研究者・企業向けに研究成果等共有する フォーラムを開催  投資家向けに再生医療業界、各社の情 報を提供する会議を開催  患者団体と主要な関係者の関係性構築 の為の会議を開催 等  政策の策定及び提言  議会・政府との折衝  ロビー活動の実施 等
  145. 145 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. ARMは再生医療の産業化に向け、情報を発信するだけでなく、政策・法律の策定の 為に議会への働きかけを行う。 5-2 諸外国の取組状況 諸外国の産業化モデル 再生医療業界団体ベンチマーク(ARM) -近年の活動 R&D POC (特許取得) 臨床試験 シーズ探索 承認申請 製造 製造 輸送 販売/マーケ 情宣活動 パートナリング リソース提供 実行 コ ミ ッ ト 大 小 ARM:近年の活動 最先端研究の共有目的 のイベントを開催 出所:ARMウェブサイト、annual reportよりアーサー・ディ・リトル分析 再生医療の償還に焦点 を当てた白書を発表 パートナリングの為のイ ベントを開催 再生医療開発支援に向 けた政策立案の支援 再生医療に対する投資 家の会議を開催 欧州委員会に製造ガイド ラインの再考を依頼 再生医療に於ける病院 免除規定活用の推進 再生医療推進の為の法 律策定を働きかけ 再生医療等製品の承認 プロセス説明資料を発表 再生医療製品の標準を 開発する機関を発足 遺伝子治療の質に関するガイドラ インにコメントを発表 ヒト胚の遺伝子編集につ いて声明を発表 患者養護委員会の設置
  146. 146 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. CGT Catapultは再生医療を産業化すべく、研究から上市後の利益迄見据えて幅広 い支援を提供。 出所:CGT Catapultウェブサイト、annual reportよりアーサー・ディ・リトル分析 5-2 諸外国の取組状況 諸外国の産業化モデル 再生医療業界団体ベンチマーク(CGT Catapult) –概要 CGT Catapult:概要 パートナー 所在 設立 イギリス ロンドン 2009年 名前 Cell and Gene Therapy catapult 提供サービス リソース 職員: 120人 施設: ガイ病院(1,200 m2) 製造センター(7,200 m2) 工業化  信頼性の高い製造プロセスを設計 − 品質基準を満たす方法を設計 − 製造コストを削減する方法を設計 等  医薬品の規制及びガイドラインの助言 − 規制当局へのアプローチに協力する − 規制を満たす為の助言を行う 等 規制  商業規模の製造が可能な製造センターを運営 − 製造 − 製造施設・労働力の提供 等 製造  収益性確保に向けたサポート(償還戦略) − 既存治療法と再生医療の経済性比較 − 上市後の販売数・販売額の見積もり 等 商業化  迅速に臨床段階へ到達する為のサポート − 非臨床試験の報告書作成補助 − 専門家の紹介 等 非臨床安 全性  臨床試験の円滑な推進をサポート − 効果の実証に向けた適切な臨床試験をデザイ ン − 適切なパートナーの紹介 等 臨床
  147. 147 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. CGT Catapultは、シーズの産業化に向けて支援業務及び基盤技術・製造施設の整 備を行っている。 5-2 諸外国の取組状況 諸外国の産業化モデル 再生医療業界団体ベンチマーク(CGT Catapult) -近年の活動 R&D POC (特許取得) 臨床試験 シーズ探索 承認申請 製造 製造 輸送 販売/マーケ 情宣活動 パートナリング リソース提供 実行 コ ミ ッ ト 大 小 CGT Catapult :近年の活動 出所:CGT Catapultウェブサイト、annual reportよりアーサー・ディ・リトル分析 ウイルスベクター 研究室を運営 GMP準拠の製造 センターを運営 GMP準拠の製造 センターを運営  5,500万£の投資  サプライチェーンを意識し、好立地に建 設(主要都市迄24時間以内) 商業化に向けて サポート 臨床試験のパー トナーを紹介 当局(規制)への対応をサポート 製造プロセス設計 をサポート 新規測定技術の 開発 国内の製造施設 情報を取り纏めた 報告書を作成 新規iPS株の開発 糖尿病治療を開 発する新会社を 設立 細胞の解凍技術 を開発
  148. 148 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. CGT Catapultの運営資金は9割以上Innovate UKから捻出されている。再生医療 産業化に向けて英国が全面的にバックアップしていると推察。 出所:CGT Catapultウェブサイト、annual reportよりアーサー・ディ・リトル分析 5-2 諸外国の取組状況 諸外国の産業化モデル 再生医療業界団体ベンチマーク(CGT Catapult) –資金調達源 23.5 英国政府からの投資(Innovate UK core revenue grant funding及びInnovate UK core capital grant funding) 1.1 共同研究、共同開発等、上記以外の投資 1.3 CGT Catapultの商業収入 2016 2016 2016 資金調達状況 金額(£mn) 年度 概要 Innovate UKは2014年の予算で 細胞製造センター建設に向けて 5,500万£出資
  149. 149 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 英国は、再生・遺伝子治療の実用化推進のためCGTカタパルト、UK Regenerative Medicine Platformを立ち上げ。 出所:Cell and Gene Therapy Catapult, UK Regenerative Medicine Platform ウェブサイトよりアーサー・ディ・リトル作成 5-2 諸外国の取組状況 英国の再生・遺伝子治療産業化に向けた取り組み Cell and Gene Therapy Catapult UK Regenerative Medicine Platform 詳細  下記5つの分野で研究センター(Hub)を組織 1. Cell behaviour, differentiation and manufacturing Hub:多能性幹細胞の製造、 分化プロトコルの開発 2. Stem cell niche Hub – engineering and exploiting the niche:移植細胞の生着促進技 術の開発 3. Safety and efficacy Hub – focusing on imaging technologies:移植細胞の体内動態 モニタリング技術の開発 4. Acellular approaches for therapeutic delivery Hub:細胞の目的部位への送達技術 の開発 5. Immunomodulation Hub:移植細胞による拒 絶反応抑制技術の開発  下記6つの部署を保有し、開発~商業化をサポート – Industrialization:製造プロセス開発、臨床試験 実施の全体的なサポート – Manufacturing:大規模製造プロセス開発支援、 製造施設の貸し出し – Regulatory:規制当局対応支援 – Health and economics and market access:保 険償還戦略策定支援 – Non-clinical safety:前臨床試験のプロトコル作 成、実施、申請書類作成支援 – Clinical Operations:臨床試験実施支援 設立年 設立趣旨  2012年  2013年  研究開発と商業化の橋渡し  共同研究による新規技術の確立 予算規模  £50 mn(2012年より5年間の合計)  £ 25 mn (2012年より5年間の合計)
  150. 150 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 各国のTR支援状況を比較すると、日本においては、特に大規模製造/臨床開発段階 の実効的なサポートの不足が課題となっているように見受けられる。 出所:有識者ヒアリングよりアーサー・ディ・リトル作成 5-2 諸外国の取組状況 各国のTR支援状況の比較 各国のTR支援状況の比較 研究 知財 企業化 製造 前臨床 臨床 パートナリング 技術プラット フォーム構 築 特許取得支 援 ベンチャー 企業設立 小規模 製造 プロセス 開発/ス ケールアッ プ 大規模製造 ― 保険償還戦 略 プロトコル 設計 被験者リク ルート/IC DM/統計解 析/治験薬 管理 規制当局 対応 承認申請 パートナー 探し 法務処理 大学 民間CMO 大学 医師/医療機関 民間CRO? CGT カタパルト CGTカタパルト 大学 TLO CMO 大学発 VC 米 国 英 国 日 本 CRO FIRM/再生医療学会/ PMDA (コンサルティング業務のみ) FIRM 政府/民間セクターからの資金流入が豊富であるため、各大学/企業/医師・医療機関の経験値が高く、独自のエコシステムが形成されている CGTカタパルトにノウハウ・専門人材を集積させることにより、効率的な実用化支援を目指している 特に大規模製造/臨床開発において、実効的な支援が実現していない 知財関連支援の 開始を検討中 支援のみに留まらず、CGTカタパルト自体がシー ズ開発を実施することで開発ノウハウを蓄積 CGTカタパルトが製 造設備を保有、運営 臨床試験の経験を積んだ医師が多く存在 民間CROは「製薬企業の指示待ち」の姿勢であり 、ベンチャー・大学支援のノウハウを持たない/ ベンチャー・大学には使いこなせない 民間CMOがノウハウを蓄積・ 独自にサービスを開発 専門性の高い人材を有しており 知財評価/特許取得を支援 組織規模・資金・人材面 で米国に劣り知財構築ノ ウハウ不足 役割が重複しており、各 支援プレーヤの人材・ノ ウハウ・資金が不足 国内の製造設備が 不足 各機能を担うプレーヤ 不足しているプレーヤ 知財獲得 支援者 凡例
  151. 151 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 米国は遺伝子治療に関しては、政府/民間双方からの投資が豊富。一方で英国は日 本と同様、橋渡し研究における資金を政府からの資金に依存している状況。 出所:有識者ヒアリングよりアーサー・ディ・リトル作成 5-2 諸外国の取組状況 各国の投資環境比較 基礎研究 応用研究 橋渡し研究 商業化研究 (純粋な基礎研究) (出口を見据えた研究) 前臨床 開発前期 (POC取得まで/~Ph.2) 開発後期 米 国 英 国 日 本 各国の投資環境比較 NIH(米国政府)/寄付 VC 製薬企業 Innovate UK、Horizon 2020等(英国政府/欧州連合) VC 製薬企業 製薬企業 AMED(日本政府) 政府/民間セクターからの投資が豊富/特に橋渡し研究段階で各プレーヤが積極的に投資 開発前期までの民間セクターの投資が限定的であり、政府からの資金に依存している状況 開発前期までの民間セクターの投資が限定的であり、政府からの資金に依存している状況 “基礎/応用研究と比較し て多額の資金が必要” (米国有識者) “欧州のVC/製薬企業は早期段 階への投資に積極的でない” (欧州有識者) “前臨床~早期臨床段階における資金の主な提供元は欧州 連合の機関や英国政府機関。英国は欧州の他国と比較して 橋渡し研究への投資が多い”(欧州有識者) POCが示された/示されつつある 技術領域に集中的に投資 幅広い技術領域に投資 “NIHは、基礎~トランスレーショナル段階まで多岐に わたる段階の研究の資金を提供。大部分はPOC獲得 のための臨床試験の費用” (米国有識者) VC
  152. 152 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 米国では、VC、製薬企業が開発早期の段階で資金を投入して実用化を促進するエコ システムが成立しているように見受けられる。 出所:有識者ヒアリングよりアーサー・ディ・リトル作成 5-2 諸外国の取組状況 米国の投資状況に関する有識者コメント 米国の投資状況に関する有識者コメント 基礎研究 橋渡し研究 (前臨床~開発前期) 実用化支援 (開発後期) NIH/寄付 VC 製薬企業 資 金 提 供 者 (米国有識者)  NIHは、基礎~トランスレーショナル段階まで多岐に わたる段階の研究の資金を提供。大部分はPOC獲 得のための臨床試験の費用となっている – POC取得のためのマルチセンターでの臨床 試験には多額の費用を要する  臨床段階におけるグラントは、試験完了に必要な期 間供給される (米国有識者)  特別措置として、ここ数年、NIHから年間$250mn程 度の資金を再生治療分野に投下  ここ数年で遺伝子治療へのNIHからの投資額の変化 はフラットであり、増加していない (製薬企業)  外資大手ファーマは特別な場合(CAR-T) を除き、ほとんど再生・細胞治療への投資 は行っていない。一方で遺伝子治療への 積極的な投資が行われている (米国有識者)  近年、有望性を示すデータが増えてきたこ とから、製薬企業からの遺伝子治療への 投資は飛躍的に伸びている – 近年投資金額はCAGR80-100% くらいで伸びている。今後も伸び るだろう。 – 特にCART領域への投資が急増  特に魅力的な技術領域では、製薬企業は 前臨床段階から提携を開始し、10年間程 度の長期間のコラボレーションが行われる こともある (米国有識者)  VCは製薬企業よりも早期の段階であ る”scientific stage”で投資を実施  一つのシーズに投資する期間は平均で 4-5年程度  近年、遺伝子治療領域への投資が伸び ている  米国はベンチャーの成功例が多いため 資金を集めやすい (製薬企業)  新たな技術コンセプトの製品に対してVC/ 製薬企業の投資を引き入れるためには 臨床試験でのPOCが求められることが多 い一方、一度コンセプトが認められた技 術の改良版に対しては早い段階で資金 提供がなされる傾向にある (海外機関)  開発にかかる費用は、政府はあまり負担せず、民間 が主に資金を投じている
  153. 153 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Contents 1 検討全体像 2 国内外の開発動向 3 疾患別の市場・競争環境 4 実用化シナリオと投資配分方向性 5 実用化に向けて対応すべき課題 5-1 事業上の課題の整理 5-2 諸外国の取り組み状況 5-3 医療経済性評価の枠組み
  154. 154 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 保険収載や償還価格の判断材料として、医療技術の費用対効果評価の使用を検討。 費用は公的医療費のみ評価対象とすることとする。 出所:費用対効果評価の動向と今後の展望ー価値(Value)に基づく医療技術評価へー(厚生労働省保険局医療課)よりアーサー・ディ・リトル作成 5-3 医療経済性評価の枠組み 保険収載・償還価格の判断材料(費用対効果評価)の現状 効果 費用  公的医療費のみを費用に含めることを原則とし、公的介護費用や当該疾患によって仕 事ができない結果生じる生産性損失は基本分析においては含めない  生産性損失を評価対象の費用に含めると、公正な評価が困難 − 生産性損失は、含める範囲や推計方法により、値が異なってしまい、データ提 出者にとって有利な分析が行われる可能性がある − 生産性損失を含めた分析を行うとされている国でも、実際には分析に含めて いないことが多い − 生産性損失が医療費と比べて大きすぎる場合、費用のほとんどを生産性損失 を占めることになり、医療費の効率性の観点での評価が困難になる 医療技術 の費用 外来・入院 の費用 検査の費 用 他の治療 の費用 その他医 療費 公的介護 費 家族等によ る介護費 本人の生 産性損失 他の支出( 交通費等) 評価対象の費用に含める 評価対象の費用に含めない 公的医療費の原則 ①医療技術だけでなく、関連する医療費も 考慮する ②経時的な費用も考慮する 治療に係る費用の内訳  効果指標は質調整生存年 (QALY; Quality- adjusted life year) を基本とする  尚、疾患や医薬 品・医療機器等の特性等 に応じて、その他の指標も用いることができ る 式:【ある健康状態でのQALY】 =【QoLスコア】×【生存年数】 定義:QoLスコアは1を完全な健康、0 を死亡とする QALY計算方法 ①多くの疾患で使用できる ②複数の効果やトレードオフを同時 に評価できる ③結果の解釈がしやすい QALY使用の利点 日本における保険収載・償還価格の判断材料(費用対効果評価)
  155. 155 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 諸外国では、基準を設けて新薬・既存薬の費用対効果を評価し、医薬品の価格適正 化に向けた取り組みが既に実施されている。 出所:各種2次情報よりアーサー・ディ・リトル作成 5-3 医療経済性評価の枠組み 各国における費用対効果分析の現状 諸外国における医療技術評価 (HTA) *1:STA:Single Technology Appraisal (単一技術評価) を指し、市販前~市販直後に企業がアカデミックグループに詳細を報告し技術評価を実施する制度。 *2:MTA:Multiple Technology Appraisal (複数技術評価) を指し、市販後にアカデミックグループが他のアカデミックグループに詳細を報告し技術評価を実施する制度。 *3:ICER:増分費用対効果比 (従来薬あるいはそれらの組み合わせた場合と比較) QALY=【QoLスコア】×【生存年数】 *QoLスコアは1を完全な健康、0を死亡とする。 機関名(国名) NICE(英国) IQWiG(ドイツ) HAS(フランス) CVZ(オランダ) TLV(スウェーデン) HIRA(韓国) 活用方法 • 償還の可否 • 価格交渉 • 上市品の再評価 • 価格交渉 • 価格交渉 • 検討中 • 償還の可否 • 価格交渉 • 償還の可否 分析主体 • STA*1:製薬企業 • MTA*2:外部機関 • 製薬企業 • 製薬企業 • 製薬企業 • 製薬企業 • 製薬企業 評価期間 • STA:34週 • MTA:52週 • 6か月以内 • 100時間内 • 180日以内 • 150日 評価方法 • ICER=費用 /QALY*3 • 効率的フロンティア (独自手法) • QALY • ICER=費用/QALY • 疾病重症度や革新 性等の複数要素 • ICER=費用/QALY • ICER=費用/QALY 評価閾値 費用 / QALY≦ 2~3 万ポンド (疾患の重症度等に 応じて範囲外でも推 奨する場合有) 特になし 既存療法・既存療法 の組み合わせよりも 有効か否かで判断 特になし 1万~8万ユーロ /QALY (疾病重症に応じて 閾値を変動) 40万クローナ/QALY 2000万ウォン 20mil/QALY
  156. 156 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 英国では、ICERを用いて医薬品の費用対効果を評価し保険収載の可否を決定。基 準に満たない場合は、費用と価格を柔軟に評価して対応。 出所:NICE HP、各種二次情報よりアーサー・ディ・リトル作成 5-3 医療経済性評価の枠組み 医療技術評価とは 英国のHTA制度 *1:PSS (Personal social service) の中には、公的医療費の他、デイケアや住宅ケア等、場合によっては病院にてかかる費用等が含まれる。 日本で含まれない範囲では、公的介護費 (場合によっては) に該当すると考えられる。 費用を抑える・費用に制約を設けることで、 費用対効果を柔軟に捉え、ICERを再検討 ・一時的に価格を引き下げるが、上市後に 最大30%の価格上昇を認める (Flexible pricing) ・薬価は維持するが、治療効果が得られない 場合は企業が国民健康保険へ払い戻す ・企業が規定回数超過分を負担する  製薬企業から提出された資料を基に、 ICERを用いて、費用対効果を評価  ICER ≦ 2~3万ポンド⇒推奨  ICER > 2~3万ポンド⇒再検討 – 疾患の重症度、革新性、小児疾患、 社会的便益、等を考慮 – 弾力価格制の導入や患者アクセス保 障を考慮した価格交渉 分析 (Assessment) 評価 (Appraisal) 最終評価 (Decision) 効果 ICER =増分費用 / QALY 費用 評価対象の 医療技術 既存の医療技術 費用 QALY ICERの算出に必要なパラメータの計算方法 QALY (質調整生存年) 生存年数 QOL値 QOL値の例: 1:を完全な健康状態 0:を死亡 償還可否の決定 QOL値の算出方法 1. 健康・生活活動に関する複数質問に回答 2. 回答番号に対応するQOL値に従い、 QOL値を同定 評価尺度の種類 (質問内容例) ・汎用的尺度 -EQ-5D分析 (生活活動、等) -HUI (視力・聴力・移動・感情、等) -SF-6D (身体機能・社会生活機能、等) ・疾病特異的尺度 (例:癌⇒EORTC等) 生産性損失費用は、含めた場合と 含めない場合の両者を提出 ・EQ-5D分析の質問例 (移動に関する質問) -私は歩き回るのに問題ない ・・・1 -私は歩き回るのにいくらか問題がある ・・・2 -私はベッドに寝た切りである ・・・3 費用=公的医療費+PSS*1
  157. 157 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Mifamurtideは、費用対効果は基準に満たなかったものの、対象疾患や評価方法の 再検討の結果、NICE推奨品として上市。 出所:NICE HP、各種二次情報よりアーサー・ディ・リトル作成 5-3 医療経済性評価の枠組み 英国におけるHTA 小児骨肉腫を対象とした治療薬Mifamurtideの例 (2011年承認) 分析 (Assessment) 評価 (Appraisal) 最終評価 (Decision)  製薬企業から提出された資料に基づき、ICERを用いて、 費用対効果を評価 ⇒56,700ポンド/QALY と算出  推奨を決定  提出資料に加え、以下を考慮したICERを算出すべきと主張 – 切断および手足の救済費用を含める – 無病から5年経過後の一般集団の再発死亡率を用いる – 年齢調整されたQOL値を用いる ⇒109,300ポンド/QALYまで増大  ICERは30,000ポンド/QALYより大きいため推奨不可であるが、 以下の点を考慮し感度分析を実施 – 健康を回復させ、長期間 (通常30年間) 持続させる場合、健康 に対しては割引率*1を1.5%、費用に対しては3.5%を適用すべ きとの見解 ⇒ICERが36,000ポンド/QALYまで減少  ICERは30,000ポンド/QALYより大きいが、以下の点を考慮 し、同治療薬を推奨することを決定 – 希少疾患に対する治療薬であること – 治療効果により、家族及び友人のQoL向上が期待できること QALY算出に必要なQOL値の算出方法 QALY (質調整生存年) 生存年数 QOL値 QOL値 詳細 0.85 無病の患者 0.61 疾病の再発 0.39 疾病進行 0 死亡 *1:割引率:時間選好を分析に反映させるためのレート。年単位で割引いた後の現在価値に換算されたCpは、1年後の費用Ciと割引率dを用いてCp=Ci/(1+d)i-1と表せる。 QOL値は、以下を基に算出 (右記) -EQ-5D分析 -NICEの技術評価
  158. 158 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 今後、患者数の多い疾患における革新性の高い再生医療等製品の上市を見据え、国 家負担を最小限に留めつつ、イノベーションの価値をいかに評価するかが課題になる。 5-3 医療経済性評価の枠組み 再生医療等製品の薬価の課題 効果・革新性:高 効果・革新性:低 (?) 難治性のオーファン (筋ジスなど) 皮膚/軟骨等 (現在の再生医療 製品の中心) (既存薬有利であれば) 課題は顕在化しない 患者数:少 患者数:多 • 国家による医療費負担が高騰する恐 れがあり、課題が顕在化する領域 - 例:Novartisは奏効した患者のみを保 険負担する仕組みを採用 • 効果/革新性が低ければ、高薬価で あっても対象治療法がメジャーにはな らず、問題が顕在化しない領域 • 国家視点では、患者数が少な いため医療費負担の総額は さほど大きくないため、課題と して顕在化しにくい • 開発者視点では、高薬価によ る収益確保を原資に、患者数 の多い疾患を狙う足がかりと の位置づけ ➡(再生医療等製品の利益率な どに対する不満は聞かれるもの の)現行の薬価算定方針でさほ ど問題が顕在化しない領域 再生医療等製品の薬価における課題 出所:アーサー・ディ・リトル分析
  159. 159 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. イノベーションやベネフィットを適切に評価した薬価をつけたうえで、市場の拡大に伴い 薬価を下げるスキームが求められているか。 5-3 医療経済性評価の枠組み 有識者コメント (ライフサイエンス企業)  対象患者数が少ない段階では高い値段をつけて、その後市場の拡大 に従い価格を下げるのが良いのではないか – 再生医療等製品の初期市場は小さく、そこを対象に商売してい るうちは1製品当たり1,000万円程度の薬価は必要 – 小さい市場を対象とした製品の数が増えていき、偶然に大きい 市場が見つかってくることで市場が拡大していく  再生医療等製品のカテゴリーには高い利益率をつけて開発意欲の向 上を促し、その後下げるというのが良いのではないか – 償還価格で算定される利益率が、医療機器の場合には6-7%、 医薬品の場合には15%と程度とされているが、再生医療等製 品の利益率は定められていない (業界有識者)  高薬価を公的保険が賄いきれない場合には、混合診療に回さざるを得 ないかもしれない  一方、一度混合診療にのってビジネスが上手くいってしまうと、開発企 業が保険診療の薬価に同意しないようになり、いつまでも薬価が高い 状況が続いてしまう懸念がある (米国有識者)  これまでの医薬品と同様、ベネフィットを評価して価格をつけるべき。生 存期間、QOLの改善、代替できる医療費(薬代のみでなく、入院費や手 術費も含む)より算出できる。また、対象疾患が増えた段階にくれば、 価格を下げても採算がつくようになると考えられる  利益を生むビジネスモデルを確立するために、開発者は公的/民間保 険者に医療経済性等のデータを用いて価格の正当性を主張する必要 がある (海外機関)  ベネフィットを算出して薬価がつけられるべき。ただしベネフィットが長期 にわたる場合には、短期の契約となる民間保険が払ってくれない可能 性がある (業界有識者)  開発者が将来の低コスト化を見据え、承認時には高いが、5年間でコス トを下げるなどといった計画を見せることで承認を受けるべく努力すべ きではないか 薬価に関する有識者コメント
  160. 160 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. イノベーションやベネフィットを適切に評価した薬価をつけたうえで、市場の拡大に伴い 薬価を下げるスキームが求められているか。 5-3 医療経済性評価の枠組み 有識者コメント (製薬企業)  医療経済性のデータにより説得するのが高薬価を正当化するための 最も標準的な方法であるが、根治により寿命を飛躍的に伸ばすCART のような治療法の薬価を正当に評価することは難しい – CARTの場合には、既存治療法である移植が必要なくなること により薬価の正当性を主張 – CARTは残り数ヶ月の寿命の子供の寿命を60年以上まで伸ば すことができるが、その価値の正当な評価法は確立していない  社会保障制度ではなく、プライベートファンディングなどで支払ってもら うことも一つの選択肢となる  今後は、期待されるベネフィットがある場合にのみ保険償還がなされる 支払い制度が普及するのではないか – Novartisは、有効性が認められなければ支払いを求めない革 新的な償還制度を採用 – 今後、高価格な薬に対しては、保険者はNovartisと同様の有 効性に即した支払いスキームを求めることになると思う – その後より低価格な薬に対しても同様なスキームが適応される と想定 (米国有識者)  今後は、よりアウトカムベースでの薬価算定方法が普及するだろう – NovartisのCART製品は、薬剤給付管理会社のCaremark社 の提案により、有効性が認められた場合にのみ保険償還がな される仕組みを採用 – 民間保険企業だけではなく、米国の最大の保険者である政府 も今後よりアウトカムベースの支払いを要求するようになる – 既に欧州ではアウトカムベースでの薬価算定の考え方が浸透 ししている – 例えば英国において医療保険を提供しているNICEはアウトカ ムベースの考え方を持っている  長いスパンで必要となる医療費を比較することで、長期間の有効性が 見込まれる薬(遺伝子細胞治療など)の高薬価を保険者に認めてもらう ことが可能ではないか  逸失利益は有効な概念であり、米国の保険制度の中に組み込まれる 可能性は考えられる – 米国政府は最大の保険者であるため、米国の政府が逸失利 益の考え方を薬価算定に組み込んだ場合、他の民間企業が組 み込まないわけにはいかない 薬価に関する有識者コメント
  161. 161 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 現状では類似薬効方式と原価計算方式の2通りの方法で薬価算定が行われている。 出所:日医総研ワーキングペーパー「薬価算定方式の現状と課題」をもとにアーサー・ディ・リトル作成 5-3 医療経済性評価の枠組み (ご参考)現状の薬価算定方式 現状の薬価算定方式 原価計算方式の詳細
  162. 162 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 再生医療等製品のうち、保険適用において医療機器として取り扱われた製品の基準 となる営業利益率が低いことが、企業の開発インセンティブを下げている可能性有。 出所:中医協「再生医療等製品に係る保険適用決定区分及び価格」「再生医療等製品の保険償還価格の算定について」 5-3 医療経済性評価の枠組み (ご参考)再生医療等製品の償還価格の基準となる営業利益率 原価計算方式における営業利益率(’17) 償還価格の事例 7.0 14.7 0 5 10 15 [%] 医薬品 (薬価) 医療機器 (材料価格)  流通経費を除く価格の 15.9%を営業利益として設 定  流通経費を除く価格の5.8% を営業利益として設定 医薬品の 例にて対応 医療機器の 例にて対応 テムセル HS注 ハートシ ート 保険適用に係る 取り扱い 製品名 営業利益率
  163. 163 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. 再生医療等製品の保険適用に係る取り扱いについて、当面は、個別の製品の特性を 踏まえ、医薬品の例により対応するか、医療機器の例により対応するかを判断する方 針。 出所:中医協「再生医療等製品の医療保険上の取扱いについて」よりアーサー・ディ・リトル作成 5-3 医療経済性評価の枠組み (ご参考)再生医療等製品の保険適用に係る取り扱い 再生医療等製品の保険適用に係る取り扱い
  164. 164 Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights

    reserved. Arthur D. Little has been at the forefront of innovation since 1886. We are an acknowledged thought leader in linking strategy, innovation and transformation in technology-intensive and converging industries. We navigate our clients through changing business ecosystems to uncover new growth opportunities. We enable our clients to build innovation capabilities and transform their organizations. Our consultants have strong practical industry experience combined with excellent knowledge of key trends and dynamics. Arthur D. Little is present in the most important business centers around the world. We are proud to serve most of the Fortune 1000 companies, in addition to other leading firms and public sector organizations. For further information please visit www.adlittle.com. Copyright © Arthur D. Little 2018. All rights reserved. Contact: Arthur D. Little Japan – Tokyo Shiodome City Center 33F 1-5-2 Higashi Shimbashi, Minato-ku 105-7133 Tokyo T: +81 3 6264-6300 (Reception)