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【概要版】デジタルツインの社会実装に向けたロードマップ初版

data_rikatsuyou
March 24, 2022
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 【概要版】デジタルツインの社会実装に向けたロードマップ初版

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  1. デジタルツインの社会実装に向けたロードマップ 2 0 2 2 年 3 月 初 版

    ( 概 要 版 ) 東京都 デジタルツイン実現プロジェクト
  2. 目 次 章 節 タイトル 頁 1 デジタルツインのコンセプト 1デジタルツインとは 3

    2東京都がデジタルツインに取り組む意義 4 3東京都のデジタルツインに関するこれまでの取組 17 2 デジタルツインを通じて目指す姿 1デジタルツインの提供価値 20 2実現を目指す完全なデジタルツインの姿とは 21 3 デジタルツインの構成要素 1デジタルツインの全体像 24 2デジタルツインの構成要素 26 3サイバー空間の構成要素 27 4フィジカル空間の構成要素 29 5サイバー空間・フィジカル空間共通の要素 30 6その他の要素 31 章 節 タイトル 頁 4 デジタルツインの実現に向けたステップ 1デジタルツインの実現ステップ 39 2基盤要素の実装 41 3付帯要素の整備 44 4サービスの実装 51 5デジタルツインのエリア展開 54 5 デジタルツインの整備・運用 1役割及び費用の考え方 60 2デジタルツインの整備にあたっての役割分担 61 3デジタルツインの運用にあたっての役割分担 62 6 デジタルツイン整備の費用対効果 1費用の試算の考え方 65 2効果の試算の考え方 68 3費用対効果の表現例 73
  3. 1.1 デジタルツインとは フィジカル空間をサイバー空間に再現し、「双子(ツイン)」を構築・活用 Society5.0 サ イ バ ー フ ィ

    ジ カ ル サ イ バ ー 空 間 ( 仮 想 空 間 ) フ ィ ジ カ ル 空 間 ( 現 実 空 間 ) 東京 1 分析・ シミュレーション リアルタイム データ取得 東京 3 フィードバック 東京データプラットフォーム 3Dデジタルマップ 2 センサーなどから取得したデータをもとに、建物や道路などのインフラ、経済活動、人の流れなど様々な要素を、 サイバー空間(コンピューターやコンピューターネットワーク上の仮想空間)上に「双子(ツイン)」のように再現したもの ユースケース 等 防災 まちづくり モビリティ 教育 働き方 産業 エネルギー 自然 ウェルネス 3
  4. 1.2 東京都がデジタルツインに取り組む意義 世界における日本経済の存在感は低下し、デジタルシフトにも遅れ ・・・ (出典)IMD「World Digital Competitiveness Ranking」 日本経済の存在感低下 デジタルシフトの遅れ顕在化

    日本のGDPの世界シェアは2010年の約7%に対し、 2030年は約4.4%と推定されており、地位が低下 「世界デジタル競争力ランキング」で日本は総合27位 と世界に後れ 世界デジタル競争力ランキング 実質GDPの国別シェア(2010年/2030年) 4 (出典)OECD「Economic Outlook No.95(2014)」を基に作成 1 USA 2 Singapore 3 Denmark 4 Sweden 5 Hong Kong SAR 6 Switzerland 7 Netherlands 8 Korea Rep 9 Norway 10 Finland 27 Japan
  5. 1.2 東京都がデジタルツインに取り組む意義 少子高齢化・人口減少等により、生産力や都市の活力に大きな影響 少子高齢化・人口減少 2015年の東京都の人口に占める老年人口の割合 (高齢化率)は22.7%であり、既に超高齢社会に突入、 今後一層高齢化は進む見込み 2060年の東京都の人口構成は激変し、2015年に比べて、 年少人口は約3割、生産年齢人口は2割減 年齢3区分別人口

    (出典)「『未来の東京』戦略」附属資料 https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/fuzoku/html5.html#page=17 (資料)「東京都昼間人口の予測」(2020年3月)(東京都総務局)、「国勢調査」(総務省)等より作成 (備考)1.2045年以降は、東京都政策企画局による推計 2.内訳の()の数字は、人口に占める割合(2015年の割合は、年齢不詳を各年齢階級にあん分して算出) 3.四捨五入や、実績値には年齢不詳を含むことにより、内訳の合計が総数と一致しない場合がある 5 122 147 (10.9) 170 191 (13.4) 191 183 (13.1) 183 198 221 228 224 (18.7) 143 160 (11.8) 154 136 (9.6) 146 171 (12.3) 196 197 180 167 157 (13.1) 885 893 (66.0) 923 938 (65.9) 932 900 (64.4) 850 808 771 738 706 (58.9) 148 152 (11.3) 159 157 (11.0) 150 143 (10.2) 136 130 123 117 111 (9.3) 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 2060 老人人口 (75歳以上) 老年人口 (65~74歳) 生産年齢人口 (15~64歳) 年少人口 (15歳未満) (1,352) (1,406) (1,423) (1,418) (1,398) (1,365) (1,333) (1,295) (1,250) (1,198) (1,316) (年) (万人) 推計
  6. 1.2 東京都がデジタルツインに取り組む意義 自然災害の頻発化・激甚化、首都直下型地震等のリスクの高まり 今後30年間に70%の確率で首都直下地震等が発生 最大死者は約1万人、帰宅困難者は約517万人と想定 2019年台風19号による 奥多摩日原街道の被害 2019年台風19号の衛星写真 世界的な気候変動の危機が、自然災害の 頻発等東京の環境や生活に深刻な影響

    (出典)首都直下地震等による東京の被害想定(2012年4月18日公表) https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1000902/1000401.html 南海トラフ巨大地震は島しょ部で最大30m超の津波が 発生。死者約1,800人と想定。 世界的な気候変動の危機 首都直下型地震への備え (出典)南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定(2013年5月14日公表) https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1000902/1000402.html (出典)「『未来の東京』戦略」ビジョン(概要版)(2019年12月) https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/author53762/gaiyou.pdf 6
  7. 1.2 東京都がデジタルツインに取り組む意義 人の流れと物流の変化への対応が都市間競争の鍵 人流・物流の変化も甚大 EC市場の更なる拡大が見込まれる中、ドローン 配送等の新たな輸送手段に対応するインフラ整備 が遅れれば、世界から取り残される 世界の航空旅客は、2036年には約2倍の78億人 に達する見込み。国際ビジネスジェット等の旺盛な 需要に応えなければ、世界に立ち遅れる

    (出典)「 『未来の東京』戦略 ビジョン」(2019年12月) https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/author53762/vision.pdf (資料)IATA(国際航空運送協会)公表資料を基に作成 7 主な国の航空旅客数の将来推計 (出典)経済産業省「2019年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」 https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003.html 日本のBtoC-EC(電子商取引)市場規模の推移 77,880 84,590 95,130 111,660 127,970 137,746 151,358 165,054 179,845 193,609 2.84% 3.17% 3.40% 3.85% 4.37% 4.75% 5.43% 5.79% 6.22% 6.76% 0.00% 1.00% 2.00% 3.00% 4.00% 5.00% 6.00% 7.00% 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 180,000 200,000 220,000 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 EC市場規模(左目盛) 物販系EC化率(右目盛) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 ア メ リ カ 中 国 イ ギ リ ス 日 本 ス ペ イ ン ド イ ツ イ ン ド イ タ リ ア フ ラ ン ス イ ン ド ネ シ ア タ イ ト ル コ 航空旅客数 2016年 2036年 (億人) (億円)
  8. 1.2 東京都がデジタルツインに取り組む意義 コロナ禍を通じて得られた経験を活かし「新しい暮らし」を追求 (出典)「 『未来の東京』戦略」(2021年3月) https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/mirainotokyo-senryaku/html5.html#page=1 8 リアルとバーチャルで多様な 人がつながる社会をつくる 誰もが自分らしく生活できる

    環境を確保する 働き方や暮らしの在り方を 東京から発信する 安全安心に生活できる新しい スタンダードを確立していく 多様な人のつながりによって イノベーションを生み出す 「新しいつながり」を紡ぎ、安全安心な「新しい暮らし」を追求する
  9. 1.2 東京都がデジタルツインに取り組む意義 新たな価値を生み出す、強靭で持続可能な社会を創出 (出典)「 『未来の東京』戦略 」(2021年3月) https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/mirainotokyo-senryaku/html5.html#page=1 9 「構造改革」を強力に推進 ~課題の根源まで踏み込んで改革を推進~

    「サステナブル・リカバリー」の実現 ~強靭で持続可能な社会へ~ ◼ 新型コロナの危機はデジタル化の遅れな ど、日本社会が抱える構造的な課題を 浮き彫りに ◼ 世界の競争課題から大きく取り残され かねない ◼ 変革の本質を見極め、課題の根源まで 踏み込んで構造改革を強力に推進 ◼ 未来に向けた復興を目指す ◼ 人々の持続可能な生活を実現する観 点にまで広げた「サステナブル・リカバリー (持続可能な回復)」を推進 ◼ 単に新型コロナ以前の社会に戻すので はなく、強靭で持続可能な社会の創出
  10. 1.2 東京都がデジタルツインに取り組む意義 真のダイバーシティ都市として多様な価値観へのきめ細かい対応が必要 (出典)「 『未来の東京』戦略 」(2021年3月) https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/mirainotokyo-senryaku/html5.html#page=1 10 ◼ 多様性に富んだ真のダイバーシティ都市

    ◼ 世界で最も外国人が暮らしやすいまち ◼ 日本と外国の子供が互いの価値観を理解し合い、 共に学ぶ ◼ 東京の大学で専門知識を学んだ外国人留学生が ビジネスや技術開発の第一線で活躍 ◼ ソフト・ハード両面で質の高いバリアフリー環境 目指す2040年代の東京の姿
  11. 1.2 東京都がデジタルツインに取り組む意義 あらゆる分野でDXを強力に推進し、産業構造を大転換 (出典)「 『未来の東京』戦略 」(2021年3月) https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/mirainotokyo-senryaku/html5.html#page=1 11 スタートアップの力で 変革を加速させる

    DXの推進で 「未来の東京」を切り拓く アジアで一番強い 経済・金融都市をつくる 行政のデジタル化を 徹底する コロナ禍を産業構造の 大転換につなげる デジタルデバイドで 取り残される人を生まない 「爆速」デジタル化で世界からの遅れを乗り越え、国際競争に打ち勝つ
  12. 1.2 東京都がデジタルツインに取り組む意義 12 国際都市間競争に勝つために、海外に比肩した取組みを推進 フィンランド(ヘルシンキ) オーストラリア(ビクトリア州) (出典)Victoria State Government HP(https://www.land.vic.gov.au/maps-and-spatial/maps-and-

    spatial-news/3d-buildings-data-of-major-victorian-regional-centres-now-available) ヘルシンキではヘルシンキ市が市内カラサタマ地区におい て、3D都市モデル構築、ビューア作成・公開、オープン データ化を実施 (出典)カラサタマデジタルツイン(https://www.hel.fi/static/liitteet- 2019/Kaupunginkanslia/Helsinki3D_Kalasatama_Digital_Twins.pdf) ビクトリア州では州全域の20の地方都市をカバーする 非常に詳細で高品質な3D都市モデルをオープンデータ として公開 3Dシティモデル ビクトリア3Dモデル
  13. 1.2 東京都がデジタルツインに取り組む意義 13 シンガポール イギリス (出典)Case Study: National Underground Asset

    Register (NUAR) Pilot Programme」 (https://www.cdbb.cam.ac.uk/news/case-study-NUAR-pilot-programme)(2021年10月18日閲覧) シンガポール国土庁は、道路・建物の地理空間情報、土 地の所有権、人口統計等を提供するプラットフォームを 構築 (出典)Singapore Land Authority(SLA)「OneMap3D」(https://www.onemap3d.gov.sg/main/ イギリスでは地下インフラ所有者が既存の地下資産データ を、許可されたユーザーと安全に共有するための地図情報 基盤を整備 Onemap3D National Underground Asset Register 国際都市間競争に勝つために、海外に比肩した取組みを推進
  14. 1.2 東京都がデジタルツインに取り組む意義 世界中からヒト・モノ・カネが集まる、世界一オープンな東京へ 国際都市間競争に打ち勝つ (出典)「 『未来の東京』戦略 」(2021年3月) https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/mirainotokyo-senryaku/html5.html#page=1 15 ◼

    世界一オープンな経済・金融都市へと進化し、世界中の グローバル企業が都内で活動 ◼ 世界中の高度人材が東京に集まり、新しいイノベーションが 生まれ続ける ◼ ビジネスの公用語は英語とし、戦略的ビジネスエリアを形成 ◼ インターナショナルスクールが充実し、世界中の誰もが母国と 同じレベルでストレスなく生活 ◼ 世界をリードするイノベーション人材を多数輩出
  15. 1.2 東京都がデジタルツインに取り組む意義 東京都が デジタルツインに 取組む意義 ◼ 極めて多岐に渡る課題が集積 ◼ 課題の解決・都民QOL向上に資する社会基盤の必要性 ◼

    他自治体への高い波及効果に対する期待 ◼ 国際都市競争における優位性となり得る可能性 多様な都民ニーズへの対応 他自治体への波及効果 国際都市間競争に打ち勝つ 日本経済の存在感低下 デジタルシフトの遅れ顕在化 世界的な気候変動の危機 少子高齢化・人口減少 人流・物流の変化も甚大 首都直下型地震への備え 「未来の東京」戦略より抜粋 新しい日常への対応 「爆速」デジタル化と構造改革 サステナブル・リカバリー 等 東京都での社会実装を旗印に、他自治体への波及を通じ日本を牽引 社会情勢の変化:「未来の東京」戦略ビジョン等より抜粋 16
  16. 1.3 東京都のデジタルツインに関するこれまでの取組 2030年に向けて取り組むべき20+1の「戦略」の1つとして、 「戦略10 スマート東京・TOKYO Data Highway戦略」 を掲げ、2030年に、あらゆる分野でのリアルタイムデータ の活用が可能となり、意思決定や政策立案等で活用さ れる「完全なデジタルツインの実現」を掲げる

    3つのシティ(セーフ シティ、 ダイバーシティ、スマート シ ティ)の実現を支えるものとし て、デジタルツインの推進を掲 げ、「都政のアップデート」「都 民・都内滞在者のQOL向上」 「都内企業の稼ぐ力向上」を 期待する効果としている デジタルツイン実現プロジェクト として、2020年以降の官民 連携データプラットフォームの構 築、サイバー空間とフィジカル 空間の融合によるデジタルツ インの実現を掲げる <2019年12月> <2020年2月> <2021年3月> 東京都の長期戦略 長期戦略においてデジタルツインの推進を位置づけ 17 (出典)東京都「未来の東京」戦略ビジョン https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/12/27/07.html (出典)東京都「スマート東京実施戦略」 https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/02/07/12.html (出典)東京都「未来の東京戦略」 https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/choki-plan/
  17. 1.3 東京都のデジタルツインに関するこれまでの取組 東京都の長期戦略 最新の長期戦略においてはデジタルツインの実現に向けた 基盤整備を加速することを位置づけ 18 デジタルツインの実現に向けた基盤整備を加速 ⚫ デジタルツインの基礎となる3D地形データを都内全域で整備 ➢

    2022年度中に取得 ⚫ 防災分野での先行的活用 ➢ 3D都市モデル等の上で浸水や土砂災害の被害状況の シミュレート ➢ 他の8分野については各地域の特性等を踏まえ、優先的 にサービスを実装すべき分野を決定 ⚫ 東京データプラットフォームの本格運用に向けた取組を推進 ⚫ データ連携基盤の構築 ⚫ 試験運用によりユースケースを創出 <2022年2月> (出典)東京都「未来の東京戦略 version up 2022」 https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/choki-plan/
  18. 2.1 デジタルツインの提供価値 デジタルツインにより、都民のQOL・都政のQOS向上を実現 デジタルツイン概念図 期待される効果 Society5.0 サ イ バ ー

    フ ィ ジ カ ル サ イ バ ー 空 間 ( 仮 想 空 間 ) フ ィ ジ カ ル 空 間 ( 現 実 空 間 ) 東京 1 分析・ シミュレーション リアルタイム データ取得 東京 3 フィードバック 東京データプラットフォーム 3Dデジタルマップ 2 20 1 フィジカル空間(現実空 間)の都市の状況がサイ バー空間上でリアルタイムに 把握可能 2 最新・リアルタイムのデータを 利用した分析・シミュレーショ ンが自由に可能 3 可視化、分析・シミュレーショ ンの結果をフィジカル空間に フィードバックすることによって、 様々な用途でデータが活用 されるようになる
  19. 2.2 実現を目指す完全なデジタルツインの姿とは 既存計画・関連方針等を踏まえ、9分野を注力分野として想定 デジタルツインの対象分野・サービス 9分野 分 野 の 考 え

    方 ベース:スマート東京実施戦略(上位計画)における検討9分野 ◼ 東京データプラットフォーム協議会 検討分野(検討中) ◼ 官民連携データプラットフォーム基本方針 ◼ 東京都オープンデータカタログサイト オープンデータ化重点推進分野 ◼ 3Dビジュアライゼーション実証プロジェクトにおける都市のデジタルツイン 活用イメージ 関連計画における検討分野・サービスと 分野を照合 ◼ 『未来の東京』戦略 ◼ 東京防災プラン2021 ◼ 東京都生活文化局「都民生活に関する世論調査」 ◼ 東京ベイeSGプロジェクト version1.0 都の計画・世論調査等において示された 要対応項目(気候危機、新型コロナ、 防災・医療・衛生)等を加味 防災 まちづくり モビリティ 教育 働き方 産業 エネルギー 自然 ウェルネス + 21
  20. 2.2 実現を目指す完全なデジタルツインの姿とは 2030年までにデジタルツインを実現し、 2040年までに継続的な改善サイクル構築に発展 22 防災 まちづくり モビリティ エネルギー 自然

    ウェルネス 教育 働き方 産業 注)「完全なデジタルツイン」は、「未来の東京」戦略において記載の概念 データの 活用度合 (高度化) 利用者 (行政・企業・都民) 分野 ステップ1:利用者×分野を拡大し浸透させる ステップ2:高精度なデータを活用しシミュレーションが高度化 2030年には「全て」の対象分野で リアルタイムデータを活用 定義:3D都市モデルやインターフェースが整備・継続的に更新され、 「全て」の対象分野において都市の「何らかの」データが 都・企業・都民の意思決定、都の政策立案に活用できる、可変性を持った仕組みが構築されている状態 実現を目指す「完全なデジタルツイン」のイメージ
  21. 3.1 デジタルツインの全体像 デジタルツインは戦略・基盤要素・付帯要素・サービスで構成 デ ジ タ ル ツ イ ン

    の 付 帯 要 素 デ ジ タ ル ツ イ ン の 基 盤 要 素 シミュレータ ビューア 静的データ セ キ ュ リ テ ィ サ イ バ ー 空 間 システム データ システム連携 外部データ連携 デジタルツインの戦略 アプリケーション 動的データ 地理空間データ データ インターフェース インターフェース システム フ ィ ジ カ ル 空 間 インフラ ネットワーク センシング装置 デバイス 中継機器 近距離ネットワーク 広域ネットワーク 運用モデル ルール ・仕様 組織 デジタルツインのサービス データベース セ キ ュ リ テ ィ データベース・データカタログ データ連携 25
  22. 3.2 デジタルツインの構成要素 レイヤー 大分類 中分類 説明 サイバー空間 データ デジタルツイン上で活用するためのデータ本体 データ

    デジタルツイン上で活用するためのデータ本体 システム デジタルツイン上で動作する各種システム アプリケーション デジタルツイン上で動作する各種ソフトウェア データベース デジタルツイン上で活用する各種データを保管するための環境 インターフェース 各データや各システムと連携するための機能やAPI フィジカル空間 インフラ デジタルツイン上で活用するためのデータを生成・転送するための設備や機器 ネットワーク デジタルデータを転送するための設備 センシング装置 デジタルデータを取得・生成するための機器 共通 セキュリティ デジタルツインの内外部の脅威から防御するために必要な機能・事項 技術的対策 システムやインフラが具備すべきセキュリティ機能 管理的対策 デジタルツインの整備・運用において必要となる管理的な対策事項 デジタルツインの基盤要素を 「データ」「システム」「インフラ」「セキュリティ」と定義 26
  23. 3.3 サイバー空間の構成要素 大分類 中分類 小分類 説明 データ データ 動的データ 更新頻度が高く、リアルタイムに生成される時間軸に連続したデータ

    静的データ 更新頻度が比較的少なく、長期間保存、参照されるデータ 地理空間データ 空間上の特定の地点または区域の位置に関する情報を持つデータ 位置に関連づけられた様々な事象に関する情報も含まれる システム アプリケーション シミュレータ 各種データを活用し、シミュレーションを行うためのソフトウェア ビューア 各種データを表示するためのソフトウェア データベース データストア・ データカタログ 各種データを集約、管理するための環境 インターフェース システム連携 システム間のインターフェース データ連携 各デバイスとデータベース間のインターフェース サイバー空間の構成要素を「データ」及び「システム」と定義 27
  24. 参考:データの例 分類 例 説明 動的データ センシングデータ 各種センシング装置から取得されるデータ 移動データ 人やモビリティの移動に関するデータ SNSデータ

    SNSを通じて発信されたテキスト等のデータ 静的データ 統計データ 各種統計に関するデータ 分析データ データを活用した分析結果やシミュレーション結果などのデータ 文書データ 報告書などの電子データ 地理空間 データ 地形図 標高や地形、河川や海岸線、道路や建物などを表現した地図情報 空中写真 航空機で撮影した写真 衛星画像 人工衛星から取得したデータ ネットワークデータ 「ノード」と「リンク」の組み合わせによって表現されるデータ GISデータ Geographic Information System(地理情報システム)で活用できるデータ 点群データ 水平方向の座標及び高さ情報を持つ 3 次元のポイントデータのデータセット 3Dデジタルマップ 建物、道路等の地物がセマンティック(意味のある)な構造で作成されたベクタ形式のデータ BIM・CIM 建物やインフラ構造物の詳細な部材を再現したベクタ形式のデータ 2D 2D 2D 2D 2D 3D 3D 3D 3D
  25. 3.4 フィジカル空間の構成要素 大分類 中分類 小分類 説明 インフラ ネットワーク 近距離ネットワーク デバイスから生成されるデータを中継機器まで届けるためのネット

    ワーク 中継機器 各デバイス端末から生成されるデータを受信し、インターネット等 の広域ネットワークを通してデータを転送するための機器 長距離ネットワーク 中継機器から遠隔のサーバ等へデータを届けるためのネットワーク センシング装置 デバイス データの生成元となる機器 フィジカル空間の構成要素を「インフラ」と定義 29
  26. 3.5 サイバー空間・フィジカル空間共通の要素 大分類 中分類 小分類 説明 セキュリティ 技術的対策 認証 デジタルツインに接続する利用者、サービス、システム、デバイス等

    に対して正しい接続相手かを検証し、アクセス権限を与えるため の機能 暗号化 デジタルツインが行う通信及び管理するデータに対して、それぞれ の秘匿性に応じ適切なセキュリティ暗号化を行うための機能 不正アクセス防止 (ファイアウォール) デジタルツインが行う通信に対して、許可されていない通信をブロッ クするための機能 不正アクセス検知/ 遮断 ファイアウォールで対応できないDoS攻撃やアプリケーション層の脆 弱性を突く攻撃等を検知し、遮断するための機能 管理的対策 脆弱性管理 脆弱性に関する情報を収集し、随時パッチ適用等によりその対策 を行うこと ログ管理 デジタルツインが行う通信や処理に関するログを取得すること サイバー・フィジカル空間の共通要素として「セキュリティ」を定義 30
  27. 3.6 その他の要素 戦略・付帯要素・サービスについて、要素及び考え方を提示 31 レイヤー 分類 要素 説明 戦略 戦略

    デジタルツインの基盤要素・付帯要素・サービスを設計するための指針 目標 デジタルツインの実現により達成したい目標 評価指標 各目標に対して、達成度合いを示すための定量的な指標(KGI・KPI) 付帯要素 運用モデル デジタルツインを整備・運用するための仕組み 組織 デジタルツインを整備・運用するための主体や役割 主体 デジタルツインに関係する主体 役割 デジタルツインの各主体の役割 ルール・仕様 デジタルツインの整備・運用にあたり必要となるルールや仕様 関連法令 デジタルツインの整備・運用にあたり遵守すべき法令や自治体の関連条例 規約・ガイドライン デジタルツインの整備・運用にあたってのルールやデータやサービスの利用にあたっての規約 標準仕様 各主体間でシステムやデータ等を相互利用すべく、共通化しておくべき仕様や品質の基準 サービス サービス デジタルツインの基盤要素を利用し、提供される様々なサービス 行政サービス デジタルツインの基盤要素に利用し、行政が提供するサービス 行政職員が利用する庁内サービスと都民や企業等が利用する庁外サービスがある 民間サービス デジタルツインの基盤要素のうち、行政が公開するデータやシステム等を利用し、民間企業 や各組織(エリアマネジメント団体等)が提供するサービス
  28. 3.6 その他の要素(運用モデル) デジタルツインのスケールを「建物」・「エリア」・「都市」に分類 スケール 建物 エリア 都市 目的 工期短縮・品質向上・ 予防措置

    事業の高度化・効率化 都市の課題解決・ 住民サービスの向上 主な 運用主体 民間企業 エリアマネジメント団体 ・民間企業 行政 イメージ https://www.kajima.co.jp/news/press/202005/pdf/11a1-j.pdf https://www.shimz.co.jp/toyosu/concept/digitaltwin/ https://info.tokyo-digitaltwin.metro.tokyo.lg.jp/ 32
  29. ステップ① デジタルツインの庁内整備・運用 3.6 その他の要素(運用モデル) 都市のデジタルツインの庁内整備・運用に先行着手 各スケールでのデータ・機能の相互連携による価値向上を図る 【東京都】 都市のデジタルツイン 【民間企業】 建物のデジタルツイン

    【民間企業】 建物のデジタルツイン 【エリマネ団体】 エリアのデジタルツイン 【地方公共団体】 都市のデジタルツイン 各種仕様、各種カタログ (データ、API)の公開 データやAPIを 連携 ステップ② 相互連携 33
  30. データ提供者 デジタルツインの整 備・運用に必要な データを提供 運用者 デジタルツインの 戦略の推進や 基盤を運用 庁内基盤利用者 基盤を利用し、

    行政サービスを提供 3.6 その他の要素(運用モデル) 各主体間のデータ連携によりデジタルツインを運用、 運用モデルは外部評価を実施 34 サービス利用者 サービスを 利用、受益 アドバイザー デジタルツイン全体や各サービスの 方向性について助言を行う 評価者 提供サービスや運用を常時確認し、 定期的に指導やフィードバックを行う サービス提供・ フィードバック データ等提供・ フィードバック 庁外基盤利用者 基盤を利用し、 民間サービスを提供 データ等提供・ フィードバック 外部評価 実施主体の例 大学 民間企業 外部有識者 公募住民 34 行政 民間企業 大学・研究員 都民 行政 行政 民間企業 都民 民間企業 大学・研究機関 主体 凡例
  31. 3.6 その他の要素(主体) デジタルツインの整備・運用の主体として、7つの主体を定義 35 主体名 説明 運用者 デジタルツインの推進、基盤(データやシステムを集約・提供する環境) の運用を行う データ提供者

    デジタルツインの運用に必要なデータの整備・提供を行う 庁内基盤利用者 デジタルツイン基盤のデータやシステムを利用し、サービスを提供する 庁内業務のため、デジタルツイン基盤のデータ・システムを利用する 庁外基盤利用者 デジタルツイン基盤のデータやシステムを利用し、サービスを提供する サービス利用者 デジタルツインの取組を通して提供されるサービスを利用し、受益する アドバイザー デジタルツインの推進主体に対し、運用面や各サービスの方向性について 助言を行う 評価者 提供サービスや運用を常時確認し、定期的に指導・フィードバックを行う
  32. 3.6 その他の要素(役割) 各主体の主な役割の例を定義 36 主体 役割(例) 説明 運用者 全体統括・戦略策定 デジタルツイン全体の戦略を策定し、その管理を行う

    当該戦略に沿ったデジタルツインの実現に向けた全体統括を行う 組織運営・管理 デジタルツイン全体の円滑な機能のため、推進主体組織の構築・運営、関係する 各主体との調整・連携を行う デジタルツイン基盤の運用 デジタルツインの基盤(データを集約・提供する環境)を整備・運用する 標準仕様の検討・公開 データ標準仕様や品質基準等を検討し、公開する ルールの検討・公開 デジタルツインの整備・運用に必要となるルール・ガイドラインを検討し、公開する データ提供者 データの整備・提供 データを整備・取得し、デジタルツイン基盤への提供を行う インフラの整備・運用 データを取得するためのインフラ(センシング装置等)を整備・運用する 庁内利用者 / サービス提供者 システムの開発・運用 サービスの提供のあたり必要となるシステム(シミュレータ等)を開発・運用する サービスの開発・運用 サービスを企画・開発・運用する アドバイザー 助言 デジタルツインの戦略・運用・各サービスの方向性について助言を行う 評価者 指導・フィードバック デジタルツインの運用状況や提供サービスを確認し、定期的に指導等を行う
  33. 3.6 その他の要素(ルール・仕様) 37 要素 項目例 関連法令 データの取得やデジタルツインの構築に関する法規制 データの分析・シミュレーションに関する法規制 データの公開やサービスの提供に関する法規制 規約・ガイドライン

    データの整備や取得にあたってのルール データの提供や利用にあたってのルール デジタルツイン基盤の運用にあたってのルール 標準仕様 データフォーマットに関する標準 データの品質に関する基準 ツールやその運用ルールに関する基準 ルール・仕様に関して、検討すべき項目の例を定義
  34. フェーズ2 4.1 デジタルツインの実現ステップ デジタルツイン実現に向け3つのフェーズを設定 デジタルツインの 運用・利用拡大 フェーズ1 ◼ 基盤要素の整備項目と その役割分担の検討

    ◼ 運用の全体像とその役割 分担の検討 ◼ 運用に必要となるルール・ 仕様の整理・検討 ◼ ユースケース・サービスの 検討 ◼ 基盤の運用の開始 ◼ 各種機能拡張・連携 ◼ ルール・仕様の随時更新 ◼ 各サービスの実装 完全なデジタルツインの 実現・高度化 ◼ デジタルツインの高度化 方針の検討 ◼ 高度化の実現にあたって の機能、仕様等の方針 検討 2020年度~ 2023年度~ 2030年度 ~ デジタルツイン基盤の 構築 フェーズ3 39
  35. 4.1 デジタルツインの実現ステップ 当面は基盤・エコシステム構築、ルール整備及び重点分野サービス実装に注力 フェーズ デジタルツイン基盤の構築 完全なデジタルツインの実現・高度化 デジタルツインの運用・利用拡大 構 成 要

    素 の ス テ ッ プ 戦略 整備・運用戦略検討 リアルタイムでの運用、外部連携 基 盤 要 素 付 帯 要 素 サービス ユースケース検討・β版事業実施 サービスの実装(9分野) リアルタイムデータ活用サービス実装 標準仕様・品質基準の検討・整備 既設インフラの活用 / 新規インフラの整備・活用 リアルタイム性の高いデータ 活用の為の環境整備 普及・拡大、外部連携 イン フラ 仕様 運用 ルール 運用における各種ルールの検討・整備 運用や国等の動向を踏まえた各種仕様・ルールの追加・更新 リアルタイムデータ活用に関する 各種仕様・ルールの検討・整備 データ 庁外 ビューア 構築 庁内データストア・ データカタログ・ ビューア構築 リアルタイムデータ 提供・更新実現 データオープン化・庁外データとの連携、 データ更新の仕組み検討・構築 庁内データ集約 シミュレータの開発・連接・機能拡充 リアルタイム性の高い シミュレーション実現 シス テム ロードマップ(デジタルツインの構築・運用指針)作成・更新、外部有識者への方向性確認 FY2020~ FY2023~ FY2025~ FY2030~ 40
  36. 4.2 基盤要素の実装 41 庁内データを集約・活用すべく、 データ連携の結節点となるデジタルツイン基盤を構築 各局 ユーザー 外部 ユーザー 庁内

    データストア 庁 内 デ ー タ カ タ ロ グ 庁外ビューア 庁内ビューア 東京データ プラットフォーム 東京都 オープン データ カタログ サイト デジタルツイン基盤 連携 各データ提供 データ可視化 データ 重畳 各データ(他局データ等)提供 各データ提供・分析 データベース アプリケーション ユーザー シミュレーション 結果活用 インターフェース インターフェース 各種インフラ (センサー等) 各局ユーザー 各局 データ格納 各種庁外インフラ (センサー等) 国保有 民間企業保有 東京都内 区市町村保有 大学・研究 機関保有 外部ユーザー 官 民 各主体保有データ連携 各主体保有データ連携 各局シミュレータ 各主体保有データ連携 インフラ 凡例:
  37. 4.2 基盤要素の実装 各要素を分野共通・分野別に区分のうえ、段階的に整備完了を目指す 42 … 運用開始(フェーズ1完了時点)までに整備する要素 分野共通での整備が想定される要素 分野ごとに整備が想定される要素 整備区分 分野ごとに

    分野ごと 分野共通 インフラ データ システム 動的データ 静的データ 地理空間データ シミュレータ ビューア ネットワーク センシング装置 インターフェース 基盤要素 データベース 分野共通 分野ごと 例 センサー、カメラ 等 LTE/5G、Wi-Fi 等 分野共通 分野共通 分野ごと 分野ごと 庁内データストア 各API 各局シミュレータ 庁内ビューア / 庁外ビューア 3Dデジタルマップ センシングデータ、移動データ、SNSデータ 等 統計データ、分析データ、文書データ 等 分野ごと 各種GISデータ 等 データ アプリ ケーション 分野共通 共通API
  38. 4.2 基盤要素の実装 庁内を中心に各データを集約し、庁外ビューア等で公開 43 分類 区分 データ例 動的データ センシングデータ ⚫

    河川監視カメラ リアルタイム配信 ⚫ スマートポール取得データ 移動データ ⚫ 都バス バスロケーション情報 静的データ 統計データ ⚫ 国勢調査:区市町村別人口総数、人口増減率 文書データ ⚫ 東京都における「都市のデジタルツイン」社会実装に向けた検討会資料、議事録 等 地理空間データ 3Dデジタルマップ ⚫ 建物モデル ⚫ 地下通路 ⚫ 交通基盤 :道路、橋梁 点群データ ⚫ ICT活用工事3D点群データ GISデータ ⚫ 国土数値情報 ⚫ 都市計画決定情報GISデータ ⚫ 洪水浸水予想区域図、高潮浸水想定区域図 ⚫ 避難所、公共施設、バス停・バス路線
  39. 項目 主な論点 データ取得 人 • 映像等に写り込む可能性のある人の「肖像権・プライバシー権」をどのように扱うか • GPS等による位置情報(人流)について「個人情報」保護の観点から適切か • 対象主体からの事前同意が必要か、どのように同意をとっていくことが適切か(利用目的、利用範囲の

    説明等) 都市 • 著作物性が認められる建築物や美術作品等が写り込む可能性をどう考えるか デジタルツイン構築 • 現実空間の再現は、著作物の複製又は翻案にあたるか • 現実空間の再現は「同一性保持権」の侵害にあたるか データ分析 (シミュレーション) • 各主体から提供・共有、API連携により取得したデータの加工は可能か データ・サービス提供 • 現実空間を再現したバーチャル空間を利用したサービス提供は、商標的使用や不正競争行為にあたるか • デジタルツインが提供するデータ、サービスの利用規約をどのように考えるべきか (データ、サービス等の不備に関して、何らかの責任追及を受ける可能性があるか) データ公開 • 加工データの頒布は「著作権」上問題があるか • 「セキュリティ」面についてどのように配慮する必要があるか 4.3 付帯要素の整備(関連法令) 国や関係機関等の検討状況を踏まえ、 東京都としての法的な対応を継続して検討 44
  40. 参考:関連法令に関連するガイドライン等(例) 45 項目 ドキュメント名 ドキュメントの内容 作成主体 肖像権 肖像権ガイドライン ⚫ デジタルアーカイブ機関の現場担当者が肖像権処理を行うため

    の拠りところとして考え方を整理したもの デジタルアーカイブ学会 個人情報/ 位置情報 個人情報の保護に関する法 律についてのガイドライン ⚫ 事業者が個人情報の適正な取扱いの確保に関して行う活動の 支援を目的として、具体例等をしたもの 個人情報保護委員会 電気通信事業における個人 情報保護に関するガイドライン ⚫ 電気通信事業者が取り扱う位置情報等の利用に関して、制限 等をまとめたもの 総務省 電気通信事業における 「十 分な匿名化」に関する ガイドライン ⚫ 電気通信事業法における通信の秘密の保護及びプライバシー の保護の趣旨を踏まえ、電気通信事業者が扱う位置情報を、 加工して社会的に活用するための方法に関するルールをとりまと めたもの 一般社団法人 電気通 信事業者協会等 位置情報等の「デバイスロケー ションデータ」利活用に関する ガイドライン ⚫ デバイスロケーションデータの健全で持続可能なデータの利活用 を促進するための業界全体としての基準 一般社団法人LBMA Japan データ利用規約 データの利用権限に関する契 約ガイドライン ⚫ 事業者間の取引に関連して創出し、取得又は収集されるデー タの利用権限を契約で適正かつ公平に定めるため、その手法や 考え方をまとめたもの IoT推進コンソーシアム 経済産業省 サービス開発・提供 施設等で利用するARサービ ス開発のためのガイドライン ⚫ AR サービスの提供にあたって問題となりやすい法律上又は倫理 上の問題点、克服するために参考となる一般的な考え方、実 際に採用されている技術上の対応措置の例等をまとめたもの 一般社団法人 XR コンソーシアム
  41. 4.3 付帯要素の整備(規約・ガイドライン) デジタルツイン運用及び庁内データ提供に関する 規約・ガイドラインについて優先的に整理 46 対象 項目 主な実施事項 基盤の運用 庁内基盤運用

    • 庁内基盤の運用方針詳細の検討 • 庁内基盤を利用するにあたっての手続き検討 データ整備 (庁内) データの収集 • 各事業で発生/収集するデータをデジタルツイン上で利用できるようにするための取り決め • 公開を目的としたデータを収集する際のオープンデータ化許諾の方針の検討 データ提供 庁内基盤への データ格納 • データをデジタルツイン基盤に提供するためのルールの整備 データ利用 データ利用時の ルール整備 • データ利用時のライセンス・利用規約の設定 • 利用者によるデータクレンジングなどの実施や手順の例の提示 • 利用者によるデータ・基盤等へのフィードバックのルールの検討 オープンデータの ライセンス • オープンデータのライセンス・利用規約の設定
  42. 参考:オープンデータのライセンス 種別 概要 具体例 CC (クリエイティブ・コモンズ) • 著作物全般に対するライセンス (CC 4.0ではデータベース権も対象)

    • CC0 • CC BY • CC BY-SA • CC BY-ND • … ODC (オープン・データ・コモンズ) • データ/データベースを対象とした ライセンス • PDDL • ODC-By • ODbL PD (パブリック・ドメイン) • 公共領域を示す、誰のものでもな い状態 • 自ら著作権を放棄したもの • 著作権で保護される期間を過ぎた 作品 等、「法的に著作権が存在すると 認められないもの」 参考:http://faq.pf- sapporo.jp/license/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%AE%E7%A8%AE %E9%A1%9E.html 、 https://www.ipa.go.jp/files/000035470.pdf 、 https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/56/3/56_140/_pdf/-char/ja 47 オープンデータ整備時は適切なライセンスの検討・設定が必要
  43. 参考:オープンデータのライセンス デュアル / マルチライセンスとすることでデータの汎用性が向上 参考: https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/kettei/gl2_betten_1_gaiyou.pdf 、 https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja https://speakerdeck.com/furuhashilab/zheng-fu-biao-zhun-li-yong-gui-yue-falseruo-dian-dot-rigarumian-falseke-ti-woyi-lun-surukou-huo-woqie-rutameni-project-plateau https://sites.research.google/open-buildings/

    デュアルライセンス / マルチライセンス ▶ 他プラットフォームでの利用等において より汎用性が高いデータとすることが可能 政府標準利用規約 / CC BY 4.0 PLATEAU → CC BY 4.0 + ODC BY 1.0、ODbL 1.0のマルチライセンス Google Open Buildings → CC BY 4.0 + ODbL 1.0のデュアルラ イセンス ▶ DRM (デジタル著作権管理)の利用制限 等、 利用に制限がある場合が存在 48
  44. 4.3 付帯要素の整備(標準仕様) 組織横断的なデータ連携を行うためには 「データ標準」「データ品質」「ツール」「運用ルール」を策定が重要 49 検討項目 実施事項 データの 標準 フォーマット

    • 地図データに関する標準仕様の検討 • 静的データ・動的データの推奨フォーマットの検討、ガイドラインの作成 メタデータ • メタデータの項目検討(例:データタイトル、説明文、更新頻度、座標系等) データ間の 連携方法 • 地図データと静的データ・動的データの紐づけ方の検討 (例:座標による3D都市モデルと人流の紐づけ) • 地図データ間の紐づけ方の検討(例:3D都市モデルとBIMデータの紐づけ) • 各データの語彙の共通化や施設ID等の付与・変換ルールの検討 データの品質 • 整備・提供するデータの機械判読性の向上 • 品質基準の整理・公開 ツール データ変換 • データ変換ソフトウェア(コンバーター等)の提供 • データ変換の手順書の作成 データカタログ • 各データの案内・検索・ダウンロードするための庁内データカタログの構築・運用 運用ルール • データクレンジング等のデータ整備プロセス・実施主体の整理、手順書の作成
  45. 参考:標準仕様に関連するガイドライン等(例) 50 項目 ドキュメント名 作成主体 作成/公開年月 データの 標準 フォーマット ⚫

    都市の3Dデジタルマップ 整備・運用要件定義書 ⚫ 都市の3Dデジタルマップのためのデータ製品仕様書 東京都 2021年3月 ⚫ 基盤地図情報 原形データベース 地理空間データ製品仕 様書(案)【数値地形図編】第2.3版 国土交通省 国土地理院 2014年4月 ⚫ 地理空間データ製品仕様書作成マニュアル 国土交通省 国土地理院 2019年11月 ⚫ 3D都市モデル標準製品仕様書 ⚫ 3D都市モデル標準作業手順書 国土交通省 2021年3月 メタデータ ⚫ JMP2.0 仕様書 国土交通省 国土地理院 ⚫ 地理空間データ製品仕様書作成マニュアル 国土交通省 国土地理院 2019年11月 データ間 の連携方法 ⚫ 3D都市モデル整備のためのBIM活用マニュアル ⚫ 3D都市モデルを活用した災害リスク情報の可視化マニュアル 国土交通省 2021年3月 ⚫ 行政基本情報データ連携モデル 内閣官房 2021年6月 ⚫ 行政サービス・データ連携モデル(β版) 内閣官房 2021年6月 データの品質 ⚫ データ品質管理ガイドブック(β版) 内閣官房 2021年8月 ⚫ 地理空間データ製品仕様書作成マニュアル 国土交通省 国土地理院 2019年11月 ツール データ変換 ⚫ 3D都市モデルのデータ変換マニュアル 国土交通省 2021年3月
  46. 分野 サービス例 内容 防災 災害シミュレーション 仮想空間上で災害を疑似的に発生させ、被害状況を予測・分析することで、安全・安心な都市整備計画や避難計 画の策定等に活用する。 構造物等のリアルタイム モニタリング・異常検知 排水管等の流量・流向・水圧等のデータのモニタリング・予測を行い、漏水や逆流等の異常を早期に検知し、冠水・

    浸水の防止や点検業務の見直し(日常点検の頻度の増加等)等に活用する。 災害の影響範囲の シミュレーション 衛星画像等を用いて、地盤面の高さ構造を観測することにより、豪雨や火山噴火等災害の被害が及ぶエリアを予測、 予兆検知等を実施し、安全・安心な都市整備計画や避難計画の策定、情報発信等に活用する。 まちづくり 都市の混雑予測 都内の屋内外の空間(パブリックスペース、都施設、地下空間等)のデータを取得し、混雑状況をモニタリング・予測 し、都民向けの混雑情報の発信や日々の運行業務の改善等に活用する。 都市開発 シミュレーション 都市再生、都市開発、景観等都市の将来像について仮想条件を設定し、日照や風向等のシミュレーションを行い、 開発計画や都民向けの説明等に活用する。 スマートプランニング 人流データ、パーソントリップ等の移動に関するデータを活用し、施設の最適配置、交通施策、道路等の空間の再分 配等のシミュレーションを行い、各施策実施の効果を予測。都市計画の策定・評価・見直し等に活用する。 モビリティ 都市交通の混雑予測 都内の公共交通の運行状況・渋滞状況や都施設の駐車場の満空情報を取得し、混雑状況を把握・予測し、都民 向けの混雑情報の発信、運行業務の改善、渋滞解消策の検討等に活用する。 交通ネットワーク開通 シミュレーション 新たな交通ネットワークを開通した場合の交通量等の仮想条件を設定し、交通量や渋滞発生のシミュレーションを行 い、交通ネットワーク策定計画に活用する。 自動運転 シミュレーション 自動車・ドローン・空飛ぶクルマ等の自動運行が想定されるルートについて、気象条件等の仮想条件を設定し、運行 シミュレーションを行い、各モビリティのルートの検討等に活用する。 4.4 サービスの実装 51 注力分野におけるサービス例
  47. 分野 サービス例 内容 エネルギー 都市のCO 2 排出量 シミュレーション CO₂実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」の実現に向け、都市の様々なデータを活用し、都市活動による CO₂の排出量の把握・予測を行い、排出量の削減に向けた各種施策の検討等に活用する。

    太陽光発電量のポテンシャル 推計 都内の建物施設の屋根・壁面での太陽光発電ポテンシャルを推計し、再エネルギー活用による環境負荷低減 効果を分析し、脱炭素施策の検討等に活用する。 ZEVの充電設備の最適 配置シミュレーション ゼロエミッション・ビークル(ZEV)の導入・普及促進に向け、交通シミュレーションによる充電設備の最適配置 のシミュレーションを行い、充電設備の配置計画の検討等に活用する。 自然 生物・自然環境の状態表示 による行動変容 森林の炭素吸収量、海洋酸性化等の気候変動の状況、生態系の変化を把握し、自然環境の変化により生 態環境がどのように変化するかを分析し、都民の生物・自然環境保護への対策等に活用する。 XRを活用した自然環境体験 サービス 森林、湖、公園等の映像・音・香り・風を再現したXR(VRやAR)観光体験を実現し、QOLの向上や環境 保全行動に対する意識の向上を促す。 気候変動等の予測 過去の気象データ、都市の様々なデータ等を活用し、気候変動やゲリラ豪雨範囲、富士山等の噴火時の影響 範囲等を予測・表示することで、まちづくりや防災計画等に活用する。 ウェルネス 都民の健康行動のリアルタイム 把握・行動誘導 デバイスから、取得を許可したユーザーのバイタルデータ等を取得し分析することで、健康増進施策の実施や、 都民の健康行動への誘導、施設等整備を行い、予防医療進展や健康寿命増加に寄与する。 バリアフリー上の懸念の取得・ 地図への反映 バリアフリー上の懸念のある危険箇所について、3D地図上で可視化・分析し、まちづくりにフィードバックする。 感染症予防・対策 シミュレーション 屋内 / 屋外の人の移動・滞留データなどから3密の検知・予測により、感染症対策の検討等に活用する。 4.4 サービスの実装 52
  48. 4.4 サービスの実装 53 分野 サービス例 内容 教育 XRによる体験型教育 XR(VRやAR)技術を活用した体験・実習型の教育を実現し、教育の効果・質の向上に寄与する。 都市のバーチャルアーカイブを

    用いた社会科学習 都市の歴史や地域の文化財の過去の姿をバーチャル空間に記録しておくことで、XR技術を活用した フィールドワークなどの体験型歴史教材として活用し、地域への理解促進に寄与する。 都市のデータ取得学習 学校の授業の一環として、フィールドワーク等により都市の3Dデータを取得し、デジタルツインに統合する 取組を通して、3Dマップ更新用のデータを取得しながら、地域やデジタル技術への理解促進を行う。 働き方 遠隔による施工会議の実施 地中3Dモデルを用いたリモート会議での施工協議実施により、移動や状況確認に必要となる時間を大 幅に削減し、余剰時間創出に寄与する。 チャットボットのテキストデータ 解析による顧客サービス改善 自動応答サービスAI チャットボットとデジタルツインを連携し、地域ごとの問合せ内容の可視化や、問合 せ内容のテキスト等データを収集・統合・分析により、ニーズの高いサービスの優先提供等を実現する。 VR による研修、セミナー等 XR 技術を活用した訓練用シミュレータなどの提供により、従業員や学生等に対するセミナー、研修等の 効率化に寄与する。 産業 製造業におけるデジタルツイ ンの活用 製造業のモノづくり現場においても活用できるデジタルツイン導入の基盤を整備することで、各企業がデジ タルツインを導入し、企業の生産プロセスの高度化・生産性向上を図る。 農業のデジタル化の推進 農業の生産プロセスにデジタルツインを導入し、生産の効率化と高度化により、農業の労働生産性を向 上する。 バーチャルイベントの展開 サイバー空間上で国内外の離れた場所から様々な方々が参加できるようなバーチャルイベントを展開し、 活性化に寄与する。
  49. 4.5 デジタルツインのエリア展開 先端技術を活用した分野横断的なサービスの都市実装を展開すべく、 地域特性の異なる5つの先行実施エリアを選定 重点地域 地域特性(スマート東京) 都心部 全国と東京の交通結節点で、有力企業が集積する経済・金融の中心エリア 西新宿 都庁を擁し、高層ビルが立ち並ぶ、東京・日本におけるビジネスと商業と観光の中心エリア

    ベイエリア 大きな空間があり新たな実証等に適した、スポーツ、イベント等の賑わい創出エリア 南大沢 多摩ニュータウン西部の拠点において、学術研究(都立大学)とまちづくりが連携するエリア 島しょ 自然豊かで、一次産業や観光資源に恵まれたエリア 55
  50. 4.5 デジタルツインのエリア展開 エリアの展開にあたり、東京都の地域特性・拠点戦略等を加味 「都市づくりのグランドデザイン」(2017/9)では、地域特性を踏ま えた4つのエリア区分(「中枢広域拠点域」「新都市生活創造域」 「多摩広域拠点域」「自然環境共生域」)を設定 (※日本と東京圏のエンジンとなる2つのゾーン「国際ビジネス交流 ゾーン」「多摩イノベーション交流ゾーン」を重ねて設定) 「都市計画区域マス タープラン」

    (2021/3)では、 東京が目指すべき将 来像の中で ・「中核的な拠点」 ・「活力とにぎわいの 拠点」 ・「(枢要な)地域 の拠点」 ・「生活の中心地」 の4拠点区分を設定 (出典)都市づくりのグランドデザイン https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/keikaku_chousa_singikai/grand_design.html 都市計画区域マスタープラン https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/seisaku/master_plan/index.html 都市づくりのグランドデザイン 地域区分 都市計画区域マスタープラン 拠点区分 56
  51. 4.5 デジタルツインのエリア展開 (出典) 地方創生 都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の一覧 https://www.chisou.go.jp/tiiki/toshisaisei/kinkyuseibi_list/index.html 新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針 https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/seisaku/new_ctiy/katsuyo_hoshin/hoshin_02.html 「東京ベイeSGプロジェクト」(Version 1.0)について

    https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/04/23/04.html 「都市開発諸制度」では、開発のインセン ティブのもと政策誘導を行う対象について、 拠点地区を設定 (中核的な拠点地区、活力とにぎわいの拠点地区、枢 要な地域の拠点地区) 国土交通省「Project PLATEAU」では、 23区の中でも都市再生緊急整備地域内 について整備レベル(LOD)を引き上げ 都市再生緊急整備地域(データ重点整備) 都市開発諸制度の拠点地区 東京ベイeSGプロジェクト 「東京ベイeSGプロジェクト」では、ベイエリア を対象とし、最先端の技術を用い、持続可 能性と経済を両立させた都市モデルを実現・ 社会全体で共有する指針を設定 57 (ベイエリア:「臨海副都心」及び新しい埋立地) エリアの展開にあたり、東京都の地域特性・拠点戦略等を加味
  52. 4.5 デジタルツインのエリア展開 先行実施エリア 横展開する拠点群 (拠点区分は都市計画区域マスタープランより設定) 中核的な拠点、活力とにぎわいの拠点 中核的な拠点 枢要な地域の拠点、生活の中心地 中核的な拠点、枢要な地域の拠点、生活の中心地 西新宿、都心部

    ベイエリア 南大沢 島しょ 中枢広域拠点域 新都市生活創造域 多摩広域拠点域 自然環境共生域 拠 点 間 の 交 流 ・ 連 携 、 周 辺 エ リ ア 展 開 等 に よ り 東 京 都 全 域 に 取 組 拡 大 横展開にあたっては、都市づくりの 将来像も踏まえ、地域の個性やポ テンシャルを活かした拠点形成・育 成による新たな価値創造を視野に 入れながら展開 ※都市計画区域マスタープランに定める各種拠点、都市再生 緊急整備地域、都市開発諸制度拠点地区等を想定 58 「都市づくりのグランドデザイン」の地域区分も見据え、 先行実施エリアから横展開
  53. 5.2 デジタルツインの整備にあたっての役割分担 データ・システム・インフラは庁内・庁外で分担して整備 61 セキュリティ 東京都 庁外 庁内データ取得用センサー・カメラ等 各主体で利用するセンシング装置 各局シミュレータ

    等 ー 都が管理する各種データ・報告等 各主体の取得するセンシングデータや移動データ等 都が管理する各種インフラから取得される センシングデータ 等 条件不利地域ネットワーク(整備支援) 公衆Wi-Fi等 5G / LTEの公共整備 各主体で整備するWi-Fi 庁内ビューア / 庁外ビューア ー 庁内データAPI 各主体取得データAPI 庁内データストア ー ー 3Dデジタルマップ、各種GISデータ等 詳細・付随的な地理空間情報 各主体の整備する分析データ等 インフラ データ システム 動的データ 静的データ 地理空間データ ビューア ネットワーク センシング装置 インターフェース 構成要素 データベース 戦略、ルール・制度、組織、運用モデル 各種規約・ガイドライン、標準仕様 各整備・運用者で分担 データ シミュレータ アプリ ケーション
  54. 5.3 デジタルツインの運用にあたっての役割分担 運用者の定めた方針に従い、デジタルツインの運用のための役割を分担 62 運用者 データ 収集 外部事業者 ①仕様に沿った データ納品

    庁内 各局センサー DT基盤 庁外基盤 利用者 庁内基盤 利用者 ③データを ダウンロード 基盤運用 ・標準仕様検討 ・品質基準整理 データ提供者 ⑤データ・基盤等への フィードバック サービス 利用者 ④民間 サービス提供 ④行政 サービス提供 アドバイザー・評価者 デジタルツインへの 助言・評価 庁内データストア/ 庁内データカタログ ②データを アップロード データ 収集 各局センサー データ提供者 ⑥データに関する フィードバック 庁外
  55. 5.3 デジタルツインの運用にあたっての役割分担 63 各主体間でのデータ連携によりデータエコシステムを構築 ①データ整備 ②データ格納 ④データ利用 ③データ確認・ 可視化 ⚫

    データ提供者の定めた ライセンス・利用規約に従って 利用者がデータをダウンロード ⚫ 必要に応じてデータクレンジング 等加工を実施 ⚫ データ・基盤等へフィードバックを 実施 ④データ利用 ⚫ 基盤運用者の定めた仕様・ 品質基準に従ったデータを整備 ⚫ 基盤運用者の定めた方針に 従い、データ利用時のデータの ライセンス・利用規約を設定 ①データ整備 ⚫ 基盤運用者の定めたルールに 従い、データをデジタルツイン 基盤に提供 ②データ格納 ⚫ 提供されたデータのメタデータ・ フォーマット等の確認及び フィードバック ⚫ データのビューア上での可視化 ③データ確認、可視化 庁内基盤利用者/ 庁外基盤利用者 データエコシステム 運用者 データ提供者
  56. 6.1 費用の試算の考え方 各分野の整備内容と整備範囲の組み合わせで試算 65 整備範囲(地域、時期) ユースケース など 防災 まちづくり モビリティ

    教育 働き方 産業 エネルギー 自然 ウェルネス データ システム インフラ 整備 内容 整備内容 × 整備範囲(地域・時期) をベースに算出 各 分 野 の 整 備 内 容 と 整 備 範 囲 を 整 理 ユースケース
  57. 基盤要素別に費用項目・費用の発生時点を整理し、積算 6.1 費用の試算の考え方 基盤要素区分 具体例 費用項目(取得項目) 費用発生時点 初期 保守・管理 データ

    データ 動的データ:センシングデータ、移動データ 等 動的データ取得 〇 〇 動的データ処理 〇 〇 静的データ:統計データ、文書データ 等 地理空間データ:地図データ、GISデータ 等 初期データ作成・購入 〇 - データ処理・変換 〇 〇 差分データ調達 - ◦ 差分データ反映・更新 - 〇 システム アプリケーション 各シミュレータ 庁内 / 庁外ビューア システム開発・実装 〇 - システムメンテナンス - 〇 データベース 各データベース システム開発・実装 〇 - システムメンテナンス - 〇 インターフェース 共通API / 各API システム開発・実装 〇 - システム運用 - 〇 インフラ センシング装置 センサー、カメラ 等 装置の設置 〇 - 装置の運用・保守管理 - 〇 ネットワーク LTE/5G、Wi-Fi 等 ネットワーク機器の設置 〇 - ネットワーク機器の運用・保守管理 - 〇 66 * 費用対効果の試算方法に関する説明を目的として整備例を示したものであり、特定のユースケースを想定していない。分野やユースケースによって、試算対象となる項目は異なる。
  58. 6.1 費用の試算の考え方(試算例) 初期費用 ・動的データ整備:データ取得費用+データ処理・変換費用 ※データの購入(取得)を想定した場合 ・静的データ整備:データ処理・変換費用 ※既存データ(庁内データ)を変換して利用すると想定した場合 ・地図データ:初期データ購入費用+データ処理・変換費用 ※データの購入(取得)を想定した場合 ・システム整備:システム開発・実装費用

    ※システム設計の詳細度に応じて費用を細分化・精緻化することを想定 ユースケースに要する費用 初期費用(円) + 保守・管理費用*(円/年) × 運用年数(年) = 整備費用(円) *整備時点の金銭価値として費用・効果を計上する場合、費用の現在価値化(社会的割引率を用いて将来時点で発生する費用・効果を割引)する必要がある。 保守・管理費用 ・動的データ整備:データ取得費用+データ処理・変換費用 ※データの購入(取得)を想定した場合 ・静的データ整備:データ処理・変換費用 ※既存データ(庁内データ)を変換して利用すると想定した場合 ・地図データ:差分データ購入費用+データ処理・変換費用 ※データの購入(取得)を想定した場合 ・システム整備:システムメンテナンス費用 ※システム設計の詳細度に応じて費用を細分化・精緻化することを想定 費用の発生時点に分けたうえで、整備項目別に積算
  59. 6.2 効果の試算の考え方 68 デジタルツインの効果試算の枠組みを用意し、 各分野のユースケースに対応して、整備効果を試算 大項目 効果試算の考え方と一般的方法 環境 環境への影響、資源の利用 (手法例:環境負荷に原単位を乗じる)

    社会 市民生活・コミュニティへの影響 (手法例:代替法、仮想市場法 等) 生活 安全・安心への影響、雇用への影響 (手法例:影響範囲に災害損失額や保険料を乗じる) 生産 ものづくり(製造・生産)への影響 (手法例:製造・生産量を一定割合で変化させる) 資産 資産(ストック)の運用コスト・収益への影響 (手法例:運用費用や収益を一定割合で変化させる) 東京都のデジタルツインの整備効果(大項目案) Digital TwinのValue for Money 評価項目* • Natural • Social • Human • Manufactured • Financial <未来の東京戦略> ~東京都DTの目的~ 都民QOL/都政QOS向上 ユースケース など 防災 まちづくり モビリティ 教育 働き方 産業 エネルギー 自然 ウェルネス ユ ー ス ケ ー ス に よ る 効 果 を 大 項 目 に 当 て は め て 整 備 効 果 を 試 算 都 上 位 施 策 ・ 海 外 事 例 等 か ら 整 備 効 果 の 大 項 目 を 設 定 *Centre for Digital Built Britain(CDBB:英国政府出資のケンブリッジ大学との連携組織)が2021年に発行したデジタルツイン 推進に向けた文書” Digital Twin Toolkit Developing the business case for your digital twin”で提示されたフレームワーク
  60. 6.2 効果の試算の考え方 効果項目をQOLに関連する項目に分類し、金銭価値に換算 69 各分野で想 定するデジタ ルツインのサー ビスを踏まえ、 整備内容に 応じた効果項

    目を列挙 効果項目 環境 環境への影響、資源の利用 (手法例:環境負荷に原単位を乗じる) 社会 市民生活・コミュニティへの影響 (手法例:代替法、仮想市場法 等) 生活 安全・安心への影響、雇用への影響 (手法例:影響範囲に災害損失額や保険料を乗じる) 生産 ものづくり(製造・生産)への影響 (手法例:製造・生産量を一定割合で変化させる) 資産 資産(ストック)の運用コスト・収益への影響 (手法例:運用費用や収益を一定割合で変化させる) 効果項目 … 効果項目 効果項目 を分類 効果項目の分類(試算手法の例) 都民生活の質(QOL)に関連する分類を設定* *効果項目の分類は、Centre for Digital Built Britain(CDBB:英国政府出資のケンブリッジ大学との連携組織)が2021年に発行したデジタルツイン推進に向けた文書である” Digital Twin Toolkit Developing the business case for your digital twin”で提示されたフレームワークを踏まえつつ、各分類が都民生活の質(QOL)の向上に貢献するよう設定
  61. 6.2 効果の試算の考え方 英国ではデジタルツインの費用対効果(Value for Money)を 「自然」「社会」「人間」「生産」「財務」の5項目に整理 *Centre for Digital Built

    Britain(CDBB:英国政府出資のケンブリッジ大学との連携組織)が2021年に発行したデジタルツイン 推進に向けた文書” Digital Twin Toolkit Developing the business case for your digital twin”で提示されたフレームワーク Value for Money(費用対効果)の定量化は、投資を正当化する際の 重要な手順である。 結局、デジタルルインは数年間にわたって価値を提供する高価な資産となり 得る。以下の5項目が価値を表すテンプレートを提供する。 ⚫ 自然 – 環境影響、資源利用 ⚫ 社会 – 市民や地域社会への影響 ⚫ 人間 – 安全、セキュリティ、仕事への効果 ⚫ 生産 – 製造や生産性への影響 ⚫ 財務 – 投資費用、運営費用、収入 70
  62. 発現する効果の対象ごとに効果項目を分類し、 効果が帰着する指標に着目して試算方法を整理 6.2 効果の試算の考え方(試算例) 区分 対象 項目 効果項目(効果の帰着する指標) 大規模災害 発生時の効果*

    災害復旧事業等の 迅速化 生活(安全安心) 発災時の現地状況調査・詳細調査の効率化 生活(安全安心) 迅速な復旧による早期の経済活動再開 定常的な効果 インフラ維持管理の 効率化 試算 (長期費用削減) 各施設の点検費用を削減 都市計画・避難計 画策定の効率化 生産(生産性向上) 災害の影響範囲の予測成果を活用した、各種 計画策定の効率化 *発災時に発現する効果であるため、定常的に毎年発現する効果と区分を分けて整理した。 **防災分野での1つのユースケースを例に整理したもの。試算対象とする分野やユースケースによって、試算対象となる項目は異なる。 71
  63. 効果項目1:災害復旧事業等の迅速化 現地状況調査の効率化:調査に必要な期間×効率化の割合×整備対象の割合×対応に係る職員等の工数(時間価値) 迅速な復旧による早期の経済活動再開:被災範囲の生産額×損害額の軽減率×整備対象の割合 現地状況調査の効率化 +迅速な復旧による早期の経済活動再開 = 災害復旧事業等の迅速化による効果(円) 効果項目2:インフラ維持管理の効率化 対応に必要な期間×効率化の割合×整備対象の割合×対応に係る職員等の工数(時間価値) =インフラ維持管理の効率化による効果(円/年)

    ユースケースの整備効果 災害復旧事業等の迅速化による効果 = 大規模災害発生時の効果(円) インフラ維持管理の効率化による効果(円/年)+都市計画・避難計画策定の効率化による効果(円/年) =定常的な効果(円/年) 6.2 効果の試算の考え方(試算例) *費用対効果の試算方法に関する説明を目的として防災分野でのユースケース例を踏まえて記載。実際に検討・実施するユースケースの内容と異なる場合がある。 効果項目3:都市計画・避難計画策定の効率化 計画策定に必要な期間×効率化の割合×整備対象の割合×計画策定に係る職員等の工数(時間価値) =都市計画・避難計画策定の効率化による効果(円/年) 72 効果項目ごとの試算結果の合算により、整備効果を算出
  64. 費用対効果は時系列(経年変化)や期間合計(累積)で表現 6.3. 費用対効果の表現例 ・・・・ 定常的な効果 合計•億円 R4年度 •億円(初期費用 ◦億円+保守・管理 △億円)

    費用 効果 効果-費用の 差分 約•億円 R•年度 億円 大規模災害 発生時 追加で•億円 大規模災害発生時 追加で•億円 費用 効果 R4年度 R5年度 R6年度 R•年度 ・・・・・ ・・・・・ 時系列(経年変化)の 表現イメージ* 期間合計(累積)の 表現イメージ 73 *大規模災害発生時の効果は発生有無・発生時点が不確かであるため、時系列では表現せず、期間合計において追加で発現しうる効果として表現した。