Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり
Search
Cybozu
PRO
March 19, 2025
Technology
0
100
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり
オワスプナイト2025/03
https://owasp.doorkeeper.jp/events/182085
サイボウズ株式会社
品質保証支援 PSIRT 小西達也
Cybozu
PRO
March 19, 2025
Tweet
Share
More Decks by Cybozu
See All by Cybozu
AIツール開発ワークショップ(Dify)【サイボウズ新人研修2025】
cybozuinsideout
PRO
15
15k
モバイル【サイボウズ新人研修2025】
cybozuinsideout
PRO
3
3.2k
Git/GitHub を使う上で知っておくと嬉しいかも Tips【サイボウズ新人研修2025】
cybozuinsideout
PRO
9
8.5k
GitHub Copilot活用【サイボウズ新人研修2025】
cybozuinsideout
PRO
14
12k
ソフトウェアライセンス【サイボウズ新人研修2025】
cybozuinsideout
PRO
12
7.4k
エンジニアのためのアウトプット講座 〜知識をシェアするはじめの一歩〜【サイボウズ新人研修2025】
cybozuinsideout
PRO
6
4.1k
Docker入門【サイボウズ新人研修2025】
cybozuinsideout
PRO
12
9.8k
セキュリティ【サイボウズ新人研修2025】
cybozuinsideout
PRO
2
2.9k
TLS 1.3をざっと理解する【サイボウズ新人研修2025】
cybozuinsideout
PRO
2
1.7k
Other Decks in Technology
See All in Technology
AI駆動開発 with MixLeap Study【大阪支部 #3】
lycorptech_jp
PRO
0
200
Jitera Company Deck / JP
jitera
0
140
東京海上日動におけるセキュアな開発プロセスの取り組み
miyabit
0
110
データエンジニアリング 4年前と変わったこと、 4年前と変わらないこと
tanakarian
2
350
PdM業務における使い分け
shinshiro
0
580
ゼロから始めるSREの事業貢献 - 生成AI時代のSRE成長戦略と実践 / Starting SRE from Day One
shinyorke
PRO
0
230
Microsoft Defender XDRで疲弊しないためのインシデント対応
sophiakunii
3
400
AIを使っていい感じにE2Eテストを書けるようになるまで / Trying to Write Good E2E Tests with AI
katawara
2
1.6k
Webの技術とガジェットで那須の子ども達にワクワクを! / IoTLT_20250720
you
PRO
0
120
公開初日に個人環境で試した Gemini CLI 体験記など / Gemini CLI実験レポート
you
PRO
3
310
分散トレーシングによる コネクティッドカーのデータ処理見える化の試み
thatsdone
0
190
なぜAI時代に 「イベント」を中心に考えるのか? / Why focus on "events" in the age of AI?
ytake
2
480
Featured
See All Featured
Gamification - CAS2011
davidbonilla
81
5.4k
Connecting the Dots Between Site Speed, User Experience & Your Business [WebExpo 2025]
tammyeverts
8
370
Typedesign – Prime Four
hannesfritz
42
2.7k
Fireside Chat
paigeccino
37
3.5k
The Illustrated Children's Guide to Kubernetes
chrisshort
48
50k
Learning to Love Humans: Emotional Interface Design
aarron
273
40k
Writing Fast Ruby
sferik
628
62k
Speed Design
sergeychernyshev
32
1k
CoffeeScript is Beautiful & I Never Want to Write Plain JavaScript Again
sstephenson
161
15k
"I'm Feeling Lucky" - Building Great Search Experiences for Today's Users (#IAC19)
danielanewman
229
22k
Stop Working from a Prison Cell
hatefulcrawdad
271
21k
Bash Introduction
62gerente
613
210k
Transcript
PSIRTでAIテストを 実施するまでの道のり サイボウズ株式会社 品質保証支援 PSIRT 小西達也 1
自己紹介 • 小西 達也(こにし たつや) • 開発本部 品質保証支援 Cy-PSIRT •
2020年にサイボウズ株式会社入社 • 担当 ◼ モバイル製品全般 ◼ AIに関わる製品 • 趣味: ◼ 読書、模型製作、筋トレ
©️ Cybozu, Inc. 世の中的に生成AIを活用した機能が 盛り上がっている昨今 3
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり サイボウズでもAI機能の促進や提供開始 4 サイボウズ、「kintone AIアシスタント(仮称)」β版利用ユーザーの募集を開始 https://topics.cybozu.co.jp/news/2024/11/07-18881.html
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり サイボウズのPSIRTでもAIの対応が必要に! • AIに関係するセキュリティテストや製品チームをサポートするための 体制が必要になりプロジェクトを開始しました。 • チーム体制: 2名の少数体制 • 今回は、サイボウズでAI周りのテストをするためにどのように対応していった
のかを3つ共有します。 5 テスト対応 サポート対応 知見収集 と整理
©️ Cybozu, Inc. 知見収集と整理 6
©️ Cybozu, Inc. テストできるようにしたいが、 AIセキュリティがわからない状態だった。。。 7
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり AI周りのセキュリティについて情報収集と整理を実施 • OWASP Top10 for LLM Applicationsを活用 • https://genaisecurityproject.com/resource/owasp-top-10-for-llm-
applications-2025/ • AIを取り巻く攻撃の種類や観点を理解し、 テストするための知見を整理する目的で活用 • 活用の道のり: 1. 各章を読み、概要を整理 2. 擬似的なシステム図を元に攻撃の種類を整理 3. 整理したものから観点表を作成 4. テスト用のペイロード表の作成 8
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり システム図を元に攻撃の種類を整理 • 擬似的なシステムを元にAIの攻撃を 可視化 • 下記の観点で整理 • 攻撃のエントリポイントはどこか? (
) • テストするべき点はどこか? ( ) • どこに影響をもたらすか?( ) • 攻撃の種類や手法は何か? (吹き出し) • AIを狙う攻撃の種類や観点を把握 9
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり 攻撃観点表の作成 • 社内のテストで必要な項目のみに絞って、攻撃観点表を作成 • 下記の項目で整理 • 攻撃名 • 攻撃概要/攻撃手法
• 具体的な攻撃ペイロード • ターゲット • 何をされるのか(目的) • 防御策 10
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり テスト用ペイロード表の作成 • 各観点に合わせて調査を行い、テスト用のペイロード表を作成 11
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり その他の取り組み • やられアプリや外部トレーニングを受講し、実践的な知識を取得 • テスト方法を整理して社内DBで一元管理 12
©️ Cybozu, Inc. テスト対応 13
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり パターン1 パターン2 ・・・ パターンN AIテストでの問題 • AIのテストは自然言語かつ表現によって結果に変化が発生する。 • 闇雲にやると膨大なテストパターンが必要となり、多くのリソースと時間が
かかる。 • リスクを明確化し、重視したいテストを絞る必要がある。 14 リスク1 リスク1の方が影響度が 大きいので重点的にやる テストが膨大で 終わらない。。。 パターン1 パターン2 ・・・ パターンN リスク2 パターン1 パターン2 ・・・ パターンN リスク1 パターン1 パターン2 ・・・ パターンN リスク2
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり 製品チームとの連携 • リスクの優先度や必要なテストを絞るために製品チームと連携 • 週に数回テストに向けての打ち合わせを実施 • 打ち合わせの中で以下の内容を確認 • 実装された機能の仕様確認
• 想定されるリスクと優先度の決定 • テスト項目の選定 • テスト期間の設定 15
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり テスト実施までの連携対応フローの例 16 PSIRT 製品チーム 仕様書 1.仕様書を元に製品チームへ ヒアリングを実施 PSIRT 2.システム図からリスクの洗い出しと
テストプランの作成 テストプランを作成 洗い出し [リスク1] [リスク2] 影響を受ける部分 説明 質問
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり テスト実施までの連携対応フローの例 17 PSIRT 製品チーム 3. 洗い出したリスクとテストプランを元に 製品チームとテストが必要な項目を選定 4.選定した内容を元にテスト実施 テスト実施
[リスク1] [リスク2] テストプラン リスク1は設定から 発生しないはずなの で優先度が低い リスク2は重点的 に見て欲しい 2.確認 1.共有 テストプラン 3.修正 テスト環境 PSIRT メモ メモ
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり テスト実施時の取り組み • テストの終了条件としてゴールを設定する • AIのテストはペネトレーションテストに近い • 自然言語を扱うため、網羅性を担保しづらく終わりがない • 下記の手段を利用し、設定したゴールを達成できるか確認
• ペイロード表を参考にしつつ、機能に合わせた言い方の変更 • LLMの回答結果を元に文章の追加や変更 • 攻撃テクニックの利用 18 1. ゴールの設定 2.様々な手段を利用 し、ゴールを達成 できるかを確認 プロンプトインジェクション経由で 権限のない情報が漏洩しないか ペイロード表 ・言い方の変更 ・文章の追加や変更 ・攻撃テクニック
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり テスト時に注意していること • テスト範囲の設定 • プラットフォームやLLM自体へのテストにならないように工夫 • DoSを引き起こすような攻撃などをテストの対象外にしている • テストでの記録を徹底
• 気になる挙動は画像や動画で残す • AIの挙動は再現性が低く、同じ手順でも再現しなくなるため 19
©️ Cybozu, Inc. サポート対応 20
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり 社内でのAIセキュリティのサポート活動 • 社内のAI関係チームと連携を強化 • AIに関する情報を共有 • AIセキュリティに関する窓口対応 • 社内メンバーへの勉強会の実施
• AIのセキュリティリスクについて解説 • OWASP Top10 for LLM Applications 2025の解説 • PSIRT内での勉強会の実施 • AIの基礎からAIのセキュリティリスクについて解説 • AIセキュリティに関する実践的なトレーニングの実施 21
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり 対応する上で苦労した点と解決策 • AIセキュリティに関する情報の整理と理解 • 過渡期であるため、全体像を把握するのが難しい => [解決策] OWASP Top10
for LLM Applicationsを利用 • AIの社内でのテスト方法の検討 • 膨大なパターンがある中でどうやって対応するか? • テストの進め方や終了条件をどうするか? => [解決策] 製品チームとの連携による選定やゴールの設定によるテスト 22
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり 今後の改善 • AIのテストや評価に関わる基準を検討・定義 • AIのテストでの試行回数に関する基準 • 脆弱性の判断や評価に関する基準 • テスト手法の向上
• テスト手法のアップデート • 自動化ツールの利用の検討 • 製品チームとの連携の強化 • 社内向けにAIセキュリティについて知ってもらうための活動を実施 23
PSIRTでAIテストを実施するまでの道のり ツールの紹介 • プロンプトの堅牢化をチェックするツールを公開しています。 • Prompt Hardener: https://github.com/cybozu/prompt-hardener • 弊社でAI担当をされている湯浅さんと北村さんが開発されています。
• CODE BLUE 2024のCyberTAMAGOでも発表されました。 • 発表に関して、弊社のブログ記事で公開しています。 • CODE BLUE 2024参加レポート https://blog.cybozu.io/entry/2025/01/15/080000 24
ご清聴いただき、 ありがとうございました! 25