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点群データから生成した3Dモデルの配筋検査やインフラ補修検測への適用

 点群データから生成した3Dモデルの配筋検査やインフラ補修検測への適用

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June 08, 2025
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  1. copyright©2023 DataLabs, Inc. all rights reserved. 
 1 中野 嵩士(発表者)

    
 江藤 博哉
 上坂 正晃
 DataLabs, Inc. 2025 
 点群データから生成した 3Dモデルの配筋検査 やインフラ補修検測への適用 

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 2 内容
 •

    土木・建築分野における3Dデータの活用 • 3Dモデルを用いた配筋検査 ◦ 精度検証と省力化効果 • 3Dモデルを用いた3Dインフラ補修 ◦ 精度検証と省力化効果 • まとめ
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 3 概要
 •

    土木・建築分野におけるデジタルデータを活用した効率化の取り組みとして, 点群データから生成した 3Dモデルを用いた配筋検査 やインフラ補修の効果 について,精度検証と従来方法との比較を行った . ◦ 配筋検査 ▪ 精度:鉄筋間隔が相対誤差 0.3φ以内、かぶり厚が相対誤差 0.6φ以内(ただし、φは鉄筋径) ▪ 作業時間:約 8 割削減 ◦ インフラ補修 ▪ 精度:はつり体積 6%以内,はつり深さ及びかぶり厚 7mm 以内 ▪ 作業時間:約 8.5 割削減 鉄筋モックアップ 点群データとそれをもとに作成した 3Dモデル
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 4 土木・建築分野における3Dデータの活用
 •

    3D データを活用した効率化全般 ◦ 「3次元計測技術を用いた出来形管理の監督・検査要領 (土工(1,000m3 未満)・床堀工・小規模土工・法面整形工編 )(案)」令和7年3月 ◦ 「3次元計測技術を用いた出来形管理の監督・検査要領 (構造物工(橋脚・橋台)編)(案)」令和7年3月 • 鉄筋出来形計測に関して ◦ 土木現場:「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領 (案)」令和5年7月 ◦ 建築現場:「官庁営繕事業の建設現場におけるデジタルデータを活用した配筋検査試行要領」令和 5年3月 土木・建築分野において,現場を含めた業務効率化のための 3Dデータ活用が推進されている. 特に,出来形管理における 3Dデータ活用については,国土交通省から各種要領が出されている.
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 5 点群 メッシュ

    3Dモデル 3D CAD (BIM) 土木・建築分野における3Dデータの表現方法
 物体表面の形状を表現しやすい 測 定 機 器から直 接 取 得できる データはこの形式が多い 属性の付与が可能 立体の種類と,それに対応する少 数のパラメータを用いたパラメトリッ クモデルで表現
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 7 従来手法/3Dデータを活用した鉄筋出来形計測
 従来手法

    での鉄筋出来形計測 3Dデータを活用した鉄筋出来形計測 画像:古郡建設株式会社様ご提供 複数人での作業が必要 計測、帳票作成までに 時間がかかる 1人で作業が可能 計測、帳票作成までにかかる 時間を削減可能
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 8 検証内容
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    鉄筋出来形計測に関する要領 ◦ デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)令和5年7月 , ▪ https://www.mlit.go.jp/tec/content/001619475.pdf ◦ 官庁営繕事業の建設現場におけるデジタルデータを活用した配筋検査試行要領 令和5年3月 , ▪ https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001594736.pdf • 考慮した観点 ◦ 形状および測定すべき値の複雑さ(ダブル配筋、フープ筋、かぶり厚) ◦ 外部環境の影響(照度など) 点群データとそれをもとに作成した 3Dモデル 配筋検査項目(鉄筋間隔の例)の出力 本検証での実証内容 • 柱・梁の鉄筋に対して、点群データを取得し、点群データから 3Dモデルを作成。 • 配筋検査項目である 鉄筋間隔、かぶり厚 の精度を評価。 • 複数の点群測定機器 による比較や照度の条件による比較を評価。
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 9 計測条件:鉄筋模型
 •

    建築現場を想定した鉄筋模型(実現場の配筋を模した鉄筋モックアップ(柱、梁))を本実証用に作成した . ◦ 主鉄筋:D29またはD25 ◦ 帯筋・あばら筋:D13 鉄筋モックアップ
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 10 iPad Proの3Dスキャンアプリ

    地上型レーザースキャナー 計測条件:計測デバイス
 • Leica BLK360 G2: https://leica-geosystems.com/ja-jp/products/laser-scanners/scanners/blk360 • PIX4Dcatch: https://www.pix4d.com/jp/product/pix4dcatch/ • PIX4Dcloud: https://www.pix4d.com/jp/product/pix4dcloud/ • Scaniverse: https://scaniverse.com/ Leica BLK360 G2 PIX4Dcatch + PIX4Dcloud Scaniverse • 点群測定機器(1種類の地上型レーザースキャナーと 2種類の iPad Proを用いた3Dスキャンアプリ)を用いて、作成した鉄筋のモックアップの 点群データを取得した。 三脚に設置し、複数地点から撮影 iPadを用いて、鉄筋の周囲を歩いて撮影
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 11 照明条件 計測条件:撮影条件


    • 2パターン ◦ 照明100%:約200~900ルクス ◦ 照明50%:約50~400ルクス 型枠あり 前方の型枠なし 後方の型枠なし 型枠条件 3パターン
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 12 3D配筋検査システム「Modely」
 •

    3D配筋検査システム「Modely」を用いて検証 ◦ https://www.datalabs.jp/modely ◦ iPad Proや地上型レーザースキャナーなどを用いて取得した点群データを 3Dモデルに変換することで、配筋検査における検査項目 (鉄筋本数や鉄筋間隔等の値 )の実測値を自動で帳票化することが可能な Web アプリケーション。 ◦ NETIS登録番号 CB-230008-VE: https://www.netis.mlit.go.jp/netis/pubsearch/details?regNo=CB-230008%20 ◦ 令和5年度インフラDX大賞においてスタートアップ奨励賞受 賞:https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001047.html Modely HPより抜粋 ダブル配筋 かぶり厚 鉄筋かご
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 13 Modelyの将来像
 •

    「新しい配筋検査の形を確立する」 ◦ 点群から生成した 3D モデルをベ ースに,のように自動作成した 3 次元モデルと CIM データを全面的に活用することで,配筋検査の完全 自動化及び検査以降の維持管理等の業務へのデータ適用を可能とし, i-Construction 2.0が目指す省人化を実現していくことを目指してい る.
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 14 結果:3Dモデルの鉄筋間隔・かぶり厚
 •

    3Dモデルの精度評価(鉄筋間隔・かぶり厚)における計測データ ◦ BLK360 G2、PIX4Dcatch+PIX4Dcloud、Scaniverseいずれも、(φは鉄筋径) ▪ 鉄筋間隔の相対誤差: 0.3 φ 以内 ▪ かぶり厚の相対誤差: 0.6 φ 以内 BLK360 G2 Pix4D Scaniverse 鉄筋間隔の 相対誤差の分布 かぶり厚の 相対誤差の分布
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 15 結果:照明条件での比較
 •

    照明による差異はほとんどない。 • 本実証での照明条件での照度は約 50〜1000ルクス ◦ →労働安全衛生規則(照度)第六百四条の「普通の作業に必要な照度 (150ルクス以上)」を十分満たしている。 ◦ 労働安全衛生規則 (照度)第六百四条: https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347M50002000032 BLK360 G2 Pix4D Scaniverse 鉄筋間隔 かぶり厚 full, half はそれぞれ「照明100%」、「照明50%」の条件に対応する。
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 16 写真ベースによる配筋検査との比較
 点群ベース(

    Modely) 写真ベース 現場施工性 撮影デバイス iPad Pro ,iPhone Proで可能 地上型レーザースキャナー,ハンディスキャナーも使 用可能 専用のデバイスが必要な場合がある 撮影範囲 非常に広い 狭い 天候の影響 ほとんど影響を受けない 受ける可能性がある 足場の影響 足場があっても撮影可能 足場があると撮影が難しいことがある 汎用性 鉄筋籠の検査 可能 対応できないことがある ダブル配筋や過密配筋の検査 可能 対応できないことがある かぶり厚の検査 可能 対応できないことがある 写真管理 写真管理 写真管理不要 ただし,写真管理を求められる場合, 二重管理となる 写真管理不要 従来通りの写真管理も可能 3Dモデルの出力 可能 不可の場合がある
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 17 従来との比較(作業時間など)
 国土交通省中部地方整備局「令和

    4年度現場ニーズ と技術シーズのマッチング」点群データの自動モデル化による配筋 検査効率化技術 現場試行結果, https://www.cbr.mlit.go.jp/architecture/netis/matching/siryou/230329_01.pdf • 従来と比較して、約8割の作業時間の削減
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 19 従来手法/3Dデータを活用した断面修復工における出来形管理
 従来手法

    での断面修復工における出来形管理 3Dデータを活用した断面修復工における出来形管理 複数人での作業が必要 計測、帳票作成までに 時間がかかる 1人で作業が可能 計測、帳票作成までにかかる 時間を削減可能
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 20 検証内容
 点群データ

    本検証での実証内容 • 断面修復工を想定した鉄筋模型の点群データを取得し、点群データから 3Dモデルを作成 • はつり工事の検査項目である 体積,はつり深さ,かぶり厚 (表かぶり厚,裏かぶり厚 ) の精度を評価 • 照度などの条件による比較を評価 点群データをもとに作成した 3Dモデル
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 21 計測条件:鉄筋模型
 上面図

    縦(最上層): D19x7本,D25x1本 横(最下層): D16x6本 鳥瞰図 底面を縦横に2分割,合計4領域に分割 各領域で深さを変えた (下記は平均深さ) (上)正面図 (下)側面図 はつり状態を再現するため 底面にはランダムな凹凸をつけた 領域0 105mm 領域1 115mm 領域2 100mm 領域3 110mm 30mm 横の鉄筋 コンクリートを模擬した発泡スチレ ン 正面 側面 縦 560 mm 横685mm • 対象物として使用した鉄筋模型は、縦 560mm×横685mm。底面部に2層の鉄筋を配置。
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 22 計測条件:計測デバイス・撮影条件
 屋外

    地面 壁 廊下 (トンネル内など薄暗い場所を想定) 屋内 上 下 地面 壁 地面 壁 • 点群測定機器(iPad Proを用いた3Dスキャンアプリ)を用いて、作成した鉄筋模型の点群データを取得した . ◦ iPad Proの3Dスキャンアプリ:Scaniverse ▪ https://scaniverse.com/ • 撮影条件 ◦ 全12パターン=天候・照明 3種類(屋内・廊下・屋外)x はつり平面方向2種類(地面・壁) x 対象物方向2種類(上・下)
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 23 計測条件:かぶり厚とはつり深さについて
 C:はつり深さ

    B:天端~鉄筋 A:底板~鉄筋 計測データ数204 =撮影条件12パターン×計測点数17 計測データ数168 =撮影条件12パターン×計測点数14 計測データ数48 =撮影条件12パターン×計測点数4 • かぶり厚とはつり深さについて ◦ 対象物の底板から鉄筋まで (裏かぶり厚) ◦ 天端から鉄筋まで(表かぶり厚) ◦ はつり深さ(対象物の天端から底板まで )
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 24 3Dインフラ補修システム「Hatsuly」
 •

    3Dインフラ補修システム「 Hatsuly」を用いて検証 ◦ https://hatsuly.datalabs.jp/ ◦ 3Dインフラ補修システム「 Hatsuly」は、スマホやタブレットで取得した3次元データを利用して、橋梁補修工事における、調査や表面被覆工や 剥落防止工の出来形検査、断面修復工における出来形検査など、インフラ補修における検測を効率化するシステム。 ◦ NETIS登録番号 KK-230066-A: https://www.netis.mlit.go.jp/netis/pubsearch/dtlprint?regNo=KK-230066%20 はつり面積(長さ ×幅)、はつり深さ、体積、鉄筋かぶり厚の算出 任意箇所の面積の計算や、クラックの延長の計測
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 26 結果:3Dモデルにおける体積
 mean:平均 

    std:標準偏差  Histogram:ヒストグラム  Normal Distribution:対応する正規分布の密度関数 • 3Dモデルにおける体積 ◦ 推定値と実測値の相対誤差 : ±6%以内
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 27 結果:3Dモデルにおける体積
 対象物方向

    はつり平面方向 天候・照明 mean:平均  std:標準偏差 屋内 廊下 屋外 上 下 地面 壁 • 3Dモデルにおける体積 ◦ 天候・照明3種類(屋内・廊下・屋外)、はつり平面方向2種類(地面・壁)、対象物方向2種類(上・下)による差は、ほとんど無い。
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 28 結果:3Dモデルにおけるかぶり厚及びはつり深さ
 平均   

    0.596mm 標準偏差 3.39mm C:はつり深さ B:天端~鉄筋 A:底板~鉄筋 平均 -0.624mm 標準偏差 3.21mm 平均 -0.742mm 標準偏差 2.5mm mean:平均  std:標準偏差  Histogram:ヒストグラム  Normal Distribution:対応する正規分布の密度関数 • 3Dモデルにおける体積 ◦ 推定値と実測値の絶対誤差 : ±7mm以内
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 29 結果:3Dモデルにおけるかぶり厚及びはつり深さ(A:底板~鉄筋)
 壁

    地面 下 上 mean:平均  std:標準偏差 廊下 屋内 屋外 天候・照明 はつり平面方向 対象物方向 • 3Dモデルにおけるかぶり厚及びはつり深さ ◦ 天候・照明3種類(屋内・廊下・屋外)、はつり平面方向2種類(地面・壁)、対象物方向2種類(上・下)による差は、ほとんど無い。
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 30 結果:3Dモデルにおけるかぶり厚及びはつり深さ(B:天端~鉄筋)
 壁

    地面 下 上 mean:平均  std:標準偏差 廊下 屋内 屋外 天候・照明 はつり平面方向 対象物方向 • 3Dモデルにおけるかぶり厚及びはつり深さ ◦ 天候・照明3種類(屋内・廊下・屋外)、はつり平面方向2種類(地面・壁)、対象物方向2種類(上・下)による差は、ほとんど無い。
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 31 結果:3Dモデルにおけるかぶり厚及びはつり深さ(C:はつり深さ)
 対象物方向

    はつり平面方向 天候・照明 屋内 廊下 屋外 上 下 地面 壁 mean:平均  std:標準偏差 • 3Dモデルにおけるかぶり厚及びはつり深さ ◦ 天候・照明3種類(屋内・廊下・屋外)、はつり平面方向2種類(地面・壁)、対象物方向2種類(上・下)による差は、ほとんど無い。
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 33 まとめ
 •

    土木・建築分野におけるデジタルデータを活用した効率化の取り組みとして, 点群データから生成した 3Dモデルを用いた配筋検査やインフラ補 修の効果 について,精度検証と従来方法との比較を行った . ◦ 配筋検査 ▪ 精度:鉄筋間隔が相対誤差 0.3φ以内、かぶり厚が相対誤差 0.6φ以内(ただし、φは鉄筋径) ▪ 作業時間:約 8 割削減 ◦ インフラ補修 ▪ 精度:はつり体積 6%以内,はつり 深さ及びかぶり厚 7mm 以内 ▪ 作業時間:約 8.5 割削減